説明

車両用内装材

【課題】 確実に機能部品を装着することができると共に、金型の取り扱いを間違えることなく成形時の成形不良を起こさないで成形することができ、金型を共有にして金型コストを低減できる車両用内装材を提供する。
【解決手段】 車両用ドアトリム100は、ステップランプ50及びドアポケット60を構成するポケットバックカバー68と、ステップランプ50が挿通するランプ取付用開口52が開設されたドアトリムロア10Bとを備え、ステップランプ50は、ランプ取付用開口52から挿通すると、ドアトリムロア10Bの裏面に配置するポケットバックカバーに形成された取付用フランジ70により取り付けられる。これにより、確実に機能部品を装着することができると共に、一般的な成形上型210を用いるため、成形上型210の取り扱いを間違えることなく成形できる。また、共有の成形上型210を用いるため、金型コストを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内装には、保形性及び車体パネルへの取付剛性を有する樹脂芯材と、表面外観に優れた表皮とを積層一体化して構成された車両用内装材が装備されている。この車両用内装材としては、ドアパネルの室内面側に取り付けられるドアトリム、ルーフパネルの室内面側に取り付けられるルーフトリム等がある。車両用内装材としての車両用ドアトリムには、機能部品としてのステップランプを装着するタイプと、ステップランプを装着しないタイプがある。
【0003】
図1は、ステップランプを装着するタイプの従来の車両用ドアトリムを説明する図である。図1(a)は、従来の車両用ドアトリムの下方に装着されたステップランプを示す要部拡大図である。図1(a)に示される従来の車両用ドアトリム1においては、乗降時に搭乗者の足下付近を照明するステップランプ2を取付けるための取付用開口3が開設されており、この取付用開口3に、ステップランプ2をドアトリム表面1A側から嵌め込んで固定している(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】実開平5-65677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1(b)は、図1(a)に示される従来の車両用ドアトリム1のA-A断面図の例を示す図である。図1(b)に示すように、従来の車両用ドアトリム1は、ステップランプ2のレンズ2Aがドアトリム表面1Aと略水平状態になるように、ステップランプ2のハウジング2Bを取付用開口3に差し込んでいる。従来の車両用ドアトリム1においては、取付用開口3の開口周縁からドアトリム裏側1Bに向けて延設された取付用フランジ4に、ステップランプ2のハウジング2Bに形成された係止爪2B1,2Bを係合させて、ステップランプ2を取付用開口3に固定していた。
【0006】
ところで、特許文献1に示す従来の車両用ドアトリムにおいては、ステップランプの熱を外部に放出するための逃がし孔が形成されており、この逃がし孔からステップランプの光が漏れることがないように、ステップランプを取付ける取付用開口付近に、ドアトリム裏面側に延びる遮光用リブを設定していた。
【0007】
図2は、図1に示す従来の車両用ドアトリムを成形する成形用金型の一部の例を示す断面図である。同図(a)はステップランプを取付ける取付用開口が有るタイプの車両用ドアトリムを成形する成形用金型の一部の断面図、図(b)はステップランプを取付ける取付用開口が無いタイプの車両用ドアトリムを成形する成形用金型の一部の断面図である。
【0008】
しかしながら、図1(b)に示す従来の車両用ドアトリム1では、製品形状に成形すると同時に、取付用開口3を開設しながら、ステップランプ2のハウジング2Bに形成された係止爪2B1,2Bが係合する取付用フランジ4を一体的に成形していたため、図2(a)に示すように、凹部5Aが形成された上型コア5と、凸部6Aが形成された下型キャビティ6からなる成形用金型7を用いる必要があった。これは、図1(b)に示す従来の車両用ドアトリム1では、成形用金型7のキャビティ7A内で取付用フランジ4が複雑な形状をしているため、前述のような凹部5Aと凸部6Aの入れ子対応の成形用金型7を用いなければ成形することができないためである。
【0009】
