説明

車両用シート

【課題】ヘッドレストの配置位置を使い勝手良く調整する。
【解決手段】ヘッドレスト8が、シートバックに対して昇降可能に取付けられるとともに、シートバックの着座側から突出した突出位置と、突出位置よりも着座側に近接配置した基準位置との間で変位可能である車両用シートにおいて、ヘッドレスト8の位置変位動作と、ヘッドレスト8の昇降動作とを独立して行う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートクッションと、シートバックと、可動型のヘッドレスト(昇降及び前後動可能なヘッドレスト)を備えた車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用シートとして、シートクッションと、シートバックと、ヘッドレストを備えた車両用シートが公知である(特許文献1を参照)。
シートバックは、シートクッションに起立可能に連結する部材であり、一対の側部フレーム(シート骨格をなす部材)と、支持部材と、ガイド部材を有する。
一対の側部フレームは互いに対面配置する平板部材であり、シート側部を構成する。また支持部材とガイド部材は、ともに平板状の部材(略長方形状)である。
公知技術では、支持部材とガイド部材を対面させつつ、それぞれ側部フレームに固定する。このときガイド部材を、一対の側部フレーム(着座側)に橋渡し状に固定するとともに、支持部材を、一対の側部フレーム(後側)に橋渡し状に固定する。
【0003】
またヘッドレストは、一対のステー部材(棒状部材)と、昇降機構と、前後動機構を有する。
昇降機構は、ヘッドレストを昇降させる機構であり、スクリュー部材と、ナット部材を有する。スクリュー部材は、シート上下に延びる棒状部材であり、支持部材とガイド部材の間に配置する。またナット部材は、スクリュー部材に螺合する部材であり、スクリュー部材の回転によりシート上下に相対移動可能である。
また前後動機構は、ヘッドレストを前後させる機構であり、枢支ロットを有する。枢支ロッドは、シート幅方向に延びる棒状部材であり、支持部材に昇降可能に取付けられる。
【0004】
公知技術では、ステー部材一端にヘッドレストを取付けて、ステー部材他端を、支持部材とガイド部材の間に配置する。このときステー部材の中間部を枢支ロッドに回転可能に取付けつつ、ステー部材他端をナット部材に揺動可能に取付ける。
そしてスクリュー部材に沿ってナット部材を上昇させることにより、ヘッドレストを、シートバックに対して上昇させる。このときステー部材は、ガイド部材によってシート前方への傾動が規制される。そしてステー部材の中間部(枢支ロット)を、所定位置(ガイド部材上方)まで上昇させたのち、枢支ロットを回転中心としてステー部材を傾倒させることにより、ヘッドレストを着座側に前進(揺動)させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−253034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこの種の車両用シートでは、乗員の体格(大小等)を考慮して、ヘッドレストの配置位置をこまめに調節(前後動又は昇降)できることが望ましい。
しかし公知技術では、ガイド部材の配置位置を考慮しつつ、ステー部材を所定位置まで上昇させたのち、ヘッドレストを前後動させる構成である(昇降途中で前後動できない構成である)。このため公知技術の構成は、ヘッドレストの配置位置をこまめに調節するには不向きな構成であった(使い勝手にやや欠ける構成であった)。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ヘッドレストの配置位置を使い勝手良く調整することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用シートは、シートクッションと、シートクッションに対して起立可能なシートバックと、シートバックに取付けられるヘッドレストとを有する。
そしてヘッドレストが、シートバックに対して昇降可能に取付けられるとともに、シートバックの着座側から突出した突出位置と、突出位置よりも着座側に近接配置した基準位置との間で変位可能である。この種のシート構成では、ヘッドレストを使い勝手良く位置変位(前後動)及び昇降できることが望ましい。
そこで本発明では、ヘッドレストの位置変位動作と、ヘッドレストの昇降動作とを独立して(個別に)行う構成とすることにより、使い勝手の良いシート構成とした。
【0008】
第2発明の車両用シートは、第1発明の車両用シートであって、上述のヘッドレストが、ヘッドレスト本体と、ヘッドレスト本体を保持する棒状のステー部材と、ステー部材を支持可能な第一ブラケットと、第一ブラケットを支持可能な第二ブラケットを有する。
そこで本発明では、第一ブラケットを、第二ブラケットに対して昇降可能に取付けるとともに、第二ブラケットを、シートバック後面に対してシート前後に揺動可能に取付ける。そして第二ブラケットに対して第一ブラケットを昇降させることにより、ヘッドレスト本体をシートバックに対して昇降させる。
さらにシートバック後面に対して第二ブラケットを、第一ブラケットとともに揺動させることにより(比較的シンプルな動作により)、ヘッドレスト本体を、突出位置と基準位置との間で変位させる構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る第1発明によれば、ヘッドレストの配置位置を使い勝手良く調整することができる。また第2発明によれば、ヘッドレストの配置位置を、更に使い勝手良く調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両用シートの概略透視斜視図である。
