説明

車両用灯具及びその組付け方法

【課題】 リフレクタの幅が狭い場合であっても組付けが容易で、かつ発光体の正確な位置決めができる車両用灯具及びその組付け方法を提供することである。
【解決手段】 フレキシブル基板4において、各LED9〜12が実装されている部分の裏側の面に第1ないし第3のバックプレート13〜15を取り付け、それらの幅方向(フレキシブル基板4の長手方向と直交する方向)の端部を基板本体8から張り出させて、各取付部13a〜15aを形成する。これらの取付部13a〜15aを、ベース部材5に設けられた前側突起部24と後側突起部25との間の隙間32,34に挿入して保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具とその組付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両(自動車)では、右左折又は進路の変更をすることを他の交通(車両又は歩行者)に示す必要がある。そして、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し、法規上の視認の基準(定められた範囲において、すべての位置から見通すことができるものであること)が規定されている。
【0003】
例えば、車両の両側面に設けられた方向指示器にあっては、30mの距離から昼間において点灯を確認できるものであり、かつ、その照射光線は、他の交通を妨げないものであることとされている。更に、その両側面に備える方向指示器の規定には、図10の(a)に示されるように、方向指示器100’の中心を通り、車両の進行方向に直交する水平線O1を含む、水平面より上方15度(α)の平面及び下方15度(α)の平面、及び図10の(b)に示されるように、方向指示器100’の中心を含む、車両の進行方向に平行な鉛直面O2であって方向指示器100’の中心より後方にあるものより方向指示器100’の外側方向5度(β)の平面と、方向指示器100’の外側方向60度(γ)の平面とで囲まれる範囲において、すべての位置から見通すことができるものであるとされている。
【0004】
ところで、車両両側面に設けられたドアミラー装置は路面から程よい高さにあるため、対向車や歩行者などの他の交通からも見易い。従来より、この高い視認性の利点に着目して、車両が右左折又は進路の変更をするときに灯光する方向指示器(ウインカ)機能を取り付けたドアミラー装置が知られており、本出願人も車両用灯具の出願を行っている(特許文献1を参照)。
【0005】
車両用灯具は、ドアミラー装置のハウジングに装着されるもので、所定個数の発光体(LED)が取り付けられたフレキシブル基板と、フレキシブル基板を固定するためのリフレクタと、リフレクタを固定するためのベース部材と、発光体を保護するためのカバー部材とを備えている。従来の灯具では、作業者が指でフレキシブル基板の発光体をリフレクタの凹溝部に押し込んで取り付けた後、この状態のリフレクタをベース部材に取り付けている。
【0006】
近時、デザイン上の観点から、リフレクタの幅が狭くなっている。このため、作業者が、指でフレキシブル基板をリフレクタの凹溝部に押し込むことが困難になっている。また、フレキシブル基板の発光体をリフレクタの凹溝部に押し込むだけでは、正確な位置決めが困難であるとともに、走行中の車両の振動によってずれ易いという問題がある。
【特許文献1】特開2007−331610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、リフレクタの幅が狭い場合であっても組付けが容易で、かつ発光体の正確な位置決めができる車両用灯具及びその組付け方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の車両用灯具は、
車両のドアミラー装置のハウジングに装着される車両用灯具であって、
帯状形態をなし、一方側の面に発光体が表面実装され、他方側の面における前記発光体と対向する位置に硬質プレートが取り付けられ、該硬質プレートの端部が前記フレキシブル基板の長手方向と交差する方向に張り出して取付部が設けられたフレキシブル基板と、
前記ハウジングに取り付けられる部材であって、前記フレキシブル基板の発光体が外側に位置されるようにして前記硬質プレートの取付部が取り付けられる被取付部が設けられたベース部材と、
