説明

車両用バンパフェース取付構造

【課題】ホイールアーチとタイヤとの干渉を避けることを可能にするとともに、バンパフェースとフロントフェンダとの結合強度の向上を図ることを可能にする。
【解決手段】バンパフェース21とフロントフェンダ22とを連結するバンパスペーサ23と、を備えた車両用バンパフェース取付構造において、バンパフェース21とフロントフェンダ22とで、車体11を側方から見たときに見切り線25が構成され、フロントフェンダ22は、見切り線25から車幅内方に延ばされ、その先端から延ばされたフェンダ側延長部55が設けられ、フェンダ側延長部55にバンパスペーサ23が設けられ、バンパスペーサ23は、バンパスペーサ23とバンパフェース21とを連結する係止爪63と、係止爪63が外れる方向に撓むことを防止する支持部材64と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンパフェースとフロントフェンダとの見切り部に設けられ、バンパフェースとフロントフェンダとを連結するバンパスペーサを備える車両用バンパフェース取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用バンパフェース取付構造は、車体の前方にバンパフェースが設けられ、車体の側方前部にフロントフェンダが設けられ、バンパフェースとフロントフェンダとを連結するバンパスペーサが設けられる。
バンパスペーサは、フロントフェンダに取付けられ、バンパスペーサにバンパフェースが嵌合する係止爪が設けられ、バンパフェースのフランジに係合孔が設けられ、係止孔に係合爪を嵌合させたものである。
【0003】
この車両用バンパフェース取付構造によれば、フロントフェンダにバンパフェースを容易に結合することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、車両用バンパフェース取付構造には、フロントフェンダにガイドブラケット(バンパスペーサ)を取付け、ガイドブラケットに係止爪が形成され、バンパフェースに係止孔が形成され、バンパフェースの係止孔にガイドブラケットの係止爪を嵌合し、バンパフェース及びガイドブラケットの合わせられるそれぞれのフランジ(端面)からクリップ(支持部材)を係止爪に取付けたものである。これにより、係止爪が係止孔から外れることを防止する。
【0005】
この車両用バンパフェース取付構造によれば、係止爪の係止孔に対する結合強度の向上を図ることが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4053522号公報
【特許文献2】特開2005−170077公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の車両用バンパフェース取付構造では、係止爪を係合孔にが嵌合させることで、フロントフェンダにバンパスペーサを介してバンパフェースが取付けられる。そのため、バンパフェースに作用する外力の方向や外力の大きさにより、係合孔から係止爪が外れることがある。
【0008】
特許文献2の車両用バンパフェース取付構造では、バンパフェース及びガイドブラケット(バンパスペーサ)の合わせられたフランジ(端面)に係止爪が係止孔から外れることを防止するクリップを設けている。
例えば、フランジ(端面)が、ホイールアーチ部の車幅内方に延ばされるフランジの場合に、インチサイズの大きいタイヤ、若しくは太いタイヤを装着可能とするためには、フランジ幅は極力狭く設定することが好ましい。これにより、ホイールアーチ部とタイヤとの干渉を避けることができる。しかし、フランジ幅を狭くすると、係止爪が係止孔から外れることを防止するクリップやねじなどを、フランジ面に設けることができなくなる。
【0009】
本発明は、ホイールアーチ部とタイヤとの干渉を避けることができるとともに、バンパフェースとフロントフェンダとの結合強度の向上を図ることができる車両用バンパフェース取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、車体の前方に設けられるバンパフェースと、車体の側方前部に設けられるフロントフェンダと、これらのバンパフェースとフロントフェンダとを連結するバンパスペーサと、を備えた車両用バンパフェース取付構造において、バンパフェースとフロントフェンダとで、車体を側方から見たときに見切り線が構成されるとともに、バンパフェースに設けられるバンパ側フランジと、フロントフェンダに設けられるフェンダ側フランジとで、タイヤを覆うホイールアーチ部が構成され、フロントフェンダは、見切り線から車幅内方に延ばされ、その先端から延ばされたフェンダ側延長部が設けられ、フェンダ側延長部にバンパスペーサが設けられ、バンパスペーサは、バンパスペーサとバンパフェースとを連結する係止爪と、係止爪が外れる方向に撓むことを防止する支持部材と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、見切り線が、車体に対して略垂直に形成され、支持部材が、バンパスペーサの下方からバンパスペーサにねじ込まれるタッピングスクリューであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、バンパスペーサに、係止爪の離脱を防止する調整板が設けられ、この調整板をタッピングスクリューで係止爪側に変形させることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、バンパスペーサに、係止爪の近傍にバンパフェースを押さえるバンパ押さえ片が設けられたことを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、バンパフェースに、係止爪に嵌合するバンパ側係合孔が設けられ、係止爪に、係止爪の先端に向かうに連れてバンパ側係合孔の深さ方向に指向し、バンパ側係合孔に嵌合する傾斜面を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、フロントフェンダに、バンパスペーサの上端が挿入可能な長孔が形成され、バンパスペーサの上端に、長孔に挿入可能で且つ回転させることで取付けが完了する断面視L字形状の取付部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両用バンパフェース取付構造に、車体の前方に設けられるバンパフェースと、車体の側方前部に設けられるフロントフェンダと、これらのバンパフェースとフロントフェンダとを連結するバンパスペーサと、を備える。
バンパフェースとフロントフェンダとで、車体を側方から見たときに見切り線が構成されるとともに、バンパフェースに設けられるバンパ側フランジと、フロントフェンダに設けられるフェンダ側フランジとで、タイヤを覆うホイールアーチ部が構成される。
フロントフェンダは、見切り線から車幅内方に延ばされ、その先端から延ばされたフェンダ側延長部が設けられ、フェンダ側延長部にバンパスペーサが設けられる。
バンパスペーサは、バンパスペーサとバンパフェースとを連結する係止爪と、係止爪が外れる方向に撓むことを防止する支持部材と、を備えたので、バンパフェース及びフロントフェンダの見切り線が、例えば、車体に略垂直、平行、斜め若しくは屈曲した見切り線を有する意匠の車両でも、係止爪が外れることを防止することができる。これにより、フロントフェンダにバンパスペーサを介してバンパフェースを確実に嵌合させることができる。この結果、車体の意匠及び設計の自由度を拡げることができる。
バンパスペーサは、バンパスペーサとバンパフェースとを連結する係止爪と、係止爪が外れる方向に撓むことを防止する支持部材と、を備えたので、バンパ側フランジ及びフェンダ側フランジ同士を結合する必要はない。これにより、バンパ側フランジ及びフェンダ側フランジの幅(フランジ幅)を狭くすることができる。この結果、インチサイズの大きいタイヤ、若しくは太いタイヤを装着することができる。言い換えれば、インチサイズの大きいタイヤ、若しくは太いタイヤを装着しても、ホイールアーチ部とタイヤとが干渉をすることはない。
なお、フェンダ側延長部にバンパスペーサが設けられているので、インチサイズの大きいタイヤ、若しくは太いタイヤを装着する場合にも支障は生じない。
【0017】
請求項2に係る発明では、見切り線が、車体に対して略垂直に形成され、支持部材が、バンパスペーサの下方からバンパスペーサにねじ込まれるタッピングスクリューであるので、ホイールアーチ部の下方からドライバで容易に締結することができる。これにより、略垂直の見切り線が構成される意匠の車両においてタッピングスクリューの締結が可能となる。例えば、バンパフェースをフロントフェンダに車体前後方向から(水平に)締結しようとする場合には、ドライバなどの工具が入らない。
【0018】
