説明

車両用ワイパウォッシャ制御装置及び車両用ワイパウォッシャ装置

【課題】洗浄液不足の生じる箇所を低減し、その洗浄液を用いた払拭面の汚れ落としを十分に行うことができる車両用ワイパウォッシャ制御装置を提供する。
【解決手段】ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて、ワイパ51の下反転位置A1においてワイパ51に設けられるウォッシャノズルから洗浄液Wのベース噴射を行うとともにその噴射に連動させてワイパ51を数回の往復払拭動作を行わせ、ワイパ51が下反転位置A1から上反転位置A2に向かう途中に洗浄液Wの追加噴射を行う。この場合、高速走行時との判定がなされると、その追加噴射時のウォッシャノズルへの洗浄液Wの供給圧を第1の圧力P1より高圧の第2の圧力P2に変更され、ウォッシャノズルからの洗浄液Wの追加噴射をワイパブレード51bの基端寄りの噴射態様に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行風を受ける車両のフロントガラス(ウインドシールドガラス)の払拭面への洗浄液の噴射供給とその払拭面のワイパによる払拭とを連動させて制御する車両用ワイパウォッシャ制御装置及びその制御装置を備えた車両用ワイパウォッシャ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ワイパウォッシャ制御装置において、ウォッシャスイッチのオン操作に基づいてワイパ装置とウォッシャ装置とを連動させて作動させるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。このワイパウォッシャ制御装置では、ウォッシャスイッチがオン操作されると、ウォッシャ装置から払拭面に洗浄液が噴射供給されると同時にワイパ装置によるワイパの払拭動作が開始される。
【0003】
また、フロントガラスの払拭面に向けて洗浄液を噴射供給するウォッシャノズルをワイパアームやワイパブレードといったワイパ構成部品に直接設けたウォッシャ装置も知られている。このようなウォッシャ装置では、ワイパにウォッシャノズルを設けていることから、払拭面に対して至近距離から洗浄液を噴射できるため、払拭面に洗浄液が着水するまでの間に走行風の影響を受け難く、所望の場所に洗浄液を供給できるというメリットがある。
【特許文献1】特開平5−185908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ウォッシャノズルをワイパアームやワイパブレードに設けたウォッシャ装置に上記した特許文献1のようにワイパ装置と連動させた場合、ワイパブレードの長手方向がフロントガラス下端の車幅方向と平行(走行風に対しては直交)となる下反転位置において洗浄液が払拭面に供給されるとともに、払拭作動するワイパの進行方向側に掻き広げられるようになっている。
【0005】
しかしながら、下反転位置から上反転位置に向けてワイパアームが回動し、ワイパブレードの長手方向が車幅方向と直交(走行風に対しては平行)する付近では、ワイパブレードに掻き広げられた洗浄液が該アームの回動による遠心力に加えて走行風の影響を受け、フロントガラスの上端側に上昇することがある。特に、走行風が強くなる高速走行時に顕著に起こっていた。すると、ワイパブレードに沿って該ブレードの先端側に洗浄液が片寄ってしまい、更にはワイパブレードの先端部からフロントガラスの上端部に向けて洗浄液が流れ出てしまって、洗浄液が無駄に消費されてしまう。
【0006】
これにより、ワイパブレードの基端側の洗浄液が不足、特に上記した走行風の強くなる高速走行時にはこのような事態が生じ易く、ワイパブレードの基端側では洗浄液を用いた払拭面の汚れ落としが十分できない虞があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ワイパに設けたウォッシャノズルからフロントガラスの払拭面に洗浄液を噴射供給するとともにその噴射に連動してワイパの払拭動作を行わせる車両用ワイパウォッシャ制御装置及びその制御装置を備えた車両用ワイパウォッシャ装置であって、洗浄液不足の生じる箇所を低減し、その洗浄液を用いた払拭面の汚れ落としを十分に行うことができる車両用ワイパウォッシャ制御装置及び車両用ワイパウォッシャ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両のフロントガラスの払拭面を払拭するワイパに設けられ前記払拭面に洗浄液を噴射供給するウォッシャノズルからウォッシャスイッチのオン操作に基づいて前記洗浄液を噴射させるべくウォッシャモータを制御するとともに、前記洗浄液の噴射に連動させて前記ワイパを第1及び第2反転位置間で往復払拭動作させるべくワイパモータを制御する車両用ワイパウォッシャ制御装置であって、前記ウォッシャノズルは、前記ワイパを構成するワイパブレードの基端側及び先端側に分散して前記洗浄液を噴射する複数の噴射孔を有し、前記洗浄液が第1の圧力で供給されると前記ワイパブレードの基端側及び先端側に分散して噴射する一方、前記洗浄液が前記第1の圧力と異なる第2の圧力で供給されると前記ワイパブレードの基端寄りに噴射態様を切り替える弁構造を備えてなるものであり、前記ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて、前記ワイパが払拭を開始する第1反転位置から第2反転位置に向かう途中に少なくとも1回の前記洗浄液の噴射を実施するとともに、その噴射に連動させて前記ワイパを少なくとも1回の往復払拭動作を行わせる連動制御手段と、車速が所定速度以上か否かを判定する車速判定手段と、前記車速判定手段にて前記車速が所定速度以上である判定がなされると、前記噴射時の前記ウォッシャノズルへの前記洗浄液の供給圧を第1の圧力から第2の圧力に変更すべく前記ウォッシャモータを制御し、前記ウォッシャノズルからの前記洗浄液の噴射を前記ワイパブレードの基端寄りの噴射態様に切り替える噴射態様変更手段とを備えたことをその要旨とする。
【0009】
この発明では、連動制御手段は、ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて、ワイパが払拭を開始する第1反転位置から第2反転位置に向かう途中に少なくとも1回の洗浄液の噴射を実施するとともに、その噴射に連動させてワイパを少なくとも1回の往復払拭動作を行わせる。噴射態様変更手段は、車速判定手段にて車速が所定速度以上である判定がなされると、少なくとも追加噴射時のウォッシャノズルへの洗浄液の供給圧を第1の圧力から第2の圧力に変更すべくウォッシャモータを制御する。このウォッシャノズルは、ワイパブレードの基端側及び先端側に分散して洗浄液を噴射可能とする複数の噴射孔を有しており、洗浄液が第1の圧力で供給されるとその分散による噴射を行う一方、洗浄液が第2の圧力で供給されるとワイパブレードの基端寄りに噴射態様を切り替える弁構造を備えている。これにより、車速が所定速度以上となる判定に基づきウォッシャノズルへの洗浄液の供給圧が第1の圧力から第2の圧力に変更されることで、ウォッシャノズルからの洗浄液の噴射がワイパブレードの基端寄りの噴射態様に切り替えられる。従って、車速が所定速度以上の高速走行時においては、噴射された洗浄液がワイパの払拭途中で強い走行風にてワイパブレードの先端側に片寄り基端側で洗浄液不足が生じることが懸念されるが、この高速走行時における洗浄液の噴射はワイパブレードの基端寄りに偏倚させて実施、例えば、少なくとも先端側への噴射を停止させることでその他の方向への噴射圧が高められるため、高速走行時にワイパブレードの基端側で不足しがちな洗浄液が好適に供給され、ワイパブレードの払拭範囲における洗浄液不足の生じる箇所を低減できる。従って、洗浄液を用いた払拭面の汚れ落としを十分に行うことが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、前記連動制御手段は、前記ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて、前記ワイパが払拭を開始する前記第1反転位置において前記洗浄液のベース噴射を実施するとともにその噴射に連動させて前記ワイパを少なくとも1回の往復払拭動作を行わせ、前記ワイパが第1反転位置から第2反転位置に向かう途中に少なくとも1回の前記洗浄液の追加噴射を前記ワイパの払拭動作中に実施し、前記噴射態様変更手段は、少なくとも前記追加噴射時の噴射態様を前記車速に応じて変更することをその要旨とする。
