説明

車両用光源制御装置

【課題】運転者の視覚特性により適した光を照射することができ、運転者の視認性をさらに向上させることができる車両用光源制御装置を提供する。
【解決手段】所定配光パターンを形成する少なくとも第1色及び第2色を含む複数色の光を発光する光源と、前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度を測定する視感度測定手段と、前記視感度測定手段により測定された前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度、及び、予め定められた前記第1色及び第2色の光に対する標準視感度に基づいて、明るさに寄与する光の色を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された色の光の出力を増加させるように前記光源を制御する光源制御手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用光源制御装置に関し、特に所定配光パターンを形成する少なくとも第1色及び第2色を含む複数色の光を発光する光源を備えた車両に搭載され該光源を制御する車両用光源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数色の光を発光する光源が車両に搭載された技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、赤色、緑色、青色の三色の光を発光する三つのバルブを含むヘッドライトを有しており、車両周辺の環境に応じて各バルブを制御して色相を変化させようとするものである。
【特許文献1】特開2006−69382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、運転者の視覚特性が考慮されていない。このため、運転者の視覚特性により適した光を照射することができず、運転者の視認性をさらに向上させることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、運転者の視覚特性により適した光を照射することができ、運転者の視認性をさらに向上させることができる車両用光源制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、所定配光パターンを形成する少なくとも第1色及び第2色を含む複数色の光を発光する光源と、前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度を測定する視感度測定手段と、前記視感度測定手段により測定された前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度、及び、予め定められた前記第1色及び第2色の光に対する標準視感度に基づいて、明るさに寄与する光の色を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された色の光の出力を増加させるように前記光源を制御する光源制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、運転者の視感度を測定し、その測定された運転者の視感度等に基づいて、明るさに寄与する光の色を決定し、その決定された色の光の出力を増加させるように光源を制御する。従って、本発明によれば、運転者の視覚特性により適した光を照射することができ、運転者の視認性をさらに向上させることが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記視感度測定手段は、運転者に視認させる基準色の光を発光する参照光源と、運転者に視認させる前記第1色及び第2色の光を発光するテスト光源と、前記テスト光源の前記第1色及び第2色の光の明るさを運転者に調整させる明るさ調整手段と、前記調整手段により明るさが調整された前記テスト光源の前記第1色及び第2色の光の輝度値を算出する輝度値算出手段と、前記輝度算出手段により算出された前記テスト光源の前記第1色及び第2色の光の輝度値と前記参照光源の輝度値とに基づいて、前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度を算出する視感度算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、明るさ調整手段により、テスト光源の第1色及び第2色の光の明るさを参照光源の光の明るさと同じとなるように調整させる。これにより、本発明は、第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度を測定することが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記光源は、前記所定配光パターンのうち中央パターンを形成する少なくとも第1色及び第2色を含む複数色の光を発光する中央用光源と、前記所定配光パターンのうち周辺パターンを形成する少なくとも第1色及び第2色を含む複数色の光を発光する周辺用光源とを含み、前記視感度測定手段は、前記中央用光源、前記周辺用光源ごとに、前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度を測定し、前記決定手段は、前記中央用光源、前記周辺用光源ごとに、出力を増加させる光の色を決定し、前記光源制御手段は、前記中央用光源、前記周辺用光源ごとに、前記決定手段により決定された色の光の出力を増加させるように該光源を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、光源(中央用光源、周辺用光源)ごとに、運転者の視感度を測定し、その測定された運転者の視感度等に基づいて、明るさに寄与する光の色を決定し、その決定された色の光の出力を増加させるように光源(中央用光源、周辺用光源)を制御する。