車両用注意喚起装置
【課題】通信により取得した移動物体に関する情報を利用して、より効果的にドライバーに移動物体に対する注意を喚起することが可能な車両用注意喚起装置を提供する。
【解決手段】HMI制御部25は、光ビーコン通信機11、路車間通信機12又は車車間通信機13により得られた情報が、移動物体と自車両100との接触の可能性を示すときは、注意喚起表示53をディスプレイ31に表示させる。HMI制御部25は、注意喚起表示53が表示されているときに、通信で得られた情報から移動物体との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、注意喚起表示53より注意喚起の度合の低い注意喚起履歴表示54を表示させる。これにより通信で得られた情報から接触の可能性が無くなったことが判定されても、ドライバーの安全意識の低下を抑制でき、より効果的にドライバーに注意を喚起できる。
【解決手段】HMI制御部25は、光ビーコン通信機11、路車間通信機12又は車車間通信機13により得られた情報が、移動物体と自車両100との接触の可能性を示すときは、注意喚起表示53をディスプレイ31に表示させる。HMI制御部25は、注意喚起表示53が表示されているときに、通信で得られた情報から移動物体との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、注意喚起表示53より注意喚起の度合の低い注意喚起履歴表示54を表示させる。これにより通信で得られた情報から接触の可能性が無くなったことが判定されても、ドライバーの安全意識の低下を抑制でき、より効果的にドライバーに注意を喚起できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用注意喚起装置に関し、特には、通信により取得した自車両の外部の移動物体に関する情報に基づいて、自車両のドライバーに移動物体に対する注意喚起を行なう車両用注意喚起装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ビーコン等との無線通信により取得した情報に基づいて、自動車の運転の安全性を高めるための技術が提案されている。無線通信により他車両に関する情報を取得した場合、自車両にレーダ、カメラ等の特殊なセンサを搭載する必要が無いという利点がある。また、自車両から見通しの悪い交差点等であっても、他車両に関する情報を取得することができるという利点もある。例えば、特許文献1には、無線通信を介して取得した他車両の車両情報をドライバーに報知する車両用運転支援装置であって、自車両が見通しの悪い交差点に接近中であるか否かを判定し、自車両が当該交差点に接近中であると判定すると、自車両の速度が所定車速以下であるか否かを判定し、自車両の速度が所定車速以下であると判定すると、無線通信を介して取得した他車両の車両情報をドライバーに報知し、自車両の速度が所定車速より高いと判定すると、他車両の車両情報をドライバーに報知しないこととした装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−141114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術において、光ビーコンのような指向性の通信媒体を用いるものでは、無線通信で得られる情報は一過性のものであり、情報を更新することができないという欠点がある。例えば、図3に示すような交差点において自車両100が右折をする状況を想定する。あるいは、図5に示すような一時停止規制があるT字路において自車両100が交通量の多い道路に侵入する状況を想定する。このような場合、他車両200は監視センサ400により検出される。監視センサ400が検出した他車両200についての情報は、センターにより加工される。センターにより加工された他車両200についての情報は、路側の光ビーコン送信機300により、自車両100に送信される。自車両100のドライバーは、光ビーコン送信機300から受信した他車両200についての情報に基づいて、他車両200と自車両100との接触の可能性について、ブザー又はスピーカからの警報音やディスプレイの表示画面により注意を喚起される。
【0005】
このようなシステムにおいては、図3及び図5に示すように、自車両100が光ビーコン送信機300の通信範囲302内にいるときは、自車両100は光ビーコン送信機300から他車両200についての情報を取得することが可能である。ところが、図4及び図6に示すように、自車両100が光ビーコン送信機300の通信範囲302から移動した後は、光ビーコン送信機300から他車両200についての情報を新たに取得できない。このため、自車両100が通信範囲302から移動した後は、他車両200についての情報を更新することができない。このため、他車両200についての情報の確度は時間の経過とともに低下することとなる。
【0006】
確度が低下した他車両200についての情報に基づいて、他車両200と自車両100との接触の可能性が無くなったと判定された場合、実際には他車両200と自車両100との接触の可能性が有るにも関わらず、ドライバーには接触の可能性についての注意が喚起されない。そのため、ドライバーは他車両200との接触の可能性があるにも関わらず、安全が担保されたと錯覚する可能性がある。この場合は注意を喚起する音声や表示画面が消滅することになる。特に見通しの悪い交差点等では、不用意に交差点進入を促してしまう可能性もある。そのため、ドライバーがシステムを過度に信頼又は依存している場合には、システムが却って安全性の低い行動を助長する可能性もある。
【0007】
無指向性の電波を用いた路車間通信及び車車間通信では、自車両100は他車両200についての情報を随時受信し、更新することが可能である。しかしながら、このような無指向性の通信媒体においても、通信不良や検知不良等の場合には、上記と同様の問題が生じる可能性がある。特に、車車間通信においては、道路上を走行する各車両において、ある程度のシステムの普及率がない場合には、取得される情報の確度が低いという問題がある。このように、通信により他車両に関する情報を取得して、ドライバーに他車両についての注意を喚起する技術には問題が残る。そのため、通信により取得した他車両に関する情報を利用して、より効果的にドライバーに他車両に対する注意を喚起する手法が望まれている。
【0008】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、通信により取得した移動物体に関する情報を利用して、より効果的にドライバーに移動物体に対する注意を喚起することが可能な車両用注意喚起装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自車両の外部の移動物体に関する移動物体情報を通信により取得する情報所得ユニットと、情報取得ユニットが取得した移動物体情報に基づいて、自車両のドライバーに移動物体に対する注意喚起を行なう注意喚起ユニットとを備え、注意喚起ユニットは、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、自車両のドライバーに第1の注意喚起を行い、第1の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、自車両のドライバーに第1の注意喚起より注意喚起の度合の低い第2の注意喚起を行なう車両用注意喚起装置である。
【0010】
この構成によれば、自車両の外部の移動物体に関する移動物体情報を通信により取得する情報所得ユニットと、情報取得ユニットが取得した移動物体情報に基づいて、自車両のドライバーに移動物体に対する注意喚起を行なう注意喚起ユニットとを備えた車両用注意喚起装置が提供される。注意喚起ユニットは、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、自車両のドライバーに第1の注意喚起を行う。これにより、自車両のドライバーは自車両との接触の可能性がある移動物体についての注意が喚起される。注意喚起ユニットは、第1の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、自車両のドライバーに第1の注意喚起より注意喚起の度合の低い第2の注意喚起を行なう。これにより、ドライバーは、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が無くなったことが判定されるときであっても、所定時間は注意喚起を受け続ける。このため、ドライバーの安全意識の低下を抑制することができる。このため、より効果的にドライバーに移動物体に対する注意を喚起することが可能となる。
【0011】
この場合、注意喚起ユニットは、所定の規定時間の経過後は、第2の注意喚起を終了することが好適である。
【0012】
移動物体と自車両との接触の可能性が無くなった後にあまりに長く第2の注意喚起が行なわれると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、所定の規定時間の経過後は、第2の注意喚起を終了する。このため、いつまでも第2の注意喚起が行なわれ続けることによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0013】
また、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、自車両のドライバーに第1の注意喚起を再度行なうことが好適である。
【0014】
この構成によれば、第2の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、自車両のドライバーに第1の注意喚起を再度行なう。これにより、移動物体と自車両との接触の可能性が再度生じたときに、ドライバーに適切な注意喚起を与えることができる。
【0015】
この場合、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後は、第2の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときであっても、自車両のドライバーに第1の注意喚起を再度行なわないことが好適である。
【0016】
第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起が再度行なわれることが何度も繰り返されると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後は、第2の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときであっても、自車両のドライバーに第1水準の注意喚起を再度行なわない。このため、第1の注意喚起が過度に繰り返されることによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0017】
この場合、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後であって、第1の注意喚起を再度行なわなくなったときは、所定の最小表示時間の経過後に第2の注意喚起を終了することが好適である。
【0018】
第1の注意喚起が行なわれた後に行なわれる第2の注意喚起があまりに短い時間に終了すると、ドライバーは第2の注意喚起を表示画面のチラツキや雑音程度に感じ、装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後であって、第1の注意喚起を再度行なわなくなったときは、所定の最小表示時間の経過後に第2の注意喚起を終了する。このため、第1の注意喚起が行なわれた後に行なわれる第2の注意喚起は十分な時間行なわれる。このため、第2の注意喚起があまりに短い時間に終了することによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0019】
また、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起が行なわれることが予測される2つの期間の間において、第2の注意喚起が行われることが予測される期間が所定の規定時間以下であるときは、第2の注意喚起が行なわれることが予測される期間に第1の注意喚起を行なうことが好適である。
【0020】
第1の注意喚起が行なわれる期間の間の第2の注意喚起が行なわれる期間があまりに短い場合、その期間は自車両を通行させることができない。このため、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、第1の注意喚起が行なわれることが予測される2つの期間の間において、第2の注意喚起が行われることが予測される期間が所定の規定時間以下であるときは、第2の注意喚起が行なわれることが予測される期間に第1の注意喚起が行なわれる。これにより、第2の注意喚起が行なわれる期間が過度に短いことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0021】
また、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起及び第2の注意喚起のいずれかが行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起が行われないことが予測される注意喚起中断期間が所定の規定時間以下であるときは、注意喚起中断期間に第1の注意喚起及び第2の注意喚起のいずれかを行なうことが好適である。
【0022】
