説明

車両用主電動機冷却風の塵埃除去装置

【課題】フィルタ式は塵埃を除去する性能は有しているが定期的なフィルタの清掃が必要であり,重力式は塵埃の除去能力が弱いため機内に入る塵埃の量が多くなる問題がある。外気から塵埃を分離させることで冷却風を清浄に保ち,主電動機の内部を良好な状態に保つことである。
【解決手段】車両の台車内に据え付けられている主電動機に取付けられている集塵装置において,重力式とフィルタ式の構成を併用する。フィルタの配置を主電動機取り込み口側へ構成することでフィルタへの塵埃付着を減り,フィルタ清掃周期の延長することができる。また,フィルタは台車に据え付けられている状態でも着脱の容易な構成にする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,車両用の台車内に据え付けられている主電動機の集塵装置の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主電動機の運転を続けると主電動機の内部が発熱するため,外部から冷却風を取り込む。主電動機近傍で取り込む構造の場合,冷却風に塵埃が含まれる場合が多く,機内に侵入する塵埃を除去するため,集塵装置を設けている。
【0003】
車両用主電動機の固定子枠入気口に取付けられている集塵装置は,フィルタを用いて塵埃を収集するフィルタ式や,慣性により塵埃を除去する慣性重力式が主に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−247294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルタ式集塵装置は冷却風取り込み口にメッシュ状のフィルタを用いており,フィルタ目詰まりによる冷却風不足を防ぐため,定期的にフィルタの清掃が必要となる。また,フィルタの設置位置が主電動機直上であり,主電動機が台車に据え付けられている状態では清掃時の取り外しが困難である。
重力式集塵装置は塵埃の除去能力が弱いため機内に入る塵埃の量が多くなる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、車両用の台車内に据え付けられている主電動機冷却風の集塵装置において,冷却風の入気口の背後であって、入気した冷却風が通流する集塵装置外枠内空間に、通流方向に対面するように反り返し板を配設し、該反り返し板により分離された塵埃を受けるトレーを前記反り返し板の下部に配設し、通流する冷却風の排気口に集塵するためのフィルタを配設することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明によれば、上記請求項1の発明に加えて、車両用の台車内に据え付けられている主電動機冷却風の集塵装置において,前記トレーと前記フィルタとが一体構造であることを特徴とする。
【0008】
すなわち本発明は,フィルタ式と重力式の集塵構造を併用することで,集塵装置の集塵分離能力を向上させる。また,フィルタが側面から容易に着脱できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の集塵装置構造は,フィルタに付着する塵埃を減少させるとともに,フィルタの清掃を容易にすることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例を示す説明図である。
【図2】本発明の着脱可能なフィルタ部を示す断面図である。
【図3】従来の一例を示す重力式集塵装置の断面図である。
【図4】従来の一例を示すフィルタ式集塵装置の断面図である。
【図5】本発明の実施例を示す説明図である。
【図6】従来の一例で示すフィルタ式集塵装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施する形態を重力式集塵とフィルタ式集塵とを併せ持つ集塵装置を図1から図6を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は,本発明の実施例を示す断面図であって,1は集塵装置外枠,2は慣性により塵埃を除去する反り返し板,3は入気口メッシュ,4はフィルタ,5は塵埃トレー、3aは集塵装置の入気方向、4aは集塵装置の排気方向である。
【0013】
図2は,本発明の着脱可能なフィルタ部を示す断面図である。反り返し板2で除去された塵埃が塵埃トレー5に蓄積され,フィルタ4で細かい塵埃が集塵される。フィルタ4と塵埃トレー5は一体で着脱可能であり,取り外して清掃できる。
【0014】
図3は、従来の一例で示す重力式集塵装置の断面図である。符号は図1と同様である。
図4は、従来の一例で示すフィルタ式集塵装置の断面図である。
【0015】
図5は,本発明の実施例を示す説明図である。7は車輪,8は台車,9は図2のフィルタ4と塵埃トレー5を一体で着脱可能としたプレートであり,集塵装置外枠から取り外した状態を示している。プレート9は車輪部の空間に水平に引き出すことが可能であり,着脱が容易である。
【0016】
図6は,従来の一例で示すフィルタ式集塵装置の説明図である。10はフィルタであり,その他の符号は図5と同様である。フィルタ10を集塵装置外枠から取り外した状態を示している。
【符号の説明】
【0017】
1 集塵装置外枠
2 反り返し板
3 入気口メッシュ
3a 集塵装置の入気方向
4 フィルタ
4a 集塵装置の排気方向
5 塵埃トレー
6 フィルタ
7 車輪
8 台車
9 プレート
10 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の台車内に据え付けられている主電動機冷却風の集塵装置において,冷却風の入気口の背後であって、入気した冷却風が通流する集塵装置外枠内空間に、通流方向に対面するように反り返し板を配設し、該反り返し板により分離された塵埃を受けるトレーを前記反り返し板の下部に配設し、通流する冷却風の排気口に集塵するためのフィルタを配設することを特徴とする車両用主電動機冷却風の塵埃除去装置。
【請求項2】
車両用の台車内に据え付けられている主電動機冷却風の集塵装置において,前記トレーと前記フィルタとが一体構造であることを特徴とする請求項1記載の車両用主電動機冷却風の塵埃除去装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−115007(P2012−115007A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260793(P2010−260793)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】