請求項3に係る発明では、バンパスペーサに、係止爪の離脱を防止する調整板が設けられ、この調整板をタッピングスクリューで係止爪側に変形させたので、調整板はバンパスペーサの金型を削ることで容易に厚みを調整することができ、係止爪の支持強度(抜去力)を任意に調整することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、バンパスペーサに、係止爪の近傍にバンパフェースを押さえるバンパ押さえ片が設けられたので、バンパフェースとフロントフェンダとで構成される略垂直の見切り線の隙間を一定に保つことができる。この結果、フロントフェンダとの干渉を防止することができるとともに、意匠性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項5に係る発明では、バンパフェースに、係止爪に嵌合するバンパ側係合孔が設けられ、係止爪に、係止爪の先端に向かうに連れてバンパ側係合孔の深さ方向に指向し、バンパ側係合孔に嵌合する傾斜面を備えたので、支持部材(タッピングスクリュー)を取付けたときには、バンパフェースをバンパスペーサに確実に取付けることができるとともに、支持部材を取り外したときには、バンパスペーサからバンパフェースを容易に取り外すことができる。これにより、バンパフェースの取り外し性の向上を図ることができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、フロントフェンダに、バンパスペーサの上端が挿入可能な長孔が形成され、バンパスペーサの上端に、長孔に挿入可能で且つ回転させることで取付けが完了する断面視L字形状の取付部が形成されたので、例えば、後工程でフロントフェンダにバンパスペーサにねじ止めするときに、バンパスペーサが落下することを防止できる。これにより、バンパスペーサの取付作業性の向上を図ることができるとともに、バンパスペーサの取付時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る車両用バンパフェース取付構造を採用した車両の斜視図である。
【図2】図1に示された車両用バンパフェース取付構造のバンパフェース上部の取付を示す斜視図である。
【図3】図1に示された車両用バンパフェース取付構造のバンパフェース下部の取付を示す斜視図である。
【図4】図1に示された車両用バンパフェース取付構造の側面を示す斜視図である。
【図5】図1に示された車両用バンパフェース取付構造の下方からの斜視図である。
【図6】図1に示された車両用バンパフェース取付構造の車体後方からの斜視図である。
【図7】図1に示された車両用バンパフェース取付構造のバンパスペーサの下端を示す斜視図である。
【図8】図1に示された車両用バンパフェース取付構造のバンパスペーサの上端を示す斜視図である。
【図9】図7の9−9線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0024】
図1に示されたように、車両10は、車体11の前方に設けられるバンパフェース21と、このバンパフェース21の上部中央に設けられるフロントグリル15と、このフロントグリル15の左右に設けられる前照灯16,16と、車体11の側方前部に設けられる左右のフロントフェンダ22,22と、これらのフロントグリル15の上部、前照灯16,16及び左右のフロントフェンダ22,22の上部に設けられるボンネット17と、が設けられる。
【0025】
バンパフェース21とフロントフェンダ22とは、バンパスペーサ23を介して連結される。バンパフェース21とフロントフェンダ22とで、車体11を側方から見たときに略垂直の見切り線25が構成される。
【0026】
バンパフェース21に、車幅内方に向けてバンパ側フランジ26が設けられる。フロントフェンダ22に、車幅内方に向けてフェンダ側フランジ27に設けられる。バンパ側フランジ26及びフェンダ側フランジ27によって、タイヤ(前輪)28を覆うホイールアーチ部29の一部が構成される。
【0027】
バンパフェース21、フロントグリル15、左右のフロントフェンダ22,22、ボンネット17及びダッシュボード(不図示)で覆われる空間にエンジンルーム13が構成される。
【0028】
図1〜図3に示されたように、エンジンルーム13には、ラジエータやコンデンサなどの冷却装置(不図示)を支持するフロントバルクヘッド31が設けられる。フロントバルクヘッド31は、フロントバルクヘッドアッパ32、フロントバルクヘッドロア33及び左右のサイドステー34,34(一方不図示)から略矩形に構成される構造体である。
【0029】
フロントバルクヘッドアッパ32には、ボンネット17をロックするボンネットロック機構35が設けられるとともに、バンパフェース21の上部が支持されている。バンパフェース21の上部は、バンパフェース21の上部中央に略L字のホルダ36がクリップ37,37で止められ、ホルダ36がクリップ38,38でフロントバルクヘッドアッパ32に止められる。さらに、バンパフェース21の上部左右に取付片41,41が延出され、これらの取付片41,41がボルト42,42でフロントバルクヘッドアッパ32に止められる。
