説明

車両用シート

【課題】 車両が追突を受けた際にヘッドレストを着座者の頭部に向けて円滑かつ十分に移動させることができる車両用シートを提供する。
【解決手段】 車両が追突を受けてその反動により着座者が後方移動すると、着座者の腰部の後方移動荷重が作動力発生手段10のヒンジ支持された受圧板10Aから受圧ローラにロスなく十分に入力され、引張ケーブル装置11,11がヘッドレストフレーム7の両端部をガイド部8に沿って十分に上方移動させる。その結果、ヘッドレストフレーム7共にヘッドレスト4が着座者の頭部に向けて前上方に円滑かつ十分に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックにヘッドレストが装着される車両用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用シートのシートバックには、車両が追突を受けた際などに着座者の頭部を保護するヘッドレストが装着されている。このヘッドレストは、車両の運転時に着座者の頭部が不用意に接触しないように、通常、着座者の頭部から若干後方に離れた位置に配置されている。
【0003】
この種の車両用シートとして、車両が追突を受けてその反動により着座者が後方移動する際、着座者の上体の後方移動荷重をシートバック内に配設された受動手段により左右のヘッドレストホルダに伝達し、ヘッドレストを前傾上昇させて着座者の頭部および頸部の保護強化を図るようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−163099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたような受動手段がシートバック内に配設される車両用シートにおいては、着座者の後方移動荷重が受動手段に対してそのままロスなく入力されることが重要であり、受動手段に入力される後方移動荷重にロスがあると、ヘッドレストを十分に上昇させることができない虞がある。
【0005】
また、特許文献1に記載された車両用シートにおいては、受動手段としてシートバック内の中央に延設されたベルトからその左右両側のヘッドレストホルダに着座者の後方移動荷重が伝達される関係で、左右のヘッドレストホルダに伝達される荷重が不均一となり易く、ヘッドレストが傾いて円滑に前傾上昇できない虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、車両が追突を受けた際にヘッドレストを着座者の頭部に向けて円滑かつ十分に移動させることができる車両用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用シートは、シートバックにヘッドレストが装着される車両用シートであって、シートバック内には、ヘッドレストを装着するためのヘッドレストサポートブラケットを有し、かつ、ヘッドレストが着座者の頭部に向けて接近移動できるようにシートバックフレームに対し移動可能に連結されたヘッドレストフレームと、着座者の後方移動荷重を入力として作動力を発生する作動力発生手段と、この作動力発生手段に連携してヘッドレストフレームを移動させる作動力伝達手段とが設けられており、作動力発生手段は、着座者の後方移動荷重を受ける受圧板と、この受圧板を介して着座者の後方移動荷重が入力される従動部材とを備え、受圧板の一端部が作動力発生手段の構成部材にヒンジ支持されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る車両用シートでは、車両が追突を受けてその反動により着座者が後方移動すると、その後方移動荷重を入力として作動力発生手段が作動力を発生し、これに連携して作動力伝達手段がヘッドレストフレームを円滑に移動させる。その際、作動力発生手段には、その構成部材にヒンジ支持された受圧板を介して従動部材に着座者の後方移動荷重がロスなく十分に入力される。その結果、ヘッドレストフレームがシートバックフレームに対し円滑かつ十分に上方移動し、ヘッドレストフレームのヘッドレストサポートブラケットにヘッドレストステーを介して装着されるヘッドレストが着座者の頭部に向けて円滑かつ十分に移動する。
【0009】
