説明

車両用ブレーキ液圧制御装置

【課題】必要最小限のマウント部材で効果的に振動を抑制しつつ制御ユニットを支持し、ブラケットの形状も簡略化して小型化を図る。
【解決手段】制御ユニット10Aと、車体と制御ユニット10Aとの間に介設された支持手段10Bとを備え、支持手段10Bは、制御ユニット10Aを車体に取り付けた際の基体12の鉛直方向の下面52fに固定される下部マウント部材2Aと、下部マウント部材2Aと車体とをつなぐブラケット1と、を有し、制御ユニット10Aの重心Gは、基体12に位置するように構成され、下部マウント部材2Aは、重心Gを通る鉛直線G1と基体12の下面52fとの交差点G2に位置するように、ブラケット1に支持されている構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ブレーキ液圧制御装置は、油路(ブレーキ液の流路)や各種部品(電磁弁やポンプなど)が設けられる略直方体の基体と、この基体を間に挟んで配設されるモータおよび制御装置のハウジングと、をユニット化して制御ユニットとして構成されるものが知られている。このような車両用ブレーキ液圧制御装置は、モータやブレーキ液圧の脈動などから発生する振動を車体に伝達させないようにするために、マウント部材を介してブラケットで支持されて車体に取り付けられている。
【0003】
従来、車両用ブレーキ液圧制御装置では、前記した振動等の問題を解決するために、基体の下面と車体との間に、三つのマウント部材を有したブラケットを介設することによって、基体の重心を取り囲むようにして基体を三点支持するものが知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−370635号公報
【特許文献2】特表平8−510196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に開示された車両用ブレーキ液圧制御装置では、制御ユニットの重心を取り囲むようにするために最低三つのマウント部材が必要であり、さらに、基体の下面と車体との間の広い範囲に三つのマウント部材を配設していることから、ブラケットの形状の複雑化および大型化につながってしまうという課題があった。
【0006】
このような観点から、本発明は、必要最小限のマウント部材で効果的に振動を抑制しつつ制御ユニットを支持することができ、ブラケットの形状も簡略化して小型化を図ることができる車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために創案された本発明の液圧制御装置は、基体、モータおよび制御装置のハウジングをユニット化して構成され、前記基体を間に挟んで前記モータおよび前記ハウジングが配設された制御ユニットと、車体と前記制御ユニットとの間に介設された支持手段と、を備えた車両用ブレーキ液圧制御装置であって、前記支持手段は、前記制御ユニットを車体に取り付けた際の前記基体の鉛直方向の下面に固定される下部マウント部材と、前記下部マウント部材と車体とをつなぐブラケットと、を有し、前記制御ユニットの重心は、前記基体に位置するように構成され、前記下部マウント部材は、前記重心を通る鉛直線と前記基体の下面との交差点に位置するように、前記ブラケットに支持されていることを特徴とする。
【0008】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、制御ユニットの重心は、基体に位置するように構成され、下部マウント部材は、重心を通る鉛直線と基体の下面との交差点に位置するように、ブラケットに支持されているので、下部マウント部材によって、モータの振動やブレーキ液圧の脈動等の加振源に対して、安定した支持を提供することができ、振動等を効果的に抑制することができる。
【0009】
また、少なくとも一つの下部マウント部材によって振動等を効果的に抑制しつつ制御ユニットを支持することができるので、ブラケットの形状を簡略化することができ、ブラケットの小型化を図ることができる。
【0010】
また、本発明は、基体、モータおよび制御装置のハウジングをユニット化して構成され、前記基体を間に挟んで前記モータおよび前記ハウジングが配設された制御ユニットと、車体と前記制御ユニットとの間に介設された支持手段と、を備えた車両用ブレーキ液圧制御装置であって、前記支持手段は、前記制御ユニットを車体に取り付けた際の前記基体の鉛直方向の下面に固定される下部マウント部材と、前記下部マウント部材と車体とをつなぐブラケットと、を有し、前記基体は、モータ取付面からハウジング取付面までの距離が、モータ軸方向におけるモータケースの大きさよりも大きく、かつ、モータ軸方向における前記ハウジングの大きさよりも小さく設定されることで、前記制御ユニットの重心が、前記基体に位置するように構成され、前記下部マウント部材は、前記重心を通る鉛直線と前記基体の下面との交差点に位置するように、前記ブラケットに支持されていることを特徴とする。
【0011】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、モータ取付面からハウジング取付面までの距離が、モータ軸方向におけるモータケースの大きさよりも大きく、かつ、モータ軸方向におけるハウジングの大きさよりも小さく設定されることで、制御ユニットの重心が、基体に位置するように構成されており、下部マウント部材は、重心を通る鉛直線と基体の下面との交差点に位置するように、ブラケットに支持されているので、同じ下部マウント部材によって、モータの振動やブレーキ液圧の脈動等の加振源に対して、安定した支持を提供することができ、振動等を効果的に抑制することができる。
【0012】
また、少なくとも一つの下部マウント部材によって振動等を効果的に抑制しつつ制御ユニットを支持することができるので、ブラケットの形状を簡略化することができ、ブラケットの小型化を図ることができる。
【0013】
また、本発明は、前記下部マウント部材は、その中心を通る軸線が、前記重心を通る鉛直線と一致するように単一で前記基体を支持していることを特徴とする。
