説明

車両用無線データロギング装置および方法

【課題】車両で得た測定データをその内容を実質的に変えることなく圧縮すると共に、無線通信網を介して効率的にロギングする車両用無線データロギング装置および方法を提供する。
【解決手段】車両10の状態を測定して得た測定データを出力する複数個の測定器(水素センサ20aなど)から出力された複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶するデータ記憶部(メモリカード24a)と、その記憶された時系列データの配列を転置して圧縮する第1のデータ転置手段(TCU24)と、それを無線通信網を介して送信する送信手段(送信アンテナ24bなど)と、送信された時系列データを受信する受信手段(受信アンテナ34aなど)と、受信された時系列データを伸張するデータ伸張手段(ファイルサーバ32)と、伸張された時系列データの配列を転置する第2のデータ転置手段(ファイルサーバ32)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用無線データロギング装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には多くの測定器(センサ)が配置され、それらは搭載される駆動源も含めた機器の状態を通じて車両の運転状態を測定して得た測定データを出力する。出力された測定データはマイクロコンピュータからなるECU(Electronic Control Unit。電子制御ユニット)に入力され、そこで車両の動作が制御される。そのような測定データは、車両を製造・販売する会社などでも必要なことから、定期的に車両から会社などにロギングされることが望ましい。その場合、例えば燃料電池を搭載している車両などは測定データも増加することから、ロギングすべきデータ量を削減する必要がある。尚、この明細書において、「ロギング」とは、データを送信して受信側で取得させることを意味する。
【0003】
そのようなデータのロギングに関し、例えば、以下の特許文献1,2記載の技術が知られている。特許文献1記載の技術にあっては、無人車の走行経路情報に対して分岐点と停止点以外の経由点を示すデータを削除すると共に、必要に応じて分岐点における分岐方向を示すデータを付加することで、走行経路の内容を保持したまま、走行経路情報の通信量を削減している。
【0004】
特許文献2記載の技術にあっては、異常情報を電話網を介して送信すると共に、データ収集装置から送信要求があるまで、測定データをデータ記憶部に一時的に記憶しておき、要求があったとき、データ記憶部からパケット化して読み出すようにしている。
【特許文献1】特開2000−035820号公報
【特許文献2】特開2004−312354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術においては、データを部分的に削除することで通信量の削減を図っていることから、測定して得たデータを全て送ろうとする場合には利用することができない。その点で、特許文献2記載の技術においては、そのような不都合が生じることなく、大量のデータを送信することが可能となるが、電話網として専用のIP通信回線を必要とすることから、車両のような移動体には適当ではない。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、車両で得た測定データをその内容を実質的に変えることなく圧縮すると共に、無線通信網を介して効率的にロギングするようにした車両用無線データロギング装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を解決するために、請求項1に係る車両用無線データロギング装置にあっては、車両の状態を測定して得た測定データを出力する複数個の測定器と、前記複数個の測定器から出力された複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶、より具体的には一時的に記憶するデータ記憶部と、前記データ記憶部に記憶された時系列データの配列を転置して圧縮する第1のデータ転置手段と、前記転置して圧縮された時系列データを無線通信網を介して送信する送信手段と、前記送信された時系列データを受信する受信手段と、前記受信された時系列データを伸張するデータ伸張手段と、前記伸張された時系列データの配列を転置する第2のデータ転置手段と、を備える如く構成した。
【0008】
請求項2に係る車両用無線データロギング装置にあっては、車両の状態を測定して得た測定データを出力する複数個の測定器と、前記複数個の測定器から出力された複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶するデータ記憶部と、前記データ記憶部に記憶された時系列データの配列を転置して圧縮する第1のデータ転置手段と、前記転置して圧縮された時系列データを無線通信網を介して送信する送信手段とを前記車両に搭載してなる如く構成した。
【0009】
請求項3に係る車両用無線データロギング装置にあっては、前記送信された時系列データを受信する受信手段と、前記受信された時系列データを伸張するデータ伸張手段と、前記伸張された時系列データの配列を転置する第2のデータ転置手段とを備える如く構成した。
【0010】