【0011】
この発明では、連動制御手段は、ワイパ作動前の第1反転位置でのベース噴射と、ワイパの払拭動作中の追加噴射とを実施し、噴射態様変更手段は、少なくともその追加噴射時の噴射態様を車速に応じて変更する。つまり、ワイパの払拭動作中に実施される追加噴射は、ワイパブレードの長手方向が車幅方向と直交、即ち走行風と平行となり洗浄液が走行風の影響を大きく受ける位置に近接した状態での実施となることから、高速走行時の追加噴射時においてワイパブレードの基端寄りに偏倚させて噴射を実施、例えば、少なくとも先端側への噴射を停止させることでその他の方向への噴射圧が高められるとともに、供給された洗浄液がワイパブレードの払拭範囲から流れ出てしまうことを防止できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、前記車速判定手段は、停車時、前記所定速度未満の低速走行時及び前記所定速度以上の高速走行時を判定可能に構成されるものであり、前記連動制御手段は、前記停車時と判定された場合に前記ベース噴射のみを実施し、前記低速走行時と判定された場合に前記噴射態様変更手段と協働して前記第1の圧力による前記ベース噴射と前記追加噴射とを実施し、前記高速走行時と判定された場合に前記噴射態様変更手段と協働して前記第1の圧力による前記ベース噴射と前記第2の圧力による前記追加噴射とを実施することをその要旨とする。
【0013】
この発明では、連動制御手段は、停車時と判定された場合にベース噴射のみを実施し、低速走行時と判定された場合に噴射態様変更手段と協働して第1の圧力によるベース噴射と追加噴射とを実施、即ちワイパブレードの基端側及び先端側に分散させるベース噴射と追加噴射とを実施する。高速走行時と判定された場合、連動制御手段は、噴射態様変更手段と協働して第1の圧力によるベース噴射、即ちワイパブレードの基端側及び先端側に分散させるベース噴射と、第2の圧力による追加噴射、即ちワイパブレードの基端寄りに偏倚させた追加噴射とを実施する。つまり、停車時では走行風を受けないことから、ワイパ作動前の第1反転位置でのベース噴射のみで、洗浄液がワイパブレードの払拭領域全体に掻き広げられる。また、低速走行時では走行風を受けるようになるため、ベース噴射に加え、そのベース噴射と同様に分散させる追加噴射を実施することで、ベース噴射時の洗浄液が掻き広げられる際に走行風を受けてワイパブレードの先端側の払拭範囲外へ流れ出てしまい基端側が不足がちになる洗浄液の補填がなされる。更に、高速走行時では走行風がより強くその傾向が顕著になるため、ベース噴射に加えて実施する追加噴射をワイパブレードの基端部側に偏倚させることで、ワイパブレードの基端側がより不足がちになる洗浄液の補填が的確になされる。このように追加噴射を車速に応じて変化する走行風の状況に応じて適宜変更させることで、洗浄液の無駄を低減しつつ洗浄液不足の生じる箇所を低減できる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、前記連動制御手段は、前記ベース噴射と前記追加噴射とを連続して実施することをその要旨とする。
【0015】
この発明では、連動制御手段は、ワイパの第1反転位置でのベース噴射と、ワイパの払拭動作とともに実施する追加噴射とを連続させることから、噴射制御が複雑となることが防止できる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、前記連動制御手段は、前記ワイパブレードの長手方向が車幅方向と直交する位置から所定角度手前の位置間では前記噴射を実施しないことをその要旨とする。
【0017】
この発明では、連動制御手段は、ワイパブレードの長手方向が車幅方向と直交する位置から所定角度手前の位置間では噴射を実施しない。つまり、ワイパブレードの長手方向が車幅方向と直交、即ち走行風と平行となる位置から所定角度手前の位置までの領域では、ワイパにて掻き広げられている洗浄液が走行風の影響を大きく受ける領域であるため、その領域内での噴射を行わないようにすることで、ワイパブレードの先端側からフロントガラスの上端部に向けての洗浄液の流出を防止でき、洗浄液の無駄を低減できる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、前記連動制御手段は、前記洗浄液の噴射を終了させてから前記洗浄液の噴射を伴わない前記ワイパの1回以上の往復払拭動作を行わせることをその要旨とする。
【0019】
この発明では、連動制御手段は、洗浄液の噴射を終了させてから洗浄液の噴射を伴わないワイパの1回以上の往復払拭動作を行わせる。これにより、払拭面上の洗浄液の拭き残しや拭き直後の洗浄液の液だれ等の発生が、洗浄液の噴射を伴わない1回以上のワイパの払拭動作にて抑えられる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、前記連動制御手段は、前記ウォッシャスイッチが所定時間以上連続してオン操作されると、そのオン操作期間中、前記洗浄液の噴射を継続させることをその要旨とする。
【0021】
この発明では、連動制御手段は、ウォッシャスイッチが所定時間以上連続してオン操作されると、そのオン操作期間中、洗浄液の噴射を継続させる。つまり、払拭面に落ち難い汚れが付着している場合等、操作者がより多くの洗浄液を必要とするときには、ウォッシャスイッチは長い時間オン操作される。