【0014】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、下部マウント部材は、その中心を通る軸線が、重心を通る鉛直線と一致するように単一で基体を支持しているので、制御ユニットの荷重を一つの下部マウント部材で確実に受けることができ、振動等を効果的に抑制しつつ制御ユニットを好適に支持することができる。
また、このことは、ブラケットの形状の簡略化およびブラケットの小型化に寄与する。
【0015】
また、本発明は、前記支持手段は、前記基体の下面に隣接している側面に固定される側部マウント部材を有し、前記側部マウント部材は、水平方向で、かつ前記モータのモータ軸に垂直となる方向から前記側面に固定されていることを特徴とする。
【0016】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、下部マウント部材および側部マウント部材によって、制御ユニットの鉛直方向や水平方向、さらには回転方向の振動を吸収するように支持することができ、必要最小限のマウント部材によって安定して制御ユニットを支持することができる。
【0017】
また、本発明は、前記下部マウント部材と前記側部マウント部材とは、それぞれの中心を通る軸線の延長線が相互に交差しないように前記基体に固定されていることを特徴とする。
【0018】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、下部マウント部材と側部マウント部材とがモータ軸方向にずれて配置されることによって、さらに、制御ユニットのねじれ方向の振動を吸収するように支持することができ、必要最小限のマウント部材でより一層安定して制御ユニットを支持することができる。
【0019】
また、本発明は、前記基体は、前記基体の下面に開口を有する複数のザーバと、前記リザーバを密封する密封部材を有し、前記下部マウント部材は、前記密封部材を介して前記基体の下面に固定されることを特徴とする。
【0020】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、密封部材を介して下部マウント部材が基体の下面に固定されるので、下部マウント部材の固定構造を簡単なものとすることができる。このことは、部品点数の削減や製造コストの低減に寄与する。また、複数のリザーバを、単一(共通)の密封部材で密封することができるため、部品点数を削減して製造コストを低減させることができる。
【0021】
また、本発明は、前記密封部材は、複数の前記リザーバを密封して、その前記リザーバ間に前記下部マウント部材が配置されていることを特徴とする。
【0022】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、密封部材により密封される複数のリザーバ間に下部マウント部材が配置されているので、基体のデッドスペースを有効に利用して下部マウント部材を固定することができる。このように、基体のデッドスペースを有効に利用した下部マウント部材の取り付けが可能となるので、ブラケットの形状の簡略化や小型化を図ることができる。
【0023】
また、本発明は、前記密封部材と前記下部マウント部材とは、前記基体の下面に設けられたねじ穴に螺合するねじで、共に固定されていることを特徴とする。
【0024】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、基体に対する密封部材と下部マウント部材との組み付けが簡単であり、また、部品点数を削減して製造コストを低減させることができる。
【0025】
また、本発明は、前記密封部材は、プレート状の部材であり、前記ねじ穴に対応する部位には、前記ねじを挿通するための貫通孔が形成されており、前記貫通孔は、一端側からバーリング加工によって生じた突出片を折り返して座面が形成されていることを特徴とする。
【0026】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、貫通孔は、一端側からバーリング加工によって生じた突出片を折り返して座面が形成されているので、簡単な構造により密封部材を介して下部マウント部材を強固に固定することができ、必要最小限のマウント部材でより一層安定して制御ユニットを支持することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、必要最小限のマウント部材で効果的に振動を抑制しつつ制御ユニットを支持することができ、ブラケットの形状も簡略化して小型化を図ることができる車両用ブレーキ液圧制御装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の斜視図、(b)は支持手段を示す斜視図である。
【図2】図1に示す車両用ブレーキ液圧制御装置から蓋部材および支持手段を取り外した分解斜視図である。
【図3】基体に設けられるリザーバ穴、マウントねじ穴(下部マウント部材)、リザーバ穴に沿う一部断面を含み、基体の内部機構を透視した一部断面透視図である。
【図4】(a)は図2に示す蓋部材の平面図、(b)は図4(a)のB−B線に沿う縦断面図である。
【図5】車両用ブレーキ液圧制御装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は下面図、(d)は側面図、(e)は基体の下面図である。
【図6】(a)は重心、鉛直線、交差点を示した車両用ブレーキ液圧制御装置の正面図、(b)は同じく側面図である。
【図7】(a)は下部マウント部材の拡大断面図、(b)は側部マウント部材の拡大断面図である。
【図8】(a)はモータ軸方向に沿う車両用ブレーキ液圧制御装置の一部省略縦断面図、(b)はバーリング加工による貫通孔を模式的に示した蓋部材の一部省略縦断面図、(c)は蓋部材を介して下部マウント部材が固定された様子を示す一部省略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以後、図1(a)に示した方向、前後、左右、上下を基準として説明する。ここで、前後方向、左右方向は図示しない車体に取り付けられた車両用ブレーキ液圧制御装置の水平方向に沿う方向であり、上下方向は鉛直方向である。
