車両用冷凍サイクル装置
【課題】高負荷、高速条件下において圧縮機の省動力を図ると共に、乗員のフィーリングの悪化を抑制する車両用冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】冷媒を高温高圧に圧縮し、吐出量を調整可能に吐出する圧縮機111を構成要素として有する冷凍サイクル110と、圧縮機111の吐出量を制御する制御装置120とを備える車両用冷凍サイクル装置において、制御装置120は、圧縮機111の回転数Nが所定回転数N1より高い場合に、回転数Nに応じて定まる吐出量の最大値よりも小さくなるように、吐出量を低下させる。
【解決手段】冷媒を高温高圧に圧縮し、吐出量を調整可能に吐出する圧縮機111を構成要素として有する冷凍サイクル110と、圧縮機111の吐出量を制御する制御装置120とを備える車両用冷凍サイクル装置において、制御装置120は、圧縮機111の回転数Nが所定回転数N1より高い場合に、回転数Nに応じて定まる吐出量の最大値よりも小さくなるように、吐出量を低下させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば二酸化炭素等を冷媒として、高圧側圧力が臨界点を越えて使用されるものに用いて好適な車両用冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、冷媒の高圧側圧力が超臨界領域で作動されて、圧縮機が流量制御可能となるようにした車両用の冷房装置が知られており、圧縮機の流量制御によって性能係数(COP)が向上されて、冷房装置の効率が高められるようになっている。
【特許文献1】特開平8−110104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては冷凍サイクル(蒸気圧縮回路)の熱負荷、あるいは車両の走行条件に応じて、どのように圧縮機の流量制御を行うかという具体的な記載はされていない。冷凍サイクルにおいては、例えば夏場のように熱負荷が高い条件、あるいは車速が高い条件では、圧縮機の回転数が高く設定され、室外熱交換器の放熱能力も高く得られることから、高い冷房能力を得ることができるが、その分、圧縮機の消費動力も大きくなり、車両エンジンの負担も増大して燃費が悪化する。また、停車時や低速走行時等に比べて、冷房能力の乖離が大きくなりやすく、乗員のフィーリングも悪化する。
【0004】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、圧縮機の高回転領域において圧縮機の省動力を図ると共に、乗員のフィーリングの悪化を抑制する車両用冷凍サイクル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0006】
請求項1に記載の発明では、車両に搭載されて、冷媒を高温高圧に圧縮し、吐出量を調整可能に吐出する圧縮機(111)を構成要素として有する冷凍サイクル(110)と、圧縮機(111)の吐出量を制御する制御装置(120)とを備える車両用冷凍サイクル装置において、制御装置(120)は、圧縮機(111)の回転数(N)が所定回転数(N1)より高い場合に、回転数(N)に応じて定まる吐出量の最大値よりも小さくなるように、前記吐出量を低下させることを特徴としている。
【0007】
これにより、圧縮機(111)の高回転領域において、過剰となりがちな冷媒の吐出量を抑えて、圧縮機(111)の動力を小さくすることができるので、圧縮機(111)の動力を低減することができる。また、吐出量低下により冷凍サイクル(110)の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、制御装置(120)は、冷凍サイクル(110)の熱負荷が所定熱負荷より高い場合を含めて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0009】
これにより、圧縮機(111)の高回転領域で、且つ、熱負荷が高い場合での圧縮機(111)の動力低減、および乗員の冷房フィーリングの悪化抑制が可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、車両の車速が所定車速より高い場合を含めて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0011】
これにより、圧縮機(111)の高回転領域で、且つ、車速が高い場合での圧縮機(111)の動力低減、および乗員の冷房フィーリングの悪化抑制が可能となる。
【0012】
制御装置(120)は、請求項4に記載の発明のように、熱負荷を冷媒の圧力、車両の内気温度、外気温度、前記冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)における冷却温度の少なくとも1つから判定することができ、また、請求項5に記載の発明のように、車速を車両のエンジン回転数、または車速センサから判定することができる。
【0013】
制御装置(120)は、請求項6〜請求項11に記載の発明のように、圧縮機(111)の吐出量を低下させてやるのが良い。
【0014】
即ち、請求項6に記載の発明のように、熱負荷が大きいほど吐出量の低減量を小さくしてやると良い。また、請求項7に記載の発明のように、圧縮機(111)の回転数(N)が大きいほど吐出量の低減量を大きくしてやると良い。更に、請求項8に記載の発明のように、熱負荷が大きいほど冷凍サイクル(110)の目標冷房能力が小さくなるように設定し、小さく設定される目標冷房能力となるように、圧縮機(111)の吐出量を低下させてやると良い。
【0015】
これにより、冷凍サイクル(110)の冷房能力を過度に落とすことなく、圧縮機(111)の省動力、冷房フィーリングの悪化抑制ができる。
【0016】
また、請求項9に記載の発明のように、制御装置(120)は、所定吐出量以下となるように圧縮機(111)の吐出量を低下させてやると良い。
【0017】
これにより、所定吐出量を上限として圧縮機(111)の動力を確実に抑えると共に、必要最小限の冷房能力を得て、停止時や低速走行時の冷房能力との乖離を更に小さくすることができる。
【0018】
また、請求項10に記載の発明のように、制御装置(120)は、圧縮機(111)の作動トルクが所定トルク以下となるように圧縮機(111)の吐出量を低下させてやる、更には、請求項11に記載の発明のように、制御装置(120)は、圧縮機(111)の消費動力が所定動力以下となるように圧縮機(111)の吐出量を低下させてやると良い。
【0019】
これにより、直接的に圧縮機(111)の動力を低減することができる。
【0020】
圧縮機(111)は、請求項12に記載の発明のように、車両のエンジンによって駆動されるエンジン駆動式圧縮機(111)とすれば、圧縮機(111)の省動力によってエンジンの動力を低減することができるので、エンジンの燃費を向上させることができる。
【0021】
請求項12に記載のエンジン駆動式圧縮機(111)においては、請求項13に記載の発明のように、エンジンの作動を制御するエンジン制御装置(130)を有している場合に、制御装置(120)は、エンジン制御装置(130)が決定する好適なエンジン作動のための圧縮機(111)の作動トルクに係わる信号に応じて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることができる。
【0022】
また、請求項14に記載の発明のように、制御装置(120)自身が、好適なエンジン作動のための圧縮機(111)の作動トルクを算出するようにして、作動トルクに係わる信号に応じて、圧縮機(111)の吐出量を低下させるようにしても良い。
【0023】
これにより、エンジンに対する圧縮機(111)の動力の影響を極力小さくして、エンジンの燃費向上に重点を置いた吐出量制御ができる。
【0024】
圧縮機(111)は、請求項15に記載の発明のように、電動機(111b)によって駆動される電動式圧縮機(111A)としても良い。
【0025】
圧縮機(111)の吐出量は、請求項16〜請求項18に記載の発明のように、制御装置(120)から出力される電流信号、電圧信号、あるいはデューティ比信号のいずれかによって調整するようにすることができる。
【0026】
請求項19に記載の発明では、車両の内気あるいは外気のいずれかを冷却用空気として選択する内外気選択手段(118a)を有し、制御装置(120)は、内外気選択手段(118a)によって外気が選択されている場合を含めて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0027】
これにより、外気温度は熱負荷の大小に直接的に関連する特性値であるため、外気が選択されている場合に、本制御を用いて好適となる。
【0028】
請求項20に記載の発明では、制御装置(120)は、圧縮機(111)の回転数(N)に応じて、吐出量を決定するための制御信号を設定すると共に、回転数(N)が高いほど、制御信号に対してより大きな制限を加えて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0029】
これにより、圧縮機(111)の高回転領域において、制御信号を制限することで過剰となりがちな冷媒の吐出量を抑えて、圧縮機(111)の動力を小さくすることができるので、容易且つ確実に圧縮機(111)の動力を低減することができる。また、吐出量低下により冷凍サイクル(110)の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0030】
請求項21に記載の発明のように、吐出量が、制御信号の増加に伴って増加するように関係付けられている場合には、制御装置(120)は、回転数(N)が高いほど、制御信号の増加をより大きく抑えるように制限を加えることで、圧縮機(111)の吐出量を低下させることができる。
【0031】
請求項22に記載の発明では、制御装置(120)は、圧縮機(111)の回転数(N)に加えて、圧縮機(111)の吐出側となる高圧側圧力(Pd)と、圧縮機(111)の吸入側となる低圧側圧力(Ps)と、から制御信号を設定することを特徴としている。
【0032】
これにより、冷凍サイクル(110)における熱バランスを加味した条件での制御信号の設定が可能となるので、より適切な制御信号とすることができる。
【0033】
低圧側圧力(Ps)については、請求項23に記載の発明のように、冷凍サイクル(110)の低圧側冷媒圧力、冷凍サイクル(110)の低圧側配管温度、冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)の表面温度、および低圧側熱交換器(114)によって冷却される空気温度のいずれか1つから推定することができる。
【0034】
制御信号の増加を抑えるための制限としては、請求項24に記載の発明のように、制御装置(120)は、所定回転数(N1)以上の領域で、制御信号の増加量を一律ゼロとして対応することができる。
【0035】
また、請求項25に記載の発明のように、制御装置(120)は、所定回転数(N1)以上の領域で複数の回転数領域を区画して、高回転側の回転数領域での回転数(N)に対する制御信号の増加割合が、低回転側の回転数領域での回転数(N)に対する制御信号の増加割合よりも小さくなるようにして対応することができる。
【0036】
これにより、冷凍サイクル(110)の冷房能力、および圧縮機(111)の動力を圧縮機(111)の回転数(N)の全領域で適切な値に制御することができる。
【0037】
制御信号としては、請求項26に記載の発明のように、電流信号、電圧信号、デューティ比信号のいずれか1つを用いることができる。
【0038】
請求項27に記載の発明では、制御装置(120)は、冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)表面のフロストを防止するフロスト防止制御を実行するようにしており、フロスト防止制御の条件となった場合には、圧縮機(111)の吐出量低下の制御に優先して、フロスト防止制御を実行することを特徴としている。これにより、確実なフロスト制御が可能となる。
【0039】
請求項28に記載の発明では、制御装置(120)は、圧縮機(111)の作動トルクが所定トルク以下となるように、回転数(N)が高いほど制御信号に対してより大きな制限を加えて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0040】
これにより、直接的に圧縮機(111)の動力を低減することができる。
【0041】
請求項29に記載の発明では、制御装置(120)は、所定回転数(N1)より低い回転数領域で、吐出量を最大値にすることを特徴としている。
【0042】
これにより、不足がちとなりやすい低回転数領域での冷媒の吐出量を充分に確保して、高い冷房能力を発揮することができる。
【0043】
請求項30に記載の発明では、制御装置(120)は、所定回転数(N1)より低い回転数領域で、回転数(N)に応じて設定される制御信号に対して所定量を加えた増加制御信号を用いて、吐出量を決定することを特徴としている。
【0044】
これにより、不足がちとなりやすい低回転数領域での冷媒の吐出量を確実に確保して、充分な冷房能力を発揮することができる。
【0045】
また、請求項31に記載の発明のように、圧縮機(111)によって圧縮された冷媒の圧力が臨界圧力を超えて使用される冷凍サイクル装置を対象として好適である。
【0046】
冷媒としては、請求項32に記載の発明のように、二酸化炭素とすることができる。
【0047】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態における車両用冷凍サイクル装置(以下、冷凍サイクル装置)100について、図1〜図4を用いて説明する。尚、図1は冷凍サイクル装置100の全体構成を示す模式図、図2は制御装置120が実行する制御フローチャート、図3は圧縮機111の吐出容量を決定するためのマップ、図4は車速に対する冷房能力、消費動力を示すグラフである。
【0049】
図1に示すように、冷凍サイクル装置100は、図示しないエンジンを走行用駆動源とする車両に搭載されて、車室内の冷房(空調)を行うものであり、主に冷凍サイクル110、制御装置120等から構成されている。ここでは、冷凍サイクル110内を循環する冷媒としては二酸化炭素(CO2)を用いており、高圧側圧力が臨界圧力よりも高い状態で使用される場合を有している。
【0050】
冷凍サイクル110は、圧縮機111、室外熱交換器112、膨張弁113、室内熱交換器114、アキュムレータ115が環状に順次接続されて形成されている。そして、室外熱交換器112および膨張弁113の間を流れる高圧側冷媒(高温冷媒)と、アキュムレータ115および圧縮機111の間を流れる低圧側冷媒(低温冷媒)との間で熱交換する内部熱交換器116が配設されている。
【0051】
上記冷凍サイクル110を構成する各機器111〜116のうち、室内熱交換器114は後述する空調ケース117内に収容されて、送風ユニット118と共に車室内(インストルメントパネル内)に配設され、他の機器(111〜113、115、116)は車両のエンジンルーム内に配設されている。
【0052】
