説明

車両用液体循環システム

【課題】冷暖房運転開始時の快適性を向上し、かつ冷暖房に要するエネルギーを低く抑えて省エネルギー性向上を図ることができる車両用液体循環システムを提供する。
【解決手段】冷媒回路10と、冷媒水熱交換器2で熱交換された水を循環させるポンプ21、冷媒水熱交換器2に対して直列に接続された第1熱交換器22、第1熱交換器22の下流側に接続した第2熱交換器23、第3熱交換器24を有する水回路20を備え、第1熱交換器22は送風機28が発する空気により熱伝達し、第2熱交換器23は輻射により伝熱を行い、第3熱交換器24は熱伝導により伝熱を行う構成とし、暖房運転起動時、冷媒水熱交換器2から流出する水の温度が低い場合、送風機28を停止するとともに、第2熱交換器23または第3熱交換器24のいずれか一方に温水を流す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン冷却水を有しない電気自動車や空冷式内燃機関搭載車等の車室内の冷暖房に利用される車両用液体循環システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気自動車のようなエンジン冷却水からの排熱を利用して車室内の暖房ができない車両用の空気調和装置として、空気から熱を汲み上げるヒートポンプ技術を用いたものがある。
【0003】
この技術は、圧縮機、冷媒水熱交換器、蒸発器を有する冷凍サイクルと、温水を循環させるポンプ、ダクト内に設置され流入した温水によりダクト内を流れる空気を加熱する温水式加熱器を有する温水サイクルとを備えることにより、エンジン排熱を用いずにヒートポンプ技術により車室内の暖房を行うものである。例えば、特許文献1には、図7に示すような車両用空気調和装置100が開示されている。
【0004】
この車両用空気調和装置100は、冷媒を循環させる冷媒回路110と温水を循環させる水回路120とを備えている。冷媒回路110は、圧縮機101、冷媒水熱交換器102、減圧手段103、および、蒸発器104が配管により環状に接続されており、一方、水回路120は、ポンプ111、冷媒水熱交換器102、ダクト115内に設置された温水ヒータコア112が配管により環状に接続されている。
【0005】
冷媒回路110における冷媒水熱交換器102にて高温高圧冷媒の凝縮熱によって加熱された温水が、ポンプ111によりダクト115内の温水ヒータコア112に搬送され、温水ヒータコア112では、送風機113の作用によりダクト115内を流れる空気と熱交換して空気を加熱する。その加熱された空気は、送風機113の作用により車室内へ吹き出され車室内が暖房される。
【0006】
このように空気熱源のヒートポンプ技術を用いることにより、エンジン排熱を使用せずに車室内の暖房が可能になる車両用空気調和装置を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3477868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、消費電力低減と快適性の観点から以下のような問題が生じる。すなわち、前記従来の構成による暖房方式では、温水ヒータコア112内の温水と、ダクト115内を流れる空気とが熱交換することにより空気を加熱し、その空気を車室内に吹き出して車室内空間の暖房運転を行うという、いわゆる強制対流を利用した暖房方式であるため、温水ヒータコア112内の温水と空気との温度差を比較的大きくしなければならず、水回路120流れる温水の温度を高くする必要がある。
【0009】
このため、冷媒回路110側の凝縮圧力を高くしなければならず、圧縮機101の消費電力が増加する問題があった。
【0010】
さらに、従来の構成では、水回路120おける温水ヒータコア112へ流入する温水と、空気と熱交換した後に温水ヒータコア112から流出する温水との温度差が小さいため、所定の加熱能力を得るためには、水回路120を流れる温水の循環量を増加させる必要がある。このため、ポンプ111の動力が増加するという問題があった。
【0011】
さらに、前記従来の構成によるヒートポンプ熱源による強制対流を利用した暖房方式は、例えば、冬季の低外気温条件での暖房運転開始時、冷媒回路110側の凝縮圧力が上昇して、水回路120側にて温水ヒータコア112へ流入する水温を最低約40℃以上にして、車室内に在席する人体の体温より最低でも数度以上は高い温度の空気をダクト115から吹き出さない限り、在席者が快適と感じるまでには至らない。つまり、暖房運転開始後、車室内の在席者が快適と感じるまでに長い時間を必要とし、暖房起動時の快適性が低いという問題があった。
【0012】
