説明

車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シート

【課題】必要な強度あるいは剛性を確保しつつ、低コストで軽量化を達成可能な車両用シートのクッションシートフレーム構造部を提供する。
【解決手段】クッションシートフレーム構造部104は、互いに車両の幅方向に間隔を隔てた一対のサイドフレーム140A、140Bを有し、上端部が前記一対のサイドフレーム140A、140Bの側部で、下端部が前記上端部より車両の前部側で、それぞれ前記クッションシートフレーム構造部104に固定され、かつ車両後方側への荷重が前記クッションシートフレーム構造部104に負荷されたときに、該荷重に基づいて前記クッションシートフレーム構造部104に対して作用するモーメントを軽減するように前記クッションシートフレーム構造部104に対して引張力を作用する斜張一体帯板102A、102Bが、該一対のサイドフレーム140A、140Bの少なくとも一方の側部に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートに関し、より詳細には、必要な強度あるいは剛性を確保しつつ、低コストで軽量化を達成した車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、衝突の際に必要な強度あるいは剛性を確保しつつ、低コストで軽量化を達成する目的で、いわゆる斜張ワイヤーを具備した車両用シートのバックシートフレーム構造、および車両用シートのクッションシートフレーム構造をそれぞれ、特許文献1および特許文献2において、提案している。
【0003】
特許文献1によれば、斜張ワイヤーを具備した車両用シートのバックシートフレーム構造は、クッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、下端部が該クッションシートフレーム構造の後端部に連結されたバックシートフレーム構造を有し、該バックシートフレーム構造は、それぞれ上下方向に延設する一対のサイドフレームを有し、上端が前記一対のサイドフレームの側部で、下端が前記バックシートフレーム構造の回転中心より車両の前部側で、前記バックシートフレーム構造にそれぞれ固定され、かつ車両後方側への荷重が前記バックシートフレーム構造に負荷されたときに、該荷重に基づいて前記バックシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するように前記バックシートフレーム構造に対して引張力を作用する一方、外部圧縮力に対して抗しない特性を有する斜張ワイヤーが、該一対のサイドフレームの少なくとも一方の側部に設けられている。
【0004】
このような構成の車両用シートのバックシートフレーム構造によれば、車両前方側に負荷される衝撃荷重による曲げモーメントに耐えるような一対のサイドフレームの断面係数を設定して、断面形状を決定しておき、車両後方側にそれにより大きな衝撃荷重が負荷されるときには、このような衝撃荷重に基づいてバックシートフレーム構造に作用する曲げモーメントを軽減するように、斜張ワイヤーからバックシートフレーム構造に対して引張力が作用するように斜張ワイヤーを位置決めすることにより、車両前方側への衝撃荷重と車両後方側への衝撃荷重との差分を斜張ワイヤーに負担させることが可能であり、従来のように車両後方側への衝撃荷重に対して耐えるように一対のサイドフレームの断面形状を決定することが不要となるので、斜張ワイヤーにより必要な強度あるいは剛性を担保しつつ、一対のサイドフレームの重量を低減することが可能となる。
【0005】
一方、特許文献2によれば、斜張ワイヤーを具備した車両用シートのクッションシートフレーム構造は、バックシートフレーム構造がクッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、後端部が該バックシートフレーム構造の下端部に連結されたクッションシートフレーム構造を有し、該クッションシートフレーム構造は、それぞれ車両の前後方向に延設する一対のサイドフレームを有し、上端が前記一対のサイドフレームの側部で、下端が前記上端より車両の前部側で、前記クッションシートフレーム構造にそれぞれ固定され、かつ車両後方側への荷重が前記クッションシートフレーム構造に負荷されたときに、該荷重に基づいて前記クッションシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するように前記クッションシートフレーム構造に対して引張力を作用する一方、外部圧縮力に対して抗しない特性を有する斜張ワイヤーが、該一対のサイドフレームの少なくとも一方の側部に設けられている。
【0006】
このような構成の車両用シートのクッションシートフレーム構造によれば、車両前方側に負荷される衝撃荷重による曲げモーメントに耐えるような一対のサイドフレームの断面係数を設定して、断面形状を決定しておき、車両後方側にそれにより大きな衝撃荷重が負荷されるときには、このような衝撃荷重が連結部を通じてクッションフレーム構造に伝達される際、このような衝撃荷重に基づいてクッションシートフレーム構造に作用する曲げモーメントを軽減するように、斜張ワイヤーからクッションシートフレーム構造に対して引張力が作用するように斜張ワイヤーを位置決めすることにより、車両前方側への衝撃荷重と車両後方側への衝撃荷重との差分を斜張ワイヤーに負担させることが可能であり、従来のように車両後方側への衝撃荷重に対して耐えるように一対のサイドフレームの断面形状を決定することが不要となるので、斜張ワイヤーにより必要な強度あるいは剛性を担保しつつ、一対のサイドフレームの重量を低減することが可能となる。
【0007】
しかしながら、本件出願人は、このような斜張ワイヤーを採用することに起因して、以下のような技術的問題点を見出すに至った。
第1に、このような斜張ワイヤーは、衝突の際、見かけの引張剛性が低減するとともに、材料上および製造加工上の観点からコスト高である点である。
より詳細には、従来の斜張ワイヤーは、複数の螺旋状のより線が束ねられた高価なワイヤーと、ワイヤーの各端にかしめにより固定された別体のリング部とを有し、それぞれのリング部を通じて、シートのフレーム構造に固定されていたところ、このような斜張ワイヤーによれば、斜張ワイヤーに引張力が作用することにより、複数の螺旋状のより線が束ねられたワイヤーの構造上、より線が直線化されることに起因して、隣接するより線間で滑りが生じるとともに、斜張ワイヤーの上下端にかしめ工程により固定されたリング部のかしめ部分にも滑りが生じ、見かけの引張剛性が低下していた
【0008】
第2に、このような斜張ワイヤーをバックシートのフレーム構造に採用しても、クッションシートのフレーム構造に採用する場合に比べ、有効に衝撃荷重を負担することが困難である点である。
より詳細には、斜張ワイヤーは、図23に示すように、斜張ワイヤーの傾斜角度αが大きいほど、衝撃荷重に抗する成分の割合が大きくなることから、有効であるところ、シートフレーム構造上、クッションシートフレーム構造に比べて、バックシートフレーム構造では、傾斜角度αを大きくすることが困難であり、その分有効性が低下する。
【0009】
より具体的には、図23に示すように、バックシートフレーム構造においては(図23(A))、斜張ワイヤーWは、バックシートフレーム構造のサイドフレームの側部に設置されるところ、斜張ワイヤーWの車両後方側上端P2の高さHと、斜張ワイヤーWの車両前方側下端P1の対向するサイドフレームからの水平張り出し距離Lとは、明らかにH>Lであり、傾斜角度αは少なくとも45°より小さく、一方、クッションシートフレーム構造においては(図23(B))、斜張ワイヤーWは、クッションシートフレーム構造のサイドフレームの側部に設置されるところ、斜張ワイヤーWの車両前方側下端P1の水平張り出し距離Lと、斜張ワイヤーWの車両後方側上端P2の対向するサイドフレームからの鉛直張り出し距離とは、バックシートフレーム構造とは逆に、明らかにH<Lであり、傾斜角度αは少なくとも45°より大きくなるところ、主として意匠的な観点から、バックシートフレーム構造において、張り出し距離Lを大きく確保することは困難である。
【特許文献1】特開2010−94436号公報
【特許文献2】特開2010−94441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、必要な強度あるいは剛性を確保しつつ、低コストで軽量化を達成可能な車両用シートのクッションシートフレーム構造および該構造を有する車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明に係る車両用シートのクッションシートフレーム構造は、車両用シートのクッションシートフレーム構造であって、
バックシートフレーム構造がクッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、後端部がリクライナー機構を介して該バックシートフレーム構造の下端部に連結されたクッションシートフレーム構造を有し、
該クッションシートフレーム構造は、それぞれ車両の前後方向に延設し、互いに車両の幅方向に間隔を隔てた一対のサイドフレームを有し、
上端が前記一対のサイドフレームの側部で、下端が前記上端より車両の前部側で、それぞれ前記クッションシートフレーム構造に固定され、かつ車両後方側への荷重が前記クッションシートフレーム構造に負荷されたときに、該荷重に基づいて前記クッションシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するように前記クッションシートフレーム構造に対して引張力を作用する斜張一体帯板が、該一対のサイドフレームの少なくとも一方の側部に設けられ、
該斜張一体帯板は、互いに対向する帯板面の一方が上向きとなるように配置され、対向する帯板面に直交する断面が、横長の矩形状であり、上端部および下端部それぞれにおいて、対向する帯板面の一方を内側に向ける態様でループ状に巻かれた巻き部が設けられ、前記斜張一体帯板の側面を前記サイドフレームに向けて、該巻き部を介して前記クッションシートフレーム構造に固定される、構成としている。