従って、本発明によれば、光源(中央用光源、周辺用光源)ごとに、運転者の視覚特性により適した光を照射することができ、運転者の視認性をさらに向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運転者の視覚特性により適した光を照射することができ、運転者の視認性をさらに向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態である光源制御装置について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の光源制御装置100が搭載される車両200の正面図である。図2は、車両200の灯体220(光源210)又は前照灯230により形成される所定配光パターンを説明するための図である。
【0015】
本実施形態の光源制御装置100は、図1に示すように、所定配光パターンを形成する複数色(例えばRGB)の光を発光する光源210を含む灯体220を備えた自動車等の車両200に搭載される。
【0016】
車両200正面には、左右一対の前照灯230(白熱電球、ハロゲンランプ、又は、LED等の光源を含む)が配置されており、前照灯230の下方にはそれぞれ灯体220が配置されている。
【0017】
灯体220は、光源210やリフレクター(図示せず)等を備えている。光源210は、所定配光パターン(例えば前照灯230が形成するすれ違いビーム用の所定配光パターンP1(図2(a)参照)の全部又は一部に重ねられる配光パターンP2又はP3(図2(b)又は図2(c)参照))を形成する複数色(例えばRGB)の光を発光する3色LED等の光源である。光源210は、基本的には、前照灯230が発光する光(例えば白色光)と同じ色みの光を発光するように制御されるが、個々の色(R、B)の光の出力が個別に制御されるようになっている。
【0018】
次に、本実施形態の光源制御装置100について図面を参照しながら説明する。図3は、本実施形態の光源制御装置100の構成を説明するためのブロック図である。
【0019】
図3に示すように、光源制御装置100は、所定配光パターンを形成する複数色(例えばRGB)の光を発光する光源210を含む灯体220を備えた自動車等の車両200に搭載されるものであり、視感度測定手段110、色み効果判定手段120(本発明の決定手段に相当)、及び、光源制御手段130等を備えている。
【0020】
視感度測定手段110は、R(本発明の第1色に相当)及びB(本発明の第2色に相当)に対する運転者の視感度(基準色(例えばY)の光を1として、他の色(例えばR、B)の光の明るさを感じる度合いを比を用いて表したもの)を測定するためのものである。図3に示すように、視感度測定手段110は、参照光源111、テスト光源112、明るさ調整手段113、輝度値算出手段114、及び、視感度算出手段115等を備えている。
【0021】
参照光源111は、運転者に視認させる基準色(例えば波長573nmのY)の光を一定出力で発光するためのものであり、例えば、図4に示すように、運転席正面のインストゥルメントパネル230に設けられた黄色(Y)LED又はレーザである。
【0022】
テスト光源112は、運転者に視認させる複数色(例えば波長628nmのR、波長459nmのB)の光を発光するためのものであり、例えば、図4に示すように、インストゥルメントパネル230の参照光源111に隣接する位置に設けられた赤色(R)及び青色(B)の2色LED又はレーザである。なお、テスト光源112の色は、切替スイッチ(図示せず)等を操作することにより、切り替えることが可能となっている。
【0023】
明るさ調整手段113は、テスト光源112の光の明るさを運転者に調整させるためのものであり、例えば、図4に示すように、車両200内のハンドル240等に設けられた明るさ調整ボタンである。明るさ調整手段113としては、明るさ調整ボタンとして機能する専用のボタンを車両200内に設けてもよいし、あるいは、車両200内に予め設けられた音量調整用のボタン等の既存のボタンを利用してもよい。
【0024】
輝度値算出手段114は、明るさ調整手段113により明るさが調整されたテスト光源112の光の輝度値(R、B)を算出するためのものである。輝度値算出手段114は、例えば、テスト光源112の出力(例えば電流値)と輝度値との対応関係を定めたテーブル116を格納したメモリを有している。輝度値算出手段114は、このテーブル116を参照することにより、テスト光源112の出力(例えば電流値)に対応する輝度値(R、B)を算出する。
【0025】
視感度算出手段115は、複数色(R、B)の光に対する運転者の視感度(R、B)を算出するためのものである。視感度算出手段115は、例えば、輝度値算出手段114により算出された輝度値(R、B)それぞれを参照光源111の輝度値(Y)で割ることにより、視感度(R、B)を算出する。
【0026】
色み効果判定手段120は、後述のように、主として明るさに寄与する光の色を決定するためのものである。色み効果判定手段120は、明るさに寄与する光の色を決定した場合、その決定した色(R又はB)の光の出力増加を指示する信号を光源制御手段130に送る。
【0027】
光源制御手段130は、色み効果判定手段120から信号を受けると、その信号により指示された色(R又はB)の光の出力を増加させるように光源210を制御するためのものである。
【0028】
次に、上記構成の光源制御装置100の動作について図面を参照しながら説明する。