さらに、前記従来の構成の冷媒回路110において、冷媒を逆方向に流動させることにより、冷房運転が可能になるが、蒸発圧力の低下に伴う圧縮機消費電力の増加とポンプ111の動力の増加、および、運転開始時後に車室内の在席者が快適と感じるまでに長い時間を必要とするため、冷房起動時にも快適性が低いという問題があった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑み、冷暖房に要するエネルギーを低く抑える、いわゆる省エネルギー性の向上を図ることができ、かつ、冷暖房運転開始時の快適性を向上することのできる車両用液体循環システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記従来の課題を解決するために、本発明の車両用液体循環システムは、圧縮機、冷媒水熱交換器、膨張手段、冷媒空気熱交換器が接続された冷媒回路と、冷媒水熱交換器で熱交換された水を循環させる循環手段、冷媒水熱交換器と直列に接続され送風手段が発する空気により熱伝達する第1熱交換手段、第1熱交換手段と直列に接続され輻射により伝熱する第2熱交換手段、第2熱交換手段と並列に接続され熱伝導により伝熱する第3熱交換手段を有する水回路と、制御手段とを備え、暖房運転時に、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第1所定温度未満の場合に、第1熱交換手段へ送風せず、第2熱交換手段と第3熱交換手段のいずれか一方に水を流入させることにより、比較的温度の低い温水でも温熱感を得られる輻射または熱伝導で伝熱するため、冷媒水熱交換器に戻る温水の温度を下げることができる。
【0015】
これにより、冷媒水熱交換器における水回路の平均温度を下げることで、冷媒回路の凝縮圧力を下げることができ、圧縮機の消費電力を低減できるとともに、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、人体温度付近である第1所定温度まで上昇しない間は、第1熱交換手段から冷風が吹き出すことを防止し、在席者の不快感を抑制することができる。
【0016】
また、本発明の車両用液体循環システムは、冷房運転時に、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第3所定温度以上の場合に、第1熱交換手段へ送風せず、第2熱交換手段と第3熱交換手段のいずれか一方に水を流入させることにより、比較的温度の高い冷水でも冷熱感を得られる輻射または熱伝導で伝熱するため、冷媒水熱交換器に戻る温水の温度を上げることができる。
【0017】
これにより、冷媒水熱交換器における水回路の平均温度を上げることで、冷媒回路の蒸発圧力を上げることができ、圧縮機の消費電力を低減できるとともに、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、人体温度付近である第3所定温度まで低下しない間は、第1熱交換手段から温風が吹き出すことを防止し、在席者の不快感を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両用液体循環システムは、冷暖房に要するエネルギーを低く抑える、いわゆる省エネルギー性の向上を図ることができ、かつ、冷暖房運転開始時の快適性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る車両用液体循環システムの概略構成図
【図2】実施の形態1における熱交換器通過後の水温変化グラフ
【図3】実施の形態1における制御装置が行う暖房運転起動制御のフローチャート
【図4】実施の形態2に係る車両用液体循環システムの概略構成図
【図5】実施の形態2における熱交換器通過後の水温変化グラフ
【図6】実施の形態2における制御装置が行う冷房運転起動制御のフローチャート
【図7】従来の冷凍サイクル装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の発明は、圧縮機、冷媒水熱交換器、膨張手段、冷媒空気熱交換器が接続された冷媒回路と、冷媒水熱交換器で熱交換された水を循環させる循環手段、冷媒水熱交換器と直列に接続され送風手段が発する空気により熱伝達する第1熱交換手段、第1熱交換手段と直列に接続され輻射により伝熱する第2熱交換手段、第2熱交換手段と並列に接続され熱伝導により伝熱する第3熱交換手段を有する水回路と、制御手段とを備え、暖房運転時に、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第1所定温度未満の場合に、第1熱交換手段へ送風せず、第2熱交換手段と第3熱交換手段のいずれか一方に水を流入させるものである。
【0021】
これによって、冷媒水熱交換器から流出する比較的温度の低い温水を、比較的温度の低い温水でも温熱感を得られる輻射または熱伝導で伝熱することで、水回路における冷媒水熱交換器の平均温度を下げることが可能となり、冷媒回路の凝縮圧力を低減し、圧縮機の消費電力を低減できる。さらに、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、人体温度付近である第1所定温度まで上昇しない間は、第1熱交換手段から冷風が吹き出すことを防止し、在席者に冷風感を与えることを抑制することができる。
【0022】
第2の発明は、特に、第1の発明において、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第1所定温度以上の場合に、第2熱交換手段と第3熱交換手段とに水を流入させることにより、水温が上昇するまでの間は、第1熱交換手段から冷風が吹き出すことを防止しながら、第2熱交換手段の輻射と第3熱交換手段の熱伝導の作用により、在席者の温熱感を向上させることができる。