本発明の車両用シートにおいて、着座者の後方移動荷重を作動力発生手段の従動部材に入力させる受圧板は、作動力発生手段の構成部材に後方移動可能にガイド支持される構造としても良い。この場合にも、作動力発生手段の従動部材には、受圧板を介して着座者の後方移動荷重がロスなく十分に入力される結果、ヘッドレストが着座者の頭部に向けて円滑かつ十分に移動する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両用シートでは、車両が追突を受けてその反動により着座者が後方移動すると、その後方移動荷重が作動力発生手段にロスなく十分に入力されることで、作動力発生手段が十分な作動力を発生し、これに連携して作動力伝達手段がヘッドレストフレームをバランス良く上方に十分に移動させる。その結果、ヘッドレストフレームがシートバックフレームに対し円滑かつ十分に上方移動し、ヘッドレストが着座者の頭部に向けて円滑かつ十分に移動する。従って、本発明によれば、車両が追突を受けた際にヘッドレストを着座者の頭部に向けて円滑かつ十分に移動させることができ、着座者の頭部および頸部の保護強化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る車両用シートの実施の形態を説明する。参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係る車両用シートの要部構造を示す斜視図である。
【0012】
一実施形態に係る車両用シートは、図1に示すように、シートクッション1の後部に傾動機構2を介して前後に傾動可能に連結されたシートバック3を備えており、シートバック3の上部にはヘッドレスト4がヘッドレストステー4A,4Aを介して着脱自在に装着されるようになっている。
【0013】
シートバック3には、ウレタンフォームなどのクッション材で構成されたシートバックパッド(図示省略)の内部に骨格となるシートバックフレーム5が埋設されている。このシートバックフレーム5は、図2および図3に示すように、正面視門形に屈曲形成された上部のアッパパイプ5Aと、左右のサイドフレーム5B,5Bと、帯状に形成された下部のロアフレーム5Cとが溶接によって相互に一体に接続された構造を有する。そして、このシートバックフレーム5を構成するサイドフレーム5B,5Bの下端部は、傾動機構2の枢軸2Aに枢支されている。
【0014】
シートバックフレーム5の内側にはコンタマット6が配設されている。このコンタマット6は、ピアノ線などのワイヤにより平面状に構成された弾性マットであり、左右の上部に装着用の係合フック6A,6Aが形成されている。そして、この係合フック6A,6Aを係止してコンタマット6の上部を支持するように、アッパパイプ5Aの上下方向に延びる左右の縦パイプ部5A1,5A1には、その内側へ突出して先端が上方に屈曲した支持ロッド5A2,5A2が溶接されている。
【0015】
ここで、図1〜図3に示すように、シートバックフレーム5の上部内側には、ヘッドレスト4を装着するためのヘッドレストフレーム7が配設されている。このヘッドレストフレーム7は、正面視門形に屈曲形成されたパイプ材からなり、その左右方向に延びる部分の中央部7Aおよび上下方向に延びる左右の部分の下端部7Bは扁平に潰し加工されている(図3参照)。そして、ヘッドレストフレーム7の中央部7Aの前面には、左右一対のヘッドレストサポートブラケット7C,7Cが溶接されている。
【0016】
ヘッドレストサポートブラケット7C,7Cは、ヘッドレストフレーム7の中央部7Aから上方に突出しており、その上部はシートバックフレーム5を構成するアッパパイプ5Aの横パイプ部5A3,5A3の前面に溶接されたガイドリング5A4,5A4内に挿通されている(図4参照)。そして、このようなヘッドレストサポートブラケット7C,7C内に、ヘッドレスト4の下部から突出する左右一対のヘッドレストステー4A,4Aが挿通されることで、ヘッドレスト4がヘッドレストフレーム7に着脱自在に装着されるようになっている(図1参照)。
【0017】
ヘッドレストフレーム7に装着されたヘッドレスト4が車両用シートの着座者の頭部に向けて前上方に接近移動できるように、ヘッドレストフレーム7の両端部、すなわちヘッドレストフレーム7の左右部分の扁平な下端部7B,7Bは、シートバックフレーム5に対しガイド部8,8を介して上下方向に移動可能に連結されている(図3参照)。また、ヘッドレストフレーム7を定常位置に保持するように、ヘッドレストフレーム7の下端部7Bとシートバックフレーム5のサイドフレーム5B,5Bとの間には、引張ばね9,9が張設されている。
【0018】
ガイド部8は、図3〜図7に示すように、シートバックフレーム5の上部を構成するアッパパイプ5Aの縦パイプ部5A1に溶接されたガイド板8Aと、ヘッドレストフレーム7の扁平な下端部7Bを貫通して装着される摺動ピン8Bとを備えている(図7参照)。
【0019】
ガイド板8Aは、ヘッドレストフレーム7の扁平な下端部7Bの外側面に重なるガイド面8Cを有し、このガイド面8Cには上下方向に延びるガイド孔8Dが形成されている。一方、摺動ピン8Bは、ヘッドレストフレーム7の扁平な下端部7Bから外側に突出してガイド板8Aのガイド孔8Dを摺動自在に貫通している(図7参照)。そして、この摺動ピン8Bは、その内端部および外端部にそれぞれ止ねじS,Sで固定されたワッシャW,Wにより抜け止めされて装着されている。
【0020】