図1(a)に示すように、本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、「ブレーキ制御装置」という。)は、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)、自動四輪車などの車両に好適に用いられるものであり、車両の車輪に付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御する。以下においては、ブレーキ制御装置を図示しない自動二輪車に適用した例について説明するが、ブレーキ制御装置が搭載される車両を限定する趣旨ではない。
【0030】
図1(a)に示すように、ブレーキ制御装置は、基体12、モータ14およびコントロールハウジング(ハウジング)16を一体的に組み付けることでユニット化して構成される制御ユニット10Aと、車体(図示せず、以下同じ)と制御ユニット10Aとの間に介設される支持手段10Bと、を備えて構成されている。
制御ユニット10Aは、電磁弁等の各種部材が装着される基体12を間に挟んで、前後にモータ14およびコントロールハウジング16が組み付けられてなる。
支持手段10Bは、ブラケット1と、このブラケット1に配設されて制御ユニット10Aに固定される下部マウント部材(マウント部材)2Aおよび側部マウント部材(他のマウント部材)2Bを備えている。
【0031】
基体12は、略直方体状を呈する金属製の部材からなる。基体12の前面12aには、モータ14が装着されるモータ装着穴22(図3参照)が形成されている。基体12の後面12bには、図3に示すように、一組の入口弁装着穴24、24や一組の出口弁装着穴26、26が並設されている。入口弁装着穴24、24には、常開型の電磁弁からなる図示しない一組の入口弁が配設され、また、出口弁装着穴26、26には、常閉型の電磁弁からなる図示しない一組の出口弁が配設される。
また、基体12の左右側面12d、12eには、一組のポンプ装着穴28、28が形成されており、図示しないポンプがそれぞれ組み付けられている。
なお、図6(a)に示すように、ポンプ軸P1は、基体12の左右方向において水平(基体12の下面12fと平行)となるように配置されている。
さらに、基体12の内部には、流体であるブレーキ液が流通する図示しない流体通路が形成されている。
【0032】
基体12の下面12fには、図3に示すように、下部マウント部材2Aを固定するためのマウントねじ穴27が形成されており、また、基体12の右側面12eには、側部マウント部材2Bを固定するためのマウントねじ穴(破線で図示)29が形成されている。
【0033】
図1(a)、図5(a)〜(d)に示すように、モータ14は、基体12の前面(モータ取付面)12aに組み付けられている。モータ14は、略有底円筒状に形成されたモータケース14aと、モータケース14aの内部に収容されたロータ(図示せず)と、モータケース14aの開口部に覆設されるモータフランジ14bとを備えている。
また、ロータの出力軸であるモータ軸M1(図6(b)参照、以下同じ)は、先端部がモータ装着穴22(図3参照)を通じて基体12内に配置されている。モータ軸M1は、モータケース14a内や基体12の前面12a側に設けられるボールベアリング(図示せず)により回転自在に支持され、その適所に設けられた偏心軸部には、ポンプのプランジャ(図示せず)を往復動させるために、その外周面でプランジャを適宜押圧するボールベアリング(図示せず)が設けられている。
なお、モータ14の重量は、コントロールハウジング16の重量よりも大きい。
【0034】
コントロールハウジング16は、図1(a)、図5(a)(c)等に示すように、基体12の後面(ハウジング取付面)12bにシール部材(不図示)を介して組み付けられている。コントロールハウジング16の内部には、図示しない電子制御装置や電気部品が収容されている。
【0035】
モータ14が組み付けられた基体12の前面12aの左右側上端部には、図1(a)に示すように、一対の入口ポート(接続ポート)18、18が開口して形成されている。また、基体12の上面12cには、一対の出口ポート(接続ポート)20、20が開口して形成されている。
【0036】
なお、入口ポート18、18(図1(a)参照)には、図示しないマスタシリンダ等の液圧源からの配管(図示せず)が接続され、前記液圧源からブレーキ液が導入される。また、入口ポート18、18は、図示しない流体通路を介して入口弁装着穴24、24(図3参照)に連通するように設けられている。
また、出口ポート20、20(図1(a)参照)には、車輪ブレーキに至る配管(図示せず)が接続され、この出口ポート20、20は、図示しない流体通路を介して入口弁装着穴24、24(図3参照)および出口弁装着穴26、26(図3参照)に連通するように設けられている。
【0037】
図3に示すように、基体12の下部には、一対のリザーバ32、32が左右方向に並列に配置されている。このリザーバ32、32は、車輪ブレーキの減圧制御時に、出口弁(電磁弁)が開放されることによって、基体12の流体通路に連通する連通路を流通して逃がされるブレーキ液(すなわち、車輪ブレーキのホイールシリンダ側から流出したブレーキ液)を一時的に貯溜する機能を有している。
【0038】
一対のリザーバ32、32は、それぞれ同一構成からなり、基体12の下面12fに開口端を有する有底円筒状のリザーバ穴30、30と、これらのリザーバ穴30、30に沿って摺動自在に変位するピストン34、34と、これらのピストン34、34を出口弁装着穴26、26の方向(図3中の上方)に向かって付勢するスプリング36、36とを備える。
【0039】
ピストン34、34には、環状溝を介してピストンパッキン38、38が装着され、このピストンパッキン38、38によってブレーキ液が導入される上部側の液圧室40、40と、スプリング36、36が配置された気体室42、42とに分割される。また、リザーバ穴30、30の内周面には、環状凹部を介してピストン34、34の下端側外周面と接触するC型クリップ44、44が装着されている。