圧縮機111は、冷媒を高温高圧に圧縮して室外熱交換器112側へ吐出する流体機械である。エンジンクのランクプーリと圧縮機111のプーリとがベルトによって接続されており、圧縮機111はエンジンによって駆動されるようになっている。また、圧縮機111は、1回転当たりの吐出容量が調整可能な可変容量型圧縮機としており、ここでは例えば斜板式のものが採用されている。尚、圧縮機111から吐出される冷媒の吐出量は、上記1回転当たりの吐出容量に圧縮機111の回転数(以下、圧縮機回転数N)を乗じたものとなる。
【0053】
圧縮機111の斜板(図示省略)は、圧縮機回転軸と共に回転するように圧縮機111内の斜板室に配設されており、斜板にはシリンダ内を摺動するピストンが連結されている。そして、圧縮機111には図示しない流量制御弁が設けられており、この流量制御弁の弁開度が調整されることで、斜板室内の圧力(吐出圧力と吸入圧力との中間となる中間圧力)が調整され、圧縮機回転軸に対する斜板の傾斜角度が変更される。そして、斜板の傾斜角度の変更に伴ってピストンのストロークが変更されることで、1回転当たりの吐出容量がほぼ0となる最小吐出容量から圧縮機111として吐出しうる最大吐出容量まで連続的に調整されるようになっている。
【0054】
上記流量制御弁の弁開度は、後述する制御装置120から出力される制御信号(例えば電流信号)によって調整されるようになっている。即ち、圧縮機111の吐出容量(吐出量)は、制御装置120によって制御される。ここでは、電流信号を増加するほど、圧縮機111の吐出容量が大きくなる側に変化するようになっている。
【0055】
そして、圧縮機111の吐出側(圧縮機111と室外熱交換器112との間)には吐出された冷媒の圧力(以下、高圧側圧力Pd)を検出する圧力センサ111aが設けられており、この圧力センサ111aによって検出された高圧側圧力信号は、後述する制御装置120に入力されるようになっている。
【0056】
室外熱交換器112は、車両のエンジンルームの前方(例えばグリルの後方)に配置されて、圧縮機111から吐出された冷媒とエンジンルーム内に流入する外気との間で熱交換することで冷媒を冷却する熱交換器である。
【0057】
膨張弁113は、室外熱交換器112(内部熱交換器116)から流出される冷媒を減圧する(低温低圧にする)減圧手段である。この膨張弁113は、室外熱交換器112から流出される冷媒の温度に応じて膨張弁113の弁開度が調整される機械式膨張弁としている。具体的には、室外熱交換器112から流出される冷媒の温度を検出し、より最適効率に近い冷媒圧力になるように高圧を制御している。
【0058】
室内熱交換器(本発明における低圧側熱交換器に対応)114は、空調ケース117内で流路全体をよぎるように配設されて、膨張弁113で減圧された冷媒と空調ケース117内を流通する空調空気との間で熱交換することで空調空気を冷却する熱交換器である。室内熱交換器114の空調空気流れ下流側には、冷却された空気温度(本発明における冷却温度に対応し、以下、冷却空気温度Te)を検出するサーミスタ114aが設けられており、このサーミスタ114aによって検出された冷却空気温度信号は後述する制御装置120に入力されるようになっている。
【0059】
アキュムレータ115は、室内熱交換器114から流出された冷媒を受け入れ、冷媒の気液を分離して液冷媒を溜め、ガス冷媒および底部付近の少量の液冷媒(オイルが溶け込んでいる)を内部熱交換器116を介して圧縮機111側へ吸入させるレシーバである。
【0060】
内部熱交換器116は、室外熱交換器112から流出される高温冷媒を過冷却し、また室内熱交換器114(アキュムレータ115)から流出される低温冷媒を過熱して、室外熱交換器112におけるエンタルピ差を増大させて冷房能力を高める熱交換器である。
【0061】
尚、空調ケース117の一端側には、送風機118bを備える送風ユニット118が設けられており、この送風ユニット118によって上記空調空気が室内熱交換器114に供給されるようになっている。また、送風ユニット118の空調空気取り入れ部には、内外気選択手段としての内外気切替えドア118aが設けられている。内外気切替えドア118aは、後述する制御装置120によって回動制御されて、空調空気取り入れ部の開口位置を変更することで、空調空気として車両の内気、あるいは外気のいずれかを選択できるようになっている。
【0062】
また、空調ケース117内には、上記室内熱交換器114に加えて、暖房器としてのヒータコア117aが配設されている。ヒータコア117aは室内熱交換器114に対して空調空気流れ下流側に配置されている。ヒータコア117aは、エンジンとの間で循環される温水を加熱源として自身を流通する空調空気を加熱する熱交換器である。尚、ヒータコア117aと空調ケース117との間にはヒータコア117aをバイパスして空調空気が流通するバイパス流路117bが形成されている。
【0063】
ヒータコア117aには、エアミックスドア117cが設けられている。エアミックスドア117cは、ここでは回動式のドアとしており、エアミックスドア117cの開度に応じて、ヒータコア117aを流通する加熱空気とバイパス流路117bを流通する冷却空気との流量割合が調整されて、ヒータコア117a下流側の空調空気温度(車室内の内気温度に相関)が調整されるようになっている。例えば、エアミックスドア117cがヒータコア117aの全面を覆うように全閉状態となると室内熱交換器114による最大冷却(Maxcool)モードとなり、逆にエアミックスドア117cが上記全閉状態からバイパス流路117bを塞ぐように全開状態となるとヒータコア117aによる最大加熱(Maxhot)モードとなる。エアミックスドア117cの開度は後述する制御装置120によって制御されるようになっている。
【0064】
空調ケース117のヒータコア117a最下流側は、車室内に向けて開口する複数の吹出し口へ接続されており、上記エアミックスドア117cによって温度調整された空調空気が、選択された吹出し口から車室内に吹出されるようになっている。
【0065】
制御手段としての制御装置120は、マイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、予め設定されたプログラムに従って圧力センサ111aからの高圧側圧力信号、サーミスタ114aからの冷却空気温度信号、内気センサ121からの内気温度信号、図示しない車速センサ(車速検出手段)からの車速信号、図示しないエンジン回転数センサからのエンジン回転数信号、図示しない外気温センサ(熱負荷検出手段)からの外気温度信号および図示しない操作パネルで乗員が設定する設定温度信号に対する演算処理を行うと共に、圧縮機111の作動および吐出量制御、送風ユニット118の内外気切替えドア118aの位置制御、送風機118bの作動制御、エアミックスドア117cの開度制御を行う。
【0066】
次に、上記構成に基づく作動について図2、図3を加えて説明する。
【0067】
制御装置120は、乗員からの冷房要求に基づいて冷凍サイクル110を作動させる。まず、ステップS100で圧力センサ111a、サーミスタ114a、内気センサ121、車速センサ、エンジン回転数センサ、外気温センサ、操作パネルから、高圧側圧力信号、冷却空気温度信号、内気温度信号、車速信号、エンジン回転数信号、外気温度信号および設定温度信号を読込む。
【0068】
次に、ステップS110で冷凍サイクル110の冷房負荷(本発明における熱負荷に対応)を演算する。ここでは冷房負荷を外気温度として捉えることで対応している。次に、ステップS120で車速を演算する。これは、車速センサから得られる車速信号をそのまま用いる。
【0069】
次に、ステップS130で冷凍サイクル110の冷房負荷条件および車両の走行条件が高負荷高速条件にあるか否かを判定する。ここで、高負荷高速条件というのは、ステップS110で演算した冷房負荷(外気温度)が予め定めた所定冷房負荷(例えば外気温度30℃)より高く、且つ、ステップS120で演算した車速が予め定めた所定車速(例えば60km/h)より高い場合に対応する条件としたものである。
【0070】
ステップS130で高負荷高速条件でない(NO)と判定すると、ステップS140で、制御装置120は圧縮機111の吐出量を冷房負荷に応じた吐出量となるように通常制御する。即ち、車室内温度(内気温度)が乗員の設定する設定温度として得られるように、外気温度、内気温度等からヒータコア117a下流側の空調空気に対する目標温度(以下、目標吹出し温度)を演算する。また、室内熱交換器114における冷却空気温度Teが所定温度(例えば3℃)となるように、圧縮機111の吐出量を制御する。つまり、流量制御弁を介して圧縮機111の吐出容量を調整することで、この吐出容量と圧縮機回転数Nとの積によって得られる吐出量を制御する。圧縮機回転数Nはエンジン回転数とプーリ比(圧縮機111のプーリ径に対するエンジンのクランクプーリ径の比)との積から得られる。そして、ヒータコア117a下流側の空調空気温度が目標吹出し温度となるように、エアミックスドア117cの開度を制御する。尚、制御装置120は、乗員の設定する内外気信号(内気選択あるいは外気選択)に応じて、内外気切替えドア118aの位置を制御する。また、制御装置120は、圧力センサ111aから得られる高圧側圧力信号が所定圧力を超えると、冷凍サイクル110保護のためにその作動を停止する。
【0071】
一方、ステップS130で高負荷高速条件である(YES)と判定すると、ステップS150に進む。
【0072】
ここで、車速の高い高速条件においては、室外熱交換器112に流入する外気の流量が増加して、室外熱交換器112での放熱能力が増加して、その分、室内熱交換器114での冷房能力が増加する(図4中の白丸特性)。また、本実施形態のようなエンジン駆動式の圧縮機111を用いる場合に、高速条件においては、エンジン回転数と共に圧縮機111の回転数も増加されて、吐出量(冷房能力)が増加する。よって、高速条件におけるエンジン回転数に対応する圧縮機回転数(所定回転数N1)以上となる回転数領域では、上記内容を踏まえて、ステップS150では圧縮機111の吐出量を低下させるために、図3に示すマップに基づいて吐出容量の低減量を演算する。
【0073】
図3に示すマップは、圧縮機回転数(N1<N2<N3・・・)をパラメータとして、外気温度(冷房負荷)に対する圧縮機111の吐出容量(%)を関係付けたものとしている。更に具体的には、このマップでは、所定冷房負荷に対応する外気温度(例えば30℃)以上において、外気温度が高くなるほど、吐出容量が所定吐出容量から最大吐出容量(100%)に向けて大きくなるように、即ち最大吐出容量(100%)に対する差(低減量)が小さくなるようにしている。また、圧縮機回転数が高いほど(N1からN3側になるほど)、最大吐出容量(100%)に対する差(低減量)が大きくなるようにしている。
【0074】
通常、外気温度(冷房負荷)の高い高負荷条件においては、圧縮機111の吐出量が大きくなるように制御されるが(最大吐出容量100%)、ここではその時の外気温度と圧縮機回転数Nに応じて、吐出量が低減されるように吐出容量を決定する(例えば吐出容量80%)。
【0075】
そして、ステップS160で、その低減した吐出量で圧縮機111を作動させる。
【0076】
以上のように、本実施形態では、所定の圧縮機回転数(N1)以上となる高負荷高速条件において圧縮機111の吐出量を低減するようにしているので、図4中の斜線ハッチング棒グラフに示すように、圧縮機111の動力を低減することができる。ひいては、エンジンの動力を低減することができ、エンジンの燃費を向上させることができる。
【0077】
また、図4中の黒丸特性のように、吐出量低下により冷凍サイクル110の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0078】
また、圧縮機111の吐出量を低減する際に、外気温度(冷房負荷)が大きいほど吐出量の低減量を小さくし、圧縮機111の回転数が大きいほど吐出量の低減量を大きくしているので、冷凍サイクル110の冷房能力を過度に落とすことなく、圧縮機111の省動力、冷房フィーリングの悪化抑制ができる。
【0079】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態では、ステップS160で外気温度(冷房負荷)と圧縮機回転数Nとに基づいて圧縮機111の吐出量の低減量を決定したが、圧縮機回転数Nのみに基づいて圧縮機111の吐出量の低減量を決定するようにしても良い。
【0080】
また、圧縮機111の吐出量を低減させるに当たっては、図3で説明したマップを用いることなく、予め定めた所定吐出量以下となるようにしても良い。これにより、所定吐出量を上限として圧縮機111の動力を確実に抑えると共に、必要最小限の冷房能力を得て、停止時や低速走行時の冷房能力との乖離を更に小さくすることができる。
【0081】
また、圧縮機111の吐出量(吐出容量)を調整する際に、制御装置120は電流信号を用いたが、これに代えて電圧信号としても良い。また、吐出量を調整する信号はデューティ比で出力するものでも良い。
【0082】
また、可変容量型の圧縮機111として、上記電流信号(電圧信号、デューティ比)を大きくするほど圧縮機111の吐出容量が大きくなるものとしたが、逆の特性となるようにしても良い。
【0083】
また、制御装置120は、ステップS130において高負荷高速条件であると判定した後に、空調空気取り入れ部における内外気切替えドア118aの開口位置を判定し、この開口位置が外気導入側である場合に、上記圧縮機111の吐出量低下制御を行うようにしても良い。外気温度は冷房負荷の大小に直接的に関連する特性値であるため、外気が選択されている場合に、本制御を用いて好適となる。
【0084】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図5〜図7に示す。第2実施形態は、上記第1実施形態に対して、高負荷高速条件判定後の圧縮機111の吐出量低減方法を変更したものである。
【0085】
図5に示すフローチャートは、図2で説明したフローチャートに対してステップS150をステップS151に変更したものである。本実施形態では、制御装置120は、ステップS130で高負荷高速条件であると判定すると(YES)、ステップS151で、図6に示すマップに基づいて室内熱交換器114における冷却空気温度Teの目標値(目標温度TEO)を外気温度に応じて決定するようにしている。
【0086】
即ち、図6に示すマップでは、外気温度(冷房負荷)が大きいほど、目標温度TEOを大きく設定するようにしており、冷凍サイクル110の目標冷房能力が小さくなるようにしている。更に具体的には、外気温度が高いほど、室内熱交換器114における冷却空気温度の目標温度TEOを例えば上記第1実施形態で説明した所定温度3℃に対して、5℃、10℃と言うように大きく設定する。すると、それだけ圧縮機111の吐出量は少なくて済むことになる。よって、外気温度に応じた目標温度TEOを満たすための吐出量を算出する。
【0087】
そして、ステップS160でその吐出量となるように吐出量を低減して圧縮機111を作動させる。
【0088】