そのため、所定時間以上の長い時間、ウォッシャスイッチがオン操作されたときには、そのオン操作期間中、洗浄液の噴射が継続されることで、操作者の意図に合致した噴射制御となる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、車両のフロントガラスの払拭面を払拭するとともに前記払拭面に洗浄液を噴射供給するウォッシャノズルが設けられてなるワイパと、前記ワイパに設けた前記ウォッシャノズルから前記洗浄液を噴射させるべく駆動されるウォッシャモータと、前記ワイパを第1及び第2反転位置間で往復払拭動作させるべく駆動されるワイパモータと、ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて前記洗浄液を噴射させるべく前記ウォッシャモータを制御するとともに、前記洗浄液の噴射に連動させて前記ワイパを往復払拭動作させるべく前記ワイパモータを制御する制御装置とを備えた車両用ワイパウォッシャ装置であって、前記ウォッシャノズルは、前記ワイパを構成するワイパブレードの基端側及び先端側に分散して前記洗浄液を噴射する複数の噴射孔を有し、前記洗浄液が第1の圧力で供給されると前記ワイパブレードの基端側及び先端側に分散して噴射する一方、前記洗浄液が前記第1の圧力と異なる第2の圧力で供給されると前記ワイパブレードの基端寄りに噴射態様を切り替える弁構造を備えてなるものであり、前記制御装置は、前記ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて、前記ワイパが払拭を開始する第1反転位置から第2反転位置に向かう途中に少なくとも1回の前記洗浄液の噴射を実施するとともに、その噴射に連動させて前記ワイパを少なくとも1回の往復払拭動作を行わせる連動制御手段と、車速が所定速度以上か否かを判定する車速判定手段と、前記車速判定手段にて前記車速が所定速度以上である判定がなされると、前記噴射時の前記ウォッシャノズルへの前記洗浄液の供給圧を第1の圧力から第2の圧力に変更すべく前記ウォッシャモータを制御し、前記ウォッシャノズルからの前記洗浄液の噴射を前記ワイパブレードの基端寄りの噴射態様に切り替える噴射態様変更手段とを備えたことをその要旨とする。
【0023】
この発明では、上記請求項1と同様の作用効果が得られる車両用ワイパウォッシャ装置を提供できる。
【発明の効果】
【0024】
従って、上記記載の発明によれば、洗浄液不足の生じる箇所を低減でき、その洗浄液を無駄なく効果的に供給して払拭面の汚れ落としを十分に行うことができる車両用ワイパウォッシャ制御装置及びその制御装置を備えた車両用ワイパウォッシャ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施の形態の車両用ワイパウォッシャ装置10を示す。本実施の形態のワイパウォッシャ装置10は、ワイパ51を往復払拭動作させて車両のフロントガラス50の払拭面50aを払拭するとともに、その払拭面50aへの洗浄液Wの噴射供給に連動させてワイパ51を払拭させる機能を有している。本実施の形態のワイパウォッシャ装置10は、払拭面50aを払拭するためのワイパ51と、該ワイパ51を往復払拭動作させるワイパモータ11と、該ワイパモータ11を駆動制御するワイパ駆動制御装置12と、ウォッシャタンク55に取り付けられ該タンク55内の洗浄液Wを汲み上げるためのウォッシャモータ13と、該ウォッシャモータ13を駆動制御するウォッシャ駆動制御装置14とを備えてなる。
【0026】
本実施の形態のワイパ51は、ワイパモータ11にて回動されるピボット軸52に基端部が固定されるワイパアーム51aと、該ワイパアーム51aの先端部に取り付けられるワイパブレード51bとを備えてなり、ワイパモータ11の駆動によるピボット軸52の所定角度の回動によりフロントガラス50の払拭面50aの所定角度範囲を払拭する。本実施の形態では、ワイパブレード51bの長手方向がフロントガラス50下端の車幅方向と略平行(走行風に対して略直交)となる下反転位置A1が払拭を開始する位置となっており、その下反転位置A1から車幅方向と略直交(走行風に対して略平行)となる上反転位置A2までがワイパ51(ワイパブレード51b)の払拭範囲となっている。尚、ワイパ51の下反転位置A1は停止位置を兼ねている。
【0027】
本実施の形態のワイパブレード51bは、図3に示すように、ワイパアーム51aの先端部に取り付けられ複数のレバーがトーナメント状に連結されてなるレバーアッセンブリ(図示略)にてブレードラバー51xが保持され、そのレバーアッセンブリをカバー部材51yにて覆われて構成されている。また、本実施の形態のワイパブレード51bのカバー部材51yには、払拭面50aに向けて洗浄液Wを噴射供給するための図4(a)に示すようなウォッシャノズル60が装備されている。
【0028】
ウォッシャノズル60は、洗浄液Wを噴射する3つの噴射孔61a〜61cを該ノズル60の長手方向、即ち取付時におけるワイパブレード51bの長手方向に並ぶようにして設けられている。中間に位置する噴射孔61bの噴射方向は真下に向けられ、基端側に位置する噴射孔61aの噴射方向はワイパブレード51bの基端側に所定角度傾斜した方向に向けられ、先端側に位置する噴射孔61cの噴射方向はワイパブレード51bの先端側に所定角度傾斜した方向に向けられている。ウォッシャノズル60の基端部にはホース連結部62が備えられ、該連結部62にはカバー部材51yの挿入孔(図示略)から内部に挿入されたウォッシャホース56の先端が接続される。
【0029】
ウォッシャノズル60の内部には、ホース連結部62と各噴射孔61a〜61cとを連通する連通路、具体的にはホース連結部62側から順に断面円形状の導入通路63a、収容通路63b及び吐出通路63cがウォッシャノズル60の長手方向に沿って直線状に形成されている。各噴射孔61a〜61cの内、先端側の噴射孔61c及び中間の噴射孔61bは吐出通路63cに連通されており、基端側の噴射孔61aは収容通路63bの長手方向中間部において連通されている。また、収容通路63bは、導入通路63a及び吐出通路63cより内径が大きく形成されており、該収容通路63b内には、弁体64及びスプリング65が収容されている。弁体64は、収容通路63bの導入通路63a側の開口、即ち導入口63x及び吐出通路63c側の開口、即ち吐出口63yを閉塞可能で且つ収容通路63bの内径よりも小さい直径の円板状にて形成されている。スプリング65は、コイル状をなし弁体64の吐出通路63c側に配置され、その弁体64が導入口63xを閉塞するように弁体64を付勢する。そして、このウォッシャノズル60に接続されるウォッシャホース56は、図3に示すようにワイパアーム51aに沿って配索され、該ホース56の基端は、図1に示すようにウォッシャタンク55に併設されるウォッシャモータ13に接続されている。
【0030】
そして、ウォッシャモータ13の停止時において、ウォッシャノズル60では、導入通路63a内への洗浄液Wの供給がなく、該洗浄液Wの圧力を受けない弁体64はスプリング65にて導入口63xを閉塞している。一方、ウォッシャモータ13が駆動されると、ウォッシャタンク55から汲み上げられた洗浄液Wがウォッシャホース56を通じてウォッシャノズル60の導入通路63a内に導入され、その洗浄液Wの供給圧により弁体64がスプリング65の付勢力に抗して導入口63xから離間する方向に移動する。これにより、洗浄液Wが収容通路63b及び吐出通路63cへと流れ、各噴射孔61a〜61cから払拭面50aに至近距離で噴射されるようになっている。
【0031】
この場合、ウォッシャモータ13は、第1の圧力P1と該圧力P1よりも高圧の第2の圧力P2とで洗浄液Wを圧送するように本実施の形態ではPWM制御にて回転速度が制御される(図5参照)。この第1の圧力P1は、ウォッシャノズル60内において弁体64がスプリング65の付勢力と釣り合い収容通路63bの中間位置で停止する圧力(通常圧力)に設定され、第2の圧力P2は、弁体64がスプリング65の付勢力に抗して吐出口63yを閉塞する位置で停止する圧力(第1の圧力P1よりも高圧力)に設定されている。つまり、第1の圧力P1となる通常圧力で洗浄液Wが圧送されると、図4(b)に示すように、ウォッシャノズル60では全ての噴射孔61a〜61cから洗浄液Wが噴射、即ちワイパブレード51bの長手方向に分散して噴射される。一方、第2の圧力P2となる高圧力で洗浄液Wが圧送されると、図4(c)に示すように、ウォッシャノズル60では基端側に位置する噴射孔61aのみから洗浄液Wが噴射、即ちワイパブレード51bの基端寄りの所定領域に集中して噴射されるようになっている。このウォッシャモータ13の駆動態様、即ち洗浄液Wの噴射態様は、本実施の形態では車速に応じて異なり、具体的に停車中、低速走行中及び高速走行中の3つの車速条件において、それぞれ噴射期間の長さ及び供給圧を異ならせた3つの態様にて実施している。尚、これについては、後に詳述するこことする。