請求項4に係る車両用無線データロギング方法にあっては、車両の状態を測定して複数個の測定データを得、前記得られた複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶し、前記記憶された時系列データの配列を転置して圧縮し、前記転置して圧縮された時系列データを無線通信網を介して送信するステップからなる如く構成した。
【0011】
請求項5に係る車両用無線データロギング方法にあっては、さらに、前記送信された時系列データを受信し、前記受信された時系列データを伸張し、前記伸張された時系列データの配列を転置するステップからなる如く構成した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る車両用無線データロギング装置にあっては、車両の状態を測定して得た複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶し、記憶された時系列データの配列を転置して圧縮し、無線通信網を介して送受信すると共に、受信された時系列データを伸張した後、再び配列を転置するように構成したので、転置によって測定データ同士を、より具体的には同種の測定データを隣接させることができることから、測定データの中に経時的に頻繁に変動しないデータが含まれるとき、同じ値をより多く連続させることで効率的に圧縮することができ、同一の容量でより多くのデータを送信することとなって、効率的にロギングすることができる。
【0013】
また、配列を転置して圧縮、換言すれば転置してから圧縮することから、可逆圧縮(損失のない圧縮)となり、測定データの変更や部分的な削除などを生じることなく、効率的にロギングすることができる。さらに、無線通信網を介して送信することで、送信側(車両)から受信側(車両を製造・販売する会社など)に利便性良くデータをロギングすることができ、受信側では必要なデータを入手して解析することができる。尚、無線通信網を介してのデータ送信(転送)速度は比較的遅いが、上記のように圧縮することで、そのデータ送信速度の不足を補うことが可能となる。
【0014】
請求項2に係る車両用無線データロギング装置にあっては、車両の状態を測定して得た複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶し、記憶された時系列データの配列を転置して圧縮し、無線通信網を介して送信するように構成したので、同様に測定データを効率的にロギングすることができる。
【0015】
請求項3に係る車両用無線データロギング装置にあっては、無線通信網を介して送信された時系列データを受信して伸張した後、再び配列を転置するように構成したので、同様に、測定データを効率的にロギングできると共に、受信側である車両を製造・販売する会社などでも、必要なデータを入手して解析することができる。
【0016】
請求項4に係る車両用無線データロギング方法にあっては、車両の状態を測定して得た複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶し、記憶された時系列データの配列を転置して圧縮し、無線通信網を介して送信するように構成したので、同様に測定データを効率的にロギングすることができる。
【0017】
請求項5に係る車両用無線データロギング方法にあっては、無線通信網を介して送信された時系列データを受信して伸張した後、再び配列を転置するように構成したので、同様に、測定データを効率的にロギングできると共に、受信側である車両を製造・販売する会社などでも、必要なデータを入手して解析することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に即してこの発明に係る車両用無線データロギング装置および方法を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1はこの発明の第1実施例に係る車両用無線データロギング装置および方法が適用される車両を模式的に示す全体図であり、図2はその車両用無線データロギング装置(および車両用無線データロギング方法が実現される装置)を模式的に示す全体図である。
【0020】
図1において、符号10は車両を示し、車両10の適宜位置には燃料電池(Fuel Cell。図に「FC」と示す)12が搭載される。燃料電池12は陽イオン交換膜などからなる固体高分子電解質膜をアノード触媒とガス拡散層からなる燃料極(アノード)と、カソード触媒とガス拡散層からなる酸化極(カソード)とで挟んでなる電解質電極構造体を一対のセパレータで挟んでなる燃料電池セルを多数組積層してなる。
【0021】
燃料電池の燃料極は水素ガスボンベ(図示せず)に接続され、水素からなる燃料ガス(反応ガス)が供給される。アノード触媒上で触媒反応によってイオン化された水素は、適度に加湿された固体高分子電解質膜を介して酸化極に移動し、その移動に伴って発生する電子が外部回路(図示せず)に取り出され、直流の電気エネルギとして供給され、利用される。
【0022】
酸化極にはエアコンプレッサ(図示せず)によって例えば酸素を含む酸化剤ガス(反応ガス)である空気が供給され、そこで水素イオンと電子と酸素とが反応して水が生成される。
【0023】