これにより、冷凍サイクル110の冷房能力が過度に低下されることなく、高負荷高速条件下での吹出し温度が上昇され(図7中の黒丸特性)、その分、圧縮機111の動力低減を図ることができ(図7中の斜線ハッチング棒グラフ)、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図8に示す。第3実施形態は、上記第1実施形態に対して、高負荷高速条件判定後の圧縮機111の吐出量低減方法を変更したものである。
【0090】
図8に示すフローチャートは、図2で説明したフローチャートに対してステップS150をステップS152に変更したものである。本実施形態では、制御装置120は、ステップS130で高負荷高速条件(圧縮機回転数Nが所定回転数N1よりも高い条件)であると判定すると(YES)、ステップS152で、図3で説明した外気温度、圧縮機回転数(N1、N2、N3)等に係わらずに圧縮機111の作動トルクが予め定めた低トルク側の所定トルクとなるようにする。所定トルクというのは、そのトルクによって得られる吐出量で所定冷房能力を確保可能とする値である。
【0091】
ステップS160では、圧縮機111の作動トルクを上記所定トルクに変更することで吐出量を低減して圧縮機111を作動させる。
【0092】
これにより、直接的に圧縮機111の動力を低減することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
尚、ステップS152では圧縮機111の作動トルクが所定トルクとなるようにしたが、これに代えて、圧縮機111の消費動力が予め定めた低動力側の所定動力以下となるように変更することで、吐出量を低減するようにしても良い。
【0094】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を図9、図10に示す。第4実施形態は、上記第1実施形態に対して、エンジン制御用のエンジン制御装置130と制御装置120との信号授受を行い、エンジン側の要求を元に圧縮機111の吐出量を決定するようにしたものである。
【0095】
エンジン制御装置130は、走行条件に応じてエンジンに対する燃料の供給量および供給タイミング等を調整し、総合的にエンジンの作動を制御するものである。エンジンはオルタネータ、冷却水ポンプ、および本圧縮機111等を駆動するようになっており、これらオルタネータ、冷却水ポンプ、および本圧縮機111等はエンジンに対する負荷となる。エンジン制御装置130は、走行条件に応じてエンジンの最適な作動を得るために、圧縮機111による負荷が過多である場合はその負荷を減少するように、制御装置120に対して動力要求値信号を出力するようになっている(図9)。
【0096】
図10に示すフローチャートは、図2で説明したフローチャートに対してステップS150をステップS153に変更したものである。本実施形態では、制御装置120は、ステップS130で高負荷高速条件(圧縮機回転数Nが所定回転数N1よりも高い条件)であると判定すると(YES)、ステップS153で、エンジン制御装置130から出力される動力要求値信号に基づいて、圧縮機111の作動トルクを低減するように定める。
【0097】
そして、ステップS160で、エンジンの最適な作動を得るための圧縮機111の作動トルクとなるように、圧縮機111の作動トルクを低減することで吐出量を低減して圧縮機111を作動させる。
【0098】
これにより、エンジンに対する圧縮機111の動力の影響を極力小さくして、エンジンの燃費向上に重点を置いた吐出量制御ができる。また、圧縮機111の動力低減と共に高負荷高速条件下での冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0099】
尚、エンジン制御装置130から制御装置120に出力される信号としては、動力要求値信号に代えて動力抑制信号として、この動力抑制信号に対応して圧縮機111の作動トルクを所定量低下させるものとしても良い。
【0100】
また、動力要求値信号の算出(出力)にあたっては、エンジン制御に関る各種制御値を制御装置120に入力するようにして、制御装置120にて行うようにしても良い。
【0101】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を図11に示す。第5実施形態は、圧縮機111をエンジン駆動式のものに代えて、電動機111bによって駆動される電動圧縮機111Aとしたものである。
【0102】
高負荷高速条件下での電動圧縮機111Aの制御としては、上記第1〜第4実施形態と同様の制御にて対応可能である。但し、吐出量の算出に当たっては、エンジン回転数に代えて電動機111bの回転数を使用する。
【0103】
電動圧縮機111bの吐出量を低減することで、電動機111bの消費電力を低減することができ、これにより、エンジンにおけるオルタネータの使用頻度を低減でき、ひいてはエンジンの動力を低減してエンジンの燃費を向上させることができる。
【0104】
また、上記第1〜第4実施形態と同様に吐出量低下により冷凍サイクル110の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0105】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態を図12〜図15に示す。第6実施形態は、圧縮機回転数Nが所定回転数N1以上となる場合に、圧縮機111の流量制御弁に与える制御信号に制限を加えて、圧縮機111の吐出量を低下させるようにしたものである。
【0106】
基本となる冷凍サイクル装置100のシステム構成は、上記第1〜第5実施形態と同一である。ここでは、圧縮機回転数Nに応じて、図12に示すフローチャートおよび、図13に示すマップに基づいて圧縮機111の吐出量を制御する。
【0107】
まず、図12におけるフローチャートのステップS200で、制御装置120は、圧力センサ111aから高圧側圧力Pdを検出し、ステップS210で、図示しないエンジン回転数センサからエンジン回転数Neを検出する。
【0108】
次に、ステップS220で、上記エンジン回転数Neと第1実施形態で説明したプーリ比との積から圧縮機回転数Nを算出する。そして、ステップS230で、図13に示すマップから狙いの回転数Ncalを算出する。
【0109】
狙いの回転数Ncalというのは、実際に作動している圧縮機111の実回転数に対して、対応付けされたものである。即ち、実回転数が所定回転数N1に達するまでは、狙いの回転数Ncalは実回転数に対して比例関係(ここでは1対1)となるように対応付けされるが、所定回転数N1以上においては、狙いの回転数Ncalは一律で同一(増加量がゼロ)の値(N1)となるように対応付けされるようにしている。つまり、所定回転数N1以上においては、圧縮機回転数Nを実回転数よりも小さくなる回転数と見なして取扱うものとしている。
【0110】
次に、ステップS240でサーミスタ114aから冷却空気温度Teを検出し、更に、ステップS250で、上記冷却空気温度Teから圧縮機111の吸入圧力(以下、低圧側圧力Ps)を推定する。
【0111】
低圧側圧力Psの推定にあたっては以下のように行う。即ち、冷凍サイクル110作動時のモリエル線図での冷媒の飽和特性を用いて、冷却空気温度Teから室内熱交換器114の冷媒出口側における冷媒温度を推定すると共に、この冷媒温度から冷媒圧力を推定する。そして、推定した冷媒圧力に対して室内熱交換器114と圧縮機111との間の冷媒配管の圧力損失分を差し引いて低圧側圧力Psとして推定する。
【0112】
そして、ステップS260で流量制御弁に与える制御信号を設定すると共に、設定された制御信号を用いて圧縮機111の吐出量を制御する。ここでは、流量制御弁は、制御信号が増加するほど、圧縮機111の吐出量を大きくなる側に変化させるものとしている。また、制御信号はデューティ比の信号(以下、Dutymax)としており、Dutymaxは、圧縮機111の狙いの回転数Ncal、高圧側圧力Pd、および低圧側圧力Psの関数として算出されるものとしている。具体的には、Dutymaxは以下の数式1のように表すことができる。
【0113】
(数1)
Dutymax=a×Ncal+b×(Pd+c×Ps)+d
ただし、a、b、c、dは定数である。
【0114】
数式1によって算出されるDutymaxは、狙いの回転数Ncal、高圧側圧力Pd、および低圧側圧力Psがそれぞれ増加すれば、大きくなり、これに伴い圧縮機111の吐出量を増加させる。しかしながら、圧縮機回転数Nが所定回転数N1以上においては、図13で説明したように、狙いの回転数Ncalが実回転数よりも小さくなるようにしているので、制御信号(Dutymax)は、圧縮機回転数Nが大きくなるほど、その増加が抑えれるように制限されることになり、それに伴い、圧縮機111の吐出量も設定し得る最大吐出量に対して小さい側に制御されることになる。
【0115】
更に、狙いの回転数Ncalは、所定回転数N1以上で、一律で同一の値(N1)となるようにしているので、仮に高圧側圧力Pd、低圧側圧力Psの条件が同一とすると、吐出量は、所定回転数N1以上では、増加されることなく、同一のまま抑えられることになる。
【0116】
図14、図15は、本実施形態における圧縮機回転数Nに対する冷凍サイクル装置100の冷房能力、および圧縮機111の消費動力を従来技術との比較で示したものである。所定回転数N1以上では、上記のように圧縮機111の吐出量が低下されて(抑えられて)、冷房能力、消費動力の上昇が抑えられている。
【0117】
このように、本実施形態では、所定回転数N1以上となる圧縮機111の高回転領域において、制御信号(Dutymax)を制限することで過剰となりがちな冷媒の吐出量を抑えて、圧縮機111の消費動力を小さくすることができるので、容易且つ確実に圧縮機111の消費動力を低減することができる。また、吐出量低下により冷凍サイクル装置100の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時(圧縮機111の低回転領域)での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0118】
また、制御信号(Dutymax)を、圧縮機回転数Nに基づく狙いの回転数Ncalに加えて、高圧側圧力Pd、低圧側圧力Psの条件も加味して設定するようにしているので、冷凍サイクル110における熱バランスを加味した条件での制御信号の設定が可能となり、より適切な制御信号とすることができる。
【0119】
尚、本実施形態では、圧縮機111の吐出量を調整するための流量制御弁への制御信号は、大きくするほど吐出量が大きくなるものとしたが、逆の特性となるものとしても良い。また、制御信号としては、デューティ比信号(Dutymax)に代えて、電流信号、電圧信号としても良い。
【0120】
また、本実施形態のステップS250における低圧側圧力Psの推定にあたっては、冷却空気温度Teに代えて、冷凍サイクル110の低圧側配管の温度(例えば室内熱交換器114の出口側配管表面温度)、室内熱交換器114の表面温度(例えばヘッダタンク部、フィン等の表面温度)等を用いるようにしても良い。また、冷凍サイクル110の低圧側圧力(例えば室内熱交換器114の出口側冷媒圧力)を直接的に圧力センサによって検出するようにしても良い。
【0121】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態を図16、図17に示す。第7実施形態は、上記第6実施形態に対して、制御信号の設定方法を変更したものである。
【0122】
圧縮機111の吐出量の制御に関しては、図16に示すフローチャートを用いるようにしているが、基本の流れは上記第6実施形態の図12と同一である。但し、ステップS230をステップS231として、このステップS231で、図17に示すマップに基づきDutymaxを設定するようにしている。
【0123】
図17に示すマップでは、所定回転数N1以上の領域に複数の区画設定用の回転数ポイント(N2、N3)を予め定めて、N1〜N2となる低回転側の回転数領域と、N2〜N3となる高回転側の回転数領域とを区画している。そして、低回転側の回転数領域での狙いの回転数Ncalの増加割合(関係線図の第1勾配)は1よりも小さくなるようにして、且つ、低回転側の回転数領域での狙いの回転数Ncalの増加割合(関係線図の第1勾配)よりも、高回転側の回転数領域での狙いの回転数Ncalの増加割合(関係線図の第2勾配)のほうが小さくなるようにしている。更に、N3以上では、増加割合をゼロとしている。
【0124】
よって、狙いの回転数Ncalは、所定回転数N1以上では、基本的に実回転数Nよりも小さい側に抑えられながら、且つ、実回転数Nの増加に対して狙いの回転数Ncalの増加割合が順次小さくなるように関係付けられている。図17中の狙いの回転数N11、N21、N31は、それぞれ、
N11≦N1、N21<N2、N31<N3
の関係となっている。
【0125】
このように設定される狙いの回転数Ncalを用いて、ステップS260で流量制御弁に与える制御信号(Dutymax)を設定すると共に、設定された制御信号を用いて圧縮機111の吐出量を制御する。
【0126】
制御信号(Dutymax)は、圧縮機回転数Nが所定回転数N1以上においては、圧縮機回転数Nが大きくなるほど、順次その増加割合が抑えられるように制限されることになり、それに伴い、圧縮機111の吐出量も設定し得る最大吐出量に対して小さい側に制御されると共に、圧縮機回転数Nが大きくなるほど、順次その増加割合が抑えられるように制御されることになる。
【0127】
これにより、冷凍サイクル装置100の冷房能力、および圧縮機111の消費動力を圧縮機回転数Nの全領域で適切な値に制御することができる。
【0128】
(第8実施形態)
冷凍サイクル装置100においては、運転中に室内熱交換器114の表面に発生する霜(フロスト)を除去するためのフロスト防止制御を実行するようにしている。本実施形態は、上記第6、第7実施形態における圧縮機111の吐出量低下制御と、上記フロスト制御との関係を明確にしたものである。
【0129】
制御装置120は、圧縮機回転数Nが所定回転数N1より高い場合に吐出量低下制御を実行する中で、フロスト制御の実行が必要となると、吐出量低下制御を停止して、フロスト制御の実行を優先させる。
【0130】
フロスト制御においては、通常、室内熱交換器114における冷媒の温度が低下しすぎて空調空気中の水分が霜となって室内熱交換器114の表面に発生するものであり、フロスト制御においては、制御装置120は、吐出量低下制御以上に吐出量を低下させる、あるいは圧縮機111の作動を停止させる。これにより、確実なフロスト制御が可能となる。
【0131】
(第9実施形態)
上記第6〜第8実施形態では、圧縮機回転数Nに基づく狙いの回転数Ncalによって制御信号に対して制限を加え、圧縮機111の吐出量を低下させるようにしたが、これに代えて、圧縮機回転数Nが所定回転数N1以上で、圧縮機111の作動トルクが予め定めた所定トルク以下となるような制御信号を生成して、吐出量を低下させるようにしても良い。これにより、直接的に圧縮機111の消費動力を低減することができる。
【0132】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態を図18に示す。第10実施形態は、所定回転数N1よりも小さい側となる低回転領域での制御信号の設定を明確にしたものである。