【0032】
前記ワイパ駆動制御装置12において、該装置12の電源用端子12aは、ヒューズ21、イグニッションスイッチ22を介して車載バッテリ23のプラス端子に接続されている。因みに、車載バッテリ23のマイナス端子は車体接地部位(GND)に接続され、ワイパ駆動制御装置12のGND用端子12bもGNDに接続されている。イグニッションスイッチ22がオン状態となっているときには、ワイパ駆動制御装置12に車載バッテリ23から駆動電源が供給されるようになっている。
【0033】
ワイパ駆動制御装置12には、車両運転席に設けられるワイパスイッチ(ワイパSW)25が接続されている。ワイパスイッチ25は、OFF位置、INT(間欠作動)位置、及びON(連続作動)位置の3つの操作位置に切り替え可能に構成されている。ワイパスイッチ25は、INT位置に切り替えられるとワイパ駆動制御装置12のワイパスイッチ用入力端子12cをGNDレベル(Lレベル)とし、ON位置に切り替えられるとワイパ駆動制御装置12のワイパスイッチ用入力端子12dをGNDレベル(Lレベル)とする。これに対し、ワイパスイッチ25は、OFF位置に切り替えられると、ワイパ駆動制御装置12の各ワイパスイッチ用入力端子12c,12dをGNDから切り離してHレベルとする。そして、ワイパ駆動制御装置12は、各ワイパスイッチ用入力端子12c,12dの電位に基づいて、ワイパスイッチ25がOFF位置、INT位置、及びON位置のいずれに切替配置されたかを判定している。
【0034】
また、ワイパ駆動制御装置12には、ワイパモータ11が接続されている。ワイパモータ11は、駆動源として一対のブラシ15a,15bを有する直流駆動モータと該モータの回転を減速する減速機構とが一体に組み付けられるワイパモータ本体15と、ワイパ定位置停止スイッチ16とを備えてなる。
【0035】
ワイパモータ本体15は、一方のブラシ15aがノイズ防止用チョークコイル17を介してワイパ駆動制御装置12の電源供給用端子12eに接続され、他方のブラシ15bが過熱保護素子(ブレーカ)18を介してGND用端子12fに接続されている。ワイパモータ本体15の駆動時には、ワイパ駆動制御装置12の電源供給用端子12eから駆動電源が供給される。ワイパモータ本体15の出力軸には、ピボット軸52を往復回動させるためのリンク機構53が接続される。因みに、リンク機構53は、ワイパモータ本体15の回転運動をピボット軸52の往復回動運動、即ちそのピボット軸52に固定されるワイパ51の往復揺動運動に変換するものである。
【0036】
ワイパ定位置停止スイッチ16は、可動接点16aがワイパモータ本体15の出力軸に連動して回転するように、ワイパモータ本体15に一体に組み付けられている。ワイパ定位置停止スイッチ16は、ワイパ51(ワイパブレード51b)が下反転位置A1にあるときには、接点16aと接点16cとが接続(オフ状態)され、ワイパ51が下反転位置A1以外の位置に作動させるべく出力軸が回転したときには、接点16aと接点16bとが接続(オン状態)されるように構成されている。即ち、ワイパ定位置停止スイッチ16の接点16bはワイパ駆動制御装置12の電源供給用端子12gに接続されており、接点16cはワイパ駆動制御装置12の前記GND用端子12fに接続されており、更に接点16aはワイパ駆動制御装置12の停止スイッチ用入力端子12hに接続されている。従って、ワイパ定位置停止スイッチ16は、ワイパ51が下反転位置A1にあるときには停止スイッチ用入力端子12hをGNDレベル(Lレベル)とし、ワイパ51が下反転位置A1以外の位置に払拭により移動しているときには停止スイッチ用入力端子12hをHレベルとする。そして、ワイパ駆動制御装置12は、停止スイッチ用入力端子12hの電位に基づいて、ワイパ51が下反転位置A1か、若しくはそれ以外の位置にあるかを判定している。
【0037】
そして、ワイパ駆動制御装置12は、ワイパスイッチ25が操作されてINT位置若しくはON位置に切り替えられたことを検出すると、ワイパモータ11(ワイパモータ本体15)に駆動電源を供給して、該モータ11を回転駆動させる。これにより、ワイパ51が払拭動作を行う。このとき、ワイパ51が下反転位置A1を離れると、ワイパモータ11のワイパ定位置停止スイッチ16がオフからオン状態に切り替わる。このワイパ定位置停止スイッチ16がオン状態になると、ワイパ駆動制御装置12は、ワイパ51が払拭動作中にワイパスイッチ25がOFF位置に切り替えられてもワイパ51が往復払拭動作により下反転位置A1に戻るまで(ワイパ定位置停止スイッチ16がオフ状態となるまで)、ワイパモータ11に駆動電源を継続するようになっている。
【0038】
前記ウォッシャ駆動制御装置14において、該装置14は、ヒューズ21、イグニッションスイッチ22を介して車載バッテリ23のプラス端子に接続され、該装置14には、イグニッションスイッチ22がオン状態となっているときに車載バッテリ23から駆動電源が供給されるようになっている。また、ウォッシャ駆動制御装置14には、車両運転席に設けられるウォッシャスイッチ(ウォッシャSW)26が接続され、該装置14に供給される駆動電源電圧が印加されている。ウォッシャスイッチ26は、印加される駆動電源電圧を用いてウォッシャ駆動制御装置14にそのオンオフ信号を出力する。
【0039】
ウォッシャ駆動制御装置14は、具体的には図2に示すように、ワイパ作動判定部14a、ウォッシャ作動指令部14b、ウォッシャ駆動部14c、及び車速判定部14dを備えている。ワイパ作動判定部14aは、前記ワイパスイッチ25に接続されて該スイッチ25によるワイパ51の作動状態を判定し、その判定結果をウォッシャ作動指令部14bに出力する。また、ウォッシャ作動指令部14bは、前記ウォッシャスイッチ26に接続されて該スイッチ26のオンオフ状態を判定し、その判定結果をウォッシャ作動指令部14bに出力する。
【0040】
ウォッシャ作動指令部14bは、ウォッシャスイッチ26のオンに基づいて、ウォッシャ駆動部14cに接続されるウォッシャモータ13を該駆動部14cを通じて駆動電源を供給し、ウォッシャタンク55に貯留される洗浄液Wを汲み上げてワイパ51に備えられるウォッシャノズル60に向けて圧送すべく作動させる。ウォッシャモータ13は、ウォッシャ作動指令部14bによるPWM制御により回転速度が制御され、洗浄液Wの供給圧を第1の圧力P1又は第2の圧力P2に変更可能に制御される。尚、このウォッシャモータ13に供給する駆動電源の電圧値は前記ワイパ駆動制御装置12のモニタ端子12iにも印加されており(図1参照)、該ワイパ駆動制御装置12にてその駆動電源の電圧値がモニタされている。
【0041】
ウォッシャ作動指令部14bは、ワイパ作動判定部14aの判定にてワイパ51が作動中である場合にウォッシャスイッチ26がオンされたとき、そのスイッチ26をオン操作している間だけウォッシャ駆動部14cを通じてウォッシャモータ13を作動させる。つまり、ワイパ51が作動中では、ウォッシャスイッチ26をオン操作している間だけ洗浄液Wが払拭面50aに噴射供給される。
