説明

車両用操舵装置および、そのシャフトカバー

【課題】 車体側への組み付け後のスパイラルケーブルの中立位置を保証しつつ、車体側へ各部品の組み付け工程を最適化できるステアリング装置を提供すること。
【解決手段】 上下のステアリングシャフト間に設けられ、ステアリングホイールの操舵角に対して補助舵角を加減算する舵角比可変アクチュエータと、前記舵角比可変アクチュエータを収装し、車体側に固定されるシャフトカバーと、一端が前記シャフトカバー側に固定されるとともに、前記ステアリングシャフトに巻回され、他端が前記舵角比可変アクチュエータに固定され、電流路を構成するスパイラルケーブルと、を備えた車両用操舵装置において、前記上下のステアリングシャフトのうち、前記スパイラルケーブルが連結された一方のステアリングシャフトの回転を前記シャフトカバーに対して規制するケーブル位置保持手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータを有する車両用操舵装置に関し、特に、電動アクチュエータへ通電するスパイラルケーブルのケーブル位置保持手段を有する車両用操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングシャフトに組み付けられる電動アクチュエータとして舵角比可変アクチュエータを有し、このアクチュエータを介して運転者によるステアリングホイール(ハンドル)の操舵角と操向輪の転舵角との間の舵角比を変更可能なステアリング装置は公知である。また、電動アクチュエータへの通電用として、一端がハンドル側と一体回転可能に、他端が車体側に固定して設置されているスパイラルケーブルも公知である。一般に、このようなスパイラルケーブルをステアリング装置に組み込むまでの間、スパイラルケーブルを中立位置に保持する必要がある。このような保持を可能にするロック機構として、例えば下記文献1,2に記載のように、スパイラルケーブルを収装するハウジング間の相対回転を仮止めピン等により規制するものが提案されている。
【特許文献1】特開平8−213133号公報
【特許文献2】実開昭64−27993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術は、ハウジング間をピン等により直接連結する、言い換えるとスパイラルケーブル単体で位置規制する構成を採っている。このため、例えば、スパイラルケーブルが電動アクチュエータとともにシャフトカバーに覆われた状態で、これを一体の部品として車体側に組み付ける工程を実現しようとした場合、第1に、組み付け後に仮止め用ピンを抜くことができない。第2に、ピンが外部から視認できないため、両ハウジングが回動中立位置に確実に保持されているかどうか確認できない。よって、ステアリング装置の各部品の組み付け工程の最適化と、車体側への組み付け後におけるスパイラルケーブル中立位置の保証との両立が困難であった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、車体側への組み付け後のスパイラルケーブルの中立位置を保証しつつ、車体側へ各部品の組み付け工程を最適化できるステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の車両用操舵装置では、上下のステアリングシャフト間に設けられ、ステアリングホイールの操舵角に対して補助舵角を加減算する舵角比可変アクチュエータと、前記舵角比可変アクチュエータを収装し、車体側に固定されるシャフトカバーと、一端が前記シャフトカバー側に固定されるとともに、前記ステアリングシャフトに巻回され、他端が前記舵角比可変アクチュエータに固定され、電流路を構成するスパイラルケーブルと、を備えた車両用操舵装置において、前記上下のステアリングシャフトのうち、前記スパイラルケーブルが連結された一方のステアリングシャフトの回転を前記シャフトカバーに対して規制するケーブル位置保持手段を設けた。
【発明の効果】
【0006】
本発明の車両用操舵装置にあっては、舵角比可変アクチュエータがシャフトカバーに覆われた状態のままでもスパイラルケーブルの中立位置を保持できるため、車体側への組み付け前後を通じてスパイラルケーブルの中立位置を保証しつつ、車体側へ各部品の組み付け工程を最適化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は、実施例1の車両用操舵装置の構成を表す概略図である。車両用操舵装置は、ステアリングホイール1、ステアリングシャフト、およびステアリングギヤ4を有している。ステアリングシャフトは、アッパシャフト2および中間シャフト3を有している。中間シャフト3には、舵角比可変制御機構10が設けられている。舵角比可変制御機構10は、スパイラルケーブル11、電動アクチュエータ12、およびこれらを収装するシャフトカバー20を有している。電動アクチュエータ12の入力軸30と出力軸31とにより中間シャフト3が構成されている。また、図外の車体側バッテリからバッテリケーブル11bが延伸し、シャフトカバー20を貫通してスパイラルケーブル11に接続されている。なお、図1において、後述する本発明の保持具は記載していない。
【0009】
