説明

車両用収納装置

【課題】 従来に比べて組付け容易な観音開きタイプのリッドを備える車両用収納装置の提供。
【解決手段】収納部21を備えるボックス20と、収納部21を開閉可能であり第1、第2のリッド31,32で構成される観音開きタイプのリッド30と、第1のリッド31に一端部で回動可能に連結される第1のアーム40と、第2のリッド32に一端部で回動可能に連結される第2のアーム50と、ボックス20に回動軸部61で回動可能に連結されており回動軸部61から一側に延びる一側延び部62で第1のアーム40の他端部と回動可能に連結され回動軸部61から他側に延びる他側延び部63で第2のアーム50の他端部と回動可能に連結されるリンク60と、を有する車両用収納装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観音開きタイプのコンソールリッドを備えるコンソールボックス装置等の車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−161019号公報は、(観音開きタイプの)左右一対のリッドを備える車両用収納装置を開示している。該装置では、左右一対のリッドを同期させるためにギア機構を備えている。
【0003】
しかし、従来の車両用収納装置には、左右一対のリッドを同期させるためにギア機構を備えているため、次の問題点がある。
左右のリッドの開閉角度を等角に合わせながら(対称にさせながら)ギア機構を組付けなければならず、位置合わせなどにおいて組付けが煩わしい。
仮に左右のリッドの開閉角度が等角になっていない場合(正規の位置からギア歯ずれして組付けた場合)、リッドを閉めた際に左右どちらかのリッドが完全に閉まりきらず美観を損ねてしまうため、左右のリッドが等角になるよう調整を再度行なわなければならなくなる。また、仮に左右のリッドの開閉角度が等角になっていない場合、リッドを閉めた際に左右どちらかのリッドが完全に閉まりきらないため、リッド上にアームレスト機能を有するものに至っては、アームレスト性能が十分に発揮されないことも考えられる。
【特許文献1】特開2004−161019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来に比べて組付け容易な観音開きタイプのリッドを備える車両用収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 収納部を備えるボックスと、
前記収納部を開閉可能であり第1、第2のリッドで構成される観音開きタイプのリッドと、
前記第1のリッドに一端部で回動可能に連結される第1のアームと、
前記第2のリッドに一端部で回動可能に連結される第2のアームと、
前記ボックスに回動軸部で回動可能に連結されており該回動軸部から一側に延びる一側延び部で前記第1のアームの他端部と回動可能に連結され前記回動軸部から他側に延びる他側延び部で前記第2のアームの他端部と回動可能に連結されるリンクと、
を有する車両用収納装置。
(2) 前記第1、第2のアームと前記リンクの一方に突起部が設けられており、前記第1、第2のアームと前記リンクの他方に前記突起部が嵌め込まれる孔部が設けられている、(1)記載の車両用収納装置。
【発明の効果】
【0006】
上記(1)の車両用収納装置によれば、リンクが、ボックスに回動軸部で回動可能に連結されており、第1のリッドに一端部で回動可能に連結される第1のアームの他端部と一側延び部で回動可能に連結されており、第2のリッドに一端部で回動可能に連結される第2のアームの他端部と他側延び部で回動可能に連結されているため、リンクが回動軸部まわりに回動したとき、第1、第2のアームが同期して互いに反対方向に動き、第1、第2のリッドを同期させて動かすことができる。この構造ではギア機構を用いずにリンクを用いているため、ギア機構を用いる場合(従来)に比べて、第1、第2のアームとリンクとの組付け時にギア歯ずれして組付けてしまうことは起こり得ず組付け容易である。
上記(2)の車両用収納装置によれば、第1、第2のアームとリンクの一方に突起部が設けられており、第1、第2のアームとリンクの他方に突起部が嵌め込まれる孔部が設けられているため、突起部を孔部に嵌め込むだけで第1、第2のアームとリンクとを連結できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明実施例の車両用収納装置を、図1〜図5を参照して、説明する。