燃料電池12は発電電動機(図に「モータ」と示す)14に接続され、発電電動機14に上記した電気エネルギを供給して動作させ、駆動輪16を回転させて車両10を走行させる。このように、車両10は、燃料電池搭載型電気自動車(燃料電池自動車)として構成される。尚、燃料電池自動車には、実際には他にバッテリなども備えるが、記載は省略する。
【0024】
車両10には種々の測定器(センサ)が配置される。即ち、燃料電池12の燃料ガス通路(図示せず)の付近には水素センサ20aが配置されてその部位の水素の濃度を測定して得た測定データ(検出信号)を出力すると共に、その外部回路の付近には電流センサ20bが配置され、発生する電気エネルギの電流値を測定して得た測定データ(検出信号)を出力する。さらに、燃料電池12の適宜位置には温度センサ20cが配置され、その部位の温度を測定して得た測定データ(検出信号)を出力する。また、車両10の適宜位置には外気温センサ20dが配置され、外気温を測定して得た測定データ(検出信号)を出力する。
【0025】
さらに、図示は省略するが、燃料電池12の外部回路の付近には電圧センサが配置され、発生する電気エネルギの電圧値を測定して得た測定データ(検出信号)を出力する。また、車両10のアクセルペダル(図示せず)の付近にはアクセル開度センサが配置され、運転者によるアクセルペダル踏み込み量を測定して得た測定データ(検出信号)を出力すると共に、ドライブシャフト(図示せず)の付近には車速センサが配置され、車両10の走行速度を測定して得た測定データ(検出信号)を出力する。
【0026】
特に、車両10が燃料電池自動車であってその挙動が十分に解明されていないことから、車両10には図示した4個のセンサ(測定器)20に加え、多くのセンサ(測定器)、例えば100個程度のセンサが配置され、それらは、車両10の状態、より具体的には車両10の運転状態および車両10に搭載される燃料電池12の状態などを測定して得た測定データを出力する。
【0027】
上記したセンサ20の出力(複数個の測定データ)はECU(電子制御ユニット)22に送られ、そのRAMに格納される。ECU22は入力した出力に基づいて車両10の動作および挙動を制御する。ECU22にはTCU(Telematics Control Unit。情報制御装置)24が接続される。
【0028】
図2は車両用無線データロギング装置(あるいはシステム)30を模式的に示す全体図であるが、同図に示す如く、装置30においてTCU24はメモリカード24aを備える。ECU22のRAMに格納されたセンサ20の出力(測定データ)は、TCU24から所定時間(1sec)ごとにアクセスされ、メモリカード24aに入力(収集)され、一時的に記憶される。
【0029】
図1に示す如く、TCU24は後述する測定データ送信のための送信アンテナ24bを備えると共に、受信アンテナ24c(図1に示す)を備えてGPS信号を受信する。
【0030】
次いで、所定時間を通算した送信時間、例えば10secから10min程度の時間になると、TCU24から送信アンテナ24bにより、無線通信網、より具体的には800MHz付近の携帯電話用の周波数を用いた無線通信網を介して送信される。
【0031】
送信された測定データは、受信側(車両10を製造・販売する会社など)に設置されたファイルサーバ(コンピュータ)32で受信される。即ち、無線通信網を介して送信された測定データは、受信側のインフラストラクチャ(図に「インフラ」と示す)34に設置された受信アンテナ34aで受信され、インターネット通信網34bを介してファイルサーバ32に送られる。受信側にあっては、かく送信された測定データを解析して車両10の挙動を解析する。
【0032】
次いで、この実施例に係る車両用無線データロギング装置30の動作(および車両用無線データロギング方法の構成)を説明する。
【0033】
図3は送信側、即ち、車両10に搭載されたTCU24が行う処理(動作)と、受信側、即ち、ファイルサーバ32が行う処理(動作)を示すフロー・チャートである。
【0034】
図3フロー・チャートに示す処理はイグニションスイッチ・オンによって開始し、所定時間(1sec)ごとにECU22にアクセスしてそのRAMに格納された測定データを収集(入力)して時系列データとしてメモリカード24aに記憶する(S10)。
【0035】
図4は、メモリカード24aが収集(入力)する複数個の測定データの記憶形式を示す説明図である。図示の如く、収集されたデータは所定時間(1sec)ごとの時系列データとして記憶される。即ち、収集されたn×m個の行列形式で記憶される。同図において、行に示すCH−1、CH−2からCH−nまでのチャネルには複数個の測定データがそれぞれ、例えばCH−1には水素センサ20aの測定データ、CH−2には電流センサ20bの測定データなどとして記載される。また、列には所定時間(1sec)ごとの時間が記載される。
【0036】
図3フロー・チャートの説明を続ける前に、この実施例に係る装置30のデータ送信について説明すると、図示のような時系列データを送信するとき、無線通信ではシリアル通信となるので、図5に示す如く、所定時間(列)ごとの行データ(CH−nの測定データ)を順次送信することになる。
【0037】
このとき、行と列を入れ替えると、図6に示す如くになり、転置行列となる。この転置行列では、1sec(所定時間)を通算した10secから10min程度の送信時間ごとに測定データ同士を連続させることから、同種の測定データを連続させることができる。測定データの中には経時的に頻繁に値が変化するものも含まれるが、温度など多くの測定データの変化は緩慢であって、送信時間間隔の間では同一値となることが多い。