ステアリングホイール1にはアッパシャフト(ステアリングコラム)2が接続され、アッパシャフト2のロア側には中間シャフト3(入力軸30)が接続され、中間シャフト3のロア側(出力軸31)にはステアリングギヤ4が接続されている。ステアリングギヤ4は、例えば周知のラック&ピニオン機構により構成されている。運転者によりステアリングホイール1が操作されると、アッパシャフト2の回転が入力軸30を介して舵角比可変制御機構10に伝達される一方、舵角比可変制御機構10の出力軸31の回転によりステアリングギヤ4のピニオンが回転する。ピニオンの回転は、ラック軸の軸方向移動に変換され、操向輪を転舵する。
【0010】
スパイラルケーブル11および電動アクチュエータ12を収装するシャフトカバー20は、電動アクチュエータ12をエンジン室側から防水するためのエンジン室側カバー21と、電動アクチュエータ12から車室内への騒音の伝達を遮断するための車室側カバー22と、を有している。エンジン室側カバー21および車室側カバー22は、車体側のダッシュボードに一体に固定設置される。
【0011】
図2は、電動アクチュエータ12の入力軸30に設けられたスパイラルケーブル11の軸直方向断面図を示す。スパイラルケーブル11は、シャフトカバー20に固定して設置されたハウジング11aと、ハウジング11a内に巻回収装される電源ケーブル11cと、を有している。電源ケーブル11cは、その一端がハウジング11aに固定して連結され、入力軸30の外周に余裕を持って巻かれた後、その他端が入力軸30に固定して連結されている。ハウジング11aに連結された電源ケーブル11cの一端は、バッテリケーブル11bと接続している。
【0012】
図3は、舵角比可変制御機構10の構成を表す概略図である。アッパ側(ステアリングホイール1の側)の中間シャフト30は電動アクチュエータ12の入力軸30を構成しており、入力軸30には、電動モータ12aを構成する部品であるステータ13が一体に設けられている。スパイラルケーブル11において入力軸30に連結された電源ケーブル11cはステータ13に接続されている。電源ケーブル11cは入力軸30の外周に余裕を持って巻かれているため、入力軸30が回転したときも、常にステータ13に電源等を供給可能である。ステータ13の内周には電動モータ12aを構成する部品であるロータ14が設けられており、このロータ14の回転により入力軸30の回転が増減速されて出力軸31に出力される。このようにステータ13に供給する電力を制御することで所望の舵角比を達成できる。なお、舵角比可変制御機構10の詳細については、例えば特開2006−176102号公報や特開2003−324836号公報等に記載されているため、説明を省略する。
【0013】
(保持具)
図4は、中間シャフト3に設けられた舵角比可変制御機構10を車両幅方向から見た図であり、図5は、車両後方、すなわち図4のA方向から見た図である。斜線部で示すように、車室側カバー22のアッパ側(ステアリングホイール1の側)かつ車両下側の角部には、スパイラルケーブル11(電源ケーブル11c)の位置を中立に保持するための保持具40が取り付けられている。取り付けられた保持具40は、車両側面視において略L字形状を有している(図4参照)。保持具40の一端には入力軸30と係合するステアリングシャフト側係合部41が設けられ、他端にはシャフトカバー20(車室側カバー22)と係合する車体側係合部42が設けられている。これに対応して、入力軸30の側には、保持具40と係合する受部として、入力軸30と一体回転する延長軸30aが設けられている。また、シャフトカバー20(車室側カバー22)の側には、アッパ側かつ車両下側に、保持具40と係合する受部220が形成されている。保持具40は、延長軸30aと受部220とを連結する。
【0014】
図6は、保持具40が取り付けられた舵角比可変制御機構10を入力軸30の側、すなわち図4のB方向から見た図である。延長軸30aを斜線部で示す。延長軸30aは、その表面に軸方向で対向した2つの平坦面を有している。すなわち、延長軸30aには、軸方向に沿って、車両前後方向に平行な2つの面30b、30cが形成されている。また、保持具40は、上記平坦面に保持する保持部を有している。すなわち、保持具40のステアリングシャフト側係合部41は脚部41a、41bを有しており、延長軸30aはこれらの脚部41a、41bに挟み込まれるようにして、脚部41a、41bの間に形成される凹部41iに嵌合する。脚部41a、41bの内側には互いに平行な面41e、41fが形成されており、それぞれ延長軸30aの面30b、30cと当接している。これにより、保持具40に対する入力軸30(延長軸30a)の回転が規制される。
【0015】
また、脚部41a、41bの各先端には爪部41c、41dが形成されている。爪部41c、41dには、互いに対向する方向に突出する係止部41g,41hがそれぞれ形成されており、これらは延長軸30aの円弧部30dに係止する。これにより、凹部41iにおける入力軸30の軸直方向変位、言い換えれば保持具40に対する入力軸30(延長軸30a)の抜けが防止される。このように凹部41iは延長軸30aの軸直方向断面と略同一の寸法・形状に設けられており、延長軸30aが凹部41iに嵌合することで、保持具40に対する入力軸30(延長軸30a)の回転方向および軸直方向の変位が規制される。ただし、凹部41iにおいて入力軸30(延長軸30a)はある程度まで軸方向に摺動可能に設けられている。
【0016】
また、保持具40はある程度まで弾性変形可能な材料で形成されているため、ステアリングシャフト側係合部41が入力軸30へ嵌合した状態では、弾性力を有する爪部41c、41dの作用により入力軸30の上記抜けが防止されるが、人の手によって保持具40(ステアリングシャフト側係合部41)を入力軸30から取り外すことは容易である。
【0017】