【0040】
なお、液圧室40、40は、上下方向に沿って延在する第1通路46、46を介して出口弁装着穴26、26と連通するように設けられるとともに、第1通路46、46と並行に延在する第2通路48、48を介してポンプ装着穴28、28と連通するように設けられている。
【0041】
さらに、図2に示すように、基体12の下面12fには、複数のねじ部材50を介して、複数のリザーバ穴30、30を密封する密封部材としての単一の蓋部材52が固定される。また、この蓋部材52を通じて基体12の下面12fには、下部マウント部材2Aを介してブラケット1が取り付けられるようになっている。下部マウント部材2Aおよびブラケット1の取付構造は後記する。
【0042】
蓋部材52は、プレート状の部材であるプレート部材54と、リング状のシール部材56とを備える。プレート部材54には、図3に示すように、スプリング36、36の下端部が当接するようになっており、また、シール部材56は、図2に示すように、基体12の下面12fとプレート部材54の上面54aとの間に介装されるようになっている。
【0043】
なお、本実施形態では、基体12の下面12fに対して蓋部材52が固定される場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、基体12の前面12aまたは後面12b等に対して蓋部材52が固定されるようにしてもよい。この場合、基体12の前面12aまたは後面12bにリザーバ32、32(リザーバ穴30、30)が設けられる。
このように、基体12の前面12aまたは後面12bに蓋部材52が固定される場合には、基体12の下面12fに下部マウント部材2Aが直接的に固定される。
【0044】
図4(a)に示すように、リング状のシール部材56は、プレート部材54の平坦な上面54aに沿って略メガネ形状に配置され、例えば、接着剤等によってプレート部材54の上面54aに固定される。
【0045】
このシール部材56は、例えば、メタルガスケット、表面にゴムコーティングが被覆されたメタルガスケット、紙ガスケット、ゴム等の弾性部材や、シリコーン系等の液状ガスケットからなる液状シール剤によって形成され、基体12の下面12fとプレート部材54の上面54aとの間で挟持されてシール機能を発揮する。
【0046】
ここで、図4(b)に示すように、基体12の下面12fの中央部とプレート部材54の上面54aとの間には、後記する連通路66を形成する隙間が形成されている。
【0047】
図4(a)に示すように、プレート部材54は、平面視で矩形状を呈する平板によって形成されている。このプレート部材54は、長手方向に沿って延在する長辺からなる両側端部を、上方に向かって折り曲げて形成された長手方向リブ60、60と、長手方向と直交する短手方向に沿って延在する短辺からなり、プレート部材54の軸方向に沿った両端部を上方に向かって折り曲げて形成された短手方向リブ62、62とを有する。
【0048】
本実施形態では、矩形状のプレート部材54の両方の長辺および短辺をそれぞれ折り曲げて、一対の長手方向リブ60、60および短手方向リブ62、62をそれぞれ対向するように形成しているが、少なくとも長辺のいずれか一方を折り曲げて長手方向リブ60を形成し、少なくとも短辺のいずれか一方を折り曲げて短手方向リブ62を形成してもよい。なお、プレート部材54は、例えば、薄板の板金、または、樹脂製材料で形成されるとよい。
【0049】
長手方向リブ60は、複数のねじ部材50によってプレート部材54が基体12の下面12fに固定される際、図1(a)に示すように、基体12の前面12aおよび後面12bの下端部をそれぞれ被覆するように形成されている。また、短手方向リブ62は、ねじ部材50によってプレート部材54が基体12の下面12fに固定される際、基体12の下面12fに当接するように設けられている。
【0050】
また、図4(a)に示すように、プレート部材54には、長手方向リブ60と短手方向リブ62が交差する2箇所の角部と長辺の中央部部位との3箇所にねじ部材50を挿通するための複数のねじ孔64が形成される。この複数のねじ孔64は、リング状のシール部材56で囲繞される部位の外側に配置されている。また、リング状のシール部材56で囲繞される部位の内側には、複数のリザーバ穴30、30を連通させる連通路66が設けられている。
さらに、プレート部材54には、上下面を貫通する円形状の貫通孔72が形成されている。この貫通孔72は、基体12の下面12fに設けられたマウントねじ穴27への連通路として機能するようになっている(図3参照)。
【0051】
ここで、図8(b)に示すように、貫通孔72の周辺部位には、貫通孔72を囲繞する円環状の枠部72aが設けられている(図4(a)参照)。枠部72aは、例えば、図示しないパンチを用いて一端側となる下面52f側からバーリング加工を行って略円筒状に突出した突出片72c(破線参照)を形成し、さらに、図示しない他のパンチを用いてこの突出片72cを半径外方向に向けて折り返し、これをプレート部材54の上面54aに対して密着させることにより形成される。
また、ねじ孔64を囲繞する枠部64a(図4(a)参照)も、貫通孔72の枠部72aと同様に、バーリング加工を行って形成される。
【0052】
図4(a)に示すように、枠部72a,64aの上面は平坦面によって構成されており、プレート部材54を基体12の下面12f(図3参照)に固定した際に、下面12fに当接する座面72b,64bとして機能するものである。
座面72b,64bの高さ寸法(上方への突出寸法)は、短手方向リブ62の高さ寸法と同一または略同一に設定される。また、座面72b,64bの高さ寸法t1(上方への突出寸法)は、図8(b)に示すように、座面72bを例にとって説明すると、シール部材56の非圧縮状態におけるシール面の高さ寸法t2よりも小さく設定されている(t1<t2)。したがって、図8(c)に示すように、枠部72aの座面72bが基体12の下面12fに当接することにより、下部マウント部材2Aを固定するためのボルト(ねじ)3Aのねじ込み量が制限されてシール部材56の圧縮量が規制されることとなる。同様に、枠部64aの座面64bが基体12の下面12fに当接することにより、ねじ部材50のねじ込み量が制限されてシール部材56の圧縮量が規制されることとなる。