前記フレキシブル基板が取り付けられた状態のベース部材に取り付けられ、前記フレキシブル基板の発光体を露出させる開口部が設けられたリフレクタと、
前記リフレクタを覆うようにして前記ベース部材に一体に取り付けられるカバー部材と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
同じく、その組付け方法は、
車両のドアミラー装置のハウジングに装着される車両用灯具の組付け方法であって、
帯状形態をなし、一方側の面に発光体が表面実装され、他方側の面における前記発光体と対向する位置に硬質プレートが取り付けられ、該硬質プレートの端部が前記フレキシブル基板の長手方向と交差する方向に張り出して取付部が設けられたフレキシブル基板を、その発光体が外側に位置されるようにして、前記ハウジングに取り付けられるベース部材に設けられた被取付部に取り付けた後、前記ベース部材にリフレクタを取り付けて、その発光体を前記リフレクタに設けられた開口部から露出させるようにしたことを特徴としている。
【0010】
従来の車両用灯具は、発光体が表面実装されたフレキシブル基板をリフレクタに取り付け、この状態のリフレクタをベース部材に取り付けている。しかし、本発明に係る車両用灯具は、発光体が表面実装されたフレキシブル基板をベース部材に取り付け、その後にベース部材にリフレクタを取り付けている。即ち、フレキシブル基板において実装された発光体と対抗する面に取り付けられた硬質プレートの端部を、フレキシブル基板の長手方向と交差する方向に張り出して形成した取付部を、ベース部材に設けられた被取付部に取り付けている。ベース部材における被取付部が設けられている部分は開放されていて、従来のようにリフレクタの狭い凹溝部にフレキシブル基板を押し込む作業が不要となるため、組付け性が良好になるとともに、ベース部材に対してフレキシブル基板を確実に位置決めすることができる。特に、デザイン上の観点からリフレクタの凹溝部の幅が狭くなっていても、ベース部材にフレキシブル基板を支障なく取り付けることができる。更に、硬質プレートが大きくなっているため放熱効果も向上し、発光体の長寿命化が図られる。
【0011】
具体的には、前記被取付部は、前記ベース部材と一体に固着され、所定の隙間を介して対向配置される第1及び第2の突起部を備え、
前記取付部は、前記第1及び第2の突起部の隙間に挿入され、それらに挟まれて保持される。
【0012】
ベース部材にフレキシブル基板が取り付けられとき、作業者は、フレキシブル基板の取付部を、ベース部材に固着された第1及び第2の突起部の隙間に挿入する(差し込む)だけで済む。
【0013】
また、前記第1及び第2の突起部の少なくとも一方には、それらの隙間に挿入された取付部が、前記フレキシブル基板の長手方向と交差する方向にずれることを防止するためのずれ防止部が設けられていることが望ましい。
【0014】
これにより、ベース部材の被取付部に取り付けられたフレキシブル基板が、その長手方向と交差する方向にずれることが防止され、更に確実に位置決めされる。
【0015】
また、前記第1又は第2の突起部には、前記取付部の挿入をガイドするためのガイドレール部が設けられ、
前記ガイドレール部を、前記ベース部材の底面部に対して垂直又は斜めに立設する形で設けてもよい。
【0016】
これにより、作業者は、フレキシブル基板の取付部をガイドレール部に押し付け、斜めに滑らせる形で第1及び第2の突起部の隙間に挿入することができるため、取付け作業が容易である。
【0017】
また、前記第1及び第2の突起部の少なくとも一方には、前記隙間に挿入される前記取付部に当接して弾性変形し、前記取付部が前記隙間に挿入された状態で弾性復元して前記取付部に係止して、該取付部が抜けたりずれたりすることを防止する係止部が設けられているようにすることができる。
【0018】
取付部が第1及び第2の突起部の隙間に挿入されるとき、それらの少なくとも一方に設けられた係止部が、取付部と当接することにより弾性変形する。そして、この係止部は、取付部が挿入された状態で弾性復元して、取付部と係止する。これにより、取付部が抜けたりずれたりすることが防止される。
【0019】