このため、従来の車両用ドアトリムにおいては、ステップランプを装着するタイプとステップランプを装着しないタイプがあるため、従来の車両用ドアトリムを成形する場合、図2(a)に示すような取付用開口を形成するタイプの成形用金型7と、図2(b)に示すような取付用開口が無いタイプで相互に対向する面が平坦な上型コア8Aと下型キャビティ8Bからなる成形用金型9との2種類の成形用金型を用意する必要があった。その結果、金型のコストが増加するという問題が発生していた。
【0010】
また、ステップランプを装着するタイプの車両用ドアトリム1を成形する場合に、図2(a)に示すように、取付用フランジ4に対応する成形用金型7として、凹部5Aが形成された上型コア5と、凸部6Aが形成された下型キャビティ6をセットするはずが、図2(b)に示す平坦な面を有する上型コア8Aと、図2(a)に示す凸部6Aが形成された下型キャビティ6とに間違ってセットしてしまう懸念もあった。この図2(b)に示す上型コア8Aと、図2(a)に示す下型キャビティ6をセットして車両用ドアトリムを成形した場合、車両用ドアトリム1には、図1(b)に示す取付用フランジ4が成形されないという成形不良を起こす問題が発生していた。この結果、車両用ドアトリム1には取付用フランジ4が形成されていないため、ステップランプ2を装着することができないという問題が発生していた。
【0011】
さらに、特許文献1に示す車両用ドアトリムにおいては、ステップランプの光漏れ防止対策として遮光用リブを一体的に形成しているため、図2(a)に示す上型コア5に遮光用リブ形状の溝を設定する必要があった。このため、ステップランプを装着するタイプの車両用ドアトリムを成形する場合は、図2(a)が示す上型コア5とは別に遮光用リブ形状の溝が設定された上型コアを用意する必要が生じた。この結果、上型コアの種類が増えるため、上述のような成形不良が更に発生し易いという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、確実に機能部品を装着することができると共に、金型の取り扱いを間違えることなく成形時の成形不良を起こさないで成形することができ、金型を共有にして金型コストを低減できる車両用内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用内装材は、開口が開設された内装材本体と、該内装材本体の該開口に挿通する第1の機能部品と、該第1の機能部品が前記開口に挿通する側とは反対側の前記内装材本体に配置される第2の機能部品と、を備える車両用内装材であって、前記第2の機能部品は、前記内装材本体の前記開口から挿通した前記第1の機能部品を前記内装材本体に取付ける取付部材を有する。
【0014】
本発明によれば、第1の機能部品は第2の機能部品に形成された取付用フランジ(取付部材)により取付けられるため、確実に内装材本体に装着することができる。従って、第1の機能部品を取付ける取付用フランジが第2の機能部品に形成されているものであるため、内装材本体の成形時には、第1の機能部品が挿通する部分では開口を形成するだけなので、図2(a)に示す従来技術のように開口周縁に取付用フランジを一体成形する必要がない。このため、内装材本体を成形する成形用金型の上型はステップランプを装着しないドアトリムロアを成形する仕様の一般的な上型のものを利用することができるため、交換時の金型(上型)の取り扱いを間違えることなく成形時の成形不良を起こさないで成形することができる。また、金型(上型)を共有できるため、金型コストを低減することができる。
【0015】
前記第2の機能部品の前記取付部材は、前記第1の機能部品が挿通する開口部と、該開口部から挿通した前記第1の機能部品を係止する係止部とを備える。本発明によれば、取付用フランジ(取付部材)にフランジ開口部(開口部)と係止部により第1の機能部品は内装材本体に強固に固定されるため、第1の機能部品は内装材本体の開口から外れることなく確実に内装材本体に装着させておくことができる。
【0016】
前記第2の機能部品の前記取付部材は、第1の機能部品が発光する光を遮断する遮光部を更に備える。本発明によれば、取付用フランジに取付けたステップランプの光が外部に漏れるのを防止することができる。また、遮光部としての遮光用リブが取付用フランジに形成されているため、遮光用リブ形状の溝が設定された上型を用いずに一般的な上型を用いることができる。このため、上型の数は増えることがないため、金型(上型)の取り扱いを間違えることなく成形時の成形不良を起こさないで成形することができる。また、金型(上型)を共有できるため、金型コストを低減することができる。また、従来のように内装材本体に遮光用リブを設定することがないため、内装材本体の肉厚の表面に凹みができる成形不良のヒケなどを防止することができる。このため、内装材本体のヒケを懸念せずに、遮光用リブの高さなどを自由に設定することができる。