このように、シール部材56の圧縮量は、座面70b、座面64b(図4(a)参照)によって確実に規制されるようになっている。
【0053】
マウントねじ穴27は、図3に示すように、基体12の下面12fに開口するねじ穴であり、基体12の下面12fに並列に配置された一対のリザーバ32、32の間に形成されている。マウントねじ穴27には、プレート部材54の貫通孔72を介して下部マウント部材2Aに挿通されたボルト3A(図8(a)(c)参照)が螺合されるようになっている。
【0054】
連通路66は、図4(a)(b)に示すように、基体12の下面12fの中央部平坦面とプレート部材54の平坦な上面54aとの上下方向(縦方向)の離間空間(隙間部)によって形成されている。
このような連通路66は、図4(b)に示すように、基体12の下面12fの中央部近傍に開口する呼吸孔76を通じて、基体12の横方向に沿って貫通する通気孔(不図示)に連通している。この通気孔は、コントロールハウジング16およびモータ14の少なくとも一方(本実施形態ではコントロールハウジング16およびモータ14の両方)と連通している。なお、基体12には、コントロールハウジング16内を外部に連通する通気路(図示せず)が形成され、この通気路には、エアの出入を許容しつつ水の出入を阻止する図示しない透湿防水素材(通気防水部材、例えば、周知の商品名ゴアテックス(登録商標))が装着されている。
これにより、リザーバ32、32の内部をシール部材56で確実に密封しつつ、気体室42内を大気圧に保持することができる。
【0055】
また、プレート部材54の上面54aには、スプリング36、36の下端部に係着されてスプリングガイドとして機能する膨出部74、74が設けられている。この膨出部74、74は、プレート部材54の下面に突出することがなく、リザーバ穴30、30の奥部側に向かって突出するように形成されている。
【0056】
なお、本実施形態では、複数のねじ部材50を介して、プレート部材54を基体12の下面12fにねじ締結しているが、例えば、プレート部材54の端縁部を加締めて基体12に対して固定してもよいし、または、プレート部材54を基体12の下面12fの溝部(図示せず)に対して圧入するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、プレート部材54の上面54aにシール部材56を位置決めして接着しているが、例えば、基体12の下面12fとプレート部材54の上面54aとの間でシール部材56を挟持して係止するように設け、または、プレート部材54の上面54aに図示しない係止部を設けて前記シール部材56を係止するようにしてもよい。
【0058】
以上のようなブレーキ制御装置の制御ユニット10Aは、図6(a)(b)に示すように、重心Gが、モータ14とコントロールハウジング16とに挟まれた基体12に位置している。
そのための構成として、制御ユニット10Aを構成している基体12とモータ14とコントロールハウジング16との大きさの関係が次のように構成されている。
図6(b)に示すように、モータ14のモータ軸M1方向(前後方向)において、基体12の前面12a(モータ取付面)から後面12b(ハウジング取付面)までの距離をL1、モータ軸M1方向におけるモータケース14aの大きさをL2、モータ軸M1方向におけるコントロールハウジング16の大きさ(奥行き)をL3としたときに、L2<L1<L3の関係となるように構成されている。
つまり、基体12は、前面12aから後面12bまでの距離L1が、モータ軸M1方向におけるモータケース14aの大きさL2よりも大きく、かつ、モータ軸M1方向におけるコントロールハウジング16の大きさ(奥行き)L3よりも小さく設定されることで、制御ユニット10Aの重心Gが、基体12に位置するように構成されている。
なお、基体12とモータ14とコントロールハウジング16との重量を調整することにより、また、重量の調整とともに前記距離L1、大きさL2,L3を適宜調整することにより、基体12に重心Gが位置するように構成してもよい。
ここで、基体12に重心Gが位置するとは、基体12の内部や基体12に形成された空間等に重心Gが位置する場合を含むほか、基体12の表面等(例えば、前面12aや後面12b、さらには、前面12aから前方へ突設された入口ポート18内やその前端面等)に重心Gが位置する場合を含んでいる。
【0059】
本実施形態では、図6(a)(b)に示すように、重心Gを通る鉛直線G1が、基体12の下面12fと交差するように、基体12の前面12aおよび後面12bが鉛直線G1と略平行になっている。すなわち、制御ユニット10A(基体12)は、前面12aおよび後面12bが略鉛直となる姿勢で下部マウント部材2Aを介して第1支持部1A(1)に固定され、図示しない車体に固定されるようになっている。
なお、基体12の下面12fには、蓋部材52が装着され、蓋部材52の下面52fが基体12の実質的な下面となるので、鉛直線G1と下面12fとの交差点G2が、蓋部材52の下面52fに位置しているものとして説明する(図6(a)(b)、図8(a)(c)参照)。したがって、基体12が蓋部材52を有さない構成であるときには、基体12の下面12fに交差点G2’(図8(c)参照)が位置するように、制御ユニット10A(基体12)が下部マウント部材2Aを介して第1支持部1A(1)に固定される。
【0060】
なお、交差点G2は、基体12の下面12fのいずれかの位置にあればよく、制御ユニット10Aが水平方向に対して傾いた姿勢、すなわち、水平方向に対してモータ軸M1が傾斜する状態となる姿勢や水平方向に対してポンプ軸P1が傾斜する状態となる姿勢で、制御ユニット10A(基体12)を図示しない車体に固定してもよい。
【0061】
支持手段10Bは、図1(b)に示すように、ブラケット1と、このブラケット1に支持された下部マウント部材2Aおよび側部マウント部材2Bとを備えて構成されている。