また、前記リフレクタにおける前記ベース部材との対向面部には、前記ベース部材に取り付けられたフレキシブル基板を、前記ベース部材に向かって押圧するための押圧部が設けられている。
【0020】
ベース部材に取り付けられたフレキシブル基板は、リフレクタに設けられた押圧部に押圧される。これにより、フレキシブル基板がベース部材に一層確実に保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1は本実施例の車両用ドアミラー装置100の取付け状態を示す車両Cの斜視図、図2はミラー本体部102の正面図、図3は本実施例の車両用灯具1を、ミラー本体部102のハウジング2に取り付ける状態を示す図である。本明細書では、主として車両のドアに装着される車両用ドアミラー装置及びその車両用ドアミラー装置に取り付けられる車両用灯具について例示しているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0022】
図1ないし図3に示されるように、本実施例の車両用ドアミラー装置100は、車両Cの両側に設けられたドアDにそれぞれ装着されている。この車両用ドアミラー装置100は、ドアDに取り付けられるミラーベース部101と、そのミラーベース部101に支持されるミラー本体部102とを備えている。ミラー本体部102は、車両Cの後方に向けて取り付けられ、運転者又は搭乗者が後方を確認するためのミラー(図示せず)と、このミラーを保持するミラーホルダ(図示せず)と、ミラーの角度調整を行なうアクチュエータ(図示せず)と、方向指示器などの役割を担う車両用灯具1(以下、「灯具」と記載する。)と、それらの収納及び保護を図るハウジング2と、アクチュエータの取り付けられるフレームの役目を果たすものであって、これらミラー、アクチュエータ、及び灯具1をハウジング2に連結する役目を担う取付け基盤(図示せず)と、その取付け基盤の一方の端部に取り付けられて、ミラー本体部102を、ミラーベース部101に対する使用状態と格納状態との間の位置で回転駆動させる電動格納装置103とを含み構成される。なお、ハウジング2は、その全体がベッセル形状(すり鉢状の容器形状)からなるものであり、例えばプラスチック材にて一体的に成形することができ、予め定められた場所に窓部3が形成されている。この窓部3に対応して灯具1が外部に露出するように装着され、この状態で灯具1の発光体(後述する)が点滅、点灯等することにより方向指示器等として機能し、他の交通に右左折又は進路変更などを示すこととなる。
【0023】
本実施例の灯具1について説明する。図4は本実施例の車両用灯具1の分解斜視図、図5の(a)はフレキシブル基板4の平面図、(b)は同じく側面図である。図4に示されるように、灯具1は、帯状形態をなすフレキシブル基板4と、そのフレキシブル基板4を取り付けて保持するベース部材5と、ベース部材5に取り付けられたフレキシブル基板4を覆う形で該フレキシブル基板4を収納するリフレクタ6と、リフレクタ6に取り付けられるカバー部材7とを備えている。
【0024】
最初に、フレキシブル基板4について説明する。図4及び図5に示すように、フレキシブル基板4は、薄い帯状の基板本体8と、基板本体8の一方側の面(表面)に固着された4個の発光体(LED9,10,11,12)と、各LED9〜12の部分で基板本体8の他方側の面(裏面)に固着された第1ないし第3のバックプレート13,14,15と、各LED9〜12に電源を供給する2本のリード線16と、コネクタ17とを備えている。本実施例のフレキシブル基板4では、基板本体8の前端部に2個のLED9,10と第1バックプレート13が固着され、基板本体8の長手方向のほぼ中央部に1個のLED11と第2バックプレート14が固着され、後端部に1個のLED12と第3バックプレート15が固着されている。
【0025】
基板本体8は、ポリイミド、ポリエステルなどをベースフィルムとした屈曲性に優れた銅張板であって、パターン加工が施され、絶縁フィルム又は液状レジストで被膜されていて、適宜ポリアミド紙基材エポキシ樹脂、ガラス布基材エポキシ樹脂、ガラス布基材BTレジンなどを選択することができる。各LED9〜12は表面実装型LED(SMD LED;Surface Mount Device Light-Emitting Diode)であり、フレキシブル基板4にパターン印刷された配線に接続する形で半田付け等の手段により実装されている。基板本体8の前端部には、法規上の光量を満足するために2個のLED9,10が並列に固着されている。