【0017】
前記開口が開設された前記内装材本体は、開口が開設されていない内装材本体を成形する成形用金型の一部の金型(コア側)を利用して成形される。本発明によれば、内装材本体自体に取付用フランジを一体成形しないため、内装材本体は、取付用フランジを成形する仕様の上型を用いなくても一般的な上型を用いて成形することができる。
【0018】
前記第1の機能部品と前記第2の機能部品は、前記内装材本体が複数の分割体で構成されている場合、同一の分割体の内装材本体に取り付けられる。本発明によれば、第1の機能部品は、近接した第2の機能部品に形成された取付用フランジにより取付けられるため、効率良く内装材本体の裏面に取付けておくことができる。
【0019】
前記第1の機能部品は照明機能を有するステップランプであり、前記第2の機能部品は備品の収容機能を有するポケットを構成するポケットバックカバーであり、前記内装材本体はドアトリム本体である。本発明によれば、ステップランプは、ドアトリム本体裏面に装着されたポケットバックカバーに形成された取付用フランジにより取付けられるため、確実にドアトリム本体に装着させておくことができる。このため、ドアトリム本体の成形時に開口周縁に取付用フランジを成形することもなく、また、専用の固定具などを用いることなくステップランプをドアトリム本体に開設された開口に装着させておくことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、確実に機能部品を装着することができると共に、金型の取り扱いを間違えることなく成形時の成形不良を起こさないで成形することができ、金型を共有にして金型コストを低減できる車両用内装材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る車両用内装材について、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。尚、本発明に係る車両用内装材の例として車両用ドアトリムについて説明する。
【0022】
図3乃至図8を用いて、本実施の形態による車両用ドアトリム100について説明する。まず、車両用ドアトリム100全体の正面100Aと裏面100Bを図3及び図4を参照しながら説明する。図3は本発明の実施形態による車両用ドアトリム全体を正面から見た平面図であり、図4は図3に示す車両用ドアトリム全体を裏面から見た平面図である。
【0023】
車両用ドアトリム100は、図3及び図4に示すように、ドアインナパネル(図示省略)を内装して車室内の側壁を構成するドアトリム本体10と、このドアトリム本体10に装着する複数の機能部品20,30,40,50,60を備えている。
【0024】
ドアトリム本体10は、車両上方に配置されたドアトリムアッパー10A、車両下方に配置されたドアトリムロア10B、ドアトリムアッパー10Aとドアトリムロア10Bの間に配置されたドアトリムセンター10Cとの分割体で構成された多色成形品である。
【0025】
ドアトリムアッパー10A、ドアトリムロア10Bとドアトリムセンター10Cの各々の接合は、ビス等の締結具又は溶着装置により固定される。また、ドアトリムアッパー10Aとドアトリムセンター10Bは、保形性を有する樹脂基材と、樹脂基材の表面側に積層一体化される加飾機能を持つ表皮材との積層成形体で構成されている。ドアトリムロア10Bは、保形性を有する樹脂基材からなる樹脂成形体である。また、ドアトリムロア10Bは、後述するように、機能部品としてのステップランプ(第1の機能部品)50が挿通するランプ取付用開口52が開設されている。このランプ取付用開口52の開口周縁には、図1(b)に示す従来の車両用ドアトリム1のような取付用フランジ4が形成されていない。尚、ドアトリムアッパー10A、ドアトリムロア10Bとドアトリムセンター10Cは、射出成形やモールドプレス成形により成形される。
【0026】
樹脂基材は、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の汎用の熱可塑性樹脂により構成されている。