ブラケット1は、図1(a)(b)、図2に示すように、前側から見て略L字形状を呈する板状の部材であり、水平方向に配設された第1支持部1Aと、この第1支持部1Aの他端部1bに連続して設けられ、第1支持部1Aに対して直角に折曲形成されて鉛直方向に配設された第2支持部1Bとを備える。すなわち、ブラケット1は、基体12の下面12fに沿う第1支持部1Aと、基体12の右側面12eに沿う第2支持部1Bとを備えている。
【0062】
ブラケット1は、第1支持部1Aの一端部1a側が図示しない車体(または車体に設けられた部材)に固定される。図5(c)に示すように、第1支持部1Aは、基体12の下面12f側から見てく字状を呈しており、基体12の下面12fに取り付けられた状態では、一端部1a側に比べて他端部1b側が基体12の後方に位置する。これにより、第1支持部1Aの折れ曲り部よりも一端部1a側は基体12の前側に位置し、折れ曲り部よりも他端部1b側は基体12の後側に向けて傾斜する。
第1支持部1Aの中央部(折れ曲り部)には、図2に示すように、支持孔1cが穿設されている。支持孔1cには、下部マウント部材2Aを構成している弾性体としてのマウントゴム4が嵌挿される。
なお、第1支持部1Aの一端部1a側は、車体側の形状に対応して適宜の長さや適宜の形状とすることができる。
【0063】
図2に示すように、第2支持部1Bの先端部1dには支持孔1eが穿設されている。支持孔1eには、側部マウント部材2Bを構成している弾性体としてのマウントゴム4が嵌挿される。
本実施形態では、第1支持部1Aと第2支持部1Bとの板幅(前後方向の幅)を略同一幅としているが、これに限られることはなく、相互に異なる板幅となるようにしてもよい。
【0064】
下部マウント部材2Aは、ブラケット1の支持孔1cに嵌挿可能なグロメット状のマウントゴム4と、マウントゴム4の中央の貫通孔4aに挿入される円筒状のカラー5と、カラー5に挿入され、基体12のマウントねじ穴27(図3参照)の雌ねじに螺合されるボルト3Aと、ワッシャ6とで構成されている。
また、側部マウント部材2Bは、ブラケット1の支持孔1eに嵌挿されるマウントゴム4と、カラー5と、カラー5に挿入され、基体12のマウントねじ穴29(図3参照)の雌ねじに螺合されるボルト3Bとで構成されている。
【0065】
マウントゴム4は、下部マウント部材2Aと側部マウント部材2Bとで、同様のものが用いられているので、ここでは、主として下部マウント部材2Aのマウントゴム4について説明する。
マウントゴム4の外周面の略中央部には、第1支持部1Aの支持孔1c(側部マウント部材2Bでは第2支持部1Bの支持孔1c)の周縁部に嵌合する凹溝4bが全周に亘って形成されている。
また、マウントゴム4の一端側には、蓋部材52の下面52fに当接する第1平面4cが形成され、他端側には、ワッシャ6と当接する第2平面4dが形成されている。第1平面4cの面積は、第2平面4dの面積よりも大きくなるように形成されており、面積の大きい第1平面4cによって制御ユニット10Aが支持されるように構成されている。
【0066】
なお、第2平面4dは、第1平面4cよりも小径とされており、これに当接するワッシャ6の外径も小径とされている。
本実施形態では、第1平面4cと第2平面4dとが平行とされているが、これに限られることはなく、相互に傾斜するように形成してもよい。
【0067】
マウントゴム4の他端側の外周面には、凹溝4b側から第2平面4d側に向かうにつれて縮径するテーパ部4eが形成されており、これによって、マウントゴム4の他端側が第1支持部1Aの支持孔1cに挿入し易くなっている。
また、マウントゴム4の貫通孔4aに内嵌されるカラー5は、硬質な金属材料や樹脂材料などを用いて形成されており、マウントゴム4が必要以上に変形するのを防いでいる。
【0068】
このような下部マウント部材2Aは、図6(a)(b)に示すように、その中心を通る軸線O1が、前記した鉛直線G1に一致するように配置されている。
【0069】
一方、側部マウント部材2Bは、水平方向で、かつモータ14のモータ軸M1に垂直となる方向から基体12の下面12fに隣接している右側面12eに固定される。
ここで、ブラケット1の第2支持部1Bは、図6(b)に示すように、基体12の右側面12eの後側(コントロールハウジング16側)に位置しており、側部マウント部材2Bは、基体12の右側面12eの後側において、マウントねじ穴29(図3参照)にボルト3Bで固定されるようになっているので、下部マウント部材2Aと側部マウント部材2Bとは、それぞれの中心を通る軸線O1,O2の延長線が相互に交差しない状態で、基体12を支持するように構成されている。
【0070】
図7(b)に示すように、側部マウント部材2Bのマウントゴム4は、その他端側に形成される第2平面4dが基体12の右側面12eに当接し、一端側に形成される第1平面4cがボルト3Bの頭部3bに当接する向きで、第2支持部1Bに嵌挿されている。
このように、同じ形状のマウントゴム4を用いながら、基体12の下面12f側で発生する振動と、右側面12eで発生する、下面側とは異なる振動を効率よく吸収することができる。
【0071】
なお、マウントゴム4は、予め第1支持部1Aおよび第2支持部1Bに嵌挿して支持手段10Bを半組立品としておいてから、各貫通孔4aにボルト3A、3Bを挿通して、これらを基体12のマウントねじ穴27,29に螺合して固定するようにしてもよいし、第1支持部1Aおよび第2支持部1Bに嵌挿しつつ支持手段10Bを組み付けながら、基体12に固定するように固定してもよい。
【0072】
以上説明した本実施形態のブレーキ制御装置によると、制御ユニット10Aの重心Gは、基体12に位置するように構成され、制御ユニット10Aは、重心Gを通る鉛直線G1が基体12の下面12fに交差するようにブラケット1に支持され、下部マウント部材2Aは、下面12fの交差点G2で基体12を支持しているので、下部マウント部材2Aによって、モータ14の振動やブレーキ液圧の脈動等の加振源に対して、安定した支持を提供することができ、振動等を効果的に抑制することができる。