【0026】
各バックプレート13〜15は、基板本体8に両面テープ等の貼付け手段によって貼り付けられている。各バックプレート13〜15は、少なくともフレキシブル基板本体8よりも硬いものであればよく、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、白金、パラジウム等の金属材料又はセラミック等の無機材料(非金属材料)等、特に限定されるものではない。しかし、銅を代表とする放熱性の高い金属を付着したガラスエポキシ基板(加工性が良好である。)や、安価で放熱性が良好なアルミニウム(又はアルミニウム合金)とすることが望ましい。本実施例では、片面に銅が付着されたガラスエポキシ基板を使用しているため、各LED9〜12の発熱による温度上昇が抑えられるとともに、輝度劣化が低減され、各LED9〜12の長寿命化を図ることができる。
【0027】
第1バックプレート13の前端部は基板本体8の前端部から突出されているとともに、その幅W1も基板本体8の幅Wよりも少し長くなって基板本体8からその幅方向(基板本体8の長手方向と直交する方向)に張り出していて、ベース部材5に取り付けられる第1取付部13aとなっている。第1取付部13aにおける幅方向の中央部には、ベース部材5に取り付けられたときに幅方向にずれることを防止するための切欠部18が設けられている。切欠部18の幅は、入口側が奥側よりも広くなっている。第2及び第3のバックプレート14,15は、略T字状をなし、その前端部の幅W2,W3が基板本体8の幅Wよりも長くなって基板本体8からその幅方向に張り出し、それぞれ第2取付部14aと第3取付部15aが形成されている。
【0028】
このフレキシブル基板4は、長手方向上における中心線(図示せず)に対して対称的に形成されている。このため、車両Cにおける左右のドアミラー装置100に対して共用部品とすることができる(図1参照)。これにより、1台の車両Cにおけるドアミラー装置100全体の部品点数が少なくなり、その製造コストを抑えることができる。
【0029】
次に、ベース部材5について説明する。図6はフレキシブル基板4とベース部材5の前部の斜視図、図7の(a)はベース部材5の第1被取付部21の側面図、(b)はフレキシブル基板4が取り付けられた状態のベース部材5の前部の斜視図である。図4及び図6に示されるように、ベース部材5は、ABS樹脂やASA樹脂等の熱可塑性樹脂で形成され、車両用ドアミラー装置100を構成するハウジング2(図2参照)の形状に倣って湾曲した形状をなす。このベース部材5は、そのほぼ全領域に亘って形成され、上記フレキシブル基板4を収納する収納凹部19と、その収納凹部19の底面部20に隆起する形で形成され、フレキシブル基板4の第1ないし第3のバックプレート13〜15の各取付部13a〜15aが挿入される第1ないし第3の被取付部21,22,23を有している。
【0030】
ベース部材5の前端部に設けられた第1被取付部21は、前側突起部24(第1突起部)と、前側突起部24と対向配置される後側突起部25(第2突起部)とを備えている。前側突起部24は、ベース部材5の幅方向に所定の間隔をおいて立設される一対のL字状板部26と、それらの間のほぼ中間位置に立設される台形状のずれ防止板部27と、それらの前側部を連結する連結板部28とを備えている。ずれ防止板部27の厚みは、第1バックプレート13の取付部13aの切欠部18の内幅よりも少し小さい。また、後側突起部25は、前側突起部24のずれ防止板部27を挟むようにしてずれ防止板部27とL字状板部26との間に配置される一対の三角状板部29と、それらの後側部を連結する連結板部30とを備えている。そして、一対の三角形状板部29の上面には、それぞれ断面半円形で長尺状のガイドレール部31が固着されている。これにより、前側突起部24と後側突起部25との間には、フレキシブル基板4の第1バックプレート13の取付部13aが挿入される(差し込まれる)隙間32が形成されている。
【0031】