【0038】
従って、行列形式の時系列データをこのように転置することにより、同一の値をより多く連続させることができる。従って、それらを、例えばAAAAAAというデータが連続するとき、6Aと置き換えるように約束、即ち、圧縮するとき、一層効率的に圧縮することができ、送信すべきデータ量を低減することができる。尚、圧縮手法としてはZIP、BZ2、LZH、CABなど種々の手法が使用されているが、可逆圧縮であれば、それらのいずれかで良く、あるいはそれら以外の適宜な手法であっても良い。
【0039】
上記を前提として図3フロー・チャートの説明に戻ると、次いで、図6に示す如く、行と列の入れ換え(転置)を行い(S12)、上記の如く時系列データを圧縮し(S14)、送信時間に達したら、時系列データを無線通信網を介して送信する(S16)。次いで、イグニションスイッチがオフされたか否か判断し(S18)、否定されるときはS10に戻って上記した処理を繰り返すと共に、肯定されるときはプログラムを終了する。
【0040】
次いで、ファイルサーバ32が行う受信側の処理について同図フロー・チャートの右側部分を参照して説明すると、図示のプログラムは無線を受信することで開始し(S100)、時系列データを受信したか否か判断する(S102)。
【0041】
肯定されるときは、次いでデータを伸張(解凍)する(S104)。即ち、圧縮されたデータを元の形に復元する。上記した例でいえば、6Aと表現されたデータをAAAAAAに戻す処理を意味し、具体的には図6の形に戻す処理を意味する。
【0042】
次いで行列の入れ換え(転置)を再び行ってデータを図4に示す形式に変換し(S106)、変換された時系列データを適宜な記憶部に保存する(S108)。尚、この後、保存されたデータの解析などが行われることは前記した通りである。また、S102で否定されるときはプログラムを終了する。
【0043】
上記した如く、この実施例に係る車両用無線データロギング装置(あるいはシステム)30にあっては、車両10の状態を測定して得た測定データを出力する複数個の測定器(水素センサ20a、電流センサ20b、温度センサ20c、外気温センサ20dなど)と、前記複数個の測定器から出力された複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶、より具体的には一時的に記憶するデータ記憶部(メモリカード24a)と、前記データ記憶部に記憶された時系列データの配列を転置して圧縮する第1のデータ転置手段(TCU24。より具体的にはS10からS14)と、前記転置して圧縮された時系列データを無線通信網を介して送信する送信手段(TCU24、送信アンテナ24b)と、前記送信された時系列データを受信する受信手段(ファイルサーバ32、インフラストラクチャ34、受信アンテナ34a、インターネット通信網34b。S100からS102)と、前記受信された時系列データを伸張するデータ伸張手段(ファイルサーバ32。S104)と、前記伸張された時系列データの配列を転置する第2のデータ転置手段(ファイルサーバ32。S106)と、を備える如く構成した。
【0044】
このように、車両10の状態を測定して得た複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶し、記憶された時系列データの配列を転置して圧縮し、無線通信網を介して送受信すると共に、受信された時系列データを伸張した後、再び配列を転置するように構成したので、転置によって測定データ同士を、より具体的には同種の測定データを隣接させることができることから、測定データの中に経時的に頻繁に変動しないデータが含まれるとき、同じ値をより多く連続させることで効果的に圧縮することができ、同一の容量でより多くのデータを送信することとなって、効率的にロギングすることができる。
【0045】
図7は、この実施例における処理、即ち、転置して圧縮した場合(同図に「転置行列」と示す)を、転置しないで圧縮した場合(同図に「通常行列」と示す)に比較して示す説明図である。同図から明らかな如く、サンプリング数が500個未満でも5%程度の圧縮率の向上が見られると共に、500個を超えると、圧縮率の差がさらに上がって8%程度まで達するのが理解できよう。尚、同図の縦軸の「圧縮率」は、圧縮後のデータ量/圧縮前のデータ量を意味する。
【0046】
また、配列を転置した後に圧縮することから、可逆圧縮(損失のない圧縮)となり、測定データの変更や部分的な削除などを生じることなく、効率的にロギングすることができる。さらに、無線通信網を介して送信することで、送信側(車両10)から受信側(車両を製造・販売する会社など)に利便性良くデータをロギングでき、受信側では必要なデータを入手して解析することができる。尚、無線通信網を介してのデータ送信(転送)速度は比較的遅いが、上記のように圧縮することで、そのデータ送信速度の不足を補うことが可能となる。
【0047】
従って、この明細書において「時系列データの配列を転置して圧縮」とは、行列形式に記載された時系列データの行と列を転置して圧縮するに止まるものではなく、従って「転置して圧縮」することは、データの記載形式を変更することで圧縮し、よってロギング(送信)すべきデータ量を低減する全ての処理を含む意味で使用する。
【0048】
