説明

車両用前照灯

【課題】 部品点数を削減することにより良好な組み付け性を達成できる車両用前照灯を提供する。
【解決手段】 車両用前照灯10は、上段光源ユニット20、中段光源ユニット40、下段光源ユニット60を備えている。上段光源ユニット20、中段光源ユニット40、下段光源ユニット60は、支持部材15を介して灯体であるランプボティ14に設けられており、各光源ユニット20,40,60からの光が重ね合わせられて車両前方にロービーム配光パターンが形成される。下段光源ユニット60は、二つのサブユニット70,80を備え、両サブユニット70,80は、一つのシリンドリカルレンズ65を共有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に係り、特に複数の光源から出射する光を重ね合わせて所定の配光パターンを形成する車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用前照灯(ヘッドランプ)としては、ハロゲンバルブや放電バルブを光源として用い、この光源から出射した光をリフレクタや投影レンズを用いて前方に照射することが一般的であった。ハロゲンバルブや放電バルブは、車両用として十分な光量を確保できる光源であるが、消費電力が大きいという問題がある。
【0003】
一方、発光ダイオードのような半導体発光素子を車両用前照灯用の光源として採用しようとする機運が高まってきている。発光ダイオードは、一般に小型で消費電力が小さいため、自動車のようなバッテリを搭載した車両に適用することにより、限られた電力の有効利用の実現が期待される。
【0004】
発光ダイオードは、高輝度化が進んできたとはいえ、未だハロゲンバルブや放電バルブと比べると、輝度が十分ではなく、単にハロゲンバルブや放電バルブを発光ダイオードで置き換えただけでは視認性を十分に確保できるような光量を前方に照射することができない。そのため、現時点では、それぞれ発光ダイオードを備えた複数の光源ユニットを車両に搭載し、これらの光源ユニットから出射される光を重ね合わせて所望の配光パターンを形成しようとする考えが一般的である。
【0005】
例えば、特許文献1は、3個のカットオフライン形成用ユニットと、5個のホットゾーン形成用ユニットと、3個の拡散領域形成用ユニットを組み合わせてロービーム用の合成配光パターンを形成する車両用前照灯を開示している。この車両用前照灯では、全てのユニットにおいて光源として半導体発光素子が用いられており、それぞれが形成する配光パターンを重ね合わせることにより、適切な光量を備えたロービーム用配光パターンを形成するように構成されている。
【0006】
また、特許文献2は、放電バルブを用いたプロジェクタ型光源ユニットを用いてメイン配光を形成し、半導体発光素子を用いた点消灯可能かつ左右にスイブル可能な付加光源ユニットを用いて補助配光をメイン配光上に重ね合わせて合成配光パターンを形成する車両用前照灯を開示している。この車両用前照灯では、例えば車両の旋回時に付加光源ユニットが点灯し、旋回方向に応じた方向に付加配光パターンを形成することにより、車両の側方視認性、特に旋回方向の視認性を向上させることができる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−95480号公報
【特許文献2】特開2005−141918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1のように、複数のユニットを組み合わせて合成配光パターンを得ようとすると、どうしてもユニットの数が増加してしまい、それに応じて部品点数が多くなってしまい組み付け性が悪くなってしまう。また、コスト的にも好ましくない。
【0009】
本発明は、上記を鑑みて為されたものであり、部品点数を削減することにより良好な組み付け性を達成できる車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の構成により達成される。
(1) 複数の光源ユニットと、
前記複数の光源ユニットを支持する灯体と、を備え、各光源ユニットからの光を重ね合わせて車両前方にロービーム配光パターンを形成する車両用前照灯であって、
前記複数の光源ユニットの一つは、
水平方向に延びる焦線を有し、前記焦線方向に略沿って伸びるレンズと、
前記レンズに光を入射する第1のサブユニットと、第2のサブユニットとを備え、
前記第1のサブユニットは、前記レンズの焦線近傍からレンズ方向に光を出射する第1の発光素子を有し、前記レンズを介して光を前方に照射する直射型サブユニットであり、
前記第2のサブユニットは、光を出射する第2の発光素子と、前記第2の発光素子からの光を前記レンズの焦線近傍に向けて反射するリフレクタと、を有し、前記レンズを介して光を前方に照射する反射型サブユニットであることを特徴とする車両用前照灯。
(2) 前記レンズを介して前記第2のサブユニットから前方に投影される配光パターンは、前記レンズを介して前記第1のサブユニットから前方に投影される配光パターンよりも鉛直方向の拡散が大きいことを特徴とする(1)に記載の車両用前照灯。
(3) 前記前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子は、同一基板上に配置されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の車両用前照灯。
(4) 前記第1の発光素子は、前記レンズの前記焦線近傍であって、前記焦線よりも上方に配置されることを特徴とする(1)〜(3)の何れか一項に記載の車両用前照灯。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、複数の光源ユニットのうちの一つは、水平方向に延びる焦線を有するレンズと、レンズに光を入射する第1のサブユニットと、第2サブユニットとを備えている。第1のサブユニットは、レンズの焦線近傍からレンズ方向に光を出射する第1の発光素子を有し、レンズを介して光を前方に照射する直射型サブユニットである。そして、第2のサブユニットは、光を出射する第2の発光素子と、第2の発光素子からの光をレンズの焦線近傍に向けて反射するリフレクタと、を有し、レンズを介して光を前方に照射する反射型サブユニットである。
【0012】
すなわち、本発明によれば、第1のサブユニットと第2のサブユニットとが一つのレンズを共有しているため、それぞれに別のレンズを設ける場合に比べて部品点数を削減することができるとともに、レンズホルダー、その他取付部材等の取付スペースも共通化できる。したがって、第1のサブユニットと第2のサブユニットを近接配置することが可能となる。したがって、光源ユニット全体が占めるスペースを減らし、光源ユニットを小型化することができる。
【0013】
なお、本発明において、「水平方向に延びる焦線を有するレンズ」とは、例えばシリンドリカルレンズ、トロイダルレンズ等が挙げられる。ここで、トロイダルレンズとは、略ドーナツ表面形状に類似した形状を有するレンズであって、略円弧状の焦線を有し、この焦線に垂直な断面の輪郭線と焦線に平行な断面の輪郭線の曲率が異なるレンズである。シリンドリカルレンズは、このトロイダルレンズにおいて、この焦線に平行な断面の輪郭線の曲率を無限大、すなわち直線にしたものであって、かまぼこ型の形状を有するレンズである。
【0014】