本発明実施例の車両用収納装置(以下単に装置ともいう)10は、たとえば、車両用コンソールボックス装置である。ただし、装置10は、観音開きタイプのリッドを有していれば、コンソールボックス装置に限定されるものではなく、ルーフ側に設定されているオーバーヘッドコンソールボックス装置であってもよく、グラブボックス装置であってもよく、その他の収納装置であってもよい。以下、本発明実施例及び図示例では、装置10が車両用コンソールボックス装置である場合を説明する。
【0008】
装置10は、図2に示すように、ボックス20と、リッド30と、第1のアーム40と、第2のアーム50と、リンク60と、を有する。
【0009】
ボックス20は箱状である。ボックス20は、図示略のコンソールパネルに対して固定されている。ボックス20は、前後両側壁および左右両側壁を備える。ボックス20は、前後両側壁および左右両側壁で囲まれる空間である収納部21を備えている。
【0010】
リッド30は、収納部21を上方から開閉可能である。リッド30は、第1、第2のリッド31,32で構成される観音開きタイプ(両開きタイプ)のリッドである。第1、第2のリッド31,32で中央から開く左右一対のリッドを構成している。
第1のリッド31は、ボックス20の左右一端部かつ上端部に回動可能に取付けられる第1のリッド側アーム部31aを備えている。第2のリッド32は、ボックス20の左右他端部かつ上端部に回動可能に連結される第2のリッド側アーム部32aを備えている。第1、第2のリッド側アーム部31a、32aが設けられているため、第1、第2のリッド31,32は、それぞれボックス10に対して回動可能である。第1、第2のリッド31,32のそれぞれの回動軸芯は、車両前後方向に延びている。
【0011】
第1のアーム40は、たとえば棒状であり車両左右方向に延びている。第1のアーム40は長手方向一端部で第1のリッド31に回動可能に連結されている。第1のアーム40は、第1のリッド31の回動軸芯とは異なる位置で第1のリッド31に連結されている。
【0012】
第2のアーム50は、たとえば棒状であり車両左右方向に延びている。第2のアーム50は長手方向一端部で第2のリッド32に回動可能に連結されている。第2のアーム50は、第2のリッド32の回動軸芯とは異なる位置で第2のリッド32に連結されている。
【0013】
第1のアーム40の延び方向長さと第2のアーム50の延び方向長さはほぼ同じである。第1のアーム40が第1のリッド31と連結される位置と、第1のリッド31の回動軸芯との間の距離は、第2のアーム50が第2のリッド32と連結される位置と、第2のリッド32の回動軸芯との間の距離と、ほぼ同じである。なお、型費低減のために、第1のアーム40の延び方向長さと第2のアーム50の延び方向長さを同じとし、同じ金型で成形してもよい。
【0014】
リンク60は、リンク60の正面視で、円形であってもよく、上下方向を長手方向とする楕円形であってもよく、上下方向に延びる棒形状であってもよく、上下方向に延びる部分を有していればその他の形状であってもよい。なお、図示例では、リンク60が円形である場合を示している。
【0015】
リンク60は、リンク60の上下方向中央部に位置しボックス20に回動可能に連結される回動軸部61と、回動軸部61から上側または下側(一側)に延びる一側延び部62と、回動軸部61から下側または上側(他側)に延びる他側延び部63と、を備える。
【0016】
一側延び部62は、第1のアーム40の長手方向他端部と回動可能に連結されている。他側延び部63は、第2のアーム50の長手方向他端部と回動可能に連結されている。一側延び部62と第1のアーム40とが連結される位置と、他側延び部63と第2のアーム50とが連結される位置とは、回動軸部61に対して対称である。
【0017】
図5に示すように、第1、第2のアーム40,50とリンク60の一方に突起部70が一体的に設けられており、第1、第2のアーム40,50とリンク60の他方に突起部70が嵌め込まれる孔部80が設けられている。なお、図示例では、リンク60に突起部70が設けられており、第1、第2のアーム40,50に孔部80が設けられている場合を示している。
突起部70は、突起部70が設けられる部材から突起部70が設けられる部材の延び方向と直交する方向(車両前後方向)に突出して設けられている。突起部70の突出方向先端部とその近傍には、突起部70を孔部80に嵌め込むときには、突起部70が孔部80に弾性変形して復元することにより孔部80の縁に引っかかり、突起部70が孔部80に嵌め込まれた後は、突起部70が孔部80から抜けることを抑制する、弾性変形部71が設けられている。
第1、第2のアーム40,50とリンク60とは、それぞれ、突起部70を孔部80に嵌め込むことで連結される。
第1、第2のアーム40,50とリンク60とがそれぞれ連結されたとき、第1、第2のアーム40,50は、リンク60の面直方向で(車両前後方向で)、リンク60に対して同じ側に位置していてもよくリンク60に対して反対側に位置していてもよい。