ここで、図1に示すように、シートバック3を前後に傾動可能に枢支する枢軸2Aの近傍において、シートバックフレーム5の下部を構成するロアフレーム5C(図2参照)の左右方向中央部の前面側には、作動力発生手段10が配設されている。この作動力発生手段10は、車両が追突を受けて車両用シートの着座者が反動により後方移動する際に、着座者の腰部の後方移動荷重を入力として作動力を発生する手段であり、着座者の腰部の後方移動荷重を受ける受圧板10Aと、この受圧板10Aを介して着座者の後方移動荷重が入力される作動力発生機構10Bとを備えている。
【0021】
受圧板10Aは適宜の合成樹脂や板金で構成されており、着座者の腰部の後方移動荷重を適確に受け得るように、所定面積を有する概略長方形に形成されている。一方、作動力発生機構10Bは、前側が開放された溝型断面形状の縦長の支持ブラケット10D上に構成されており、この支持ブラケット10Dは、剛性のあるロアフレーム5Cの前面に背面板(符号省略)がスポット溶接などの手段により固定されている。
【0022】
図8および図9に示すように、作動力発生機構10Bは、支持ブラケット10Dの左右の側壁10E,10Eの上部を貫通して装着された固定軸10Fと、左右の側壁10E,10Eの下部に形成された上下方向に延びるガイド孔10G,10Gを貫通して装着された可動軸10Hとを備えており、固定軸10Fには、固定ローラ10Jおよび上部リンク10Kの上端部が枢支され、可動軸10Hには可動ローラ10Lおよび下部リンク10Mの下端部が枢支されている。そして、上部リンク10Kの下端部と下部リンク10Mの上端部とが枢軸10Nを介して連結され、この枢軸10Nに受圧ローラ10Pが従動部材として枢支されている。
【0023】
ここで、図10に示すように、作動力発生機構10Bを構成する支持ブラケット10Dの左右の側壁10Eの下端部には、前述した受圧板10Aの下端部をヒンジ支持するための一対の支持片部10Sが相互に平行に前方(図の左方)へ突設されており、各支持片部10Sには、左右方向に突出するヒンジピン10Tが固定されている。これに対応して、受圧板10Aの下端部には、各ヒンジピン10Tに回動自在に嵌合するヒンジ部材10Uが固定されている。そして、このヒンジ部材10Uを介して支持片部10Sに下端部がヒンジ支持された受圧板10Aの上端部は、後方(図の右方)に揺動して受圧ローラ10Pを押動できるように受圧ローラ10Pの前面に対面している。
【0024】
一方、図1〜図3に示すように、作動力発生手段10の作動力発生機構10Bに連携してヘッドレストフレーム7を上昇移動させる一対の引張ケーブル装置11,11が作動力伝達手段として設けられている。この引張ケーブル装置11,11は、前述した支持ブラケット10Dの上端部に屈曲形成されたケーブル止片10Q,10Q(図8、図9参照)にアウタシース11A,11Aの一端部が左右に並べて固定されている。
【0025】
ケーブル止片10Q,10Qの向かって左側に一端部が固定された一方のアウタシース11Aの他端部は、向かって左側に配置されたガイド部8を構成するガイド板8Aの上端部に屈曲形成されたケーブル止片8E(図5、図6参照)に固定されており、その固定位置はガイド孔8Dの延長線上となっている。同様に、ケーブル止片10Q,10Qの向かって右側に一端部が固定された他方のアウタシース11Aの他端部は、向かって右側に配置されたガイド部8を構成するガイド板8Aの上端部に屈曲形成されたケーブル止片8E(図6参照)に固定されており、その固定位置はガイド孔8Dの延長線上となっている。
【0026】
アウタシース11A,11A内に摺動自在に挿通されてその一端部から導出されたインナケーブル11B,11Bの一端部は、図10に模式的に示すように、作動力発生機構10Bを構成する固定ローラ10Jの前面側、受圧ローラ10Pの後面側および可動ローラ10Lの前面側を巻回して支持ブラケット10Dの背面板10Rに固定されている。
【0027】
一方、アウタシース11A,11Aの他端部から導出されたインナケーブル11B,11Bの他端部には、図6および図7に示すように、それぞれ止着リング11Cが固定されており、この止着リング11Cは、ガイド部8を構成する摺動ピン8Bに対して止ねじSによりワッシャWと共に固定されている。
【0028】
ここで、図11に示すように、一対の引張ケーブル装置11,11は、インナケーブル11B,11Bが引掛かることなく円滑に引き操作されるように、コンタマット6の背面側において相互にクロスする状態の緩い曲率で引き回されている。そして、この引張ケーブル装置11,11の上部は、シートバックフレーム5を構成するアッパパイプ5Aの横パイプ部5A3,5A3にそれぞれケーブルクリップ12,12を用いて止着されている。
【0029】
以上のように構成された一実施形態の車両用シートでは、着座者がシートバック3に背中を寄り掛けた通常の着座姿勢において、ヘッドレスト4は着座者の頭部から若干後方に離れた位置に配置されている。このような通常の着座姿勢において、車両が追突を受けてその反動により着座者が後方移動すると、シートバック3に内蔵された作動力発生手段10の受圧板10Aには、着座者の腰部の後方移動荷重が入力される。
【0030】