また、本実施形態では、レンズを介して第2のサブユニットから前方に投影される配光領域は、レンズを介して第1のサブユニットから前方に投影される配光領域よりも鉛直方向の拡散が大きい。これは、主として直射型と反射型の違いによるものであり、一つのレンズを用いた場合でも、様々な配光パターンを実現することができる。
【0015】
また、本実施形態では、二つの発光素子は、同一の基板上に配置されている。したがって、組み付け時には、一つの基板に二つの発光素子を位置決めし他の部材と組み合わせればよいので、組み付け性を高めることができるとともに、二つの発光部の位置精度を一つの基板を基準として高めることも可能である。
【0016】
また、第1のサブユニットの第1の発光素子は、レンズの焦線近傍であって、焦線よりも上方に配置される。したがって、レンズを介して前方に投影された光は、カットオフラインを備えることができ、例えば明確な明暗境界が必要とされるH線近傍の水平ラインの一部を構成する拡散領域を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明にかかる車両用前照灯の実施形態を図面参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用前照灯を示す正面図である。図2は、車両用前照灯のII−II線に沿った断面図である。図3は、上段光源ユニットに設けられる第1サブユニットの鉛直断面図である。図4は、中段光源ユニットに設けられる第3サブユニットの鉛直断面図である。図5は、第3サブユニットの水平断面図である。図6は、下段光源ユニットの斜視図である。図7は、下段光源ユニットの第5サブユニットを示す鉛直断面図である。図8は、下段光源ユニットの第6サブユニットを示す鉛直断面図である。図9は、下段光源ユニットの上面図である。
【0019】
本実施形態の車両用前照灯10は、例えば車両の前端部分に取り付けられ、ロービーム及びハイビームを選択的に切り替えて点消灯可能な前照灯である。図1では、例として、自動車等の車両の右前方に取り付けられる前照灯ユニット(ヘッドランプユニット)が車両用前照灯10として示されている。
【0020】
この車両用前照灯10は、図1及び図2に示すように、光透過性の透光カバー12と、ランプボディ(灯体)14とを備えている。そして、透光カバー12とランプボディ14とで囲まれる灯室10a内に3つの光源ユニット(上段光源ユニット20,中段光源ユニット40,下部光源ユニット60)が支持部材15上に固定配置されている。また、3つの光源ユニット20,40,60と透光カバー12との間には、灯具前方から見たときの隙間を覆うようにエクステンション16が配置されている。
【0021】
支持部材15は、高さの異なる3つの設置部15a,15b,15cを備え、それぞれに上段光源ユニット20,中段光源ユニット40,下段光源ユニット60が順に固定配置されている。この支持部材15は、略車両幅方向に平行な傾動軸17aを介して傾動可能な支持機構17と、アクチュエータであるレベリング用モータ18の駆動軸18aに接続された動力伝達軸18bを介してランプボディ14に固定されている。支持機構17、レベリング用モータ18及び動力伝達軸18bは、ランプボディ14に対する支持部材15の取付角度をレベリング用モータ18の出力に応じて調整するレベリング機構を構成している。本実施形態では、レベリング機構を介して支持部材15の取付角度を調整することにより、各光源ユニット20,40,60の光軸調整を行うことができる。
【0022】
次に各光源ユニット20,40,60について説明する。
本実施形態では、各光源ユニット20,40,60は、それぞれ配光パターン形成時の役割がそれぞれ異なる光源ユニットであり、各光源ユニット20,40,60を選択的に点消灯することによって、様々な配光パターンを実現するように構成されている。
【0023】
以下では、まず上段光源ユニット20について説明する。
上段光源ユニット20は、ハイビーム用の配光を形成する光源ユニットであり、図1に示すように、それぞれ同一構成の一対の第1及び第2サブユニット20A,20Bを備えている。これらの第1及び第2サブユニット20A,20Bは、支持部材15の最上段の設置部15aに幅方向に並んで設置されている。なお、これらの第1及び第2サブユニット20A,20Bは、一対に形成されていてもよいし、別体で形成されていてもよい。
【0024】
図3に示すように、第1サブユニット20A(第2サブユニット20Bも同様)は、断面視略L字型形状を有する金属製のベース部材21と、光源としてのLED(半導体発光素子)22と、投影レンズ24とを備えている。
【0025】
ベース部材21は、その車両前後方向に延びる基体部21aが支持部材15の設置部15a上に配置され、設置部15aに立設した立設部21bの車両前方側にLED22が固定配置されている。
【0026】
LED22は、1mm四方程度の大きさの発光部(発光チップ)22aを有する白色発光ダイオードであって、光を出射する発光部22aが車両正面側に向けられた状態で配置されている。
【0027】
投影レンズ24は、LED22の発光部22aから出射した光を車両前方に投影する凸レンズ型の非球面レンズであって、基体部21aの車両前方側先端部21c近傍にてベース部材21に固定されている。本実施形態では、投影レンズ24の焦点P24は、LED22の発光部22aと略一致するように構成されている。したがって、投影レンズ24には、LED22の発光部22aから出射した光が直接入射し、入射した光が略平行な光として光軸Ax1に沿って前方に投影される。すなわち、本実施形態の光源ユニット20の第1及び第2サブユニット20A,20Bは、それぞれ直射型のプロジェクタ型光源ユニットを構成している。
【0028】
次に、中段光源ユニット40について説明する。
中段光源ユニット40は、ロービーム用の配光の一部を形成する光源ユニットであり、図1に示すように、それぞれ同一構成の一対の第3及び第4サブユニット40A,40Bを備えている。これらの第3及び第4サブユニット40A,40Bは、支持部材15の中段の設置部15bに幅方向に並んで設置されている。なお、本実施形態では、これらの第3及び第4サブユニット40A,40Bは、それぞれ別体で形成されている。
【0029】
図4に示すように、第3サブユニット40A(第4サブユニット40Bも同様)は、例えば、略L字型形状のベース部材41と、光源としてのLED(半導体発光素子)42と、投影レンズ44と、リフレクタ46とを備えている。
【0030】
ベース部材41は、その車両前後方向に延びる基体部41aを備えており、この基体部41aに立設部41bが立設し、さらにこの立設部41bから車両後方側に折れ曲がってLED42とリフレクタ46とを載置固定する光学載置部41cが延設されている。
【0031】
LED42は、LED22と同様に白色ダイオードであって、その発光部42aが略鉛直上方に向けられた状態で載置部41cの載置面41e上に載置されている。なお、発光部42aは、その発光部形状や前方に照射される配光に応じて多少角度をつけて配置されるように構成してもよい。
【0032】
リフレクタ46は、鉛直断面形状が略楕円形状であり、水平断面形状が楕円をベースとした自由曲面形状を有する反射面46aが内側に形成された反射部材である。リフレクタ46は、その第1焦点P441がLED42の発光部42a近傍となり、そしてその第2焦点P442が載置部41cの載置面41eと立設部21bの前面41fとが為す稜線41g近傍に位置するように設計配置されている。
【0033】
