説明

車両用収納装置

【課題】 振動による反復の慣性力が生じた場合であっても振動収束後に可動部材が開いてしまうことを抑制できる車両用収納装置の提供。
【解決手段】カムロック60が、装置10に車両後方の慣性力がかかった時にロックピン70が係止部61aから入口側カム通路62a側に移動するように、固定部材20に対して移動する。そのため、装置10に可動部材30が開く方向の慣性力がかかり慣性力対応センサ80が動作した後、振動による反復の慣性力で装置10に車両後方の力がかかったときに、ロックピン70をカムロック60の係止部61aから入口側カム通路62aに移動させることができる。そのため、振動が収束してきたときロックピン70は入口側カム通路62aから係止部61aに再度係合する。したがって、振動による反復の慣性力が生じた場合であっても振動収束後に可動部材が開いてしまうことを従来に比べて抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用小物入れ装置等の車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の、車両のリヤシート間に設けられるリヤコンソールに配置される車両用収納装置1を示している。
装置1は、固定部材2と、固定部材2に対して開閉動可能な可動部材3と、可動部材3を開方向に付勢する可動部材付勢バネ4と、カムロック5aのハート形状部が2分割構造とされておりロックピン5bがハート形状部に係合することで可動部材3を閉状態に保持するロック機構5と、車両前面衝突時など装置1に可動部材3を開ける方向の慣性力(車両前方への慣性力)がかかった時にロックピン5bが2分割構造のハート形状部を割ってカムロック5aから抜けて可動部材3が開くことを防止する慣性力対応センサ6と、を有する。なお、2分割構造のハート形状部を備えるロック機構は、特開2007−9507号公報に開示されている。
慣性力対応センサ6は、急ブレーキ時、車両前面衝突時など装置1に車両前方への急激な慣性力がかかった場合に、可動部材3の一部3aの移動軌跡内に入り込み、可動部材3が開くことを防止する。
慣性力対応センサ6が設けられているため、急ブレーキ時、車両前面衝突時など装置1に車両前方への急激な慣性力がかかった場合に、可動部材3が開くことを防止し、装置1内に収納している収納物(内容物)が車室内に飛散することを防止できる。
【0003】
しかし、従来の車両用収納装置にはつぎの問題点がある。
前面衝突により慣性力対応センサ6が動作した後、振動による反復の慣性力で装置1に車両後方への力がかかった場合、慣性力対応センサ6が可動部材3の移動軌跡から外れてしまう。また、可動部材3が車両後方に移動しロックピン5bがカムロック5aに対してロック開方向に移動してしまう(ロックピン5bがカムロック5aのハート形状部のくぼみ部(係止部)からカムロック5a内の出口側のカム通路に移動してしまう)。そのため、振動が収束してくると、可動部材付勢バネ4の付勢力により可動部材3が開いてしまう。
【特許文献1】特開2006−248357号公報
【特許文献2】特開2007−9507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、振動による反復の慣性力が生じた場合であっても振動収束後に可動部材が開いてしまうことを従来に比べて抑制できる車両用収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 固定部材と、
前記固定部材に対して開位置と閉位置と該閉位置から押し込まれた位置にある押し込み位置とに可動な可動部材と、
前記可動部材を固定部材に対して開く方向に付勢する可動部材付勢バネと、
前記固定部材に可動に支持されるカムロックと前記可動部材に設けられ前記カムロックに係脱可能なロックピンとを備えており前記可動部材を前記可動部材付勢バネの付勢力に抗して閉位置にロックするロック機構と、
前記固定部材に可動に支持されており、車両用収納装置に前記可動部材が開く方向の慣性力がかかった時に前記可動部材の移動軌跡内に入り込み前記可動部材が前記固定部材に対して開くことを抑制する慣性力対応センサと、
を有する車両用収納装置であって、
前記カムロックは、係止部を備える2分割構造のハート形状部と、該ハート形状部との間に前記係止部への入口側カム通路と前記係止部からの出口側カム通路を形成するカム通路形成部と、を備えており、
