説明

車両用ホイール

【課題】ホイール本体を減肉することなく加飾部材を配置できるようにすることで、強度を維持しつつ意匠の自由度を高める。
【解決手段】リム部10とディスク部11とよりなりディスク部11に飾り穴141 をもつホイール本体1と、少なくともディスク部11に保持され飾り穴141 に表出する樹脂製の加飾部材2と、からなる。
加飾部材2が飾り穴141 に表出しているので、スポーク部14などホイール本体1を減肉する必要が無い。またディスク部11の意匠に協働して、加飾部材2の意匠が表出するので意匠の自由度が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用のホイールに関し、詳しくは樹脂製の加飾部材をもつホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のタイヤが装着されるホイールは、燃費の向上を目的として、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの軽合金から形成されたものが多く用いられている。このような軽合金製のホイールはリム部とディスク部とよりなるものであり、ディスク部に飾り穴を形成することによってさらなる軽量化を達成している。
【0003】
軽合金製のホイールは、その金属光沢を利用して、ホイールキャップを用いることなくホイール本体のみで意匠を表現するのが一般的である。しかしながらホイール本体のみで意匠を表現すると、意匠面に傷が付いた場合などにはホイール本体を交換しなければならず不経済である。また意匠によっては、ホイールとしての強度を満足しないものもあり、そのような意匠を具現することは困難である。
【0004】
そこで特開2003−159901号公報、特開2005−324799号公報などには、樹脂製の加飾部材をホイール本体に着脱可能に取付けた加飾軽合金ホイールが提案されている。例えば特開2003−159901号公報に記載の加飾軽合金ホイールでは、ホイール本体のスポーク部を含む表面に窪みを形成し、樹脂製の加飾部材をその窪みに交換可能に装着している。また特開2005−324799号公報に記載の加飾軽合金ホイールでは、スポーク部に形成された貫通孔に弾性ブッシュを介して樹脂製加飾カバーから突出する突起部が嵌合することで、加飾カバーを交換可能に装着している。
【0005】
ところが特開2003−159901号公報に記載の加飾軽合金ホイールにおいては、スポーク部に窪みを形成しているために、軽量化には効果的であるものの、強度を考慮すると窪みの深さには限界があり、意匠の自由度が低いという問題がある。また上記した加飾軽合金ホイールにおいては、部分的に加飾部材を配置する場合に、加飾部材の表面とホイール本体の表面とがほぼ同一表面となることが望まれることが多い。このような場合には、加飾部材の厚み分だけスポーク部を薄くせざるを得ず、その分強度が低下するため、やはり意匠の自由度が低いという問題がある。
【特許文献1】特開2003−159901号
【特許文献2】特開2005−324799号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ホイール本体を減肉することなく加飾部材を配置できるようにすることで、強度を維持しつつ意匠の自由度を高めることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の車両用ホイールの特徴は、リム部とディスク部とよりなりディスク部に飾り穴をもつホイール本体と、少なくともディスク部に保持され飾り穴に表出する樹脂製の加飾部材と、からなることにある。
【0008】
加飾部材には複数の固定部が形成され、ホイール本体に形成された複数の被固定部に固定部がそれぞれ係合することで、加飾部材がホイール本体に一体的に保持されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用ホイールによれば、加飾部材が飾り穴に表出するように設けられている。したがって、スポーク部あるいはリム部などとは無関係に加飾部材を設けることができ、ホイール本体を減肉する必要が無い。またディスク部の意匠に協働して、加飾部材の意匠が表出する。すなわち本発明の車両用ホイールによれば、ホイールとしての強度を維持しつつ、意匠の自由度が高まる。