LED22の発光部22aから出射した光は、リフレクタ46の反射面46a上にて反射され、第2焦点P442近傍を通って投影レンズ44に入射する。また、第3及び第4サブユニット40A,40Bでは、載置部41cの載置面41eと立設部21bの前面41fとが為す稜線41gを境界線として、一部光が載置面41e上にて反射することにより、光を選択的にカットして車両前方に投影される配光パターンに斜めカットオフラインを形成するように構成されている。すなわち、稜線41gは第3及び第4サブユニット40a,40bの明暗境界線を構成している。なお、リフレクタ46の反射面46a上にて反射されさらに載置面41eにて反射された光の一部も、前方に有効光として照射されることが好ましい。したがって、本実施形態では、載置面41eの車両前方側は、投影レンズ44とリフレクタ46との位置関係を考慮した適宜反射角度が設定された光学的形状を有している。
【0034】
投影レンズ44は、リフレクタ46の反射面46aにて反射した光を車両前方に投影する凸レンズ型の非球面レンズであって、基体部41aの車両前方側先端部41c近傍にてベース部材41に固定されている。本実施形態では、投影レンズ44の焦点は、リフレクタ46の第2焦点P442と略一致するように構成されている。したがって、リフレクタ46にて反射して投影レンズ44に入射した光は、略平行な光として前方に投影される。すなわち、本実施形態の光源ユニット40の第3及び第4サブユニット40A,40Bは、それぞれ集光カット形成用の反射型のプロジェクタ型光源ユニットを構成している。
【0035】
また、本実施形態では、第3及び第4サブユニット40A,40Bは、回動シャフト50a,50bを介して支持部15d及び設置部15bにそれぞれ回動可能に固定されている。詳しくは後述するが、回動シャフト50bの一方は、アクチュエータ19と接続されており、第3及び第4サブユニット40A,40Bは、アクチュエータ19の駆動力によってそれぞれ回動シャフト50a,50bを軸としてそれぞれ独立に左右にスイブルして光軸方向可変である。すなわち、第3及び第4サブユニット40A,40Bは、それぞれ他の光源ユニットとは独立して光軸方向を変化させることが可能な光軸可変光源ユニットを構成している。
【0036】
具体的には、第3及び第4サブユニット40A,40Bは、図5(a)に示すように正面(0°方向を向いた状態)から、図5(b)に示すように水平方向の照射位置を変化させるように光軸Ax2を変化させることができる。これにより、集光領域の位置が車両前方中央と車両前方側方との間で変化させることができる。よって、例えば、車両の旋回時等に旋回方向側に応じて水平方向に回動シャフト50a,50bを軸として回動することにより、光軸Ax2の向きが変化し、車両前方側方に光が照射される。これにより車両の進行方向の視認性を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、投影レンズ44と稜線41gとの間、すなわち投影レンズ44とリフレクタ46との間の領域の側方の少なくとも一方側(図では、左側)には拡散部材55が設けられている。本実施形態では、この拡散部材55は、光源から出射し、リフレクタ46にて反射した光を側方にさらに拡散させるものである。この拡散部材55は、一方側のみに配置されていてもよいし、両側方に配置されていてもよい。一方側のみに配置される場合には、車両用前照灯10が車両前方に配置された側、すなわち車両右側に配置されたならば右側、車両左側に配置されたならば左側に拡散部材が設けられることが好ましい。
【0038】
本実施形態の拡散部材55は、車両前後方向、すなわち光の伝搬方向に沿った肉厚が光軸Ax2から離れるにつれ厚くなるプリズム拡散レンズである。この拡散部材55には、図5(a)に示すように、第3及び第4サブユニット40A,40Bが正面(0°方向を向いた状態)では、光が入射しないような位置に図示せぬ固定部材を介してランプボディ14または支持部材15に固定されている。一方、図5(b)に示すように水平方向の照射位置を変化させるように光軸Ax2を変化させたときには、光の一部が拡散部材15に入射し、光が側方に拡散される。これにより、側方へ照射される光量を増加させ、側方視認性をさらに向上させることが可能となる。
【0039】
次に下段光源ユニット60について説明する。
下段光源ユニット60は、ロービーム用の配光の一部を形成する光源ユニットであり、図1に示すように、それぞれ異なる構成の2つの第5及び第6サブユニット70,80と、一つのシリンドリカルレンズ65とを備えている。これらの第5及び第6サブユニット70,80は、支持部材15の最下段の設置部15cに幅方向に並んで設置されている。
【0040】
図6に示すように、第5及び第6サブユニット70,80は、ベース部材90を共通の基体として有している。第5サブユニット70は、ベース部材90上にLED72を配置することで構成されており、また第6サブユニット80は、ベース部材90上にLED82及びリフレクタ86を備えて構成されている。また、第5及び第6サブユニット70,80の車両前後方向前方側には、一つのシリンドリカルレンズ65が配置されている。本実施形態では、このシリンドリカルレンズ65は、両サブユニット70,80に共有される投影用のレンズとして構成されている。
【0041】
ベース部材90は、図7に示すように、その車両前後方向に延びる基体部90aが支持部材15の設置部15c上に配置され、基体部90aから立設部90bが立設している。立設部90bの上方の一部は切り取られて段差部90hが形成されており、この段差部90hの車両前方側にLED72が載置されている。本実施形態では、このLED72によって第5サブユニット70が構成されている。
【0042】
LED72は、LED22と同様に白色ダイオードであって、その発光部72aが車両前後方向前方側に向けられた状態で段差部90h上に固定配置されている。なお、発光部72aは、その発光部形状や前方に照射される配光に応じて多少角度をつけて配置されるように構成してもよい。
【0043】
シリンドリカルレンズ65は、LED72の発光部72aから出射した光を車両前方に投影する略円筒形状を有するレンズであって、基体部90aの車両前方側先端部90c近傍にてベース部材90に固定されている。シリンドリカルレンズ65は、一本の焦線L65を有し、図7に示すようこの焦線L65がLED22の発光部22aの下端近傍となるように構成されている。したがって、投影レンズ24には、LED22の発光部22aから出射した光が直接入射し、入射した光を略平行な光として光軸Ax1に沿って前方に焦線L65に対応してカットオフラインを備えた配光パターンを投影する。すなわち、本実施形態の第5サブユニット70は、直射型のプロジェクタ型光源ユニットを構成している。
【0044】
ベース部材90の車両幅方向一方側では、立設部90bの一部が車両後方側に折れ曲がり、LED82とリフレクタ86とを載置固定する載置部90cが延設されており、これにより第6サブユニット80が第5サブユニット70に隣接して一体形成されている。
【0045】
LED82は、LED22と同様に白色ダイオードであって、その発光部82aが略鉛直上方に向けられた状態で載置部90cの載置面90e上に載置されている。なお、発光部82aは、その発光部形状や前方に照射される配光に応じて多少角度をつけて配置されるように構成してもよい。
【0046】
