説明

車両用灯具の点灯制御装置

【課題】ストップ信号とターン信号が同時に入力された場合にターンシグナルランプを優先的に点灯させることが可能な車両用灯具の点灯制御回路を提供する。
【解決手段】第1入力端1、第2入力端2、基準電位端GND及び光源4を有する車両用灯具の点灯状態を制御するための点灯制御装置であって、第1入力端と光源の間の電流経路に流れる電流を制御する第1スイッチング素子Q1と、第1入力端と電気的に接続される制御端を有し、当該制御端に与えられる電圧に応じて第1スイッチング素子の動作を制御する第2スイッチング素子Q2と、第2入力端と電気的に接続される制御端を有し、当該制御端に与えられる電圧に応じて第2スイッチング素子の動作を制御する第3スイッチング素子Q3と、第3スイッチング素子の制御端と基準電位端との間に接続される容量素子C1を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具の点灯制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
方向指示機能(ターンシグナル)を備えたハイマウントストップランプの制御技術として、例えば実開平5−82669号公報(特許文献1)に開示の技術が知られている。
【0003】
ところで、特許文献1に開示される制御回路を用いた場合には、ストップランプを点灯させるための信号(ストップ信号)とターンシグナルランプを点灯させるための信号(ターン信号)とが同時に入力された場合に、ストップランプの点灯が優先される。しかし、例えば自車が交差点で停車中の場合などを考えると、後続車にとってはターンシグナルランプが優先的に点灯されるほうが望ましい場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−82669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係る具体的態様は、ストップ信号とターン信号が同時に入力された場合にターンシグナルランプを優先的に点灯させることが可能な車両用灯具の点灯制御回路を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の車両用灯具の点灯制御装置は、光源、光源の一方端にそれぞれ電気的に接続された第1入力端及び第2入力端、光源の他方端に接続された基準電位端を有する車両用灯具の点灯状態を制御するための装置であって、(a)前記第1入力端と前記光源の間の電流経路に流れる電流を制御する第1スイッチング素子と、(b)前記第1入力端と電気的に接続される制御端を有し、当該制御端に与えられる電圧に応じて前記第1スイッチング素子の動作を制御する第2スイッチング素子と、(c)前記第2入力端と電気的に接続される制御端を有し、当該制御端に与えられる電圧に応じて前記第2スイッチング素子の動作を制御する第3スイッチング素子と、(d)前記第3スイッチング素子の前記制御端と前記基準電位端との間に接続される容量素子を備える。
【0007】
上記の点灯制御装置では、例えば、第1入力端にストップ信号(一定値の信号)が入力され、同時に第2入力端にターン信号(方形波などの信号)が入力された場合に、ターン信号の振幅が相対的に大きくなる期間においては、第3スイッチング素子がオン状態となり、かつ第3スイッチング素子の制御端への印加電圧によって容量素子が充電される。このとき、第3スイッチング素子がオン状態となることにより、第2スイッチング素子がオフ状態となり、第1スイッチング素子もオフ状態となる。それにより、光源に対して第2入力端から電流が流入するため、光源が点灯する。また、ターン信号の振幅が相対的に小さくなる期間においては、それ以前の期間において充電された容量素子が放電するので、しばらくは第3スイッチング素子がオン状態のまま維持される。このとき、ターン信号の振幅が相対的に小さいため、第2入力端から光源には電流がほぼ流入しない。さらに、容量素子からの放電により第3スイッチング素子のオン状態が維持されている間は、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子ともにオフ状態が保たれるので、第1入力端からも光源には電流が流入しない。したがって、光源は消灯する。すなわち、上記の点灯制御回路によれば、比較的簡素な構成により、ストップ信号とターン信号が同時に入力された場合には、ターン信号が優先され、ターン信号の振幅の変化に対応して光源を点滅させることができる。
【0008】
上記の点灯制御装置においては、第3スイッチング素子が電界効果型トランジスタであることがより好ましい。
【0009】