【0023】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第2所定温度以上の場合に、第1熱交換手段へ送風することにより、第1熱交換手段の対流伝熱の作用による車室内の全体暖房運転と、第2熱交換手段の輻射、第3熱交換手段の熱伝導の作用による比較的温度の低い温水を有効に利用する局所暖房運転とを併用でき、在席者の温熱感を向上させることができる。
【0024】
第4の発明は、圧縮機、冷媒水熱交換器、膨張手段、冷媒空気熱交換器が接続された冷媒回路と、冷媒水熱交換器で熱交換された水を循環させる循環手段、冷媒水熱交換器と直列に接続され送風手段が発する空気により熱伝達する第1熱交換手段、第1熱交換手段と直列に接続され輻射により伝熱する第2熱交換手段、第2熱交換手段と並列に接続され熱伝導により伝熱する第3熱交換手段を有する水回路と、制御手段とを備え、冷房運転時に、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第3所定温度以上の場合に、第1熱交換手段へ送風せず、第2熱交換手段と第3熱交換手段のいずれか一方に水を流入させるものである。
【0025】
これによって、冷媒水熱交換器から流出する比較的温度の高い冷水を、比較的温度の高い冷水でも冷熱感を得られる輻射または熱伝導で伝熱することで、水回路における冷媒水熱交換器の平均温度を上げることが可能となり、冷媒回路の蒸発圧力を上昇させ、圧縮機の消費電力を低減できる。さらに、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、人体温度付近である第3所定温度まで低下しない間は、第1熱交換手段から温風が吹き出すことを防止し、在席者に温熱感を与えることを抑制することができる。
【0026】
第5の発明は、特に、第4の発明において、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第3所定温度未満の場合に、第2熱交換手段と第3熱交換手段とに水を流入させることにより、水温が低下するまでの間は、第1熱交換手段から温風が吹き出すことを防止しながら、第2熱交換手段の輻射と第3熱交換手段の熱伝導の作用により、在席者の冷熱感を向上させることができる。
【0027】
第6の発明は、特に、第4または第5の発明において、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第4所定温度未満の場合に、第1熱交換手段へ送風することにより、第1熱交換手段の対流伝熱の作用による車室内の対流による全体冷房運転と、第2熱交換手段の輻射伝熱伝導、第3熱交換手段の熱伝導の作用による比較的温度の高い冷水を有効に利用する局所冷房運転とを併用でき、在席者の冷熱感を向上させることができる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が制限されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における、車両用液体循環システム50を示す。この車両用液体循環システム50は、冷媒を循環させる冷媒回路10と、冷媒回路10を熱源として生成される温水、または冷水を循環させる水回路20と、制御手段である制御装置40とを備えている。
【0030】
冷媒回路10は、冷媒を圧縮する圧縮機1、冷媒の流動方向を切り換える四方弁5、冷媒と水とを熱交換させる冷媒水熱交換器2、高圧冷媒を膨張させる膨張手段である膨張弁3、および、冷媒と空気とを熱交換させる冷媒空気熱交換器4が配管により接続されて構成されている。
【0031】
冷媒回路10には、暖房運転から冷房運転へ、または、暖房運転から除霜運転へ切り換えるための四方弁5が設けられている。
【0032】
なお、冷媒としては、例えば、R410A等の擬似共沸混合冷媒、R407C等の非共沸混合冷媒、または、フロン冷媒系、または、自然冷媒系の単一冷媒等を用いることができる。
【0033】
一方、水回路20は、水を搬送する循環手段であるポンプ21、冷媒水熱交換器2、そして、冷媒水熱交換器2にて熱交換された水の熱を放熱するための第1熱交換手段である第1熱交換器22、第2熱交換手段である第2熱交換器23、第3熱交換手段である第3熱交換器24、および、第2熱交換器23への水流量を調整するための第1流量調整手段としての第1流量調整弁25、第3熱交換器24への水流量を調整するための第2流量調整手段としての第2流量調整弁26から構成されている。
【0034】
水回路20において、第1熱交換器22は冷媒水熱交換器2に対して直列に設置されている。また、第2熱交換器23、および、第3熱交換器24は、第1熱交換器22の下流側に直列に設置され、第2熱交換器23、第3熱交換器24は、それぞれ並列に接続されている。
【0035】
また、第1流量調整弁25、第2流量調整弁26は、第2熱交換器23、第3熱交換器24の入口側で、かつ、車室外に設置するものとする。
【0036】
第1熱交換器22は送風ダクト27の中に設置され、送風手段である送風機28の送風により対流熱伝達を利用して水から空気へ熱交換が行われる。第1熱交換器22で熱交換された空気は送風ダクト27の吹出口に設置された風量調整ダンパ29を介して車室内へ吹き出される。