【図2】通常時における車両用シートの概略透視側面図である。
【図3】後倒時における車両用シートの概略透視側面図である。
【図4】フレーム部材一部とレール部材とホイールハウスの概略上面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】車両用シートの別角度の概略透視斜視図である。
【図7】別例にかかる車両用シートと壁体の概略透視側面図である。
【図8】車両用シート上部の概略透視側面図である。
【図9】ヘッドレスト一部の斜視図である。
【図10】車両用シート上部の概略透視正面図である。
【図11】ヘッドレスト一部の透視側面図である。
【図12】別例にかかるヘッドレスト一部の透視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図12を参照して説明する。各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付す。
本実施例では、車両用シート2と、台座2aと、各種の車室構造体(壁体3,ホイールハウス5)が車室に配置される(図1〜図5、図7を参照)。台座2aは、車室床面FLに設けた構造体であり、その上部に車両用シート2を固定できる(なお各図では、便宜上、台座を省略することがある)。
また壁体3は、車室床面FLから立設する平板部材であり、車両用シート2の後方に配置する(図7を参照)。
【0012】
[ホイールハウス]
そしてホイールハウス5は、典型的に略半円筒状の構造体である(図4及び図5を参照)。本実施例のホイールハウス5は、車両用シート2の後部側方に隣接配置して、車室側面から車室内に突出する(突出面5aが形成される)。
突出面5aは、車室下部から上部にかけて車室側面に近づく向きに傾斜する。このためホイールハウス5の上面部分は最も幅狭であるとともに、ホイールハウス5の底面部分が最も幅広である。
本実施例では、車両用シート2を台座2a上に配置することで、ホイールハウス5(幅広な底面側)と車両用シート2の干渉を回避できる。
【0013】
[車両用シート]
図1の車両用シート2は、シート構成部材(シートクッション4,シートバック6,ヘッドレスト8)と、レール部材9と、リクライニング装置Rを有する(各部材等の詳細は後述)。
シート構成部材は、各々、シート骨格をなすフレーム部材(4F,6F,8F)と、シート外形をなすクッション材(図示省略)と、クッション材に被覆の表皮材(図示省略)を有する。
【0014】
(レール部材)
レール部材9は、アッパレール9aと、ロアレール9bと、駆動部材9cと、支持台9dを有する(図1、図4、図5を参照)。
アッパレール9aとロアレール9bはともに長尺な板状部材であり、互いに摺動可能に組付けられる。また駆動部材9cは、ロアレール9bに対してアッパレール9aをスライド移動させる部材である。そして支持台9dは、略U字状(断面視)の平板部材であり、駆動機構4r(後述)を取付けることができる。
【0015】
本実施例では、一対のレール部材9を、ホイールハウス5との干渉を避けつつ、台座2a上に配設してシート前後方向に延設する。つぎに駆動部材9cを、一対のアッパレール9aの間に橋渡し状に取付けて、ロアレール9bに対してアッパレール9aをスライド移動可能とする。
そしてシートクッション4をアッパレール9aに取付けることで、車両用シート2が、ロアレール9b上をスライド移動可能となる。またアッパレール9aの後部に支持台9dを取付けて、駆動機構4r(後述)を取付け可能とする。
本実施例では、車両用シート2を、シート幅方向にずらしつつレール部材9に取付けることで、ホイールハウス5との干渉を回避できる(図4及び図5を参照)。
【0016】
そしてシートバック6は、シートクッション4に対して起倒(起立・後倒)可能に連結する部材である(図1〜図3を参照)。
本実施例では、リクライニング装置Rによるシートバック6の起倒動作により、シート上の乗員(図示省略)を、着座姿勢と仰向け姿勢の間で回転変位させる。着座姿勢の乗員は、脚部に対して胴体部が起立した状態となり、仰向け姿勢の乗員は、脚部に対して胴体部が後倒した状態となる。
【0017】
[シートクッション]
シートクッション4は、第一フレーム部材4Fと、第一連結部11と、一対の支持ブラケット20f,20sと、チルト機構30を有する(図1〜図3を参照)。
第一フレーム部材4F(略矩形の枠部材)は、前方部位4aと、一対の側方部位4bと、後方部位4cと、保護部材4dを有する。
前方部位4aは、シート幅方向に延びるパイプ状部位であり、第一フレーム部材4Fの前部を構成する。また後方部位4cは、シート幅方向に延びるパイプ状部位であり、第一フレーム部材4Fの後部を構成する。そして一対の側方部位4bは、ともにシート前後方向に延びるパイプ状部位であり、第一フレーム部材4Fの側部を構成する。
【0018】
また保護部材4dは、略逆U字状(断面視)の平板部材であり、第一フレーム部材4Fの一部に嵌装可能である。本実施例では、側方部位4bの前部(第一連結部11よりも前方)に保護部材4dを取付けることができる。
そして第一連結部11は、支持ブラケット20f,20s(後述)に取付け可能な部位である。本実施例の第一連結部11は、ビス部材BS1を取付け可能な孔部であり、側方部位4b途中に形成されてシート側方に開口する。
なおシートクッション4には、クッション材を支持するバネ部材等(符号省略)の各種の構成を適宜配設できる(図6を参照)。
【0019】
(支持ブラケット)
一対の支持ブラケット20f,20sは、それぞれ平板部材(側面視で略長方形状)である(図1〜図5を参照)。
一方の支持ブラケット20fは、シート幅方向に屈曲することなく、シート前後方向に延びる平板部材である。他方の支持ブラケット20sは、シート幅方向に途中で屈曲変形しつつ、シート前後方向に延びる平板部材である。