【0012】
このような構成の車両用シートのクッションシートフレーム構造によれば、バックシートフレーム構造に対して負荷される想定衝撃荷重に関し、車両後方側に負荷される衝撃荷重の方が車両前方側に負荷される衝撃荷重より大きく設定されるところ、このような衝撃荷重が、バックシートフレーム構造とクッションシートフレーム構造との連結部を構成するリクライナー機構を通じてクッションフレーム構造に伝達される際、車両前方側に負荷される衝撃荷重による曲げモーメントに耐えるような一対のサイドフレームの断面係数を設定して、断面形状を決定しておき、車両後方側に衝撃荷重が負荷されるときには、このような衝撃荷重に基づいてクッションシートフレーム構造に作用する曲げモーメントを軽減するように、斜張一体帯板からクッションシートフレーム構造に対して引張力が作用するように斜張一体帯板をサイドフレームに対して位置決めすることにより、車両前方側への衝撃荷重と車両後方側への衝撃荷重との差分を斜張一体帯板に負担させることが可能である。
より詳細には、斜張一体帯板の上端がクッションシートフレーム構造のサイドフレームの側部で、下端が上端より車両の前部側で、それぞれクッションシートフレーム構造に固定することにより、車両後方側への衝撃荷重により斜張一体帯板に引張力が作用するように、斜張一体帯板を位置決めする。
この場合、従来の斜張ワイヤーによれば、斜張ワイヤーに引張力が作用することにより、複数の螺旋状のより線が束ねられたワイヤーの構造上、より線が直線化されることに起因して、隣接するより線間で滑りが生じるとともに、斜張ワイヤーの上下端にかしめにより固定されたリング部のかしめ部分にも滑りが生じ、見かけの引張剛性が低下していたところ、このようなワイヤー構造でなく、単一の斜張帯板を採用することにより、より線間の滑りを回避するとともに、一体の斜張帯板の上下端それぞれを巻いて巻き部を形成して、この巻き部によりクッションシート構造に固定することにより、コスト低減とともにかしめ部の滑りも回避することが可能となり、総じて見かけの引張剛性の低下を有効に防止することが可能である。
一方、この斜張一体帯板は、互いに対向する一方の帯板面を上向きとなるように配置し、帯板面に直交する断面を横長矩形状にして、斜張一体帯板の側面をサイドフレームに向けて巻き部を介してクッションシートフレーム構造に固定することにより、たとえば、車両の前突により車両の前方向に衝撃荷重が負荷される際、外部圧縮力が作用したときに、斜張一体帯板が大変形破壊を起こす前に軽微な座屈変形を引き起こしやすいように仕向けることにより、斜張一体帯板に作用する圧縮荷重に対して斜張一体帯板自体の構造健全性を維持することが可能である。
以上から、従来のように車両後方側への衝撃荷重に対して耐えるように、クッションシートフレーム構造およびバックシートフレーム構造それぞれの一対のサイドフレームの断面形状を決定することが不要となるので、斜張一体帯板により、必要な強度あるいは剛性を担保しつつ、一対のサイドフレームの重量を低減することが可能となる。

また、前記斜張一体帯板の前記上端部および前記下端部において、対向する前記帯板面のうち同じ帯板面を内側に向ける態様で、前記巻き部が前記斜張一体帯板の同じ側に形成されるのでもよい。
さらに、前記斜張一体帯板の前記上端部および前記下端部それぞれにおいて、車両幅方向を中心に回動自在に前記クッションシートフレーム構造の前記サイドフレームの外側面に固定されるのでもよい。
さらにまた、前記斜張一体帯板は、該斜張一体帯板に生じる初期張力を調整するための初期張力調整手段をさらに有するのがよい。

【0013】
加えて、前記クッションシートフレーム構造と前記バックシートフレーム構造との間に、車両用リクライナーが設けられ、前記バックシートが前記クッションシートに対して傾動可能とされ、該車両用リクライナーは、
前記クッションシートに固定されるベース部材と、
該ベース部材に回動可能に支持され、かつ前記バックシートに固定された回動アームと、
前記ベース部材および前記回動アーム間に介装され、前記ベース部材に形成された凹部側壁により進退自在に案内され、かつ先端に外歯を形成した摺動係止部材と、
前記回動アームに形成した内歯に噛合する係止位置と、内歯から離間する係止解除位置との間で該摺動係止部材を移動させる回動可能なカムと、
該カムを回動させる操作レバーとを有し、
前記ベース部材は、所定の板厚を有する円形板材で、前記ベース部材の中心部に設けられ、前記操作レバーの枢軸が貫通する挿通穴を備えたブラケット部を有し、
さらに、前記ベース部材の板厚より薄いべースブラケットを前記回動アームと反対側に有し、
該べースブラケットには、前記クッションシートに固定するための取り付け部が設けられ、
前記斜張一体帯板の上端が、前記取り付け部に固定されるのでもよい。

さらに、前記初期張力調整手段は、前記斜張一体帯板の前記上端が取り付けられる前記ベースブラケットの前記取り付け部と、前記斜張一体帯板の前記下端が取り付けられる前記サイドフレームの取り付け部との間の間隔を調整可能な間隔調整手段を有し、前記斜張一体帯板を前記クッションフレーム構造に取り付ける際、前記斜張一体帯板は、その長手方向に交差する向きに所定の撓みを有し、前記間隔調整手段により該撓みを小さくすることにより、前記斜張一体帯板に張力を発生するのがよい。
【0014】
さらにまた、前記間隔調整手段は、前記カムが前記係止位置にある状態で、前記バックシートフレームの頂部を車両後方側に押すことにより、前記ベースブラケットの前記取り付け部を、前記斜張一体帯板を前記クッションフレーム構造に取り付け可能な取り付け位置から前記斜張一体帯板に初期張力を発生する初期張力発生位置へ回動可能なように、前記ベースブラケットを前記サイドフレームに取り付けるのでもよい。
加えて、前記ベースブラケットは、前記操作レバーの枢軸が貫通する貫通穴の下方に、第1取り付け穴と、該第1取り付け穴と前記斜張一体帯板の前記取り付け部との間に設けられた第2取り付け穴とを有し、前記第1取り付け穴および前記第2取り付け穴それぞれにボルトを貫通することにより、前記ベースブラケットを前記サイドフレームに固定し、前記第2取り付け穴は、前記ベースブラケットの前記取り付け部が前記取り付け位置から前記初期張力発生位置まで回動可能なように長穴を構成するのでもよい。
【0015】
さらに、前記初期張力調整手段は、前記巻き部のいずれかに回転可能に固定支持され、細長開口を備えたスロープディスクと、
該スロープディスクに対して相対回転不能に嵌合し、開口部を備えたガイドブロックと、
前記サイドフレームに対して相対回転不能に固定可能なヘッド部と、先端部にねじ部を備え、前記サイドフレームの開口部、前記スロープディスクの前記細長開口および前記ガイドブロックの前記開口部を貫通可能な長さを備えたシャンク部とを有するピンと、
該ピンにワッシャーを介して螺合可能なナットと、を有し、
前記スロープディスクは、一方の面に、前記ガイドブロックが嵌め込み可能な細長溝部を備え、
該細長溝部は、前記細長開口の長手方向と同じ向きに延びるように設けられ、所定角度の傾斜角度で傾斜した傾斜底面を有し、
前記ガイドブロックは、前記ピンに対して相対回転不能に固定され、前記ナットの端面に前記ワッシャーを介して当接可能な当接面と、該当接面と反対側に、該当接面が前記ナットの端面に当接した状態で前記傾斜底面に当接可能な傾斜面とを有し、
該初期張力調整手段は、前記斜張一体帯板の前記上下端のいずれかに設けられ、前記斜張一体帯板の前記サイドフレームへの取り付け機構を兼ねるのでもよい。
【0016】
さらにまた、前記シャンク部は、その根元部に、互いに対向する平面部を備えた非円形断面部を有し、
前記サイドフレームの前記開口部、および前記ガイドブロックの前記開口部はそれぞれ、該非円形断面部がきつく内嵌する形状を有し、
前記スロープディスクの前記細長開口部は、前記シャンク部の前記非円形断面部が前記細長開口部に内嵌する際、長手方向に移動可能な長さを備えるのでもよい。
加えて、前記細長溝部は、前記傾斜底面の長手方向に延びる対向する縁部それぞれから前記一方の面まで延設する対向する被案内側面を備え、
前記ガイドブロックは、対向する案内側面を備え、
前記ガイドブロックが前記サイドフレームに向かって移動することにより、前記スローディスクの被案内面は、前記ガイドブロックの案内面に沿って案内されるのがよい。
【0017】
さらに、前記巻き部の前記開口は、円形開口であり、
前記スロープディスクは、外周面が前記巻き部の該円形開口に内嵌可能な円筒胴部と、該円筒胴部に対して同心状に設けられた円形張り出しフランジとを有し、
前記円形張り出しフランジと前記円筒胴部との間に、前記巻き部における前記斜張一体帯板の側面に当接可能な肩部が形成され、
前記細長溝部は、前記円形張り出しフランジの外縁に抜けるのでもよい。
さらにまた、前記細長開口の幅は、前記細長溝部の幅より小さく設定され、前記スロープディスクの前記細長開口は、前記細長溝部の前記傾斜底面に設けられるのでもよい。
加えて、前記一対のサイドフレームの各側部に前記斜張一体帯板が設けられるのがよい。
【0018】
さらに、前記斜張一体帯板は、前記上下端それぞれの前記巻き部近傍に、前記斜張一体帯板の前記帯板面の一方の重ね合わせ部を備え、前記重ね合わせ部を構成する前記斜張一体帯板の部分それぞれは、前記斜張一体帯板の長手方向に細長の開口部を備え、
これらの開口部に貫通可能なシャンク部を備えたボルトと、該ボルトに螺合可能なナットとを有し、該ナットを該ボルトに締結することにより、前記斜張一体帯板の部分同士を固定するのがよい。
さらにまた、前記斜張一体帯板は、前記上下端それぞれの前記巻き部近傍に、前記斜張一体帯板の前記帯板面の一方の重ね合わせ部を備え、前記重ね合わせ部を構成する前記斜張一体帯板の部分同士は、スポット溶接またはプロジェクション溶接により固定されるのがよい。
【0019】
上記課題を達成するために、本発明に係る車両用シートは、
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の前記車両用シートのクッションシートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッドと、前記車両用シートのクッションシートフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮とを有する構成としている。
【0020】
このような構成の車両用シートによれば、このような構成の車両用シートのバックシートフレーム構造に対してパッドをあてがうことにより車両用シートとして完成する場合、斜張ワイヤー自体をパッドの中に埋設させることで、車両用シートの外観を損なうことが防止される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る車両用シートのクッションシートフレーム構造によれば、車両前方側に負荷される衝撃荷重による曲げモーメントに耐えるような一対のサイドフレームの断面係数を設定して、断面形状を決定しておき、車両後方側にそれにより大きな衝撃荷重が負荷されるときには、このような衝撃荷重が連結部を通じてクッションフレーム構造に伝達される際、このような衝撃荷重に基づいてクッションシートフレーム構造に作用する曲げモーメントを軽減するように、斜張一体帯板からクッションシートフレーム構造に対して引張力が作用するように斜張一体帯板を位置決めすることにより、車両前方側への衝撃荷重と車両後方側への衝撃荷重との差分を斜張一体帯板に負担させることが可能であり、従来のように車両後方側への衝撃荷重に対して耐えるように一対のサイドフレームの断面形状を決定することが不要となるので、斜張一体帯板により必要な強度あるいは剛性を担保しつつ、一対のサイドフレームの重量を低減することが可能となる。
【0022】
本発明に係る車両用シートによれば、このような構成の車両用シートのフレーム構造に対してパッドをあてがうことにより車両用シートとして完成する場合、斜張一体帯板自体をパッドの中に埋設させることで、車両用シートの外観を損なうことが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る車両用シートの第1実施形態を図面を参照しながら、自動車のフロントシートに適用される場合を例として、以下に詳細に説明する。
【0024】
図1および図2に示すように、本発明に係る車両用シート100は、車室フロアに固定されるクッションシートフレーム構造部104と、下端部106がクッションシートフレーム構造部104の後端部108に対して傾動可能に連結されるバックシートフレーム構造部112と、バックシートフレーム構造部112とクッションシートフレーム構造部104との間に介在するリクライナー構造部114とを有する車両用シートフレーム構造と、車両用シートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッド(図示せず)と、車両用シートのフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮(図示せず)とを有する。図1には、回転軸線X−Xを示す。なお、図1および図2において、車両の前方は、図中右側である。
【0025】
バックシートフレーム構造部112について説明すれば、バックシートフレーム構造部112は、全体として逆U字状をなし、互いに車両の幅方向に間隔を隔て、それぞれ上下方向に延びる一対のサイドフレーム118A,Bと、一対のサイドフレーム118A,Bの各々の上端同士を掛け渡すアッパーフレーム120とを有する。
図3に示すように、一対のサイドフレーム118A,Bの各々は、外郭形状を構成する車両の前後方向に有幅の主側面部122と、主側面部122の前後縁より内方に立ち上がる張り出しフランジ部123A,Bとが断面内向きのコ字形状に形成されている。主側面部122の幅は、上下方向に亘って車両の前後方向に実質的に一定である。
逆U字状のバックシートフレーム構造部112の内部に形成される開口部には、フラットマット124が張設され、一対のサイドフレーム118A,Bの上部同士を連結するアッパーメンバー125、一対のサイドフレーム118A,Bの下部同士を連結するロアメンバー127が設けられ、さらに、アッパーフレーム120には、ヘッドレスト(図示せず)取り付け用部材129が付設されている。アッパーフレーム120の両下端部は、一対のサイドフレーム118A,Bと同様に、コ字断面に形成され、それぞれ一対のサイドフレーム118A,Bの上部に嵌合して連結されるようにしてある。
【0026】
次に、図1及び図2を再び参照して、クッションシートフレーム構造部104について説明すれば、クッションシートフレーム構造部104は、互いに車両の幅方向に間隔を隔て、それぞれ車両の前後方向に延設された一対のサイドフレーム140A,Bと、一対のサイドフレーム140A,Bの後端部108同士を連結するリアフレーム141と、一対のサイドフレーム140A,Bの前端部同士を連結するフロントフレーム142とから概略構成され、これらのフレームにより閉断面構造(ボックス構造)が形成されている。この閉断面構造の開口部には、リアフレーム141とフロントフレーム142との間で車両の前後方向に張設されたクッションバネ143が設けられている。
【0027】
図4に示すように、一対のサイドフレーム140A,Bの各々は、バックシートフレーム構造部112のサイドフレーム118と略同様な構造であり、外郭形状を構成する車両の上下方向に有幅の主側面部144と、主側面部144の上下縁より内方に立ち上がる張り出しフランジ部146A,Bとが断面内向きのコ字形状に形成されている。主側面部144の幅は、前後方向に亘って車両の上下方向に実質的に一定である。
斜張一体帯板102A,Bについて説明すれば、斜張一体帯板102A,Bは、一対のサイドフレーム140A,Bの各々の側部に付設されている。いずれの斜張一体帯板102A,Bも同様な構造であるので、その1つについて、以下に説明する。
図5に示すように、斜張一体帯板102は、高張力鋼製、好ましくはSPFC製の細長い一体の帯板状をなし、互いに対向する帯板面202A,Bを有し、対向する帯板面202A,Bに直交する断面が矩形状であり、斜張一体帯板102の長手方向に交差する向きに所定の撓みDを有する。斜張一体帯板102をサイドフレーム140に取り付ける際、後に説明するように、撓みDを小さくすることにより、斜張一体帯板102に初期張力を発生するようにしている。したがって、撓み量は、帯板の長さおよび厚みとの関係において、必要な初期張力の値との関係で適宜定めればよい。
【0028】
斜張一体帯板102は、その各端に、対向する帯板面202の一方を内側に向ける態様でループ状に巻かれた巻き部204A、Bが設けられ、斜張一体帯板102の側面206をサイドフレーム140に向けて、巻き部204を介してサイドフレーム140の外側面209に対して、車両幅方向を中心に回動自在に固定される。巻き部204A、Bそれぞれにより形成される開口は、後に説明するように、この開口にピンを通して、ピンにナットを締め付けることにより、斜張一体帯板102をサイドフレーム140にピン支持可能である限り、任意の形状でよいが、円形開口が好ましい。
【0029】
図6に示すように、バックシートBに後方衝撃荷重が負荷された場合、斜張一体帯板102の一端は、後に説明するように、ベースブラケット34に取り付けられるところ、ベースブラケット34が、ベースブラケット34の取り付け点の中点Pまわりに、矢印に示すように、反時計まわりに回転することから、斜張一体帯板102の一端の取り付け点は、AからA‘に移動する。このとき、長さAB<長さA‘Bとなることから、斜張一体帯板102には引張力が発生するが、斜張一体帯板102の両端がサイドフレーム140に対して固定支持されていると、点線のように、斜張一体帯板102に曲げが生じて、十分な強度を確保することが困難となる。そこで、斜張一体帯板102の両端において、サイドフレーム140に対して車両の幅方向を中心に回転可能なピン支持とすることにより、このような曲げの発生を未然に防止し、斜張一体帯板102の強度を確保するものである。
斜張一体帯板102の各端において、対向する帯板面202A,Bのうち同じ帯板面202を内側に向ける態様で、巻き部204が斜張一体帯板102の同じ側に形成されている。
【0030】
図7に示すように、斜張一体帯板102は、互いに対向する帯板面202A,Bの一方が上向きで、対向する帯板面202A,Bに直交する断面が、横長の矩形状となるように配置され、斜張一体帯板102の上端208は、一対のサイドフレーム140の側部で、下端210が上端208より車両の前部側で、クッションシートフレーム構造104にそれぞれ固定されて、斜めに張設されている。斜めの角度αは、想定される衝撃荷重等に応じて適宜設定すればよい。
【0031】
この場合、図8に示すように、バックシートBに前方衝撃荷重が負荷された場合、斜張一体帯板102の一端は、後に説明するように、ベースブラケット34に取り付けられるところ、ベースブラケット34が、ベースブラケット34の取り付け点の中点Pまわりに、矢印に示すように、時計まわりに回転することから、斜張一体帯板102の一端の取り付け点は、AからA‘‘に移動する。このとき、長さAB>長さA‘‘Bとなることから、斜張一体帯板102には圧縮力が発生するが、斜張一体帯板102の両端がサイドフレーム140に対して固定支持されていると、このような圧縮力に起因する座屈が生じにくく、いきなり斜張一体帯板102の大変形破壊を起こしやすい。そこで、斜張一体帯板102の両端において、サイドフレーム140に対して車両の幅方向を中心に回転可能なピン支持とすることにより、軽微な座屈を生じやすいように仕向け、そのときのエネルギー吸収により、このような大変形破壊を未然に防止し、斜張一体帯板102の強度を確保するものである。なお、斜張一体帯板102の両端のいずれか一方をピン支持しても、両端を固定支持する場合に比べて座屈を誘因することが可能である。
【0032】
斜張一体帯板102の上端208は、後に説明するリクライナー構造部114のベースブラケット34に設けられ、一方斜張一体帯板102の下端210は、サイドフレーム140の外側面209に、それぞれボルトーナット機構405により取り付けられる。