【0042】
一方、ワイパ作動判定部14aの判定にてワイパ51が作動中でない場合にウォッシャスイッチ26がオン操作されたとき、ウォッシャ作動指令部14bは、ウォッシャモータ13とワイパモータ11とを所定タイミングで作動させ、洗浄液Wの供給とワイパ51による払拭とを連動させる。この際、ウォッシャスイッチ26が所定時間以上連続してオン操作されると、そのオン操作期間中、洗浄液Wの噴射を継続させるが、ウォッシャスイッチ26の所定時間を満たさないオン操作時には、予め設定された洗浄液Wの噴射量及び噴射タイミングで実施される。本実施の形態では、この場合の噴射態様を車速に応じて異ならせている。
【0043】
ここで、ウォッシャ作動指令部14bには、車速判定部14dからの判定結果が入力される。車速判定部14dは、車両に搭載される車速センサ(図示略)からの車速信号が入力され、車両が停車中、低速走行中及び高速走行中のいずれであるかを判定している。本実施の形態では、低速走行と高速走行との判定の閾値が80[km/h]に設定されている。
【0044】
また、ウォッシャ作動指令部14bには、ワイパモータ本体15を構成する直流駆動モータ内部に備えられる回転検出センサからの回転検出信号が入力される。この回転検出信号は、直流駆動モータの回転軸の回転に同期した信号である。ウォッシャ作動指令部14bは、この回転検出信号に基づいて直流駆動モータの回転軸の回転位置、即ちワイパモータ11にて作動されるワイパ51の払拭位置を検出している。この場合、ワイパ51(ワイパブレード51b)の下反転位置A1や上反転位置A2、更には図5に示すように本実施の形態で設定された第1,第2噴射停止位置A3,A4を含めたワイパ51の払拭位置が検出される。因みに、第1噴射停止位置A3は、下反転位置A1と上反転位置A2との中間位置から若干下反転位置A1寄りの所定位置に設定され、第2噴射停止位置A4は、下反転位置A1と上反転位置A2との中間位置から若干上反転位置A2寄りの所定位置、本実施の形態では車幅方向と直交する位置から30°手前の位置に設定されている。
【0045】
そして、車速が0[km/h]である停車時において、ワイパ51が非作動でウォッシャスイッチ26がオンされると、ウォッシャ作動指令部14bは、先ず洗浄液Wを所定量(この場合、ワイパ51の払拭により払拭範囲全体に広がるように予め測定や計算等により設定された好適な量)だけ払拭面50aにベース噴射を実施すべくウォッシャ駆動部14cを通じてウォッシャモータ13を所定時間作動させる。このとき、ウォッシャモータ13は、洗浄液Wが第1の圧力P1(通常圧力)にてウォッシャノズル60に圧送されるように駆動され、第1の圧力P1による洗浄液Wの供給によりウォッシャノズル60では、その洗浄液Wが各噴射孔61a〜61cからワイパブレード51bの長手方向に分散されて噴射される。ウォッシャ作動指令部14bは、洗浄液Wが所定量噴射されるまでワイパ51の作動は停止させたままとする。
【0046】
所定量の洗浄液Wのベース噴射を行うべくウォッシャモータ13を所定時間作動させた後、ウォッシャ作動指令部14bは所定量の洗浄液Wのベース噴射を完了した旨をワイパ駆動制御装置12に出力する。これにより、ワイパ駆動制御装置12は、ワイパモータ11を作動させてワイパ51の払拭動作を開始させる。このワイパ51の払拭動作に伴って、洗浄液Wが払拭面50a上の払拭方向に掻き広げられていく。そして、ワイパ駆動制御装置12は、ワイパ51を数回(例えば3回)の払拭動作を行わせる。因みに、この洗浄液Wの噴射はワイパ51の払拭動作の初回だけ実施され、2回目以降の払拭動作時においては実施されない。
【0047】
次いで、車速が80[km/h]未満の低速走行時において、ワイパ51が非作動でウォッシャスイッチ26がオンされると、ウォッシャ作動指令部14bは、ワイパ51の作動前にベース噴射を行うべく前記停車時と同量の洗浄液Wを同様にして噴射する。所定量の洗浄液Wを噴射の後、ワイパ駆動制御装置12は、ワイパモータ11を作動させてワイパ51の払拭動作を開始させる。このとき、ウォッシャ作動指令部14bは、ウォッシャモータ13の駆動を継続させて第1の圧力P1による洗浄液Wのウォッシャノズル60への供給を継続し、洗浄液Wの追加噴射が実施される。そして、ワイパ51の払拭動作に伴って、洗浄液Wが払拭面50a上の払拭方向に掻き広げられていく。
【0048】
払拭しているワイパ51が第1噴射停止位置A3に到達すると、ウォッシャ作動指令部14bは、その噴射停止位置A3を検出し、その検出に基づいて洗浄液Wの噴射を停止すべくウォッシャモータ13の駆動を停止させる。ここまでの洗浄液Wの噴射量は、前記停車時の洗浄液Wの噴射量の1.5倍程度とされている。因みに、この低速走行時においても、ワイパ51の払拭動作は数回(例えば3回)行われる。また、洗浄液Wの噴射もワイパ51の払拭動作の初回だけ実施され、2回目以降の払拭動作時においては実施されない。
【0049】
車速が80[km/h]以上の高速走行時においては、ワイパ51が非作動でウォッシャスイッチ26がオンされると、ウォッシャ作動指令部14bは、ワイパ51の作動前にベース噴射を行うべく前記停車時及び前記低速走行時と同量の洗浄液Wを同様にして噴射する。所定量の洗浄液Wを噴射の後、ワイパ駆動制御装置12は、ワイパモータ11を作動させてワイパ51の払拭動作を開始させる。このとき、ウォッシャ作動指令部14bは、ウォッシャモータ13の駆動を継続させるが、前記低速走行時とは異なり第2の圧力P2による洗浄液Wのウォッシャノズル60への供給に切り替えられる。これにより、第2の圧力P2による洗浄液Wの供給によりウォッシャノズル60では、その洗浄液Wが基端側の噴射孔61aのみからワイパブレード51bの基端寄りの所定領域に向けて集中的、且つ噴射孔61aからの噴射量が増量された追加噴射が実施される。そして、ワイパ51の払拭動作に伴って、洗浄液Wが払拭面50a上の払拭方向に掻き広げられていく。
【0050】
払拭しているワイパ51が第2噴射停止位置A4に到達すると、ウォッシャ作動指令部14bは、その噴射停止位置A4を検出し、その検出に基づいて洗浄液Wの噴射を停止すべくウォッシャモータ13の駆動を停止させる。ここまでの洗浄液Wの噴射量は、前記低速走行時の洗浄液Wの噴射量と同量で、前記停車時の洗浄液Wの噴射量の1.5倍程度とされている。即ち、第2の圧力P2による洗浄液Wの単位時間当たりの噴射量(第2の圧力P2による噴射孔61aのみからの噴射量)は、第1の圧力P1による洗浄液Wの噴射量(第1の圧力P1による噴射孔61a〜61c全体の噴射量)のそれより若干少なくなる分、噴射を停止する位置をA3からA4まで若干遅らせている。そして、この高速走行時においても、ワイパ51の払拭動作は数回(例えば3回)行われ、洗浄液Wの噴射もワイパ51の払拭動作の初回だけ実施されて2回目以降の払拭動作時においては実施されない。
【0051】
つまり、上記した低速走行時では、停車時と異なりワイパ51(ワイパブレード51b)走行風を受けるようになることから、ワイパ51の払拭作動前に行うベース噴射のみならずワイパ51の払拭作動が開始されてからも洗浄液Wの噴射(3つの噴射孔61a〜61cによる分散噴射)が継続され、停車時よりも噴射量が増量される。これにより、ワイパ51が下反転位置A1から上反転位置A2に近づくに連れて走行風による洗浄液Wのフロントガラス50の上端側への移動が若干生じ、ワイパブレード51bの先端側に洗浄液Wが片寄るが、噴射量が増量されることで、ワイパブレード51bの基端側で洗浄液Wが不足となることが防止される。これにより、洗浄液Wの不足する箇所が低減され、その洗浄液Wを用いた払拭面50aの汚れ落としが十分に行われる。