【0010】
複数の固定部が複数の被固定部にそれぞれ係合することで加飾部材をホイール本体に保持すれば、走行時における加飾部材の移動を確実に規制でき、破損を防止することができる。
【0011】
加飾部材は、中空部をもつ断面略U字形状をなすことが望ましい。このようにすれば、平板形状とした場合に比して加飾部材の剛性が高まる。さらに中空部を横断するリブを備えれば、断面形状効果及びリブによって剛性がさらに高まるため、走行時などにホイール本体から作用する応力に耐えることができる。
【0012】
リブに形成されたボス部に固定部を形成し、リブ及びボス部が中空部の底部から離間した構造とすれば、中空部の底部の裏面側にある意匠面にヒケが生じるのを防止することができ、加飾部材の意匠性が向上する。
【0013】
固定部を加飾部材の周縁部より内周側に形成すれば、ホイールを正面から見たときに固定部と被固定部との係合部分が表出するのが防止されるので、意匠性がさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の車両用ホイールは、ホイール本体と、加飾部材とから構成される。ホイール本体は、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの軽合金から形成されたものを用いることができる。ホイール本体は、タイヤのビード部が着座するリム部とディスク部とよりなり、ディスク部に飾り穴を有している。
【0015】
ディスク部はボルト孔を有するハブ部と外縁とを備えている。ハブ部と外縁との間にはスポーク部、メッシュ部、あるいは板部などが形成され、それぞれスポークタイプディスク、メッシュタイプディスク、ディッシュタイプディスクと呼ばれている。本発明のホイールはディスク部に飾り穴をもつものであり、スポークタイプディスクでは隣接するスポークどうしの間に飾り穴を形成することができる。メッシュタイプディスクでは、メッシュの目を飾り穴とすることができる。さらにディッシュタイプディスクでは、板部に形成された貫通孔を飾り穴とすることができる。
【0016】
加飾部材は、軽量化の観点から樹脂から形成することが好ましく、硬質樹脂から形成することが望ましい。硬質樹脂としては、例えばABS、PP、PA、ノリル樹脂、ポリカABSアロイ樹脂などが例示される。またカーボン繊維、ガラス繊維あるいはセラミック粉末などの各種フィラーで強化された強化樹脂を用いることもできる。
【0017】
加飾部材の加飾方法としては、無電解メッキ、蒸着、塗装など既知の方法を用いることができ、その意匠としては金属光沢、車両のボディ塗色などが挙げられる。
【0018】
加飾部材には、複数の固定部が形成されている。この固定部としては、ボルト、ピン、係止爪、係合穴などが例示される。固定部が1個では、走行時の回転による遠心力などによって加飾部材が変位してスポーク部などと干渉する恐れがあるので、固定部は2個以上の複数形成される。この固定部は、ホイール本体に形成された複数の被固定部にそれぞれ係止される。これによって加飾部材はホイール本体に一体的に保持され、遠心力による変位なども生じない。
【0019】
加飾部材は中実形状としてもよいが、剛性を持たせかつ軽量化のためには中空部をもつ断面略U字形状に形成することが望ましい。ここで断面略U字形状とは、断面U字状、断面V字状、断面コ字状などをいう。しかし中空部をもつ断面略U字形状の加飾部材とした場合には、強度が不十分のために使用中に変形や破損が生じる恐れがある。そこで加飾部材は、中空部を横断するリブを備えることが望ましい。リブによって重量の増大を最小限に抑制しつつ剛性を確保することができる。
【0020】
加飾部材を中空部をもつ断面略U字形状とした場合には、U字断面の開口側が裏面側となり、U字断面の底部の凸表面側が意匠面となる。したがって例えばU字断面の底面にボス部を形成し、そのボス部にボルトなど保持固定して固定部を構成することが考えられる。しかしこの場合にはボス部が厚肉となるために、成形時にボス部の裏面側である意匠面にヒケが生じるという不具合がある。