この場合、さらに、それぞれ、車床との間、およびクッションシートフレーム構造104のサイドフレーム140との間をピン結合する前リンク501と後リンク502とを備え、クッションシートの車床からの高さ調整をする平行リンク機構(図示せず)を設ける場合、斜張一体帯板102の下端210の取り付け位置は、前リンク501のサイドフレーム140へのピン結合部の近傍に設けられ、斜張一体帯板102の上端208の取り付け位置は、なるべく車両後方側かつ下端210より上方に設けられるのがよい。これにより、車両の衝突の際、傾斜角度αを大きくすることで、斜張一体帯板102を有効に作動することが可能であるとともに、サイドフレーム140の変形を低減することが可能である。
【0033】
図9に示すように、上下端208、210それぞれの巻き部204近傍に、斜張一体帯板102の帯板面202の一方202Aの重ね合わせ部212を備え、重ね合わせ部212を構成する斜張一体帯板102の部分それぞれは、斜張一体帯板102の長手方向に細長の開口部214を備え、これらの開口部214に貫通可能なシャンク部を備えたボルト216と、ボルト216に螺合可能なナット218とを有し、ナット218をボルト216に締結することにより、斜張一体帯板102の部分同士を固定する。変形例として、重ね合わせ部212を構成する斜張一体帯板102の部分同士をスポット溶接またはプロジェクション溶接により固定してもよい。これにより、従来の斜張ワイヤーのように、サイドフレーム140への取り付けのためのリング部をワイヤーとは別に設け、ワイヤーに対してかしめることにより固定していたところ、斜張一体帯板102においては、一体構造とし、このようなかしめを不要とすることが可能である。
【0034】
次に、リクライナー構造部114について説明すれば、図10に示すように、リクライナー10は、ドライバー或いは乗員が着座するクッションシートフレーム構造部104の各側面と、ドライバー或いは乗員が背もたれるバックシートフレーム構造部112の対応する側面との連結部に1基ずつ設けられ、バックシートをクッションシートに対して傾動可能とするように、一対のリクライナー10は、シートの幅方向に延びる連結シャフト12により連結されている。一対のリクライナー10は、一方の側にノブが設けられている点を除き、同様な構造を有するので、以下では、その1つについて、説明する。
【0035】
図11ないし図13に示すように、リクライナー10は、バックシートフレーム構造部112に取り付けられる回動アーム14と、クッションシートフレーム構造部104に取り付けられるベース部材16と、回動アーム14とベース部材16との間に介在する、カム18およびカム18を挟むように配置される一対の摺動係止部材20と、カム18を回動する操作レバー22とから概略構成され、操作レバー22に固定された枢軸24を中心に、回動アーム14がベース部材16に対して回動自在に保持されている。
図13に示すように、ベース部材16は、鋼製円形板材であり、その中心部に枢軸24が挿通する挿通孔26が形成され、挿通孔26の大きさは、枢軸24の回動に伴ってベース部材16が回動しない程度である。ベース部材16には、挿通孔26の両側に延びる一対の開口28A,Bが設けられている。一対の開口28A,Bの各々は、左右一対の案内側壁30と、これらの案内側壁30の上端および下端に連接された円弧状側壁32とから構成されている。一対の開口28の各々の大きさは、後に説明する一対の摺動係止部材20それぞれが、一対の開口28内で左右一対の案内側壁30に沿って案内されながら半径方向に摺動することが可能なように設けられる。円弧状側壁32の径は、後に説明する回動アーム14の円形開口52の径と同じとなるように設定される。
【0036】
ベース部材16の回動アーム14が位置する反対側には、ベースブラケット34が一対の開口28を塞ぐように取り付けられ、その中心部に枢軸24が挿通する挿通孔33が形成される一方、このベースブラケット34の下部には、クッションシートフレーム構造部104に固定される取り付け部36が設けられている。この取り付け部36には、貫通孔39が設けられ、ボルト37を貫通孔39および対応するクッションシートCの貫通孔に挿通して、溶接ナット41によりベースブラケット34とクッションシートCとを固定するようにしてある(図12参照)。また、上述のように、このベースブラケット34を利用して、斜張一体帯板102を取り付けるための取り付け部36が付設されている。
【0037】
ベース部材16の一方の面には、複数の突起面11が設けられる一方、ベースブラケット34の対応する位置には、突起面11と相補形状の開口13が設けられ、突起面11それぞれを開口13に嵌めて、たとえば溶接することにより、ベースブラケット34をベース部材16に対して固定するようにしている。ベース部材16において、案内側壁30と摺動係止部材20との間で荷重伝達経路が構成されるので、ベース部材16の板厚は、このような荷重に耐える強度を有するように設定される。たとえば、ベース部材16の板厚は、3.6mmである。それに対して、ベースブラケット34の板厚は、ベース部材16の板厚より薄く設定される。
【0038】
摺動係止部材20について説明すれば、摺動係止部材20は一対設けられ、それぞれ、ベース部材16の一対の開口28A,Bの対応する開口内で左右一対の案内側壁30によって案内されながら半径方向に進退自在に配設されている。
図14に示すように、各々の摺動係止部材20は、その外周側に外歯38が形成されるとともに、その内周側には、カム面40が形成され、さらに両側面47、49は、互いに平行で案内側壁30に対して摺接するようにしている。
【0039】
カム面40は、従来と同様に、内方に突出する突出係合部42と、突出係合部42に連接し外方に延びる係合凹部44とを有し、突出係合部42および係合凹部44ともに、後に説明するカム18と係合し、それにより、各々の摺動係止部材20の外歯38が、後に説明する回動アーム14に形成した内歯54と噛合する係止位置と、内歯54から離間する係止解除位置との間で、半径方向に進退自在に移動するようにしている。
一対の摺動係止部材20は、ベース部材16と回動アーム14とを重ね合わせた際、回動アーム14の円形開口52とベース部材16の一対の開口28とにより形成されるスペース内に配置され、一対の開口28の案内側壁30により案内されつつ、一対の摺動係止部材20それぞれに設けた外歯38が円形開口52に設けた内歯54と噛み合うことが可能なようにしている。
【0040】
カム18について説明すれば、図15および図16に示すように、カム18は、一対の摺動係止部材20の間に介在し、中心部に操作レバー22に設けられた枢軸24が挿通する貫通穴17を有する。貫通穴17の大きさは、枢軸24の回動によりカム18が一体でその方向に回動する程度であり、それにより、操作レバー22の回動により、カム18が回動されるようにしてある。カム18の一対の摺動係止部材20各々の対向する面にはそれぞれ、内方に突出する突出係合部42と係合する係合部43と、係合部43に連接し、外方に延びる突出係合部45とが設けられ、カム18の外形は、その中心位置に関して点対称に形成され、その板厚は、後に説明する回動アーム14の板厚より若干薄く設定され、一対の摺動係止部材20とは異なり、回動アーム14の円形開口52内に配置したとき、ベース部材16の一対の開口28に及ばないようにしている。これにより、円形開口52内で自由に回動することが可能となる。
【0041】
回動アーム14について説明すれば、回動アーム14は鋼製環状リングからなり、内部に円形開口52が設けられている。円形開口52の径は、ベース部材16の円弧状側壁32の径と同一である。円形開口52を構成する環状リングの上下部それぞれについて、その内周面の所定範囲に亘って、摺動係止部材20の外歯38と噛合する内歯54が設けられている。一対の摺動係止部材20それぞれを係止位置に移動させたときの外歯38と内歯54との噛合により、バックシートBとクッションシートCとの間の荷重伝達経路が形成されるので、鋼製環状リングの板厚は、外歯38がこのような荷重に耐える強度を有するように設定される。鋼製環状リングの板厚は、たとえば3.6mmである。なお、鋼製環状リングは、一様な板厚の円形板材をファインブランキングにより打ち抜き加工することにより円形開口52を設けて外歯38を形成すればよい。
【0042】
回動アーム14の外周部には、バックシートBに取り付けるためのブラケット部56が、外周方向に等角度間隔(90°)を隔てて4つ設けられている。各ブラケット部56には、後に説明するホールドピン62を挿通するための貫通孔63が設けられている。なお、ブラケット部56は、環状リングと一体に形成してもよい。
【0043】
回動アーム14のベース部材16が位置する反対側には、リッドプレート58が円形開口52を塞ぐように取り付けられ、このリッドプレート58の中心部には、枢軸24が貫通する貫通孔60が設けられる。貫通孔60の大きさは、カム18と同様に、枢軸24の回動によりリッドプレート58が一体でその方向に回動する程度であり、それにより、操作レバー22の回動により、リッドプレート58が回動されるようにしてある。リッドプレート58は、環状リングと同じ径を有する円形薄板であり、その外周部には、回動アーム14と同様に、ブラケット部67が、外周方向に等角度間隔(90°)を隔てて4つ設けられている。各ブラケット部67には、後に説明するホールドピン62が挿通する貫通孔65が、設けられている。これにより、ホールドピン62を回動アーム14の貫通孔63および対応するリッドプレート58の貫通孔65に挿通して、かしめることにより、リッドプレート58を回動アーム14に対して固定し、回動アーム14の円形開口52内に配置される一対の摺動係止部材20、カム18、および後に説明するスプリング64が、円形開口52内に保持されるようにしている。また、図12に示すように、ホールドピン62の肩部をベース部材16の周縁部にあてがうことにより、ベース部材16を固定している。
【0044】
なお、リッドプレート58は、円形開口52に対する蓋として機能するのみであり、強度部材として機能するわけではないので、回動アーム14の板厚が、たとえば3.6mmであるのに対して、リッドプレーの板厚は、0.6mm程度でよい。