前記カムロックは、車両用収納装置に前記可動部材が開く方向と反対方向の慣性力がかかった時に前記ロックピンが前記係止部から前記入口側カム通路側に移動するように、前記固定部材に対して移動する、車両用収納装置。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)の車両用物品保持装置によれば、車両用収納装置に可動部材が開く方向の慣性力がかかった時に可動部材の移動軌跡内に入り込み可動部材が固定部材に対して開くことを抑制する慣性力対応センサが設けられているため、カムロックが2分割構造のハート形状部を備えていても、急ブレーキ時、車両前面衝突時など車両用収納装置に可動部材が開く方向への急激な慣性力がかかった場合に、可動部材が開くことを抑制できる。
また、カムロックが、車両用収納装置に可動部材が開く方向と反対方向の慣性力がかかった時にロックピンが係止部から入口側カム通路側に移動するように、固定部材に対して移動するため、車両用収納装置に可動部材が開く方向の慣性力がかかり慣性力対応センサが動作した後、振動による反復の慣性力で可動部材が開く方向と反対方向の力が車両用収納装置にかかったときに、ロックピンをカムロックのハート形状部の係止部から入口側カム通路に移動させることができる。そのため、振動が収束してきたときロックピンは入口側カム通路からハート形状部の係止部に再度係合する。したがって、振動による反復の慣性力が生じた場合であっても振動収束後に可動部材が開いてしまうことを従来に比べて抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、図1〜図6を参照して、本発明実施例の車両用物品保持装置を説明する。
本発明実施例の車両用収納装置は、たとえば、車両のリヤシート間に設けられるリヤコンソールに配置される車両用小物入れ装置である。ただし、車両用収納装置10は、車両用小物入れ装置に限定されるものではなく、車両用カップホルダ装置であってもよく、車両用小物入れ装置と車両用カップホルダ装置とを兼用させたものであってもよい。また、車両用収納装置10の配置場所は、リヤコンソールに限定されるものではなく、車両の内装部材であるインストルメントパネル等であってもよい。以下、本発明実施例および図示例では、車両用収納装置10がリヤコンソールに配置される車両用小物入れ装置である場合を例にとって説明する。
【0008】
車両用収納装置10は、図1に示すように、固定部材20と、固定部材20に対して開位置30aと閉位置30bと閉位置30bから押し込まれた位置にある押し込み位置30cとに可動な可動部材30と、可動部材30を固定部材20に対して開く方向に付勢する可動部材付勢バネ40と、可動部材30を可動部材付勢バネ40の付勢力に抗して閉位置30bにロックするロック機構50と、固定部材20に可動に支持されており車両用収納装置10に可動部材30が開く方向の慣性力がかかった時に可動部材30の移動軌跡内に入り込み可動部材30が固定部材20に対して開くことを抑制する慣性力対応センサ80と、を有する。
【0009】
固定部材20は、たとえば樹脂製である。固定部材20は、図示略のリヤコンソールに固定される。
【0010】
可動部材30は、固定部材20に回動可能に支持され固定部材20に設けられる収納部の開口を開閉するドアであってもよく、固定部材20に回動可能に支持されるボックスであってもよく、固定部材20に直線動可能に支持されるボックスであってもよい。以下、本発明実施例では、可動部材30が固定部材20に回動可能に支持され固定部材20に設けられる収納部の開口を開閉するドアである場合を示す。
【0011】
可動部材30は、可動部材本体31と、アーム32と、リンク33と、を備える。
【0012】
可動部材本体31は、板状であり、固定部材20に設けられる収納部の開口を開閉する。可動部材本体31は、下端部またはその近傍で、固定部材20に回動可能に連結されている。可動部材本体31は、可動部材本体回動中心31aまわりに固定部材20に回動可能とされている。
【0013】
アーム32は、車両前後方向に延びている。アーム32の長手方向一端部(車両前方側端部)は可動部材本体31の上下方向中間部に回動可能に連結されている。アーム32の長手方向他端部(車両後方側端部)には、突起32aが設けられている。突起32aは、リンク33に設けられる長穴33aに入り込んでいる(引っ掛けられている)。
【0014】
リンク33の長手方向の一端部から長手方向の中間部に、突起32aが入り込む長穴33aが設けられている。リンク33は長手方向の他端部で固定部材20に回動可能に連結されている。
【0015】
可動部材付勢バネ40は、たとえばトーションスプリングからなる。可動部材付勢バネ40は、図示例では可動部材30のリンク33を固定部材20に対して付勢することで可動部材30を固定部材20に対して開方向に付勢しているが、可動部材本体31又はアーム32を固定部材20に対して付勢することで可動部材30を固定部材20に対して開方向に付勢していてもよい。