図7は、図4におけるC−C断面図の一部であり、保持具40と車室側カバー22との係合箇所を示す。車室側カバー22の受部220は、図4に示すように、車両幅方向から見てコの字状の外縁部222とこれに囲まれる長方形の係合溝221とを有しており、これらに保持具40の車体側係合部42が係合する。すなわち、図7に示すように、中間シャフト3の軸方向から見ると、受部220は、車室側カバー22に接着した台形状の基部222と、上記基部221に接着した長方形の外縁部222とから形成されており、基部221と外縁部222との間に係合溝221が形成されている。一方、車体側係合部42には、爪部42a、42bが形成されている。爪部42a、42bには、互いに対向する方向に突出する係止部42d、42eがそれぞれ形成されており、受部220の係合溝221に係止する。これにより、係合溝221における爪部42a、42bの軸直方向変位、言い換えれば車室側カバー22に対する保持具40の抜けが防止される。ただし、中間シャフト3の軸方向において係合溝22が延在する範囲内で、保持具40は上記軸方向に摺動可能である。
【0018】
また、車体側係合部42には、各爪部42a、42bと一体に脱着部42c、42dが形成されている。これら脱着部42c、42dを人の手でつかみ、図7の矢印方向Dに力を加えることにより、図8に示すように、例えば洗濯ばさみが開くように各爪部42a、42bが図8の矢印方向Eに変位する。これにより各爪部42a、42b間の距離が広がり、係合溝221と各爪部42a、42bとの係合が解かれるため、図8の矢印方向Fに保持具40を容易に取り外すことができる。このように保持具40を車室側カバー22に脱着することが容易なように脱着部42c、42dが形成されている。ただし、舵角比可変制御機構10を車両に取り付けた後に保持具40を取り外すことができればよく、必ず脱着部42c、42dを設けなければならないわけではない。
【0019】
〔車体への組み付け工程〕
図9、図10は、スパイラルケーブル11と電動アクチュエータ12をシャフトカバー20(エンジン室側カバー21および車室側カバー22)に収装した状態(以下、組立状態という。図4参照)の舵角比可変制御機構10を車体に取り付ける工程を示す。図9は車室側から見た図であり、図10はエンジン室側から見た図である。シャフトカバー20からはバッテリケーブル11bが延伸しており、舵角比可変制御機構10を車体に取り付けた後、図外のバッテリに接続される。電動アクチュエータ12の入力軸30と出力軸31とにより中間シャフト3が構成されているため、以下のように、組立状態の舵角比可変制御機構10を通常の中間シャフトと同様の一部品として取り扱うことができる。
【0020】
(車体ダッシュボードへの固定)
図9の(a)に示すように、第1に、組立状態の舵角比可変制御機構10を車体ダッシュボードへ固定する。すなわち、スパイラルケーブル11と電動アクチュエータ12とを収装した状態のシャフトカバー20のうち、エンジン室側カバー21と車室側カバー22とが重なり合っている部分である取り付け部23(図1参照)を、ボルト等により貫通させて車体ダッシュボードへ固定締結する。
【0021】
ここで、組立状態の舵角比可変制御機構10には、車体ダッシュボードへの組み付け前に予め保持具40が取り付けられている。これにより、シャフトカバー20に対する入力軸30の回転が規制され、シャフトカバー20に固定されたスパイラルケーブル11(電源ケーブル11c)の一端と入力軸30に固定されたスパイラルケーブル11(電源ケーブル11c)の他端との相対回転が規制される。すなわち、組立状態の舵角比可変制御機構10の車体ダッシュボードへの組み付け前および組み付け中、スパイラルケーブル11の中立位置が保証される。
【0022】
なお、上記のように保持具40のステアリングシャフト側係合部41と入力軸30(延長軸30a)との間、また、保持具40の車体側係合部42とシャフトカバー20(車室側カバー22)との間は、互いにある程度まで入力軸30の軸方向に摺動可能に設けられている。よって、シャフトカバー20に対する入力軸30の上記軸方向への変位はある程度許容される。このため、後述する入力軸30とアッパシャフト2との締結工程、および出力軸31とステアリングギヤ4との締結工程において、電動アクチュエータ12がシャフトカバー20内の隙間で上記軸方向に変位することが必要になっても、この変位分(ガタ分)は確保される。
【0023】
(入力軸とアッパシャフトの締結)
図9の(b)に示すように、第2に、電動アクチュエータ12の入力軸30(延長軸30a)とアッパシャフト(ステアリングコラム)2とを締結する。すなわち、車室側カバー22から車両上方に突出して保持具40と係合している延長軸30aを、ジョイント2aを介してアッパシャフト(ステアリングコラム)2と締結する。具体的には、ジョイント2aと結合したアッパ側の開放ヨーク2bに延長軸30aをボルト締結する。
【0024】
(出力軸とステアリングギヤの締結)
図10の(c)に示すように、第3に、電動アクチュエータ12の出力軸31とステアリングギヤ4とを締結する。すなわち、舵角比可変制御機構10の車体ダッシュボードへの取り付け後、エンジン室内に突出している出力軸31を、ジョイント4aを介してステアリングギヤ4のピニオンと締結する。具体的には、ジョイント4aと結合したロア側の開放ヨーク4bに出力軸31をボルト締結する。
【0025】
(保持具の取り外し)