図13に示すように、操作レバー22は、一方のリクライナー10の外側に設けられ、一端に貫通孔が設けられ、枢軸24が、この貫通孔を含め、貫通孔33、ベース部材16の貫通孔26、カム18の貫通孔17、およびリッドプレート58の貫通孔60に挿通することにより、操作レバー22が固定されている。操作レバー22は、円形開口52内に配置された一対のスプリング64により、一定方向に回動するように付勢されている。
【0045】
一方のリクライナー10の外側には、スパイラルスプリング70がベースブラケット34に対してほぼ平行に隣接して設けられ、一端がバックシートBに固定される一方、他端がベースブラケット34に設けたホルダーブラケット72に固定されることにより、バックシートBをクッションシートCに対して、一定方向に回動するように付勢している。
図17に示すように、斜張一体帯板102は、斜張一体帯板102に生じる初期張力を調整するための初期張力調整手段をさらに有する。初期張力調整手段は、斜張一体帯板102の上端208が取り付けられるベースブラケット34の取り付け部36と、斜張一体帯板102の下端210が取り付けられるサイドフレーム140の取り付け部との間の間隔を調整可能な間隔調整手段を有し、斜張一体帯板102をクッションシートフレーム構造部104に取り付ける際、斜張一体帯板102は、斜張一体帯板102の長手方向に交差する向きに所定の撓みDを有し、間隔調整手段により撓みDを小さくすることにより、斜張一体帯板102に張力を発生するようにしている。間隔調整手段は、カム18が係止位置にある状態で、バックシートの頂部を車両後方側に押すことにより、ベースブラケット34の取り付け部36を、斜張一体帯板102をクッションフレーム構造に取り付け可能な取り付け位置(図17(A))から斜張一体帯板102に初期張力を発生する初期張力発生位置(図17(B))へ回動可能なように、ベースブラケット34をクッションシートフレーム構造部104に取り付ける。ベースブラケット34は、操作レバー22の枢軸が貫通する貫通穴33の下方に、第1取り付け穴401と、第1取り付け穴401と斜張一体帯板102の取り付け部との間に設けられた第2取り付け穴402とを有し、第1取り付け穴401および第2取り付け穴402それぞれにボルト403を貫通することにより、ベースブラケット34をサイドフレーム140に固定し、第2取り付け穴402は、ベースブラケット34の取り付け部36が取り付け位置から初期張力発生位置まで回動可能なように長穴を構成する。
これにより、従来の斜張ワイヤーによれば、紐状であることから他斜張ワイヤーが自然長より伸ばされない限り、引張力が生じないのに対して、斜張一体帯板102の場合には、どのような状態であろうとも、初期状態から伸ばされる限り、それに応じて引張力が生じるようになっている。
【0046】
以上の構成を有する車両用シート100について、その作用を以下に説明する。
まず、バックシートBをクッションシートCに対してロック状態とする場合、操作レバー22がスプリング64によって付勢され、この状態においては、図15に示すように、カム18の係合部43がそれぞれ、摺動係止部材20のカム面40の突出係合部42に係合する。これにより、摺動係止部材20はそれぞれ、ベース部材16の案内側壁30に沿って案内されながら外方に移動し、外歯38と回動アーム14の内歯54とが噛み合い、回動アーム14のベース部材16に対する回動が規制されたロック状態が維持される。
【0047】
このようなロック状態において、たとえば衝突事故によりバックシートBに過大な衝撃力が加わった場合、バックシートBからブラケット部56を介して回動アーム14に衝撃力が伝達し、さらに回動アーム14の外歯38と一対の摺動係止部材20の内歯54との噛み合い、一対の摺動係止部材20のカム面40とカム18との係合、さらにカム18に貫通する枢軸24を通じて、ベース部材16に固定されるクッションシートCに荷重が伝達される。このとき、回動アーム14の環状リングの板厚、すなわち外歯38の板厚およびベース部材16の板厚は、このような荷重に耐え得るような強度を有する値に設定していることから、このような衝撃力に係わらず、リクライニング機能を維持することが可能となる。
【0048】
この場合、回動アーム14には、内部に円形開口52が設けられており、その分、一様な板厚の円形板材をプレス加工していた従来の円形セクタギアに比べ、軽量化を達成することが可能である。一方、環状リングの外周には、バックシートBへの取り付け用の貫通孔63を備えたブラケット部56が周方向に等角度間隔(90°)を隔てて4つ設けられており、その分、重量が増大する。しかしながら、従来の円形セクタギアにおいては、バックシートBへの固定用として突起面が、枢軸24近傍の円周方向に等角度間隔(60°)を隔てて6つ設けられていたが、枢軸24からの距離が長くなる分、負担する荷重を低減することが可能であるから、ブラケット部56の設置数を低減することが可能である。これにより、バックシートBへのブラケット部56についても、従来に比べ重量の低減化を達成することが可能である。
【0049】
たとえば衝突により車両の前方に向かってバックシートに衝撃荷重が負荷された場合、このような衝撃荷重がリクライナー構造部114を通じてクッションフレーム構造部104に伝達される際、クッションシートフレーム構造部104の一対のサイドフレーム140A,Bそれぞれには、回転中心に近づくにつれて増大する曲げモーメントが生じる。
このような曲げモーメントに耐えるように、一対のサイドフレーム140A,Bそれぞれの断面形状を設定して、断面係数を確保することにより、車両用シート100の構造健全性を維持することが可能である。
【0050】
また、斜張一体帯板102に対して圧縮力が作用する際、斜張一体帯板102の上下端208、210それぞれが、サイドフレーム140に対して車両の幅方向に回転可能にピン支持されていることから、図8に示すように、斜張一体帯板102の上下端それぞれが、固定支持されることにより、斜張一体帯板102に大変形が生じる前に、軽微な座屈を生じさせるように仕向け、それにより、衝突エネルギーをある程度吸収して、大変形を未然に防止することが可能である。
一方、図18に示すように、たとえば衝突により車両の後方に向かって、車両の前方に向かう衝撃荷重より大きな衝撃荷重がバックシートに負荷された場合、クッションシートフレーム構造部104の一対のサイドフレーム140A,Bそれぞれには、回転中心に近づくにつれて増大する曲げモーメントが生じる。このとき、一対のサイドフレーム140A,Bそれぞれに付設された斜張一体帯板102A,Bには、引張力Tが発生して、クッションシートフレーム構造部104に対して衝撃荷重に伴う曲げモーメントを軽減するように作用する。図18には、斜張一体帯板102A,Bを設置しない場合に生じる曲げモーメントM2と、斜張一体帯板102A,Bを設置する場合に生じる曲げモーメントM1とを示す。図18に示すように、M1はM2より小さくなっている。
【0051】
また、斜張一体帯板102に引張力が作用する際、斜張一体帯板102の上下端208、210それぞれが、サイドフレーム140に対して車両の幅方向に回転可能にピン支持されていることから、図6に示すように、斜張一体帯板102の上下端それぞれが、固定支持されることにより、斜張一体帯板102に曲げ変形が生じるのを有効に防止することが可能である。
【0052】
これにより、車両の後方に向かうより大きな衝撃荷重に対して一対のサイドフレーム140A,Bおよびバックシートフレーム構造の一対のサイドフレームそれぞれの断面形状を設定することなしに、車両の前方に向かう衝撃荷重と車両の後方に向かう衝撃荷重との差分を斜張一体帯板102A,Bに負担させることにより、必要な強度あるいは剛性を確保しつつ、一対のサイドフレーム140A,Bの重量の低減を達成することが可能であり、特に、従来、車両の上下方向に延びる有幅の主側面部が、車両の前後方向に回転中心に向って末広状となっているところ、このような末広がり度を低減し、場合により末広がりのテーパをほぼ削除することも可能となる。
この場合、従来の斜張ワイヤーによれば、斜張ワイヤーに引張力が作用することにより、複数の螺旋状のより線が束ねられたワイヤーの構造上、より線が直線化されることに起因して、隣接するより線間で滑りが生じるとともに、斜張ワイヤーの上下端にかしめにより固定されたリング部のかしめ部分にも滑りが生じ、見かけの引張剛性が低下していたところ、このようなワイヤー構造でなく、単一の斜張帯板を採用することにより、より線間の滑りを回避するとともに、一体の斜張帯板の上下端210それぞれを巻いて巻き部204を形成して、この巻き部204によりクッションシートフレーム構造部104に固定することにより、コスト低減とともにかしめ部の滑りも回避することが可能となり、総じて見かけの引張剛性の低下を有効に防止することが可能である。
【0053】
この点について、本発明者は、従来の斜張ワイヤーおよび本願発明の斜張一体帯板102に対して、同一の条件下で、引張試験を行い、斜張一体帯板102による上記効果を確認した。
図19は、横軸を伸び、縦軸を引張荷重とする張力―伸び線図であり、図19に示すように、従来の斜張ワイヤーに比べ、本願発明の斜張一体帯板102の方が、曲線の傾きが急であり、伸びにくく、引張剛性が高いことが示されている。特に、斜張一体帯板102において、初期張力を負荷しており、曲線の立ち上がり部の傾きが緩やかとなるのを防止されているのがわかる。これにより、車両の後突の際、斜張一体帯板102の作動遅れを防止することが可能である。
【0054】
なお、バックシートBのクッションシートCに対するロック状態を解除して、バックシートBを回動させる場合、操作レバー22をコイルスプリング64に抗して回動させることにより、カム18も同様に同方向に回動することから、図16に示すように、カム18の係合部43と摺動係止部材20の突出係合部42との係合状態が解除される。このような状態で、バックシートBを傾動させると、それにより回動アーム14が回動して、内歯54から摺動係止部材20に加わる力によって、摺動係止部材20はそれぞれ、内方に摺動し、摺動係止部材20の係合凹部44とカム18の突出係合部45とが係合するに至る。この状態で、内歯54と外歯38との噛合状態が解除される。これにより、ロック状態が解除されて、バックシートBをクッションシートCに対して所望の角度傾動させることが可能となる。バックシートBを所望の角度傾動させたら、操作レバー22の回動を解除することにより、カム18が逆方向に回動し、それにより摺動係止部材20が再び半径方向外方に摺動して、内歯54と外歯38との噛合状態が復活して、ロック状態に復帰する。