【0027】
表皮材は、樹脂基材の表面に貼付される加飾材であり、織布、不織布、編布等の布地シート、あるいはこれら布地シートの裏面にポリエチレンフォーム等のポリオレフィン系樹脂フォーム、ポリウレタンフォーム等のクッション層を裏打ちした積層シート材料である。尚、表皮材は、塩ビシートやTPO(サーモプラスチックオレフィン)シート、TPU(サーモプラスチックウレタン)シート等の合成樹脂シート、あるいはこれら合成樹脂シートの裏面にポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等のクッション層を裏打ちした積層シート材料であっても良い。
【0028】
複数の機能部品は、ドアトリム本体10の正面に配置される座席シートに着座する搭乗者に快適な車室空間を提供するよう機能しており、インサイドハンドルユニット20、アームレスト30、スピーカグリル40、ステップランプ(第1の機能部品)50、ポケットバックカバー68(第2の機能部品)を備えるドアポケット60等により構成されている。
【0029】
インサイドハンドルユニット20は、搭乗者の操作により室内側からドアロック機構を解除するためのものである。このインサイドハンドルユニット20は、ドアロック機構のロック状態を開放させる操作ハンドル22と施錠解錠用のロックノブ24で構成されている。また、インサイドハンドルユニット20は、搭乗者の操作の利便性を考慮して、ドアトリムアッパー10Aの車両前方側に配設されている。
【0030】
アームレスト30は、座席シートに着座している搭乗者の肘を受ける肘掛である。このアームレスト30は、搭乗者の肘から前腕を受けるよう室内側に膨出して形成されており、かつ車両前後方向へ延びるように設けられている。また、アームレスト30は、着座している搭乗者の肘の位置を考慮して、ドアトリムセンター10Cに配置されている。さらに、アームレスト30の少なくとも一部の表面には、ウィンドウガラスを昇降させる押圧スイッチ等の化粧板であるスイッチフィニッシャ(図示省略)が設けられている。
【0031】
スピーカグリル40は、車載用オーディオスピーカ(図示省略)の表面側に位置して、音声を車室内に出力させるための多数の貫通穴が形成されている。このスピーカグリル40は、モールドプレス成形又は射出成形法により、車両用ドアトリム100の製品形状に成形すると同時に、多数の貫通孔を形成することにより成形されている。また、スピーカグリル40は、ドアトリムロア10Bの車両前方側に配置されている。
【0032】
ステップランプ50は、夜間乗降時のドア開閉の際に、搭乗者の足下付近を照明する照明具である。ステップランプ50は、ドアトリムロア10Bの車両後方側に開設されたランプ取付用開口52に挿通するようになっており、後述するようドアトリムロア10B裏面に配置されたポケットバックカバー68によりドアトリムロア10Bに取付けられる(図4参照)。このステップランプ50は、図3及び図4に示すように、ランプ(例えばLEDランプ)54、ランプ54を収容する樹脂製のハウジング56、ハウジング56の前面に設けられ、着色透明プレートからなる照光用レンズ58、ハウジング56の車幅方向に設けられた一対の係止爪59A,59Bを備える。
【0033】
ドアポケット60は、道路マップや小物等の各種備品を収容する袋状のものである。このドアポケット60は、車両前方側のジュースホルダ62と、ジュースホルダ62と連接して車両後方側に道路マップ等の各備品を収容する備品収容部64から構成されている。ドアポケット60は、ドアトリムロア10B表面側にポケット用開口66(図3参照)を形成し、ドアトリムロア10B裏面側にポケット用開口66を塞ぐポケットバックカバー68(図4参照)を取付けて形成されている。従って、ポケットバックカバー68は、ドアトリムロア10B裏面側に配置されるようになっている。また、ドアポケット60は、ジュースホルダ62と備品収容部64内の各種備品の出し入れが搭乗者に行い易いように、スピーカグリル40とステップランプ50の間のドアトリムロア10Bに配置されている。尚、ポケット用開口66は、開口周りの剛性を強化するよう、開口周縁に沿って射出成形体からなるフレーム状のポケットエスカッションを嵌め込むようにしても良い。
【0034】