図9の(d)に示すように、第4に、車体ダッシュボードに固定締結した舵角比可変制御機構10から保持具40を取り外す。上記のように、舵角比可変制御機構10の車体への組み付け前および組み付け中、スパイラルケーブル11の中立位置が保証されるとともに、入力軸30およびシャフトカバー20に対する保持具40の抜けが防止される。組み付け後は、スパイラルケーブル11の中立位置がすでに保証されており、中間シャフト3(入力軸30)の回転を許容する必要があるため、保持具40を外す。
【0026】
ここで、保持具40はある程度まで弾性変形可能であるため、人の手によって保持具40を取り外すことができる。また、図9では図示していないが、保持具40の車体側係合部42には脱着部42c、42dが形成されているため、保持具40を取り外す作業が容易である。さらに、保持具40は(車体に組み付けられた)舵角比可変制御機構10の車両下側に取り付けられているため、狭い作業空間内で保持具40を容易に取り外すことができる。
【0027】
〔従来技術との対比における実施例1の作用効果〕
従来、スパイラルケーブルを中立位置に保持する仮止め手段として、例えば特開平8−213133号公報に記載の技術は、スパイラルケーブルを収装する両ハウジングの相対回動を、仮止め用のロックピンを用いて規制している。また、実開平5−62358号公報に記載の技術は、破断容易なシールを用いて中立位置を保持し、シールの破断により仮止めを解除している。
【0028】
しかし、上記従来技術はスパイラルケーブル単体で位置規制する構成を採っており、仮止め手段(ロックピン等)は直接にスパイラルケーブルに設置される。このため、スパイラルケーブルが電動アクチュエータとともにシャフトカバーに覆われた組立状態を1つの部品として扱い、組立状態のまま一体として車体に組み付ける工程を実現しようとした場合、第1に、組み付け後に仮止め手段を取り外す(ロックピンを抜く)ことができない。よって、組立状態の部品を車体に組み付けることが不可能であるため、ステアリング装置の各部品の組み付け工程の最適化が図れない。第2に、仮止め手段として破断容易なシールを用いた場合、上記第1の問題は解決可能となるが、この場合、組み付けの前および最中において上記シールを外部から視認できない。よって、シールが破断しているか否かを確認できる手段がなく、スパイラルケーブルが中立位置に保持されているかどうかの保証がない。
【0029】
上記第1の問題についてみると、従来技術において、仮止め手段の取り外し(ロックピンを抜くこと)を可能としつつ、中間シャフトに舵角比可変アクチュエータを設けてこれを車体側に設置する工程は、以下のようになる。第1に、エンジン室側カバーを車体ダッシュボードに取り付ける。第2に、入力軸および出力軸を有する電動アクチュエータ(およびスパイラルケーブル)の出力軸をエンジン室側カバーに差し込む。第3に、エンジン室内に突出する上記出力軸とステアリングギヤとを締結する。第4に、スパイラルケーブルのロックピンを抜く。第5に、車室側カバーを、上記入力軸に差し込んだ上で、車体側(エンジン室側カバーまたは車体ダッシュボード)に取り付ける。第6に、上記入力軸とアッパシャフトとを締結する。
【0030】
本実施例1の組み付け工程と比較すると、従来技術の上記工程は、第1に、電動アクチュエータおよびスパイラルケーブルをシャフトカバーに装着する工程(上記第2、第5の工程)を要する点で本実施例1と異なる。第2に、仮止め手段を取り外す工程(上記第4の工程)が、最終工程ではなく他の工程の前となる点で本実施例1と異なる。
【0031】
上記第1の相違点についてみると、従来技術では、エンジン室側カバーを車体に取り付けた後、上記組立(上記第2、第5の工程)を車体側で行うことになる。一方、本実施例1では、上記第2、第5の工程に相当する組立工程を、車体側でなく別の場所で行う。言い換えると、電動アクチュエータ等をシャフトカバーに組み付ける第1の作業と、(シャフトカバーに組み付けられた)電動アクチュエータ等を車体に組み付ける第2の作業とが分離されている。本実施例1では、第1の作業を分離して行うことにより、電動アクチュエータ等の精密機械のシャフトカバーへの装着を正確かつ容易に行うことができる。
【0032】
また、第2の作業を分離して行うことにより、組立状態の電動アクチュエータ等を、通常の中間シャフトと同様に1つの部品として扱うことができる。すなわち、電動アクチュエータ等を車体に組み付ける際、上記第2、第5の工程(第1の作業)が不要となり、通常の中間シャフトの組み付けと同様の工程(車体ダッシュボードへの締結、入力軸側および出力軸側の締結)で済むことになる。よって、上記従来技術に対し、第1の作業の分だけ、車体への組み付け時間を短縮することができる。したがって、車体への組み付け作業の効率化を図ることができる。
【0033】
以上より、本実施例1では、車体側へ各部品の組み付け工程を最適化できる。
【0034】
上記第2の相違点についてみると、従来技術では、スパイラルケーブルの仮止め手段(ロックピン)を取り外した後、車室側カバーの取り付け作業、および入力軸とアッパシャフトとの締結作業が行われる。よって、これらの作業の間、スパイラルケーブルが中立位置に保持されている保証がない。一方、本実施例1では、電動アクチュエータ等の車体への組み付け作業が完了するまで保持具40を取り外さないため、組み付け作業の前後で確実に中立位置が保証される。
【0035】
〔本実施例1の効果〕
以下、本実施例1の効果について列挙する。