そして本実施例の支持ブラケット20f,20sは、各々、突出部位20aと、第一被連結部21と、第二被連結部22を有する。
突出部位20aは、シート上方に突出する部位(側面視で三角形状)であり、支持ブラケット20f(20s)の途中に設けることができる。
また第一被連結部21は、支持ブラケット20f(20s)を厚み方向から貫通する孔部であり、突出部位20aの上部中央に形成できる。
そして第二被連結部22は、リクライニング軸2r(後述)を挿設する部位である。本実施例の第二被連結部22は、支持ブラケット20f(20s)を厚み方向から貫通する孔部(略円形)であり、突出部位20aの頂点部分(第一被連結部21の上方)に形成できる。
【0020】
[シートクッションの配設]
図1〜図5を参照して、一対のアッパレール9aに、それぞれ支持ブラケット20f(20s)を取付けつつ、突出部位20aをシート上方に突設する。
つぎに一対の支持ブラケット20f,20sの間に、ホイールハウス5との干渉を回避しつつ、第一フレーム部材4Fを取付ける。
このとき第一連結部11と第一被連結部21を重ねたのち、両部(孔部)に、ビス部材BS1を回転可能に挿設することにより、側方部位4bの途中を支持ブラケット20f(20s)に取付ける。これにより第一フレーム部材4F(前部側)が、ビス部材BS1(第一連結部11)を回転中心として、支持ブラケット20f(20s)に対してシート上下に揺動可能に取付けられる。
そして第一フレーム部材4Fの前部側にチルト機構30(後述)を取付ける。このチルト機構30により、シートクッション4(前部側)が、ビス部材BS1を回転中心として、上下に揺動することとなる。
ここで本実施例では、第一フレーム部材4Fの上方(着座側)に、突出部位20aの頂点部分(第二被連結部22)が突出配置する。そして突出部位20aの頂点部分(第二被連結部22)は、第一フレーム部材4Fの後部側(乗員尻部に対面する位置)に配置される。
【0021】
(チルト機構)
チルト機構30は、軸材32と、第一連結材34と、第二連結材36と、持上げ装置38を有する(図1〜図3を参照)。軸材32は、シート幅方向に延びる棒状部材であり、持上げ装置38(後述)により、シート上下に昇降可能である。
また本実施例では、軸材32を、シートクッション4の前部両側に橋渡し状に配置する。そして第一連結材34(後述)にて、第一フレーム部材4Fを軸材32に連結するとともに、第二連結材36(後述)にて、支持ブラケット20f(20s)を軸材32に連結する。
【0022】
第一連結材34は、シート幅方向に延びる平板部材であり、固定部位34aと、一対の脚部位34bを有する(図1〜図3を参照)。
固定部位34aは、第一フレーム部材4Fに固定される部位であり、第一連結材34の両端をクランク状に屈曲させて形成できる。
また一対の脚部位34bは、それぞれ第一連結材34から突設する平板部位であり、第一連結材34の下部に所定間隔をあけて対面配置される。各脚部位34bには孔部(貫通孔)が形成されており、軸材32を回転可能に挿入できる。
本実施例では、第一連結材34を、第一フレーム部材4Fの前部側に橋渡し状に配置する。そして一対の脚部位34b(孔部)に軸材32を挿入しつつ、第一連結材34の両端(クランク状)を保護部材4dに固定することで、第一フレーム部材4F(前部)と軸材32を連結できる。
【0023】
第二連結材36は、複数のリンク(第一リンク36f、第二リンク36s、第三リンク36t)を有する(図2及び図3を参照)。
第一リンク36fは、クランク状(側面視)の平板部材であり、第二リンク36sと第三リンク36tは、直線状(短尺)の平板部材である。
本実施例では、第一リンク36f一側を支持ブラケット20f(20s)前端に取付けつつ、第一リンク36f他側をシート前方に延設する。つぎに第一リンク36f他側に第二リンク36s一側を取付けつつ、第二リンク36s他側をシート上方に突設する。つぎに第二リンク36s他側に、第三リンク36t一側を回転可能に取付ける。そして第三リンク36t他側を、軸材32の端部に回転可能に取付けることで、支持ブラケット20f(20s)と軸材32を連結できる。
そして第三リンク36t他側(軸材32)が、第二リンク36s他側を回転中心とした起倒動作を行うことで、シート上下に揺動可能となる。
【0024】
持上げ装置38は、第一モータ部M1と、第一可動部38aと、接続部38bを有する(図2及び図3を参照)。
第一モータ部M1は、スイッチ部(図示省略)を操作することで、ON/OFFや正転・逆転の切替えが可能である。本実施例では、第一モータ部M1を、リクライニング装置Rのモータ部材12r(後述)と連動して駆動できる。
また第一可動部38aは、円筒状の棒状部材であり、第一モータ部M1の駆動により、シート前後方向に進退可能である。そして接続部38b(平板部材)は孔部(貫通孔)を有し、軸材32を回転可能に挿入できる。
【0025】
本実施例では、持上げ装置38を、保持部材38cを介して第一フレーム部材4Fに取付けて、第一可動部38aを、シート前後に(軸材32の回転軌跡に重なるように)進退可能に配置する。つぎに接続部38bに軸材32を挿入しつつ、第一可動部38aの先端を接続部38bに取付ける。
そして第一可動部38aを短縮状態として、第三リンク36t他側(軸材32)を後傾させることにより、第一フレーム部材4Fをシート下方に配置させる。つぎに第一可動部38aを伸長して、第三リンク36t他側(軸材32)を起立させることにより、第一フレーム部材4F(前部側)をシート上方に上昇させることができる。
【0026】
[シートバック]
シートバック6は、第二フレーム部材6Fと、第二連結部12と、複数の支持フレーム41,42を有する(図1〜図3を参照)。