【0037】
また、第2熱交換器23は車室内のドア内面パネルに設置され、輻射により座席シートへの在席者に温冷熱を伝え、第3熱交換器24は車室内の座席シートの内部に設置され、熱伝導により座席シート、および、座席シートへの在席者に温冷熱を伝える。
【0038】
水回路20に使用する水としては、例えば、市水等のほか、不凍液、ブライン等を用いることができる。
【0039】
水回路20の第1熱交換器22の入口配管(冷媒水熱交換器2出口から第1熱交換器22入口までの配管)には、第1熱交換器22へ流入する水温を検出するための入口温度センサ30が設置されている。第2熱交換器23の出口配管(第2熱交換器23出口から第2熱交換器23と第3熱交換器24との合流部までの配管)には、第2熱交換器23から流出する水の温度を検出するための第1出口温度センサ31が設置されている。また、第3熱交換器24の出口配管(第3熱交換器24出口から第2熱交換器23と第3熱交換器24との合流部までの配管)には、第3熱交換器24から流出する水の温度を検出するための第2出口温度センサ32が設置されている。
【0040】
制御手段である制御装置40は、入口温度センサ30、第1出口温度センサ31、第2出口温度センサ32、第1流量調整弁25、第2流量調整弁26と信号線で接続されている。制御装置40は、入口温度センサ30、第1出口温度センサ31、第2出口温度センサ32が検出した検出値に基づいて、送風機28の運転有無、第1流量調整弁25、第2流量調整弁26を通過する水流量を制御する。
【0041】
以上のように構成された車両用液体循環システムは、四方弁5を切り換えることで、第1熱交換器22や第2熱交換器23、第3熱交換器24へ温水を搬送する暖房運転と、第1熱交換器22や第2熱交換器23、第3熱交換器24へ冷水を搬送する冷房運転を行うことができる。以下、暖房運転における冷媒、および、水の状態変化を説明する。
【0042】
図1の本実施形態の車両用液体循環システム50では、冷媒回路10の加熱運転により生成された温水を水回路20において各熱交換器へ搬送して車室内の暖房に利用する暖房運転の動作を示している。図1では暖房運転時の冷媒流れ方向を実線矢印、水の流れ方向を破線矢印で示している。
【0043】
まず、冷媒回路10において、圧縮機1から吐出された高圧ガス冷媒は、四方弁5により冷媒水熱交換器2に流入する方向に切り換えられ、凝縮器として作用する冷媒水熱交換器2において冷媒水熱交換器2の水側流路を通過する水と熱交換して水を加熱し、冷媒自身は放熱して液化凝縮し、高圧液冷媒となる。
【0044】
冷媒水熱交換器2から流出した高圧液冷媒は、膨張弁3によって減圧されて膨張し、低圧二相冷媒となり、蒸発器として作用する冷媒空気熱交換器4に流入する。
【0045】
冷媒空気熱交換器4に流入した低圧二相冷媒は、ここで蒸発して空気から気化熱を吸熱して過熱冷媒となって冷媒空気熱交換器4を流出し、圧縮機1へ戻る。
【0046】
一方、水回路20において、ポンプ21により水回路20を循環する水は、冷媒水熱交換器2の水側流路において、冷媒水熱交換器2の冷媒側流路で凝縮する冷媒との熱交換により温水となる。
【0047】
その後、第1熱交換器22に温水が流入し、温水から空気へ対流熱伝達で加熱されることにより温風を生成して車室内の暖房を行い、水自身は空気との熱交換によって水温が低下して第1熱交換器22から流出する。
【0048】
そして、車室内のドア内面パネルに設置された第2熱交換器23に流入した場合、在席者の体温より高い温水により加熱されたドア内面パネルから輻射により座席シート在席者に温熱を伝え在席者の暖房快適性を高め、水自身は輻射により座席シート在席者に温熱を伝えることよって水温が低下して第2熱交換器23から流出する。
【0049】
一方、車室内の座席シートの内部に設置された第3熱交換器24に流入した場合、在席者の体温より高い温水が、熱伝導により座席シート、および、座席シート在席者に温熱を伝え在席者の暖房快適性を高め、水自身は座席シートや在席者との熱交換によって水温が低下して第3熱交換器24から流出する。
【0050】
そして、第2熱交換器23、第3熱交換器24から流出した水は集合後、冷媒水熱交換器2へ戻る。
【0051】
ここで、水回路20において、暖房運転における各熱交換器を通過した温水の温度の変化は、図2に示すようになる。
【0052】
図2において、温水は温度t1で第1熱交換器22に流入し、温度t2で流出する。このとき、第1熱交換器22における温水の温度差は、△t(=t1−t2)となる。その後、温水は温度t2で第2熱交換器23、および/または、第3熱交換器24に流入し、温度t3で流出することになる。このとき、第1熱交換器22、第2熱交換器23、および/または、第3熱交換器24において放熱された温水の温度差は、最終的に△t’(=t1−t3)となる。
【0053】
すなわち、対流熱伝達により伝熱を行う第1熱交換器22において、温度の高い温水を利用した後に、比較的低温の温水でも十分に温熱感を得られる輻射、または、熱伝導による伝熱を行う第2熱交換器23、および/または、第3熱交換器24で利用することにより、冷媒水熱交換器2への温水の戻り温度を下げることができる。