注意喚起が行なわれる期間の間の注意喚起が行なわれない期間があまりに短い場合、その期間は自車両を通行させることができない。このため、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起及び第2の注意喚起のいずれかが行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起が行われないことが予測される注意喚起中断期間が所定の規定時間以下であるときは、注意喚起中断期間に第1の注意喚起及び第2の注意喚起のいずれかを行なう。これにより、注意喚起が行なわれない期間が過度に短いことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0023】
また、注意喚起ユニットは、情報取得ユニットが移動物体情報を取得するための通信媒体が一度移動物体情報を取得した後に移動物体情報を更新することが不可能なものであるときは、第1の注意喚起を所定の規定時間行なった後に、第2の注意喚起を行なうことが好適である。
【0024】
情報取得ユニットが移動物体情報を取得するための通信媒体が、光ビーコン等のように一度移動物体情報を取得した後に移動物体情報を更新することが不可能なものであるときは、時間の経過とともに情報の確度は低下する。確度の低下した情報に基づいてドライバーに移動物体との接触可能性がある旨の注意喚起が行なわれると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、情報取得ユニットが移動物体情報を取得するための通信媒体が一度移動物体情報を取得した後に移動物体情報を更新することが不可能なものであるときは、第1の注意喚起を所定の規定時間行なった後に、第2の注意喚起を行なう。これにより、確度の低下した情報により、ドライバーに高い水準の注意喚起を行なうことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0025】
また、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起と第2の注意喚起とを、画面表示の色彩を変更して行うことが好適である。
【0026】
この構成によれば、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起と第2の注意喚起とを、画面表示の色彩を変更して行う。これにより、ドライバーは第1の注意喚起と第2の注意喚起との違いを、視覚により把握し易くなる。
【0027】
また、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起と第2の注意喚起とを、音声の音量及び周波数の少なくともいずれか変更して行うことが好適である。
【0028】
この構成によれば、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起と第2の注意喚起とを、音声の音量及び周波数の少なくともいずれか変更して行う。これにより、ドライバーは第1の注意喚起と第2の注意喚起との違いを、聴覚により把握し易くなる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の車両用注意喚起装置によれば、通信により取得した移動物体に関する情報を利用して、より効果的にドライバーに移動物体に対する注意を喚起することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る車両用注意喚起装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る車両用注意喚起装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】交差点での右折時において、光ビーコンから情報を取得可能な状態を示す平面図である。
【図4】交差点での右折時において、光ビーコンから情報を取得不可能な状態を示す平面図である。
【図5】一時停止規制のあるT字路において、光ビーコンから情報を取得可能な状態を示す平面図である。
【図6】一時停止規制のあるT字路において、光ビーコンから情報を取得不可能な状態を示す平面図である。
【図7】注意喚起ウィンドウが表示されず地図表示のみが表示された表示画面を示す図である。
【図8】注意喚起ウィンドウ内に注意喚起表示が表示された表示画面を示す図である。
【図9】注意喚起ウィンドウ内に注意喚起履歴表示が表示された表示画面を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る車両用注意喚起装置の光ビーコンにより情報を取得する際の動作を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態に係る車両用注意喚起装置の電波による通信により情報を取得する際の動作を示すフローチャートである。
【図12】第3実施形態に係る注意喚起実施時間を設定する際の動作を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態に係る注意喚起履歴表示時間を設定する際の動作を示すフローチャートである。
【図14】(A)〜(D)は、注意喚起実施時間、注意喚起履歴表示時間及び表示休止時間を示し、(A)は従来の装置、(B)は第1及び第2実施形態、(C)及び(D)は第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用注意喚起装置の実施の形態を説明する。
【0032】
図1に示す第1実施形態の車両用注意喚起装置1は、自車両100に搭載される。車両用注意喚起装置1は、通信により取得した自車両100の外部の他車両200等の移動物体に関する情報に基づいて、自車両100のドライバーに当該移動物体に対する注意喚起を行なうための装置である。車両用注意喚起装置1は、装置全体を制御するECU(Electronic Control Unit)20に、光ビーコン受信機11、路車間通信機12及び車車間通信機13の3種類の通信機が接続されている。
【0033】
光ビーコン受信機11は、路側の光ビーコン送信機300から指向性の近距離通信により送信された自車両100の外部の移動物体に関する情報を受信するための装置である。路車間通信機12は、路側のセンター等の施設から無指向性の電波通信により送信された自車両100の外部の移動物体に関する情報を受信するための装置である。車車間通信機13は、同様の車車間通信機13を搭載した他車両200から、当該他車両に関する情報を受信するための装置である。なお、路車間通信機12及び車車間通信機13は、1つの通信機で共用することが可能である。
【0034】
ECU20には、GPS(Global Positioning System)−ECU14及び地図データベース15が接続されている。GPS−ECU14は、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信機で受信することにより、自車両100の現在位置と進行方向とを検出するためのものである。また、地図データベース15は、各地点の地図情報や路側施設に関する情報が記録されている。
【0035】
ECU20には、車速センサ16、シフトポジションセンサ17、ブレーキランプSW18及びウィンカSW19等のセンサやスイッチが接続されている。車速センサ16は、車軸の回転速度から自車両100の車速を検出するためのセンサである。シフトポジションセンサ17は、自車両100のトランスミッションのドライバーの操作により選択されたギアを検出するためのセンサである。ブレーキランプSW18は、自車両100の制動時に、自車両100の後部のブレーキランプを点灯するためのスイッチである。
【0036】
ECU20は、通信制御部21、送信信号処理部22、受信データ処理判定部23、運転支援演算部24及びHMI制御部25を有している。通信制御部21は、光ビーコン信号機11、路車間通信機12及び車車間通信機13による通信を制御する部位である。送信信号処理部22は、車車間通信機13から送信する自車両100の位置、車速、ブレーキ操作の有無等の自車両100に関する情報を、送信可能な形態に処理するための部位である。
【0037】
受信データ処理判定部23は、光ビーコン信号機11、路車間通信機12及び車車間通信機13により受信したデータを、GPS−ECU14及び地図データベース15から取得したデータと照合し、互いの情報を補正するマップマッチ処理を行う部位である。また、受信データ処理判定部23は、車速センサ16、シフトポジションセンサ17、ブレーキランプSW18及びウィンカSW19等のセンサやスイッチから得られた情報により、ドライバーの操作を推定するための部位である。
【0038】
運転支援演算部24は、光ビーコン信号機11、路車間通信機12及び車車間通信機13により受信したデータと、GPS−ECU14及び地図データベース15から取得したデータとから、自車両100がシステムのサービスを利用可能なサービスエリアに存在するか否かを判定するサービスエリア判定を行うための部位である。また、運転支援演算部24は、自車両100と他車両200等の移動物体との接触の可能性を判定するための部位である。また、運転支援演算部24は、後述する通信で得られた情報を利用した運転支援アルゴリズムを実行するための演算を行なうための部位である。
【0039】
HMI(Human Machine Interface)制御部25は、後述する注意喚起表示を実施するか否かの注意喚起実施条件を判定する部位である。また、HMI制御部25は、後述する注意喚起表示と注意喚起履歴表示との表示の切り替えを、それらの提示時間や繰返し回数等に基づいて判定する部位である。また、HMI制御部25は、注意喚起表示及び注意喚起履歴表示を終了するか否かの判定を行うための部位である。
【0040】
ECU20には、ディスプレイ31及びスピーカ・ブザー32が接続されている。ディスプレイ31は、ナビゲーションシステム用のディスプレイや、メータ内の液晶ディスプレイを適用することができる。ディスプレイ31は、ECU20のHMI制御部25からの信号に基づいて後述の注意喚起表示や注意喚起履歴表示を表示画面にその表示色を変化させつつ表示する。また、スピーカ・ブザー32は、ECU20のHMI制御部25からの信号に基づいて、後述の注意喚起表示や注意喚起履歴表示をその音量や周波数を変化させつつ表示する。
【0041】
ECU20には、アクセル制御部33及びブレーキ制御部34が接続されている。アクセル制御部33及びブレーキ制御部34はそれぞれ、ECU20の運転支援演算部24からの信号に基づいて、自車両100のアクセル量やブレーキ量を制御する。
【0042】
以下、本実施形態の車両用注意喚起装置1の動作について図2のフローチャートに基づき説明する。以下の説明では、図3に示すように、交差点において自車両100が右折をする状況を想定する。自車両100は、接近する他車両200や歩行者等の自車両100と接触する可能性がある移動物体に関する情報を、路側の光ビーコン送信機300や、無指向性の電波を用いた情報処理センター等との路車間通信や、他車両200等との車車間通信によって取得する可能性があるものとする。
【0043】
本実施形態では、これらの複数の通信手段から移動物体に関する情報を得られる際の通信手段の選択方法は問わないが、移動物体や事故類型毎に唯一の通信手段から得られたデータを用いて注意喚起を実施するものとする。例えば、同一交差点では、対向直進車である他車両200については車車間通信により得られたデータを優先し、横断歩行者については、無指向性の電波を用いた路車間通信により得られたデータを優先し、当該データにより注意喚起を行なうものとする。また、本実施形態では、図3で示されるような、右折車両と対向直進車両との接触だけではなく、想定される全ての事故類型を対象とする。
【0044】
図2に示すように、車両用注意喚起装置1のシステムが作動を開始し、光ビーコン通信機11、路車間通信機12及び車車間通信機13により、他車両200についての情報が取得される(S11)。ECU20のHMI制御部25は、注意喚起条件が成立するか否かを判定する(S12)。この場合の注意喚起条件は、他車両200のサービスエリア(図3の例では交差点)への進入や、他車両200と自車両100とのTTC(Time To Collision)等に基づいて、他車両200と自車両100との接触の可能性が有ることを条件とする。注意喚起条件が成立せず(S12)、自車両100がサービスエリアである交差点を通過したときは(S13)、ECU20は処理を終了する。
【0045】
注意喚起条件が成立したときは(S12)、HMI制御部25は、ディスプレイ31の表示を注意喚起画面に移行させる(S13)。この場合、HMI制御部25は、図7に示すような地図表示51が全面に表示されているディスプレイ31の表示画面50を、図8に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起表示53がなされている表示に切換える。この場合の注意喚起表示53は、例えば、ドライバーの注意を引き易い有彩色とできる。HMI制御部25は、同時にスピーカ・ブザー32から、音量が大きく、周波数が高い音声や警報を出力させる。
【0046】
HMI制御部25は、自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S15)、注意喚起表示53を終了し、表示画面50を図7に示す地図表示51のみを表示する画面に戻す(S24)。
【0047】
ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴画面への移行条件が成立するか否かを判定する(S16)。この場合の注意喚起条件は、以下の(1)〜(3)の全ての条件を満たすことで成立する。