【0133】
例えば、上記第7実施形態に対して、所定回転数N1よりも小さい側の低回転領域では、制御信号(Dutymax)としては、取り得る最大値(MaxDuty)に固定することができる。
【0134】
これにより、停止時や低速走行時等の低回転数領域で不足がちとなりやすい冷媒の吐出量を充分に確保して、高い冷房能力を発揮することができる。
【0135】
尚、低回転領域での制御信号の設定方法としては、その他、図19、図20に示すように、圧縮機回転数N1に応じて設定される制御信号値に所定量(マージンα)を加えた増加制御信号として設定するようにしても良い。この場合の制御信号(Dutymax)は、以下の数式2のように表すことができる。
【0136】
(数2)
Dutymax=a×Ncal+b×(Pd+c×Ps)+d+α
但し、αは圧縮機回転数NがN1以上ではゼロとする。
【0137】
マージンαとしては図20に示すように、所定回転数N1の近傍(N1aとN1との間)でヒステリシスを持つように設定すると良く、制御時のハンチングを防止できる。
【0138】
(その他の実施形態)
上記第1〜第5実施形態では、冷凍サイクル110の熱負荷(冷房負荷)を外気温度として捉えたが、これに限らず、冷媒の圧力(例えば圧力センサ111aからの高圧側圧力信号)、車室内温度(内気温度)、室内熱交換器114における冷却温度(冷却空気温度Te)として捉えるようにしても良い。あるいは、上記圧力、温度の組合せとして捉えても良い。上記のような熱負荷の捉え方をする場合は、圧力センサ111a、内気センサ121、サーミスタ114aがそれぞれ熱負荷検出手段となる。
【0139】
また、エンジン回転数センサを車速検出手段として、車両の車速をエンジン回転数から捉えるようにしても良い。
【0140】
また、室内熱交換器114における冷却温度は、室内熱交換器114前後、あるいはこの熱交換器114を流通する冷媒温度としたり、室内熱交換器114の代表部位温度等としても良い。
【0141】
また、上記第1〜第10実施形態において、冷凍サイクル110の高圧側圧力Pdは臨界圧力を超える領域で使用されるものに限らず、臨界圧力以下で使用されるものとしても良い。更に、使用される冷媒は二酸化炭素に限らず、他のHFC134a等のフロン系の冷媒としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】第1実施形態における車両用冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図3】第1実施形態における圧縮機の吐出容量を決定するためのマップである。
【図4】第1実施形態における車速に対する冷房能力、消費動力を示すグラフである。
【図5】第2実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図6】第2実施形態における目標温度TEOを決定するためのマップである。
【図7】第2実施形態における車速に対する吹出し温度、消費動力を示すグラフである。
【図8】第3実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図9】第4実施形態における車両用冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図10】第4実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図11】第5実施形態における車両用冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図12】第6実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図13】第6実施形態における狙いの回転数を算出するためのマップである。
【図14】第6実施形態における圧縮機回転数と冷房能力との関係を示すグラフである。
【図15】第6実施形態における圧縮機回転数と圧縮機消費動力との関係を示すグラフである。
【図16】第7実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図17】第7実施形態における狙いの回転数を算出するためのマップである。
【図18】第10実施形態における圧縮機回転数に対する制御信号値を示すグラフである。
【図19】第10実施形態の変形例における圧縮機回転数に対する制御信号値を示すグラフである。
【図20】図19のマージンの設定方法を示すグラフである。
【符号の説明】
【0143】
100 車両用冷凍サイクル装置
110 冷凍サイクル
111 圧縮機
111A 電動圧縮機
111b 電動機
114 室内熱交換器(低圧側熱交換器)
118a 内外気切替えドア(内外気選択手段)
120 制御装置
130 エンジン制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば二酸化炭素等を冷媒として、高圧側圧力が臨界点を越えて使用されるものに用いて好適な車両用冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、冷媒の高圧側圧力が超臨界領域で作動されて、圧縮機が流量制御可能となるようにした車両用の冷房装置が知られており、圧縮機の流量制御によって性能係数(COP)が向上されて、冷房装置の効率が高められるようになっている。
【特許文献1】特開平8−110104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては冷凍サイクル(蒸気圧縮回路)の熱負荷、あるいは車両の走行条件に応じて、どのように圧縮機の流量制御を行うかという具体的な記載はされていない。冷凍サイクルにおいては、例えば夏場のように熱負荷が高い条件、あるいは車速が高い条件では、圧縮機の回転数が高く設定され、室外熱交換器の放熱能力も高く得られることから、高い冷房能力を得ることができるが、その分、圧縮機の消費動力も大きくなり、車両エンジンの負担も増大して燃費が悪化する。また、停車時や低速走行時等に比べて、冷房能力の乖離が大きくなりやすく、乗員のフィーリングも悪化する。
【0004】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、圧縮機の高回転領域において圧縮機の省動力を図ると共に、乗員のフィーリングの悪化を抑制する車両用冷凍サイクル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0006】
請求項1に記載の発明では、車両に搭載されて、冷媒を高温高圧に圧縮し、吐出量を調整可能に吐出する圧縮機(111)を構成要素として有する冷凍サイクル(110)と、圧縮機(111)の吐出量を制御する制御装置(120)とを備える車両用冷凍サイクル装置において、制御装置(120)は、圧縮機(111)の回転数(N)が所定回転数(N1)より高い場合に、回転数(N)に応じて定まる吐出量の最大値よりも小さくなるように、前記吐出量を低下させることを特徴としている。
【0007】
これにより、圧縮機(111)の高回転領域において、過剰となりがちな冷媒の吐出量を抑えて、圧縮機(111)の動力を小さくすることができるので、圧縮機(111)の動力を低減することができる。また、吐出量低下により冷凍サイクル(110)の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、制御装置(120)は、冷凍サイクル(110)の熱負荷が所定熱負荷より高い場合を含めて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0009】
これにより、圧縮機(111)の高回転領域で、且つ、熱負荷が高い場合での圧縮機(111)の動力低減、および乗員の冷房フィーリングの悪化抑制が可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、車両の車速が所定車速より高い場合を含めて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0011】
これにより、圧縮機(111)の高回転領域で、且つ、車速が高い場合での圧縮機(111)の動力低減、および乗員の冷房フィーリングの悪化抑制が可能となる。
【0012】
制御装置(120)は、請求項4に記載の発明のように、熱負荷を冷媒の圧力、車両の内気温度、外気温度、前記冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)における冷却温度の少なくとも1つから判定することができ、また、請求項5に記載の発明のように、車速を車両のエンジン回転数、または車速センサから判定することができる。
【0013】
制御装置(120)は、請求項6〜請求項11に記載の発明のように、圧縮機(111)の吐出量を低下させてやるのが良い。
【0014】
即ち、請求項6に記載の発明のように、熱負荷が大きいほど吐出量の低減量を小さくしてやると良い。また、請求項7に記載の発明のように、圧縮機(111)の回転数(N)が大きいほど吐出量の低減量を大きくしてやると良い。更に、請求項8に記載の発明のように、熱負荷が大きいほど冷凍サイクル(110)の目標冷房能力が小さくなるように設定し、小さく設定される目標冷房能力となるように、圧縮機(111)の吐出量を低下させてやると良い。
【0015】
これにより、冷凍サイクル(110)の冷房能力を過度に落とすことなく、圧縮機(111)の省動力、冷房フィーリングの悪化抑制ができる。
【0016】
また、請求項9に記載の発明のように、制御装置(120)は、所定吐出量以下となるように圧縮機(111)の吐出量を低下させてやると良い。
【0017】
これにより、所定吐出量を上限として圧縮機(111)の動力を確実に抑えると共に、必要最小限の冷房能力を得て、停止時や低速走行時の冷房能力との乖離を更に小さくすることができる。
【0018】
また、請求項10に記載の発明のように、制御装置(120)は、圧縮機(111)の作動トルクが所定トルク以下となるように圧縮機(111)の吐出量を低下させてやる、更には、請求項11に記載の発明のように、制御装置(120)は、圧縮機(111)の消費動力が所定動力以下となるように圧縮機(111)の吐出量を低下させてやると良い。
【0019】
これにより、直接的に圧縮機(111)の動力を低減することができる。
【0020】
圧縮機(111)は、請求項12に記載の発明のように、車両のエンジンによって駆動されるエンジン駆動式圧縮機(111)とすれば、圧縮機(111)の省動力によってエンジンの動力を低減することができるので、エンジンの燃費を向上させることができる。
【0021】
請求項12に記載のエンジン駆動式圧縮機(111)においては、請求項13に記載の発明のように、エンジンの作動を制御するエンジン制御装置(130)を有している場合に、制御装置(120)は、エンジン制御装置(130)が決定する好適なエンジン作動のための圧縮機(111)の作動トルクに係わる信号に応じて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることができる。
【0022】
また、請求項14に記載の発明のように、制御装置(120)自身が、好適なエンジン作動のための圧縮機(111)の作動トルクを算出するようにして、作動トルクに係わる信号に応じて、圧縮機(111)の吐出量を低下させるようにしても良い。
【0023】
これにより、エンジンに対する圧縮機(111)の動力の影響を極力小さくして、エンジンの燃費向上に重点を置いた吐出量制御ができる。
【0024】
圧縮機(111)は、請求項15に記載の発明のように、電動機(111b)によって駆動される電動式圧縮機(111A)としても良い。
【0025】
圧縮機(111)の吐出量は、請求項16〜請求項18に記載の発明のように、制御装置(120)から出力される電流信号、電圧信号、あるいはデューティ比信号のいずれかによって調整するようにすることができる。
【0026】
請求項19に記載の発明では、車両の内気あるいは外気のいずれかを冷却用空気として選択する内外気選択手段(118a)を有し、制御装置(120)は、内外気選択手段(118a)によって外気が選択されている場合を含めて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0027】
これにより、外気温度は熱負荷の大小に直接的に関連する特性値であるため、外気が選択されている場合に、本制御を用いて好適となる。
【0028】
請求項20に記載の発明では、制御装置(120)は、圧縮機(111)の回転数(N)に応じて、吐出量を決定するための制御信号を設定すると共に、回転数(N)が高いほど、制御信号に対してより大きな制限を加えて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0029】
これにより、圧縮機(111)の高回転領域において、制御信号を制限することで過剰となりがちな冷媒の吐出量を抑えて、圧縮機(111)の動力を小さくすることができるので、容易且つ確実に圧縮機(111)の動力を低減することができる。また、吐出量低下により冷凍サイクル(110)の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0030】
請求項21に記載の発明のように、吐出量が、制御信号の増加に伴って増加するように関係付けられている場合には、制御装置(120)は、回転数(N)が高いほど、制御信号の増加をより大きく抑えるように制限を加えることで、圧縮機(111)の吐出量を低下させることができる。
【0031】
請求項22に記載の発明では、制御装置(120)は、圧縮機(111)の回転数(N)に加えて、圧縮機(111)の吐出側となる高圧側圧力(Pd)と、圧縮機(111)の吸入側となる低圧側圧力(Ps)と、から制御信号を設定することを特徴としている。
【0032】
これにより、冷凍サイクル(110)における熱バランスを加味した条件での制御信号の設定が可能となるので、より適切な制御信号とすることができる。
【0033】
低圧側圧力(Ps)については、請求項23に記載の発明のように、冷凍サイクル(110)の低圧側冷媒圧力、冷凍サイクル(110)の低圧側配管温度、冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)の表面温度、および低圧側熱交換器(114)によって冷却される空気温度のいずれか1つから推定することができる。
【0034】
制御信号の増加を抑えるための制限としては、請求項24に記載の発明のように、制御装置(120)は、所定回転数(N1)以上の領域で、制御信号の増加量を一律ゼロとして対応することができる。
【0035】
また、請求項25に記載の発明のように、制御装置(120)は、所定回転数(N1)以上の領域で複数の回転数領域を区画して、高回転側の回転数領域での回転数(N)に対する制御信号の増加割合が、低回転側の回転数領域での回転数(N)に対する制御信号の増加割合よりも小さくなるようにして対応することができる。
【0036】