リフレクタ86は、鉛直断面形状が略楕円形状を有し、水平断面形状が楕円を基準とした自由曲面である反射面86aが内側に形成された反射部材である。リフレクタ86は、その第1焦点P861がLED82の発光部82a近傍となり、そしてその第2焦点が載置部90cの載置面90eと立設部90bの前面90fとが為す稜線90g近傍に位置するように設計配置されている。本実施形態では、この載置部90cの載置面90eと立設部90bの前面90fとが為す稜線90g近傍にシリンドリカルレンズ65の焦線L65が配置されるようにシリンドリカルレンズ65との間の位置関係が設定されている。
【0047】
したがって、LED22の発光部22aから出射した光は、リフレクタ86の反射面86a上にて反射され、焦線L65近傍を通ってシリンドリカルレンズ65に入射する。シリンドリカルレンズ65に入射した光は、鉛直方向では略平行な光として光軸Ax4に沿って前方に投影される。
【0048】
また、第6サブユニット80では、載置部90cの載置面90eと立設部90bの前面90fとが為す稜線90gを境界線として、一部光が載置面90e上にて反射することにより、光を選択的にカットして車両前方に投影される配光パターンにカットオフラインを形成するように構成されている。なお、リフレクタ86の反射面86a上にて反射されさらに載置面90eにて反射された光の一部も、前方に有効光として照射されることが好ましい。したがって、本実施形態では、載置面90eの車両前方側は、シリンドリカルレンズ65とリフレクタ86との位置関係を考慮して適宜反射角度が設定された光学的形状を有している。
【0049】
一方、図9に示すように、車両幅方向についてはリフレクタ86の反射面86aにて反射した光は、特に進行方向が変化しないまま拡散した状態でシリンドリカルレンズ65に入射する。したがって、車両幅方向については、第6サブユニット80から出射する光は拡散光となる。このように、本実施形態の第6サブユニット80は、反射型のプロジェクタ型光源ユニットを構成している。
【0050】
このように、本実施形態の下段光源ユニット60では、第5サブユニット70と第6サブユニット80が同一のシリンドリカルレンズ65を共有している。したがって、それぞれにレンズを設ける場合に比べて部品点数を削減することができるとともに、レンズホルダー、その他取付部材等の取付スペースも共通化できるため、第5サブユニット70と第6サブユニット80とを近接配置することが可能となる。したがって、下段光源ユニット60全体が占めるスペースを減らし、下段光源ユニット60を小型化することができる。
【0051】
次に、図10及び図11を参照しながら、本実施形態の車両用前照灯10によって形成される基本的な配光パターンについて説明する。本実施形態の車両用前照灯10は、上述したように、基本的な配光パターンとしてロービーム用の配光パターンLPとハイビーム用の配光パターンHPとを形成可能である。
【0052】
図10は、本実施形態の車両用前照灯10によって形成されたロービーム用の配光パターンLPを示す図である。
【0053】
ロービーム用配光パターンLPは、中段光源ユニット40及び下段光源ユニット60を点灯させることによって形成される。
【0054】
具体的には、中段光源ユニット40の第3,第4サブユニット40a,40bが点灯することにより、車両正面前方のH−V線の交点近傍の狭い第1領域D1に光が照射される。この第1領域D1は、第3,第4サブユニット40a,40bに形成された稜線41gに対応して形成された略Z形状のカットオフラインCL1を備えている。またカットオフラインCL1の下方の領域は、第1領域D1の中でも光量の高いホットゾーンHzとして設定されている。
【0055】
また、下段光源ユニット60の第5,第6サブユニット70,80が点灯することにより、それぞれ第1領域D1の下方に車両幅方向(H線方向)に延びる第2領域D2及び第3領域D3がそれぞれ形成される。
【0056】
第5サブユニット70によって形成される第2領域D2は、第1領域D1と一部重複するように第1領域D1の下近傍に形成される。この第2領域D2の上端には、第5サブユニット70が形成するカットオフラインCL2が形成されている。本実施形態では、このカットオフラインCL2は、第1領域D1のカットオフラインCL1と連続するように前方に投影されるように設定されている。
【0057】
また、第6サブユニット80によって形成される第3領域D3は、第2領域D2と一部重複するように第2領域D2の下方に形成される。第6サブユニット80は、反射型プロジェクタ光源ユニットであるため、リフレクタ86の形状を調整することにより、直射型プロジェクタ光源ユニットである第5サブユニット70よりも鉛直方向に広い方向に光を照射しやすい。したがって、本実施形態では、第6サブユニット80により近距離視認性を向上させる近距離拡散領域としての第3領域D3を形成し、第5サブユニット70により遠距離視認性を向上させる遠距離拡散領域としての第2領域D2を形成するように構成している。
【0058】
このように、本実施形態では、中段光源ユニット40及び下段光源ユニット60が形成する第1領域D1、第2領域D2及び第3領域D3を組み合わせてロービーム用の配光パターンLPを形成している。
【0059】
図11は、本実施形態の車両用前照灯10によって形成されたハイビーム用の配光パターンHPを示す図である。
【0060】
ハイビーム用配光パターンHPは、中段光源ユニット40及び下段光源ユニット60を点灯させるとともに、上段光源ユニット20を点灯させることによって形成される。
【0061】
具体的には、上段光源ユニット20を点灯することにより、中段光源ユニット40及び下段光源ユニット60により形成される第1領域D1、第2領域D2及び第3領域D3上に第4領域D4を重ねて照射するように構成されている。第4領域D4は、H―V線の交点近傍を中心として上下左右に拡がる配光パターンである。ハイビーム用配光パターンHPでは、第4領域D4を形成することにより全体の光量をアップさせ、遠方視認性を向上させている。
【0062】
さらに、本実施形態では、ハイビーム用配光パターンHP形成時には、中段光源ユニット40の中段サブ光源ユニット40a,40bを回動させて、光軸Ax2をそれぞれ若干(0.5〜5°)右方向にずらすことにより、ホットゾーンHzを水平方向0°近傍に配置させることにより、さらに遠方視認性を向上させるように構成されている。
【0063】
次に、図12及び図13を参照しながら、本実施形態における中段光源ユニット40の第3,第4サブユニット40a,40bの回動と、配光パターンの関係について説明する。
【0064】
図12は、第3サブユニット40aと配光パターンの関係を示す模式的断面図である。具体的に、図12(a)は第3サブユニット40a(第4サブユニット40bの場合も同様)において拡散部材55を配置しない構成の場合に15°左方向に回動させた場合の模式的水平断面図であって、図12(b)はその配光パターンを示す模式図である。また、図12(c)は第3サブユニット40aにおいて拡散部材55を配置した構成の場合に15°左方向に回動させた場合の模式的水平断面図であって、図12(d)はその配光パターンを示す模式図である。図12では、拡散部材55として、プリズム拡散レンズを用いている。
【0065】
図12(a)と図12(c)との比較からわかるように、拡散部材55が配置されていると、第3サブユニット40aが回動した状態では、光の一部が投影レンズ44に入射する直前で拡散部材55に入射し光の進行方向が回動側に曲げられる。したがって、投影レンズ44から出射される光は、拡散部材55を配置したほうがより側方に拡散する。
【0066】