ここで、受圧板10Aは作動力発生機構10Bを構成する支持ブラケット10Dの支持片部10Sに下端部がヒンジ支持されているため(図10参照)、着座者の腰部の後方移動荷重が入力されると、受圧板10Aは横ズレしたり傾いたりすることなく、図10に示す定常位置から図12に示す作動位置まで確実に揺動して着座者の腰部の後方移動荷重を受圧ローラ10Pにロスなく十分に入力する。
【0031】
受圧板10Aが図10に示す定常位置から図12に示す作動位置まで揺動すると、その直後方に従動部材として配置された作動力発生機構10Bの受圧ローラ10Pが図10に示す定常位置から図12に示す作動位置まで押動され、これに連動して可動ローラ10Lが図12に示す下降位置まで移動する。その結果、引張ケーブル装置11,11の一端部からから引き出されて受圧ローラ10Pおよび可動ローラ10Lに巻回されたインナケーブル11B,11Bが大きく撓んで矢印方向に十分に引張り操作される。
【0032】
インナケーブル11B,11Bが十分に引張り操作されると、その他端部に止着リング11Cを介して連結されたガイド部8の摺動ピン8Bがガイド孔8Dに沿って上方に移動し(図7参照)、これに連動してヘッドレストフレーム7の左右両端部に位置する下端部7Bが引張ばね9,9に抗してバランス良く円滑に上方移動する(図4、図5参照)。その結果、ヘッドレストフレーム7がヘッドレストサポートブラケット7C,7Cと共に円滑に上方移動し、ヘッドレストサポートブラケット7C,7Cがガイドリング5A4,5A4に案内されつつ上方移動することで、ヘッドレストサポートブラケット7C,7Cにヘッドレストステー4A,4Aを介して装着されるヘッドレスト4が着座者の頭部に向けて前上方に円滑かつ十分に瞬時に移動する。
【0033】
このように、一実施形態の車両用シートによれば、車両が追突を受けた際に、ヘッドレスト4を着座者の頭部に向けて前上方に円滑かつ十分に瞬時に移動させることができるため、着座者の頭部および頸部の保護強化を図ることができる。
【0034】
本発明に係る車両用シートは、前述した一実施形態に限定されるものではなく、一部の構成部分を変更しても一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。例えば、図1に示した作動力発生手段10は、図13に模式的に示す構造の作動力発生手段20に変更することができる。この作動力発生手段20は、作動力発生機構20Aを構成する支持ブラケット20Bに受圧板20Cが前後方向に移動自在にスライド支持された構造を有する。
【0035】
支持ブラケット20Bは、前側が開放された縦長の溝型断面形状に形成されており、その背面板20Dは、剛性のあるロアフレーム5Cの前面にスポット溶接などの手段により固定されている。支持ブラケット20Bの左右の側壁20E,20Eの上部間には、固定軸20Fを介して固定ローラ20Gが回転自在に支持され、左右の側壁20E,20Eの下部間には、固定軸20Hを介して固定ローラ20Jが回転自在に支持されている。固定ローラ20Gと固定ローラ20Jとの間には、後述する可動ローラ20Qが進入可能な間隔が設けられている。
【0036】
支持ブラケット20Bの背面板20Dの上端部には、前方へ屈曲するケーブル止片20Kが形成され、このケーブル止片20Kには、引張ケーブル装置11,11のアウタシース11A,11Aの一端部が左右に並べて固定されている。そして、アウタシース11A,11Aの一端部から導出されたインナケーブル11B,11Bの一端部は、固定ローラ20G,20Jの前面側から固定ローラ20Jの下面側を巻回して支持ブラケット20Bの背面板20Dに固定されている。
【0037】
一方、受圧板20Cは、作動力発生機構20Aの前方に縦向きに配置されており、その上端部および下端部の後面には左右一対のステー20Lがそれぞれ突設され、各ステー20Lには前後方向に延びる長孔20Mがそれぞれ形成されている。また、受圧板20Cの上下方向中央部の後面には支持アーム20Nが突設され、その先端部には支持ピン20Pを介して可動ローラ20Qが回転自在に支持されている。
【0038】
このような受圧板20Cは、支持ブラケット20Bの支持ブラケット20Bの左右の側壁20E,20Eの上端部および下端部の前側に配置されて左右方向に突設された各ガイドピン20Rに各ステー20Lの長孔20Mが嵌合されることで、支持ブラケット20Bに対して前後移動自在にスライド支持されている。そして、このような支持状態において、可動ローラ20Qは、引張ケーブル装置11のインナケーブル11Bの前方に配置されて作動力発生機構20Aの固定ローラ20Gと固定ローラ20Jとの間に進入できるように対面している。
【0039】