これにより、冷凍サイクル(110)の冷房能力、および圧縮機(111)の動力を圧縮機(111)の回転数(N)の全領域で適切な値に制御することができる。
【0037】
制御信号としては、請求項26に記載の発明のように、電流信号、電圧信号、デューティ比信号のいずれか1つを用いることができる。
【0038】
請求項27に記載の発明では、制御装置(120)は、冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)表面のフロストを防止するフロスト防止制御を実行するようにしており、フロスト防止制御の条件となった場合には、圧縮機(111)の吐出量低下の制御に優先して、フロスト防止制御を実行することを特徴としている。これにより、確実なフロスト制御が可能となる。
【0039】
請求項28に記載の発明では、制御装置(120)は、圧縮機(111)の作動トルクが所定トルク以下となるように、回転数(N)が高いほど制御信号に対してより大きな制限を加えて、圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴としている。
【0040】
これにより、直接的に圧縮機(111)の動力を低減することができる。
【0041】
請求項29に記載の発明では、制御装置(120)は、所定回転数(N1)より低い回転数領域で、吐出量を最大値にすることを特徴としている。
【0042】
これにより、不足がちとなりやすい低回転数領域での冷媒の吐出量を充分に確保して、高い冷房能力を発揮することができる。
【0043】
請求項30に記載の発明では、制御装置(120)は、所定回転数(N1)より低い回転数領域で、回転数(N)に応じて設定される制御信号に対して所定量を加えた増加制御信号を用いて、吐出量を決定することを特徴としている。
【0044】
これにより、不足がちとなりやすい低回転数領域での冷媒の吐出量を確実に確保して、充分な冷房能力を発揮することができる。
【0045】
また、請求項31に記載の発明のように、圧縮機(111)によって圧縮された冷媒の圧力が臨界圧力を超えて使用される冷凍サイクル装置を対象として好適である。
【0046】
冷媒としては、請求項32に記載の発明のように、二酸化炭素とすることができる。
【0047】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態における車両用冷凍サイクル装置(以下、冷凍サイクル装置)100について、図1〜図4を用いて説明する。尚、図1は冷凍サイクル装置100の全体構成を示す模式図、図2は制御装置120が実行する制御フローチャート、図3は圧縮機111の吐出容量を決定するためのマップ、図4は車速に対する冷房能力、消費動力を示すグラフである。
【0049】
図1に示すように、冷凍サイクル装置100は、図示しないエンジンを走行用駆動源とする車両に搭載されて、車室内の冷房(空調)を行うものであり、主に冷凍サイクル110、制御装置120等から構成されている。ここでは、冷凍サイクル110内を循環する冷媒としては二酸化炭素(CO2)を用いており、高圧側圧力が臨界圧力よりも高い状態で使用される場合を有している。
【0050】
冷凍サイクル110は、圧縮機111、室外熱交換器112、膨張弁113、室内熱交換器114、アキュムレータ115が環状に順次接続されて形成されている。そして、室外熱交換器112および膨張弁113の間を流れる高圧側冷媒(高温冷媒)と、アキュムレータ115および圧縮機111の間を流れる低圧側冷媒(低温冷媒)との間で熱交換する内部熱交換器116が配設されている。
【0051】
上記冷凍サイクル110を構成する各機器111〜116のうち、室内熱交換器114は後述する空調ケース117内に収容されて、送風ユニット118と共に車室内(インストルメントパネル内)に配設され、他の機器(111〜113、115、116)は車両のエンジンルーム内に配設されている。
【0052】
圧縮機111は、冷媒を高温高圧に圧縮して室外熱交換器112側へ吐出する流体機械である。エンジンクのランクプーリと圧縮機111のプーリとがベルトによって接続されており、圧縮機111はエンジンによって駆動されるようになっている。また、圧縮機111は、1回転当たりの吐出容量が調整可能な可変容量型圧縮機としており、ここでは例えば斜板式のものが採用されている。尚、圧縮機111から吐出される冷媒の吐出量は、上記1回転当たりの吐出容量に圧縮機111の回転数(以下、圧縮機回転数N)を乗じたものとなる。
【0053】
圧縮機111の斜板(図示省略)は、圧縮機回転軸と共に回転するように圧縮機111内の斜板室に配設されており、斜板にはシリンダ内を摺動するピストンが連結されている。そして、圧縮機111には図示しない流量制御弁が設けられており、この流量制御弁の弁開度が調整されることで、斜板室内の圧力(吐出圧力と吸入圧力との中間となる中間圧力)が調整され、圧縮機回転軸に対する斜板の傾斜角度が変更される。そして、斜板の傾斜角度の変更に伴ってピストンのストロークが変更されることで、1回転当たりの吐出容量がほぼ0となる最小吐出容量から圧縮機111として吐出しうる最大吐出容量まで連続的に調整されるようになっている。
【0054】
上記流量制御弁の弁開度は、後述する制御装置120から出力される制御信号(例えば電流信号)によって調整されるようになっている。即ち、圧縮機111の吐出容量(吐出量)は、制御装置120によって制御される。ここでは、電流信号を増加するほど、圧縮機111の吐出容量が大きくなる側に変化するようになっている。
【0055】
そして、圧縮機111の吐出側(圧縮機111と室外熱交換器112との間)には吐出された冷媒の圧力(以下、高圧側圧力Pd)を検出する圧力センサ111aが設けられており、この圧力センサ111aによって検出された高圧側圧力信号は、後述する制御装置120に入力されるようになっている。
【0056】
室外熱交換器112は、車両のエンジンルームの前方(例えばグリルの後方)に配置されて、圧縮機111から吐出された冷媒とエンジンルーム内に流入する外気との間で熱交換することで冷媒を冷却する熱交換器である。
【0057】
膨張弁113は、室外熱交換器112(内部熱交換器116)から流出される冷媒を減圧する(低温低圧にする)減圧手段である。この膨張弁113は、室外熱交換器112から流出される冷媒の温度に応じて膨張弁113の弁開度が調整される機械式膨張弁としている。具体的には、室外熱交換器112から流出される冷媒の温度を検出し、より最適効率に近い冷媒圧力になるように高圧を制御している。
【0058】
室内熱交換器(本発明における低圧側熱交換器に対応)114は、空調ケース117内で流路全体をよぎるように配設されて、膨張弁113で減圧された冷媒と空調ケース117内を流通する空調空気との間で熱交換することで空調空気を冷却する熱交換器である。室内熱交換器114の空調空気流れ下流側には、冷却された空気温度(本発明における冷却温度に対応し、以下、冷却空気温度Te)を検出するサーミスタ114aが設けられており、このサーミスタ114aによって検出された冷却空気温度信号は後述する制御装置120に入力されるようになっている。
【0059】
アキュムレータ115は、室内熱交換器114から流出された冷媒を受け入れ、冷媒の気液を分離して液冷媒を溜め、ガス冷媒および底部付近の少量の液冷媒(オイルが溶け込んでいる)を内部熱交換器116を介して圧縮機111側へ吸入させるレシーバである。
【0060】
内部熱交換器116は、室外熱交換器112から流出される高温冷媒を過冷却し、また室内熱交換器114(アキュムレータ115)から流出される低温冷媒を過熱して、室外熱交換器112におけるエンタルピ差を増大させて冷房能力を高める熱交換器である。
【0061】
尚、空調ケース117の一端側には、送風機118bを備える送風ユニット118が設けられており、この送風ユニット118によって上記空調空気が室内熱交換器114に供給されるようになっている。また、送風ユニット118の空調空気取り入れ部には、内外気選択手段としての内外気切替えドア118aが設けられている。内外気切替えドア118aは、後述する制御装置120によって回動制御されて、空調空気取り入れ部の開口位置を変更することで、空調空気として車両の内気、あるいは外気のいずれかを選択できるようになっている。
【0062】
また、空調ケース117内には、上記室内熱交換器114に加えて、暖房器としてのヒータコア117aが配設されている。ヒータコア117aは室内熱交換器114に対して空調空気流れ下流側に配置されている。ヒータコア117aは、エンジンとの間で循環される温水を加熱源として自身を流通する空調空気を加熱する熱交換器である。尚、ヒータコア117aと空調ケース117との間にはヒータコア117aをバイパスして空調空気が流通するバイパス流路117bが形成されている。
【0063】
ヒータコア117aには、エアミックスドア117cが設けられている。エアミックスドア117cは、ここでは回動式のドアとしており、エアミックスドア117cの開度に応じて、ヒータコア117aを流通する加熱空気とバイパス流路117bを流通する冷却空気との流量割合が調整されて、ヒータコア117a下流側の空調空気温度(車室内の内気温度に相関)が調整されるようになっている。例えば、エアミックスドア117cがヒータコア117aの全面を覆うように全閉状態となると室内熱交換器114による最大冷却(Maxcool)モードとなり、逆にエアミックスドア117cが上記全閉状態からバイパス流路117bを塞ぐように全開状態となるとヒータコア117aによる最大加熱(Maxhot)モードとなる。エアミックスドア117cの開度は後述する制御装置120によって制御されるようになっている。
【0064】
空調ケース117のヒータコア117a最下流側は、車室内に向けて開口する複数の吹出し口へ接続されており、上記エアミックスドア117cによって温度調整された空調空気が、選択された吹出し口から車室内に吹出されるようになっている。
【0065】
制御手段としての制御装置120は、マイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、予め設定されたプログラムに従って圧力センサ111aからの高圧側圧力信号、サーミスタ114aからの冷却空気温度信号、内気センサ121からの内気温度信号、図示しない車速センサ(車速検出手段)からの車速信号、図示しないエンジン回転数センサからのエンジン回転数信号、図示しない外気温センサ(熱負荷検出手段)からの外気温度信号および図示しない操作パネルで乗員が設定する設定温度信号に対する演算処理を行うと共に、圧縮機111の作動および吐出量制御、送風ユニット118の内外気切替えドア118aの位置制御、送風機118bの作動制御、エアミックスドア117cの開度制御を行う。
【0066】
次に、上記構成に基づく作動について図2、図3を加えて説明する。
【0067】
制御装置120は、乗員からの冷房要求に基づいて冷凍サイクル110を作動させる。まず、ステップS100で圧力センサ111a、サーミスタ114a、内気センサ121、車速センサ、エンジン回転数センサ、外気温センサ、操作パネルから、高圧側圧力信号、冷却空気温度信号、内気温度信号、車速信号、エンジン回転数信号、外気温度信号および設定温度信号を読込む。
【0068】
次に、ステップS110で冷凍サイクル110の冷房負荷(本発明における熱負荷に対応)を演算する。ここでは冷房負荷を外気温度として捉えることで対応している。次に、ステップS120で車速を演算する。これは、車速センサから得られる車速信号をそのまま用いる。
【0069】
次に、ステップS130で冷凍サイクル110の冷房負荷条件および車両の走行条件が高負荷高速条件にあるか否かを判定する。ここで、高負荷高速条件というのは、ステップS110で演算した冷房負荷(外気温度)が予め定めた所定冷房負荷(例えば外気温度30℃)より高く、且つ、ステップS120で演算した車速が予め定めた所定車速(例えば60km/h)より高い場合に対応する条件としたものである。
【0070】
ステップS130で高負荷高速条件でない(NO)と判定すると、ステップS140で、制御装置120は圧縮機111の吐出量を冷房負荷に応じた吐出量となるように通常制御する。即ち、車室内温度(内気温度)が乗員の設定する設定温度として得られるように、外気温度、内気温度等からヒータコア117a下流側の空調空気に対する目標温度(以下、目標吹出し温度)を演算する。また、室内熱交換器114における冷却空気温度Teが所定温度(例えば3℃)となるように、圧縮機111の吐出量を制御する。つまり、流量制御弁を介して圧縮機111の吐出容量を調整することで、この吐出容量と圧縮機回転数Nとの積によって得られる吐出量を制御する。圧縮機回転数Nはエンジン回転数とプーリ比(圧縮機111のプーリ径に対するエンジンのクランクプーリ径の比)との積から得られる。そして、ヒータコア117a下流側の空調空気温度が目標吹出し温度となるように、エアミックスドア117cの開度を制御する。尚、制御装置120は、乗員の設定する内外気信号(内気選択あるいは外気選択)に応じて、内外気切替えドア118aの位置を制御する。また、制御装置120は、圧力センサ111aから得られる高圧側圧力信号が所定圧力を超えると、冷凍サイクル110保護のためにその作動を停止する。
【0071】
一方、ステップS130で高負荷高速条件である(YES)と判定すると、ステップS150に進む。
【0072】
ここで、車速の高い高速条件においては、室外熱交換器112に流入する外気の流量が増加して、室外熱交換器112での放熱能力が増加して、その分、室内熱交換器114での冷房能力が増加する(図4中の白丸特性)。また、本実施形態のようなエンジン駆動式の圧縮機111を用いる場合に、高速条件においては、エンジン回転数と共に圧縮機111の回転数も増加されて、吐出量(冷房能力)が増加する。よって、高速条件におけるエンジン回転数に対応する圧縮機回転数(所定回転数N1)以上となる回転数領域では、上記内容を踏まえて、ステップS150では圧縮機111の吐出量を低下させるために、図3に示すマップに基づいて吐出容量の低減量を演算する。
【0073】
図3に示すマップは、圧縮機回転数(N1<N2<N3・・・)をパラメータとして、外気温度(冷房負荷)に対する圧縮機111の吐出容量(%)を関係付けたものとしている。更に具体的には、このマップでは、所定冷房負荷に対応する外気温度(例えば30℃)以上において、外気温度が高くなるほど、吐出容量が所定吐出容量から最大吐出容量(100%)に向けて大きくなるように、即ち最大吐出容量(100%)に対する差(低減量)が小さくなるようにしている。また、圧縮機回転数が高いほど(N1からN3側になるほど)、最大吐出容量(100%)に対する差(低減量)が大きくなるようにしている。
【0074】
通常、外気温度(冷房負荷)の高い高負荷条件においては、圧縮機111の吐出量が大きくなるように制御されるが(最大吐出容量100%)、ここではその時の外気温度と圧縮機回転数Nに応じて、吐出量が低減されるように吐出容量を決定する(例えば吐出容量80%)。
【0075】
そして、ステップS160で、その低減した吐出量で圧縮機111を作動させる。
【0076】