【0021】
そこでリブ自体にボス部を形成し、スライドコアを用いてリブ及びボス部を中空部の底部から離間するように形成することが望ましい。これにより意匠面にヒケが生じるのを回避することができ、加飾部材の意匠性が向上する。そしてボルト、クリップなどをそのボス部に保持固定し、固定部とすることができる。
【0022】
なおリブ及びボス部を中空部の底部から離間するように形成した場合、水、泥などの異物が加飾部材の中空部に進入し、ホイールの回転に伴って移動することで異音が発生する場合がある。このような不具合を防止するために、リブから加飾部材の底面に向かって延びる板状部を形成することも好ましい。この板状部によって異物の侵入をある程度防止することができる。
【0023】
固定部は、加飾部材の周縁部より内周側に形成されていることが好ましい。これによりホールを正面から見たときに、被固定部との係合部分が視認されにくくなり、意匠性がさらに向上する。上記したようにリブにボス部を形成すれば、固定部は必然的に加飾部材の周縁部より内周側に形成されることになる。
【0024】
固定部と係合する被固定部は、ハブ部やスポーク部に設けることができる。またハブ部やスポーク部あるいはリム部から飾り穴内に延出する突起あるいは薄肉部などを形成し、その突起あるいは薄肉部などに被固定部を形成してもよい。この場合、加飾部材の周縁部が突起あるいは薄肉部を覆うように構成し、突起が視認されにくくすることが望ましい。
【0025】
例えば被固定部としての突起あるいは薄肉部は、正面視した際に加飾部材の下に隠れて視認されないように、加飾部材に互いに向かい合う対として形成することが望ましい。すなわち加飾部材が一般的な直線的形状である場合は、ホイール本体の半径方向及び/又は周方向で互いに向かい合う位置に対として形成することが望ましい。また加飾部材が曲線的形状である場合は、当該曲線に沿う方向に対として形成することが望ましい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0027】
(実施例1)
図1に本実施例の車両用ホイールの正面図を、図5にその断面図を示す。このホイールは、アルミニウム合金製のホイール本体1と、ポリカABSアロイ樹脂から射出成形により形成された加飾部材2と、から構成されている。
【0028】
図2に示すホイール本体1は、タイヤのビード部が着座する略円筒状のリム部10と、意匠表面を形成するディスク部11とからなる。ディスク部11は、車軸を取付けるハブ部12と、リム部10の一部を構成する外縁13と、外縁13とハブ部12とを連結する複数のスポーク部14と、を有している。ハブ部12にはハブ穴120 が形成され、ハブ穴120 周りにホイールを車軸のハブに固定するためのハブボルトが貫通する複数のボルト孔121 が形成されている。なお本実施例ではリム部10とディスク部11とは一体に形成されているが、それぞれ別に形成されたリム部10とディスク部11とが結合されたホイール本体を用いることもできる。
【0029】
スポーク部14は2本一組のペアが5組形成され、各組のスポーク部14はハブ部12から星型放射状に延びている。ペアを構成する2本一組のスポーク部14どうしの間には、第1飾り穴141 が形成されている。また第1飾り穴141 の隣には、2本一組のスポーク部14の各組どうしの間に第2飾り穴142 が形成されている。
【0030】
ハブ部12のボルト孔121 の径方向外方には、それぞれ第1飾り穴141 に延出する薄肉部122 が形成され、薄肉部122 には内周係合孔123 がそれぞれ厚さ方向(車軸方向)に貫通している。またリム部10からは、それぞれ第1飾り穴141 に向かって径方向内方へ延出する突起101 が形成され、突起101 の先端にはそれぞれ外周係合孔102 が厚さ方向(車軸方向)に貫通している。
【0031】
第1飾り穴141 には、それぞれほぼ舟形状の加飾部材2が径方向に延びるように配置されている。図3及び図4に示す加飾部材2は、中空部をもつ略断面U字形状をなし、U字断面の底部の凸表面側が表出して意匠面20を構成している。意匠面20は、無電解めっき処理によって金属光沢の意匠を呈している。