第二フレーム部材6F(アーチ状の枠部材)は、上部フレーム6aと、一対の側部フレーム6bを有する。上部フレーム6aは、シート上部をなす部材(正面視で略逆U字状)である。また一対の側部フレーム6bは、それぞれシート側部をなす平板部材であり、上部フレーム6aの下端に取付けられる。
なおシートバック6には、クッション材を支持する板部材等(符号省略)の各種の構成を適宜配設できる(図8を参照)。
【0027】
そして第二連結部12は、第二フレーム部材6Fを支持ブラケット20f(20s)に取付ける部位である。
本実施例の第二連結部12は、側部フレーム6b下部からシート前方に向けて(シートクッション4の後部側に向かって)延びる平板部位であり、挿入孔12Hを有する。挿入孔12Hは、リクライニング軸2rを回転可能に挿設する孔部(貫通孔)であり、第二連結部12の端部に形成できる。
また第二連結部12は、上方視で略クランク状をなしており、第二被連結部22の外側に重ね合わせることができる。
【0028】
(支持フレーム)
複数の支持フレーム(第一支持フレーム41,第二支持フレーム42)は、いずれも平板状の部材(略長方形状)である(図1〜図3、図6を参照)。
第一支持フレーム41は、一対の第一取付け部43fを有する。一対の第一取付け部43fは、それぞれ第一支持フレーム41後面から突出する平板部材であり、厚み方向に貫通する孔部を有する。
本実施例では、第一支持フレーム41を、上部フレーム6a(自由端)の上部側に橋渡し状に取付ける。このとき一対の第一取付け部43fをシート後面に突出配置して、孔部の開口をシート幅方向に向ける。
【0029】
第二支持フレーム42は、第二取付け部43sと、第三取付け部43tを有する。
第二取付け部43sは、第二支持フレーム42から突出する平板部材であり、厚み方向に貫通する孔部を有する。本実施例では、一対の第二支持フレーム42を、上部フレーム6a(自由端)の下部側に橋渡し状に取付ける。このとき一対の第二取付け部43sをシート後面に突出配置して、孔部の開口をシート幅方向に向ける。
そして第三取付け部43tは、第二支持フレーム42からシート上方に向かって突出する平板部位であり、上部側が略逆L字状に屈曲する。
【0030】
[リクライニング装置]
本実施例のリクライニング装置Rは、リクライニング軸2rと、駆動機構4rと、リンク機構20rを有する(図2、図3を参照)。
リクライニング軸2rは、シート幅方向に延びる部材(短筒状)であり、シートクッション4に対するシートバック6の起倒時の回転中心となる(図5を参照)。
また駆動機構4rは、リクライニング軸2r周りにシートバック6を起倒させる部材である。本実施例では、一対の駆動機構4rを、それぞれシートバック6後方に配設しつつ、各駆動機構4rの駆動力を、リンク機構20rを介してシートバック6に伝達する(図6を参照)。
【0031】
(駆動機構)
駆動機構4r(略円形の筺体)は、軸部材10rと、内部機構11rと、モータ部材12rを有する(図2、図3及び図6を参照)。
軸部材10rは、シート幅方向に延びる棒状部材であり、モータ部材12rの駆動力により軸周りに回転可能である。
また内部機構11rは、軸部材10rを回転させる機構であり、典型的に内歯部材と外歯部材を有する(図6を参照)。
内歯部材(符号省略)は、円盤形状の部材(径大)であり、複数の内歯と、リクライニング軸2rを挿入可能な中心孔を有する。複数の内歯は、内歯部材の内周面に形成された凹凸部であり、中心孔に向かって突出する。
また外歯部材(符号省略)は、円盤形状の部材(径小)であり、複数の外歯と、リクライニング軸2rを挿設可能な中心孔を有する。複数の外歯は、内歯に噛合可能な凹凸部であり、外歯部材の外周面(内歯に対面可能な位置)に形成できる。
本実施例では、複数の外歯を、複数の内歯の少なくとも一部に噛合せつつ、内歯部材内に外歯部材を嵌合わせる。つぎに軸部材10rを、内歯部材(中心孔)に回転可能に挿入するとともに、外歯部材(中心孔)に回転不能に挿設する。
そしてモータ部材12rにより軸部材10rを回転させることで、外歯部材を介して、内歯部材を、軸部材10rの軸線周りに回転させる構成とする。
【0032】
(リンク機構)
リンク機構20rは、駆動機構4rの駆動力をシートバック6に伝達する機構である。本実施例のリンク機構20rは、第一リンクアーム21rと、第二リンクアーム22rと、補強部材23rを有する(図1〜図3を参照)。
第一リンクアーム21rは、線状のパイプ部材(正面視で略逆U字状)であり、シート上下に延びる部分と、シート幅方向に延びる部分を有する。第一リンクアーム21r(シート上下に延びる部分)の途中には孔部が形成されており、ボルト部材BMを挿設することができる。
また第二リンクアーム22rは、線状の平板部材(側面視で略長方形状)である。第二リンクアーム22rの両端には孔部が形成されており、ボルト部材BMを挿設することができる。
そして補強部材23rは、略十字状(正面視)の平板部材であり、第一リンクアーム21rの上部に取付けることができる。
【0033】
ここで本実施例では、第二リンクアーム22rを、クランク状(上方視)に屈曲させることができる(図6を参照)。
このように第二リンクアーム22rを途中からシート内方に向かって屈曲変形させることで(スマート化することで)、各種の車室構造体と第二リンクアーム22rの干渉を回避できる。
【0034】
[シートバックとリクライニング装置の配設]
図1〜図3及び図6を参照して、シートバック6の下部両側を、それぞれ支持ブラケット20f,20sに取付ける。
このとき第二連結部12(挿入孔12H)を第二被連結部22に重ね合わせつつ、両部(孔部)にリクライニング軸2rを相対回転可能に挿入する。これによりシートバック6が、リクライニング軸2r(挿入孔12H)を回転中心として、支持ブラケット20f(20s)に対して回転可能に取付けられる。