【0073】
また、主として下部マウント部材2Aによって振動等を効果的に抑制しつつ制御ユニット10Aを支持することができるので、ブラケット1の形状を簡略化することができ、ブラケット1の小型化を図ることができる。
【0074】
また、基体12は、前面12aから後面12bまでの距離L1が、モータ軸M1方向におけるモータケース14aの大きさL2よりも大きく、かつ、モータ軸M1方向におけるコントロールハウジング16の大きさL3よりも小さく設定されることで、制御ユニット10Aの重心Gが、基体12に位置するように構成されており、下部マウント部材2Aは、重心Gを通る鉛直線G1と基体12の下面52fとの交差点G2に位置するように、ブラケット1に支持されているので、主として下部マウント部材2Aによって、モータ14の振動やブレーキ液圧の脈動等の加振源に対して、安定した支持を提供することができ、振動等を効果的に抑制することができる。
【0075】
また、下部マウント部材2Aは、その中心を通る軸線O1が、鉛直線G1と一致するように基体12を支持しているので、制御ユニット10Aの荷重を下部マウント部材2Aで確実に受けることができ、振動等を効果的に抑制しつつ制御ユニット10Aを好適に支持することができる。
また、このことは、ブラケット1の形状の簡略化およびブラケット1の小型化に寄与する。
【0076】
また、側部マウント部材2Bは、水平方向で、かつモータ軸M1に垂直となる方向から基体12の右側面12eに固定されているので、下部マウント部材2Aによる支持と相俟って、制御ユニット10Aの鉛直方向や水平方向、さらには回転方向の振動を吸収するように支持することができ、制御ユニット10Aの振動等を効果的に抑制することができる。
【0077】
また、下部マウント部材2Aと側部マウント部材2Bとは、それぞれの中心を通る軸線O1,O2の延長線が相互に交差しないように基体12に固定されている(モータ軸M1方向にずれて配置されている)ので、さらに、制御ユニット10Aのねじれ方向の振動を吸収するように支持することができ、制御ユニット10Aの振動等をより効果的に抑制することができる。
【0078】
また、蓋部材52を介して下部マウント部材2Aが固定されるので、下部マウント部材2Aの固定構造を簡単なものとすることができる。このことは、部品点数の削減や製造コストの低減に寄与する。
また、蓋部材52により密封される一対のリザーバ32、32間に下部マウント部材2Aが配置されているので、基体12のデッドスペースを有効に利用して下部マウント部材2Aを固定することができる。
また、下部マウント部材2Aは、複数のリザーバ32,32間において基体12に設けられたマウントねじ穴27に、蓋部材52の貫通孔72を介してボルト3Aにより固定されているので、基体12のデッドスペースを有効に利用しつつ、蓋部材52の貫通孔72を介して下部マウント部材2Aを好適に固定することができる。このように、基体12のデッドスペースを有効に利用した下部マウント部材2Aの取り付けが可能となるので、ブラケット1の形状の簡略化や小型化を図ることができる。
また、ボルト3Aで、下部マウント部材2Aと蓋部材52とが共に固定されるので、組み付けが簡単であり、また、部品点数を削減して製造コストを低減させることができる。
また、複数のリザーバ穴30、30を、単一(共通)の蓋部材52で密封することができるため、部品点数を削減して製造コストを低減させることができる。この結果、本実施形態では、蓋部材52が基体12から必要以上に突出することがなく、小型化に寄与することができる。なお、蓋部材52が基体12から必要以上に突出することがないとは、プレート部材54の板厚と短手方向リブ62、62の高さ寸法だけ蓋部材52が基体12から突出するという意味である。
【0079】
また、蓋部材52は、プレート状の部材であり、貫通孔72は、一端側(下面52f側)からバーリング加工によって生じた突出片72cを折り返して座面72bが形成されているので、簡単な構造により蓋部材52を介して下部マウント部材2Aを強固に固定することができ、制御ユニット10Aの振動等をより効果的に抑制することができる。
【0080】
さらにまた、プレート部材54を基体12に固定する際に、ねじ孔64を囲繞する枠部70の座面70aが基体12の下面12fに当接して、シール部材56の圧縮量が規制されることとなるので、ねじ部材50でプレート部材54を強固に固定することができるとともに、シール部材56の過度の圧縮変形を効果的に防止することができる。この結果、本実施形態では、シール部材56の耐久性を向上させるとともに、リング状からなるシール部材56のシール面の面圧を均一に保持することができる。
【0081】
前記実施形態では、下部マウント部材2Aと側部マウント部材2Bとを介してブラケット1で制御ユニット10Aを支持する構成としたが、これに限られることはなく、下部マウント部材2Aのみをブラケット1の第1支持部1Aに配設して、この下部マウント部材2Aのみで、制御ユニット10Aを支持するように構成してもよい。この場合にも、下部マウント部材2Aが交差点G2に位置しているので、一つの下部マウント部材2Aで安定して制御ユニット10Aを支持することができ、制御ユニット10Aの振動等を効果的に抑制することができる。
この場合、ブラケット1は、第1支持部1Aの支持孔1cが穿設される位置まで形成されていればよいので、ブラケット1の形状をさらに簡略化することができ、ブラケットのさらなる小型化を図ることができる。
【0082】
また、前記実施形態では、下部マウント部材2Aの中心を通る軸線O1が、鉛直線G1と一致する構成を示したが、これに限られることはなく、軸線O1と鉛直線G1とが一致しない状態、例えば、図5(e)に破線で示すように、マウントゴム4の第1平面4cの外径の内側に交差点G2が位置する状態で、基体12に下部マウント部材2Aが固定されるように構成してもよい。この場合にも、下部マウント部材2Aが交差点G2に位置するので、必要最小限の下部マウント部材2Aで安定して制御ユニット10Aを支持することができる。別言すれば、マウントゴム4の第1平面4cの外径の内側の範囲内に交差点G2が位置する姿勢で、制御ユニット10A(基体12)が下部マウント部材2Aを介してブラケット1で支持されるように構成されていればよい。