また、この実施例に係る車両用無線データロギング方法にあっては、車両10の状態を測定して複数個の測定データを得、前記得られた複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶し(S10)、前記記憶された時系列データの配列を転置して圧縮し(S12からS14)、前記転置して圧縮された時系列データを無線通信網を介して送信する(S16)ステップからなる如く構成したので、同様に測定データを効率的にロギングすることができる。
【0049】
また、この実施例に係る車両用無線データロギング方法にあっては、さらに、前記送信された時系列データを受信し(S100からS102)、前記受信された時系列データを伸張し(S104)、前記伸張された時系列データの配列を転置する(S106)ステップからなる如く構成した。同様に、測定データを効率的にロギングできると共に、受信側である車両を製造・販売する会社などでも、必要なデータを入手して解析することができる。
【0050】
尚、上記において無線通信網として携帯電話用通信網を使用したが、無線LAN用あるいはPHS用の通信網を用いても良い。
【0051】
また、上記において車両として燃料電池自動車を示したが、それは一例であり、車両はガソリン自動車やハイブリッド車両などどのような車両であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の第1実施例に係る車両用無線データロギング装置および方法が適用される車両を模式的に示す全体図である。
【図2】上記の車両用無線データロギング装置(および車両用無線データロギング方法が実現される装置)を模式的に示す全体図である。
【図3】図2に示す装置の動作である、送信側と受信側が行う処理(動作)を示すフロー・チャートである。
【図4】図3の動作の中、図2に示すメモリカードが収集(入力)する複数個の測定データの記憶形式を示す説明図である。
【図5】図4に示す時系列データを送信するときのシリアル通信による一般的な送信形式を示す説明図である。
【図6】図4に示す時系列データの行と列を入れ替えた場合を示す説明図である。
【図7】この実施例における処理、即ち、転置して圧縮した場合を、転置しないで圧縮した場合に比較して示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
10 車両、12 燃料電池(FC)、20 センサ(測定器)、22 ECU、24 TCU(送信手段)、24a メモリカード(記憶部)、24b 送信アンテナ(送信手段)、30 車両用無線データロギング装置、32 ファイルサーバ、34 インフラストラクチャ(受信手段)、34a 受信アンテナ(受信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態を測定して得た測定データを出力する複数個の測定器と、前記複数個の測定器から出力された複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶するデータ記憶部と、前記データ記憶部に記憶された時系列データの配列を転置して圧縮する第1のデータ転置手段と、前記転置して圧縮された時系列データを無線通信網を介して送信する送信手段と、前記送信された時系列データを受信する受信手段と、前記受信された時系列データを伸張するデータ伸張手段と、前記伸張された時系列データの配列を転置する第2のデータ転置手段と、を備えたことを特徴とする車両用無線データロギング装置。
【請求項2】
車両の状態を測定して得た測定データを出力する複数個の測定器と、前記複数個の測定器から出力された複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶するデータ記憶部と、前記データ記憶部に記憶された時系列データの配列を転置して圧縮する第1のデータ転置手段と、前記転置して圧縮された時系列データを無線通信網を介して送信する送信手段とを前記車両に搭載してなることを特徴とする車両用無線データロギング装置。
【請求項3】
前記送信された時系列データを受信する受信手段と、前記受信された時系列データを伸張するデータ伸張手段と、前記伸張された時系列データの配列を転置する第2のデータ転置手段とを備えたことを特徴とする請求項2記載の車両用無線データロギング装置。
【請求項4】
車両の状態を測定して複数個の測定データを得、前記得られた複数個の測定データを入力して時系列データとして記憶し、前記記憶された時系列データの配列を転置して圧縮し、前記転置して圧縮された時系列データを無線通信網を介して送信するステップからなることを特徴とする車両用無線データロギング方法。
【請求項5】
さらに、前記送信された時系列データを受信し、前記受信された時系列データを伸張し、前記伸張された時系列データの配列を転置するステップからなることを特徴とする請求項4記載の車両用無線データロギング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−270544(P2006−270544A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86092(P2005−86092)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】