ここで本実施例では、第二被連結部22が、第一フレーム部材4Fの後部側(乗員尻部に対面する位置)に配置する。このためリクライニング軸2rが、乗員の尻部(好ましくは坐骨結節)の直下に配置して、シートバック6下部(側部フレーム6bの下部)よりも乗員の回転中心に近接配置する。
そして駆動機構4rを、支持台9d(レール部材9の後部であってリクライニング軸2rの配設位置とは異なる位置)に取付けて、シートバック6後方に配置する。
【0035】
そしてリンク機構20rにより、駆動機構4rの駆動力をシートバック6に伝達可能とする(図2及び図3を参照)。
本実施例では、第一リンクアーム21rを、駆動機構4r(内歯部材)の周面に取付けて、軸部材10rの軸線周りに固定する。こうすることで軸部材10rの回転により、第一リンクアーム21rが軸部材10rの軸線周りに起倒できる。
つぎに第一リンクアーム21r途中を第二リンクアーム22r一端に重ねつつ、両部材(孔部)にボルト部材BMを回転可能に挿設する。そして第二リンクアーム22rの他端を第二取付け部43sに重ねて、両部材(孔部)にボルト部材BMを回転可能に挿設する。こうすることで第二リンクアーム22rを介して、第一リンクアーム21rとシートバック6の後面を連結する。
本実施例では、リクライニング軸2rと軸部材10rが固定点とされて、シートバック6とリンク機構20rが四節リンク状(両てこ機構状)に連結される。そして第一リンクアーム21rを、軸部材10rを回転中心として起倒させることにより(揺動角度θ1)、第二リンクアーム22rを介して、シートバック6を、リクライニング軸2rを回転中心として起倒できる(揺動角度θ2)。
【0036】
[シートバックの起倒動作]
図2を参照して、第一リンクアーム21rを起立させて、シートバック6を起立状態とすることにより、乗員を着座姿勢で保持する。
つぎに図3を参照して、第一リンクアーム21rを後倒(揺動)させて、第一リンクアーム21rと第二リンクアーム22rを内折しつつ、シートバック6を後倒状態とする。このときチルト機構30を同時に駆動させてシートクッション4(前部)をシート上方に上昇させる。これにより乗員を、着座姿勢から仰向け姿勢にスムーズに変位させることができる。
【0037】
ところで典型的な乗員は、尻部(より具体的には座骨結節)を回転中心として、着座姿勢から仰向け姿勢となる。このときシートバック6の回転軌跡と乗員の回転軌跡の間に極端なズレが発生すると、シートバック6起倒動作時において、シートバック6と乗員が相対移動することにより、乗員の着衣が捲れ上がることがあった。
このため上述のシート構成では、乗員の回転軌跡を考慮しつつ、シートクッション4に対してシートバック6を性能良く回転できることが望ましい。
そこで本実施例では、上述のリクライニング軸2rを、乗員尻部の直下に配置して、シートバック6下部よりも乗員の回転中心に近接させた。
より具体的には、リクライニング軸2rを、シートクッション4の後部(シートバック6の前方)に配置して、乗員尻部に対面可能な位置に配置した。これによりリクライニング軸2rが、シートバック6下部(側部フレーム6bの下部)よりも乗員の回転中心に近接配置する。
このため本実施例によれば、シートバック6の回転軌跡と、乗員の回転軌跡のズレが極力是正されて、起倒動作時におけるシートバック6と乗員の相対移動を好適に阻止できる(シート性能に優れる構成となる)。
【0038】
[変形例]
本変形例の基本構成は、実施例の基本構成と同一であるため、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本変形例では、駆動機構4rを、壁体3(リクライニング軸2rの配設位置とは異なる位置)に取付けて、シートバック6後方に配置する(図7を参照)。そしてリンク機構20rにより、駆動機構4rの駆動力をシートバック6に伝達する構成とした。
本変形例によると、駆動機構4r(比較的大型の部材)をレール部材9に配設しないため、車両用シート2の構成を簡略化できる。
【0039】
[ヘッドレスト]
ヘッドレスト8は、シートバック6上部に配設される部材であり、本体部8a(ヘッドレスト本体)と、ステー部材8bと、第一ブラケット50と、第二ブラケット60を有する(図2、図3、図8を参照)。
本体部8aは、略矩形の部材であり、第三フレーム部材8Fを有する。第三フレーム部材8Fは、平板状の部材であり、クッション材を着座側に配設できる。
またステー部材8bは、略逆L字状(側面視)の棒状部材である。本実施例では、一対のステー部材8bにより、本体部8aを支持することができる。
【0040】
そして本実施例のヘッドレスト8(本体部8a)は、シートバック6に対して昇降可能に取付けられるとともに、突出位置と基準位置の間で変位可能(前後動可能)である(図8、図10、図11を参照)。
突出位置のヘッドレスト8は、シートバック6の着座側から突出配置し、基準位置のヘッドレスト8は、突出位置よりもシートバック6の着座側に近接配置する(図8を参照)。
この種のシート構成では、乗員の体格(大小等)を考慮して、ヘッドレスト8を使い勝手良く位置変位(前後動)及び昇降できることが望ましい。
そこで本実施例では、後述の構成によって、ヘッドレスト8の位置変位動作と、ヘッドレスト8の昇降動作を独立して行うこととした。
【0041】
(第一ブラケット)
第一ブラケット50は、ステー部材8bを支持する部材である(図8〜図10を参照)。本実施例の第一ブラケット50は、第一部材51及び第二部材52(本体部分)と、サポート部材54と、第一スライド部56と、突設軸部58を有する。