【0055】
以上、このような構成の車両用シートのクッションシートフレーム構造部104によれば、バックシートフレーム構造部112に対して負荷される想定衝撃荷重に関し、車両後方側に負荷される衝撃荷重の方が車両前方側に負荷される衝撃荷重より大きく設定されるところ、このような衝撃荷重が、バックシートフレーム構造部112とクッションシートフレーム構造部104との連結部を構成するリクライナー機構を通じてクッションフレーム構造部104に伝達される際、車両前方側に負荷される衝撃荷重による曲げモーメントに耐えるような一対のサイドフレーム140の断面係数を設定して、断面形状を決定しておき、車両後方側に衝撃荷重が負荷されるときには、このような衝撃荷重に基づいてクッションシートフレーム構造部104に作用する曲げモーメントを軽減するように、斜張一体帯板102からクッションシートフレーム構造部104に対して引張力が作用するように斜張一体帯板102をサイドフレーム140に対して位置決めすることにより、車両前方側への衝撃荷重と車両後方側への衝撃荷重との差分を斜張一体帯板102に負担させることが可能である。
【0056】
より詳細には、斜張一体帯板102の上端208がクッションシートフレーム構造部104のサイドフレーム140の側部で、下端210が上端208より車両の前部側で、それぞれクッションシートフレーム構造部104に固定することにより、車両後方側への衝撃荷重により斜張一体帯板102に引張力が作用するように、斜張一体帯板102を位置決めする。
一方、この斜張一体帯板102は、互いに対向する一方の帯板面202を上向きとなるように配置し、帯板面202に直交する断面を横長矩形状にして、斜張一体帯板102の側面206をサイドフレーム140に向けて巻き部204を介してクッションシートフレーム構造部104に固定することにより、たとえば、車両の前突により車両の前方向に衝撃荷重が負荷される際、外部圧縮力が作用したときに、斜張一体帯板102が大変形破壊を起こす前に軽微な座屈変形を引き起こしやすいように仕向けることにより、斜張一体帯板102に作用する圧縮荷重に対して斜張一体帯板102自体の構造健全性を維持することが可能である。
【0057】
以上から、従来のように車両後方側への衝撃荷重に対して耐えるように、クッションシートフレーム構造部104およびバックシートフレーム構造部112それぞれの一対のサイドフレーム140、118の断面形状を決定することが不要となるので、斜張一体帯板102により、必要な強度あるいは剛性を担保しつつ、一対のサイドフレーム140、118の重量を低減することが可能となる。
このとき、このような構成の車両用シート100のフレーム構造に対してパッドをあてがうことにより車両用シート100として完成する場合、斜張一体帯板102A,B自体をパッドの中に埋設させることで、車両用シート100の外観を損なうことが防止される。
【0058】
以下に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、本実施形態の特徴部について詳細に説明する。
【0059】
本実施形態の特徴は、斜張一体帯板102の構造および初期張力調整手段にあり、より詳細には、第1実施形態においては、撓みDを有する斜張一体帯板102を用いて、バックシート自体を利用して撓みDを小さくすることにより初期張力を粗調整したが、本実施形態においては、撓みDを有しない斜張一体帯板102の上端208あるいは下端210の巻き部204に初期張力を微調整可能な初期張力調整手段を設けた点にある。
以下では、斜張一体帯板102の下端210に初期張力調整手段を設ける場合を説明する。なお、斜張一体帯板102の上端208のサイドフレーム140への固定形態は、第1実施形態と同様である。
【0060】
図20に示すように、斜張一体帯板102は、両巻き部204間が、撓みDを有しない直線状であり、これにより、第1実施形態の斜張一体帯板102に比べ、撓みDを付与する工程が不要となり、よりコスト低減が可能となる。また、一方の巻き部204Aが、後に説明する初期張力手段を設置する関係上、第1に、他方の巻き部204Bに比べて、大きくなっている点、第2に、巻き部204Bの開口が円形開口であるのが必須である点、以上が、第1実施形態の斜張一体帯板102と異なる。
図21に示すように、初期張力調整手段は、巻き部204に設けるスロープディスク302と、スロープディスク302に嵌め込まれるガイドブロック304と、斜張一体帯板102を巻き部204を介してサイドフレーム140に固定するピン306およびナット308とから概略構成される。
より詳細には、巻き部204の開口309は、円形開口であり、スロープディスク302は、樹脂製または金属製であり、外周面310が巻き部204の円形開口309に内嵌可能な円筒胴部312と、円筒胴部312に対して同心状に設けられた円形張り出しフランジ314とを有し、円形張り出しフランジ314と円筒胴部312との間に、巻き部204における斜張一体帯板102の側面206に当接可能な肩部316が形成され、巻き部204に回転可能に固定支持される。
【0061】
スロープディスク302は、細長開口318を備え、細長開口318は、後に説明するピン306のシャンク部320の非円形断面部322が細長開口318に内嵌する際、長手方向に移動可能な長さを備える。これにより、スロープディスク302は、細長開口318にピン306が内嵌した状態で、後に説明するガイドブロック304により移動可能になっている。
スロープディスク302の一方の面330には、ガイドブロック304が嵌め込み可能な細長溝部324が設けられ、細長溝部324は、細長開口318の長手方向と同じ向きに延びるように設けられ、所定角度の傾斜角度で傾斜した傾斜底面326を有し、細長溝部324は、円形張り出しフランジ314の外縁315に抜ける。
細長開口318の幅W1は、細長溝部324の幅W2より小さく設定され、細長開口318は、細長溝部324の傾斜底面326に設けられる。
【0062】
傾斜底面326の傾斜角度(図22のβ)は、後に説明するように、ガイドブロック304がナット308により押圧されて、サイドフレーム140に向かって移動することにより、スロープディスク302がガイドブロック304により細長開口318の長手方向に押し出されて移動可能なように適宜に設定すればよく、たとえば5°ないし20°である。5°より小さいと、ナット308によりスロープディスク302を長手方向に押し出すのが困難となり、一方20°より大きいと、ナット308によるスロープディスク302の締め付け力が不足し、斜張一体帯板102を強固にサイドフレーム140に固定するのが困難となる。
細長溝部324は、傾斜底面326の長手方向に延びる対向する縁部それぞれから一方の面330まで延設する対向する被案内側面332を備える。
ガイドブロック304は、樹脂製または金属製であり、スロープディスク302の細長溝部324に対して相対回転不能に嵌合し、開口部334を備える。開口部334は、後に説明するピン306のシャンク部320の非円形断面部322がきつく内嵌する形状を有し、それにより、ガイドブロック304は、ピン306に対して相対回転不能に固定される。
【0063】
ガイドブロック304は、ナット308の端面にワッシャー336を介して当接可能な当接面305と、当接面305と反対側に、当接面305がナット308の端面に当接した状態で傾斜底面326に当接可能な傾斜面307とを有し、当接面305と傾斜面307との間に、対向する案内側面333を備える。これにより、ガイドブロック304がサイドフレーム140に向かって移動することにより、スロープディスク302の被案内側面332は、ガイドブロック304の案内側面333に沿って案内されるようにしている。
ピン306は、サイドフレームに対して相対回転不能に固定可能なヘッド部335と、先端部にねじ部338を備え、サイドフレーム140の開口部337、スロープディスク302の細長開口318およびガイドブロック304の開口部334を貫通可能な長さを備えたシャンク部320とを有する。シャンク部320は、その根元部に、互いに対向する平面部を備えた非円形断面部322を有し、サイドフレーム140の開口部337は、ガイドブロック304の開口部334と同様に、非円形断面部322がきつく内嵌する形状を有する。これにより、ピン306は、サイドフレーム140に対して相対回転不能に固定され、ナット308をワッシャー336を介してねじ部338に螺合することにより、ナット308がガイドブロック304をサイドフレーム140に向かって押圧するようにしている。
【0064】
以上のように、初期張力調整手段は、斜張一体帯板102の上下端208、210のいずれかに設けられ、斜張一体帯板102のサイドフレーム140への取り付け機構を兼ねており、スロープディスク302の細長開口318、かくして細長溝部324の長手方向を斜張一体帯板102の延び方向に一致するように、スロープディスク302を巻き部204の円形開口309内で回転させて方向決めすることにより、ナット308の締結により、斜張一体帯板102をサイドフレーム140に対して取り付けながら、ガイドブロック304をサイドフレーム140に向かって押し出し、それによりスロープディスク302が斜張一体帯板102に引張力を作用する向きに移動するようにすることが可能である。
【0065】
以上の構成を有する初期張力調整手段について、その作用を以下に説明する。
まず、第1実施形態と同様に、斜張一体帯板102の一方の巻き部204の開口およびリクライナーのベースブラケット34の開口部にピンを貫通させて、ナットにより締め付けることにより斜張一体帯板102の一端を固定する。
次いで、斜張一体帯板102の他方の巻き部204の開口にスロープディスク302を嵌め込み、スロープディスク302の細長溝部324にガイドブロック304を嵌め込み、サイドフレーム140の内面側から、サイドフレーム140の開口部337、スロープディスク302の細長開口318、ガイドブロック304の開口部334にピン306を貫通させて、ワッシャー336を介してナット308により締め付けることにより、斜張一体帯板102の他端を固定する。