具体的な配光パターンを比較すると、図12(b)に示す配光パターンD11では、カットオフラインの立ち上がり位置が回動角度と同じく15°傾いているのに対し、図12(d)に示す配光パターンD12では、カットオフラインの立ち上がり位置が回動角度よりも5°大きい20°傾いている。これは、拡散部材55により光が側方に拡散したためである。結果として、配光パターン全体が車両幅方向に拡散して延びていることがわかる。
【0067】
図13は、第3サブユニット40aと配光パターンの関係を示す別の模式的断面図である。
具体的に、図13(a)は第3サブユニット40aにおいて拡散部材55を配置しない構成の場合に20°左方向に回動させた場合の模式的水平断面図であって、図13(b)はその配光パターンを示す模式図である。また、図13(c)は第3サブユニット40aにおいて拡散部材55を配置した構成の場合に20°左方向に回動させた場合の模式的水平断面図であって、図13(d)はその配光パターンを示す模式図である。図13では、拡散部材55として、リフレクタ側に複数のシリンドリカルステップ55aが形成されたステップ拡散レンズを用いている。
【0068】
図13(a)と図13(c)との比較からわかるように、拡散部材55が配置されていると、第3サブユニット40aが回動した状態では、光の一部が投影レンズ44に入射する直前で拡散部材55に入射し光の進行方向が回動側に曲げられる。したがって、投影レンズ44から出射される光は、拡散部材55を配置したほうがより側方に拡散する。また、ステップ拡散レンズを拡散部材55として用いた場合には、一部の光は回動側と逆方向にも曲げられ、結果として左右双方に光が拡散する。
【0069】
具体的な配光パターンを比較すると、図13(b)に示す配光パターンD13では、カットオフラインの立ち上がり位置が回動角度と同じく20°傾いているのに対し、図13(d)に示す配光パターンD14では、カットオフラインの立ち上がり位置が回動角度よりも5°小さい15°傾いている。また、図13(d)に示すように、配光パターンD14は、左側35°程度にまで大きく領域が延びている。これは、拡散部材55により光が左右双方に拡散したためである。結果として、配光パターン全体が車両幅方向に拡散して延びていることがわかる。
【0070】
このように、拡散部材55を配置すると光が拡散するので、回動角度以上に配光パターンを側方にずらすことが可能となる。したがって、拡散部材55は、第3,第4サブユニット40a,40bの回動量に制限のあるような配置であっても、回動角以上に光を側方に拡散照射することができる。逆に、配光パターンのずらし量に比べて回動量を小さくすることができるので、回動用のスペースを小さくし、光源ユニット全体をコンパクト化することができる。また、回動量が小さいので、第3,第4サブユニット40a,40bを駆動するアクチュエータを小型化することもできる。
【0071】
なお、上記説明では、拡散部材55を反射型の第3,第4サブユニット40a,40bに取り付ける構成を示したが、これに限られず、図14に示すように第3,第4サブユニット40a,40bをそれぞれ直射型の光源ユニット40cにそれぞれ置き換えて中段光源ユニット40を構成してもよい。
【0072】
図14は、直射型の光源ユニットに拡散部材を設けた場合の回動と配光パターンとの関係を示す図であって、(a),(b)はそれぞれ回動角0°の場合の光源ユニットと配光パターンを示す図であり、(c),(d)はそれぞれ回動角10°の場合の光源ユニットと配光パターンを示す図であり、(e),(f)はそれぞれ回動角20°の場合の光源ユニットと配光パターンを示す図であり、(g),(h)はそれぞれ回動角30°の場合の光源ユニットと配光パターンを示す図である。
【0073】
直射型の光源ユニット40cは、図7に示す第5サブユニット70と同様の構成を有するものであって、投影レンズ44cの焦点近傍にLEDの発光部42cが配置された構成である。この構成であっても、図14(c),(d)に示すようにユニット全体を10°傾けると、配光パターン全体が左10°側方にずれるとともに配光パターンの車両幅方向(水平方向)長さが伸びる。この傾向は、図14(e),(f)に示すようにユニット全体を20°傾けた場合にはさらに大きくなり、そして図14(g),(h)に示すように30°程度となり、拡散部材55が光軸Aを横切る程度まで延びてくると、左側のみならず、右側にも配光パターンが延びてくることがわかる。
【0074】
このように、直射型光源ユニットにおいても、拡散部材55を配置すると光が拡散するので、回動角度以上に配光パターンを側方にずらすことが可能となる。したがって、拡散部材55は、光源ユニットの回動量に制限のあるような配置であっても、回動角以上に光を側方に拡散照射することができる。逆に、配光パターンのずらし量に比べて回動量を小さくすることができるので、回動用のスペースを小さくし、光源ユニット全体をコンパクト化することができる。また、回動量が小さいので、光源ユニットを駆動するアクチュエータを小型化することもできる。
【0075】
次に、図15を参照しながら、本実施形態の車両用前照灯10の点消灯について詳細に説明する。
【0076】
図15は、本実施形態の車両用前照灯10とその点消灯に関連した制御を示す制御ブロック図である。本実施形態の車両用前照灯10の点消灯制御は、点消灯コントローラ100と、この点消灯コントローラ100に各種信号を出力する舵角センサ110,車速センサ120、ハイロー切替スイッチ130、明暗センサ140、雨センサ150及び車高センサ160とによって行われる。これらは、全て車両用前照灯10が搭載された車両に同じく搭載されている。
【0077】
点消灯コントローラ100は、上述した各種センサ及びスイッチからの出力を基に、車両用前照灯10の各光源ユニット20,40,60のそれぞれの点消灯、増光及び減光を制御するとともに、中段光源ユニット40については、第3及び第4サブユニット40a,40bのそれぞれの回動角を制御し、またレベリング用モータ18を制御することによりレベリング調整を行う制御中枢部である。点消灯コントローラ100は、各センサ及びスイッチからの信号を基に、走行状況に適応した配光を自動的に作り出すように構成されている。すなわち、本実施形態では、車両用前照灯10を用いて、AFS(Adaptive Front lighting System:可変前方配光システム)を実現するものである。
【0078】
次に、センサ及びスイッチ類から説明する。
舵角センサ110は、車両の旋回角度を検出するセンサであり、例えばステアリング操作を検出するステアリングセンサ等を用いることができる。舵角センサ110の検出信号により、車両が直進しているのかどうかを判別することができる。
【0079】
車速センサ120は、車両の速度を検出するセンサである。この車速センサ120の検出信号により、車両の速度を判断し、車両が一般道路を走行しているのか、また自動車専用道等の高速道路を走行しているのかを判別することができる。
【0080】
ハイロー切替スイッチ130は、ハイビームとロービームを切り替えるスイッチであって、車両を運転するドライバーの操作に応じて切り替えられる。
【0081】
明暗センサ140は、車両の周囲の明るさを検出するセンサである。例えば、この明暗センサを用いることにより、車両が暗い田舎道等を走行しているのか、また相対的に明るい市街地を走行しているのか等を判別することができる。
【0082】
雨センサ150は、雨が降っているかどうかを検出するセンサである。このセンサの検出信号により、車両が雨天走行を行っているかどうかを判別することができる。
【0083】