第一部材51と第二部材52は、ともに略十字状(正面視)の平板部材であり、シート幅方向に延びる部分と、シート上下に延びる部分を有する(図10を参照)。
第一部材51と第二部材52は、シート上下に延びる部分が略L字状(側面視)をなしており、シート後面側に垂直に屈曲する。
本実施例では、第一部材51と第二部材52を対面配置しつつ、互いのシート上下に延びる部分を重ね合わせて固定する(連結する)ことにより、第一ブラケット50(本体部分)を形成する。
【0042】
サポート部材54は、ステー部材8bを挿入可能な筒状部材(両端開放状)である。本実施例では、第一部材51の両側に、それぞれサポート部材54を取付けて、シート上下方向からステー部材8bを挿入可能とする。
また第一スライド部56は、シート上下に延びる平板部位(側面視で略長方形状)である。本実施例の第一スライド部56は、第二部材52両側の屈曲部分であり、シート後面に突設される。各第一スライド部56には、ビス部材SB2を突設可能な孔部が形成される。
そして突設軸部58は、第一部材51の中央に突出するボルト状の部位であり、第二ブラケット60(後述)に連結できる。
【0043】
(第二ブラケット)
第二ブラケット60は、第一ブラケット50を昇降可能に支持する部材である(図8〜図11を参照)。本実施例の第二ブラケット60は、略長方形状(正面視)の構造体であり、回転軸部62と、第二スライド部64と、第一アーム部66と、第二アーム部68と、揺動機構70と、昇降機構80を有する。
回転軸部62は、シート幅方向に長尺な棒状部材であり、後述するようにシートバック6後面に配置できる。
また第二スライド部64は、シート上下に延びる平板部位(側面視で略長方形状)であり、シート上下に長尺な長孔64Hを有する。本実施例では、第二ブラケット60の両側に、それぞれ第二スライド部64を対面状に形成して、それぞれの長孔64Hを、シート幅方向に開口した状態とする。このとき一対の第二スライド部64の離間寸法(クリアランス)を適宜調節して、一対の第一スライド部56を内部に収納可能とする。
【0044】
第一アーム部66は、第二スライド部64の下部からシート前方に延びる部位である。本実施例の第一アーム部66は、略U字状(上方視)の平板部位であり、シート幅方向に直線状に延びる基部66aと、基部66aからシート前後方向に屈曲する連結部66bを有する。
そして本実施例では、第二スライド部64の下部両側に、それぞれ連結部66bを連結しつつ、第一アーム部66(基部66a)をシート前方に向けて突設する。
【0045】
また第二アーム部68は、第二スライド部64の上部からシート前方に延びる部位である。本実施例の第二アーム部68は、略逆J字状(側面視)の部位であり、シート下方に向けて傾斜状に延びる。第二アーム部68先端には孔部(貫通孔)が形成されており、シート幅方向に開口する。
本実施例では、第二スライド部64の上部両側に、それぞれ第二アーム部68を形成する。このとき第二アーム部68を、各第二スライド部64からシート幅方向に延ばしたのち、シート下方に向かって屈曲させる(略逆J字状に屈曲させる)。
そして第二アーム部68を、回転軸部62(後述)を介して、シートバック6後面に回転可能に取付ける。
【0046】
(揺動機構)
揺動機構70は、第二モータ部M2と、第二可動部72を有する(図8を参照)。
第二モータ部M2は、スイッチ部(図示省略)を操作することで、ON/OFFや正転・逆転の切替えが可能である。
第二可動部72は、シート前後に延びる棒状部材であり、第二モータ部M2によって、シート前後に進退できる。
本実施例では、第三取付け部43t(第二フレーム部材6F)に揺動機構70を取付けて、後述するように第二ブラケット60をシート前後に揺動させる。
【0047】
(昇降機構)
昇降機構80は、第三モータ部M3と、第三可動部83と、固定部84と、連動部86を有する(図9及び図10を参照)。
第三モータ部M3は、スイッチ部(図示省略)を操作することで、ON/OFFや正転・逆転の切替えが可能である。そして本実施例では、第二モータ部M2と第三モータ部M3を個別に駆動できる。
第三可動部83は、シート上下に延びる棒状部材であり、第三モータ部M3によって、シート上下に昇降できる。また固定部84は、第二ブラケット60に昇降機構80を固定する部位(上方視で略L字状)であり、第二ブラケット60側方から突出配置する。
【0048】
そして連動部86は、第一ブラケット50と第二ブラケット60を連結する平板部材(略長方形状)であり、複数の貫通孔(第一孔H1、第二孔H2、第三孔H3)を有する。
第一孔H1は、連動部86一端の貫通孔である。また第二孔H2は、連動部86途中(第一孔H1寄り)の貫通孔である。そして第三孔H3は、連動部86他端の貫通孔であり、連動部86の長尺方向に延びる長孔である。
本実施例では、第二ブラケット60に、固定部84を介して揺動機構70を取付けつつ、第三可動部83を昇降可能に配置する。
【0049】
[ヘッドレストの取付け作業]
図8を参照して、ヘッドレスト8をシートバック6上部に取付ける。このとき本体部8a(第三フレーム部材8F)をシートバック6の着座側に配置しつつ、ステー部材8b一端を第三フレーム部材8Fの裏面に固定する。
そしてステー部材8b他端をシート下方に向けつつ、シートバック6後面側に配置して、第一ブラケット50を介して第二ブラケット60に取付ける。
【0050】
また図8を参照して、第二ブラケット60をシートバック6に取付ける。本実施例では、シートバック6後面側に第二ブラケット60を配置して、第二取付け部43sと第二アーム部68を重ね合わせる。そして両部(孔部)に回転軸部62を回転可能に挿入することにより、シートバック6後面に対して第二ブラケット60を回転可能に取付けることができる。