(1)本実施例1では、上下のステアリングシャフト(入力軸30および出力軸31)間に設けられ、ステアリングホイール1の操舵角に対して補助舵角を加減算する電動アクチュエータ12と、電動アクチュエータ12を収装し、車体側に固定されるシャフトカバー20と、一端がシャフトカバー20に固定されるとともに、入力軸30に巻回され、他端が電動アクチュエータ12に固定され、電流路を構成するスパイラルケーブル11と、を備えた車両用操舵装置において、上下のステアリングシャフト(入力軸30および出力軸31)のうち、スパイラルケーブル11が連結された一方のステアリングシャフト(入力軸30)の回転をシャフトカバー20に対して規制する保持具40を設けた(請求項1に対応)。
【0036】
よって、電動アクチュエータ12やスパイラルケーブル11をシャフトカバー20に装着する第1の作業と、(シャフトカバー20に装着された)電動アクチュエータ12等を車体に組み付ける第2の作業とを分離することにより、電動アクチュエータ12等のシャフトカバー20への装着を正確かつ容易に行うことができるとともに、車体への組み付け作業の効率化を図ることができる。一方、電動アクチュエータ12等を車体へ組み付ける作業の前後でスパイラルケーブル11の中立位置が保証される。したがって、スパイラルケーブル11の中立位置を保証しつつ、車体への各部品の組み付け工程を最適化できる。
なお、エアバッグ等と異なり、舵角比可変アクチュエータには、スパイラルケーブル11を介して電気信号ではなく電力が供給される。このため、電源ケーブル11cは一定の太さ(径)を有することとなり、容易に破断しない。よって、舵角比可変制御機構をステアリング装置に組み付ける場合には、電源ケーブル11c(スパイラルケーブル11)の巻き位置の非対称によりハンドル操作が妨げられる事態を防止する要請が高い。したがって、舵角比可変制御機構を有するステアリング装置に本発明を適用した場合、スパイラルケーブル11の中立位置が保証されるため、確実に上記事態を防止できる。
【0037】
(2)シャフトカバー20に受部220を設け、保持具40は、スパイラルケーブル11が連結された一方のステアリングシャフト(入力軸30)の回転を受部220に対して規制することとした(請求項2に対応)。
【0038】
すなわち、保持具40を介して延長軸30aと受部220とを連結固定することにより、シャフトカバー20に対する入力軸30の回転が規制される。このため、シャフトカバー20の中に電動アクチュエータ12およびスパイラルケーブル11が装着された状態であっても、入力軸30に一端が固定され、シャフトカバー20に他端が固定されたスパイラルケーブル11の中立位置を保持できる。したがって、電動アクチュエータ12等をシャフトカバー20に装着した状態のまま車体へ組み付ける場合であっても、組み付け作業の前後を通じてスパイラルケーブル11の中立位置を確実に保証できる。
【0039】
(3)保持具40は、受部220に係合し、シャフトカバー20から離れる方向へ保持具40が移動することを規制する爪部42a、42bを有することとした(請求項3に対応)。
よって、シャフトカバー20に対する保持具40の抜けが防止されるため、組み付け作業の前後を通じてスパイラルケーブル11の中立位置を保持できる。
【0040】
(4)保持具40は、爪部42a、42bの係合を解除する脱着部42c、42dを有することとした(請求項4に対応)。
すなわち、脱着部42c、42dを人の手で掴んで力を加えることにより、シャフトカバー20の受部220に対する各爪部42a、42bの係合を解くことが可能なため、保持具40を容易に取り外すことができる。よって、保持具40をシャフトカバー20に脱着することが容易である。
【0041】
(5)スパイラルケーブル11が連結された入力軸30に延長軸30aを設け、保持具40は、延長軸30aの回転をシャフトカバー20に対して規制することとした(請求項5に対応)。
よって、上記(2)と同様の効果を有する。
【0042】
(6)延長軸30aは、入力軸30の表面に形成され、軸方向で対向した2つの平坦面30b、30cを有することとした(請求項6に対応)。
これに対応して、保持具40は、これら平坦面30b、30cと面接触する当接部41e、41fを有することとした。よって、保持具40のステアリングシャフト側係合部41の凹部41iに嵌合した延長軸30aは、上記面接触により回転方向の変位が規制されることとなり、保持具40に対する入力軸30(延長軸30a)の回転が防止される。したがって、スパイラルケーブル11の中立位置を保持できる。
【0043】
(7)保持具40は、スパイラルケーブル11が連結された入力軸30(延長軸30a)に係合し、入力軸30(延長軸30a)から離れる方向へ保持具40が移動することを規制する爪部41c、41dを有することとした(請求項7に対応)。
よって、入力軸30(延長軸30a)に対する保持具40の抜けが防止されるため、組み付け作業の前後を通じてスパイラルケーブル11の中立位置を保持できる。
【0044】
(8)保持具40は、シャフトカバー20を車体側に固定した状態で、車両上下方向で下側に位置することとした(請求項8に対応)。
よって、電動アクチュエータ12等をシャフトカバー20とともに車体へ組み付けた後、作業者が容易に保持具40を取り外すことができる。
【0045】
(9)スパイラルケーブル11が連結された入力軸30は、保持具40に対して軸方向に所定範囲で移動可能であることとした(請求項9に対応)。