車高センサ160は、車両のピッチ角検出手段の一部を構成するものである。本実施形態では、車高センサ160が出力する出力信号を基に、点消灯コントローラ100がレベリング用モータ18を制御しオートレベリングを行う。
【0084】
本実施形態の点消灯コントローラ100は、これらのセンサからの出力を基に、ハイビーム用の配光を形成する上段光源ユニット20(第1サブユニット20a及び第2サブユニット20b)と、ロービーム用の集光カットを形成する中段光源ユニット40(第3サブユニット40a,40b)と、遠距離拡散光を形成する下段光源ユニット60の第5サブユニット70と、近距離拡散光を形成する下段光源ユニット60の第6サブユニット80と、をそれぞれ独立に点消灯制御して、状況に応じた配光を形成する。
【0085】
図16は、点消灯コントローラ100による点消灯制御のパターンを示す表である。
【0086】
まず、点消灯コントローラ100は、ハイロー切替スイッチ130がローに選択されている場合には、上段光源ユニット20を非点灯とし、その他の光源ユニット40,70,80を点灯することにより、図10に示すロービーム配光パターンを形成する。
【0087】
また、点消灯コントローラ100は、ハイロー切替スイッチ130がハイに選択されている場合には、さらに上段光源ユニット20を点灯することにより、ロービーム配光パターン上に上段光源ユニット20が形成する配光パターンを重ね合わせることでハイビーム配光を形成する。このときには、さらに中段光源ユニット40の第3サブユニット40aと第4サブユニット40bを右方向に回動させ、図11に示すように中段光源ユニット40により形成される第1領域D1をH−V線の交点付近にずらすようにしてもよい。また、このとき、さらに点消灯コントローラ100は、中段光源ユニット40への供給電力を上昇させ、各サブユニット40a,40bの発光部42aの発光量を増やし、前方の光量を増光させるようにしてもよい。
【0088】
次に、図17,18を参照しながら、ロービーム配光において実現される可変前方配光システム(AFS)における各種モードについて説明する。
図17及び図18は、それぞれAFSにおける配光パターンの実現例を示す模式図である。
【0089】
まず、カーブモードについて説明する。
点消灯コントローラ100が、ロービーム点灯中において舵角センサ110及び車速センサ120からの信号に基づき、たとえば車両が所定の速度で舵角が所定以上となっている場合には車両がカーブに差しかかっていると判断する。この場合には、点消灯コントローラ100は、カーブモードに基づく配光パターンを実現する。
【0090】
具体的に、カーブモードでは、点消灯コントローラ100は、基本となるロービーム配光と同様に、上段光源ユニット20は非点灯のままとし、その他の光源ユニット40,70,80を点灯する。このとき、点消灯コントローラ100は、中段光源ユニット40の第3及び第4サブユニット40a,40bをそれぞれ左右逆方向に約20°回動させる。これにより、図17(a)に示すように、中央に照射されていた第1領域D1が二つにわかれてそれぞれ左右方向に照射される。これにより、カーブ時の左右の視認性が向上する。なお、カーブモードにおいては、第3及び第4サブユニット40a,40bを同一方向に回動させるように構成してもよいし、舵角センサ110及び車速センサ120からの信号に応じて第3及び第4サブユニット40a,40bの回動角を変化させるように構成してもよい。
【0091】
次に、タウンモードについて説明する。
点消灯コントローラ100が、ロービーム点灯中において車速センサ120及び明暗センサ140からの信号に基づき、たとえば、所定の明るさの領域を所定の速度以下で走行している場合には車両が市街地を走行していると判断する。この場合には、点消灯コントローラ100は、タウンモードに基づく配光パターンを実現する。ここで、タウンモードとは、歩行者が歩道等を歩いている可能性の高い市街地での走行に適した配光パターンを意味する。
【0092】
具体的に、タウンモードでは、点消灯コントローラ100は、基本となるロービーム配光と同様に、上段光源ユニット20は非点灯のままとし、その他の光源ユニット40,70,80を点灯する。このとき、点消灯コントローラ100は、中段光源ユニット40の第3及び第4サブユニット40a,40bをそれぞれ左右逆方向に約45°回動させ固定する。これにより、図17(b)に示すように、中央に照射されていた第1領域D1が二つにわかれてそれぞれ左右側方に照射される。これにより、路肩等に光が積極的に照射され、例えば路肩を歩行している歩行者の視認性が向上する。
【0093】
また、タウンモードでは、別の配光パターンの作り方としては、図17(c)に示すように、例えば左側のみに20°超、中段光源ユニット40の第3及び第4サブユニット40a,40bをそれぞれ回動させ、拡散部材55により光を路肩側に拡散させるようにしてもよい。この場合でも、路肩等に光が積極的に照射され、例えば路肩を歩行している歩行者の視認性が向上する。
【0094】
次に、モータウェイモードについて説明する。
点消灯コントローラ100が、ロービーム点灯中において車速センサ120からの信号に基づき、たとえば車両が所定の速度以上で走行している場合には自動車専用道を走行していると判断する。この場合には、点消灯コントローラ100は、モータウェイモードに基づく配光パターンを実現する。ここで、モータウェイモードとは、歩行者がいない自動車専用道での走行に適した配光パターンを意味する。
【0095】
具体的に、モータウェイモードでは、点消灯コントローラ100は、基本となるロービーム配光と同様に、上段光源ユニット20は非点灯のままとし、その他の光源ユニット40,70,80を点灯する。このとき、点消灯コントローラ100はレベリング用モータ18を動作させ、たとえば支持部材15ごとすべての光源ユニット20,40,60を上向きに角度変位(例として0.34°、0.1°〜0.5°程度の範囲)させる(図17(d)参照)。これにより、H線付近の光が強まり、遠方視認性が向上する。
【0096】
また、モータウェイモードでは、さらに点消灯コントローラ100は、中段光源ユニット40及び遠距離拡散用の第5サブユニット70への供給電力を上昇させ、各ユニット40,70からの発光量を増やし、前方の光量を増光させるようにしてもよい。このときには、さらに近距離拡散用の第6サブユニット80への供給電力を低下させ、第6サブユニットからの発光量を低下させることが好ましい。これにより、車両手前側に照射される光量が低下し、H線近傍に照射される光が相対的に強調されさらに遠距離視認性が向上する。
【0097】
次に、レインモードについて説明する。
点消灯コントローラ100がロービーム点灯中において、たとえば車速センサ120及び雨センサ150からの信号に基づき、たとえば所定の速度で走行中に雨が降ってきたと判断した場合には、点消灯コントローラ100は、レインモードに基づく配光パターンを実現する。ここで、レインモードとは、雨天時における視認性向上を目的とした配光パターンを意味する。
【0098】
具体的に、レインモードでは、点消灯コントローラ100は、基本となるロービーム配光と同様に、上段光源ユニット20は非点灯のままとし、その他の光源ユニット40,70,80を点灯する。このとき、点消灯コントローラ100は、レベリング用モータ18を動作させ、たとえば支持部材15ごとすべての光源ユニット20,40,60を上向きに角度変位(例として0.34°、0.1°〜0.5°程度の範囲)させる。これにより、H線付近の光が強まり、遠方視認性が向上する。
【0099】