【0032】
加飾部材2の中空部には、中空部を橋状に横断する2本一対のリブ21が前後にそれぞれ形成され、一対のリブ21の間にそれぞれボス部22、23がリブ21と一体に形成されている。リブ21及びボス部22、23は、中空部の底面から離間して形成され、意匠面20にヒケが発生するのが防止されている。またボス部22、23にはそれぞれ取付孔24が形成され、金属製のボルト部材3の一端がタッピンネジとしてそれぞれ固定され、固定部が構成されている。さらに、ボス部23の後方には、平板部25が形成されている。
【0033】
図5、図6に示すように、ボス部22に固定されたボルト部材3が内周係合孔123 (被固定部)に挿通され、ナット30により薄肉部122 に締結されている。一方、ボス部23に固定されたボルト部材3は外周係合孔102 (被固定部)に挿通され、ナット30により突起101 に締結されている。そして平板部25がリム部10の側面(ディスク部の外縁13)へ延び、リム部10の側面(ディスク部の外縁13)の一部を覆っている。
【0034】
すなわち本実施例のホイールによれば、スポーク部14と同様の金属光沢意匠をもつ加飾部材2が第1飾り穴141 内に放射状に延びて配置されている。したがって2本一組のスポーク部14と加飾部材2とで3本一組のスポーク形状となり、3本一組のスポーク形状どうしの間に第2飾り穴142 をもつ星形意匠が発現される。そして加飾部材2は樹脂製であるので、同じ意匠を全てアルミニウム合金で形成する場合に比べて軽量化を達成でき燃費の向上に貢献できる。さらに断面U字形状の加飾部材2によって内周係合孔123 と外周係合孔102 が覆われているので、正面から取付部分が視認されることがなく高い意匠性を備えている。
【0035】
また加飾部材2は前後2箇所でホイール本体1に締結されているので、走行時の荷重に十分耐えることができ、交換も容易である。そして一対のスポーク部14の間の第1飾り穴141 に加飾部材2を配置しているので、加飾部材2を配置するためにスポーク部14を減肉する必要がない。したがって、ホイールとしての十分な強度を維持しつつ、意匠の自由度が高まる。さらに、色彩的にも自由度が高い加飾部材とすることができ、合金製のホイール本体と協働して、ホイールの鋳造あるいは鍛造のみでは得られない新規な意匠のホイールとすることができる。
【0036】
(実施例2)
図7に示す本実施例のホイールは、加飾部材2の構造が異なること以外は実施例1と同様である。
【0037】
加飾部材2は、実施例1における加飾部材2のボス部23の位置に棒状の爪部26が突設され、爪部26の先端が突起101 の先端に形成された外周係合孔102 に係合している。ボス部22側は実施例1と同様であり、固定されたボルト部材3が内周係合孔123 に挿通され、ナット30により薄肉部122 に締結されている。
【0038】
したがって本実施例のホイールにおいても、実施例1のホイールと同様の作用効果が奏される。
【0039】
(実施例3)
本実施例のホイールは、加飾部材2の取付構造が異なること以外は実施例1と同様である。
【0040】
図8に示すように、ホイール本体1の第1飾り穴141 には、薄肉部122 に代えて、2本一組のスポーク部14に懸架された橋部15が形成され、橋部15に内周係合孔123 が形成されている。図示は省略するが、実施例1と同様の加飾部材2のボス部22に固定されたボルト部材3が内周係合孔123 に挿通され、ナット30により橋部15に締結される。ボス部23に固定されたボルト部材3は、実施例1と同様に突起101 に締結される。
【0041】
したがって本実施例のホイールにおいても、実施例1のホイールと同様の作用効果が奏される。
【0042】
(実施例4)
図9〜図11に本実施例のホイールを示す。このホイールは、実施例1と同様のホイール本体1と、ポリカABSアロイ樹脂製の加飾部材4とから構成されている。加飾部材4は、図10に示すように、ハブ穴120 とボルト孔121 を除いたハブ部12を覆う中央部40と、中央部40から放射状に突出して延びる五本の腕部41とから構成されている。五本の腕部41は、それぞれ実施例1の加飾部材2と同様の断面U字形状に形成され、中空部には実施例1の加飾部材2と同様のリブ21、ボス部22、取付孔24、平板部25、実施例2と同様の爪部26がそれぞれ実施例1、2と同様に形成されている。