【0029】
図5は、光源制御装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0030】
まず、車両200のイグニッションスイッチ(図示せず)等をオンすることにより、参照光源111及びテスト光源112が点灯する(ステップS10)。
【0031】
次に、明るさ調整手段113を被験者が操作することにより、テスト光源112の光の明るさを参照光源111の光の明るさと同じになるように調整される(ステップS12)。この調整はテスト光源112のR、Bの各色について行う。
【0032】
輝度値算出手段114は、明るさが調整されたテスト光源112の光から、この光の輝度値(R、B)を算出する(ステップS14)。例えば、輝度値算出手段114は、明るさが調整されたテスト光源112の出力(例えば電流値)を取得し、テーブル116(テスト光源112の出力(例えば電流値)と輝度値との対応関係を定めたテーブル)を参照する。これにより、輝度値算出手段114は、その取得したテスト光源112の出力(例えば電流値)に対応する輝度値(R、B)を算出する。
【0033】
次に、視感度算出手段115は、複数色(R、B)の光に対する運転者の視感度(R、B)を算出する(ステップS16)。例えば、視感度算出手段115は、輝度値算出手段114(ステップS14)により算出された輝度値(R、B)それぞれを参照光源111の輝度値(Y)で割る。これにより、視感度算出手段115は、複数色(R、B)の光に対する運転者の視感度(R、B)を算出する。
【0034】
視感度算出手段115は、その算出した視感度(R、B)を図5に示すようにプロットする(ステップS18)。図6は、縦軸が基準光(Y)に対して感ずる明るさを1(Log0=1)としたときの、同じ強度の光(R、B)に対する視感度の比、横軸が波長である座標系に、a_type〜d_typeの合計四人の運転者それぞれの視感度(R、B)をプロットしたグラフである。なお、図6中の点線で描いた曲線は波長に対する明るさの標準的な視感度を示す標準視感度曲線(標準視感度judd修正ともいう)である。
【0035】
次に、色み効果判定手段120は、図6に示すようにプロットされた視感度(R、B)を、標準視感度曲線(すなわち、予め定められたR及びBの光に対する標準視感度R、B)で割ることにより、比(R、B)を算出する(ステップS20)。
【0036】
色み効果判定手段120は、その算出した比(R、B)を図7に示すようにプロットする(ステップS20)。図7は、縦軸が感度、横軸が波長である座標系に、a_type〜d_typeの合計四人の運転者それぞれの比(R、B)をプロットしたグラフである。
【0037】
次に、色み効果判定手段120は、比(R又はB)が標準的な感度1(Log0=1)よりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。比(R、B)のいずれもが標準的な感度1(Log0=1)よりも小さい場合(ステップS22:No)、明るさに寄与する光の色が存在しないので(すなわち色みの効果がないので)、ステップS24以下の処理を行わない。
【0038】
図7を参照すると、a_type〜d_typeの運転者については、全て比(R又はB)が標準的な感度1(Log0=1)よりも大きい。この場合(ステップS22:Yes)、色み効果判定手段120は、さらに、比(R及びB)がしきい値Tを超えているか否かを判定する(ステップS24)。なお、上記ステップS24を含む本実施形態では、しきい値Tは、比(Rr及びBr)の値が1(Log0)を含む所定の範囲の値(例えばLog0以上Log0.25以下の範囲)であればよい。すなわち、本発明において、しきい値Tは、Log0=1であってもよい。
【0039】
図7を参照すると、a_typeの運転者については、比(R及びB)がしきい値Tを超えている。この場合(ステップS24:Yes)、R及びBのいずれも明るさに寄与するといえるので、色み効果判定手段120は、R又はBのいずれの出力を増加させるか決定するべく、さらに比Rr>比Brか否かを判定する(ステップS26)。
【0040】
比Rr>比Brである場合(ステップS26:Rr>Br)、BよりRの方が明るさに寄与するといえるので、色み効果判定手段120は、Rの出力増加を指示する信号を光源制御手段130に送る(ステップS28)。一方、比Rr<比Brである場合(ステップS26:Rr>Br)、RよりBの方が明るさに寄与するといえるので、色み効果判定手段120は、Bの出力増加を指示する信号を光源制御手段130に送る(ステップS30)。
【0041】
図7を参照すると、a_typeの運転者については、比Rr<比Brである。この場合(ステップS26:Rr<Br)、a_typeの運転者については、RよりBの方が明るさに寄与するといえるので、色み効果判定手段120は、Bの出力増加を指示する信号を光源制御手段130に送る(ステップS30)。なお、比Rr=比Brである場合(ステップS26:Rr=Br)、色み効果判定手段120は、R又はBいずれの出力増加を指示する信号も光源制御手段130に送らない(ステップS32)。
【0042】
一方、ステップS24で比(R又はB)のいずれか一方のみがしきい値Tを超えている場合(ステップS24:No、ステップS34:Yes)、この場合、しきい値Tを超えているR又はBは明るさに寄与するといえるので、色み効果判定手段120は、そのしきい値Tを超えているR又はBの出力増加を指示する信号を光源制御手段130に送る(ステップS36)。
【0043】