すなわち、中間シャフト3の軸方向において係合溝22が延在する範囲内で、保持具40は上記軸方向に摺動可能である。このため、シャフトカバー20に対する入力軸30の上記軸方向への変位はある程度許容されるため、組み付け工程におけるガタ分を確保できる。よって、保持具40を取り付けたままでも、入力軸30および出力軸31に他の部品(アッパシャフト2等)を組み付けることが可能になり、保持具40を最終工程において取り外すことが可能になる。したがって、組み付け作業の前後を通じてスパイラルケーブル11の中立位置を確実に保証できる。
【0046】
(10)シャフトカバー20は、上下のステアリングシャフト(入力軸30および出力軸31)間に設けられ、ステアリングホイール1の操舵角に対して補助舵角を加減算する電動アクチュエータ12を収装し、車体側に固定されるカバーであって、一端がシャフトカバー20に固定されるとともに、入力軸30に巻回され、他端が電動アクチュエータ12に固定され、電流路を構成するスパイラルケーブル11を収装し、上下のステアリングシャフト(入力軸30および出力軸31)のうち、スパイラルケーブル11が連結された一方のステアリングシャフト(入力軸30)の回転をシャフトカバー20に対して規制する保持具40を連結する受部220を設けた(請求項10に対応)。
よって、上記(1)と同様の効果を有する。
【実施例2】
【0047】
次に、実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例2の保持具50は、実施例1と同様、スパイラルケーブル11が連結された入力軸30のシャフトカバー20に対する回転を規制する。実施例1と異なり、入力軸30の側の受部51とシャフトカバー20の側の受部52とを、脱着可能なピン53により連結する。
【0048】
[実施例2の構成]
図11は、実施例2の舵角比可変制御機構10のアッパ側(ステアリングホイール1の側)部分を、入力軸30の軸直方向から見た図であり、図12は、上記部分を入力軸30の軸方向(図11の矢印方向G)から見た図である。
【0049】
図12に示すように、入力軸30(延長軸30a)に嵌合した受部51は円板状部材であり、軸孔51bが中心部に形成され、ピン53が挿入される係合孔51aが周縁部に形成されている。軸孔51bは、延長軸30aの軸直方向断面と略同一の寸法・形状に設けられている。延長軸30aは、実施例1と同様、その表面に軸方向で対向した2つの平坦面30b、30cを有しており、受部51は、この平坦面30b、30cに保持する保持部(軸孔51b)を有している。すなわち、延長軸30aの面30b、30cと軸孔51b内周の平行な2面とが当接して嵌合することで、受部51と延長軸30aとの相対回転が規制され、入力軸30と受部51とが一体回転する。なお、受部51は、舵角比可変制御機構10の車体への取り付け後においても、入力軸30に取り付けたままである。
【0050】
図11に示すように、シャフトカバー20(車室側カバー22)と一体に設けられているホールカバー22aの開口縁部には、受部52が形成されている。受部52においても、係合孔51aと同様の、ピン53が挿入される係合孔52aが形成されている。係合孔51a、52aは、入力軸30から同距離に設けられている。
【0051】
入力軸30の軸方向から見て係合孔51a、52aの位置が一致するとき、ピン53を係合孔51a、52aに挿入することで、受部51(延長軸30a)と受部52(車室側カバー22)との相対回転が規制される。ここで、上記位置が一致するとき、同時に、スパイラルケーブル11が中立位置となることが可能なように、係合孔51aの位置が設けられている。また、ピン53には、ピン挿入後の脱落を防止するための係止部53aが形成されている(係止部53aは円弧状であるため、ピン挿入後、ピン53を人の手で再び引き抜くことができる)。ピン53は、入力軸30の軸方向にのみ移動(脱着)可能であるため、入力軸30の軸直方向へピン53が脱落する心配はない。また、実施例1と同様、ピン53の取り付け位置は、車体への組み付け時に車両上下方向下側になるように設けられている。
【0052】
なお、入力軸30の軸方向で受部51、52にそれぞれ係合する上記ピン53を用いる代わりに、入力軸30の軸直方向で受部51、52にそれぞれ係合する保持具を用い、実施例1と同様、上記係合する箇所に脱着用の爪部を設け、入力軸30の軸直方向での脱落を防止する構成としてもよい。また、実施例1と同様、この爪部の係合を解除する脱着部を設けてもよい。
【0053】
[実施例2の作用効果]
本実施例2の車両用操舵装置では、スパイラルケーブル11が連結された入力軸30と一体回転する受部51を設け、シャフトカバー20に受部52を設け、ピン53は、受部51と受部52とを連結して、受部51の回転を受部52(シャフトカバー20)に対して規制することとした(請求項5に対応)。
【0054】
よって、スパイラルケーブル11の中立位置で、受部51と受部52とをピン53により連結固定することにより、シャフトカバー20に対する入力軸30の回転が規制される。また、シャフトカバー20に装着した状態で電動アクチュエータ12およびスパイラルケーブル11を車体へ組み付けた後、受部51、52からピン53を引き抜くことができる。このため、電動アクチュエータ12等をシャフトカバー20に装着した状態のまま車体へ組み付けることと、組み付け作業の前後を通じてスパイラルケーブル11の中立位置を保証することとを両立できる。他の効果は、実施例1と同様である。
【0055】