【0018】
ここで、本発明実施例の作動を説明する。
第1、第2のリッド31,32の一方が開く(閉じる)と、第1、第2のアーム40,50の一方が移動し、該一方のアームと連結されているリンク60を回動軸部61まわりに回動させる。リンク60が回動すると、第1、第2のアーム40,50の他方が移動し、第1、第2のリッド31,32の他方が開く(閉じる)。
【0019】
次に、本発明実施例の作用を説明する。
本発明実施例では、リンク60が、ボックス20に回動軸部61で回動可能に連結されており、第1のリッド31に長手方向一端部で回動可能に連結される第1のアーム40の長手方向他端部と一側延び部62で回動可能に連結されており、第2のリッド32に長手方向一端部で回動可能に連結される第2のアーム50の長手方向他端部と他側延び部63で回動可能に連結されているため、リンク60が回動軸部61まわりに回動したとき、第1、第2のアーム40,50が同期して互いに反対方向に動き、第1、第2のリッド31,32を同期させて動かすことができる。この構造ではギア機構を用いずにリンク60を用いているため、ギア機構を用いる場合(従来)に比べて、第1、第2のアーム40,50とリンク60との組付け時にギア歯ずれして組付けてしまうことは起こり得ず組付け容易である。
【0020】
第1、第2のアーム40,50とリンク60の一方に突起部70が設けられており、第1、第2のアーム40,50とリンク60の他方に突起部70が嵌め込まれる孔部80が設けられているため、突起部70を孔部80に嵌め込むだけで第1、第2のアーム40,50とリンク60とを連結できる。
【0021】
左右のリッドを同期させるためにギア機構を用いた場合(従来)、リッドの前方または後方側にギア機構を組み込むためリッドとボックスとの間に左右に横切る見切り線ができてしまう。そのため、意匠設計の自由度に制約が発生してしまう。しかし、本発明ではギア機構でなくリンク60(リンク機構)を用いているため、第1、第2のリッド31,32を同期させる機構をリッド30の下方に設定することが可能となる。そのため、リッド30とボックス20との間に左右に横切る見切り線ができてしまうことを防止でき前後に貫通した意匠形状を持つリッド30が設定可能となり、リッド周辺の意匠設計の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明実施例の車両用収納装置の、リッドが閉位置にあるときの斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明実施例の車両用収納装置の、リッドが開位置にあるときの斜視図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図2のC−C線断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 車両用収納装置
20 ボックス
21 収納部
30 リッド
31 第1のリッド
31a 第1のリッド側アーム部
32 第2のリッド
32a 第2のリッド側アーム部
40 第1のアーム
50 第2のアーム
60 リンク
61 回動軸部
62 一側延び部
63 他側延び部
70 突起部
71 弾性変形部
80 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部を備えるボックスと、
前記収納部を開閉可能であり第1、第2のリッドで構成される観音開きタイプのリッドと、
前記第1のリッドに一端部で回動可能に連結される第1のアームと、
前記第2のリッドに一端部で回動可能に連結される第2のアームと、
前記ボックスに回動軸部で回動可能に連結されており該回動軸部から一側に延びる一側延び部で前記第1のアームの他端部と回動可能に連結され前記回動軸部から他側に延びる他側延び部で前記第2のアームの他端部と回動可能に連結されるリンクと、
を有する車両用収納装置。
【請求項2】
前記第1、第2のアームと前記リンクの一方に突起部が設けられており、前記第1、第2のアームと前記リンクの他方に前記突起部が嵌め込まれる孔部が設けられている、請求項1記載の車両用収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−100201(P2010−100201A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274378(P2008−274378)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】