ポケットバックカバー68は、図4に示すように、ドアポケット50の収容空間を大きく確保できるように、凹部面をポケット内に臨ませるボックス形状に成形されている。このポケットバックカバー68は、ドアトリムロア10B裏面側にポケットバックカバー68を固定しておくための締結具(例えばねじ)が挿入する複数の貫通孔68Aと、ドアインナパネル側へポケットバックカバー68を固定しておくためのクリップ(図示省略)が装着するクリップ取付座68Bと、取付用フランジ(取付部材)70が一体的に形成されている。複数の貫通孔68Aは、ポケットバックカバー68の周縁に沿って所定の間隔をあけて形成されている。クリップ取付座68Bは、スピーカグリル40側とポケットバックカバー68の下側との2箇所に形成されている。
【0035】
次に、ポケットバックカバー68に形成された取付用フランジ70について詳細に説明しつつ、この取付用フランジ70とステップランプ50の取付状態について図5乃至図7を参照しながら説明する。図5は図4に示す取付用フランジの表面からステップランプが取付けられる状態を示す拡大斜視図、図6は図4に示すステップランプと取付用フランジの取付状態を示す要部拡大図、図7は図3に示す車両用ドアトリムのB−B断面図である。
【0036】
取付用フランジ70は、図5及び図6に示すように、ドアトリムロア10Bのランプ取付用開口52に挿通したステップランプ50をドアトリムロア10Bに取付けるものである。この取付用フランジ70は、ランプ取付用開口52に対応する部位に向けてポケットバックカバー68の側部から延設されている。この取付用フランジ70は、ステップランプ50を挿通させる開口部としてのフランジ開口部72(図5参照)と、このフランジ開口部72から挿通したステップランプ50を係止する一対の係止部74A,74B(図6参照)と、取付用フランジ70をドアトリムロア10B裏面に固定しておくための締結具(例えば、ねじ)が挿入する複数の貫通孔761〜4(図6参照)と、補強リブ78A,78B(図6参照)が形成されている。
【0037】
フランジ開口部72は、図5に示すように、ステップランプ50が挿通するランプ取付用開口52と略同一の大きさに形成されている開口である。係止部74A,74Bは、図6に示すように、ステップランプ50のハウジング56に形成された係止爪59A,59Bが係合するよう凸状に突出形成されている。複数の貫通孔761〜4のうち、貫通孔761,2は取付用フランジ70の上側に形成され、貫通孔763,4は取付用フランジ70の下側に形成されている。補強リブ78A,78Bは、図6に示すように、ステップランプ50を取付けたときの取付用フランジ70を補強するようポケットバックカバー68の裏面から取付用フランジ70に向けて延設されたものである。
【0038】
ステップランプ50は、図5に示すように、ドアトリムロア10Bに開設されたランプ取付用開口52に差し込まれた後、ポケットバックカバー68から延設された取付用フランジ70のフランジ開口部72に挿通するようになっている。ステップランプ50がドアトリムロア10Bの表面側からランプ取付用開口50とフランジ開口部72に差し込まれた場合、図6及び図7に示すように、ドアトリムロア10Bの裏面側では、ハウジング56に形成された係止爪59A,59Bが取付用フランジ70の係止部74A,74Bに係合するようになっている。これにより、ステップランプ50は、ポケットバックカバー68から延設された取付用フランジ70によりドアトリムロア10Bに取り付けられるようになっている。また、ストップランプ50は、図7に示すように、ポケットバックカバー68の取付用フランジ70により取り付けられると、照光用レンズ58の表面が、ドアトリムロア10Bの表面と水平状態となるようになっている。
【0039】
次に、上述のドアトリムロア10Bを成形する成形用金型200の構成について図8を用いて概略的に説明する。図8は図3に示す車両用ドアトリムに開設されたステップランプ取付用開口の付近を成形する成形用金型の一部を示す断面図である。
【0040】
成形用金型200は、図8に示すように、射出成形法又はモールドプレス成形法によりドアトリムロア10Bを成形するために、所定ストローク上下移動可能な可動側金型の成形上型210と、この成形上型210と対をなす固定側金型の成形下型220と、この成形下型220に接続されている射出機(図示省略)で大略構成されている。
【0041】