なお、特開平11−280777に記載されているような、アッパ側の開放ヨーク2b(図9参照)と延長軸30aとを締結する際の仮止め具(カラー)と一体に、上記受部51を形成することとしてもよい。このカラーは、開放ヨーク2bに延長軸30aを連結する作業の簡便迅速かつ容易化を図るものである。具体的には、カラー側の部材に、ピン53が挿入される係合孔51aを形成する。このように、スパイラルケーブル11が連結された入力軸30(延長軸30a)に受部51を設け、保持具(ピン53)は、受部51と受部52とを連結することとした場合(請求項8に対応)、カラーと入力軸30(延長軸30a)側の受部51とを一つの部品とすることが可能となるため、作業効率を上げつつ、部品点数を削減することができる。
【実施例3】
【0056】
次に、実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例3の保持具60は、実施例1と同様、スパイラルケーブル11が連結された入力軸30のシャフトカバー20に対する回転を規制する。実施例1と異なり、上記相対回転を、回転止めにより規制する。
【0057】
[実施例3の構成]
図13は、実施例3の舵角比可変制御機構10のアッパ側(ステアリングホイール1の側)部分を、入力軸30の軸直方向から見た図であり、図14は、上記部分を入力軸30の軸方向(図13の矢印方向H)から見た図である。
【0058】
実施例1の保持具40のステアリングシャフト側係合部41と同様、延長軸30aには保持具60が嵌合し、延長軸30aと保持具60との相対回転は規制される。上記嵌合箇所において保持具60は一対の爪部61a、61bにより延長軸30aに係止しており、延長軸30aに対する保持具60の抜けが防止される。また、保持具60は一対の脚部62a、62bを有している。脚部62a、62bはそれぞれ、延長軸30aから対称に外周側に延伸する部材62a、62bと、ホールカバー22aの外周面と平行な部材62c、62dと、から構成されている。部材62a、62bとそれぞれ結合した部材62c、62dは、延長軸30a(保持具60)の回転に伴い、ホールカバー22aの外周面に沿って回動する。
【0059】
ホールカバー22aの外周面には、一対の凸部63a、63bが延長軸30aについて対称に形成されている。延長軸30aと一体回転する保持具60(の部材62c、62d)が凸部63a、63bに係止することで、延長軸30aの車室側カバー22に対する回転が規制される。ここで、上記係止と同時に(ホールカバー22aの外周面に位置決め用の印を設けた場合は、この印と部材62c、62dの位置とが一致したときに)、スパイラルケーブル11が中立位置となることが可能なように、凸部63a、63bの位置が設けられている。また、保持具60には、延長軸30aへの脱着を容易にする脱着部60aが形成されており、人の手で保持具60を脱着可能である。なお、実施例1と同様、脱着部60aの取り付け位置は、車体への組み付け時に車両上下方向下側になるように設けられている。
【0060】
[実施例3の作用効果]
本実施例3の車両用操舵装置では、スパイラルケーブル11が連結された入力軸30と一体回転する保持具60を設け、シャフトカバー20に凸部63a、63bを設け、保持具60は、入力軸30の回転を凸部63a、63bに対して規制することとした(請求項2に対応)。
【0061】
すなわち、入力軸30(保持具60)の回転を凸部63a、63bにより規制することとしたため、シャフトカバー20に対する入力軸30の回転が規制され、スパイラルケーブル11を中立位置に確保できる。また、シャフトカバー20に装着した状態で電動アクチュエータ12およびスパイラルケーブル11を車体へ組み付けた後に、延長軸30aから保持具60を引き抜くことができる。このため、電動アクチュエータ12等をシャフトカバー20に装着した状態のまま車体へ組み付けることと、組み付け作業の前後を通じてスパイラルケーブル11の中立位置を保証することとを両立できる。他の効果は、実施例1と同様である。
【0062】
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例1〜3に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、電動アクチュエータとして、舵角比可変アクチュエータだけでなく、エアバッグ等のアクチュエータを用いてもよい。また、電動アクチュエータの入力軸と車体側との相対回転を規制するのではなく、出力軸と車体側との相対回転を規制する必要がある場合にも、本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1の車両用操舵装置の車幅方向側面図である。
【図2】実施例1のスパイラルケーブルの軸直方向断面図である。
【図3】実施例1の舵角比可変制御機構の概略構成図である。
【図4】実施例1の保持具を設けた舵角比可変制御機構の車幅方向側面図である。
【図5】実施例1の保持具を設けた舵角比可変制御機構の車両後方向側面図(図4のA方向側面図)である。
【図6】実施例1の保持具を設けた舵角比可変制御機構の軸方向側面図(図4のB方向側面図)である。
【図7】実施例1の保持具と車室側カバーとの係合箇所を示す図(図4のC−C断面図)である。
【図8】実施例1の保持具の係合解除を示す図(図4のC−C断面図)である。
【図9】実施例1の保持具を設けた舵角比可変制御機構を車体に取り付ける工程を示す図である(車室側)。
【図10】実施例1の保持具を設けた舵角比可変制御機構を車体に取り付ける工程を示す図である(エンジン室側)。
【図11】実施例2の受部を設けた舵角比可変制御機構(部分)の軸直方向側面図である。
【図12】実施例2の受部を設けた舵角比可変制御機構(部分)の軸方向側面図(図11のG方向側面図)である。