【0052】
また、高速走行時においてはより走行風が強くなるため、ワイパ51が下反転位置A1から上反転位置A2に近づくに連れてワイパブレード51bの先端側への洗浄液Wの片寄りが低速走行時よりも顕著になるため、ワイパ51の払拭作動が開始されてからはワイパブレード51bの基端側への集中噴射が実施される。つまり、高速走行時の強い走行風を受けてワイパブレード51bの先端側に多量の洗浄液Wが移動することを見越して、予めワイパブレード51bの基端側に集中的に洗浄液Wを噴射することで、ワイパブレード51bの基端側で洗浄液Wが不足となることが防止される。これにより、高速走行時においても洗浄液Wの不足する箇所が低減され、その洗浄液Wを用いた払拭面50aの汚れ落としが十分に行われるようになっている。
【0053】
次に、本実施の形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施の形態では、ウォッシャスイッチ26のオン操作に基づいて、ワイパ51の下反転位置A1(第1反転位置)において洗浄液Wのベース噴射を行うとともにその噴射に連動させてワイパ51を数回(例えば3回)の往復払拭動作を行わせ、ワイパ51が下反転位置A1から上反転位置A2(第2反転位置)に向かう途中に洗浄液Wの追加噴射を行うようにしている。この場合、車速が所定速度(本実施の形態では80[km/h])以上となる高速走行時との判定がなされると、その追加噴射時のウォッシャノズル60への洗浄液Wの供給圧を第1の圧力P1より高圧の第2の圧力P2に変更すべくウォッシャモータ13が制御される。このウォッシャノズル60は、ワイパブレード51bの基端側及び先端側に分散して洗浄液Wを噴射可能とする3つの噴射孔61a〜61cを有しており、洗浄液Wが第1の圧力P1で供給されるとその分散による噴射を行う一方、洗浄液Wが第2の圧力P2で供給されるとワイパブレード51bの基端寄りに噴射態様を切り替える弁構造を備えている。これにより、高速走行時との判定に基づきウォッシャノズル60への洗浄液Wの供給圧が第1の圧力P1から第2の圧力P2に変更されることで、ウォッシャノズル60からの洗浄液Wの噴射、本実施の形態では追加噴射がワイパブレード51bの基端側に向けられた噴射孔61aのみからの基端寄りの噴射態様に切り替えられる。従って、高速走行時においては、噴射された洗浄液Wがワイパ51の払拭途中で強い走行風にてワイパブレード51bの先端側に片寄り基端側で洗浄液Wの不足が生じることが懸念されるが、この高速走行時における洗浄液Wの追加噴射はワイパブレード51bの基端寄りに偏倚させて実施されるため、高速走行時にワイパブレード51bの基端側で不足しがちな洗浄液Wが好適に供給され、ワイパブレード51bの払拭範囲における洗浄液Wの不足の生じる箇所を低減することができる。従って、洗浄液Wを用いた払拭面50aの汚れ落としを十分に行うことができる。
【0054】
(2)本実施の形態では、ワイパ51の作動前の下反転位置A1でのベース噴射と、ワイパ51の払拭動作中の追加噴射とを実施しており、その追加噴射時の噴射態様を車速に応じて変更させている。つまり、ワイパ51の払拭動作中に実施される追加噴射は、ワイパブレード51bの長手方向が車幅方向と直交、即ち走行風と平行となり洗浄液Wが走行風の影響を大きく受ける位置に近接した状態での実施となることから、高速走行時の追加噴射時においてワイパブレード51bの基端寄りに偏倚させて噴射を実施、この場合、先端側への噴射を停止させることで基端側方向への噴射圧が高められるとともに、供給された洗浄液Wがワイパブレード51bの払拭範囲から流れ出てしまうことを防止することができる。
【0055】
(3)本実施の形態では、停車時と判定された場合に下反転位置A1でのベース噴射のみを実施し、低速走行時と判定された場合に第1の圧力P1によるベース噴射と追加噴射とを実施、即ちワイパブレード51bの基端側及び先端側に分散させるベース噴射と追加噴射とを実施する。高速走行時と判定された場合、第1の圧力P1によるベース噴射、即ちワイパブレード51bの基端側及び先端側に分散させるベース噴射と、第2の圧力P2による追加噴射、即ちワイパブレード51bの基端寄りに偏倚させた追加噴射とを実施する。つまり、停車時では走行風を受けないことから、ワイパ51の作動前の下反転位置A1でのベース噴射のみで、洗浄液Wがワイパブレード51bの払拭領域全体に掻き広げられる。また、低速走行時では走行風を受けるようになるため、ベース噴射に加え、そのベース噴射と同様に分散させる追加噴射を実施することで、ベース噴射時の洗浄液Wが掻き広げられる際に走行風を受けてワイパブレード51bの先端側の払拭範囲外へ流れ出てしまい基端側が不足がちになる洗浄液の補填がなされる。更に、高速走行時では走行風がより強くその傾向が顕著になるため、ベース噴射に加えて実施する追加噴射をワイパブレード51bの基端部側に偏倚させることで、ワイパブレード51bの基端側がより不足がちになる洗浄液Wの補填が的確になされる。このように追加噴射を車速に応じて変化する走行風の状況に応じて適宜変更させることで、洗浄液Wの無駄を低減しつつ洗浄液Wの不足の生じる箇所を低減することができる。
【0056】
(4)本実施の形態では、ワイパ51の下反転位置A1でのベース噴射と、ワイパ51の払拭動作とともに実施する追加噴射とを連続させていることから、噴射制御が複雑となることを防止することができる。
【0057】
(5)本実施の形態では、ワイパブレード51bの長手方向が車幅方向と直交する位置から所定角度(本実施の形態では30°)手前の位置までの間では噴射を実施しないようにしている。つまり、ワイパブレード51bの長手方向が車幅方向と直交、即ち走行風と平行となる位置から所定角度手前の位置までの領域では、ワイパ51にて掻き広げられている洗浄液Wが走行風の影響を大きく受ける領域であるため、その領域内での噴射を行わないようにすることで、ワイパブレード51bの先端側からフロントガラス50の上端部に向けての洗浄液Wの流出を防止でき、洗浄液Wの無駄を低減することができる。
【0058】
尚、ワイパブレード51bの長手方向が車幅方向と直交する位置から30°程度手前の位置までの領域では、上記した走行風の影響をより大きく受ける領域のため、本実施の形態のように追加噴射を停止させる位置をその30°程度手前の位置に設定するのが好ましい。
【0059】
(6)本実施の形態では、洗浄液Wの噴射を終了させてから洗浄液Wの噴射を伴わないワイパ51の1回以上の往復払拭動作を行わせるようにした。これにより、払拭面50a上の洗浄液Wの拭き残しや拭き直後の洗浄液Wの液だれ等の発生が、洗浄液Wの噴射を伴わない1回以上のワイパ51の払拭動作にて抑えることができる。
【0060】
(7)本実施の形態では、ウォッシャスイッチ26が所定時間以上連続してオン操作されると、そのオン操作期間中、洗浄液Wの噴射を継続させるようにした。つまり、払拭面50aに落ち難い汚れが付着している場合等、操作者がより多くの洗浄液Wを必要とするときには、ウォッシャスイッチ26は長い時間オン操作される。そのため、所定時間以上の長い時間、ウォッシャスイッチ26がオン操作されたときには、そのオン操作期間中、洗浄液Wの噴射が継続されることで、操作者の意図に合致させることができる。
【0061】