【0054】
したがって、冷媒水熱交換器2への温水の戻り温度が低いため、冷媒水熱交換器2の冷媒側流路における冷媒の凝縮圧力を低下させることができる。このため、圧縮機1は、吐出する冷媒の圧力を低くできるために、圧縮機1の消費電力を低減できる。
【0055】
また、冷媒水熱交換器2の入水温度(図2における戻り温水温度)と出水温度(図2における行き温水温度)との温度差を大きくすることができるため、各熱交換器で、同一の加熱能力を車内に供給する場合に、水流量を低減することが可能となる。このため、ポンプ21の動力を低減できるため省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0056】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、暖房運転起動時の制御装置40の制御動作内容について詳細に説明する。
【0057】
まず、冷媒回路10による加熱運転を開始し(ステップS1)、水回路20における入口温度センサ30により入口水温Ti、および、第1出口温度センサ31、第2出口温度センサ32各々により出口水温T1、出口水温T2を検出する(ステップS2)。
【0058】
そして、入口水温Tiと、熱伝導パネルである第3熱交換器24の使用開始温度として予め設定された第1所定温度Ts1との比較を行う(ステップS3)。
【0059】
ステップS3において、入口水温Ti<第1所定温度Ts1の場合、水温が十分上昇していないため、在席者に冷風感、冷熱感を与えるのを防止すべく、送風機28の運転を行わず、また、熱伝導による伝熱を行う第3熱交換器24の第2流量調整弁26を閉とし、輻射による伝熱を行う第2熱交換器23の第1流量調整弁25のみを開とする(ステップS4)。その後は、ステップS2に戻る。
【0060】
一方、ステップS3において、入口水温Ti≧第1所定温度Ts1の場合、熱伝導パネルである第3熱交換器24の使用を開始するため、ステップS5に移行して、入口水温Tiと第1熱交換器22、送風機28の使用開始温度として予め設定された第2所定温度Ts2との比較を行う。
【0061】
ステップS5において、入口水温Ti<第2所定温度Ts2の場合、ステップS6に移行して、送風機28の運転は行わず、輻射パネルである第2熱交換器23と第3熱交換器24の第1流量調整弁25と第2流量調整弁26を開とする。その後は、ステップS2に戻る。
【0062】
一方、ステップS5において、入口水温Ti≧第2所定温度Ts2の場合、第1熱交換器22での暖房運転を開始すべく、ステップS7に移行して、第1流量調整弁25および第2流量調整弁26を開とした状態で送風機28を運転し、暖房起動制御を終了する。
【0063】
ここでは、各熱交換器用に予め設定された第1所定温度Ts1、第2所定温度Ts2の大小関係は、第1所定温度Ts1<第2所定温度Ts2として、輻射、熱伝導、対流の順で運転を開始するように設定している。
【0064】
以上のように、本実施形態において、暖房起動時は、冷媒水熱交換器2から流出する水の温度が、人体温度付近である第1所定温度Ts1未満の場合は、第1熱交換器22の送風機28による送風は行わず、かつ、第1流量調整弁25を開とすることにより、水温が上昇するまで第1熱交換器22からの冷風吹出しを防止しながら、温水の循環を継続できる。
【0065】
そして、熱伝導により伝熱する第3熱交換器24に低温の水が流入して、座席シートを介して在席者に寒冷感を与えることを防止できるとともに、輻射により伝熱する第2熱交換器23に温水を流入させ、ドア内側のパネルを介して在席者を局所的に暖めることができ、比較的温度の低い温水を有効に利用しながら暖房運転起動時の在席者の快適性向上を図ることができる。また、冷媒水熱交換器2から流出する比較的温度の低い温水を、比較的温度の低い温水でも温熱感を得られる輻射で伝熱することで、水回路20における冷媒水熱交換器2の平均温度を下げることが可能となり、冷媒回路10の凝縮圧力を低減し、圧縮機1の消費電力を低減できる。
【0066】
つぎに、冷媒水熱交換器2から流出する水の温度が、第1所定温度Ts1以上で、かつ、送風機28の運転開始温度である第2所定温度Ts2未満の場合、第2流量調整弁26を開とすることにより、在席者の体温より高い温水で加熱されたドア内面パネルからの輻射と、熱伝導により座席シート等を介して在席者を局所的に暖めることができ、比較的温度の低い温水を有効に利用しながら暖房運転起動時の在席者の快適性向上を図ることができる。
【0067】
さらに、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が第2所定温度Ts2以上の場合、送風機28を運転して第1熱交換器22へ送風することにより、水温が十分上昇して人体温度より十分高い温度の空気を吹き出せるため、暖房運転起動時の在席者の快適性向上を図ることができる。
【0068】
すなわち、第1熱交換器22による車室内の対流による全体暖房運転と、同時に輻射を利用した第2熱交換器23、および熱伝導を利用した第3熱交換器24による局所暖房運転を併用でき、快適性をさらに向上させることが可能となる。
