説明

車両用シート

【課題】転がりやすい小荷物をネット部材によりを載置保持する場合でも転がり落ちることなく安定して載置保持することができるようにする。
【解決手段】先ず、シートクッション34Aに対してシートバック34Bを折畳み状態に倒した状態で、シートバック34Bの背面に移動可能に備えられたバックボードをシートバックの背面外まで移動させて、このバックボード44により荷物を載置可能とした構成とする。そして、バックボード44を樹脂製の剛性体で形成し、このバックボード44をシートバック34Bが折畳まれた状態でシートバック34Bの折畳み方向前方方向へ移動可能としてシートバック34Bに備え、バックボード44には荷物を載置するための荷物載置孔52を設け、この荷物載置孔52にネット56を張設し、荷物載置孔52のネット56上に荷物を載置保持する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。より詳しくは、シートクッションに対してシートバックを折畳み状態に倒した状態で、シートバックの背面に移動可能に備えられたバックボードをシートバックの背面外まで移動させて、該バックボードにより荷物を載置可能とする車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車等車両用シートにおいては、着座しないシートを用いて荷物を載置することが行われている。荷物を載置するに際しては、着座しないシートのシートバックをシートクッション方向に折り畳み状態に倒して、更に、このシートバックの背面に備えられた荷物を載置することのできるバックボードをシートバックの背面外まで反転展開させている。この場合、反転させたバックボードは折り畳んだシートバックの前方空間部にまで展開されるため、載置場所を広く取れ、これにより大きな荷物を載置することができるという利点がある(下記特許文献1参照)。
しかし、バックボードは通常、木製ボード合板や合成樹脂製でボード状に形成されているため、小荷物を載置した場合には、自動車等車両の走行中の振動により小荷物がバックボード上を移動して安定保持できないと言う不具合を生じることがある。
このため、シートバックの前方空間部にはネット部材を全面的に展開させて、このネット部材により小荷物を載置保持することができるように構成したものが提案されている(下記特許文献2参照)。
このネット部材により小荷物を載置保持する載置構造によれば、ボード状に形成されたバックボードによる載置構造に比べれば小荷物を安定させて載置保持することができる。
【特許文献1】特開2002−283898号公報
【特許文献2】特開2006−205875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、シートバックの前方空間部のほぼ全面をネット部材を展開して小荷物を載置保持する載置構造でも、そのネット部材上を小荷物が移動して十分安定して保持できないと言う問題がある。すなわち、りんご、みかん等の丸い球体状の果物や、球形の運道具ボール等の小荷物の場合には、自動車等車両の走行中の振動によりネット部材上を移動することがあり、安定保持することができなく、場合として、ネット部材上から転がり落ちることもあるという問題がある。
また、シートバックの背面と前方空間部のネット部材に跨って載置することが必要な大きな堅物の荷物を載置する場合には、大きな荷物がネット部材上にも位置して載置されることになる。この場合、ネット部材は柔軟性に富んでいることから、逆にネット部材上では安定して載置できないという問題がある。
【0004】
本発明は上述した従来の問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、転がりやすい小荷物をネット部材によりを載置保持する場合でも転がり落ちることなく安定して載置保持することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題を達成するために、本発明は次の手段をとる。
先ず、本発明に係る車両用シートがとる基本手段は、先ず、シートクッションに対してシートバックを折畳み状態に倒した状態で、シートバックの背面に移動可能に備えられたバックボードをシートバックの背面外まで移動させて、該バックボードにより荷物を載置可能とした構成とする。そして、前記バックボードを剛性体で形成し、このバックボードをシートバックが折畳まれた状態で該シートバックの折畳み方向前方方向又は後方方向へ移動可能としてシートバックに備え、該バックボードの荷物を載置する位置の部分には荷物を載置するための荷物載置孔を設け、該荷物載置孔にネットを張設し、該荷物載置孔のネット上に荷物を載置保持する構成とするものである。