【0016】
ロック機構50は、固定部材20に可動に支持されるカムロック60と、可動部材30に設けられカムロック60に係脱可能なロックピン70と、を備える。
【0017】
カムロック60は、固定部材20に往復直線動可能(スライド可能)に支持されていてもよいが、固定部材20との摺動抵抗を小さくするために固定部材20にカムロック60の回動中心60aまわりに回動可能に支持される。カムロック60は、上下方向に延びている。カムロック60は、長手方向中間部に設けられる回動中心60aまわりに固定部材20に対して車両前後方向に回動可能とされている。カムロック60は、図6に示すように、係止部61aを備える2分割構造のハート形状部61と、ハート形状部61との間に係止部61aへの入口側カム通路62aと係止部61aからの出口側カム通路62bを形成するカム通路形成部62と、図5に示すように、ウエイト部63と、を備える。
【0018】
ハート形状部61は、カムロック60の回動中心60aより下方にある。ハート形状部61の係止部61aは、ハート形状部61の窪んだところである。係止部61aは、車両用収納装置10に車両前後方向の慣性力がかかっていないとき、カムロック60の回動中心60aの鉛直方向下側にある。
【0019】
2分割構造のハート形状部61は、公知であり、特開2007−9507号公報に開示されている。ハート形状部61が図6に示すように2分割構造になっているため、ロックピン70が係止部61aに係合している状態でロックピン70にカムロック60から抜ける方向(図6で上方向)の力がかかると、ハート形状部61が割れ、ロックピン70がハート形状部61の割れた間を通ってカムロック60から抜けることができる。そのため、ロックピン70が係止部61aに係合している状態でロックピン70にカムロック60から抜ける方向の力がかかっても、ロックピン70の変形やハート形状部61の破壊が生じることはない。
【0020】
カム通路形成部62は、カムロック60の回動中心60aより下方にある。カム通路形成部62の入口側カム通路62aは、ハート形状部61の係止部61aより車両後方側にある。カム通路形成部62の出口側カム通路62bは、ハート形状部61の係止部61aより車両前方側にある
【0021】
ウエイト部(ウエイト、おもり)63は、図5に示すように、カムロック60の上端部に設けられる。ウエイト部63は、カムロック60の回動中心60aより上方にある。ウエイト部63が回動中心60aより上方にあるため、カムロック60は、車両用収納装置10に可動部材30が開く方向と反対方向の慣性力(車両後方側への慣性力)がかかった時にロックピン70が係止部61aから入口側カム通路62a側に移動するように、固定部材20に対して移動する。
【0022】
ウエイト部63は、カムロック60とは別体の真鍮、鉄、非鉄をカムロック60に固定して取付けることでカムロック60に設けられていてもよく、カムロック60の上端部の肉厚をその他の部分に比べて厚くする等でカムロック60に一体に設けられていてもよい。ウエイト部63(の重心)は、車両前後方向の慣性力が車両用収納装置10にかかった時に最も効率よくカムロック60を固定部材20に対して回動させることができるようにするため、カムロック60の回動中心60aの鉛直方向上側にある。
【0023】
カムロック60の車両前後方向の両側には、図4に示すように、カムロック60が固定部材20に対して所定角度以上回動してしまいカムロック60から抜けているロックピン70が再度カムロック60に係合できなくなることを防止するために、回動範囲規制ストッパ64が設けられている。回動範囲規制ストッパ64は、固定部材20に固定されている。
【0024】
ロックピン70は、可動部材30に固定して設けられる。ロックピン70は、閉位置30bにある可動部材30が固定部材20に対して開位置30a側または押し込み位置30c側に移動し始めたときにロックピン70が上下方向に移動するように、可動部材30のアーム32の長手方向他端部(車両後方側端部)またはその近傍に設けられる。カムロック60内に入ったロックピン70は、図6の二点鎖線にて示すように、入口側カム通路62aを通って係止部61aに達し(係合し)、出口側カム通路62bを通ってカムロック60外に出る(離脱する)。
【0025】
慣性力対応センサ80は、図1に示すように、車両用収納装置10に慣性力がかかっていないとき、可動部材30より車両後方側にある。慣性力対応センサ80は、可動部材30の移動軌跡内に出入り可能なストッパ81と、ストッパ81を可動部材30の移動軌跡から出る方向に(車両後方側に)付勢するストッパ付勢バネ82と、を備える。