【0030】
フロントバルクヘッドロア33には、バンパフェース21の下部が支持されている。詳細には、バンパフェース21の下部は、複数のクリップ43でフロントバルクヘッドロア33に止められている。
【0031】
図4〜図9に示されたように、車両用バンパフェース取付構造は、車体11の前方に設けられるバンパフェース21と、車体11の側方前部に設けられるフロントフェンダ22と、これらのバンパフェース21とフロントフェンダ22とを連結するバンパスペーサ23と、から構成される。
【0032】
バンパフェース21には、バンパスペーサ23側に延出されるバンパ後端フランジ52と、このバンパ後端フランジ52に形成され、バンパスペーサ23に嵌合するバンパ側係合孔53と、が設けられる。
フロントフェンダ22には、見切り線25(図1参照)から車幅内方に延ばされ、その先端から車体11の前方に延ばされたフェンダ側延長部55と、バンパスペーサ23の上端が挿入可能な長孔56と、フェンダ側延長部55に設けられ、バンパスペーサ23のスペーサ本体61が嵌合する角孔57,57と、が設けられる。
【0033】
バンパスペーサ23は、基部となるスペーサ本体61と、このスペーサ本体61に設けられ、フェンダ側延長部55の角孔57,57に嵌合する嵌合部62,62と、バンパスペーサ23とバンパフェース21とを連結する係止爪63と、バンパスペーサ23の下端23bに設けられ、係止爪63が外れる方向に撓むことを防止する支持部材64と、係止爪63の離脱を防止する調整板65と、係止爪63の近傍に設けられ、バンパフェース21を押さえるバンパ押さえ片66と、バンパスペーサ23の上端23aに形成され、フロントフェンダ22の長孔56に挿入可能で且つ回転させることで、上端23aの取付けが完了する断面視L字形状の取付部67と、からなる。
【0034】
図8に示されたように、バンパスペーサ23は、フロントフェンダ22の長孔56に断面視L字形状の取付部67を挿入し、矢印a1の如く90°回転することで上端23aの取付けが完了する。
【0035】
図4、図5に示されたように、スペーサ本体61は、複数のリブ群71で補強される。嵌合部62は、フロントフェンダ22の角孔57,57にそれぞれ嵌合する一対の嵌合爪73,73と、これらの嵌合爪73,73を角孔57,57に向かって押し付けるタッピンねじ74,74と、から構成される。
【0036】
図7に示されたように、支持部材64は、バンパスペーサ23の下端23bからバンパスペーサ23にねじ込まれるタッピングスクリューである。
図9に示されたように、係止爪63は、スペーサ本体61からバンパフェース21側に延ばされた弾性変形部75と、この弾性変形部75の先端に設けられ、バンパフェース21のバンパ側係合孔53に係止される爪部76とからなる。
【0037】
爪部76は、先端に向かうに連れてバンパ側係合孔53の深さ方向に指向し、バンパ側係合孔53に嵌合する傾斜面77を備える。
傾斜面77は平滑な面である。なお、必要に応じて、傾斜面77に断面視で凹凸を連続させたセレーションを付設するものであってもよい。これにより、係止爪63の抜去力を高めることができる。
【0038】
図7、図9に示されたように、調整板65は、スペーサ本体61からバンパフェース21側に延出され、弾性変形可能にした板状の部分である。調整板65は、バンパフェース21の下方からバンパスペーサ23の下端23bにタッピングスクリューがねじ込まれることで、係止爪63側に変形を受けて係止爪63が外れることを防止できる。
【0039】
図1に示された車両用バンパフェース取付構造では、車体11の前方に設けられるバンパフェース21と、車体11の側方前部に設けられるフロントフェンダ22と、これらのバンパフェース21とフロントフェンダ22とを連結するバンパスペーサ23と、を備える。
【0040】
バンパフェース21とフロントフェンダ22とで、車体11を側方から見たときに略垂直の見切り線25が構成されるとともに、バンパフェース21に設けられるバンパ側フランジ26と、フロントフェンダ22に設けられるフェンダ側フランジ27とで、タイヤ18を覆うホイールアーチ部29が構成される。
【0041】
図1、図5〜図9に示されたように、フロントフェンダ22は、見切り線25から車幅内方に延ばされ、その先端から車体11の前方に延ばされたフェンダ側延長部55が設けられ、バンパ側フランジ26及びフェンダ側フランジ27の上方で且つフェンダ側延長部55にバンパスペーサ23が設けられる。
【0042】