【0006】
上記した本発明の基本手段によれば、シートバックの折畳み方向前方方向又は後方方向のシートバック背面外の空間部位置に移動されたバックボードにネットを張設した荷物載置孔が位置する。そして、この荷物載置孔の位置はバックボードで荷物を載置することができる位置に設けられており、小荷物を載置した場合には張設したネットが小荷物の重みで下方に撓んだポケット状の形態となって小荷物を載置保持する。このため、小荷物が自動車等車両の走行中の振動により移動しようとしても、荷物載置孔を形成するバックボードは剛性体で形成されているため、荷物載置孔の内縁に当接して移動が阻止され、小荷物は荷物載置孔のネット上で安定して保持される。すなわち、球形等の転がりやすい小荷物でも転がり落ちることなく安定して載置保持することができる。
また、上記した本発明の基本手段によれば、バックボードの荷物載置孔が設けられた以外のバックボード構成部分は剛性体で構成されている。このため、シートバックの背面とバックボードの両方に跨って載置することが必要な大きな堅物の荷物を載置する場合でも、バックボードの荷物載置孔が設けられていない剛性体箇所を利用して載置すれば、大きな荷物でも安定して載置することができる。
【0007】
なお、上記した本発明の基本手段の車両用シートは、次のような手段とするのが好ましい。
【0008】
先ず、前述した荷物載置孔のネット上に荷物を載置保持することのできるバックボードを備えた車両用シートは、前列シートと後列シートとが配列された車両用シートの後列シートとして配置され、後列シートに備えられるバックボードはこの後列シートのシートバックを前列シートに向けて折畳む方向の前方方向へ移動可能として備えられており、該バックボードに設けられる荷物載置孔の位置は前列シートの左右席間の隙間の後方位置であり、前席シートの着座者が前記左右席間の隙間から手の届く範囲の位置であるのが好ましい。
上記のように、前列シートへの着座者から手の届く範囲の位置にネットを張設した荷物載置孔が設けられていると、前列シートへの着座者は小荷物を持ったまま前列シートに着座して、小荷物を前列シートの左右席間の隙間から後列シートのバックボードに設けた荷物載置孔に載置することが可能となり、小荷物の載置のための取り扱いが容易となる。
【0009】
次に、前述した本発明のバックボードにはその外周部に手提げ袋の手提げ部を引っ掛けることのできるフックが形成されているのが好ましい。なお、フックを設ける位置は前述の荷物載置孔を設ける場合と同様に、前列シートへの着座者から手の届く範囲の位置であるのが好ましい。
この様に、手提げ袋の手提げ部を引っ掛けることのできるフックがバックボードの外周部に設けられていると、手提げ袋をフックに引っ掛けて保持することができる。バックボードの外周部は剛性体で構成されているので、フックを形成することが可能であり、また、手提げ袋の手提げ部を確実に保持することができる。スーパーストアやコンビニエンスストアで買い物をした小荷物は通常手提げ袋に入れて持ち帰る。この手提げ袋の小荷物は、前述したネットを張設した荷物載置孔に載置保持するか、フックに引っ掛けて保持するか、小荷物の大きさや内容等に応じて適宜選択することができる。
【発明の効果】
【0010】
上述した本発明の手段によれば、次の効果が得られる。
先ず、本発明の基本手段によれば、小荷物を荷物載置孔に載置する場合には張設したネットが小荷物の重みで下方に撓んだポケット状の形態となって小荷物が載置保持される。このため、小荷物が自動車等車両の走行中の振動により移動しようとしても、荷物載置孔の内縁に当接して移動が阻止され、小荷物は荷物載置孔のネット上で安定して保持することができる。また、シートバックの背面とバックボードの両方に跨って載置することが必要な大きな堅物の荷物を載置する場合でも、バックボードの荷物載置孔が設けられていない剛性体箇所を利用して載置すれば、大きな荷物でも安定して載置することができる。したがって、大きな荷物や小荷物のいずれに対しても対応することが可能である。
【0011】