また、レインモードでは、さらに点消灯コントローラ100は、中段光源ユニット40及び遠距離拡散用の第5サブユニット70への供給電力を上昇させ、各ユニット40,70からの発光量を増やし、前方の光量を増光させるようにしてもよい。このときには、さらに近距離拡散用の第6サブユニット80への供給電力を低下させ、第6サブユニットからの発光量を低下させることが好ましい。これにより、車両手前側に照射される光量が低下し、H線近傍に照射される光が相対的に強調され、さらに遠距離視認性が向上する。また、雨天時には、車両手前側に照射された光が路面上で乱反射し視認性を悪化させる場合があるが、このように光量を低下させることにより、乱反射する光を抑制することができる。また、オプションとして、図18(a)に示すように、第6サブユニット80を非点灯として第3領域D3を形成しないようにし、より積極的に乱反射を抑制するように構成してもよい。
【0100】
また、レインモードでは、さらに点消灯コントローラ100は、第3サブユニット40aと第4サブユニット40bのうち車両進行方向右側に位置する光源ユニットへの電力供給を増加させて光量を増加させるとともに左方向に8〜15°回動させ、そして第3サブユニット40aと第4サブユニット40bのうち車両進行方向左側に位置する光源ユニットは増光のみさせるように構成してもよい。この場合、図18(b)に示すように、第1領域D1の領域が左側方にずれ側方の視認性を同時に向上させることができる。
【0101】
また、レインモードでは、図18(b)のように構成する代わりに、第3サブユニット40aと第4サブユニット40bのうち車両進行方向右側に位置する光源ユニットへの電力供給を増加させて光量を増加させるとともに左方向に20°超回動させて拡散部材55により積極的に左方向に光を拡散させ、そして第3サブユニット40aと第4サブユニット40bのうち車両進行方向左側に位置する光源ユニットは増光のみさせるように構成してもよい。この場合、図18(c)に示すように、第1領域D1の領域が左側方に拡散した状態でさらにずれ側方の視認性をさらに向上させることができる。
【0102】
以上説明したように、本実施形態の車両用前照灯10は、光源としての発光部と、発光部から光を光軸に沿って照射する投影レンズ、リフレクタ等の光学部材とをそれぞれ備えた複数の光源ユニットとして上段光源ユニット20、中段光源ユニット40、下段光源ユニット60を備えている。これらの上段光源ユニット20、中段光源ユニット40、下段光源ユニット60は、支持部材15を介して灯体であるランプボティ14に設けられており、各光源ユニット20,40,60からの光が重ね合わせられて車両前方にロービーム配光パターンが形成される。ここで、これらの複数の光源ユニット20,40,60の少なくとも一つである中段光源ユニット40は、前記光軸を他の光源ユニット20,60とは独立して変化可能にランプボディ14に支持された光軸可変光源ユニットである。
【0103】
したがって、中段光源ユニット40の光軸を適宜変化させ、照射領域を変更することによって、様々なシチュエーションにおいて最適なロービーム配光パターンを形成することができる。また、ロービーム配光パターンを変化させるにあたり、最大でたかだか4つの発光部を制御するのみであるため、光源の数を必要以上に増やすことなく様々な配光パターンを実現することができる。また、多数の発光部を備えた光源ユニットを設置する必要がないため、車両用前照灯を小型化できるとともに、発光部の数を従来に比べて少なくすることができるので消費電力を抑制することができる。
【0104】
具体的な構成として、光軸可変光源ユニットである中段光源ユニット40は、ロービーム配光パターンに斜めカットオフラインを備えた集光領域を形成するものとすることができる。本実施形態では、このような集光領域の照射位置を適宜変化させることができるので、状況に応じて必要な箇所に集中的に光を照射することができ、カーブモード、タウンモード、モータウェイモードまたはレインモードといった様々な状況に応じた配光パターンを形成することが可能となる。
【0105】
また、光軸可変光源ユニットである中段光源ユニット40は、光軸を略水平方向に移動させることにより、集光領域の位置を車両前方中央と車両前方側方との間で変化させる。このように構成することにより、必要に応じて車両前方中央部に光を集中させたり、車両疎前方側の側方部に光を集中させたりすることが可能となる。また、光軸を水平方向に移動させるためには、光源ユニット40(実施形態では、第3及び第4サブユニット40a,40b)を全体に回動させるだけでよいため、複雑な機構が必要なく、必要以上に部品点数が増加することを抑制できる。
【0106】
また、光軸可変光源ユニットである中段光源ユニット40は、二つの第3及び第4サブユニット40a,40bから構成されている。
【0107】
第3及び第4サブユニット40a,40bは、図14に示すように、光学部材として投影レンズ44cをそれぞれ備え、投影レンズ44cの焦点近傍に光源として発光部42cが配置され、発光部42cからの直接光が前方に照射される直射型の光源ユニットとすることができる。直射型の光源ユニットとして構成することにより、リフレクタを省略することができ、また設置スペースを小さくすることができる。また、直射型の光源ユニットとした場合には、ごく狭い領域に光を容易に集中させることが可能であるため、ある狭い領域にピンポイントで光を照射したい場合に好適に使用することができる。
【0108】
また、第3及び第4サブユニット40a,40bは、図4,5,12,13に示すように、光学部材として投影レンズ44と発光部42aからの光を投影レンズ44の焦点近傍に向けて反射するリフレクタ46とを備え、リフレクタ46からの反射光が前方に照射される反射型の光源ユニットとすることができる。反射型の光源ユニットとして構成すると、リフレクタが必要となり、ある程度の設置スペースを確保する必要があるが、リフレクタ46の反射面46aを適宜設計することにより、容易に光の制御を行うことができるため、必要とされる領域に適切な光量の光を容易に集中させることが可能である。
【0109】
また、本実施形態では、光軸可変光源ユニットである中段光源ユニット40の第3及び第4サブユニット40a,40bには、投影レンズ44と発光部42aとの間に発光部42aから出射した光を拡散させる拡散部材55がそれぞれ設けられている。この拡散部材55には、第3及び第4サブユニット40a,40bが回動し、光軸が車両前方中央に光を照射する位置から車両前方側方に光を照射するように移動したときに光が入射するような位置に設けられているため、回動時にのみ拡散部材55によって光が拡散される。
【0110】
したがって、明確なカットオフラインが必要とされる中央領域に照射されるときには、拡散部材55が光の伝搬を妨げず、さほど明確なカットオフラインが必要でない側方領域に照射されるときには、その照射領域を回動角度以上に広げることが可能となる。したがって、側方の広い領域にわたって光を照らすことができる側方視認性の高い車両用前照灯とすることができる。
【0111】
拡散部材55としては、光の伝搬方向に沿った肉厚が光軸から離れるにつれ厚くなるプリズム拡散レンズを使用することができる。プリズム拡散レンズを使用することにより、その照射領域を回動角度以上に広げることが可能となるため、車両の側方視認性を高めることが可能となる。
【0112】