【0026】
ストッパ81は、上下方向に延びている。ストッパ81は、上端部又はその近傍で固定部材20に回動可能に取付けられている。ストッパ81は、上下方向中間部にウエイト部(ウエイト、おもり)81aを備える。ウエイト部81aは、ストッパ81とは別体の真鍮、鉄、非鉄をストッパ81に固定して取付けることでストッパ81に設けられていてもよく、ストッパ81の一部の肉厚をその他の部分に比べて厚くする等でストッパ81に一体に設けられていてもよい。ストッパ81の下端部が可動部材30の移動軌跡内に出入り可能とされている。図示例では、ストッパ81の下端部が可動部材30のアーム32の移動軌跡内に出入り可能とされている場合を示しているが、ストッパ81の下端部は可動部材30の可動部材本体31またはリンク33の移動軌跡内に出入り可能とされていてもよい。
【0027】
固定部材20には、図4に示すように、ストッパ付勢バネ82の付勢力で所定位置よりもストッパ81が車両後方側に固定部材20に対して回動してしまうことを防止するために、後方側回動範囲規制部83が設けられている。また、固定部材20には、車両前方側への慣性力が車両用収納装置10にかかった時にストッパ81の下端部が可動部材30の移動軌跡内に入り込み確実に所定の位置で可動部材30と当接できるように、前方側回動範囲規制部84が設けられている。後方側回動範囲規制部83と前方側回動範囲規制部84は、ともに、固定部材20に固定されている。
【0028】
ストッパ付勢バネ82は、たとえばトーションスプリングからなる。ストッパ付勢バネ82は、ストッパ81を固定部材20に対して車両後方側に回動付勢する。ストッパ付勢バネ82の付勢力を調節することで、慣性力対応センサ80が作動し始める慣性力の大きさを変更できる。
【0029】
ここで、本発明実施例の作用を説明する。
(a)可動部材30が閉位置30bにあり、車両用収納装置10に慣性力がかかっていないとき
図1に示すように、カムロック60は、自重で鉛直方向に延びた姿勢にある。ロックピン70は、カムロック60の係止部61aに係合している。ストッパ81は、ストッパ付勢バネ82の付勢力により可動部材30の移動軌跡外に位置している(慣性力対応センサ80は作動していない)。
ストッパ81が可動部材30の移動軌跡外に位置するので、閉位置30bにある可動部材30を押し込み位置30cまで押し込んでロックピン70を係止部61aから出口側カム通路62aに移動させ、可動部材30の押し込み操作を止めることにより、可動部材30を可動部材付勢バネ40の付勢力で開くことができる。
【0030】
(b)上記(a)の状態から、急ブレーキ時、車両前面衝突時など車両用収納装置10に車両前方への急激な慣性力がかかった場合
可動部材30が開位置30a側に回動しようとし、可動部材30のアーム32に設けたロックピン70が2分割構造のハート形状部61を割ってカムロック60外に移動しようとする(上方に移動しようとする)。しかし、図2に示すように、慣性力対応センサ80のストッパ81がストッパ付勢バネ82の付勢力に抗して車両前方側に固定部材20に対して回動し可動部材30の移動軌跡内に入り込む(慣性力対応センサ80が作動する)。そのため、可動部材30が開位置30a側に固定部材20に対して回動することは防止される。したがって、慣性力対応センサ80により、急ブレーキ時、車両前面衝突時など車両用収納装置10に車両前方への急激な慣性力がかかった場合であっても、可動部材30が開くことを防止し、車両用収納装置10内に収納している収納物(内容物)が車室内に飛散することを防止できる。
なお、カムロック60の回動中心60aより上側が車両前方側へ、カムロック60の回動中心60aより下側が車両後方側へ固定部材20に対して回動しようとするが、ロックピン70が係止部61aに係合しているため、カムロック60は固定部材20に対して回動しない。
【0031】
(c)急ブレーキ時、車両前面衝突時など慣性力対応センサ80が作動した後(上記(b)の後)、振動による反復の慣性力で車両用収納装置10に車両後方への力がかかった場合
図3に示すように、カムロック60の回動中心60aより上側が車両後方側へ移動しカムロック60の回動中心60aより下側が車両前方側に移動する。そのため、ロックピン70がカムロック60に対して係止部61aから入口側カム通路62a側に移動する。また、可動部材30の可動部材本体31が開位置30a側と反対側(押し込み位置30c側)に固定部材20に対し回動し、アーム部32の車両後方側端部が固定部材20に対して下方に移動する。そのため、アーム部32に設けたロックピン70が固定部材20に対して(カムロック60に対して)下方に移動する。したがって、ロックピン70は、カムロック60に対し、カムロック60内で入口側カム通路62aの下端部(最奥部)(図6の62cの位置)に向かって移動する。