成形下型220は、ステップランプ50の取付用開口52をドアトリムロア10Bに開設するために、凸部220Aを有している。一方、成形上型210は、成形下型220の凸部220Aに対向する部位が平坦面210Aになっている。すなわち、成形上型210は、図2(b)に示す上型コア8Aと同一のものを用いている。
【0042】
以上のとおり、ステップランプ50は、ドアポケット60を構成するポケットバックカバー68から延設された取付用フランジ70により取付けられるため、確実にドアトリムロア10Bに装着することができる。したがって、ステップランプ50を取付ける取付用フランジ70がポケットバックカバー68に形成されているものであるため、ドアトリムロア10Bの成形時には、ステップランプ50を装着するドアトリムロア10Bの部分はランプ取付用開口52を形成するだけなので、図2(a)に示す従来技術のように開口周縁に取付用フランジを一体成形する必要がない。このため、ドアトリムロア10Bを成形する成形用金型200の成形上型210は、ステップランプを装着しないドアトリムロアを成形する仕様の一般的な成形上型(例えば、図2(b)に示す上型コア8A)を共用して利用することができる。この結果、ドアトリムロア50を成形する場合は、一般的な成形上型を共用することができる。これにより、成形上型の数は増えることがないため、成形上型210の取り扱いを間違えることなく適切な成形用金型200をセットすることができる。この結果、従来のような成形上型の取り間違えによる成形時の成形不良は確実に防止することができる。また、従来のようにステップランプの装着の有無によって2種類の成形上型を用意しなくても、ステップランプの装着の有無に関係なく1種類の成形上型210を用意するだけで良いため、成形用金型200の全体の金型コストを低減することができる。
【0043】
次に、上述のポケットバックカバー68に延設された取付用フランジ70の変形例について図9を参照しながら説明する。図9は図4に示す取付用フランジの変形例を示す斜視図である。尚、上述と同一の構成については図面上に同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
取付用フランジ(取付部材)70’は、図9に示すように、前述の取付用フランジ70とは異なり、ステップランプ50のハウジング56に設けられた熱逃がし孔(図示省略)からランプ54の光が外部に漏れるのを防止するための遮光用リブ80が一体的に形成されている。この遮光用リブ80は、ポケットバックカバー68の取付用フランジ70’の裏面側からドアインナパネルに向けて延設されている。
【0045】
以上のとおり、遮光用リブ80がランプ54の光を外部に遮断することにより、乗降時、搭乗者の足下付近を効率よく照射することができる。また、遮光用リブ90がポケットバックカバー68の取付用フランジ70’に形成されているため、従来のように遮光用リブ形状の溝が設定された成形上型を用いずに、前述の成形上型210と同様に一般的な成形上型を用いることができる。このため、成形上型の数は増えることがないため、成形上型210の取り扱いを間違えることなく成形時の成形不良を起こさないでドアトリムロア10Bの成形することができる。また、成形上型210を共有できるため、金型コストを低減することができる。さらに、成形不良のヒケを懸念せずに、遮光用リブ90のドアインナパネル方向への高さを設定することができる。
【0046】
上述の実施形態では、第2の機能部品の例としてポケットバックカバー68について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、スピーカグリル40の背面に配置されるオーディオスピーカー、インサイドハンドルユニット20やアームレスト30に配置されるスイッチフィニッシャーを取付けるための図示しない取付座などでも良く、ドアトリムロア10Bの裏面に配置する機能を有したものであれば何れであっても良い。また第1の機能部品の例としてステップランプ50を説明したが、ドアトリムロア10Bの開口から挿通するものであれば、何れであっても良い。
【0047】
また、上述の実施形態では、取付用フランジ70は、ポケットバックカバー68に一体的に成形されたものについて説明したが、取付用フランジ70がポケットバックカバー68とは別体で成形されたものであっても良い。また、取付用フランジ70は、ステップランプ50を固着するために、フランジ開口部72と係止部74A,74Bを形成したが、フランジ開口部72、係止部74A,74Bを形成せずに単に係止手段だけを形成したもの等であっても良い。