【0043】
この加飾部材4は、五本の腕部41がそれぞれ第1飾り穴141 を縦断するように配置され、ボス部22に固定されたボルト部材3が薄肉部122 に形成された内周係合孔123 にナット30で締結されることで、中央部40がハブ部12に固定される。一方、五本の腕部41では、先端側に形成された爪部26が突起101 の外周係合孔102 にそれぞれ係止される。
【0044】
したがって本実施例のホイールにおいても、実施例1のホイールと同様の作用効果が奏されると共に、ハブ部12に別の意匠を具現することが可能となる。
【0045】
(実施例5)
図12〜図14に本実施例のホイールを示す。このホイールは、アルミニウム合金製のホイール本体5と、ポリカABSアロイ樹脂から射出成形により形成された加飾部材6と、から構成されている。
【0046】
図13に示すホイール本体5は、リム部51とハブ部52とを連結する5本のスポーク部50を有し、各スポーク部50どうしの間にそれぞれ飾り穴53が形成されている。
【0047】
ホイール本体5のハブ部52からは、それぞれ飾り穴53に向かって径方向外方へ延出する突起54が形成され、突起54の先端にはそれぞれ内周係合孔55が厚さ方向(車軸方向)に貫通している。またリム部51からは、それぞれ飾り穴53に向かって径方向内方へ延出する突起56が形成され、突起56の先端にはそれぞれ外周係合孔57が厚さ方向(車軸方向)に貫通している。突起54及び突起56はホイール本体5の径方向に、同一直線上に延びている。
【0048】
飾り穴53には、それぞれ加飾部材6が配置されている。加飾部材6は、図14に背面図を示すように、中空部をもつ略断面U字形状の幹部60と、幹部60の両側から延びる一対の枝部61と、幹部60及び一対の枝部61の先端を連結する円弧部62とからなり、幹部60、枝部61及び円弧部62の表面が無電解めっき処理によって金属光沢の意匠を呈する意匠面を構成している。
【0049】
幹部60の裏面側には、実施例1の加飾部材と同様に、図示しない一対のリブの間にボス部63が形成されている。ボス部63は幹部60の長手方向に間隔を隔てて一対形成され、それぞれのボス部63には実施例1と同様にボルト部材3が固定されている。また円弧部62の裏面には、両面テープ64が貼着されている。
【0050】
この加飾部材6は、幹部60に保持された一対のボルト部材3がそれぞれ内周係合孔55と外周係合孔57に挿通され、突起54及び突起56の裏面側から実施例1と同様に図示しないナット30によって固定されている。また円弧部62は、両面テープ64によってリム部51の外表面に貼着されている。
【0051】
すなわち本実施例のホイールによれば、スポーク部50と同様の金属光沢意匠をもつ加飾部材6が飾り穴53内に放射状に延びて配置されている。したがってスポーク部50と加飾部材6とで特異なスポーク形状の意匠が発現される。そして加飾部材6は樹脂製であるので、同じ意匠を全てアルミニウム合金で形成する場合に比べて軽量化を達成でき燃費の向上に貢献できる。さらに加飾部材6の幹部60によって突起54と突起56が覆われているので、正面から取付部分が視認されることがなく高い意匠性を備えている。
【0052】
また加飾部材6は2箇所でホイール本体5に締結されているので、走行時の荷重に十分耐えることができ、交換も容易である。またスポーク部50を減肉する必要がない。したがって、ホイールとしての十分な強度を維持しつつ、意匠の自由度が高まる。さらに、色彩的にも自由度が高い加飾部材とすることができ、合金製のホイール本体と協働して、ホイールの鋳造あるいは鍛造のみでは得られない新規な意匠のホイールとすることができる。
【0053】
なお本実施例では、両面テープ64を用いて円弧部62をリム部51に貼着しているが、図15に示すように、リム部51から延出する突起56を2個形成し、実施例1と同様のボルト部材3あるいは実施例2と同様の爪部26などで円弧部62を突起56に固定することもできる。
【0054】
(実施例6)