(1) 上記の注意喚起表示53を実施中であること。
(2)通信データに他車両200を検知していない旨の情報を含む、通信データに他車両200のデータが含まれていない、通信データに他車両200がサービスエリアを通過した旨の情報を含む等の他車両200側の注意喚起条件が不成立となったこと。
(3)自車両100が同一の注意喚起表示53が行われるサービスエリアに留まっていること、すなわち自車両100側の注意喚起条件は成立していること。
【0048】
他車両200等の情報を取得した通信メディアが、光ビーコン通信機11であって、情報の更新ができないものであるときは(S17)、ECU20のHMI制御部25は、所定の注意喚起表示の規定時間(例えば、当該交差点における自車両100の進行方向の青信号の表示時間)を経過したことを条件として(S18)、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S19)。この場合、HMI制御部25は、図8に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起表示53がなされている表示を、図9に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起履歴表示54がなされている表示に切換える。
【0049】
注意喚起履歴表示54は、注意喚起表示53と同じ場所、同じ図柄で表示することが望ましい。また、注意喚起履歴表示54は、注意喚起表示53と危険対象であるエリア、地点、他車両200等を示す彩色が異なるものとする。例えば、この場合の注意喚起履歴表示54は、注意喚起表示53よりもドライバーへの注意喚起の度合が低い無彩色とできる。例えば、注意喚起表示53は黄色で表示され、注意喚起履歴表示54は灰色で表示されるものとできる。あるいは表示画面50の背景色の一部あるいは全部を変更することとしても良い。注意喚起履歴表示54は、注意喚起表示53よりも色合い、点滅、拡大率等を抑えた表示とできる。HMI制御部25は、同時にスピーカ・ブザー32から、注意喚起表示53のときよりも音量が小さく、周波数が低い音声や警報を出力させる。あるいは、注意喚起履歴表示54のときは、音声や警報は出力しないものとしても良い。
【0050】
自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S20)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。なお、他車両200等の情報を取得した通信メディアが、光ビーコン通信機11であって、情報の更新ができないものであるときは(S17)、その後に他車両200と自車両100との接触の可能性を示す情報が得られることは無いため、再び注意喚起表示53がなされることはない。
【0051】
一方、他車両200等の情報を取得した通信メディアが、無指向性の電波による路車間通信機12又は車車間通信機13であって、情報の更新が可能なものであるときは(S17)、ECU20のHMI制御部25は、通信メディアが光ビーコン通信機11のときと同様に、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S21)。自車両100がサービスエリアを通過しておらず(S22)、上記の注意喚起条件が成立した場合は(S23)、HMI制御部25は、ディスプレイ31の表示を再び注意喚起画面に移行させる(S14)。自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S20)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。
【0052】
本実施形態によれば、自車両100の外部の他車両200等の移動物体に関する情報を通信により取得する光ビーコン通信機11、路車間通信機12及び車車間通信機13と、これらの通信機が取得した情報に基づいて、自車両100のドライバーに他車両200等に対する注意喚起を行なうHMI制御部25を備えた車両用注意喚起装置1が提供される。HMI制御部25は、通信で得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が有ることが判定されるときは、注意喚起表示53をディスプレイ31に表示させる。これにより、自車両100のドライバーは自車両100との接触の可能性がある移動物体についての注意が喚起される。HMI制御部25は、注意喚起表示53が表示されているときに、通信で得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、注意喚起表示53より注意喚起の度合の低い注意喚起履歴表示54をディスプレイ31に表示させる。これにより、ドライバーは、通信で得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が無くなったことが判定されるときであっても、所定時間は注意喚起を受け続ける。このため、ドライバーの安全意識の低下を抑制することができる。このため、より効果的にドライバーに移動物体に対する注意を喚起することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態によれば、注意喚起履歴表示54が行われているときに、通信により得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が有ることが判定されるときは、HMI制御部25は、注意喚起表示53をディスプレイ31に再度表示させる。これにより、移動物体と自車両100との接触の可能性が再度生じたときに、ドライバーに適切な注意喚起を与えることができる。
【0054】
通信メディアが、光ビーコン通信機11のように一度情報を取得した後に情報を更新することが不可能なものであるときは、時間の経過とともに情報の確度は低下する。確度の低下した情報に基づいてドライバーに移動物体との接触可能性がある旨の注意喚起が行なわれると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、通信メディアが一度情報を取得した後に情報を更新することが不可能なものであるときは、注意喚起表示53を所定の規定時間表示させた後に、注意喚起履歴表示54を表示させる。これにより、確度の低下した情報により、ドライバーに高い水準の注意喚起を行なうことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、HMI制御部25は、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54とを、ディスプレイ31の表示画面50の色彩を変更して行う。これにより、ドライバーは、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との違いを、視覚により把握し易くなる。
【0056】
また、本実施形態では、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54とがそれぞれ表示されているときに、HMI制御部25は、スピーカ・ブザー32から、音声の音量及び周波数を変更した音声や警報音を出力させる。これにより、ドライバーは、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との違いを、聴覚により把握し易くなる。
【0057】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54とが過度に繰り返されることによるドライバーに与える煩雑感や表示の不明確さを解消する。
【0058】
本実施形態では、図1に示すような構成の装置により、図2に示すS11〜S17の工程が同様に行なわれる。他車両200等の情報を取得した通信メディアが、光ビーコン通信機11であって、情報の更新ができないものであるときは(S17)、図10に示すように、ECU20のHMI制御部25は、所定の注意喚起表示の規定時間(例えば、当該交差点における青信号の表示時間)を経過したことを条件として(S101)、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S102)。この場合、HMI制御部25は、図8に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起表示53がなされている表示を、図9に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起履歴表示54がなされている表示に切換える。
【0059】
HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間を計測する(S103)。ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間が、所定の注意喚起履歴表示の規定時間(例えば、当該交差点における自車両100の進行方向の青信号の表示時間、あるいは、当該交差点における自車両100の交差方向の青信号が表示されるまでの時間)以上となったことを条件として(S104)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間が、所定の注意喚起履歴表示の規定時間未満であっても(S104)、自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S105)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。
【0060】
一方、他車両200等の情報を取得した通信メディアが、無指向性の電波による路車間通信機12又は車車間通信機13であって、情報の更新が可能なものであるときは(S17)、図11に示すように、ECU20のHMI制御部25は、表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示との切り替えを繰り返した回数が、所定の制限値(例えば、通常3〜10回)を超えているか否か判定する(S201)。
【0061】
表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との切り替えを繰り返した回数が制限値を超えていないときは(S201)、ECU20のHMI制御部25は、通信メディアが光ビーコン通信機11のときと同様に、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S202)。
【0062】
HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間を計測する(S203)。ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間が、所定の注意喚起履歴表示の規定時間未満であって(S204)、自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S205)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。この場合、自車両100がサービスエリアを通過しておらず(S205)、上記の注意喚起条件が成立した場合は(S206)、HMI制御部25は、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示との切り替えを繰り返した回数に1を加算して(S207)、ディスプレイ31の表示を再び注意喚起画面に移行させる(S14)。自車両100がサービスエリアを通過しておらず(S205)、上記の注意喚起条件が成立していない場合は(S206)、HMI制御部25は、S204〜S205の工程を繰り返す。
【0063】
一方、表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との切り替えを繰り返した回数が制限値を超えているときは(S201)、ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴表示54を表示する最小表示時間を設定する(S208)。この最小表示時間は、ドライバーがディスプレイ31の表示画面50のチラツキを感じない2〜3秒程度で良い。ECU20のHMI制御部25は、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S209)。この後は、繰返し回数の制限値を超えているため、注意喚起履歴表示54から注意喚起表示53に直接に移行することはない。
【0064】
最小表示時間が経過した場合(S210)、又はS204で注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間が注意喚起履歴表示の規定時間以上である場合は、ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴表示54を終了する(S211)。もし、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間、又は表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との切り替えの繰返し回数の初期化条件を満たすときは(S212)、ECU20のHMI制御部25は、初期化条件を満たす経過時間又は繰返し回数を初期化して0とする(S213)。以降は、上述したようにS12からの工程が繰り返される。
【0065】