【0069】
なお、図3のフローチャートのステップS4では、第1流量調整弁を開とし、第2流量調整弁を閉とするものとしているが、第1流量調整弁を閉とし、第2流量調整弁を開としてもよい。この場合には、輻射により伝熱する第2熱交換器23に低温の水が流入して、ドア内側のパネルを介して在席者に寒冷感を与えることを防止できるとともに、熱伝導により伝熱する第3熱交換器24に温水を流入させ、座席シートを介して在席者を局所的に暖めることができ、比較的温度の低い温水を有効に利用しながら暖房運転起動時の在席者の快適性向上を図ることができる。また、冷媒水熱交換器2から流出する比較的温度の低い温水を、比較的温度の低い温水でも温熱感を得られる熱伝導で伝熱することで、水回路20における冷媒水熱交換器2の平均温度を下げることが可能となり、冷媒回路10の凝縮圧力を低減し、圧縮機1の消費電力を低減できる。
【0070】
(実施の形態2)
図4に、本発明の第2実施形態に係る冷房運転を行う車両用液体循環システム50を示す。冷媒回路10と、水回路20の構成は第1実施形態と同一であるが、冷媒回路10において冷却運転を行うことと水回路20における第1流量調整弁25、第2流量調整弁26、送風機28の運転制御については第1実施形態とは異なる。
【0071】
以下、冷房運転における冷媒、および水の状態変化を説明する。
【0072】
図4の本実施形態の車両用液体循環システム50では、冷媒回路10の冷却運転により生成された冷水を水回路20において各熱交換器へ搬送して車室内の冷房に利用する冷房運転の動作を示している。図4では冷房運転時の冷媒流れ方向を実線矢印、水の流れ方向を破線矢印で示している。
【0073】
まず、冷媒回路10において、圧縮機1から吐出された高圧ガス冷媒は、四方弁5により冷媒空気熱交換器4に流入する方向に切り換えられ、凝縮器として作用する冷媒空気熱交換器4において空気と熱交換して冷媒自身は放熱して液化凝縮し、高圧液冷媒となる。
【0074】
冷媒空気熱交換器4から流出した高圧液冷媒は、膨張弁3によって減圧されて膨張し、低圧二相冷媒となり、蒸発器として作用する冷媒水熱交換器2に流入する。
【0075】
冷媒水熱交換器2に流入した低圧二相冷媒は、冷媒水熱交換器2の水側流路を通過する水と熱交換して水から気化熱を吸熱して過熱冷媒となって冷媒水熱交換器2を流出し、圧縮機1へ戻る。
【0076】
一方、水回路20において、ポンプ21により水回路20を循環する水は、冷媒水熱交換器2の水側流路において、冷媒水熱交換器2の冷媒側流路で蒸発する冷媒と熱交換して冷却され冷水となる。
【0077】
その後、第1熱交換器22に冷水が流入し、冷水から空気へ対流熱伝達で加熱されることにより冷風を生成して車室内の冷房を行い、水自身は空気との熱交換によって水温が上昇して第1熱交換器22から流出する。
【0078】
そして、車室内のドア内面パネルに設置された第2熱交換器23に流入した場合、在席者の体温より低い冷水により冷却されたドア内面パネルから輻射により座席シート在席者に冷熱を伝えることにより在席者の冷房快適性を高め、水自身は輻射により座席シート在席者に冷熱を伝えることよって水温が上昇して第2熱交換器23から流出する。
【0079】
一方、車室内の座席シートの内部に設置された第3熱交換器24に流入した場合、在席者の体温より低い温水が熱伝導により座席シート、および、在席者に冷熱を伝えることにより在席者の冷房快適性を高め、水自身は座席シートや在席者との熱交換によって水温が上昇して第3熱交換器24から流出する。
【0080】
そして、第2熱交換器23、第3熱交換器24から流出した水は集合後、冷媒水熱交換器2へ戻る。
【0081】
ここで、水回路20において、冷房運転における各熱交換器を通過した冷水の温度の変化は、図5に示すようになる。
【0082】
図5において、冷水は温度t4で第1熱交換器22に流入し、温度t5で流出する。このとき、第1熱交換手段22における冷水の温度差は、△t(=t5−t4)となる。その後、冷水は温度t5で第2熱交換器23、および/または、第3熱交換器24に流入し、温度t6で流出することになる。このとき、第1熱交換器22、第2熱交換器23、および/または、第3熱交換器において吸熱された冷水の温度差は、最終的に△t’(=t6−t4)となる。
【0083】
すなわち、対流熱伝達による伝熱を行う第1熱交換器22において、温度の低い冷水を利用した後に、比較的高温の冷水でも十分に冷熱感を得られる輻射、または、熱伝導による伝熱を行う第2熱交換器23、および/または、第3熱交換器24で利用することにより、冷媒水熱交換器2への冷水の戻り温度を上げることができる。
【0084】
したがって、冷媒水熱交換器2への冷水の戻り温度が高いため、冷媒水熱交換器2の冷媒側流路における冷媒の蒸発圧力を上昇させることができる。このため、圧縮機1の冷媒循環量を増加させることができる。これにより、各熱交換器で、同一の冷却能力を車内に供給する場合に、圧縮機1の運転容量(例えば、圧縮機1の回転数)を抑えることができるため、圧縮機1の消費電力を低減することができる。
【0085】