以上のように、本実施形態では、所定の圧縮機回転数(N1)以上となる高負荷高速条件において圧縮機111の吐出量を低減するようにしているので、図4中の斜線ハッチング棒グラフに示すように、圧縮機111の動力を低減することができる。ひいては、エンジンの動力を低減することができ、エンジンの燃費を向上させることができる。
【0077】
また、図4中の黒丸特性のように、吐出量低下により冷凍サイクル110の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0078】
また、圧縮機111の吐出量を低減する際に、外気温度(冷房負荷)が大きいほど吐出量の低減量を小さくし、圧縮機111の回転数が大きいほど吐出量の低減量を大きくしているので、冷凍サイクル110の冷房能力を過度に落とすことなく、圧縮機111の省動力、冷房フィーリングの悪化抑制ができる。
【0079】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態では、ステップS160で外気温度(冷房負荷)と圧縮機回転数Nとに基づいて圧縮機111の吐出量の低減量を決定したが、圧縮機回転数Nのみに基づいて圧縮機111の吐出量の低減量を決定するようにしても良い。
【0080】
また、圧縮機111の吐出量を低減させるに当たっては、図3で説明したマップを用いることなく、予め定めた所定吐出量以下となるようにしても良い。これにより、所定吐出量を上限として圧縮機111の動力を確実に抑えると共に、必要最小限の冷房能力を得て、停止時や低速走行時の冷房能力との乖離を更に小さくすることができる。
【0081】
また、圧縮機111の吐出量(吐出容量)を調整する際に、制御装置120は電流信号を用いたが、これに代えて電圧信号としても良い。また、吐出量を調整する信号はデューティ比で出力するものでも良い。
【0082】
また、可変容量型の圧縮機111として、上記電流信号(電圧信号、デューティ比)を大きくするほど圧縮機111の吐出容量が大きくなるものとしたが、逆の特性となるようにしても良い。
【0083】
また、制御装置120は、ステップS130において高負荷高速条件であると判定した後に、空調空気取り入れ部における内外気切替えドア118aの開口位置を判定し、この開口位置が外気導入側である場合に、上記圧縮機111の吐出量低下制御を行うようにしても良い。外気温度は冷房負荷の大小に直接的に関連する特性値であるため、外気が選択されている場合に、本制御を用いて好適となる。
【0084】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図5〜図7に示す。第2実施形態は、上記第1実施形態に対して、高負荷高速条件判定後の圧縮機111の吐出量低減方法を変更したものである。
【0085】
図5に示すフローチャートは、図2で説明したフローチャートに対してステップS150をステップS151に変更したものである。本実施形態では、制御装置120は、ステップS130で高負荷高速条件であると判定すると(YES)、ステップS151で、図6に示すマップに基づいて室内熱交換器114における冷却空気温度Teの目標値(目標温度TEO)を外気温度に応じて決定するようにしている。
【0086】
即ち、図6に示すマップでは、外気温度(冷房負荷)が大きいほど、目標温度TEOを大きく設定するようにしており、冷凍サイクル110の目標冷房能力が小さくなるようにしている。更に具体的には、外気温度が高いほど、室内熱交換器114における冷却空気温度の目標温度TEOを例えば上記第1実施形態で説明した所定温度3℃に対して、5℃、10℃と言うように大きく設定する。すると、それだけ圧縮機111の吐出量は少なくて済むことになる。よって、外気温度に応じた目標温度TEOを満たすための吐出量を算出する。
【0087】
そして、ステップS160でその吐出量となるように吐出量を低減して圧縮機111を作動させる。
【0088】
これにより、冷凍サイクル110の冷房能力が過度に低下されることなく、高負荷高速条件下での吹出し温度が上昇され(図7中の黒丸特性)、その分、圧縮機111の動力低減を図ることができ(図7中の斜線ハッチング棒グラフ)、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図8に示す。第3実施形態は、上記第1実施形態に対して、高負荷高速条件判定後の圧縮機111の吐出量低減方法を変更したものである。
【0090】
図8に示すフローチャートは、図2で説明したフローチャートに対してステップS150をステップS152に変更したものである。本実施形態では、制御装置120は、ステップS130で高負荷高速条件(圧縮機回転数Nが所定回転数N1よりも高い条件)であると判定すると(YES)、ステップS152で、図3で説明した外気温度、圧縮機回転数(N1、N2、N3)等に係わらずに圧縮機111の作動トルクが予め定めた低トルク側の所定トルクとなるようにする。所定トルクというのは、そのトルクによって得られる吐出量で所定冷房能力を確保可能とする値である。
【0091】
ステップS160では、圧縮機111の作動トルクを上記所定トルクに変更することで吐出量を低減して圧縮機111を作動させる。
【0092】
これにより、直接的に圧縮機111の動力を低減することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
尚、ステップS152では圧縮機111の作動トルクが所定トルクとなるようにしたが、これに代えて、圧縮機111の消費動力が予め定めた低動力側の所定動力以下となるように変更することで、吐出量を低減するようにしても良い。
【0094】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を図9、図10に示す。第4実施形態は、上記第1実施形態に対して、エンジン制御用のエンジン制御装置130と制御装置120との信号授受を行い、エンジン側の要求を元に圧縮機111の吐出量を決定するようにしたものである。
【0095】
エンジン制御装置130は、走行条件に応じてエンジンに対する燃料の供給量および供給タイミング等を調整し、総合的にエンジンの作動を制御するものである。エンジンはオルタネータ、冷却水ポンプ、および本圧縮機111等を駆動するようになっており、これらオルタネータ、冷却水ポンプ、および本圧縮機111等はエンジンに対する負荷となる。エンジン制御装置130は、走行条件に応じてエンジンの最適な作動を得るために、圧縮機111による負荷が過多である場合はその負荷を減少するように、制御装置120に対して動力要求値信号を出力するようになっている(図9)。
【0096】
図10に示すフローチャートは、図2で説明したフローチャートに対してステップS150をステップS153に変更したものである。本実施形態では、制御装置120は、ステップS130で高負荷高速条件(圧縮機回転数Nが所定回転数N1よりも高い条件)であると判定すると(YES)、ステップS153で、エンジン制御装置130から出力される動力要求値信号に基づいて、圧縮機111の作動トルクを低減するように定める。
【0097】
そして、ステップS160で、エンジンの最適な作動を得るための圧縮機111の作動トルクとなるように、圧縮機111の作動トルクを低減することで吐出量を低減して圧縮機111を作動させる。
【0098】
これにより、エンジンに対する圧縮機111の動力の影響を極力小さくして、エンジンの燃費向上に重点を置いた吐出量制御ができる。また、圧縮機111の動力低減と共に高負荷高速条件下での冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0099】
尚、エンジン制御装置130から制御装置120に出力される信号としては、動力要求値信号に代えて動力抑制信号として、この動力抑制信号に対応して圧縮機111の作動トルクを所定量低下させるものとしても良い。
【0100】
また、動力要求値信号の算出(出力)にあたっては、エンジン制御に関る各種制御値を制御装置120に入力するようにして、制御装置120にて行うようにしても良い。
【0101】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を図11に示す。第5実施形態は、圧縮機111をエンジン駆動式のものに代えて、電動機111bによって駆動される電動圧縮機111Aとしたものである。
【0102】
高負荷高速条件下での電動圧縮機111Aの制御としては、上記第1〜第4実施形態と同様の制御にて対応可能である。但し、吐出量の算出に当たっては、エンジン回転数に代えて電動機111bの回転数を使用する。
【0103】
電動圧縮機111bの吐出量を低減することで、電動機111bの消費電力を低減することができ、これにより、エンジンにおけるオルタネータの使用頻度を低減でき、ひいてはエンジンの動力を低減してエンジンの燃費を向上させることができる。
【0104】
また、上記第1〜第4実施形態と同様に吐出量低下により冷凍サイクル110の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0105】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態を図12〜図15に示す。第6実施形態は、圧縮機回転数Nが所定回転数N1以上となる場合に、圧縮機111の流量制御弁に与える制御信号に制限を加えて、圧縮機111の吐出量を低下させるようにしたものである。
【0106】
基本となる冷凍サイクル装置100のシステム構成は、上記第1〜第5実施形態と同一である。ここでは、圧縮機回転数Nに応じて、図12に示すフローチャートおよび、図13に示すマップに基づいて圧縮機111の吐出量を制御する。
【0107】
まず、図12におけるフローチャートのステップS200で、制御装置120は、圧力センサ111aから高圧側圧力Pdを検出し、ステップS210で、図示しないエンジン回転数センサからエンジン回転数Neを検出する。
【0108】
次に、ステップS220で、上記エンジン回転数Neと第1実施形態で説明したプーリ比との積から圧縮機回転数Nを算出する。そして、ステップS230で、図13に示すマップから狙いの回転数Ncalを算出する。
【0109】
狙いの回転数Ncalというのは、実際に作動している圧縮機111の実回転数に対して、対応付けされたものである。即ち、実回転数が所定回転数N1に達するまでは、狙いの回転数Ncalは実回転数に対して比例関係(ここでは1対1)となるように対応付けされるが、所定回転数N1以上においては、狙いの回転数Ncalは一律で同一(増加量がゼロ)の値(N1)となるように対応付けされるようにしている。つまり、所定回転数N1以上においては、圧縮機回転数Nを実回転数よりも小さくなる回転数と見なして取扱うものとしている。
【0110】
次に、ステップS240でサーミスタ114aから冷却空気温度Teを検出し、更に、ステップS250で、上記冷却空気温度Teから圧縮機111の吸入圧力(以下、低圧側圧力Ps)を推定する。
【0111】
低圧側圧力Psの推定にあたっては以下のように行う。即ち、冷凍サイクル110作動時のモリエル線図での冷媒の飽和特性を用いて、冷却空気温度Teから室内熱交換器114の冷媒出口側における冷媒温度を推定すると共に、この冷媒温度から冷媒圧力を推定する。そして、推定した冷媒圧力に対して室内熱交換器114と圧縮機111との間の冷媒配管の圧力損失分を差し引いて低圧側圧力Psとして推定する。
【0112】
そして、ステップS260で流量制御弁に与える制御信号を設定すると共に、設定された制御信号を用いて圧縮機111の吐出量を制御する。ここでは、流量制御弁は、制御信号が増加するほど、圧縮機111の吐出量を大きくなる側に変化させるものとしている。また、制御信号はデューティ比の信号(以下、Dutymax)としており、Dutymaxは、圧縮機111の狙いの回転数Ncal、高圧側圧力Pd、および低圧側圧力Psの関数として算出されるものとしている。具体的には、Dutymaxは以下の数式1のように表すことができる。
【0113】
(数1)
Dutymax=a×Ncal+b×(Pd+c×Ps)+d
ただし、a、b、c、dは定数である。
【0114】
数式1によって算出されるDutymaxは、狙いの回転数Ncal、高圧側圧力Pd、および低圧側圧力Psがそれぞれ増加すれば、大きくなり、これに伴い圧縮機111の吐出量を増加させる。しかしながら、圧縮機回転数Nが所定回転数N1以上においては、図13で説明したように、狙いの回転数Ncalが実回転数よりも小さくなるようにしているので、制御信号(Dutymax)は、圧縮機回転数Nが大きくなるほど、その増加が抑えれるように制限されることになり、それに伴い、圧縮機111の吐出量も設定し得る最大吐出量に対して小さい側に制御されることになる。
【0115】
更に、狙いの回転数Ncalは、所定回転数N1以上で、一律で同一の値(N1)となるようにしているので、仮に高圧側圧力Pd、低圧側圧力Psの条件が同一とすると、吐出量は、所定回転数N1以上では、増加されることなく、同一のまま抑えられることになる。
【0116】
図14、図15は、本実施形態における圧縮機回転数Nに対する冷凍サイクル装置100の冷房能力、および圧縮機111の消費動力を従来技術との比較で示したものである。所定回転数N1以上では、上記のように圧縮機111の吐出量が低下されて(抑えられて)、冷房能力、消費動力の上昇が抑えられている。
【0117】
このように、本実施形態では、所定回転数N1以上となる圧縮機111の高回転領域において、制御信号(Dutymax)を制限することで過剰となりがちな冷媒の吐出量を抑えて、圧縮機111の消費動力を小さくすることができるので、容易且つ確実に圧縮機111の消費動力を低減することができる。また、吐出量低下により冷凍サイクル装置100の冷房能力を低下させて、停止時や低速走行時(圧縮機111の低回転領域)での冷房能力との差を小さくすることができるので、乗員の冷房フィーリングの悪化を抑制することができる。
【0118】
また、制御信号(Dutymax)を、圧縮機回転数Nに基づく狙いの回転数Ncalに加えて、高圧側圧力Pd、低圧側圧力Psの条件も加味して設定するようにしているので、冷凍サイクル110における熱バランスを加味した条件での制御信号の設定が可能となり、より適切な制御信号とすることができる。
【0119】
尚、本実施形態では、圧縮機111の吐出量を調整するための流量制御弁への制御信号は、大きくするほど吐出量が大きくなるものとしたが、逆の特性となるものとしても良い。また、制御信号としては、デューティ比信号(Dutymax)に代えて、電流信号、電圧信号としても良い。
【0120】
また、本実施形態のステップS250における低圧側圧力Psの推定にあたっては、冷却空気温度Teに代えて、冷凍サイクル110の低圧側配管の温度(例えば室内熱交換器114の出口側配管表面温度)、室内熱交換器114の表面温度(例えばヘッダタンク部、フィン等の表面温度)等を用いるようにしても良い。また、冷凍サイクル110の低圧側圧力(例えば室内熱交換器114の出口側冷媒圧力)を直接的に圧力センサによって検出するようにしても良い。
【0121】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態を図16、図17に示す。第7実施形態は、上記第6実施形態に対して、制御信号の設定方法を変更したものである。
【0122】