なお、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間、又は表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との切り替えの繰返し回数の初期化条件は、交差点の大きさや自車両100の待機場所等により左右される。例えば、右折待ち等で交差点付近で自車両100が車列の先頭にいる場合は、経過時間及び繰返し回数は初期化することが望ましい。
【0066】
一方、右折待ち等で、注意喚起表示53が表示されたが、右折待ち車両等が多いため、一回の青信号の表示期間に交差点を自車両100が通過することができず、次の青信号の表示期間となってしまった場合は、経過時間及び繰返し回数は初期化しないことが望ましい。また、右折待ち等で、右折レーン内等で単に少し自車両100が動いただけであり、発進直後にすぐに交差点を通過できず、まだ交差点に留まる可能性が高い場合は、経過時間及び繰返し回数は初期化しないことが望ましい。
【0067】
移動物体と自車両100との接触の可能性が無くなった後にあまりに長く注意喚起履歴表示54が行なわれると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、所定の規定時間の経過後は、注意喚起履歴表示54を終了する。このため、いつまでも注意喚起履歴表示54が行なわれ続けることによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0068】
また、注意喚起履歴表示54が行われているときに注意喚起表示53が再度行なわれることが何度も繰り返されると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54が行われているときに注意喚起表示53を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後は、注意喚起履歴表示54が行われているときに、通信により得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が有ることが判定されるときであっても、注意喚起表示53が再度表示されない。このため、注意喚起表示53が過度に繰り返されることによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0069】
注意喚起表示53が行なわれた後に行なわれる注意喚起履歴表示54があまりに短い時間に終了すると、ドライバーは注意喚起履歴表示54を表示画面のチラツキや雑音程度に感じ、装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54が行われているときに注意喚起表示53が再度行なわれた回数が所定の制限回数を超えた後であって、注意喚起表示53を再度行なわなくなったときは、所定の最小表示時間の経過後に注意喚起履歴表示54を終了する。このため、注意喚起表示53が行なわれた後に行なわれる注意喚起履歴表示54は十分な時間行なわれる。このため、注意喚起履歴表示54があまりに短い時間に終了することによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0070】
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、注意喚起表示53が行われている2つの期間の間において、注意喚起がなされない期間や注意喚起履歴表示54が行われる期間が過度に短いことによるドライバーに与える煩雑感や表示の不明確さを解消する。
【0071】
本実施形態では、図1に示すような構成の装置により、図2あるいは図10〜図11に示す工程が同様に行なわれる。図2のS12及びS14の間の結合子Aにおいて、図12に示すように、HMI制御部25は、注意喚起表示53が行われる注意喚起実施時間を設定する(S301)。HMI制御部25は、注意喚起表示53の表示が行われる期間(以下、ONと呼ぶ)と、注意喚起表示53が行われない期間(以下、OFFと呼ぶ)とのスケジュールを定めた注意喚起ON/OFFスケジュールを作成する(S302)。なお、上記OFFの期間には、注意喚起表示53の後に注意喚起履歴表示54が行われる期間を含めても良いし、含まないものとしても良い。
【0072】
注意喚起表示53がOFFとなる時間が所定の規定時間(例えば、交差点の大きさ等により、自車両100が交差点を通過可能な時間)以下であるときは(S303)、HMI制御部25は、当該OFF時間が規定時間を超えるように注意喚起表示53が行われる時間を変更する(S304)。すなわち、具体的には、規定時間以下のOFFの期間においても、注意喚起表示53あるいは注意喚起履歴表示54が行われるように、スケジュールを変更する。
【0073】
また、本実施形態では、図2のS16及びS17の間の結合子Bにおいて、図13に示すように、HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54が行われる注意喚起実施時間を設定する(S401)。HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示が行われる期間(以下、onと呼ぶ)と、OFFとなる期間とが設定された注意喚起on/OFFスケジュールを作成する(S402)。
【0074】
注意喚起履歴表示54がOFFとなる時間が所定の規定時間(例えば、交差点の大きさ等により、自車両100が交差点を通過可能な時間)以下であるときは(S403)、HMI制御部25は、当該OFF時間が規定時間を超えるように注意喚起履歴表示54が行われる時間を変更する(S404)。すなわち、具体的には、規定時間以下のOFFの期間においても、注意喚起履歴表示54あるいは注意喚起表示53が行われるように、スケジュールを変更する。
【0075】
上記特許文献1の装置では、図14(a)に示すように、注意喚起表示53が行われるON期間、注意喚起表示53が行われず地図表示51のみが行われるOFF期間が設定される。他車両200の進行に対して時間taだけ先立ってON期間となり、注意喚起表示がなされる。この場合、注意喚起表示53が行われないOFF期間が十分に長い時間tbのときは、自車両100が交差点を通過可能である。しかし、OFF期間が短い時間tcのときは自車両がOFF期間内に交差点を通過不可能であり、ドライバーが装置への不信感や表示への煩雑感を持つことになる。
【0076】
そこで、本実施形態では、図14(b)に示す、注意喚起表示53が行われるON期間、注意喚起履歴表示54が行なわれるon期間、及び注意喚起表示53が行われず地図表示51のみが行われるOFF期間が設定されている装置において、図14(c)に示すように、注意喚起履歴表示54が行なわれるon期間や注意喚起表示53が行われず地図表示51のみが行われるOFF期間が所定の規定時間より短いときは、当該期間は注意喚起表示53が行われるON期間とされる。あるいは、図14(d)に示すように、注意喚起表示53が行われず地図表示51のみが行われるOFF期間が所定の規定時間より短いときは、当該期間は注意喚起履歴表示54が行われるon期間とされる。
【0077】
注意喚起表示53が行なわれる期間の間の注意喚起履歴表示54が行なわれる期間があまりに短い場合、その期間は自車両100を通行させることができない。このため、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、注意喚起表示53が行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起履歴表示54が行われることが予測される期間が所定の規定時間以下であるときは、HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54が行なわれることが予測される期間に注意喚起表示53を行なう。これにより、注意喚起履歴表示54が行なわれる期間が過度に短いことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0078】
また、注意喚起が行なわれる期間の間の注意喚起が行なわれない期間があまりに短い場合、その期間は自車両100を通行させることができない。このため、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、注意喚起表示53及び注意喚起履歴表示54のいずれかが行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起が行われないことが予測されるOFF期間が所定の規定時間以下であるときは、OFF期間に注意喚起表示53及び注意喚起履歴表示54のいずれかを行なう。これにより、注意喚起が行なわれない期間が過度に短いことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0079】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態において、上記の注意喚起履歴表示54の表示開始からの時間の経過とともに、注意喚起履歴表示54の画面が徐々に薄く、暗くなっていき、上記の規定時間が経過したときに、注意喚起履歴表示54が全て消滅する表示方式も採用できる。あるいは、注意喚起表示53から注意喚起履歴表示への移行時に、徐々に時間をかけて色彩を変更していく表示方式も採用できる。
【符号の説明】
【0080】
1…車両用注意喚起装置、11…光ビーコン受信機、12…路車間通信機、13…車車間通信機、14…GPS−ECU、15…地図データベース、16…車速センサ、17…シフトポジション、18…ブレーキランプSW、19…ウィンカSW、20…ECU、21…通信制御部、22…送信信号処理部、23…受信データ処理判定部、24…運転支援演算部、25…HMI制御部、31…ディスプレイ、32…スピーカ・ブザー、33…アクセル制御部、34…ブレーキ制御部、50…表示画面、51…地図表示、52…注意喚起ウィンドウ、53…注意喚起表示、54…注意喚起履歴表示、100…自車両、200…他車両、300…光ビーコン送信機、302…通信範囲、400…監視センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用注意喚起装置に関し、特には、通信により取得した自車両の外部の移動物体に関する情報に基づいて、自車両のドライバーに移動物体に対する注意喚起を行なう車両用注意喚起装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ビーコン等との無線通信により取得した情報に基づいて、自動車の運転の安全性を高めるための技術が提案されている。無線通信により他車両に関する情報を取得した場合、自車両にレーダ、カメラ等の特殊なセンサを搭載する必要が無いという利点がある。また、自車両から見通しの悪い交差点等であっても、他車両に関する情報を取得することができるという利点もある。例えば、特許文献1には、無線通信を介して取得した他車両の車両情報をドライバーに報知する車両用運転支援装置であって、自車両が見通しの悪い交差点に接近中であるか否かを判定し、自車両が当該交差点に接近中であると判定すると、自車両の速度が所定車速以下であるか否かを判定し、自車両の速度が所定車速以下であると判定すると、無線通信を介して取得した他車両の車両情報をドライバーに報知し、自車両の速度が所定車速より高いと判定すると、他車両の車両情報をドライバーに報知しないこととした装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−141114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術において、光ビーコンのような指向性の通信媒体を用いるものでは、無線通信で得られる情報は一過性のものであり、情報を更新することができないという欠点がある。例えば、図3に示すような交差点において自車両100が右折をする状況を想定する。あるいは、図5に示すような一時停止規制があるT字路において自車両100が交通量の多い道路に侵入する状況を想定する。このような場合、他車両200は監視センサ400により検出される。監視センサ400が検出した他車両200についての情報は、センターにより加工される。センターにより加工された他車両200についての情報は、路側の光ビーコン送信機300により、自車両100に送信される。自車両100のドライバーは、光ビーコン送信機300から受信した他車両200についての情報に基づいて、他車両200と自車両100との接触の可能性について、ブザー又はスピーカからの警報音やディスプレイの表示画面により注意を喚起される。
【0005】
このようなシステムにおいては、図3及び図5に示すように、自車両100が光ビーコン送信機300の通信範囲302内にいるときは、自車両100は光ビーコン送信機300から他車両200についての情報を取得することが可能である。ところが、図4及び図6に示すように、自車両100が光ビーコン送信機300の通信範囲302から移動した後は、光ビーコン送信機300から他車両200についての情報を新たに取得できない。このため、自車両100が通信範囲302から移動した後は、他車両200についての情報を更新することができない。このため、他車両200についての情報の確度は時間の経過とともに低下することとなる。
【0006】
確度が低下した他車両200についての情報に基づいて、他車両200と自車両100との接触の可能性が無くなったと判定された場合、実際には他車両200と自車両100との接触の可能性が有るにも関わらず、ドライバーには接触の可能性についての注意が喚起されない。そのため、ドライバーは他車両200との接触の可能性があるにも関わらず、安全が担保されたと錯覚する可能性がある。この場合は注意を喚起する音声や表示画面が消滅することになる。特に見通しの悪い交差点等では、不用意に交差点進入を促してしまう可能性もある。そのため、ドライバーがシステムを過度に信頼又は依存している場合には、システムが却って安全性の低い行動を助長する可能性もある。
【0007】
無指向性の電波を用いた路車間通信及び車車間通信では、自車両100は他車両200についての情報を随時受信し、更新することが可能である。しかしながら、このような無指向性の通信媒体においても、通信不良や検知不良等の場合には、上記と同様の問題が生じる可能性がある。特に、車車間通信においては、道路上を走行する各車両において、ある程度のシステムの普及率がない場合には、取得される情報の確度が低いという問題がある。このように、通信により他車両に関する情報を取得して、ドライバーに他車両についての注意を喚起する技術には問題が残る。そのため、通信により取得した他車両に関する情報を利用して、より効果的にドライバーに他車両に対する注意を喚起する手法が望まれている。
【0008】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、通信により取得した移動物体に関する情報を利用して、より効果的にドライバーに移動物体に対する注意を喚起することが可能な車両用注意喚起装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自車両の外部の移動物体に関する移動物体情報を通信により取得する情報所得ユニットと、情報取得ユニットが取得した移動物体情報に基づいて、自車両のドライバーに移動物体に対する注意喚起を行なう注意喚起ユニットとを備え、注意喚起ユニットは、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、自車両のドライバーに第1の注意喚起を行い、第1の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、自車両のドライバーに第1の注意喚起より注意喚起の度合の低い第2の注意喚起を行なう車両用注意喚起装置である。
【0010】
この構成によれば、自車両の外部の移動物体に関する移動物体情報を通信により取得する情報所得ユニットと、情報取得ユニットが取得した移動物体情報に基づいて、自車両のドライバーに移動物体に対する注意喚起を行なう注意喚起ユニットとを備えた車両用注意喚起装置が提供される。注意喚起ユニットは、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、自車両のドライバーに第1の注意喚起を行う。これにより、自車両のドライバーは自車両との接触の可能性がある移動物体についての注意が喚起される。注意喚起ユニットは、第1の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、自車両のドライバーに第1の注意喚起より注意喚起の度合の低い第2の注意喚起を行なう。これにより、ドライバーは、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が無くなったことが判定されるときであっても、所定時間は注意喚起を受け続ける。このため、ドライバーの安全意識の低下を抑制することができる。このため、より効果的にドライバーに移動物体に対する注意を喚起することが可能となる。
【0011】
この場合、注意喚起ユニットは、所定の規定時間の経過後は、第2の注意喚起を終了することが好適である。
【0012】
移動物体と自車両との接触の可能性が無くなった後にあまりに長く第2の注意喚起が行なわれると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、所定の規定時間の経過後は、第2の注意喚起を終了する。このため、いつまでも第2の注意喚起が行なわれ続けることによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0013】
また、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、自車両のドライバーに第1の注意喚起を再度行なうことが好適である。
【0014】
この構成によれば、第2の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、自車両のドライバーに第1の注意喚起を再度行なう。これにより、移動物体と自車両との接触の可能性が再度生じたときに、ドライバーに適切な注意喚起を与えることができる。
【0015】
この場合、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後は、第2の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときであっても、自車両のドライバーに第1の注意喚起を再度行なわないことが好適である。
【0016】
第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起が再度行なわれることが何度も繰り返されると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後は、第2の注意喚起が行われているときに、移動物体情報から移動物体と自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときであっても、自車両のドライバーに第1水準の注意喚起を再度行なわない。このため、第1の注意喚起が過度に繰り返されることによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0017】
この場合、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後であって、第1の注意喚起を再度行なわなくなったときは、所定の最小表示時間の経過後に第2の注意喚起を終了することが好適である。
【0018】
第1の注意喚起が行なわれた後に行なわれる第2の注意喚起があまりに短い時間に終了すると、ドライバーは第2の注意喚起を表示画面のチラツキや雑音程度に感じ、装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、第2の注意喚起を行われているときに第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後であって、第1の注意喚起を再度行なわなくなったときは、所定の最小表示時間の経過後に第2の注意喚起を終了する。このため、第1の注意喚起が行なわれた後に行なわれる第2の注意喚起は十分な時間行なわれる。このため、第2の注意喚起があまりに短い時間に終了することによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0019】
また、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起が行なわれることが予測される2つの期間の間において、第2の注意喚起が行われることが予測される期間が所定の規定時間以下であるときは、第2の注意喚起が行なわれることが予測される期間に第1の注意喚起を行なうことが好適である。
【0020】
第1の注意喚起が行なわれる期間の間の第2の注意喚起が行なわれる期間があまりに短い場合、その期間は自車両を通行させることができない。このため、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、第1の注意喚起が行なわれることが予測される2つの期間の間において、第2の注意喚起が行われることが予測される期間が所定の規定時間以下であるときは、第2の注意喚起が行なわれることが予測される期間に第1の注意喚起が行なわれる。これにより、第2の注意喚起が行なわれる期間が過度に短いことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0021】
また、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起及び第2の注意喚起のいずれかが行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起が行われないことが予測される注意喚起中断期間が所定の規定時間以下であるときは、注意喚起中断期間に第1の注意喚起及び第2の注意喚起のいずれかを行なうことが好適である。
【0022】
注意喚起が行なわれる期間の間の注意喚起が行なわれない期間があまりに短い場合、その期間は自車両を通行させることができない。このため、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起及び第2の注意喚起のいずれかが行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起が行われないことが予測される注意喚起中断期間が所定の規定時間以下であるときは、注意喚起中断期間に第1の注意喚起及び第2の注意喚起のいずれかを行なう。これにより、注意喚起が行なわれない期間が過度に短いことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0023】
また、注意喚起ユニットは、情報取得ユニットが移動物体情報を取得するための通信媒体が一度移動物体情報を取得した後に移動物体情報を更新することが不可能なものであるときは、第1の注意喚起を所定の規定時間行なった後に、第2の注意喚起を行なうことが好適である。
【0024】
情報取得ユニットが移動物体情報を取得するための通信媒体が、光ビーコン等のように一度移動物体情報を取得した後に移動物体情報を更新することが不可能なものであるときは、時間の経過とともに情報の確度は低下する。確度の低下した情報に基づいてドライバーに移動物体との接触可能性がある旨の注意喚起が行なわれると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。この構成によれば、注意喚起ユニットは、情報取得ユニットが移動物体情報を取得するための通信媒体が一度移動物体情報を取得した後に移動物体情報を更新することが不可能なものであるときは、第1の注意喚起を所定の規定時間行なった後に、第2の注意喚起を行なう。これにより、確度の低下した情報により、ドライバーに高い水準の注意喚起を行なうことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0025】
また、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起と第2の注意喚起とを、画面表示の色彩を変更して行うことが好適である。
【0026】
この構成によれば、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起と第2の注意喚起とを、画面表示の色彩を変更して行う。これにより、ドライバーは第1の注意喚起と第2の注意喚起との違いを、視覚により把握し易くなる。
【0027】
また、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起と第2の注意喚起とを、音声の音量及び周波数の少なくともいずれか変更して行うことが好適である。
【0028】
この構成によれば、注意喚起ユニットは、第1の注意喚起と第2の注意喚起とを、音声の音量及び周波数の少なくともいずれか変更して行う。これにより、ドライバーは第1の注意喚起と第2の注意喚起との違いを、聴覚により把握し易くなる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の車両用注意喚起装置によれば、通信により取得した移動物体に関する情報を利用して、より効果的にドライバーに移動物体に対する注意を喚起することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る車両用注意喚起装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る車両用注意喚起装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】交差点での右折時において、光ビーコンから情報を取得可能な状態を示す平面図である。
【図4】交差点での右折時において、光ビーコンから情報を取得不可能な状態を示す平面図である。
【図5】一時停止規制のあるT字路において、光ビーコンから情報を取得可能な状態を示す平面図である。
【図6】一時停止規制のあるT字路において、光ビーコンから情報を取得不可能な状態を示す平面図である。
【図7】注意喚起ウィンドウが表示されず地図表示のみが表示された表示画面を示す図である。
【図8】注意喚起ウィンドウ内に注意喚起表示が表示された表示画面を示す図である。
【図9】注意喚起ウィンドウ内に注意喚起履歴表示が表示された表示画面を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る車両用注意喚起装置の光ビーコンにより情報を取得する際の動作を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態に係る車両用注意喚起装置の電波による通信により情報を取得する際の動作を示すフローチャートである。
【図12】第3実施形態に係る注意喚起実施時間を設定する際の動作を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態に係る注意喚起履歴表示時間を設定する際の動作を示すフローチャートである。
【図14】(A)〜(D)は、注意喚起実施時間、注意喚起履歴表示時間及び表示休止時間を示し、(A)は従来の装置、(B)は第1及び第2実施形態、(C)及び(D)は第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用注意喚起装置の実施の形態を説明する。
【0032】
図1に示す第1実施形態の車両用注意喚起装置1は、自車両100に搭載される。車両用注意喚起装置1は、通信により取得した自車両100の外部の他車両200等の移動物体に関する情報に基づいて、自車両100のドライバーに当該移動物体に対する注意喚起を行なうための装置である。車両用注意喚起装置1は、装置全体を制御するECU(Electronic Control Unit)20に、光ビーコン受信機11、路車間通信機12及び車車間通信機13の3種類の通信機が接続されている。
【0033】
光ビーコン受信機11は、路側の光ビーコン送信機300から指向性の近距離通信により送信された自車両100の外部の移動物体に関する情報を受信するための装置である。路車間通信機12は、路側のセンター等の施設から無指向性の電波通信により送信された自車両100の外部の移動物体に関する情報を受信するための装置である。車車間通信機13は、同様の車車間通信機13を搭載した他車両200から、当該他車両に関する情報を受信するための装置である。なお、路車間通信機12及び車車間通信機13は、1つの通信機で共用することが可能である。
【0034】
ECU20には、GPS(Global Positioning System)−ECU14及び地図データベース15が接続されている。GPS−ECU14は、複数のGPS衛星からの信号をGPS受信機で受信することにより、自車両100の現在位置と進行方向とを検出するためのものである。また、地図データベース15は、各地点の地図情報や路側施設に関する情報が記録されている。
【0035】
ECU20には、車速センサ16、シフトポジションセンサ17、ブレーキランプSW18及びウィンカSW19等のセンサやスイッチが接続されている。車速センサ16は、車軸の回転速度から自車両100の車速を検出するためのセンサである。シフトポジションセンサ17は、自車両100のトランスミッションのドライバーの操作により選択されたギアを検出するためのセンサである。ブレーキランプSW18は、自車両100の制動時に、自車両100の後部のブレーキランプを点灯するためのスイッチである。
【0036】
ECU20は、通信制御部21、送信信号処理部22、受信データ処理判定部23、運転支援演算部24及びHMI制御部25を有している。通信制御部21は、光ビーコン信号機11、路車間通信機12及び車車間通信機13による通信を制御する部位である。送信信号処理部22は、車車間通信機13から送信する自車両100の位置、車速、ブレーキ操作の有無等の自車両100に関する情報を、送信可能な形態に処理するための部位である。
【0037】
受信データ処理判定部23は、光ビーコン信号機11、路車間通信機12及び車車間通信機13により受信したデータを、GPS−ECU14及び地図データベース15から取得したデータと照合し、互いの情報を補正するマップマッチ処理を行う部位である。また、受信データ処理判定部23は、車速センサ16、シフトポジションセンサ17、ブレーキランプSW18及びウィンカSW19等のセンサやスイッチから得られた情報により、ドライバーの操作を推定するための部位である。
【0038】
運転支援演算部24は、光ビーコン信号機11、路車間通信機12及び車車間通信機13により受信したデータと、GPS−ECU14及び地図データベース15から取得したデータとから、自車両100がシステムのサービスを利用可能なサービスエリアに存在するか否かを判定するサービスエリア判定を行うための部位である。また、運転支援演算部24は、自車両100と他車両200等の移動物体との接触の可能性を判定するための部位である。また、運転支援演算部24は、後述する通信で得られた情報を利用した運転支援アルゴリズムを実行するための演算を行なうための部位である。
【0039】
HMI(Human Machine Interface)制御部25は、後述する注意喚起表示を実施するか否かの注意喚起実施条件を判定する部位である。また、HMI制御部25は、後述する注意喚起表示と注意喚起履歴表示との表示の切り替えを、それらの提示時間や繰返し回数等に基づいて判定する部位である。また、HMI制御部25は、注意喚起表示及び注意喚起履歴表示を終了するか否かの判定を行うための部位である。
【0040】
ECU20には、ディスプレイ31及びスピーカ・ブザー32が接続されている。ディスプレイ31は、ナビゲーションシステム用のディスプレイや、メータ内の液晶ディスプレイを適用することができる。ディスプレイ31は、ECU20のHMI制御部25からの信号に基づいて後述の注意喚起表示や注意喚起履歴表示を表示画面にその表示色を変化させつつ表示する。また、スピーカ・ブザー32は、ECU20のHMI制御部25からの信号に基づいて、後述の注意喚起表示や注意喚起履歴表示をその音量や周波数を変化させつつ表示する。
【0041】
ECU20には、アクセル制御部33及びブレーキ制御部34が接続されている。アクセル制御部33及びブレーキ制御部34はそれぞれ、ECU20の運転支援演算部24からの信号に基づいて、自車両100のアクセル量やブレーキ量を制御する。
【0042】
以下、本実施形態の車両用注意喚起装置1の動作について図2のフローチャートに基づき説明する。以下の説明では、図3に示すように、交差点において自車両100が右折をする状況を想定する。自車両100は、接近する他車両200や歩行者等の自車両100と接触する可能性がある移動物体に関する情報を、路側の光ビーコン送信機300や、無指向性の電波を用いた情報処理センター等との路車間通信や、他車両200等との車車間通信によって取得する可能性があるものとする。
【0043】
本実施形態では、これらの複数の通信手段から移動物体に関する情報を得られる際の通信手段の選択方法は問わないが、移動物体や事故類型毎に唯一の通信手段から得られたデータを用いて注意喚起を実施するものとする。例えば、同一交差点では、対向直進車である他車両200については車車間通信により得られたデータを優先し、横断歩行者については、無指向性の電波を用いた路車間通信により得られたデータを優先し、当該データにより注意喚起を行なうものとする。また、本実施形態では、図3で示されるような、右折車両と対向直進車両との接触だけではなく、想定される全ての事故類型を対象とする。
【0044】
図2に示すように、車両用注意喚起装置1のシステムが作動を開始し、光ビーコン通信機11、路車間通信機12及び車車間通信機13により、他車両200についての情報が取得される(S11)。ECU20のHMI制御部25は、注意喚起条件が成立するか否かを判定する(S12)。この場合の注意喚起条件は、他車両200のサービスエリア(図3の例では交差点)への進入や、他車両200と自車両100とのTTC(Time To Collision)等に基づいて、他車両200と自車両100との接触の可能性が有ることを条件とする。注意喚起条件が成立せず(S12)、自車両100がサービスエリアである交差点を通過したときは(S13)、ECU20は処理を終了する。
【0045】
注意喚起条件が成立したときは(S12)、HMI制御部25は、ディスプレイ31の表示を注意喚起画面に移行させる(S13)。この場合、HMI制御部25は、図7に示すような地図表示51が全面に表示されているディスプレイ31の表示画面50を、図8に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起表示53がなされている表示に切換える。この場合の注意喚起表示53は、例えば、ドライバーの注意を引き易い有彩色とできる。HMI制御部25は、同時にスピーカ・ブザー32から、音量が大きく、周波数が高い音声や警報を出力させる。
【0046】
HMI制御部25は、自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S15)、注意喚起表示53を終了し、表示画面50を図7に示す地図表示51のみを表示する画面に戻す(S24)。
【0047】
ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴画面への移行条件が成立するか否かを判定する(S16)。この場合の注意喚起条件は、以下の(1)〜(3)の全ての条件を満たすことで成立する。
(1) 上記の注意喚起表示53を実施中であること。
(2)通信データに他車両200を検知していない旨の情報を含む、通信データに他車両200のデータが含まれていない、通信データに他車両200がサービスエリアを通過した旨の情報を含む等の他車両200側の注意喚起条件が不成立となったこと。
(3)自車両100が同一の注意喚起表示53が行われるサービスエリアに留まっていること、すなわち自車両100側の注意喚起条件は成立していること。
【0048】
他車両200等の情報を取得した通信メディアが、光ビーコン通信機11であって、情報の更新ができないものであるときは(S17)、ECU20のHMI制御部25は、所定の注意喚起表示の規定時間(例えば、当該交差点における自車両100の進行方向の青信号の表示時間)を経過したことを条件として(S18)、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S19)。この場合、HMI制御部25は、図8に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起表示53がなされている表示を、図9に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起履歴表示54がなされている表示に切換える。
【0049】
注意喚起履歴表示54は、注意喚起表示53と同じ場所、同じ図柄で表示することが望ましい。また、注意喚起履歴表示54は、注意喚起表示53と危険対象であるエリア、地点、他車両200等を示す彩色が異なるものとする。例えば、この場合の注意喚起履歴表示54は、注意喚起表示53よりもドライバーへの注意喚起の度合が低い無彩色とできる。例えば、注意喚起表示53は黄色で表示され、注意喚起履歴表示54は灰色で表示されるものとできる。あるいは表示画面50の背景色の一部あるいは全部を変更することとしても良い。注意喚起履歴表示54は、注意喚起表示53よりも色合い、点滅、拡大率等を抑えた表示とできる。HMI制御部25は、同時にスピーカ・ブザー32から、注意喚起表示53のときよりも音量が小さく、周波数が低い音声や警報を出力させる。あるいは、注意喚起履歴表示54のときは、音声や警報は出力しないものとしても良い。
【0050】
自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S20)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。なお、他車両200等の情報を取得した通信メディアが、光ビーコン通信機11であって、情報の更新ができないものであるときは(S17)、その後に他車両200と自車両100との接触の可能性を示す情報が得られることは無いため、再び注意喚起表示53がなされることはない。
【0051】
一方、他車両200等の情報を取得した通信メディアが、無指向性の電波による路車間通信機12又は車車間通信機13であって、情報の更新が可能なものであるときは(S17)、ECU20のHMI制御部25は、通信メディアが光ビーコン通信機11のときと同様に、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S21)。自車両100がサービスエリアを通過しておらず(S22)、上記の注意喚起条件が成立した場合は(S23)、HMI制御部25は、ディスプレイ31の表示を再び注意喚起画面に移行させる(S14)。自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S20)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。
【0052】
本実施形態によれば、自車両100の外部の他車両200等の移動物体に関する情報を通信により取得する光ビーコン通信機11、路車間通信機12及び車車間通信機13と、これらの通信機が取得した情報に基づいて、自車両100のドライバーに他車両200等に対する注意喚起を行なうHMI制御部25を備えた車両用注意喚起装置1が提供される。HMI制御部25は、通信で得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が有ることが判定されるときは、注意喚起表示53をディスプレイ31に表示させる。これにより、自車両100のドライバーは自車両100との接触の可能性がある移動物体についての注意が喚起される。HMI制御部25は、注意喚起表示53が表示されているときに、通信で得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、注意喚起表示53より注意喚起の度合の低い注意喚起履歴表示54をディスプレイ31に表示させる。これにより、ドライバーは、通信で得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が無くなったことが判定されるときであっても、所定時間は注意喚起を受け続ける。このため、ドライバーの安全意識の低下を抑制することができる。このため、より効果的にドライバーに移動物体に対する注意を喚起することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態によれば、注意喚起履歴表示54が行われているときに、通信により得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が有ることが判定されるときは、HMI制御部25は、注意喚起表示53をディスプレイ31に再度表示させる。これにより、移動物体と自車両100との接触の可能性が再度生じたときに、ドライバーに適切な注意喚起を与えることができる。