図7を参照すると、b_typeの運転者については、比Bのみがしきい値Tを超えている。この場合(ステップS24:No、ステップS34:Yes)、b_typeの運転者については、しきい値Tを超えているBが明るさに寄与するといえるので、色み効果判定手段120は、Bの出力増加を指示する信号を光源制御手段130に送る。
【0044】
同様に、図7を参照すると、c_typeの運転者については、比Rのみがしきい値Tを超えている。この場合(ステップS24:No、ステップS34:Yes)、c_typeの運転者については、しきい値Tを超えているRが明るさに寄与するといえるので、色み効果判定手段120は、Rの出力増加を指示する信号を光源制御手段130に送る。
【0045】
一方、比(R又はB)のいずれもがしきい値Tを超えていない場合(ステップS24:No、ステップS34:No)、R及びBのいずれも明るさにほとんど寄与しないといえるので(すなわち色みの効果がほとんどないので)、R又はBいずれの出力増加を指示する信号も光源制御手段130に送らない(ステップS38)。
【0046】
図7を参照すると、d_typeの運転者については、比(R又はB)のいずれもがしきい値Tを超えていない。この場合(ステップS24:No、ステップS34:No)、d_typeの運転者については、R及びBのいずれも明るさにほとんど寄与しないといえるので(すなわち色みの効果がほとんどないので)、色み効果判定手段120は、R又はBいずれの出力増加を指示する信号も光源制御手段130に送らない(ステップS38)。
【0047】
光源制御手段130は、色み効果判定手段120から出力増加を指示する信号を受けると、その信号により指示された色(R又はB)の光の出力を増加させるように光源210を制御する(ステップS36)。あるいは、光源制御手段130は、その信号により指示された色(R又はB)以外の色(GB又はRG)の光の出力を減少させるように光源210を制御することにより、その信号により指示された色(R又はB)の出力を相対的に増加させる。
【0048】
これにより、灯体220(光源210)は、所定配光パターン(例えば前照灯230が形成するすれ違いビーム用の所定配光パターンP1(図2(a)参照)の全部又は一部に重ねられる配光パターンP2又はP3(図2(b)又は図2(c)参照))を形成する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の光源制御装置100によれば、運転者の視感度を測定し(ステップS10〜S16)、その測定された運転者の視感度等に基づいて、明るさに寄与する光の色を決定し(ステップS18〜S36)、その決定された色の光の出力を増加させるように光源を制御する(ステップS40)。従って、本実施形態の光源制御装置100によれば、運転者の視覚特性(視感度)により適した光を照射することができ、運転者の視認性をさらに向上させることが可能となる。
【0050】
〔第2実施形態〕
図8は、第2実施形態の光源制御装置100が搭載される車両200の正面図である。図9は、第2実施形態の参照光源111及びテスト光源112を説明するための図である。
【0051】
本実施形態は、第1実施形態と比較して、図8に示すように、光源210を含む灯体220がさらに車両200正面中央にも配置されている点、図9に示すように、参照光源111及びテスト光源112が周辺(左側周辺)視感度測定用、中心視感度測定用、周辺(右側周辺)視感度測定用の合計三つ設けられている点、中心視感度測定用の参照光源111を注目しながら、周辺(左側周辺)視感度測定用、中心視感度測定用、周辺(右側周辺)視感度測定用の合計三つのテスト光源112の光の明るさを対応する参照光源111の光の明るさと同じになるように調整する点(すなわち光源210ごとに視感度を測定する点)、その測定された運転者の視感度等に基づいて、光源210ごとに明るさに寄与する光の色を決定する点(ステップS18〜S36と同様)、及び、光源210ごとに、その決定された色の光の出力を増加させるように該光源210を制御する(ステップS40と同様)点が相違する。他の構成については第1実施形態と同様である。
【0052】
これにより、各灯体220(光源210)は、所定配光パターン(例えば前照灯230が形成するすれ違いビーム用の所定配光パターンP1(図2(a)参照)の全部又は一部に重ねられる配光パターンP2又はP3(図2(b)又は図2(c)参照))を形成する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の光源制御装置100によれば、光源210(周辺(左側周辺)視感度測定用、中心視感度測定用、周辺(右側周辺)視感度測定用)ごとに、運転者の視感度を測定し、その測定された運転者の視感度等に基づいて、光源210ごとに明るさに寄与する光の色を決定し、その決定された色の光の出力を増加させるように各光源210を制御する。従って、本実施形態の光源制御装置100によれば、光源210ごとに、運転者の視覚特性により適した光を照射することができ、運転者の視認性をさらに向上させることが可能となる。
【0054】
次に、変形例について説明する。
【0055】
上記各実施形態では、光源210は、前照灯230の下方に配置された灯体220に設けられているように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、光源210を前照灯230に設けるようにしてもよい。
【0056】
また、上記各実施形態では、光源210は、3色LEDであるように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、光源210は、赤色、緑色、青色の三色の光を発光する三つのバルブ等の光源であってもよい。
【0057】