なお、前列シートへの着座者から手の届く範囲の位置の後列シートのバックボードにネットを張設した荷物載置孔が設けられている場合には、前列シートへの着座者は小荷物を持ったまま前列シートに着座して、小荷物を前列シートの左右席間の隙間から後列シートのバックボードに設けた荷物載置孔に載置することが可能であり、小荷物の載置のための取り扱いが容易である。
【0012】
また、手提げ袋の手提げ部を引っ掛けることのできるフックがバックボードの外周部に設けられている場合には、手提げ袋をフックに引っ掛けて保持することができる。本発明のフックは剛性体で構成されるので、手提げ袋の手提げ部を確実に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて説明する。
第1実施例を図1〜図3に示す。図1はワンボックス型自動車の室内に配列された車両用シートの斜視図を示す。図2はその側面図を示す。なお、図2は図1の左側の助手席シート側から見た側面図を示す。
この第1実施例の車両用シート10は、前列シート20と後列シート30の前後に配列されている。前列シート20は左右のセパレート型シートとなっており、図1で見て、右側の運転席シート22と左側の助手席シート24からなっている。この運転席シート22と助手席シート24との間にはセンターコンソール(図示せず)が配置されており、運転席シート22と助手席シート24との間には空間26が形成されている。運転席シート22又は助手席シート24に着座した着座者はこの両シート22,24間の空間を通じて小荷物を後列シート30方向に移動させることができるようになっている。
後列シート30も、図1で見て、右側後席シート32と左側後席シート34に左右に分割して形成されているが、両左右後席シート32,34は隣接した状態として、いわゆるベンチシート配置状態として配置されている。なお、後列シート30はいわゆる6:4分割シートして配置されており、シートの幅方向の長さが、車幅方向で見て、左側後席シート34が幅長に形成され、右側後席シート32が幅短に形成されて配置されている。
前列シート20と後列シート30との間には、後列シート30に着座する着座者の脚を置くための空間部36が形成されている。この空間部36位置を小荷物を載置する場所として利用するため、この実施例においては、後列シート30のシートバック32B、34Bの背面に設けたバックボード42,44を空間部36位置まで反転展開させて小荷物の載置場所と設定している。なお、各シート22、24、32,34におけるシートクッションを表す場合には各シートを示す符号22、24、32,34にAの符号を付加して示し、シートバックを表す場合には各シートを示す符号22、24、32,34にBの符号を付加して示すことにした。
【0014】
シート構成を、図2に示される左側後席シート34を代表として説明するに、着座部であるシートクッション34Aと背凭れ部であるシートバック34Bとからなっている。シートバック34Bはシートクッション34Aに対して、図2で見て、左側方向の車両後方位置でリクライニング回動可能に連結構成されており、前方方向へ折り畳み状態に倒すことができる構成となっている。この実施例におけるワンボックス型自動車においては、図1に良く示されるように、後列シート30のシートバック32B、34Bが折り畳まれた状態では、後列シート30の後部位置は荷室空間部38となっていることから、この荷室空間部38が後列シート30の位置まで拡大された広い荷室空間を形成する。
【0015】
図1に示されるように、後列シート30のシートバック32B、34Bの背面に設けられるバックボード42、44は合成樹脂製の剛性体で形成されている。そして、バックボード42、44は、図2で見て、シートバック34B(32B)の上方位置でその上端がヒンジ連結されており、このヒンジ連結部を中心として反転回動してシートバックが折り畳みされた状態でシートバックの折り畳み方向前方位置のシートバック34B(32B)の背面外まで展開される構成とされている。バックボード44(42)がシートバック34B(32B)の背面外まで展開された位置が前述した前列シート20と後列シート30との間の空間部36位置となっている。なお、バックボード44,42は左側後席シート34B及び右側後席シート32Bのそれぞれに備えられている。