圧縮機111の吐出量の制御に関しては、図16に示すフローチャートを用いるようにしているが、基本の流れは上記第6実施形態の図12と同一である。但し、ステップS230をステップS231として、このステップS231で、図17に示すマップに基づきDutymaxを設定するようにしている。
【0123】
図17に示すマップでは、所定回転数N1以上の領域に複数の区画設定用の回転数ポイント(N2、N3)を予め定めて、N1〜N2となる低回転側の回転数領域と、N2〜N3となる高回転側の回転数領域とを区画している。そして、低回転側の回転数領域での狙いの回転数Ncalの増加割合(関係線図の第1勾配)は1よりも小さくなるようにして、且つ、低回転側の回転数領域での狙いの回転数Ncalの増加割合(関係線図の第1勾配)よりも、高回転側の回転数領域での狙いの回転数Ncalの増加割合(関係線図の第2勾配)のほうが小さくなるようにしている。更に、N3以上では、増加割合をゼロとしている。
【0124】
よって、狙いの回転数Ncalは、所定回転数N1以上では、基本的に実回転数Nよりも小さい側に抑えられながら、且つ、実回転数Nの増加に対して狙いの回転数Ncalの増加割合が順次小さくなるように関係付けられている。図17中の狙いの回転数N11、N21、N31は、それぞれ、
N11≦N1、N21<N2、N31<N3
の関係となっている。
【0125】
このように設定される狙いの回転数Ncalを用いて、ステップS260で流量制御弁に与える制御信号(Dutymax)を設定すると共に、設定された制御信号を用いて圧縮機111の吐出量を制御する。
【0126】
制御信号(Dutymax)は、圧縮機回転数Nが所定回転数N1以上においては、圧縮機回転数Nが大きくなるほど、順次その増加割合が抑えられるように制限されることになり、それに伴い、圧縮機111の吐出量も設定し得る最大吐出量に対して小さい側に制御されると共に、圧縮機回転数Nが大きくなるほど、順次その増加割合が抑えられるように制御されることになる。
【0127】
これにより、冷凍サイクル装置100の冷房能力、および圧縮機111の消費動力を圧縮機回転数Nの全領域で適切な値に制御することができる。
【0128】
(第8実施形態)
冷凍サイクル装置100においては、運転中に室内熱交換器114の表面に発生する霜(フロスト)を除去するためのフロスト防止制御を実行するようにしている。本実施形態は、上記第6、第7実施形態における圧縮機111の吐出量低下制御と、上記フロスト制御との関係を明確にしたものである。
【0129】
制御装置120は、圧縮機回転数Nが所定回転数N1より高い場合に吐出量低下制御を実行する中で、フロスト制御の実行が必要となると、吐出量低下制御を停止して、フロスト制御の実行を優先させる。
【0130】
フロスト制御においては、通常、室内熱交換器114における冷媒の温度が低下しすぎて空調空気中の水分が霜となって室内熱交換器114の表面に発生するものであり、フロスト制御においては、制御装置120は、吐出量低下制御以上に吐出量を低下させる、あるいは圧縮機111の作動を停止させる。これにより、確実なフロスト制御が可能となる。
【0131】
(第9実施形態)
上記第6〜第8実施形態では、圧縮機回転数Nに基づく狙いの回転数Ncalによって制御信号に対して制限を加え、圧縮機111の吐出量を低下させるようにしたが、これに代えて、圧縮機回転数Nが所定回転数N1以上で、圧縮機111の作動トルクが予め定めた所定トルク以下となるような制御信号を生成して、吐出量を低下させるようにしても良い。これにより、直接的に圧縮機111の消費動力を低減することができる。
【0132】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態を図18に示す。第10実施形態は、所定回転数N1よりも小さい側となる低回転領域での制御信号の設定を明確にしたものである。
【0133】
例えば、上記第7実施形態に対して、所定回転数N1よりも小さい側の低回転領域では、制御信号(Dutymax)としては、取り得る最大値(MaxDuty)に固定することができる。
【0134】
これにより、停止時や低速走行時等の低回転数領域で不足がちとなりやすい冷媒の吐出量を充分に確保して、高い冷房能力を発揮することができる。
【0135】
尚、低回転領域での制御信号の設定方法としては、その他、図19、図20に示すように、圧縮機回転数N1に応じて設定される制御信号値に所定量(マージンα)を加えた増加制御信号として設定するようにしても良い。この場合の制御信号(Dutymax)は、以下の数式2のように表すことができる。
【0136】
(数2)
Dutymax=a×Ncal+b×(Pd+c×Ps)+d+α
但し、αは圧縮機回転数NがN1以上ではゼロとする。
【0137】
マージンαとしては図20に示すように、所定回転数N1の近傍(N1aとN1との間)でヒステリシスを持つように設定すると良く、制御時のハンチングを防止できる。
【0138】
(その他の実施形態)
上記第1〜第5実施形態では、冷凍サイクル110の熱負荷(冷房負荷)を外気温度として捉えたが、これに限らず、冷媒の圧力(例えば圧力センサ111aからの高圧側圧力信号)、車室内温度(内気温度)、室内熱交換器114における冷却温度(冷却空気温度Te)として捉えるようにしても良い。あるいは、上記圧力、温度の組合せとして捉えても良い。上記のような熱負荷の捉え方をする場合は、圧力センサ111a、内気センサ121、サーミスタ114aがそれぞれ熱負荷検出手段となる。
【0139】
また、エンジン回転数センサを車速検出手段として、車両の車速をエンジン回転数から捉えるようにしても良い。
【0140】
また、室内熱交換器114における冷却温度は、室内熱交換器114前後、あるいはこの熱交換器114を流通する冷媒温度としたり、室内熱交換器114の代表部位温度等としても良い。
【0141】
また、上記第1〜第10実施形態において、冷凍サイクル110の高圧側圧力Pdは臨界圧力を超える領域で使用されるものに限らず、臨界圧力以下で使用されるものとしても良い。更に、使用される冷媒は二酸化炭素に限らず、他のHFC134a等のフロン系の冷媒としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】第1実施形態における車両用冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図3】第1実施形態における圧縮機の吐出容量を決定するためのマップである。
【図4】第1実施形態における車速に対する冷房能力、消費動力を示すグラフである。
【図5】第2実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図6】第2実施形態における目標温度TEOを決定するためのマップである。
【図7】第2実施形態における車速に対する吹出し温度、消費動力を示すグラフである。
【図8】第3実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図9】第4実施形態における車両用冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図10】第4実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図11】第5実施形態における車両用冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図12】第6実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図13】第6実施形態における狙いの回転数を算出するためのマップである。
【図14】第6実施形態における圧縮機回転数と冷房能力との関係を示すグラフである。
【図15】第6実施形態における圧縮機回転数と圧縮機消費動力との関係を示すグラフである。
【図16】第7実施形態における制御装置が実行する制御フローチャートである。
【図17】第7実施形態における狙いの回転数を算出するためのマップである。
【図18】第10実施形態における圧縮機回転数に対する制御信号値を示すグラフである。
【図19】第10実施形態の変形例における圧縮機回転数に対する制御信号値を示すグラフである。
【図20】図19のマージンの設定方法を示すグラフである。
【符号の説明】
【0143】
100 車両用冷凍サイクル装置
110 冷凍サイクル
111 圧縮機
111A 電動圧縮機
111b 電動機
114 室内熱交換器(低圧側熱交換器)
118a 内外気切替えドア(内外気選択手段)
120 制御装置
130 エンジン制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、
冷媒を高温高圧に圧縮し、吐出量を調整可能に吐出する圧縮機(111)を構成要素として有する冷凍サイクル(110)と、
前記圧縮機(111)の吐出量を制御する制御装置(120)とを備える車両用冷凍サイクル装置において、
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の回転数(N)が所定回転数(N1)より高い場合に、前記回転数(N)に応じて定まる前記吐出量の最大値よりも小さくなるように、前記吐出量を低下させることを特徴とする車両用凍サイクル装置。
【請求項2】
前記制御装置(120)は、前記冷凍サイクル(110)の熱負荷が所定熱負荷より高い場合を含めて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記制御装置(120)は、前記車両の車速が所定車速より高い場合を含めて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記制御装置(120)は、前記熱負荷を前記冷媒の圧力、前記車両の内気温度、外気温度、前記冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)における冷却温度の少なくとも1つから判定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記制御装置(120)は、前記車速を前記車両のエンジン回転数、または車速センサから判定することを特徴とする請求項3に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記制御装置(120)は、前記熱負荷が大きいほど前記吐出量の低減量を小さくすることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の回転数(N)が大きいほど前記吐出量の低減量を大きくすることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記制御装置(120)は、前記熱負荷が大きいほど前記冷凍サイクル(110)の目標冷房能力が小さくなるように設定し、前記小さく設定される目標冷房能力となるように、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項9】
前記制御装置(120)は、所定吐出量以下となるように前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の作動トルクが所定トルク以下となるように前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項11】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の消費動力が所定動力以下となるように前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項12】
前記圧縮機(111)は、前記車両のエンジンによって駆動されるエンジン駆動式圧縮機(111)であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項13】
前記エンジンの作動を制御するエンジン制御装置(130)を有しており、
前記制御装置(120)は、前記エンジン制御装置(130)が決定する好適な前記エンジン作動のための前記圧縮機(111)の作動トルクに係わる信号に応じて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項12に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項14】
前記制御装置(120)は、好適な前記エンジン作動のための前記圧縮機(111)の作動トルクを算出し、前記作動トルクに係わる信号に応じて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項12に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項15】
前記圧縮機(111)は、電動機(111b)によって駆動される電動式圧縮機(111A)であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項16】
前記圧縮機(111)の吐出量は、前記制御装置(120)から出力される電流信号によって調整されることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項17】
前記圧縮機(111)の吐出量は、前記制御装置(120)から出力される電圧信号によって調整されることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項18】
前記圧縮機(111)の吐出量は、前記制御装置(120)から出力されるデューティ比信号によって調整されることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項19】
前記車両の内気あるいは外気のいずれかを冷却用空気として選択する内外気選択手段(118a)を有し、
前記制御装置(120)は、前記内外気選択手段(118a)によって前記外気が選択されている場合を含めて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項20】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の回転数(N)に応じて、前記吐出量を決定するための制御信号を設定すると共に、
前記回転数(N)が高いほど、前記制御信号に対してより大きな制限を加えて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項21】
前記吐出量は、前記制御信号が増加するほど、増加するように関係付けられており、
前記制御装置(120)は、前記回転数(N)が高いほど、前記制御信号の増加をより大きく抑えるように制限を加えて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項20に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項22】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の回転数(N)に加えて、前記圧縮機(111)の吐出側となる高圧側圧力(Pd)と、前記圧縮機(111)の吸入側となる低圧側圧力(Ps)と、から前記制御信号を設定することを特徴とする請求項20または請求項21に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項23】