バンパスペーサ23に、バンパスペーサ23とバンパフェース21とを連結する係止爪63と、バンパスペーサ23の下端23bに設けられ、係止爪63が外れる方向に撓むことを防止する支持部材64と、を備えたので、バンパフェース21及びフロントフェンダ22に、例えば、車体に略垂直、平行、斜め若しくは屈曲した見切り線を有する意匠の車両でも、係止爪63が外れることを防止することができる。これにより、フロントフェンダ22にバンパスペーサ23を介してバンパフェース21を確実に嵌合させることができる。この結果、車体11の意匠及び設計の自由度を拡げることができる。
【0043】
バンパスペーサ23に、バンパスペーサ23とバンパフェース21とを連結する係止爪63と、バンパスペーサ23の下端23bに設けられ、係止爪63が外れる方向に撓むことを防止する支持部材64と、を備えたので、バンパ側フランジ26及びフェンダ側フランジ27同士を結合する必要はない。これにより、バンパ側フランジ26及びフェンダ側フランジ27の幅(フランジ幅)を狭くすることができる。この結果、インチサイズの大きいタイヤ18、若しくは太いタイヤ18を装着することができる。言い換えれば、インチサイズの大きいタイヤ18、若しくは太いタイヤ18を装着しても、ホイールアーチ部29とタイヤ18との干渉を避けることができる。
【0044】
なお、バンパ側フランジ26及びフェンダ側フランジ27の上方で且つフェンダ側延長部55にバンパスペーサ23が設けられているので、インチサイズの大きいタイヤ18、若しくは太いタイヤ18を装着する場合にも支障は生じない。
【0045】
図1に示された車両用バンパフェース取付構造では、見切り線25が、車体10に対して略垂直に形成され、支持部材64が、バンパスペーサ23の下方からバンパスペーサ23にねじ込まれるタッピングスクリューであるので、ホイールアーチ部29の下方からドライバで容易に締結することができる。これにより、略垂直の見切り線25が構成される意匠の車両10においてタッピングスクリューの締結が可能となる。例えば、バンパフェース21をフロントフェンダ22に車体前後方向から(水平に)締結しようとする場合には、ドライバなどの工具が入らない。
【0046】
図7に示された車両用バンパフェース取付構造では、バンパスペーサ23に、係止爪63の離脱を防止する調整板65が設けられ、この調整板65をタッピングスクリューで係止爪63側に変形させたので、調整板65はバンパスペーサ23の金型を削ることで容易に厚みを調整することができ、係止爪63の支持強度(抜去力)を任意に調整することができる。
【0047】
図6、図7に示されたように、車両用バンパフェース取付構造では、バンパスペーサ23に、係止爪63の近傍にバンパフェース21を押さえるバンパ押さえ片66が設けられたので、バンパフェース21とフロントフェンダ22とで構成される略垂直の見切り線25(図1参照)の隙間を一定に保つことができる。この結果、フロントフェンダ22との干渉を防止することができるとともに、意匠性の向上を図ることができる。
【0048】
図9に示されるように、車両用バンパフェース取付構造では、バンパフェース21に、係止爪63に嵌合するバンパ側係合孔53が設けられ、係止爪63に、係止爪63の先端に向かうに連れてバンパ側係合孔53の深さ方向に指向し、バンパ側係合孔53に嵌合する傾斜面77を備えたので、支持部材(タッピングスクリュー)64を取付けたときには、バンパフェース21をバンパスペーサ23に確実に取付けることができるとともに、支持部材64を取り外したときには、バンパスペーサ23からバンパフェース21を容易に取り外すことができる。これにより、バンパフェース21の取り外し性の向上を図ることができる。
【0049】
図8に示された車両用バンパフェース取付構造では、フロントフェンダ22に、バンパスペーサ23の上端23aが挿入可能な長孔56が形成され、バンパスペーサ23の上端23aに、長孔56に挿入可能で且つ回転させることで取付けが完了する断面視L字形状の取付部67が形成されたので、例えば、後工程でフロントフェンダ22にバンパスペーサ23をねじ止めするときに、バンパスペーサ23が落下することを防止できる。これにより、バンパスペーサ23の取付作業性の向上を図ることができるとともに、バンパスペーサ23の取付時間の短縮を図ることができる。
【0050】
尚、本発明に係る車両用バンパフェース取付構造は、図7に示すように、支持部材64はタッピングスクリューであったが、これに限るものではなく、例えば、クリップ等の締結部材であってもよい。
【0051】