【0066】
より詳細には、スロープディスク302の細長開口318が斜張一体帯板102の延び方向に向くように、巻き部204の開口309に嵌め込んだスロープディスク302を回転させることにより調整する。この場合、細長開口318に連通する細長溝部324の延び方向は、細長開口318の延び方向に沿うようにされているところ、図21に示すように、細長溝部324の傾斜底面326が、車両前方に進むほど車両幅方向外側、すなわちガイドブロック304に近づくような向きに配置する。
次いで、ナット308を締め付けることにより、ピン306はサイドフレーム140に対して相対回転不能に固定され、ガイドブロック304はピン306に対して相対回転不能に固定されることから、ナット308は、矢印に示すように、サイドフレーム140に向かって移動し、それによりワッシャー336を介してガイドブロック304も同様に、サイドフレーム140に向かって移動し、かくしてスロープディスク302を介して斜張一体帯板102の他方の巻き部204がサイドフレーム140の外側面209に対して押し付けられ、斜張一体帯板102の下端210をサイドフレーム140に対して取り付け固定することが可能である。
【0067】
さらに、図22に示すように、ガイドブロック304の傾斜面307、対向する案内側面333それぞれは、スロープディスク302の傾斜底面326およびに被案内側面332に当接していることから、ガイドブロック304がサイドフレーム140に向かって移動すると、スロープディスク302、かくして斜張一体帯板102の他端は、矢印に示すように、車両の前方、すなわち斜張一体帯板102に引張力が負荷される向きに押し出される。
より具体的には、スロープディスク302の傾斜底面326の傾斜の向きより、傾斜面307の傾斜底面326に対する垂直抗力には、車両前方成分が必然的に生じ、この車両前方成分により、スロープディスク302は、スロープディスク302の対向する被案内側面332それぞれが、ガイドブロック304の対応する案内側面333に沿って案内されながら、斜張一体帯板102の延び方向と直交する向きにはぶれることなしに、スロープディスク302、かくして巻き部204が車両の前方に押し出され、それにより斜張一体帯板102には引張力が負荷される。
【0068】
この場合、ナット308の締め付け量を調整することにより、スロープディスク302の車両の前方への移動量、かくして斜張一体帯板102に生じる引張力を調整することが可能である。引張力の調整範囲は、スロープディスク302の車両の前方への移動範囲により決定されることから、引張力の調整範囲を広範囲に確保したい場合には、斜張一体帯板102をサイドフレーム140に取り付け固定する際、斜張一体帯板102が自然長となるようにサイドフレーム140の開口部337を設置し、なるべく細長開口318部および細長溝部324それぞれの長手方向の長さを大きく、すなわち巻き部204の大きさを大きくすればよい。最大初期引張力は、細長開口318に貫通するピン306が細長開口318の車両後方側の周側面に当たる位置、あるいは細長溝部324に嵌め込まれるガイドブロック304が細長溝部324の車両後方側の周側面に当たる位置により決定される。
【0069】
以上より、単にナット308を締め付け方向に回すことにより、斜張一体帯板102を効率的に車両用シートのサイドフレーム140に取り付け可能であり、さらにナット308の締め付け量を調整することにより、斜張一体帯板102に発生する初期張力を簡便に所望値に微調整することが可能である。
【0070】
特に、ナット308を締め付ける際、たとえばインパクターを用いることにより、瞬時に斜張一体帯板102を取り付けることが可能であり、さらにインパクターの回転トルクを調節することにより、斜張一体帯板102に発生する初期張力を簡便に所望に調整することが可能である。
【0071】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変形が可能である。たとえば、本実施形態においては、クッションシートフレーム構造部104において、一対のサイドフレーム140の各側部に、斜張一体帯板102を設ける場合を説明したが、それに限定されることなく、一対のサイドフレーム140の一方の側部にのみ設けてもよい、また、本実施形態においては、自動車用シートを対象に説明したが、それに限定されることなく、鉄道車両、船、飛行機等一般的な車両に対して適用可能である。また、自動車のシートに対して用いる場合、リアシート、フロントシートのいずれにも適用可能である。また、本実施形態においては、斜張一体帯板102をクッションシートフレーム構造部104のサイドフレーム140にのみ設ける場合を説明したが、それに限定されることなく、バックシートフレーム構造のサイドフレームに補助的に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る車両用シートのクッションシートフレーム構造部104および該構造を有する車両用シートは、たとえば衝突の際に作用する衝撃荷重に対して必要な強度あるいは剛性を確保しつつ、全体重量の低減を達成することから、車両に必要とされる燃料の低減、ひいては二酸化炭素排出量の低減に資する点において有用である。

【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車両用シートの側面図である。
【図3】図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図4】図1の線C−Cに沿う断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る斜張帯板の側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る斜張帯板に引張力が作用した状態を示す部分側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る斜張帯板の巻き部の部分詳細図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る斜張帯板に圧縮力が作用した状態を示す部分側面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る斜張帯板の一方の巻き部の取り付け方法を示す部分詳細図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る車両用シートのリクライナーの概略斜視図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る車両用シートのリクライナーの側面図である。
【図12】図11の線D−Dに沿う断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係る車両用シートのリクライナーの概略分解斜視図である。
【図14】本発明の第1実施形態に係る車両用シートのリクライナーの摺動係止部材の概略斜視図である。
【図15】本発明の第1実施形態に係る車両用シートのリクライナーによるロック状態を示す概略図である。
【図16】本発明の第1実施形態に係る車両用シートのリクライナーによるロック解除状態を示す概略図である。
【図17】本発明の第1実施形態に係る斜張帯板に引張力を発生する状況を示す部分側面図である。
【図18】本発明の第1実施形態に係る車両用シートにおいて、車両後方に向かう衝撃荷重が負荷された際にクッションシートフレーム構造部に生じるモーメント図である。
【図19】本発明の第1実施形態に係る斜張帯板と、従来の斜張ワイヤーとにおける張力―延び線図である。
【図20】本発明の第2実施形態に係る斜張帯板の斜視図である。
【図21】本発明の第2実施形態に係る斜張帯板の他方の巻き部の取り付け方法を示す部分詳細図である。
【図22】本発明の第2実施形態に係る斜張帯板の他方の巻き部における張力発生機構を示す部分断面図である。
【図23】従来の斜張ワイヤーが、バックシートフレーム構造およびクッションシートフレーム構造部それぞれに取り付けられる状況を示す概念図である。
【符号の説明】
【0074】
C クッションシート
B バックシート
α 傾斜角度
β 傾斜角度
10 リクライナー
12 連結シャフト
14 回動アーム
16 ベース部材
18 回動可能なカム
20 摺動係止部材
22 操作レバー
24 枢軸
26 挿通孔
28 一対の開口
30 案内側壁
32 円弧状側壁
34 ベースブラケット
38 外歯
40 カム面
42 突出係合部
44 係合凹部
52 円形開口
54 内歯
58 リッドプレート
62 ホールドピン
64 スプリング
70 スパイラルスプリング
100 車両用シート
102 斜張一体帯板
104 クッションシートフレーム構造部
106 下端部
108 後端部
112 バックシートフレーム構造
114 リクライナー構造部
116 車両用シートフレーム構造部
118 一対のサイドフレーム
120 アッパーフレーム
123 フランジ部
122 主側面部
124 フラットマット
126 嵌合重なり部
130 ボルトナット機構
140 一対のサイドフレーム
141 リアフレーム
142 フロントフレーム
143 クッションバネ
144 主側面部
146 フランジ部
202 帯板面
204 巻き部
206 側面
209 外側面
212 重ね合わせ部
214 開口部
302 スロープディスク
304 ガイドブロック
305 当接面
306 ピン
307 傾斜面
308 ナット
309 開口
312 円筒胴部
314 円形張り出しフランジ部
316 肩部
318 細長開口
320 シャンク部
322 非円形断面部
324 細長溝部
326 傾斜底面
332 被案内面
333 案内側面
336 ワッシャー
337 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのクッションシートフレーム構造であって、