その後、振動が収束してくると、入口側カム通路62aにあるロックピン70は、入口側カム通路62aを通って係止部61aに達する。そのため、可動部材30は開かず閉位置30bに位置する。
【0032】
本発明実施例では、車両用収納装置10に可動部材30が開く方向の慣性力がかかった時に可動部材30の移動軌跡内に入り込み可動部材30が固定部材20に対して開くことを抑制する慣性力対応センサ80が設けられているため、カムロック60が2分割構造のハート形状部61を備えていても、急ブレーキ時、車両前面衝突時など車両用収納装置10に可動部材30が開く方向への急激な慣性力がかかった場合に、可動部材30が開くことを抑制できる。
また、カムロック60が、車両用収納装置10に可動部材30が開く方向と反対方向の慣性力がかかった時にロックピン70が係止部61aから入口側カム通路62a側に移動するように、固定部材20に対して移動するため、車両用収納装置10に可動部材30が開く方向の慣性力がかかり慣性力対応センサ80が動作した後、振動による反復の慣性力で可動部材30が開く方向と反対方向の力が車両用収納装置10にかかったときに、ロックピン70をカムロック60のハート形状部61の係止部61aから入口側カム通路62aに移動させることができる。そのため、振動が収束してきたときロックピン70は入口側カム通路62aからハート形状部61の係止部61aに再度係合する。したがって、振動による反復の慣性力が生じた場合であっても振動収束後に可動部材30が開いてしまうことを従来に比べて抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明実施例の車両用収納装置の、可動部材が閉位置にあるときの側面図である。
【図2】図1の状態から車両用収納装置に車両前方への急激な慣性力がかかったときの側面図である。
【図3】図2の状態の後、振動による反復の慣性力で車両用収納装置に車両後方への力がかかった場合の側面図である。
【図4】図2の状態の、ロック機構および慣性力対応センサとその近傍を示す部分拡大側面図である。
【図5】本発明実施例の車両用収納装置の、カムロックの斜視図である。
【図6】本発明実施例の車両用収納装置のカムロックの、ハート形状部とその近傍を示す部分拡大正面図である。
【図7】従来の車両用収納装置の側面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 車両用収納装置
20 固定部材
30 可動部材
30a 開位置
30b 閉位置
30c 押し込み位置
31 可動部材本体
31a 可動部材本体回動中心
32 アーム
33 リンク
40 可動部材付勢バネ
50 ロック機構
60 カムロック
60a カムロックの回動中心
61 ハート形状部
61a 係止部
62 カム通路形成部
62a 入口側カム通路
62b 出口側カム通路
63 ウエイト部
70 ロックピン
80 慣性力対応センサ
81 ストッパ
81a ウエイト部
82 ストッパ付勢バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
前記固定部材に対して開位置と閉位置と該閉位置から押し込まれた位置にある押し込み位置とに可動な可動部材と、
前記可動部材を固定部材に対して開く方向に付勢する可動部材付勢バネと、
前記固定部材に可動に支持されるカムロックと前記可動部材に設けられ前記カムロックに係脱可能なロックピンとを備えており前記可動部材を前記可動部材付勢バネの付勢力に抗して閉位置にロックするロック機構と、
前記固定部材に可動に支持されており、車両用収納装置に前記可動部材が開く方向の慣性力がかかった時に前記可動部材の移動軌跡内に入り込み前記可動部材が前記固定部材に対して開くことを抑制する慣性力対応センサと、
を有する車両用収納装置であって、
前記カムロックは、係止部を備える2分割構造のハート形状部と、該ハート形状部との間に前記係止部への入口側カム通路と前記係止部からの出口側カム通路を形成するカム通路形成部と、を備えており、
前記カムロックは、車両用収納装置に前記可動部材が開く方向と反対方向の慣性力がかかった時に前記ロックピンが前記係止部から前記入口側カム通路側に移動するように、前記固定部材に対して移動する、車両用収納装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate