説明

車両用収納装置

【課題】車両用収納装置において、ドアが閉止状態でドアの移動軌跡によってできたドアと収納箱との隙間から小物が収納箱のドア収納部に落ち込むことを防止し、ひいてはドアの作動不良が生じるのを防止することができる事。
【解決手段】車両用収納装置(ドア付きコンソール4)において、収納箱2には小物収納部24に併設して開口部29を開放するドア開放位置にて少なくともドアの一部が納まるドア収納部26を設け、ドア閉止位置で前記仕切り壁部25の上端部25aとドア端部に形成した隙間43を、遮蔽部材3に連結したドア基端部12をドア閉止位置方向への牽引することで、前記遮蔽部材3が塞ぎ、小物が収納箱2のドア収納部26に落ち込むことを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に配置されて開閉用のドアを備えた車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の車両用収納装置としてドア付のコンソールが挙げられるが、下記特許文献1では、コンソールボックスにカップホルダを設けてあり、ボックス本体に取り付けられたドアを枢軸回りに回動することにより、ボックス本体の開口が開放され、カップをホールドできるカップホルダが現われる公報として公開されている。さらに、ドアはボックス本体の開口が開放する際、円弧軌跡を描いてドアの下半分がボックス本体内に収納される構造になっている。
【0003】
上記先行技術について詳細に説明すると、ボックス本体の開口が開放されドアがボックス本体内に収納するとドアとコンソールボックスとに隙間ができるが、コンソールボックス側にスライドガイド部材を設定し、スライドガイド部材とドアの端部とを連結した遮蔽カバーを設ける事で小物が隙間に落ちても、ドア開閉不良が起きにくくしてある。またボックス本体の開口が開放状態でドアとコンソールボックスとに隙間に小物が落下ししたとしても、内部奥にある遮蔽カバーまで一旦落ちるが、ドアを閉じるに従い、小物が遮蔽カバーの上昇と共に小物もドア意匠面付近まで上昇し、落ちた小物を取り出せることができる。このような遮蔽カバーの動作を可能にする為には、遮蔽カバーの他端側のピンをスライドガイド部材に設けられた長孔に移動可能に連結させ、ドアが開放から閉止状態に移るに従い、遮蔽カバーが相対角度を変えながらスライドガイド部材の長孔に沿ってスライドしていき、ドアの端部とコンソールボックスとの隙間を遮蔽カバーで架設されることで達成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−91427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記先行技術では、ドアが閉止状態の場合、ドア回動軌跡によってできたドアの端部と収納箱との隙間から小物が落下する可能性がある。ドアの端部と収納箱との隙間から小物が落下すると、小物が収納箱とドアの端部との間に挟まり、ドアを開状態または閉止状態に戻せなくなり、ドアの開閉動作が円滑に行われない等の問題が発生する。
【0006】
本発明は、ドアが閉止状態で小物がドア回動軌跡によってできたドアの端部と収納箱との隙間に遮蔽板を設ける事で小物が収納箱内にあるドア収納部に落ち込むことを防止し、ドアの作動不良が発生することを防止できる車両用収納装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、車室内に配置され、小物を収納するための開口部を持つ小物収納部を設けた収納箱と、前記開口部の開閉を開放位置と閉止位置間の移動により可能にするドアと、前記ドアと前記収納箱とを内蔵するボックス本体と、から構成された車両用収納装置において、前記収納箱には前記小物収納部に併設して前記開口部を開放するドア開放位置にて少なくともドアの一部が納まるドア収納部を設け、前記小物収納部と前記ドア収納部間にドアの開放位置と閉止位置間の移動軌跡と干渉しない高さに設定されている仕切り壁部と、該仕切り壁部の前記ドア収納部側に設けられたガイド溝のあるスライドガイド部材と、一端はドア開放方向にあるドア基端部と回動連結し、他端は前記ガイド溝に沿ってスライドする遮蔽部材と、を備え、ドア閉止位置で前記仕切り壁部の上端部とドア端部に形成した隙を、前記ドア基端部のドア閉止位置方向への牽引により移動した前記遮蔽部材で塞ぐ事にある。
【0008】

請求項1記載の本発明によれば、小物を入れる場合及び小物を取り出す場合には、ドアを閉止位置から開放位置へ移動させると、ボックス本体内の小物収納部が開放され、小物を入れることが可能になる。このとき、開放されたドアの少なくとも一部は、ボックス本体内に設けられたドア収納部内に収納される。小物収納部とドア収納部の間には仕切り壁を設けるが、ドアの移動軌跡と干渉しないよう高さを収納箱の外周壁より低く設定しなければいけない為、小物収納部の開口部が閉じた状態、すなわちドア閉止位置において、ドア裏面と仕切り壁の上端に隙間が生じる。この場合、仮に遮蔽部材が存在しない場合は、車両走行時の振動等により、小物が小物収納部側から仕切り壁を乗り越え、隙間からドア収納部内に小物が落ち込んでしまい、ドアの開閉動作不良が発生する恐れがある。本発明の場合、かかる隙間が遮蔽部材によって遮蔽されているので、小物はドア収納部内へ落ち込み難い。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る車両用収納装置は、ドア閉止状態においてもドアの移動軌跡によりできた隙間が遮蔽部材によって遮蔽されているので、小物はドア収納部内へ落ち込み難く車両走行時の振動等により小物がドア収納部内に落ちてドア作動不良が起きる事を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態における車室内に配置されるドア付きコンソール(車両用収納装置)の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるドア付きコンソール(車両用収納装置)内に設置される収納箱、ドア、遮蔽部材の構成品説明斜視図を示す。
【図3】本発明の実施形態における図1のA−A断面説明図である。(ドア閉状態)
【図4】本発明の実施形態における図1のA−A断面説明図である。(ドア開状態)
【図5】本発明の実施形態における図1のB−B断面説明図である。(ドア閉状態)
【図6】本発明の実施形態における図1のB−B断面説明図である。(ドア開状態)
【図7】本発明の実施形態における図1のA−A断面説明図である。(ドアの開閉移動の途中状態)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0012】
図1は本発明に関係する車室内に搭載されたドア付きコンソール4の斜視図である。ドア付きコンソール4はコンソールボックス41に小物を収納する収納箱2を配置し、収納箱2の開口を塞ぐドア1が設けられている。
【0013】
図2は本発明のドア付きコンソール4内にあるドア1と小物を収納する収納箱2の構成品説明斜視図を示し、上部に開口部29が形成される収納箱2と、収納箱2に取り付けられて移動によって開口部29を開閉するドア1と、本発明の遮蔽板と、を組立てて図1に示すコンソール本体41に搭載すると、図1のドア付きコンソール4の完成品状態になる。
【0014】
次にドア付きコンソール4の構成品である収納箱2、ドア1、遮蔽部材3について図2から図6にて詳細に説明する。
収納箱2には図2に示すように、物品収納用の小物収納部24と、小物収納部24に比べて幅が狭く、車幅方向へ小物収納部24に隣接するドア収納用のドア収納部26が設けてある。小物収納部24には、例えば、ペンやコイン、カード等の小物を収納することができるように広い空間を備えてある。小物収納部24とドア収納部26とは、仕切り壁部25によって隔離されている。また収納箱2は、小物収納部24とドア収納部26とを、車両前方側に配置される前壁部27aと、車両後方側に配置される後壁部27bと、車幅方向に配置される第1側壁部28aと、第2側壁部28bに囲まれて構成されている。
【0015】
ドア1は、開口部29の閉止状態では、収納箱2の上方側で水平に配置され、(図3及び図5)、開口部29の開放状態では、ほぼ垂直にドア1の一部がドア収納部26内に収納された状態で配置されている。(図4及び図6)また、ドア収納部26を形成する第1側壁部28aは、開閉時に移動するドア1の移動軌跡に沿う形に湾曲されている。(図3、図4)
【0016】
また、図3のドア閉状態から図4のドア開状態の移動の途中状態を示す図7にて説明すると、仕切り壁部25は、ドア1の開閉移動軌跡上の近くにあり、移動軌跡による仕切り壁部25との干渉を避ける為、仕切り壁部25の高さを他の壁部より低く抑えてある。具体的には、仕切り壁25の上端部25aは、開閉時に移動するドア1の移動軌跡と重ならないように、図2に示す第2側壁部28bの上端部28ba、前壁部27aの上端部27aaや後壁部27bの上端部27baに比べて低い位置に配設されている。従って、図3に示すように開口部29の閉止状態では、仕切り壁25の上端部25aとドア底面13との間に所定の隙間43が出来る。
【0017】
遮蔽部材3について図3で説明すると、収納箱2の仕切り壁部外側にガイド溝21aのあるスライドガイド部材21が設けられ、遮蔽部材3は一端であるドア差込みピン31がドア基端部12にある基端部差込孔12aに挿入、遮蔽部材3の他端であるガイド溝用ピン32は前記スライドガイド部材21のガイド溝21aに勘合し、ガイド溝21aに沿ってスライド可能にしてある。遮蔽部材3のドア1及びスライドガイド部材21への連結はピンと孔に限らずビス締め等での連結でもよい。
【0018】
次に、本実施形態での操作の仕方並びに効果について図3と図4にて説明する。
コイン、ペン等の小物をドア付きコンソールボックス4の小物収納部24内に入れる場合(又は小物を取り出す場合)には、ドア1を図3の閉止位置から図4の開放位置へ移動させ、小物収納部24の開口部29を開放させる。そして、小物収納部24の開口部29から、小物を入れ小物収納部24に納める。このとき、開放されたドア1の下部は、小物収納部24内に隣接するドア収納部26内に収納される。
【0019】
コイン、ペン等の小物をドア付きコンソールボックス4の小物収納部24内に入れた後(又は小物を取り出した後)、ドア1を図4に示される開放位置から図3に示される閉止位置に移動させて小物収納部24の開口部29を閉止状態にさせる。閉止状態では前述したようにドア底面13との間には所定の隙間43が形成されている。しかしドア1が閉止位置へ移動する際、遮蔽部材3がドア1の基端部12により牽引され、隙間43方向へ上昇、遮蔽部材3の下端にあるガイド溝用ピン32は、前記スライドガイド部材21のガイド溝21aに沿ってスライド上昇し、前記隙間43を遮蔽部材3によって遮蔽される。 ここで、仮に遮蔽部材3が存在しない場合は、ドア閉止時において車両走行時の振動等により、小物が小物収納部24側から仕切り壁を乗り越えてドア収納部26側へ移動し、隙間43からドア収納部26内に小物が落ち込んでしまう恐れがある。さらに小物がドア1とドア収納部26に挟まれ、開閉動作を妨げることになるが、本実施形態の場合、かかる隙間43が遮蔽部材3によって遮蔽されるので、小物はドア収納部26内へ落ち込み難くなっている。
【0020】
図5及び図6は本発明の実施形態における図1のドア付きコンソールのB−B断面説明図である。図5はドア閉状態で図6はドア開状態を示しており、揺動アーム11は図2ではドア1の両サイド配置されており、図5においてはドア1下側に張り出している。揺動アーム11にあるギア11aは、収納箱2の前壁部27aの外面側に固定された固定ギア23とかみ合っている。揺動アーム11は、回動アーム22のドア連動ピン22aを揺動アーム11のドア回転軸孔11bに挿入して連結しおり、ドアの回転中心にしている。また、回動アーム22の他端側にある回動アーム中心ピン22bは、収納箱2の前壁部27aの外面側に設けられたアーム取付孔27cに回転可能に取り付けられている。
【0021】
図5は本発明の実施形態における図1のドア付きコンソールのA−A断面説明図でドア閉状態にある。ドア1が揺動アーム11のドア回転軸孔11bをドア回転中心として回転しながら、ドア回転中心自体が回動アーム22の回動アーム中心ピン22bを中心に回転移動することで、ドア1が開閉されるようになっている(回動アーム中心ピン22bの移動軌跡42を一点鎖線にて示す。)。
【0022】
図6は本発明の実施形態における図1のドア付きコンソールのB−B断面説明図でドア開状態にある。ドア開状態では、仕切り壁部25の上端部25aとドア裏面13とが近接位置で対向すると共に、ドア1は垂直に近い状態でドア収納部26に収納されている。従来技術の先行技術文献では本発明のようにドア1がドア回転中心22aで回転せず、収納箱の任意中心22bのみで回動する為、ドア自体の軌跡が円弧に描く為、ドア開状態においてドアの裏面と仕切り板の間に大きな隙が発生する。本発明ではドア自体の回転軌跡が従来の上述構造により小さくなる為、図6のドア開状態においてはドア裏面13と仕切り壁部25との間の隙間44が従来より比較的小さくなる。よってドア開状態においてもドア収納部に小物が入りにくくなりドアの作動不良が生じるのを防止することができる。
【0023】
なお、上記実施形態では、車両用収納装置をドア付きコンソール4に適用した場合を例に挙げて説明したが、車両用収納装置は、ドア付きカップホルダ等の他の車両用収納ボックスに適用してもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 ドア
12 ドア基端部
2 収納箱
21 スライドガイド部材
21a ガイド溝
24
小物収納部
25 仕切り壁部
25a 上端部
26
ドア収納部
3 遮断部材
31 ドア用差込みピン(ドア一端)
4 ドア付きコンソールボックス(車両用収納装置)
41 コンソールボックス本体(ボックス本体)
43 隙間



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配置され、小物を収納するための開口部を持つ小物収納部を設けた収納箱と、前記開口部の開閉を開放位置と閉止位置間の移動により可能にするドアと、前記ドアと前記収納箱とを内蔵するボックス本体と、から構成された車両用収納装置において、前記収納箱には前記小物収納部に併設して前記開口部を開放するドア開放位置にて少なくともドアの一部が納まるドア収納部を設け、前記小物収納部と前記ドア収納部間にドアの開放位置と閉止位置間の移動軌跡と干渉しない高さに設定されている仕切り壁部と、該仕切り壁部の前記ドア収納部側に設けられたガイド溝のあるスライドガイド部材と、一端はドア開放方向にあるドア基端部と回動連結し、他端は前記ガイド溝に沿ってスライドする遮蔽部材と、を備え、ドア閉止位置で前記仕切り壁部の上端部とドア端部に形成した隙を、前記ドア基端部のドア閉止位置方向への牽引により、移動した前記遮蔽部材で塞ぐことを特徴とする車両用収納装置。


【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−31673(P2011−31673A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177934(P2009−177934)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】