電界効果型トランジスタはバイポーラ型トランジスタ等と比べてしきい値電圧が高いため、この電界効果型トランジスタの制御端(ゲート)と基準電位端の間に接続される容量素子の充電量を高めることができる。それにより、容量素子の放電に要する時間をより長く設定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態の車両用灯具の点灯制御回路の構成を示す回路図である。
【図2】ストップ信号、ターン信号の一例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、一実施形態の車両用灯具の点灯制御回路の構成を示す回路図である。図1に示す点灯制御回路は、第1入力端(STOP)1、第2入力端(ターン)2、基準電位端(GND)3およびLED等からなる半導体光源4を備える車両用灯具と接続し、半導体光源4の点灯制御を行うために用いられるものである。この点灯制御回路は、第1スイッチング素子としてのトランジスタQ1、第2スイッチング素子としてのトランジスタQ2、第3スイッチング素子としてのトランジスタQ3を主として備える。また、点灯制御回路は、適宜に設けられる複数の逆接ダイオードD1、D2、D3、D4と、電流制限用の抵抗素子R8をさらに備える。
【0013】
トランジスタQ1は、第1入力端1と半導体光源4の間の電流経路に流れる電流を制御する。詳細には、トランジスタQ1は、エミッタが逆接ダイオードD1を介して第1入力端1と接続され、コレクタが逆接ダイオードD4および抵抗素子R8を介して半導体光源4と接続され、ベースが抵抗素子R4を介してトランジスタQ2と接続されている。トランジスタQ1のベース−エミッタ間には抵抗素子R5が接続されている。
【0014】
トランジスタQ2は、第1入力端1に入力される信号(ストップ信号)に応じてトランジスタQ1の動作を制御する。詳細には、トランジスタQ2は、エミッタが基準電位端3と接続され、コレクタが抵抗素子R4と接続され、ベースが抵抗素子R1、R2を介して第1入力端1と接続されている。トランジスタQ2のベース−エミッタ間には抵抗素子R3が接続されている。
【0015】
トランジスタQ3は、第2入力端2に入力される信号(ターン信号)に応じてトランジスタQ2の動作を制御する。本実施形態のトランジスタQ3としては電界効果型トランジスタが好適に用いられる。図示の例では、Nチャネル電界効果型トランジスタが用いられている。トランジスタQ3は、ドレインが抵抗素子R1と抵抗素子R2の接点と接続され、ソースが基準電位端3と接続され、ゲートが抵抗素子R6および逆接ダイオードD2を介して第2入力端2と接続されている。トランジスタQ3のゲートと基準電位端3との間には抵抗素子R7が接続されている。また、トランジスタQ3のゲートと基準電位端3との間には、抵抗素子R7と並列にして容量素子C1が接続されている。
【0016】
逆接ダイオードD1は、アノードが第1入力端1と接続され、カソードがトランジスタQ1のエミッタと接続されている。逆接ダイオードD2は、アノードが第2入力端2と接続され、カソードが逆接ダイオードD3のアノードと接続されている。逆接ダイオードD3は、アノードが逆接ダイオードD2のカソードと接続され、カソードが抵抗素子R8と接続されている。逆接ダイオードD4は、アノードがトランジスタQ1のコレクタと接続され、カソードが抵抗素子R8と接続されている。抵抗素子R8は、トランジスタQ1のコレクタと半導体光源4との間に接続されている。この抵抗素子R8は、半導体光源4に過大な電流が流入することを防止するためのものである。
【0017】
本実施形態の点灯制御回路は上記した構成を備えており、次にその動作について詳細に説明する。
【0018】
まず、第1入力端1からストップ信号として図2(a)に示すような一定値の電圧(例えば、バッテリ電圧+B)が入力された場合について説明する。なお、第2入力端2からはターン信号が入力されていないものとする。この場合には、逆接ダイオードD1を経由し、抵抗素子R1、R2、R3により、トランジスタQ2がオン状態となる。それにより、抵抗素子R4、R5に電位差が生じ、トランジスタQ1がオン状態となる。そして、逆接ダイオードD4を経由し、抵抗素子R8によって制限された電流が半導体光源4に供給され、半導体光源4が点灯する。
【0019】
次に、第2入力端2からターン信号として図2(b)に示すような一定の波高値(例えば、バッテリ電圧+B)を有する方形波が入力された場合について説明する。なお、第1入力端1からはストップ信号が入力されていないものとする。この場合には、逆接ダイオードD2、D3を経由し、抵抗素子R8によって制限された電流が半導体光源4に供給され、半導体光源4が点灯する。ここでは、方形波の周期に対応して半導体光源4が点灯と消灯を繰り返す、すなわち点滅する。