図16〜図18に本実施例のホイールを示す。このホイールは、アルミニウム合金製のホイール本体5と、ポリカABSアロイ樹脂から射出成形により形成された加飾部材6と、から構成されている。
【0055】
本実施例のホイールは、スポーク部50が円弧状をなすこと、及び被固定部としての突起54と突起56が加飾部材6の曲線形状に沿って両端から互いに向かい合う位置に対として形成されていること以外は、実施例5と同様のホイール本体を用いている。
【0056】
また加飾部材6は、表面に段差部をもつ円弧状をなし、裏面側に固着された図示しないボルト部材が突起54の内周係合孔55及び突起56の外周係合孔57に挿通され、図示しないナットによって固定されていること以外は実施例5と同様である。
【0057】
したがって本実施例のホイールにおいても、実施例5のホイールと同様の作用効果が奏される。
【0058】
(実施例7)
図19〜図22に本実施例のホイールを示す。このホイールは、アルミニウム合金製のホイール本体7と、ポリカABSアロイ樹脂から射出成形により形成された加飾部材8と、から構成されている。
【0059】
図20に示すホイール本体7は、リム部71とハブ部72とを連結する5本のスポーク部70を有し、各スポーク部70どうしの間にそれぞれ飾り穴73が形成されている。
【0060】
図22に拡大して示すように、スポーク部70の両側面には、それぞれ飾り穴70に向かって周方向に延出する突起74が形成され、突起74の先端にはそれぞれ係合孔75が厚さ方向(車軸方向)に貫通している。突起74は、スポーク部70の根元側と先端側にそれぞれ形成され、1本のスポーク部70に合計4個形成されている。そして突起74には、それぞれ貫通孔75が形成されている。
【0061】
飾り穴70には、それぞれ加飾部材8が配置されている。図21に示す加飾部材8は、一対の平板部80と、一対の平板部80どうしを連結し互いに交差する一対の円弧部81とからなり、平板部80と円弧部81の表面が無電解めっき処理によって金属光沢の意匠を呈する意匠面を構成している。
【0062】
図22に示すように、一対の平板部80の裏面側には実施例1と同様のボス部82が形成され、ボス部82は平板部80の長手方向に間隔を隔てて一対形成されている。ボス部82には、それぞれボルト部材3が保持されている。この加飾部材8は、ボルト部材3がそれぞれ貫通孔75に挿通され、突起74の裏面側から実施例1と同様にナット30によって固定されている。
【0063】
すなわち本実施例のホイールによれば、スポーク部70と同様の金属光沢意匠をもつ加飾部材8が飾り穴73内に配置されている。したがってスポーク部70と加飾部材8とで特異な意匠が発現される。そして加飾部材8は樹脂製であるので、同じ意匠を全てアルミニウム合金で形成する場合に比べて軽量化を達成でき燃費の向上に貢献できる。さらに加飾部材8の平板部80によって突起74が覆われているので、正面から取付部分が視認されることがなく高い意匠性を備えている。
【0064】
また加飾部材8は4箇所でホイール本体7に締結されているので、走行時の荷重に十分耐えることができ、交換も容易である。またスポーク部70を減肉する必要もなく、ホイールとしての十分な強度を維持しつつ、意匠の自由度が高まる。さらに、色彩的にも自由度が高い加飾部材とすることができ、合金製のホイール本体と協働して、ホイールの鋳造あるいは鍛造のみでは得られない新規な意匠のホイールとすることができる。
【0065】
なお本実施例では加飾部材8に一対の平板部80を形成しているが、平板部80を形成せずに一対の円弧部81のみから加飾部材8を構成することもできる。この場合には、一対の円弧部81の両端にボス部82が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施例に係るホイールの正面図である。
【図2】本発明の一実施例に係るホイールに用いたホイール本体の正面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るホイールに用いた加飾部材の斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係るホイールに用いた加飾部材の断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係るホイールの断面図である。