図7の(a)に示されるように、隙間32の内幅Lは、第1バックプレート13の取付部13aの厚みtよりも少し大きい。そして、フレキシブル基板4の第1バックプレート13は、一対の三角形状板部29に固着されたガイドレール部31にガイドされて隙間32に挿入される。図7の(b)に示されるように、第1バックプレート13の取付部13aは、一対のL字状板部26における切欠き部分26aに入り込み、前後方向に移動することが規制される。また、第1バックプレート13が隙間32の最深部にまで挿入されたとき、第1バックプレート13の切欠部18が、ずれ防止板部27に嵌合される。第1バックプレート13の切欠部18の入口側の切欠き幅が奥側よりも広くなっているため、切欠部18をずれ防止部25に嵌合させる操作が容易である。これにより、隙間32に挿入された第1バックプレート13が幅方向に拘束され、幅方向にずれにくくなる。上記した結果、フレキシブル基板4の第1バックプレート13における前後方向及び左右方向(幅方向)への移動が規制され、第1バックプレート13は第1被取付部22によって保持される。第1被取付部22の隙間32に挿入された第1バックプレート13を確実に保持するため、一対のL字状板部26における切欠き部分26aの切欠き長さL,L’を奥側に近づくにつれて徐々に(連続的に)短くし、かつ最深部の切欠き長さL’を第1バックプレート13の取付部13aの厚みよりも短くする(即ち、L>t>L’)ことが望ましい。これにより、第1バックプレート13の取付部13aが隙間32の最深部まで挿入されたとき、第1バックプレート13が一対のL字状板部26の切欠き部分26aに摩擦力によって保持され、抜止め状態となる。
【0032】
第2及び第3の被取付部22,23は、ほぼ同一形状であるため、本明細書では第2被取付部22についてのみ説明する。図4及び図6に示されるように、第2被取付部22は、平面視において略L字状で、ベース部材5の長手方向上における中心線(図示せず)に対して対称形状になるようにその底面部20に固着された一対の支持板部33(第1突起部)と、一対の支持板部33の前壁部33aと所定の間隔(隙間34)をおいて対向配置される支持壁部35(第2突起部)とを備えている。支持壁部35の前側の壁面部には、第1被取付部21と同様に、ベース部材5の幅方向に所定の間隔をおいて、断面半円形で長尺状の一対のガイドレール部36が固着されている。
【0033】
第2被取付部22においても第1被取付部21と同様に、フレキシブル基板4の第2バックプレート14が、一対のガイドレール部36に案内されて、隙間34に挿入される。このとき、第2バックプレート14の取付部14aは、一対の支持板部33によって前後方向及び左右方向(幅方向)に拘束される。この結果、フレキシブル基板4の第2バックプレート14における前後方向及び左右方向への移動が規制され、第2バックプレート14は第2被取付部23によって保持される。
【0034】
図7の(b)に示されるように、フレキシブル基板4の第1及び第2のバックプレート13,14が第1及び第2の被取付部21,22に取り付けられたとき、基板本体8は、自重により、第1被取付部21の連結板部30の上面、第2被取付部22の支持壁部35の上面及びベース部材5の収納凹部19の底面部20に接して配置される。
【0035】
図4に示されるように、ベース部材5の収納凹部19の後端部には、フレキシブル基板4のリード線16を通すための貫通孔37と、リフレクタ6の係止爪38(後述)を係止する係止孔39が設けられている。ベース部材5の各被取付部21〜23に、フレキシブル基板4の対応するバックプレート13〜15が挿入されて取り付けられたとき、そのリード線22は、貫通孔37を通ってベース部材5の外部に出される。そして、この貫通孔37にコネクタ17が取り付けられる。また、ベース部材5の側面部の壁部には、ベース部材5をドアミラー装置100のハウジング2にねじ固定するねじ(図示せず)の通し孔が設けられたブラケット41,42が設けられている。
【0036】
次に、リフレクタ6について説明する。図8は、リフレクタ6の底面図である。リフレクタ6は、金属、樹脂、セラミック等よりなる。そして、ドアミラー装置100の意匠性を考慮して、例えば蒸着、光沢塗装又はメッキ等を施した樹脂材料や、鏡面仕上げを施したアルミニウム等の金属材料とすることができる。図4に示されるように、リフレクタ6は、ベース部材5の湾曲状態に対応して湾曲されている。リフレクタ6の両側面部には、弾性変形可能な係止爪38が設けられている。また、リフレクタ6においてフレキシブル基板4の各LED9〜12と対応する位置には、それらを外部に露出させるための開口部43,44,45が設けられている。更に、図8に示されるように、リフレクタ6の裏面には、ベース部材5に取り付けられたフレキシふブル基板4を、ベース部材5に向かって押圧するための各突条46,47,48がそれぞれ二列になって設けられている。