本発明に係る車両用バンパフェース取付構造は、図9に示すように、バンパスペーサ23側に係止爪63が形成され、バンパフェース21側に係止爪63が嵌合するバンパ側係合孔53が設けられたが、これに限るものではなく、バンパフェース側に係止爪が形成され、バンパスペーサ側に係止爪に嵌合する係合孔が設けられるものであってもよい。
【0052】
本発明に係る車両用バンパフェース取付構造は、図9に示すように、バンパスペーサ23側に調整板65が設けられたが、これに限るものではなく、係止爪の離脱をタッピングスクリューで直接防止するものであってもよい。
本発明に係る車両用バンパフェース取付構造は、図1に示すように、見切り線25は、略垂直の見切り線であったが、これに限るものではなく、車体に平行、斜め若しくは屈曲した見切り線であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、車体の前方に設けられるバンパフェースと、車体の側方前部に設けられるフロントフェンダと、これらのバンパフェースとフロントフェンダとを連結するバンパスペーサと、を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0054】
11…車体、18…タイヤ、21…バンパフェース、22…フロントフェンダ、23…バンパスペーサ、23a…上端、23b…下端、25…見切り線、26…バンパ側フランジ、27…フェンダ側フランジ、29…ホイールアーチ部、53…バンパ側係合孔、55…フェンダ側延長部、56…長孔、63…係止爪、64…支持部材(タッピングスクリュー)、65…調整板、66…バンパ押さえ片、67…取付部、77…傾斜面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前方に設けられるバンパフェースと、車体の側方前部に設けられるフロントフェンダと、これらのバンパフェースとフロントフェンダとを連結するバンパスペーサと、を備えた車両用バンパフェース取付構造において、
前記バンパフェースと前記フロントフェンダとで、前記車体を側方から見たときに見切り線が構成されるとともに、前記バンパフェースに設けられるバンパ側フランジと、前記フロントフェンダに設けられるフェンダ側フランジとで、タイヤを覆うホイールアーチ部が構成され、
前記フロントフェンダは、前記見切り線から車幅内方に延ばされ、その先端から延ばされたフェンダ側延長部が設けられ、該フェンダ側延長部に前記バンパスペーサが設けられ、
前記バンパスペーサは、該バンパスペーサと前記バンパフェースとを連結する係止爪と、前記係止爪が外れる方向に撓むことを防止する支持部材と、を備えたことを特徴とする車両用バンパフェース取付構造。
【請求項2】
前記見切り線は、車体に対して略垂直に形成され、
前記支持部材は、前記バンパスペーサの下方から該バンパスペーサにねじ込まれるタッピングスクリューであることを特徴とする請求項1記載の車両用バンパフェース取付構造。
【請求項3】
前記バンパスペーサは、前記係止爪の離脱を防止する調整板が設けられ、この調整板を前記タッピングスクリューで前記係止爪側に変形させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用バンパフェース取付構造。
【請求項4】
前記バンパスペーサは、前記係止爪の近傍に前記バンパフェースを押さえるバンパ押さえ片が形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用バンパフェース取付構造。
【請求項5】
前記バンパフェースは、前記係止爪に嵌合するバンパ側係合孔が設けられ、
前記係止爪は、該係止爪の先端に向かうに連れて前記バンパ側係合孔の深さ方向に指向し、前記バンパ側係合孔に嵌合する傾斜面を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用バンパフェース取付構造。
【請求項6】
前記フロントフェンダは、前記バンパスペーサの上端が挿入可能な長孔が形成され、
前記バンパスペーサの上端は、前記長孔に挿入可能で且つ回転させることで取付けが完了する断面視L字形状の取付部が形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両用バンパフェース取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−91655(P2012−91655A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239943(P2010−239943)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】