また、本実施形態では、拡散部材55としては、複数のステップが形成されたステップ拡散レンズを使用することもできる。ステップ拡散レンズを使用することにより、その照射領域が左右双方にわたって広げることができるため、広範な領域にわたって満遍なく光を照射し、車両の側方視認性を高めることができる。なお、プリズム拡散レンズとステップ拡散レンズは、設計者の意図する拡散パターンに応じて選択的に用いることができるものであり、またその他の拡散パターンを得たい場合にはその他の拡散用レンズ、または他の種類の拡散部材を用いてもよい。
【0113】
また、本実施形態では、複数の光源ユニット20,40,60のうち光源ユニット60は、水平方向に延びる焦線を有するシリンドリカルレンズ65と、シリンドリカルレンズ65に光を入射する第5サブユニット(第1のサブユニット)70と、第6サブユニット(第2サブユニット)80とを備えている。第5サブユニット70は、シリンドリカルレンズ65の焦線近傍に向けて光を出射する発光部72a(第1の発光素子)を有し、シリンドリカルレンズ65を介して光を前方に照射する直射型サブユニットである。そして、第6サブユニット80は、光を出射する発光部(第2の発光素子)82aと、発光部82aからの光をシリンドリカルレンズ65の焦線近傍に向けて反射するリフレクタ86と、を有し、シリンドリカルレンズ65を介して光を前方に照射する反射型サブユニットである。
【0114】
すなわち、本実施形態では、第5サブユニット70と第6サブユニット80とが一つのシリンドリカルレンズを共有しているため、それぞれに別のレンズを設ける場合に比べて部品点数を削減することができるとともに、レンズホルダー、その他取付部材等の取付スペースも共通化できるため、第5サブユニット70と第6サブユニット80とを近接配置することが可能となる。したがって、下段光源ユニット60全体が占めるスペースを減らし、下段光源ユニット60を小型化することができる。
【0115】
また、本実施形態では、シリンドリカルレンズ65を介して第6サブユニット80から前方に投影される配光領域D3は、シリンドリカルレンズ65を介して第5サブユニット70から前方に投影される配光領域D2よりも鉛直方向の拡散が大きい。これは、主として直射型と反射型の違いによるものであり、一つのシリンドリカルレンズを用いた場合でも、様々な配光パターンを実現することができる。
【0116】
また、本実施形態では、二つの発光部72a,82aは、同一のベース部材(基板)90上に配置されている。したがって、組み付け時には、一つのベース部材90に二つの発光部72a,82aを位置決めし他の部材と組み合わせればよいので、組み付け性を高めることができるとともに、二つの発光部の位置精度を一つのベース部材90を基準として高めることも可能である。
【0117】
また、発光部72aは、シリンドリカルレンズ65の焦線近傍であって、焦線よりも上方に配置される。したがって、シリンドリカルレンズ65を介して前方に投影された光は、カットオフラインを備えることができ、例えば明確な明暗境界が必要とされるH線近傍の水平ラインの一部を構成する拡散領域を形成することが可能となる。
【0118】
なお、上記説明では、車両用前照灯10は、ハイビーム及びロービームを兼用可能な車両用前照灯として説明を行ったが、これに限られず、例えば、上段光源ユニット20を排し、中段光源ユニット40と下段光源ユニット60のみを用いて構成することにより、ロービーム専用の車両用前照灯とすることもできる。この場合であっても、主たる作用効果はハイビーム及びロービームを兼用可能な場合と同一である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用前照灯を示す正面図である。
【図2】本実施形態の車両用前照灯のII−II線に沿った断面図である。
【図3】上段光源ユニットに設けられる第1サブユニット(第2サブユニット)の鉛直断面図である。
【図4】中段光源ユニットに設けられる第3サブユニットの鉛直断面図である。
【図5】第3サブユニット(第4サブユニット)の水平断面図である。
【図6】下段光源ユニットの斜視図である。
【図7】下段光源ユニットの第5サブユニットを示す鉛直断面図である。
【図8】下段光源ユニットの第6サブユニットを示す鉛直断面図である。
【図9】下段光源ユニットの上面図である。
【図10】本実施形態の車両用前照灯によって形成されたロービーム用の配光パターンを示す図である。
【図11】本実施形態の車両用前照灯によって形成されたハイビーム用の配光パターンを示す図である。
【図12】第3サブユニットと配光パターンの関係を示す模式的断面図である。
【図13】第3サブユニットと配光パターンの関係を示す別の模式的断面図である。
【図14】直射型の光源ユニットに拡散部材を設けた場合の回動と配光パターンとの関係を示す図である。
【図15】本実施形態の車両用前照灯とその点消灯に関連した制御を示す制御ブロック図である。
【図16】点消灯コントローラによる点消灯制御のパターンを示す表である。
【図17】AFSにおける配光パターンの実現例を示す模式図である。
【図18】AFSにおける配光パターンの実現例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0120】
10 車両用前照灯
10a 灯室
12 透光カバー
14 ランプボディ(灯体)
15 支持部材
17 支持機構
18 レベリング用モータ
16 エクステンション
20 上段光源ユニット
20A,20B 第1及び第2サブユニット
40 中段光源ユニット
40A,40B 第3及び第4サブユニット
55 拡散部材
60 下段光源ユニット
70,80 第5及び第6サブユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源ユニットと、
前記複数の光源ユニットを支持する灯体と、を備え、各光源ユニットからの光を重ね合わせて車両前方にロービーム配光パターンを形成する車両用前照灯であって、
前記複数の光源ユニットの一つは、
水平方向に延びる焦線を有し、前記焦線方向に略沿って伸びるレンズと、
前記レンズに光を入射する第1のサブユニットと、第2のサブユニットとを備え、
前記第1のサブユニットは、前記レンズの焦線近傍からレンズ方向に光を出射する第1の発光素子を有し、前記レンズを介して光を前方に照射する直射型サブユニットであり、
前記第2のサブユニットは、光を出射する第2の発光素子と、前記第2の発光素子からの光を前記レンズの焦線近傍に向けて反射するリフレクタと、を有し、前記レンズを介して光を前方に照射する反射型サブユニットであることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記レンズを介して前記第2のサブユニットから前方に投影される配光パターンは、前記レンズを介して前記第1のサブユニットから前方に投影される配光パターンよりも鉛直方向の拡散が大きいことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子は、同一基板上に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記第1の発光素子は、前記レンズの前記焦線近傍であって、前記焦線よりも上方に配置されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−213879(P2007−213879A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30466(P2006−30466)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】