バックシートフレーム構造がクッションシートフレーム構造に対して傾動可能となるように、後端部がリクライナー機構を介して該バックシートフレーム構造の下端部に連結されたクッションシートフレーム構造を有し、
該クッションシートフレーム構造は、それぞれ車両の前後方向に延設し、互いに車両の幅方向に間隔を隔てた一対のサイドフレームを有し、
上端が前記一対のサイドフレームの側部で、下端が前記上端より車両の前部側で、それぞれ前記クッションシートフレーム構造に固定され、かつ車両後方側への荷重が前記クッションシートフレーム構造に負荷されたときに、該荷重に基づいて前記クッションシートフレーム構造に対して作用するモーメントを軽減するように前記クッションシートフレーム構造に対して引張力を作用する斜張一体帯板が、該一対のサイドフレームの少なくとも一方の側部に設けられ、
該斜張一体帯板は、互いに対向する帯板面の一方が上向きとなるように配置され、対向する帯板面に直交する断面が、横長の矩形状であり、上端部および下端部それぞれにおいて、対向する帯板面の一方を内側に向ける態様でループ状に巻かれた巻き部が設けられ、前記斜張一体帯板の側面を前記サイドフレームに向けて、該巻き部を介して前記クッションシートフレーム構造に固定される、ことを特徴とする車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項2】
前記斜張一体帯板の前記上端部および前記下端部において、対向する前記帯板面のうち同じ帯板面を内側に向ける態様で、前記巻き部が前記斜張一体帯板の同じ側に形成される、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項3】
前記斜張一体帯板の前記上端部および前記下端部それぞれにおいて、車両幅方向を中心に回動自在に前記クッションシートフレーム構造の前記サイドフレームの外側面に固定される、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項4】
前記斜張一体帯板は、該斜張一体帯板に生じる初期張力を調整するための初期張力調整手段をさらに有する、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項5】
前記クッションシートフレーム構造と前記バックシートフレーム構造との間に、車両用リクライナーが設けられ、前記バックシートが前記クッションシートに対して傾動可能とされ、該車両用リクライナーは、
前記クッションシートに固定されるベース部材と、
該ベース部材に回動可能に支持され、かつ前記バックシートに固定された回動アームと、
前記ベース部材および前記回動アーム間に介装され、前記ベース部材に形成された凹部側壁により進退自在に案内され、かつ先端に外歯を形成した摺動係止部材と、
前記回動アームに形成した内歯に噛合する係止位置と、内歯から離間する係止解除位置との間で該摺動係止部材を移動させる回動可能なカムと、
該カムを回動させる操作レバーとを有し、
前記ベース部材は、円形板材で、前記ベース部材の中心部に設けられ、前記操作レバーの枢軸が貫通する挿通孔を備えたブラケット部を有し、
さらに、べースブラケットを前記回動アームと反対側に有し、
該べースブラケットには、前記クッションシートに固定するための取り付け部が設けられ、
前記斜張一体帯板の上端が、前記取り付け部に固定される、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項6】
前記初期張力調整手段は、前記斜張一体帯板の前記上端が取り付けられる前記ベースブラケットの前記取り付け部と、前記斜張一体帯板の前記下端が取り付けられる前記サイドフレームの取り付け部との間の間隔を調整可能な間隔調整手段を有し、前記斜張一体帯板を前記クッションフレーム構造に取り付ける際、前記斜張一体帯板は、その長手方向に交差する向きに所定の撓みを有し、前記間隔調整手段により該撓みを小さくすることにより、前記斜張一体帯板に張力を発生する、請求項5に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項7】
前記間隔調整手段は、前記カムが前記係止位置にある状態で、前記バックシートフレームの頂部を車両後方側に押すことにより、前記ベースブラケットの前記取り付け部を、前記斜張一体帯板を前記クッションフレーム構造に取り付け可能な取り付け位置から前記斜張一体帯板に初期張力を発生する初期張力発生位置へ回動可能なように、前記ベースブラケットを前記サイドフレームに取り付ける、請求項6に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項8】
前記ベースブラケットは、前記操作レバーの枢軸が貫通する貫通穴の下方に、第1取り付け穴と、該第1取り付け穴と前記斜張一体帯板の前記取り付け部との間に設けられた第2取り付け穴とを有し、前記第1取り付け穴および前記第2取り付け穴それぞれにボルトを貫通することにより、前記ベースブラケットを前記サイドフレームに固定し、前記第2取り付け穴は、前記ベースブラケットの前記取り付け部が前記取り付け位置から前記初期張力発生位置まで回動可能なように長穴を構成する、請求項7に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項9】
前記初期張力調整手段は、前記巻き部のいずれかに回転可能に固定支持され、細長開口を備えたスロープディスクと、
該スロープディスクに対して相対回転不能に嵌合し、開口部を備えたガイドブロックと、
前記サイドフレームに対して相対回転不能に固定可能なヘッド部と、先端部にねじ部を備え、前記サイドフレームの開口部、前記スロープディスクの前記細長開口および前記ガイドブロックの前記開口部を貫通可能な長さを備えたシャンク部とを有するピンと、
該ピンにワッシャーを介して螺合可能なナットと、を有し、
前記スロープディスクは、一方の面に、前記ガイドブロックが嵌め込み可能な細長溝部を備え、
該細長溝部は、前記細長開口の長手方向と同じ向きに延びるように設けられ、所定角度の傾斜角度で傾斜した傾斜底面を有し、
前記ガイドブロックは、前記ピンに対して相対回転不能に固定され、前記ナットの端面に前記ワッシャーを介して当接可能な当接面と、該当接面と反対側に、該当接面が前記ナットの端面に当接した状態で前記傾斜底面に当接可能な傾斜面とを有し、
該初期張力調整手段は、前記斜張一体帯板の前記上下端のいずれかに設けられ、前記斜張一体帯板の前記サイドフレームへの取り付け機構を兼ねる、請求項4に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項10】
前記シャンク部は、その根元部に、互いに対向する平面部を備えた非円形断面部を有し、
前記サイドフレームの前記開口部、および前記ガイドブロックの前記開口部はそれぞれ、該非円形断面部がきつく内嵌する形状を有し、
前記スロープディスクの前記細長開口部は、前記シャンク部の前記非円形断面部が前記細長開口部に内嵌する際、長手方向に移動可能な長さを備える、請求項9に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項11】
前記細長溝部は、前記傾斜底面の長手方向に延びる対向する縁部それぞれから前記一方の面まで延設する対向する被案内側面を備え、
前記ガイドブロックは、対向する案内側面を備え、
前記ガイドブロックが前記サイドフレームに向かって移動することにより、前記スローディスクの被案内面は、前記ガイドブロックの案内面に沿って案内される、請求項10に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項12】
前記巻き部の前記開口は、円形開口であり、
前記スロープディスクは、外周面が前記巻き部の該円形開口に内嵌可能な円筒胴部と、該円筒胴部に対して同心状に設けられた円形張り出しフランジとを有し、
前記円形張り出しフランジと前記円筒胴部との間に、前記巻き部における前記斜張一体帯板の側面に当接可能な肩部が形成され、
前記細長溝部は、前記円形張り出しフランジの外縁に抜ける、請求項11に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項13】
前記細長開口の幅は、前記細長溝部の幅より小さく設定され、前記スロープディスクの前記細長開口は、前記細長溝部の前記傾斜底面に設けられる、請求項12に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項14】
前記一対のサイドフレームの各側部に前記斜張一体帯板が設けられる、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項15】
前記斜張一体帯板は、前記上下端それぞれの前記巻き部近傍に、前記斜張一体帯板の前記帯板面の一方の重ね合わせ部を備え、前記重ね合わせ部を構成する前記斜張一体帯板の部分それぞれは、前記斜張一体帯板の長手方向に細長の開口部を備え、
これらの開口部に貫通可能なシャンク部を備えたボルトと、該ボルトに螺合可能なナットとを有し、該ナットを該ボルトに締結することにより、前記斜張一体帯板の部分同士を固定する、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項16】
前記斜張一体帯板は、前記上下端それぞれの前記巻き部近傍に、前記斜張一体帯板の前記帯板面の一方の重ね合わせ部を備え、前記重ね合わせ部を構成する前記斜張一体帯板の部分同士は、スポット溶接またはプロジェクション溶接により固定される、請求項1に記載の車両用シートのクッションシートフレーム構造。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の前記車両用シートのクッションシートフレーム構造全体を覆うように設けられたパッドと、前記車両用シートのクッションシートフレーム構造および該パッド全体を覆うように設けられた袋状の表皮とを有することを特徴とする車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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