【図13】実施例3の保持具を設けた舵角比可変制御機構(部分)の軸直方向側面図である。
【図14】実施例3の保持具を設けた舵角比可変制御機構(部分)の軸方向側面図(図11のH方向側面図)である。
【符号の説明】
【0064】
2 アッパシャフト
2b 開放ヨーク
3 中間シャフト
4 ステアリングギヤ
10 舵角比可変制御機構
11 スパイラルケーブル
11c 電源ケーブル
12 電動アクチュエータ
20 シャフトカバー
21 エンジン室側カバー
22 車室側カバー
30 入力軸
30a 延長軸
31 出力軸
40 保持具
41 ステアリングシャフト側係合部
41c、41d 爪部
42 車体側係合部
42a、42b 爪部
42c、42d 脱着部
50 保持具
51、52 受部
53 ピン
60 保持具
63a、63b 凸部
220 受部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下のステアリングシャフト間に設けられ、ステアリングホイールの操舵角に対して補助舵角を加減算する舵角比可変アクチュエータと、
前記舵角比可変アクチュエータを収装し、車体側に固定されるシャフトカバーと、
一端が前記シャフトカバー側に固定されるとともに、前記ステアリングシャフトに巻回され、他端が前記舵角比可変アクチュエータに固定され、電流路を構成するスパイラルケーブルと、
を備えた車両用操舵装置において、
前記上下のステアリングシャフトのうち、前記スパイラルケーブルが連結された一方のステアリングシャフトの回転を前記シャフトカバーに対して規制するケーブル位置保持手段を設けたこと
を特徴とする車両用操舵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用操舵装置において、
前記シャフトカバーに第1受部を設け、
前記ケーブル位置保持手段は、前記スパイラルケーブルが連結された一方のステアリングシャフトの回転を前記第1受部に対して規制することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用操舵装置において、
前記ケーブル位置保持手段は、前記第1受部に係合し、前記シャフトカバーから離れる方向へ前記ケーブル位置保持手段が移動することを規制する第1爪部を有することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用操舵装置において、
前記ケーブル位置保持手段は、前記第1爪部の係合を解除する脱着部を有することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項5】
請求項1ないし4に記載の車両用操舵装置において、
前記スパイラルケーブルが連結された一方のステアリングシャフトに第2受部を設け、
前記ケーブル位置保持手段は、前記第2受部の回転を前記シャフトカバーに対して規制することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用操舵装置において、
前記第2受部は、前記スパイラルケーブルが連結された一方のステアリングシャフトの表面に形成され、軸方向で対向した2つの平坦面であることを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項7】
請求項1ないし6に記載の車両用操舵装置において、
前記ケーブル位置保持手段は、前記スパイラルケーブルが連結された一方のステアリングシャフトに係合し、前記一方のステアリングシャフトから離れる方向へ前記ケーブル位置保持手段が移動することを規制する第2爪部を有することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項8】
請求項1ないし7に記載の車両用操舵装置において、
前記ケーブル位置保持手段は、前記シャフトカバーを車体側に固定した状態で、車両上下方向で下側に位置することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項9】
請求項1ないし8に記載の車両用操舵装置において、
前記スパイラルケーブルが連結された一方のステアリングシャフトは、前記ケーブル位置保持手段に対して軸方向に所定範囲で移動可能であることを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項10】
上下のステアリングシャフト間に設けられ、ステアリングホイールの操舵角に対して補助舵角を加減算する舵角比可変アクチュエータを収装し、
車体側に固定されるシャフトカバーであって、
一端が前記シャフトカバー側に固定されるとともに、前記ステアリングシャフトに巻回され、他端が前記舵角比可変アクチュエータに固定され、電流路を構成するスパイラルケーブルを収装し、
前記上下のステアリングシャフトのうち、前記スパイラルケーブルが連結された一方のステアリングシャフトの回転を前記シャフトカバーに対して規制するケーブル位置保持手段を連結する受部を設けたこと
を特徴とするシャフトカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−37189(P2008−37189A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211532(P2006−211532)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】