また、上記各実施形態では、参照光源111は基準色(Y)の光を一定出力で発光するように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、参照光源111は基準色(G等)の光を一定出力で発光するものであってもよい。
【0058】
また、上記各実施形態では、参照光源111が波長573nmのY、テスト光源112が波長628nmのR、波長459nmのBであるように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、参照光源111及びテスト光源112は他の波長のY、R、Bであってもよい。
【0059】
また、上記各実施形態では、参照光源111及びテスト光源112がLEDであるように説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両200内に設けられたディスプレイに参照光源111及びテスト光源112それぞれに対応する画像を表示させるようにしてもよい。
【0060】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態の光源制御装置100が搭載される車両200の正面図である。
【図2】車両200の灯体220(光源210)又は前照灯230により形成される所定配光パターンを説明するための図である。
【図3】第1実施形態の光源制御装置100の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】第1実施形態の参照光源111及びテスト光源112を説明するための図である。
【図5】第1実施形態の光源制御装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】縦軸が基準光(Y)に対して感ずる明るさを1(Log0=1)としたときの、同じ強度の光(R、B)に対する視感度の比、横軸が波長である座標系に、a_type〜d_typeの合計四人の運転者それぞれの視感度(R、B)をプロットしたグラフである。
【図7】縦軸が感度、横軸が波長である座標系に、a_type〜d_typeの合計四人の運転者それぞれの比(R、B)をプロットしたグラフである。
【図8】第2実施形態の光源制御装置100が搭載される車両200の正面図である。
【図9】第2実施形態の参照光源111及びテスト光源112を説明するための図である。
【符号の説明】
【0062】
100…光源制御装置、110…視感度測定手段、111…参照光源、112…テスト光源、113…調整手段、114…輝度値算出手段、115…視感度算出手段、116…テーブル、120…効果判定手段、130…光源制御手段、200…車両、210…光源、220…灯体、220…灯体、230…前照灯、230…インストゥルメントパネル、240…ハンドル、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定配光パターンを形成する少なくとも第1色及び第2色を含む複数色の光を発光する車両用の光源を制御する車両用光源制御装置において、
前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度を測定する視感度測定手段と、
前記視感度測定手段により測定された前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度、及び、予め定められた前記第1色及び第2色の光に対する標準視感度に基づいて、明るさに寄与する光の色を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された色の光の出力を増加させるように前記光源を制御する光源制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用光源制御装置。
【請求項2】
前記視感度測定手段は、
運転者に視認させる基準色の光を発光する参照光源と、
運転者に視認させる前記第1色及び第2色の光を発光するテスト光源と、
前記テスト光源の前記第1色及び第2色の光の明るさを運転者に調整させる明るさ調整手段と、
前記調整手段により明るさが調整された前記テスト光源の前記第1色及び第2色の光の輝度値を算出する輝度値算出手段と、
前記輝度算出手段により算出された前記テスト光源の前記第1色及び第2色の光の輝度値と前記参照光源の輝度値とに基づいて、前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度を算出する視感度算出手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用光源制御装置。
【請求項3】
前記光源は、前記所定配光パターンのうち中央パターンを形成する少なくとも第1色及び第2色を含む複数色の光を発光する中央用光源と、前記所定配光パターンのうち周辺パターンを形成する少なくとも第1色及び第2色を含む複数色の光を発光する周辺用光源とを含み、
前記視感度測定手段は、前記中央用光源、前記周辺用光源ごとに、前記第1色及び第2色の光に対する運転者の視感度を測定し、
前記決定手段は、前記中央用光源、前記周辺用光源ごとに、出力を増加させる光の色を決定し、
前記光源制御手段は、前記中央用光源、前記周辺用光源ごとに、前記決定手段により決定された色の光の出力を増加させるように該光源を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用光源制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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