【図6】本発明の一実施例に係るホイールの要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係るホイールの要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第3の実施例係るホイールに用いたホイール本体の要部拡大正面図である。
【図9】本発明の第4の実施例に係るホイールに用いたホイール本体の正面図である。
【図10】本発明の第4の実施例に係るホイールに用いた加飾部材の正面図である。
【図11】本発明の第4の実施例に係るホイールの要部拡大断面図である。
【図12】本発明の第5の実施例に係るホイールの正面図である。
【図13】本発明の第5の実施例に係るホイールに用いたホイール本体の正面図である。
【図14】本発明の第5の実施例に係るホイールに用いた加飾部材の正面図である。
【図15】本発明の第5の実施例に係るホイールに用いたホイール本体の他の態様を示す要部正面図である。
【図16】本発明の第6の実施例に係るホイールの正面図である。
【図17】本発明の第6の実施例に係るホイールに用いたホイール本体の要部正面図である。
【図18】本発明の第6の実施例に係るホイールに用いた加飾部材の正面図である。
【図19】本発明の第7の実施例に係るホイールの正面図である。
【図20】本発明の第7の実施例に係るホイールに用いたホイール本体の要部正面図である。
【図21】本発明の第7の実施例に係るホイールに用いた加飾部材の正面図である。
【図22】本発明の第7の実施例に係るホイールの要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1:ホイール本体 2:加飾部材 3:ボルト部材(係止部材)
10:リム部 11:ディスク部 12:ハブ部
14:スポーク部 30:ナット 141:第1飾り穴
142:第2飾り穴 101:突起 102:外周係合孔
122:薄肉部 123:外周係合孔 21:リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム部とディスク部とよりなり該ディスク部に飾り穴をもつホイール本体と、
少なくとも該ディスク部に保持され該飾り穴に表出する樹脂製の加飾部材と、からなることを特徴とする車両用ホイール。
【請求項2】
前記加飾部材には複数の固定部が形成され、前記ホイール本体に形成された複数の被固定部に該固定部がそれぞれ係合することで、該加飾部材が該ホイール本体に一体的に保持されている請求項1に記載の車両用ホイール。
【請求項3】
前記加飾部材は中空部をもつ断面略U字形状をなし、該中空部を横断するリブを備えた請求項1又は請求項2に記載の車両用ホイール。
【請求項4】
前記固定部は前記リブに形成されたボス部から突出し、前記リブ及び該ボス部は前記中空部の底部から離間している請求項3に記載の車両用ホイール。
【請求項5】
前記固定部は、前記加飾部材の周縁部より内周側に形成されている請求項2に記載の車両用ホイール。
【請求項6】
前記ホイール本体は前記飾り穴内へ延出する突起をもち、前記被固定部の少なくとも一つが該突起に形成されている請求項2に記載の車両用ホイール。
【請求項7】
前記ディスク部は、ハブ部と、該ハブ部から放射状に延びる複数のスポーク部と、隣接する該スポーク部どうしの間に形成された前記飾り穴とからなり、前記飾り穴には該ハブ部から薄肉部が延出し、前記被固定部の少なくとも一つが該薄肉部に形成されている請求項6に記載の車両用ホイール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−230539(P2007−230539A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318737(P2006−318737)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】