【0083】
また、前記実施形態では、下部マウント部材2Aと側部マウント部材2Bとの軸線O1,O2の延長線が、相互に交差しないように制御ユニット10A(基体12)に固定されている構成を示したが、これに限られることはなく、軸線O1,O2の延長線が相互に交差するようにして、制御ユニット10A(基体12)に固定されるように構成してもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、側部マウント部材2Bは、水平方向で、かつモータ軸M1に垂直となる方向から基体12の右側面12eに固定される構成を示したが、これに限られることはなく、水平方向に傾斜する方向やモータ軸M1に垂直となる方向に傾斜する方向から基体12の右側面12eに固定されるように構成してもよい。
【0085】
なお、前記実施形態においては、自動二輪車に好適に用いられるブレーキ制御装置を例示しているが、前記した技術的特徴を自動四輪車に用いられるブレーキ制御装置に適用しても差し支えない。
【符号の説明】
【0086】
1 ブラケット
2A 下部マウント部材
2B 側部マウント部材
3A,3B ボルト
4 マウントゴム
10A 制御ユニット
10B 支持手段
12 基体
12f,52f 下面
14 モータ
14a モータケース
16 コントロールハウジング(ハウジング)
27,29 マウントねじ穴
32 リザーバ
52 蓋部材
72 貫通孔
72b 座面
72c 突出片
G 重心
G1 鉛直線
G2 交差点
L1 距離
L2,L3 大きさ
M1 モータ軸
O1 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体、モータおよび制御装置のハウジングをユニット化して構成され、前記基体を間に挟んで前記モータおよび前記ハウジングが配設された制御ユニットと、
車体と前記制御ユニットとの間に介設された支持手段と、を備えた車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記支持手段は、前記制御ユニットを車体に取り付けた際の前記基体の鉛直方向の下面に固定される下部マウント部材と、前記下部マウント部材と車体とをつなぐブラケットと、を有し、
前記制御ユニットの重心は、前記基体に位置するように構成され、
前記下部マウント部材は、
前記重心を通る鉛直線と前記基体の下面との交差点に位置するように、前記ブラケットに支持されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
基体、モータおよび制御装置のハウジングをユニット化して構成され、前記基体を間に挟んで前記モータおよび前記ハウジングが配設された制御ユニットと、
車体と前記制御ユニットとの間に介設された支持手段と、を備えた車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記支持手段は、前記制御ユニットを車体に取り付けた際の前記基体の鉛直方向の下面に固定される下部マウント部材と、前記下部マウント部材と車体とをつなぐブラケットと、を有し、
前記基体は、モータ取付面からハウジング取付面までの距離が、モータ軸方向におけるモータケースの大きさよりも大きく、かつ、モータ軸方向における前記ハウジングの大きさよりも小さく設定されることで、前記制御ユニットの重心が、前記基体に位置するように構成され、
前記下部マウント部材は、
前記重心を通る鉛直線と前記基体の下面との交差点に位置するように、前記ブラケットに支持されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置であって、前記下部マウント部材は、その中心を通る軸線が、前記重心を通る鉛直線と一致するように単一で前記基体を支持していることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記支持手段は、前記基体の下面に隣接している側面に固定される側部マウント部材を有し、
前記側部マウント部材は、水平方向で、かつ前記モータのモータ軸に垂直となる方向から前記側面に固定されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記下部マウント部材と前記側部マウント部材とは、それぞれの中心を通る軸線の延長線が相互に交差しないように前記基体に固定されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記基体は、前記基体の下面に開口を有する複数のザーバと、前記リザーバを密封する密封部材を有し、
前記下部マウント部材は、前記密封部材を介して前記基体の下面に固定されることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記密封部材は、複数の前記リザーバを密封して、その前記リザーバ間に前記下部マウント部材が配置されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記密封部材と前記下部マウント部材とは、前記基体の下面に設けられたねじ穴に螺合するねじで、共に固定されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記密封部材は、プレート状の部材であり、前記ねじ穴に対応する部位には、前記ねじを挿通するための貫通孔が形成されており、
前記貫通孔は、一端側からバーリング加工によって生じた突出片を折り返して座面が形成されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−201246(P2012−201246A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68223(P2011−68223)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】