【0037】
このリフレクタ6は、フレキシブル基板4が取り付けられたベース部材5の収納凹部19に収納されて取り付けられる。このとき、フレキシブル基板4の各LED9〜12は、対応するリフレクタ6の開口部43〜45の部分に配置される。これにより、各LED9〜12の発光は、対応する開口部43〜45を通って外部に照射される。また、ベース部材5の収納凹部19の壁面に当接して弾性変形したリフレクタ6の係止爪38が、対応するベース部材5の係止孔39に入って弾性復元する。これにより、リフレクタ6の抜止めが図られる。更に、リフレクタ6の各突条46〜48が、ベース部材5に取り付けられたフレキシブル基板4を押圧する。これにより、フレキシブル基板4のずれが防止される。
【0038】
次に、カバー部材7について説明する。図4に示されるように、リフレクタ6にカバー部材7が取り付けられる。カバー部材7は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂等の透明又は半透明の熱可塑性樹脂で形成され、車両用ドアミラー装置100(ハウジング2)の形状に倣って湾曲した形状をなす。このカバー部材7の表面側には、レンズ部49が設けられている。各LED9〜12から照射された光は、カバー部材7のレンズ部49を通って外部に照射される。このレンズ部49により、リフレクタ6の開口部43〜45が覆われ、露出状態の各LED9〜12が保護されるとともに、ドアミラー装置100の意匠性が良好になる。
【0039】
本実施例の灯具1の組付け方法について説明する。本実施例の灯具1では、最初にフレキシブル基板4をベース部材5に取り付ける。図4及び図7の(a)に示されるように、フレキシブル基板4の第1のバックプレート13を、ベース部材5の第1被取付部21に取り付ける。即ち、フレキシブル基板4の基板本体8に取り付けられた第1バックプレート13の底面を、第1被取付部21の一対の三角状板部29の上面に固着されたガイドレール部31に宛がい、そのまま下方(ベース部材5の収納凹部19の底面部20)に向かって滑らせる。ガイドレール部31が、ベース部材5の収納凹部19の底面部20に対して斜めに配置されているため、第1バックプレート13を滑らせる操作が容易である。また、ベース部材5の収納凹部19の内幅は作業者の指の幅よりも遥かに広いため、作業者が、第1バックプレート13の底面をガイドレール部31に宛がう作業は容易である。第1バックプレート13を滑らせると、その切欠部18が、前側突起部24のずれ防止部27に嵌合される。切欠部18の入口側の切欠き幅が、奥側に比べて広くなっているため、ずれ防止部27に嵌合させる作業が容易である。
【0040】
図7の(b)に示されるように、第1被取付部21の隙間32の最深部まで挿入された第1バックプレート13の取付部13aは、一対のL字状板部26とにガイドレール部31によって挟み込まれて前後方向にずれることが規制されるとともに、ずれ防止板部27によって幅方向に移動することが規制される。そして、一対のL字状板部26の切欠き部分26aとの間で作用する摩擦力により保持される。このとき、一対のL字状板部26によって前後方向にずれることが規制されるのは、第1バックプレート13の取付部13aの部分のみであるため、基板本体8が損傷するおそれはない。
【0041】
殆ど同様にして、第2バックプレート14が、第2被取付部22に取り付けられる。第2バックプレート14の場合、一対の支持板部33によって第2バックプレート14が前後方向及び幅方向にずれることが規制されている。また、一対の支持板部33の間が開放されているため、基板本体8が損傷するおそれはない。全く同様にして、第3バックプレート15が、第3被取付部23に取り付けられる。
【0042】