つぎに第三取付け部43tに揺動機構70を取付けて、第二可動部72の先端を第一アーム部66(裏面側)に取付ける。
そして第二可動部72を短縮して、第二ブラケット60の下部をシート後方に引き寄せることにより、回転軸部62を回転中心として、第二ブラケット60の上部をシート前方に揺動できる。
また第二可動部72を伸長して、第二ブラケット60の下部をシート前方に押し出すことにより、回転軸部62を回転中心として、第二ブラケット60の上部をシート後方に揺動できる。
【0051】
そして図9を参照して、サポート部材54にステー部材8bを取付けつつ、第一ブラケット50を第二ブラケット60に取付ける。
このとき本実施例では、第一ブラケット50を、第二ブラケット60内に配置しつつ、第一スライド部56と第二スライド部64を対面配置する。そして複数のビス部材BS2を、長孔64Hに摺動可能に挿入しつつ第一スライド部56に突設する。こうすることで第二ブラケット60に対して第一ブラケット50を昇降可能に取付けることができる。
【0052】
つぎに連動部86の一端(第一孔H1)にボルトB1を取付けつつ、第三可動部83の上端に回転可能に取付ける。また連動部86の他端(第三孔H3)に、突設軸部58を摺動可能に挿入する。そして連動部86途中(第二孔H2)にボルトB2を取付けつつ、第二ブラケット60に回転可能に取付ける。
そして図10及び図11を参照して、第三可動部83を短縮して、連動部86一端をシート下方に下降させる。これによりボルトB2(第二孔H2)を回転中心として、連動部86他端(第一ブラケット50)がシート上方に上昇する。
また第三可動部83を伸長状態として、連動部86一端をシート上方に上昇させる。これによりボルトB2(第二孔H2)を回転中心として、連動部86他端(第一ブラケット50)がシート下方に下降する。
【0053】
[ヘッドレストの作動]
図10及び図11を参照して、昇降機構80を作動させて、第二ブラケット60に対して第一ブラケット50を昇降させることにより、シートバック6に対してヘッドレスト8(本体部8a)を昇降させる。
つぎに図8を参照して、揺動機構70を作動させて、第二ブラケット60を、第一ブラケット50とともにシート前後に揺動させることで、ヘッドレスト8(本体部8a)を、突出位置と基準位置との間で変位させる。
そして本実施例では、第二モータ部M2と第三モータ部M3が個別に駆動可能である。このため昇降機構80と揺動機構70を個別に作動させることにより、ヘッドレスト8の位置変位動作と、ヘッドレスト8の昇降動作とを独立して行うことができる。
【0054】
以上説明したとおり本実施例では、ヘッドレスト8の位置変位動作と、ヘッドレスト8の昇降動作とを独立して行う。このため本実施例によれば、乗員の体格(大小等)を考慮して、ヘッドレスト8の位置をこまめに調節(前後動又は昇降)できる。
また本実施例では、シートバック6後面に対する第二ブラケット60の揺動動作(比較的シンプルな動作)により、ヘッドレスト8を、突出位置と基準位置との間で変位(前後動)できる。
そして本実施例では、回転軸部62(ヘッドレスト8の揺動中心)をシートバック6後面に配置したため、シートバック6の着座側のスペースを有効利用できる。
このため本実施例によれば、ヘッドレスト8の配置位置を使い勝手良く調整することができる。
【0055】
また本実施例では、シートバック6の回転軌跡と、乗員の回転軌跡との間のズレを極力是正できる。
また本実施例では、支持ブラケット20f,20s(リクライニング軸2rの配設箇所)において、駆動機構4rの配設スペースを省略できる。これによりシート構成がスリム化されて、各種の車両構造体との干渉を極力回避できる。また支持ブラケット20f(20s)に、シートクッション4の連結構成(第一連結部11,第一被連結部21,ビス部材BS1)を配設するためのスペースを確保できる。また同構成によれば、駆動機構4rが原因の異物感の発生を極力防止できる(着座性に優れるシート構成となる)。
そして本実施例では、駆動機構4rの駆動力を、リンク機構20r(比較的コンパクトな構成)を介してシートバック6に伝達できる。
よって本実施例によれば、シートクッション4に対してシートバック6を性能良く回転させることができる。
【0056】
[変形例]
本変形例の基本構成は、実施例の基本構成と同一であるため、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本変形例の回転軸部62は、シート幅方向に長尺な棒状部材であり、ポール部材63を有する(図12を参照)。
ポール部材63は、平板状の部材であり、複数の外歯部63Gを有する。ポール部材63一側には孔部(貫通孔)が形成されており、回転軸部62を挿設して固定することができる。また複数の外歯部63G(凹凸)は、ポール部材63の他端(円弧形状)に設けられており、歯車部材65(後述)に噛合い可能である。
【0057】
揺動機構70a(略円形の箱体)は、第四モータ部M4と、歯車部材65を有する。
第四モータ部M4は、スイッチ部(図示省略)を操作することで、ON/OFFや正転・逆転の切替えが可能である。また歯車部材65は、第四モータ部M4の軸部に回転可能に連結して、揺動機構70aの側方に露出する。そして本実施例では、第三モータ部M3と第四モータ部M4が個別に駆動可能である。
【0058】
本実施例では、揺動機構70aを、第三取付け部43tに配置しつつ、歯車部材65をシート幅方向に突出配置させる。
またシートバック6後面側に第二ブラケット60を配置して、第二取付け部43sと第二アーム部68を重ね合わせる。そして両部(孔部)に回転軸部62を回転可能に挿入する。
このとき本実施例では、第二アーム部68と回転軸部62を固定するとともに、回転軸部62にポール部材63を固定する。そして複数の外歯部63Gをシート下方(揺動機構70aを臨む側)に向けつつ歯車部材65に噛合せる。