また、冷媒水熱交換器2の入水温度(図5における戻り冷水温度)と出水温度(図4における行き冷水温度)の温度差を大きくすることができるため、各熱交換器で、同一の冷却能力を車内に供給する場合に、水流量の低減が可能となり、ポンプ21の動力を低減でき、省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0086】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、冷房運転起動時の制御装置40の制御動作内容について詳細に説明する。
【0087】
まず、冷媒回路10による冷却運転を開始し(ステップS1)、水回路20における入口温度センサ30により入口水温Ti、および、第1出口温度センサ31、第2出口温度センサ32各々により出口水温T1、出口水温T2を検出する(ステップS2)。
【0088】
そして、入口水温Tiと、熱伝導パネルである第3熱交換器24の使用開始温度として予め設定された第3所定温度Ts3との比較を行う(ステップS3)。
【0089】
ステップS3において、入口水温Ti≧第3所定温度Ts3の場合、水温が十分低下していないため、在席者に温風感、温熱感を与えるのを防止すべく、送風機28の運転を行わず、また、熱伝導による伝熱を行う第3熱交換器24の第2流量調整弁26を閉とし、輻射による伝熱を行う第2熱交換器23の第1流量調整弁25のみを開とする(ステップS4)。その後は、ステップS2に戻る。
【0090】
一方、ステップS3において、入口水温Ti<第3所定温度Ts3の場合、熱伝導パネルである第3熱交換器24の使用を開始するため、ステップS5に移行して、入口水温Tiと第1熱交換器22、送風機28の使用開始温度として予め設定された第4所定温度Ts4との比較を行う。
【0091】
ステップS5において、入口水温Ti≧第4所定温度Ts4の場合、ステップS6に移行して、送風機28の運転は行わず、輻射パネルである第2熱交換器23と第3熱交換器24の第1流量調整弁25と第2流量調整弁26を開とする。その後は、ステップS2に戻る。
【0092】
一方、ステップS5において、入口水温Ti<第4所定温度Ts4の場合、第1熱交換器22での冷房運転を開始すべく、ステップS7に移行して、第1流量調整弁25、および、第2流量調整弁26を開とした状態で送風機28を運転し、冷房起動制御を終了する。
【0093】
ここでは、各熱交換器用に予め設定された第3所定温度Ts3、第4所定温度Ts4の大小関係は、第3所定温度Ts3>第4所定温度Ts4として、輻射、熱伝導、対流の順で運転を開始するように設定している。
【0094】
以上のように、本実施形態において、冷房起動時は、冷媒水熱交換器2から流出する水の温度が、人体温度付近である第3所定温度Ts3以上の場合は、第1熱交換器22の送風機28による送風は行わず、かつ、第1流量調整弁25を開とすることにより、水温が低下するまで第1熱交換器22からの温風吹出しを防止しながら、冷水の循環を継続できる。
【0095】
そして、熱伝導により伝熱する第3熱交換器24に高温の水が流入して、座席シートを介して在席者に暖温感を与えることを防止できるとともに、輻射により伝熱する第2熱交換器23に温水を流入させ、ドア内側のパネルを介して在席者を局所的に冷やすことができ、比較的温度の高い冷水を有効に利用しながら冷房運転起動時の在席者の快適性向上を図ることができる。また、冷媒水熱交換器2から流出する比較的温度の高い冷水を、比較的温度の高い冷水でも冷熱感を得られる輻射で伝熱することで、水回路20における冷媒水熱交換器2の平均温度を上げることが可能となり、冷媒回路10の蒸発圧力を上昇させ、圧縮機1の消費電力を低減できる。
【0096】
つぎに、冷媒水熱交換器2から流出する水の温度が、第3所定温度Ts3未満で、かつ、送風機28の運転開始温度である第4所定温度Ts4以上の場合、第2流量調整弁26を開とすることにより、在席者の体温より低い冷水により冷却されたドア内面パネルからの輻射と熱伝導により座席シート等を介して在席者を局所的に冷やすことができ、比較的温度の高い冷水を有効に利用しながら冷房運転起動時の在席者の快適性向上を図ることができる。
【0097】
さらに、冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第4所定温度Ts4未満の場合、送風機28を運転して第1熱交換器22へ送風することで水温が十分低下し、人体温度より十分低い温度の空気を吹き出せるため、冷房運転起動時の在席者の快適性向上を図ることができる。
【0098】
すなわち、第1熱交換器22による車室内の対流による全体冷房運転と同時に輻射を利用した第2熱交換器23、および、熱伝導を利用した第3熱交換器24による局所冷房運転を併用でき、快適性をさらに向上させることが可能となる。
【0099】
なお、図6のフローチャートのステップS4では、第1流量調整弁を開とし、第2流量調整弁を閉とするものとしているが、第1流量調整弁を閉とし、第2流量調整弁を開としてもよい。この場合には、輻射により伝熱する第2熱交換器23に高温の水が流入して、ドア内側のパネルを介して在席者に暖温感を与えることを防止できるとともに、熱伝導により伝熱する第3熱交換器24に温水を流入させ、座席シートを介して在席者を局所的に冷やすことができ、比較的温度の高い冷水を有効に利用しながら冷房運転起動時の在席者の快適性向上を図ることができる。また、冷媒水熱交換器2から流出する比較的温度の高い冷水を、比較的温度の高い冷水でも冷熱感を得られる熱伝導で伝熱することで、水回路20における冷媒水熱交換器2の平均温度を上げることが可能となり、冷媒回路10の蒸発圧力を上昇させ、圧縮機1の消費電力を低減できる。