図4に示されるように、フレキシブル基板4が取り付けられたベース部材5に、リフレクタ6が取り付けられる。リフレクタ6は、係止爪38がベース部材5の収納凹部19の係止孔39に入り込んで係止されることにより、抜止め状態で保持される。このとき、リフレクタ6の各突条46〜48が、フレキシブル基板4を押圧する。このため、フレキシブル基板4のずれが、更に効果的に防止される。
【0043】
そして、リフレクタ6にカバー部材7を取り付け、リフレクタ6の各開口部43〜45が覆われる。このようにして組み付けられた灯具1が、ドアミラー装置100のハウジング2に取り付けられる(図3参照)。
【0044】
上記した実施例の灯具1の変形例を説明する。図9の(a)に示されるように、フレキシブル基板4の第1バックプレート13の取付部13aの2箇所に凹部51を設けるとともに、ベース部材5の第1被取付部21の一対のL字状板部26の切欠き部分26aに凸部52(係止部)を設ける。第1バックプレート13の取付部13aが第1被取付部21の隙間32に挿入されるとき、凸部52を弾性変形させ、取付部13aが隙間の最深部に到達したとき、凸部52が凹部51に嵌合される(図7の(b)参照)。これにより、フレキシブル基板4のずれが一層小さくなる。第1及び第3のバックプレート14,15の取付部14a,15aと、対応する第2及び第3の被取付部22,23にも同様な凹部51と凸部52を設けてもよい。
【0045】
次に、別の変形例について説明する。図10の(a)に示されるように、第1被取付部21をベース部材5の底面部20に対して垂直に設けてもよい。更に、第1被取付部21の前側突起部24と後側突起部25とで挟まれた第1バックプレート13の抜止めを図るため、後側突起部25に隣接する起立壁部53を設け、その上端部に前壁部53に向かって張り出す爪体54を設けてもよい。図10の(b)に示されるように、第1バックプレート13が被取付部21の隙間32に挿入されるとき、起立壁部53の爪体54を押圧し、起立壁部53を弾性変形させながら隙間32に進入する。第1バックプレート13が隙間32の最深部に到達したとき、爪体54が弾性復元して、第1バックプレート13の肩部13bに係止される。これにより、第1バックプレート13が、被取付部21に抜止め状態で保持される。このように、各被取付部21,22をベース部材5の底面部20に対して垂直に設けてもよい。
【0046】
前述したように、従来の灯具では、最初にリフレクタにフレキシブル基板を取り付け、その後でこのリフレクタをベース部材に取り付けている。これに対して、本実施例の灯具1では、最初にベース部材5にフレキシブル基板4を取り付け、その後でリフレクタ6及びカバー部材7を取り付けている。このため、作業者は、開放状態のベース部材5にフレキシブル基板4を取り付ければ済み、狭いリフレクタ6に指を入れてフレキシブル基板4を取り付ける作業が不要である。これにより、デザイン上の観点からリフレクタ6の幅が狭くなっても、それに影響されることなく、フレキシブル基板4をベース部材5に正確に位置決めさせた状態で灯具1を組み付けることができる。また、部品点数も変化しない。そして、各バックプレート13〜15に取付部13a〜15aを設けた分だけバックプレート13〜15が大きくなっているため、放熱効果も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例の車両用ドアミラー装置100の取付け状態を示す車両Cの斜視図である。
【図2】ミラー本体部102の正面図である。
【図3】本実施例の車両用灯具1を、ミラー本体部102のハウジング2に取り付ける状態を示す図である。
【図4】本実施例の車両用灯具1の分解斜視図である。
【図5】(a)はフレキシブル基板4の平面図、(b)は同じく側面図である。
【図6】フレキシブル基板4とベース部材5の前部の斜視図である。
【図7】(a)はベース部材5の第1被取付部21の側面図、(b)はフレキシブル基板4が取り付けられた状態のベース部材5の前部の斜視図である。
【図8】リフレクタ6の底面図である。
【図9】(a)は凹部51が設けられた第1バックプレート13の取付部13aと、凸部52が設けられた第1被取付部21を示す図、(b)はその作用説明図である。
【図10】(a)は別の変形例の第1被取付部21の側面図、(b)はその作用説明図である。