【0048】
さらに、上述の実施形態では、内装材本体の例としてドアトリムロア10Bについて説明したが、これに限るものではなく、ドアトリムアッパー10Aやドアトリムセンター10Cであっても良く、またドアトリム本体10とは異なり分割体でないドアトリム本体10であっても良い。さらに、ステップランプ50とポケットバックカバー68が同一の分割体のドアトリムロア10Bに配置したが、例えばステップランプ50をドアトリムアッパー10Aに配置したような別々の分割体に配置したものであっても良い。
【0049】
加えて、上述の実施形態では、車両用内装材の例として車両用ドアトリム100について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、車室内に設けられるクオータトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージトリム、リヤサイドトリム、ピラーガーニッシュ又はルーフトリムなどであっても良い。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明に係る車両用内装材は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の車両用ドアトリムを説明する図である。
【図2】図1に示す車両用ドアトリムを成形する成形用金型の一部の例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態による車両用ドアトリム全体を正面から見た平面図である。
【図4】本発明の実施形態による車両用ドアトリム全体を裏面から見た平面図である。
【図5】図4に示す取付用フランジにステップランプが取付けられる状態を示す拡大斜視図である。
【図6】図4に示すステップランプと取付用フランジの取付状態を示す要部拡大図である。
【図7】図3に示す車両用ドアトリムのB−B断面図である。
【図8】図3に示す車両用ドアトリムに開設されたステップランプ取付用開口の付近を成形する成形用金型の一部を示す断面図である。
【図9】図4に示す取付用フランジの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
100 車両用ドアトリム(車両用内装材)
100A 表面
100B 裏面
10 ドアトリム本体
10A ドアトリムアッパー
10B ドアトリムロア
10C ドアトリムセンター
20 インサイドハンドルユニット
22 操作ハンドル
24 ロックノブ
30 アームレスト
40 スピーカグリル
50 ステップランプ(第1の機能部品)
52 ランプ取付用開口
54 ランプ
56 ハウジング
58 照光用レンズ
59A,59B 係止爪
60 ドアポケット
62 ジュースホルダ
64 備品収容部
66 ポケット用開口
68 ポケットバックカバー(第2の機能部品)
68A 複数の貫通孔
68B クリップ取付座
70 取付用フランジ(取付部材)
72 フランジ開口部(開口部)
74A,74B 係止部
76 貫通孔
78A,78B 補強リブ
80 遮光用リブ(遮光部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が開設された内装材本体と、
該内装材本体の該開口に挿通する第1の機能部品と、
該第1の機能部品が前記開口に挿通する側とは反対側の前記内装材本体に配置される第2の機能部品と、を備える車両用内装材であって、
前記第2の機能部品は、前記内装材本体の前記開口から挿通した前記第1の機能部品を前記内装材本体に取付ける取付部材を有する、ことを特徴とする車両用内装材。
【請求項2】
前記第2の機能部品の前記取付部材は、前記第1の機能部品が挿通する開口部と、該開口部から挿通した前記第1の機能部品を係止する係止部とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用内装材。
【請求項3】
前記第2の機能部品の前記取付部材は、第1の機能部品が発光する光を遮断する遮光部を更に備える、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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