【0020】
次に、第1入力端1からストップ信号(図2(a)参照)が入力され、同時に第2入力端2からターン信号(図2(b)参照)が入力された場合について説明する。
【0021】
まず、第1入力端1にストップ信号が入力されており、かつ第2入力端2に入力されたターン信号の振幅が最大値(相対的に大きい値)となる期間においては、逆接ダイオードD2を経由し、抵抗素子R6、R7によりトランジスタQ3がオン状態となる。その際に、トランジスタQ3のゲート−ソース間に接続された容量素子C1が充電される。また、トランジスタQ3がオン状態となることにより、抵抗素子R1、R2が基準電位端3と導通するため、トランジスタQ2がオフ状態となる。トランジスタQ2がオフ状態となることにより、抵抗素子R4、R5に電位が生じないため、トランジスタQ1もオフ状態となる。半導体光源4に対して逆接ダイオードD2、D3および抵抗素子R8を経由して電流が流入するため、半導体光源4は点灯する。
【0022】
次に、第1入力端1にストップ信号が入力されており、かつ第2入力端2に入力されたターン信号の振幅が最小値(相対的に小さい値;図示の例では0V)となる期間においては、ターン信号が入力される第2入力端2はオープン状態(ハイインピーダンス)となる。すると、先ほどターン信号の振幅が最大値となっていた期間において充電された容量素子C1が放電する。この容量素子C1からの放電により、しばらくの間はトランジスタQ3がオン状態のまま維持される。ターン信号の振幅は最小値であるため、逆接ダイオードD2、D3および抵抗素子R8を経由する電流経路においては電流が流れない。また、トランジスタQ3のオン状態が維持されている間は、トランジスタQ1、Q2ともにオフ状態が保たれるので、逆接ダイオードD1、トランジスタQ1、逆接ダイオードD4および抵抗素子R8を経由する電流経路においても電流が流れない。このため、半導体光源4には電流が流入せず、半導体光源4は消灯する。
【0023】
このように本実施形態の点灯制御回路によれば、ストップ信号とターン信号が同時に入力された場合には、ターン信号が優先され、ターン信号の振幅の変化に対応して半導体光源4を点滅させることができる。
【0024】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記実施形態では第3スイッチング素子の一例として電界効果型トランジスタを挙げていたが、バイポーラ型トランジスタを用いても構わない。また、第1スイッチングおよび第2スイッチング素子の一例としてそれぞれバイポーラ型トランジスタを挙げていたが、電界効果型トランジスタを用いても構わない。また、光源は半導体光源にのみ限定されない。
【符号の説明】
【0025】
1…第1入力端、2…第2入力端、3…基準電位端、4…半導体光源、C1…容量素子、D1、D2、D3、D4…逆接ダイオード、Q1、Q2…トランジスタ、Q3…NchFET、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8…抵抗素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源、前記光源の一方端にそれぞれ電気的に接続された第1入力端及び第2入力端並びに前記光源の他方端に接続された基準電位端を有する車両用灯具の点灯状態を制御するための装置であって、
前記第1入力端と前記光源の間の電流経路に流れる電流を制御する第1スイッチング素子と、
前記第1入力端と電気的に接続される制御端を有し、当該制御端に与えられる電圧に応じて前記第1スイッチング素子の動作を制御する第2スイッチング素子と、
前記第2入力端と電気的に接続される制御端を有し、当該制御端に与えられる電圧に応じて前記第2スイッチング素子の動作を制御する第3スイッチング素子と、
前記第3スイッチング素子の前記制御端と前記基準電位端との間に接続される容量素子と、
を備える車両用灯具の点灯制御装置。
【請求項2】
前記第3スイッチング素子が電界効果型トランジスタである、請求項1に記載の車両用灯具の点灯制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−76479(P2012−76479A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220650(P2010−220650)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】