【図11】自動車における法規上の照射範囲領域を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 車両用灯具
2 ハウジング
4 フレキシブル基板
5 ベース部材
6 リフレクタ
7 カバー部材
9,10,11,12 LED(発光体)
13,14,15 バックプレート(硬質プレート)
13a,14a,15a 取付部
20 底面部
21,22,23 被取付部
24 前側突起部(第1突起部)
25 後側突起部(第2突起部)
27 ずれ防止板部(ずれ防止部)
31,36 ガイドレール部
32,34 隙間
33 支持板部(第1突起部、ずれ防止部)
35 支持壁部(第2突起部)
43,44,45 開口部
46,47,48 突条(押圧部)
52 凸部(係止部)
54 爪体(係止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアミラー装置のハウジングに装着される車両用灯具であって、
帯状形態をなし、一方側の面に発光体が表面実装され、他方側の面における前記発光体と対向する位置に硬質プレートが取り付けられ、該硬質プレートの端部が前記フレキシブル基板の長手方向と交差する方向に張り出して取付部が設けられたフレキシブル基板と、
前記ハウジングに取り付けられる部材であって、前記フレキシブル基板の発光体が外側に位置されるようにして前記硬質プレートの取付部が取り付けられる被取付部が設けられたベース部材と、
前記フレキシブル基板が取り付けられた状態のベース部材に取り付けられ、前記フレキシブル基板の発光体を露出させる開口部が設けられたリフレクタと、
前記リフレクタを覆うようにして前記ベース部材に一体に取り付けられるカバー部材と、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記被取付部は、前記ベース部材と一体に固着され、所定の隙間を介して対向配置される第1及び第2の突起部を備え、
前記取付部は、前記第1及び第2の突起部の隙間に挿入され、それらに挟まれて保持されることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1及び第2の突起部の少なくとも一方には、それらの隙間に挿入された取付部が、前記フレキシブル基板の長手方向と交差する方向にずれることを防止するためのずれ防止部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1又は第2の突起部には、前記取付部の挿入をガイドするためのガイドレール部が設けられ、
前記ガイドレール部は、前記ベース部材の底面部に対して垂直又は斜めに設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1及び第2の突起部の少なくとも一方には、前記隙間に挿入される前記取付部に当接して弾性変形し、前記取付部が前記隙間に挿入された状態で弾性復元して前記取付部に係止して、該取付部が抜けたりずれたりすることを防止する係止部が設けられていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記リフレクタにおける前記ベース部材との対向面部には、前記ベース部材に取り付けられた状態のフレキシブル基板を、前記ベース部材に向かって押圧するための押圧部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
車両のドアミラー装置のハウジングに装着される車両用灯具の組付け方法であって、
帯状形態をなし、一方側の面に発光体が表面実装され、他方側の面における前記発光体と対向する位置に硬質プレートが取り付けられ、該硬質プレートの端部が前記フレキシブル基板の長手方向と交差する方向に張り出して取付部が設けられたフレキシブル基板を、その発光体が外側に位置されるようにして、前記ハウジングに取り付けられるベース部材に設けられた被取付部に取り付けた後、前記ベース部材にリフレクタを取り付けて、その発光体を前記リフレクタに設けられた開口部から露出させるようにしたことを特徴とする車両用灯具の組付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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