図1で見て、バックボード42,44の小荷物を載置する位置には、荷物を載置するための荷物載置孔50,52が穿設されている。この第1実施例では、右側後席シート32及び左側後席シート34に備えられた両バックボード42,44とも、その中央部位置の比較的広い範囲に亘って設けられている。そして、それぞれの荷物載置孔50,52にはネット54,56が張設されており、このネット54,56上に小荷物を載置可能としている。なお、各バックボード42、44は後列シート30のシートバック32B、34Bにのみ支持されて展開移動可能な構成とされている。そのため、バックボード42,44を反転展開させた状態において、このバックボード32B、34Bを支持するために、図2に良く示されるように、バックボード44(42)とシートバック34B(32B)の上端部位置の範囲を一部重複させて安定して支持することができるようにしている。より詳しくは、シートバック34B(32B)の上端に設けられたヘッドレスト46もバックボード44(42)を安定支持するのに機能している。ヘッドレスト46の一部はネット56(54)が張設された荷物載置孔52(50)の位置に達しているが、ヘッドレスト46は着座者の頭部を衝突時に保護するために頭部の位置に対応して設けられるものであり比較的小さいので、荷物載置孔52(50)の小荷物を載置する場所の障害となるものではない。また、逆に、荷物載置孔52(50)はこのヘッドレスト46の位置を避けて設けるのが好ましいものである。
バックボード42,44の荷物載置孔50,52が穿設された以外の部分、この実施例の場合では、バックボード42,44の外周部箇所は合成樹脂製の剛性体で平板状として形成されている。このため、ネット54,56上に小荷物Wを載置した場合には、図3に良く示されるように、小荷物Wの重みでネット56(54)が下方に撓んだポケット状の形態となって、小荷物の移動は荷物載置孔52(50)の内縁xで阻止される構造となる。
【0016】
また、図1に良く示されるように、合成樹脂製の平板状のバックボード42、44の外周部42Y、44Yには、手提げ袋の手提げ部を引っ掛けることのできるフック58a〜58dが形成されている。このフック58a〜58dには、スーパーストアやコンビニエンスストアで買い物をした小荷物を入れた手提げ袋を引っ掛けて保持させることができるように構成されている。なお、フック58a、58bは右側後席シート32のバックボード42の前方辺の両端に設けられており、同様に、フック58c、58dは左側後席シート34のバックボード44の前方辺の両端に設けられている。
【0017】
以上の構成よりなる第1実施例の車両用シート10における荷物の載置について説明する。
先ず、あらかじめ、図1及び図2に示すように、後列シート30のシートバック32B,34Bをシートクッション32A,34Aに対して折り畳み状態に倒して、この状態で、図2に示すように、バックボード44(42)を反転させて、バックボード44(42)を前列シート20と後列シート30との間の空間部36位置に展開させる。これにより、後列シート30の後部位置の荷室空間部38が後列シート30位置まで拡張された状態となり、この荷室空間部38に荷物を載置することができる。
小荷物の載置は、バックボード42,44に穿設された荷物載置孔50、52に載置することにより行われる。図3に示されるように、バック等の小荷物Wを荷物載置孔52(50)に張設されたネット、56(54)に載置すると、小荷物Wの重みにより張設されたネット56(54)は撓んで荷物載置孔52(50)からポケット状の形状となって小荷物Wを載置保持する。ネット56(54)により形成されるポケット状の内部に載置保持された小荷物Wは、自動車の走行中の振動により移動しようとする場合でも、合成樹脂製の剛性体で形成された荷物載置孔52(50)の内縁xに当接して、その移動が阻止されるため、ポケット状内部に安定して保持される。すなわち、小荷物が転がりやすい球形のものであっても、内縁xに当たることにより移動が確実に阻止されるため、ポケット状の内部に確実に載置保持される。
【0018】
なお、手提げ袋に入れられた小荷物は、手提げ袋の手提げ部をバックボード42、44の外周部42Y、44Yに形成したフック58a〜58dに引っ掛けて保持することもできる。小荷物を手提げ袋に入れた場合には、この実施例の場合には、その小荷物の大きさや内容に応じて、荷物載置孔50,52で載置保持するか、フック58a〜58dに引っ掛けて保持するか適宜選択することができる。したがって、スーパーストアやコンビニエンスストアで買い物をした小荷物を手提げ袋に入れた場合には、自動車室内での載置保持が特に便利となる。
【0019】