【0100】
なお、以上の実施の形態において、第1流量調整弁25、第2流量調整弁26は、開度調整可能な弁としているが、流量調整弁の代わりに開閉弁として、開閉時間を制御するようにしてもよい。また、第1流量調整弁25、第2流量調整弁26のいずれか一方を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上のように、本発明にかかる車両用液体循環システムは、冷暖房に要するエネルギーを低く抑えることができる。すなわち、省エネルギー性の向上を図ることができるので、水を冷却・加熱し、その水を冷房・暖房に利用する車両用冷暖房装置に特に有用である。
【0102】
さらに、温水や冷水を循環させて冷暖房を行う冷温水循環型暖房冷房装置においても同様の熱交換器の接続構成によって同様の省エネルギー性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0103】
1 圧縮機
2 冷媒水熱交換器
3 膨張弁(膨張手段)
4 冷媒空気熱交換器
10 冷媒回路
20 水回路
21 ポンプ(循環手段)
22 第1熱交換器(第1熱交換手段)
23 第2熱交換器(第2熱交換手段)
24 第3熱交換器(第3熱交換手段)
25 第1流量調整弁(第1流量調整手段)
26 第2流量調整弁(第2流量調整手段)
28 送風機(送風手段)
40 制御装置(制御手段)
50 車両用液体循環システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、冷媒水熱交換器、膨張手段、冷媒空気熱交換器が接続された冷媒回路と、前記冷媒水熱交換器で熱交換された水を循環させる循環手段、前記冷媒水熱交換器と直列に接続され送風手段が発する空気により熱伝達する第1熱交換手段、前記第1熱交換手段と直列に接続され輻射により伝熱する第2熱交換手段、前記第2熱交換手段と並列に接続され熱伝導により伝熱する第3熱交換手段を有する水回路と、制御手段とを備え、暖房運転時に、前記冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第1所定温度未満の場合に、前記第1熱交換手段へ送風せず、前記第2熱交換手段と前記第3熱交換手段のいずれか一方に水を流入させることを特徴する車両用液体循環システム。
【請求項2】
暖房運転時に、前記冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、前記第1所定温度以上の場合に、前記第2熱交換手段と前記第3熱交換手段とに水を流入させることを特徴とする請求項1に記載の車両用液体循環システム。
【請求項3】
暖房運転時に、前記冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、前記第2所定温度以上の場合に、前記第1熱交換手段へ送風することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用液体循環システム。
【請求項4】
圧縮機、冷媒水熱交換器、膨張手段、冷媒空気熱交換器が接続された冷媒回路と、前記冷媒水熱交換器で熱交換された水を循環させる循環手段、前記冷媒水熱交換器と直列に接続され送風手段が発する空気により熱伝達する第1熱交換手段、前記第1熱交換手段と直列に接続され輻射により伝熱する第2熱交換手段、前記第2熱交換手段と並列に接続され熱伝導により伝熱する第3熱交換手段を有する水回路と、制御手段とを備え、冷房運転時に、前記冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、第3所定温度以上の場合に、前記第1熱交換手段へ送風せず、前記第2熱交換手段と前記第3熱交換手段のいずれか一方に水を流入させることを特徴する車両用液体循環システム。
【請求項5】
冷房運転時に、前記冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、前記第3所定温度未満の場合に、前記第2熱交換手段と前記第3熱交換手段とに水を流入させることを特徴とする請求項4に記載の車両用液体循環システム。
【請求項6】
冷房運転時に、前記冷媒水熱交換器から流出する水の温度が、前記第4所定温度未満の場合に、前記第1熱交換手段へ送風することを特徴とする請求項4または5に記載の車両用液体循環システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−11931(P2012−11931A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151765(P2010−151765)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】