こうすることで歯車部材65の回転により、ポール部材63と第二アーム部68が、回転軸部62を回転中心としてシート前後に回転(揺動)可能となる。
【0059】
そして歯車部材65を回転(図12で時計周りに回転)させて、ポール部材63をシート後方に移動する。これにより第二アーム部68(第二ブラケット60上部)が、回転軸部62を回転中心としてシート前方に揺動することにより、ヘッドレスト8が突出位置に配置する。
また歯車部材65を逆回転(図12で反時計周りに回転)させて、ポール部材63をシート前方に移動する。これにより第二アーム部68(第二ブラケット60上部)が、回転軸部62を回転中心としてシート後方に揺動することにより、ヘッドレスト8が基準位置に配置する。
このとき本実施例では、第四モータ部M4を、第三モータ部M3とは個別に駆動可能である。このため上述の揺動機構70aを、昇降機構80とは個別に作動させることにより、ヘッドレスト8の位置変位動作を、ヘッドレスト8の昇降動作から独立して行うことができる。
よって本実施例によれば、ヘッドレスト8を使い勝手良く前後動及び昇降させることができる。
【0060】
本実施形態の車両用シート2は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、昇降機構80として、第三可動部83の昇降動作によりヘッドレスト8を昇降させる構成を例示したが、昇降機構の構成を限定する趣旨ではない。例えば昇降機構として、ヘッドレストの変形例の機構(歯車部材,ポール部材)にてヘッドレストを昇降させる構成を採用することができる。
(2)またステー部材は、略L字状のほか、略I字状や湾曲形状等の各種の形状をとることができる。
【0061】
(3)また本実施形態では、駆動機構4rを、リクライニング軸2rの配設位置とは異なる位置(レール部材9の後部、壁体3)に取付ける例を説明した。これとは異なり駆動機構を、リクライニング軸と同位置に取付けることもできる。
(4)また本実施形態では、駆動機構4rの駆動力を、線状のリンクアーム21r,22rを介してシートバックに伝達する例を説明した。これとは異なり駆動機構の駆動力を、例えばヘッドレストの変形例の機構(歯車部材,ポール部材)にてシートバックに伝達することができる。
(5)また本実施形態では、シートクッションにチルト機構やレール部材を設けたが、チルト機構やレール部材は省略することができる。
(6)また本実施形態では、リクライニング軸をシートバック下部に配設することもできる。
【符号の説明】
【0062】
2 車両用シート
3 壁体
4 シートクッション
5 ホイールハウス
6 シートバック
8 ヘッドレスト
9 レール部材
4F 第一フレーム部材
6F 第二フレーム部材
8F 第三フレーム部材
8a 本体部
8b ステー部材
11 第一連結部
12 第二連結部
12H 挿入孔
20f,20s 支持ブラケット
20a 突出部位
21 第一被連結部
22 第二被連結部
30 チルト機構
41 第一支持フレーム
42 第二支持フレーム
43f 第一取付け部
43s 第二取付け部
43t 第三取付け部
50 第一ブラケット
51 第一部材
52 第二部材
54 サポート部材
56 第一スライド部
58 突設軸部
60 第二ブラケット
62 回転軸部
64 第二スライド部
64H 長孔
66 第一アーム部
68 第二アーム部
70 揺動機構
72 第二可動部
80 昇降機構
83 第三可動部
84 固定部
86 連動部
BM ボルト部材
BS1 ビス部材
BS2 ビス部材
R リクライニング装置
2r リクライニング軸
4r 駆動機構
10r 軸部材
11r 内部機構
12r モータ部材
20r リンク機構
21r 第一リンクアーム
22r 第二リンクアーム
23r 補強部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、前記シートクッションに対して起立可能なシートバックと、前記シートバックに取付けられるヘッドレストとを有するとともに、
前記ヘッドレストが、前記シートバックに対して昇降可能に取付けられるとともに、前記シートバックの着座側から突出した突出位置と、前記突出位置よりも前記着座側に近接配置した基準位置との間で変位可能である車両用シートにおいて、
前記ヘッドレストの位置変位動作と、前記ヘッドレストの昇降動作とを独立して行う構成とした車両用シート。
【請求項2】
前記ヘッドレストが、ヘッドレスト本体と、前記ヘッドレスト本体を保持する棒状のステー部材と、前記ステー部材を支持可能な第一ブラケットと、前記第一ブラケットを支持可能な第二ブラケットを有し、
前記第一ブラケットを、前記第二ブラケットに対して昇降可能に取付けるとともに、前記第二ブラケットを、前記シートバック後面に対してシート前後に揺動可能に取付け、
前記第二ブラケットに対して前記第一ブラケットを昇降させることにより、前記ヘッドレスト本体を前記シートバックに対して昇降させるとともに、
前記シートバック後面に対して前記第二ブラケットを、第一ブラケットとともに揺動させることにより、前記ヘッドレスト本体を、前記突出位置と前記基準位置との間で変位させる構成とした請求項1に記載の車両用シート。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−240612(P2012−240612A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114877(P2011−114877)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】