大きな堅物の荷物を載置する場合は、後列シート30後部の荷室空間部38とシートバック32B、34B上の空間を利用して行う。これらの荷室空間部38の底面は通常は剛性体の平板状となっているが、大きな荷物は通常比較的重いので、自動車の走行中の振動等によっても移動することなく載置される。このため、剛性体の平板上で安定して載置することができる。
なお、大きな堅物の荷物を載置するに当たって、後列シート30のシートバック32B、34Bから前方に展開したバックボード42,44上も利用して載置することが必要な場合には、荷物載置孔50、52が穿設された位置を避けて載置するのが良い。すなわち、大きな荷物をシートバック32B、34B背面の剛性体の平板状箇所とバックボード42,44のネット54、56上で載置するとネット54、56が柔軟性に富んだ材料であることから、大きな荷物を安定して載置することができない。しかし、この第1実施例においては、荷物載置孔50、52が穿設された以外のバックボード42、44の外周部42Y、44Yは合成樹脂の剛性体で平板形状として形成されているので、この剛性体の平板状箇所を利用して大きな荷物の載置を行うことにより安定して載置保持することができる。
【0020】
次に、第2実施例について説明する。第2実施例は、図4及び図5に示されている。図4は第1実施例の図1に対応させて示した斜視図であり、図5は平面図である。この第2実施例において、前述した第1実施例と同じ構成箇所には同一符号を付して示し、詳細構成の説明は省略する。
【0021】
この第2実施例では、バックボード42、44に設けられる荷物載置孔60、62は、前列シート20に着座した着座者が着座した状態で左右席のシート22、24間の隙間26から手を伸ばせば届くことのできる位置に設けられている場合である。すなわち、右側後席シート32及び左側後席シート34に備えられた両バックボード42、44とも、荷物載置孔60、62は前列シート20の左右席のシート22、24間の隙間26の後方位置近辺に設けられており、前列シート20に着座した着座者が着座した状態で手の届く範囲とされている。したがって、この荷物載置孔60、62に張設したネット64、66上に、前列シート20に着座するために小荷物を持って乗込んだ着座者は、その小荷物を前列シート20の左右席のシート22、24間の隙間26から後方の荷物載置孔60、62のネット64、66上に載置保持させることができる。このため、わざわざ後席用に設けられたドアを開閉させて小荷物を載置する必要がなく、載置しようとする小荷物の取り扱いが容易となる。
【0022】
なお、この第2実施例においては、右側後席シート32及び左側後席シート34に備えられた両バックボード42、44とも、前述の荷物載置孔60、62が設けられた前列シート20の左右席のシート22、24間の隙間26の後方位置以外は樹脂製の剛性体の平板状で形成されているので、バックボード42、44の位置にまで亘って載置するような大きな荷物の載置が容易に行うことができる構成となっている。
【0023】
なお、手提げ袋の手提げ部を引っ掛けることのできるフック58a〜58dが設けられている位置は、第1実施例と同じであり、両バックボード42、44とも、その外周部42Y、44Yの前辺の左右両端位置であるが、両バックボード42、44の隣接する位置に設けられた中央よりのフック58b、58cの位置は、荷物載置孔60、62が設けられた位置と同様に、前列シート20に着座した着座者が着座した状態で手の届く範囲の位置となっている。したがって、このフック58b、58cにも手提げ袋の荷物を前列シート20に着座した状態で引っ掛けて保持することができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態の各実施例について説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施可能なものである。
例えば、上記の各実施例では、バックボード42、44は後列シート30のシートバック32、34に設け、前方の前列シート20との空間部36位置に反転させて展開させる場合について説明した。しかし、バックボードを備えさせるシートはそのシートバックをシートクッションに対して折り畳む方向の前後位置に空間部が形成される構成のシート配列構成であれば良く、特に上記実施例のように後席シート30に限定されるものではない。例えば、前列シート20のシートバック24Bにバックボードを設け、このバックボードを前列シート20の後方位置に形成されている空間部36に向けて移動展開する構成とするものであっても良い。