前記制御装置(120)は、前記冷凍サイクル(110)の低圧側冷媒圧力、前記冷凍サイクル(110)の低圧側配管温度、前記冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)の表面温度、および前記低圧側熱交換器(114)によって冷却される空気温度のいずれか1つから、前記低圧側圧力(Ps)を推定することを特徴とする請求項22に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項24】
前記制御装置(120)は、前記制御信号の増加を抑える際に、前記所定回転数(N1)以上の領域で、前記制御信号の増加量を一律ゼロとして制限を加えることを特徴とする請求項21〜請求項23のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項25】
前記制御装置(120)は、前記制御信号の増加を抑える際に、前記所定回転数(N1)以上の領域で複数の回転数領域を区画して、高回転側の回転数領域での前記回転数(N)に対する前記制御信号の増加割合が、低回転側の回転数領域での前記回転数(N)に対する前記制御信号の増加割合よりも小さくなるように制限を加えることを特徴とする請求項21〜請求項23のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項26】
前記制御信号は、電流信号、電圧信号、デューティ比信号のいずれか1つであることを特徴とする請求項20〜請求項25のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項27】
前記制御装置(120)は、前記冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)表面のフロストを防止するフロスト防止制御を実行するようにしており、
前記フロスト防止制御の条件となった場合には、前記圧縮機(111)の吐出量低下の制御に優先して、前記フロスト防止制御を実行することを特徴とする請求項20〜請求項26のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項28】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の作動トルクが所定トルク以下となるように、前記回転数(N)が高いほど前記制御信号に対してより大きな制限を加えて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項20〜請求項27のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項29】
前記制御装置(120)は、前記所定回転数(N1)より低い回転数領域で、前記吐出量を最大値にすることを特徴とする請求項20〜請求項28のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項30】
前記制御装置(120)は、前記所定回転数(N1)より低い回転数領域で、前記回転数(N)に応じて設定される前記制御信号に対して所定量を加えた増加制御信号を用いて、吐出量を決定することを特徴とする請求項20〜請求項28のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項31】
前記圧縮機(111)によって圧縮された前記冷媒の圧力が臨界圧力を超えて使用されることを特徴とする請求項1〜請求項30のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項32】
前記冷媒は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項31に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項1】
車両に搭載されて、
冷媒を高温高圧に圧縮し、吐出量を調整可能に吐出する圧縮機(111)を構成要素として有する冷凍サイクル(110)と、
前記圧縮機(111)の吐出量を制御する制御装置(120)とを備える車両用冷凍サイクル装置において、
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の回転数(N)が所定回転数(N1)より高い場合に、前記回転数(N)に応じて定まる前記吐出量の最大値よりも小さくなるように、前記吐出量を低下させることを特徴とする車両用凍サイクル装置。
【請求項2】
前記制御装置(120)は、前記冷凍サイクル(110)の熱負荷が所定熱負荷より高い場合を含めて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記制御装置(120)は、前記車両の車速が所定車速より高い場合を含めて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記制御装置(120)は、前記熱負荷を前記冷媒の圧力、前記車両の内気温度、外気温度、前記冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)における冷却温度の少なくとも1つから判定することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記制御装置(120)は、前記車速を前記車両のエンジン回転数、または車速センサから判定することを特徴とする請求項3に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記制御装置(120)は、前記熱負荷が大きいほど前記吐出量の低減量を小さくすることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の回転数(N)が大きいほど前記吐出量の低減量を大きくすることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記制御装置(120)は、前記熱負荷が大きいほど前記冷凍サイクル(110)の目標冷房能力が小さくなるように設定し、前記小さく設定される目標冷房能力となるように、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項9】
前記制御装置(120)は、所定吐出量以下となるように前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の作動トルクが所定トルク以下となるように前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項11】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の消費動力が所定動力以下となるように前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項12】
前記圧縮機(111)は、前記車両のエンジンによって駆動されるエンジン駆動式圧縮機(111)であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項13】
前記エンジンの作動を制御するエンジン制御装置(130)を有しており、
前記制御装置(120)は、前記エンジン制御装置(130)が決定する好適な前記エンジン作動のための前記圧縮機(111)の作動トルクに係わる信号に応じて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項12に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項14】
前記制御装置(120)は、好適な前記エンジン作動のための前記圧縮機(111)の作動トルクを算出し、前記作動トルクに係わる信号に応じて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項12に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項15】
前記圧縮機(111)は、電動機(111b)によって駆動される電動式圧縮機(111A)であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項16】
前記圧縮機(111)の吐出量は、前記制御装置(120)から出力される電流信号によって調整されることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項17】
前記圧縮機(111)の吐出量は、前記制御装置(120)から出力される電圧信号によって調整されることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項18】
前記圧縮機(111)の吐出量は、前記制御装置(120)から出力されるデューティ比信号によって調整されることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項19】
前記車両の内気あるいは外気のいずれかを冷却用空気として選択する内外気選択手段(118a)を有し、
前記制御装置(120)は、前記内外気選択手段(118a)によって前記外気が選択されている場合を含めて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項20】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の回転数(N)に応じて、前記吐出量を決定するための制御信号を設定すると共に、
前記回転数(N)が高いほど、前記制御信号に対してより大きな制限を加えて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項21】
前記吐出量は、前記制御信号が増加するほど、増加するように関係付けられており、
前記制御装置(120)は、前記回転数(N)が高いほど、前記制御信号の増加をより大きく抑えるように制限を加えて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項20に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項22】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の回転数(N)に加えて、前記圧縮機(111)の吐出側となる高圧側圧力(Pd)と、前記圧縮機(111)の吸入側となる低圧側圧力(Ps)と、から前記制御信号を設定することを特徴とする請求項20または請求項21に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項23】
前記制御装置(120)は、前記冷凍サイクル(110)の低圧側冷媒圧力、前記冷凍サイクル(110)の低圧側配管温度、前記冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)の表面温度、および前記低圧側熱交換器(114)によって冷却される空気温度のいずれか1つから、前記低圧側圧力(Ps)を推定することを特徴とする請求項22に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項24】
前記制御装置(120)は、前記制御信号の増加を抑える際に、前記所定回転数(N1)以上の領域で、前記制御信号の増加量を一律ゼロとして制限を加えることを特徴とする請求項21〜請求項23のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項25】
前記制御装置(120)は、前記制御信号の増加を抑える際に、前記所定回転数(N1)以上の領域で複数の回転数領域を区画して、高回転側の回転数領域での前記回転数(N)に対する前記制御信号の増加割合が、低回転側の回転数領域での前記回転数(N)に対する前記制御信号の増加割合よりも小さくなるように制限を加えることを特徴とする請求項21〜請求項23のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項26】
前記制御信号は、電流信号、電圧信号、デューティ比信号のいずれか1つであることを特徴とする請求項20〜請求項25のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項27】
前記制御装置(120)は、前記冷凍サイクル(110)の低圧側熱交換器(114)表面のフロストを防止するフロスト防止制御を実行するようにしており、
前記フロスト防止制御の条件となった場合には、前記圧縮機(111)の吐出量低下の制御に優先して、前記フロスト防止制御を実行することを特徴とする請求項20〜請求項26のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項28】
前記制御装置(120)は、前記圧縮機(111)の作動トルクが所定トルク以下となるように、前記回転数(N)が高いほど前記制御信号に対してより大きな制限を加えて、前記圧縮機(111)の吐出量を低下させることを特徴とする請求項20〜請求項27のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項29】
前記制御装置(120)は、前記所定回転数(N1)より低い回転数領域で、前記吐出量を最大値にすることを特徴とする請求項20〜請求項28のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項30】
前記制御装置(120)は、前記所定回転数(N1)より低い回転数領域で、前記回転数(N)に応じて設定される前記制御信号に対して所定量を加えた増加制御信号を用いて、吐出量を決定することを特徴とする請求項20〜請求項28のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項31】
前記圧縮機(111)によって圧縮された前記冷媒の圧力が臨界圧力を超えて使用されることを特徴とする請求項1〜請求項30のいずれか1つに記載の車両用冷凍サイクル装置。
【請求項32】
前記冷媒は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項31に記載の車両用冷凍サイクル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−30740(P2008−30740A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157924(P2007−157924)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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