【0054】
通信メディアが、光ビーコン通信機11のように一度情報を取得した後に情報を更新することが不可能なものであるときは、時間の経過とともに情報の確度は低下する。確度の低下した情報に基づいてドライバーに移動物体との接触可能性がある旨の注意喚起が行なわれると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、通信メディアが一度情報を取得した後に情報を更新することが不可能なものであるときは、注意喚起表示53を所定の規定時間表示させた後に、注意喚起履歴表示54を表示させる。これにより、確度の低下した情報により、ドライバーに高い水準の注意喚起を行なうことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、HMI制御部25は、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54とを、ディスプレイ31の表示画面50の色彩を変更して行う。これにより、ドライバーは、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との違いを、視覚により把握し易くなる。
【0056】
また、本実施形態では、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54とがそれぞれ表示されているときに、HMI制御部25は、スピーカ・ブザー32から、音声の音量及び周波数を変更した音声や警報音を出力させる。これにより、ドライバーは、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との違いを、聴覚により把握し易くなる。
【0057】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54とが過度に繰り返されることによるドライバーに与える煩雑感や表示の不明確さを解消する。
【0058】
本実施形態では、図1に示すような構成の装置により、図2に示すS11〜S17の工程が同様に行なわれる。他車両200等の情報を取得した通信メディアが、光ビーコン通信機11であって、情報の更新ができないものであるときは(S17)、図10に示すように、ECU20のHMI制御部25は、所定の注意喚起表示の規定時間(例えば、当該交差点における青信号の表示時間)を経過したことを条件として(S101)、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S102)。この場合、HMI制御部25は、図8に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起表示53がなされている表示を、図9に示すような注意喚起ウィンドウ52内に注意喚起履歴表示54がなされている表示に切換える。
【0059】
HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間を計測する(S103)。ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間が、所定の注意喚起履歴表示の規定時間(例えば、当該交差点における自車両100の進行方向の青信号の表示時間、あるいは、当該交差点における自車両100の交差方向の青信号が表示されるまでの時間)以上となったことを条件として(S104)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間が、所定の注意喚起履歴表示の規定時間未満であっても(S104)、自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S105)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。
【0060】
一方、他車両200等の情報を取得した通信メディアが、無指向性の電波による路車間通信機12又は車車間通信機13であって、情報の更新が可能なものであるときは(S17)、図11に示すように、ECU20のHMI制御部25は、表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示との切り替えを繰り返した回数が、所定の制限値(例えば、通常3〜10回)を超えているか否か判定する(S201)。
【0061】
表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との切り替えを繰り返した回数が制限値を超えていないときは(S201)、ECU20のHMI制御部25は、通信メディアが光ビーコン通信機11のときと同様に、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S202)。
【0062】
HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間を計測する(S203)。ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間が、所定の注意喚起履歴表示の規定時間未満であって(S204)、自車両100がサービスエリアを通過した場合は(S205)、当該注意喚起履歴表示54を終了する(S24)。この場合、自車両100がサービスエリアを通過しておらず(S205)、上記の注意喚起条件が成立した場合は(S206)、HMI制御部25は、注意喚起表示53と注意喚起履歴表示との切り替えを繰り返した回数に1を加算して(S207)、ディスプレイ31の表示を再び注意喚起画面に移行させる(S14)。自車両100がサービスエリアを通過しておらず(S205)、上記の注意喚起条件が成立していない場合は(S206)、HMI制御部25は、S204〜S205の工程を繰り返す。
【0063】
一方、表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との切り替えを繰り返した回数が制限値を超えているときは(S201)、ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴表示54を表示する最小表示時間を設定する(S208)。この最小表示時間は、ドライバーがディスプレイ31の表示画面50のチラツキを感じない2〜3秒程度で良い。ECU20のHMI制御部25は、ディスプレイ31の表示を注意喚起履歴画面に移行させる(S209)。この後は、繰返し回数の制限値を超えているため、注意喚起履歴表示54から注意喚起表示53に直接に移行することはない。
【0064】
最小表示時間が経過した場合(S210)、又はS204で注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間が注意喚起履歴表示の規定時間以上である場合は、ECU20のHMI制御部25は、注意喚起履歴表示54を終了する(S211)。もし、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間、又は表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との切り替えの繰返し回数の初期化条件を満たすときは(S212)、ECU20のHMI制御部25は、初期化条件を満たす経過時間又は繰返し回数を初期化して0とする(S213)。以降は、上述したようにS12からの工程が繰り返される。
【0065】
なお、注意喚起履歴表示54の表示開始からの経過時間、又は表示画面50の注意喚起表示53と注意喚起履歴表示54との切り替えの繰返し回数の初期化条件は、交差点の大きさや自車両100の待機場所等により左右される。例えば、右折待ち等で交差点付近で自車両100が車列の先頭にいる場合は、経過時間及び繰返し回数は初期化することが望ましい。
【0066】
一方、右折待ち等で、注意喚起表示53が表示されたが、右折待ち車両等が多いため、一回の青信号の表示期間に交差点を自車両100が通過することができず、次の青信号の表示期間となってしまった場合は、経過時間及び繰返し回数は初期化しないことが望ましい。また、右折待ち等で、右折レーン内等で単に少し自車両100が動いただけであり、発進直後にすぐに交差点を通過できず、まだ交差点に留まる可能性が高い場合は、経過時間及び繰返し回数は初期化しないことが望ましい。
【0067】
移動物体と自車両100との接触の可能性が無くなった後にあまりに長く注意喚起履歴表示54が行なわれると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、所定の規定時間の経過後は、注意喚起履歴表示54を終了する。このため、いつまでも注意喚起履歴表示54が行なわれ続けることによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0068】
また、注意喚起履歴表示54が行われているときに注意喚起表示53が再度行なわれることが何度も繰り返されると、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54が行われているときに注意喚起表示53を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後は、注意喚起履歴表示54が行われているときに、通信により得られた情報から移動物体と自車両100との接触の可能性が有ることが判定されるときであっても、注意喚起表示53が再度表示されない。このため、注意喚起表示53が過度に繰り返されることによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0069】
注意喚起表示53が行なわれた後に行なわれる注意喚起履歴表示54があまりに短い時間に終了すると、ドライバーは注意喚起履歴表示54を表示画面のチラツキや雑音程度に感じ、装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54が行われているときに注意喚起表示53が再度行なわれた回数が所定の制限回数を超えた後であって、注意喚起表示53を再度行なわなくなったときは、所定の最小表示時間の経過後に注意喚起履歴表示54を終了する。このため、注意喚起表示53が行なわれた後に行なわれる注意喚起履歴表示54は十分な時間行なわれる。このため、注意喚起履歴表示54があまりに短い時間に終了することによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0070】
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、注意喚起表示53が行われている2つの期間の間において、注意喚起がなされない期間や注意喚起履歴表示54が行われる期間が過度に短いことによるドライバーに与える煩雑感や表示の不明確さを解消する。
【0071】
本実施形態では、図1に示すような構成の装置により、図2あるいは図10〜図11に示す工程が同様に行なわれる。図2のS12及びS14の間の結合子Aにおいて、図12に示すように、HMI制御部25は、注意喚起表示53が行われる注意喚起実施時間を設定する(S301)。HMI制御部25は、注意喚起表示53の表示が行われる期間(以下、ONと呼ぶ)と、注意喚起表示53が行われない期間(以下、OFFと呼ぶ)とのスケジュールを定めた注意喚起ON/OFFスケジュールを作成する(S302)。なお、上記OFFの期間には、注意喚起表示53の後に注意喚起履歴表示54が行われる期間を含めても良いし、含まないものとしても良い。
【0072】
注意喚起表示53がOFFとなる時間が所定の規定時間(例えば、交差点の大きさ等により、自車両100が交差点を通過可能な時間)以下であるときは(S303)、HMI制御部25は、当該OFF時間が規定時間を超えるように注意喚起表示53が行われる時間を変更する(S304)。すなわち、具体的には、規定時間以下のOFFの期間においても、注意喚起表示53あるいは注意喚起履歴表示54が行われるように、スケジュールを変更する。
【0073】
また、本実施形態では、図2のS16及びS17の間の結合子Bにおいて、図13に示すように、HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54が行われる注意喚起実施時間を設定する(S401)。HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54の表示が行われる期間(以下、onと呼ぶ)と、OFFとなる期間とが設定された注意喚起on/OFFスケジュールを作成する(S402)。
【0074】
注意喚起履歴表示54がOFFとなる時間が所定の規定時間(例えば、交差点の大きさ等により、自車両100が交差点を通過可能な時間)以下であるときは(S403)、HMI制御部25は、当該OFF時間が規定時間を超えるように注意喚起履歴表示54が行われる時間を変更する(S404)。すなわち、具体的には、規定時間以下のOFFの期間においても、注意喚起履歴表示54あるいは注意喚起表示53が行われるように、スケジュールを変更する。
【0075】
上記特許文献1の装置では、図14(a)に示すように、注意喚起表示53が行われるON期間、注意喚起表示53が行われず地図表示51のみが行われるOFF期間が設定される。他車両200の進行に対して時間taだけ先立ってON期間となり、注意喚起表示がなされる。この場合、注意喚起表示53が行われないOFF期間が十分に長い時間tbのときは、自車両100が交差点を通過可能である。しかし、OFF期間が短い時間tcのときは自車両がOFF期間内に交差点を通過不可能であり、ドライバーが装置への不信感や表示への煩雑感を持つことになる。
【0076】
そこで、本実施形態では、図14(b)に示す、注意喚起表示53が行われるON期間、注意喚起履歴表示54が行なわれるon期間、及び注意喚起表示53が行われず地図表示51のみが行われるOFF期間が設定されている装置において、図14(c)に示すように、注意喚起履歴表示54が行なわれるon期間や注意喚起表示53が行われず地図表示51のみが行われるOFF期間が所定の規定時間より短いときは、当該期間は注意喚起表示53が行われるON期間とされる。あるいは、図14(d)に示すように、注意喚起表示53が行われず地図表示51のみが行われるOFF期間が所定の規定時間より短いときは、当該期間は注意喚起履歴表示54が行われるon期間とされる。
【0077】
注意喚起表示53が行なわれる期間の間の注意喚起履歴表示54が行なわれる期間があまりに短い場合、その期間は自車両100を通行させることができない。このため、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、注意喚起表示53が行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起履歴表示54が行われることが予測される期間が所定の規定時間以下であるときは、HMI制御部25は、注意喚起履歴表示54が行なわれることが予測される期間に注意喚起表示53を行なう。これにより、注意喚起履歴表示54が行なわれる期間が過度に短いことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0078】
また、注意喚起が行なわれる期間の間の注意喚起が行なわれない期間があまりに短い場合、その期間は自車両100を通行させることができない。このため、ドライバーは装置に対して煩雑感や不信感を抱くことになる。本実施形態によれば、HMI制御部25は、注意喚起表示53及び注意喚起履歴表示54のいずれかが行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起が行われないことが予測されるOFF期間が所定の規定時間以下であるときは、OFF期間に注意喚起表示53及び注意喚起履歴表示54のいずれかを行なう。これにより、注意喚起が行なわれない期間が過度に短いことによるドライバーの煩雑感や不信感を防止できる。
【0079】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態において、上記の注意喚起履歴表示54の表示開始からの時間の経過とともに、注意喚起履歴表示54の画面が徐々に薄く、暗くなっていき、上記の規定時間が経過したときに、注意喚起履歴表示54が全て消滅する表示方式も採用できる。あるいは、注意喚起表示53から注意喚起履歴表示への移行時に、徐々に時間をかけて色彩を変更していく表示方式も採用できる。
【符号の説明】
【0080】
1…車両用注意喚起装置、11…光ビーコン受信機、12…路車間通信機、13…車車間通信機、14…GPS−ECU、15…地図データベース、16…車速センサ、17…シフトポジション、18…ブレーキランプSW、19…ウィンカSW、20…ECU、21…通信制御部、22…送信信号処理部、23…受信データ処理判定部、24…運転支援演算部、25…HMI制御部、31…ディスプレイ、32…スピーカ・ブザー、33…アクセル制御部、34…ブレーキ制御部、50…表示画面、51…地図表示、52…注意喚起ウィンドウ、53…注意喚起表示、54…注意喚起履歴表示、100…自車両、200…他車両、300…光ビーコン送信機、302…通信範囲、400…監視センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の外部の移動物体に関する移動物体情報を通信により取得する情報所得ユニットと、
前記情報取得ユニットが取得した前記移動物体情報に基づいて、前記自車両のドライバーに前記移動物体に対する注意喚起を行なう注意喚起ユニットと、
を備え、
前記注意喚起ユニットは、
前記移動物体情報から前記移動物体と前記自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、前記自車両のドライバーに第1の注意喚起を行い、
前記第1の注意喚起が行われているときに、前記移動物体情報から前記移動物体と前記自車両との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、前記自車両のドライバーに前記第1の注意喚起より注意喚起の度合の低い第2の注意喚起を行なう、車両用注意喚起装置。
【請求項2】
前記注意喚起ユニットは、所定の規定時間の経過後は、前記第2の注意喚起を終了する、請求項1に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項3】
前記注意喚起ユニットは、前記第2の注意喚起が行われているときに、前記移動物体情報から前記移動物体と前記自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、前記自車両のドライバーに前記第1の注意喚起を再度行なう、請求項1又は2に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項4】
前記注意喚起ユニットは、前記第2の注意喚起を行われているときに前記第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後は、前記第2の注意喚起が行われているときに、前記移動物体情報から前記移動物体と前記自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときであっても、前記自車両のドライバーに前記第1の注意喚起を再度行なわない、請求項3に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項5】
前記注意喚起ユニットは、前記第2の注意喚起を行われているときに前記第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後であって、前記第1の注意喚起を再度行なわなくなったときは、所定の最小表示時間の経過後に前記第2の注意喚起を終了する、請求項4に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項6】
前記注意喚起ユニットは、前記第1の注意喚起が行なわれることが予測される2つの期間の間において、前記第2の注意喚起が行われることが予測される期間が所定の規定時間以下であるときは、前記第2の注意喚起が行なわれることが予測される期間に前記第1の注意喚起を行なう、請求項3〜5のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項7】
前記注意喚起ユニットは、前記第1の注意喚起及び前記第2の注意喚起のいずれかが行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起が行われないことが予測される注意喚起中断期間が所定の規定時間以下であるときは、前記注意喚起中断期間に前記第1の注意喚起及び前記第2の注意喚起のいずれかを行なう、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項8】
前記注意喚起ユニットは、前記情報取得ユニットが前記移動物体情報を取得するための通信媒体が一度前記移動物体情報を取得した後に前記移動物体情報を更新することが不可能なものであるときは、前記第1の注意喚起を所定の規定時間行なった後に、前記第2の注意喚起を行なう、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項9】
前記注意喚起ユニットは、前記第1の注意喚起と前記第2の注意喚起とを、画面表示の色彩を変更して行う、請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項10】
前記注意喚起ユニットは、前記第1の注意喚起と前記第2の注意喚起とを、音声の音量及び周波数の少なくともいずれか変更して行う、請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項1】
自車両の外部の移動物体に関する移動物体情報を通信により取得する情報所得ユニットと、
前記情報取得ユニットが取得した前記移動物体情報に基づいて、前記自車両のドライバーに前記移動物体に対する注意喚起を行なう注意喚起ユニットと、
を備え、
前記注意喚起ユニットは、
前記移動物体情報から前記移動物体と前記自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、前記自車両のドライバーに第1の注意喚起を行い、
前記第1の注意喚起が行われているときに、前記移動物体情報から前記移動物体と前記自車両との接触の可能性が無くなったことが判定されるときは、少なくとも所定時間は、前記自車両のドライバーに前記第1の注意喚起より注意喚起の度合の低い第2の注意喚起を行なう、車両用注意喚起装置。
【請求項2】
前記注意喚起ユニットは、所定の規定時間の経過後は、前記第2の注意喚起を終了する、請求項1に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項3】
前記注意喚起ユニットは、前記第2の注意喚起が行われているときに、前記移動物体情報から前記移動物体と前記自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときは、前記自車両のドライバーに前記第1の注意喚起を再度行なう、請求項1又は2に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項4】
前記注意喚起ユニットは、前記第2の注意喚起を行われているときに前記第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後は、前記第2の注意喚起が行われているときに、前記移動物体情報から前記移動物体と前記自車両との接触の可能性が有ることが判定されるときであっても、前記自車両のドライバーに前記第1の注意喚起を再度行なわない、請求項3に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項5】
前記注意喚起ユニットは、前記第2の注意喚起を行われているときに前記第1の注意喚起を再度行なった回数が所定の制限回数を超えた後であって、前記第1の注意喚起を再度行なわなくなったときは、所定の最小表示時間の経過後に前記第2の注意喚起を終了する、請求項4に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項6】
前記注意喚起ユニットは、前記第1の注意喚起が行なわれることが予測される2つの期間の間において、前記第2の注意喚起が行われることが予測される期間が所定の規定時間以下であるときは、前記第2の注意喚起が行なわれることが予測される期間に前記第1の注意喚起を行なう、請求項3〜5のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項7】
前記注意喚起ユニットは、前記第1の注意喚起及び前記第2の注意喚起のいずれかが行なわれることが予測される2つの期間の間において、注意喚起が行われないことが予測される注意喚起中断期間が所定の規定時間以下であるときは、前記注意喚起中断期間に前記第1の注意喚起及び前記第2の注意喚起のいずれかを行なう、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項8】
前記注意喚起ユニットは、前記情報取得ユニットが前記移動物体情報を取得するための通信媒体が一度前記移動物体情報を取得した後に前記移動物体情報を更新することが不可能なものであるときは、前記第1の注意喚起を所定の規定時間行なった後に、前記第2の注意喚起を行なう、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項9】
前記注意喚起ユニットは、前記第1の注意喚起と前記第2の注意喚起とを、画面表示の色彩を変更して行う、請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【請求項10】
前記注意喚起ユニットは、前記第1の注意喚起と前記第2の注意喚起とを、音声の音量及び周波数の少なくともいずれか変更して行う、請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用注意喚起装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−59946(P2011−59946A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208330(P2009−208330)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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