また、バックボード42、44の移動については、上記実施例では反転させて移動させる場合であったが、スライド移動させる構成としても良い。しかし、バックボードを反転させる構成にあっては、小荷物を載置するバックボードの面側が、バックボードをシートバックの背面に収納した状態では裏面状態となって、小荷物を載置した場合等における汚れ等が隠れることになり、見栄え上は有利であるという利点がある。
また、バックボードを反転させる構成がヒンジ構成の場合について説明したが、バックボードが樹脂製の場合には、そのヒンジ構造をインテグラルヒンジとして構成することもできる。
また、バックボード42、44は樹脂製の場合について説明したが、バックボードは剛性体であれば良く、木製ボード合板等であっても良い。
また、各実施例の荷物載置孔に張設するネットの材質も柔軟性に富む材質で、荷物を載置したとき荷物の重みでポケット状に撓むことのできる材質で有れば良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る車両用シートの第1実施例を示す斜視図である。
【図2】同第1実施例の側面図である。
【図3】図1のIII−III線断面における荷物載置孔に小荷物を載置保持した状態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る車両用シートの第2実施例を示す斜視図である。
【図5】同第2実施例の平面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 シート
20 前列シート
22 運転席シート
24 助手席シート
26 空間(左右前列シート間の空間)
30 後列シート
32 右側後列シート
32A 右側後列シートのシートクッション
32B 右側後列シートのシートバック
34 左側後列シート
34A 左側後列シートのシートクッション
34B 左側後列シートのシートバック
36 空間部(前列シートと後列シート間の空間部)
38 荷室空間部
42、44 バックボード
42Y、44Y バックボードの外周部
46 ヘッドレスト
50、52 荷物載置孔
54、56 ネット
58a、58b、58c、58d フック
60、62 荷物載置孔
64、66 ネット
W 小荷物
x 内縁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションに対してシートバックを折畳み状態に倒した状態で、シートバックの背面に移動可能に備えられたバックボードをシートバックの背面外まで移動させて、該バックボードにより荷物を載置可能とした車両用シートであって、
前記バックボードは剛性体として形成されており、シートバックが折畳まれた状態で該シートバックの折畳み方向前方方向又は後方方向へ移動可能としてシートバックに備えられており、該バックボードの荷物を載置する位置の部分には荷物を載置するための荷物載置孔が設けられており、該荷物載置孔にネットが張設されて、該荷物載置孔のネット上に荷物を載置保持することのできることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートであって、
前記荷物載置孔のネット上に荷物を載置保持することのできるバックボードを備えた車両用シートは、前列シートと後列シートとが配列された車両用シートの後列シートとして配置され、該後列シートに備えられるバックボードは該後列シートのシートバックを前列シートに向けて折畳む方向の前方方向へ移動可能として備えられており、該バックボードに設けられる荷物載置孔の位置は前列シートの左右席間の隙間の後方位置であり、前席シートの着座者が前記左右席間の隙間から手の届く範囲の位置であることを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用シートであって、
前記バックボードにはその外周部に手提げ袋の手提げ部を引っ掛けることのできるフックが形成されていることを特徴とする車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−279996(P2009−279996A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131942(P2008−131942)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】