尚、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、ワイパモータ本体15内に設けられるモータの回転軸の回転を検出する回転検出センサ(図示略)にてワイパ51の下反転位置A1や上反転位置A2、噴射停止位置A3等のワイパ51の位置検出を行ったが、ワイパ定位置停止スイッチ16に下反転位置A1以外の上反転位置A2や噴射停止位置A3を検出する構成を追加し、該ワイパ定位置停止スイッチ16の位置検出に基づいて各種制御を行うようにしてもよい。
【0062】
・上記実施の形態では、ウォッシャノズル60の噴射孔61a〜61cをワイパブレード51bの長手方向に沿って3箇所設けたが、数及び配置はこれに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。また、噴射孔61a〜61cの噴射方向も適宜変更してもよい。また、例えば基端側の噴射孔61aの噴射量をその他の噴射孔61b,61cよりも多くなるように予め孔径を大きく形成してもよい。
【0063】
・上記実施の形態では、ウォッシャノズル60をワイパブレード51b側に設けたが、ワイパアーム51a側に設けていてもよい。因みに、ワイパ51の構成は適宜変更してもよく、例えばワイパブレード51bについて、レバーアッセンブリをカバー部材51yにて覆う構成としたが、カバー部材を用いない構成のもの、複数のレバーよりなるレバーアッセンブリを用いず1つのレバーにて構成したものであってもよい。
【0064】
・上記実施の形態では、低速走行中か高速走行中かの判定を行うための閾値を80[km/h]としたが、適宜変更してもよい。
・上記実施の形態では、車速に応じて追加噴射を行うか否かを分けていたが、例えば図2の破線にて示すように、車両に搭載される温度センサからの信号の入力に基づいて外気温を検出する温度判定部14eをウォッシャ駆動制御装置14内に設け、洗浄液Wの蒸発度合いを追加噴射に加味してもよい。
【0065】
・上記実施の形態では、ワイパブレード51bの長手方向が車幅方向と略平行となる下反転位置A1(第1反転位置)から車幅方向と略直交となる上反転位置A2(第2反転位置)までの範囲でワイパ51が払拭動作を行うものに適用したが、これ以外の払拭範囲のものに適用してもよい。例えば、第2反転位置が車幅方向と略直交となる位置から大きく超えていてもよく、また第1反転位置とはピボット軸52を挟んだ反対側の車幅方向と略直交となる位置のものに適用してもよい。
【0066】
・上記実施の形態では、下反転位置A1でのベース噴射と、ワイパ51の払拭動作とともに実施する追加噴射とを連続させたが、例えば追加噴射をベース噴射と連続させず離間して実施してもよく、追加噴射の位置やその回数等を適宜変更してもよい。また、追加噴射をワイパブレード51bの長手方向が車幅方向と直交する位置から30°手前位置で停止させたが、これも適宜変更してもよい。
【0067】
・上記実施の形態では、停車時には第1の圧力P1によるベース噴射のみ実施、低速走行時にはともに第1の圧力P1によるベース噴射と追加噴射とを実施、高速走行時には第1の圧力P1によるベース噴射と第2の圧力P2による追加噴射とを実施したが、車速に応じた噴射態様はこれに限定されるものではない。例えば、高速走行時のベース噴射時にも第2の圧力P2による噴射としてもよい。また、追加噴射を実施しないタイプにおいては、ベース噴射に対して車速に応じた噴射態様の変更を行うようにしてもよい。
【0068】
・上記実施の形態のウォッシャノズル60は、洗浄液Wの供給圧が第1の圧力P1より高い第2の圧力P2となることで基端側への噴射態様に切り替わる弁構造を備えていたが、ウォッシャノズル60の構成はこれに限定されるものではない。例えば、第1の圧力P1より第2の圧力P2を低くし、その低い第2の圧力P2で基端側への噴射態様に切り替わる弁構造を備えていてもよい。
【0069】
・上記実施の形態のワイパアーム51a及びワイパブレード51bは図面等で1本となっているが、ワイパアーム51a及びワイパブレード51bは車幅方向に複数設けられ、リンク機構などにより機械的に同期駆動、若しくは複数のワイパモータによって電気的に同期駆動させる構成や、1本だけ駆動させる構成のいずれであってもよい。
【0070】
次に、上記実施の形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 請求項8に記載の車両用ワイパウォッシャ装置において、
前記連動制御手段は、前記ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて、前記ワイパが払拭を開始する前記第1反転位置において前記洗浄液のベース噴射を実施するとともにその噴射に連動させて前記ワイパを少なくとも1回の往復払拭動作を行わせ、前記ワイパが第1反転位置から第2反転位置に向かう途中に少なくとも1回の前記洗浄液の追加噴射を前記ワイパの払拭動作中に実施し、
前記噴射態様変更手段は、少なくとも前記追加噴射時の噴射態様を前記車速に応じて変更することを特徴とする車両用ワイパウォッシャ装置。
【0071】
(ロ) 上記(イ)に記載の車両用ワイパウォッシャ装置において、
前記車速判定手段は、停車時、前記所定速度未満の低速走行時及び前記所定速度以上の高速走行時を判定可能に構成されるものであり、
前記連動制御手段は、前記停車時と判定された場合に前記ベース噴射のみを実施し、前記低速走行時と判定された場合に前記噴射態様変更手段と協働して前記第1の圧力による前記ベース噴射と前記追加噴射とを実施し、前記高速走行時と判定された場合に前記噴射態様変更手段と協働して前記第1の圧力による前記ベース噴射と前記第2の圧力による前記追加噴射とを実施することを特徴とする車両用ワイパウォッシャ装置。
【0072】
(ハ) 上記(イ)又は(ロ)に記載の車両用ワイパウォッシャ装置において、
前記連動制御手段は、前記ベース噴射と前記追加噴射とを連続して実施することを特徴とする車両用ワイパウォッシャ装置。
【0073】
(ニ) 請求項8及び上記(イ)〜(ハ)のいずれか1項に記載の車両用ワイパウォッシャ装置において、
前記連動制御手段は、前記ワイパブレードの長手方向が車幅方向と直交する位置から所定角度手前の位置間では前記噴射を実施しないことを特徴とする車両用ワイパウォッシャ装置。
【0074】
(ホ) 請求項8及び上記(イ)〜(ニ)のいずれか1項に記載の車両用ワイパウォッシャ装置において、
前記連動制御手段は、前記洗浄液の噴射を終了させてから前記洗浄液の噴射を伴わない前記ワイパの1回以上の往復払拭動作を行わせることを特徴とする車両用ワイパウォッシャ装置。
【0075】
(ヘ) 請求項8及び上記(イ)〜(ホ)のいずれか1項に記載の車両用ワイパウォッシャ装置において、
前記連動制御手段は、前記ウォッシャスイッチが所定時間以上連続してオン操作されると、そのオン操作期間中、前記洗浄液の噴射を継続させることを特徴とする車両用ワイパウォッシャ装置。
【0076】
上記(イ)〜(ヘ)によれば、それぞれ請求項2〜7と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本実施の形態における車両用ワイパウォッシャ装置の構成図である。
【図2】ウォッシャ駆動制御装置の構成図である。
【図3】ワイパの構成を説明するための斜視図である。
【図4】(a)は、ウォッシャノズルの構成を説明するための断面図、(b)(c)は、そのウォッシャノズルの動作を説明するための断面図である。