図13に示した作動力発生手段20においては、車両が追突を受けてその反動により着座者の腰部が後方移動すると、その後方移動荷重により受圧板20Cが作動力発生機構20Aの支持ブラケット20Bに対して図14に示すように十分に後方移動し、可動ローラ20Qが固定ローラ20Gと固定ローラ20Jとの間に十分に押し込まれる。その結果、引張ケーブル装置11の一端部から引き出されたインナケーブル11Bが大きく撓んで矢印方向に十分に引張り操作される。従って、図13に示した作動力発生手段20を備える車両用シートにおいても、前述した一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの要部構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示したシートバックの内部構造を示す斜視図である。
【図3】図2に示したシートバックの内部構造を示す正面図である。
【図4】図3に示したヘッドレストサポートブラケットの近傍の構造を示す斜視図である。
【図5】図3に示したガイド部を正面側から見た斜視図である。
【図6】図3に示したガイド部を背面側から見た斜視図である。
【図7】図3に示したガイド部の構造を示す断面図である。
【図8】図1に示した作動力発生手段の作動力発生機構を正面側から見た斜視図である。
【図9】図1に示した作動力発生手段の作動力発生機構の正面図である。
【図10】図1に示した作動力発生手段の作動力発生機構の構造を模式的に示す側面図である。
【図11】図1に示した引張ケーブル装置の引き回し状況を示すシートバックフレームの上部の背面図である。
【図12】図10に示した作動力発生機構の作動状況を模式的に示す側面図である。
【図13】図1に示した作動力発生手段の変形例の構造を模式的に示す側面図である。
【図14】図13に示した作動力発生手段の作動状況を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 シートクッション
2 傾動機構
3 シートバック
4 ヘッドレスト
4A ヘッドレストステー
5 シートバックフレーム
5A アッパパイプ
5B サイドフレーム
5C ロアフレーム
6 コンタマット
7 ヘッドレストフレーム
7C ヘッドレストサポートブラケット
8 ガイド部
10 作動力発生手段
10A 受圧板
10B 作動力発生機構
10D 支持ブラケット
10J 固定ローラ
10L 可動ローラ
10P 受圧ローラ(従動部材)
10S 支持片部
10T ヒンジピン
10U ヒンジ部材
11 引張ケーブル装置(作動力伝達手段)
11A アウタシース
11B インナケーブル
20 作動力発生手段
20A 作動力発生機構
20B 支持ブラケット
20C 受圧板
20G 固定ローラ
20J 固定ローラ
20L ステー
20M 長孔
20Q 可動ローラ(従動部材)
20R ガイドピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックにヘッドレストが装着される車両用シートであって、シートバック内には、ヘッドレストを装着するためのヘッドレストサポートブラケットを有し、かつ、前記ヘッドレストが着座者の頭部に向けて接近移動できるようにシートバックフレームに対し移動可能に連結されたヘッドレストフレームと、着座者の後方移動荷重を入力として作動力を発生する作動力発生手段と、この作動力発生手段に連携して前記ヘッドレストフレームを移動させる作動力伝達手段とが設けらており、前記作動力発生手段は、着座者の後方移動荷重を受ける受圧板と、この受圧板を介して着座者の後方移動荷重が入力される従動部材とを備え、前記受圧板の一端部が前記作動力発生手段の構成部材にヒンジ支持されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
シートバックにヘッドレストが装着される車両用シートであって、シートバック内には、ヘッドレストを装着するためのヘッドレストサポートブラケットを有し、かつ、前記ヘッドレストが着座者の頭部に向けて接近移動できるようにシートバックフレームに対し移動可能に連結されたヘッドレストフレームと、着座者の後方移動荷重を入力として作動力を発生する作動力発生手段と、この作動力発生手段に連携して前記ヘッドレストフレームを移動させる作動力伝達手段とが設けらており、前記作動力発生手段は、着座者の後方移動荷重を受ける受圧板と、この受圧板を介して着座者の後方移動荷重が入力される従動部材とを備え、前記受圧板が前記作動力発生手段の構成部材に後方移動可能にガイド支持されていることを特徴とする車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−7826(P2006−7826A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184118(P2004−184118)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004640)日本発条株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】