【図5】洗浄液の噴射とワイパの払拭との連動を説明するための図である。
【符号の説明】
【0078】
11…ワイパモータ、12…制御装置を構成するワイパ駆動制御装置、13…ウォッシャモータ、14…制御装置を構成するウォッシャ駆動制御装置、14b…連動制御手段を構成するウォッシャ作動指令部、14d…車速判定手段としての車速判定部、26…ウォッシャスイッチ、50…フロントガラス、50a…払拭面、51…ワイパ、51b…ワイパブレード、60…ウォッシャノズル、61a〜61c…噴射孔、A1…第1反転位置としての下反転位置、A2…第2反転位置としての上反転位置、P1…第1の圧力、P2…第2の圧力、W…洗浄液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントガラスの払拭面を払拭するワイパに設けられ前記払拭面に洗浄液を噴射供給するウォッシャノズルからウォッシャスイッチのオン操作に基づいて前記洗浄液を噴射させるべくウォッシャモータを制御するとともに、前記洗浄液の噴射に連動させて前記ワイパを第1及び第2反転位置間で往復払拭動作させるべくワイパモータを制御する車両用ワイパウォッシャ制御装置であって、
前記ウォッシャノズルは、前記ワイパを構成するワイパブレードの基端側及び先端側に分散して前記洗浄液を噴射する複数の噴射孔を有し、前記洗浄液が第1の圧力で供給されると前記ワイパブレードの基端側及び先端側に分散して噴射する一方、前記洗浄液が前記第1の圧力と異なる第2の圧力で供給されると前記ワイパブレードの基端寄りに噴射態様を切り替える弁構造を備えてなるものであり、
前記ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて、前記ワイパが払拭を開始する第1反転位置から第2反転位置に向かう途中に少なくとも1回の前記洗浄液の噴射を実施するとともに、その噴射に連動させて前記ワイパを少なくとも1回の往復払拭動作を行わせる連動制御手段と、
車速が所定速度以上か否かを判定する車速判定手段と、
前記車速判定手段にて前記車速が所定速度以上である判定がなされると、前記噴射時の前記ウォッシャノズルへの前記洗浄液の供給圧を第1の圧力から第2の圧力に変更すべく前記ウォッシャモータを制御し、前記ウォッシャノズルからの前記洗浄液の噴射を前記ワイパブレードの基端寄りの噴射態様に切り替える噴射態様変更手段と
を備えたことを特徴とする車両用ワイパウォッシャ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、
前記連動制御手段は、前記ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて、前記ワイパが払拭を開始する前記第1反転位置において前記洗浄液のベース噴射を実施するとともにその噴射に連動させて前記ワイパを少なくとも1回の往復払拭動作を行わせ、前記ワイパが第1反転位置から第2反転位置に向かう途中に少なくとも1回の前記洗浄液の追加噴射を前記ワイパの払拭動作中に実施し、
前記噴射態様変更手段は、少なくとも前記追加噴射時の噴射態様を前記車速に応じて変更することを特徴とする車両用ワイパウォッシャ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、
前記車速判定手段は、停車時、前記所定速度未満の低速走行時及び前記所定速度以上の高速走行時を判定可能に構成されるものであり、
前記連動制御手段は、前記停車時と判定された場合に前記ベース噴射のみを実施し、前記低速走行時と判定された場合に前記噴射態様変更手段と協働して前記第1の圧力による前記ベース噴射と前記追加噴射とを実施し、前記高速走行時と判定された場合に前記噴射態様変更手段と協働して前記第1の圧力による前記ベース噴射と前記第2の圧力による前記追加噴射とを実施することを特徴とする車両用ワイパウォッシャ制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、
前記連動制御手段は、前記ベース噴射と前記追加噴射とを連続して実施することを特徴とする車両用ワイパウォッシャ制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、
前記連動制御手段は、前記ワイパブレードの長手方向が車幅方向と直交する位置から所定角度手前の位置間では前記噴射を実施しないことを特徴とする車両用ワイパウォッシャ制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、
前記連動制御手段は、前記洗浄液の噴射を終了させてから前記洗浄液の噴射を伴わない前記ワイパの1回以上の往復払拭動作を行わせることを特徴とする車両用ワイパウォッシャ制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用ワイパウォッシャ制御装置において、
前記連動制御手段は、前記ウォッシャスイッチが所定時間以上連続してオン操作されると、そのオン操作期間中、前記洗浄液の噴射を継続させることを特徴とする車両用ワイパウォッシャ制御装置。
【請求項8】
車両のフロントガラスの払拭面を払拭するとともに前記払拭面に洗浄液を噴射供給するウォッシャノズルが設けられてなるワイパと、
前記ワイパに設けた前記ウォッシャノズルから前記洗浄液を噴射させるべく駆動されるウォッシャモータと、
前記ワイパを第1及び第2反転位置間で往復払拭動作させるべく駆動されるワイパモータと、
ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて前記洗浄液を噴射させるべく前記ウォッシャモータを制御するとともに、前記洗浄液の噴射に連動させて前記ワイパを往復払拭動作させるべく前記ワイパモータを制御する制御装置と
を備えた車両用ワイパウォッシャ装置であって、
前記ウォッシャノズルは、前記ワイパを構成するワイパブレードの基端側及び先端側に分散して前記洗浄液を噴射する複数の噴射孔を有し、前記洗浄液が第1の圧力で供給されると前記ワイパブレードの基端側及び先端側に分散して噴射する一方、前記洗浄液が前記第1の圧力と異なる第2の圧力で供給されると前記ワイパブレードの基端寄りに噴射態様を切り替える弁構造を備えてなるものであり、
前記制御装置は、
前記ウォッシャスイッチのオン操作に基づいて、前記ワイパが払拭を開始する第1反転位置から第2反転位置に向かう途中に少なくとも1回の前記洗浄液の噴射を実施するとともに、その噴射に連動させて前記ワイパを少なくとも1回の往復払拭動作を行わせる連動制御手段と、
車速が所定速度以上か否かを判定する車速判定手段と、
前記車速判定手段にて前記車速が所定速度以上である判定がなされると、前記噴射時の前記ウォッシャノズルへの前記洗浄液の供給圧を第1の圧力から第2の圧力に変更すべく前記ウォッシャモータを制御し、前記ウォッシャノズルからの前記洗浄液の噴射を前記ワイパブレードの基端寄りの噴射態様に切り替える噴射態様変更手段と
を備えたことを特徴とする車両用ワイパウォッシャ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−137605(P2008−137605A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328398(P2006−328398)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】