説明

車両用照明装置

【課題】車両ドアの開閉状態に応じた最適でかつ広いエリアを均一に照明することができる車両用照明装置を得る。
【解決手段】車両用照明装置10では、乗員がドア42を開放する直前(乗員が乗車しようとする際)には、ドア42のドアモール48下端部に設けられたLEDユニット12によってドア42の外方下方の足元が照明され(照明エリアX)、ドア42が開放されると、同様にドアモール48下端部に設けられたLEDユニット14によってドア42の内方下方が照明される(照明エリアY)。このため、ドア42の開閉状態に応じた最適なエリアを照明することができると共に、必要かつ充分な広いエリアを照明することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に適用される車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両においては、所謂ルームランプと称する車室内照明具に加えて、車両ドアに光源(ランプ)を内蔵したものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
ところが、この種の従来の照明具では、車両ドアの閉鎖状態において車体外方を照らす構成であるため車両ドアの開放時には何ら乗員の足元を照明することができなかったり(特許文献1の技術)、車両ドアの開放時には乗員の足元付近を照らせるものの、車両ドアの閉鎖状態においては車体側方の地面(路面)を照らすことができなかった(特許文献2の技術)。
【0004】
一方、車両ドアの閉鎖時において車体側方の地面(路面)を照らすことができるように、ドアミラーに光源(ランプ)を内蔵したものも知られている。
【0005】
しかしながら、このようなドアミラー内蔵式のランプでは、ドアミラーに光源が設けられているという構造のため、照明エリアが狭い範囲に制限されてしまい(後方側のドア付近を充分に照明することはできず)、また、ドアミラーの直下とこれから離間した位置とで照度のバラツキが生じやすい問題があった。しかも、本来照明したい車体側方の地面(路面)のみならずドアパネルも不要に照らしてしまう。またそもそも、ドアミラー内蔵式のランプでは、車両ドアの開放時には当該ドアと一緒に光源が動いてしまい、乗員の足元を好適に照明することができない欠点もあった。
【0006】
このように、従来の照明具は何れのものも、車両ドアの開閉状態に応じた最適なエリアを照明するに充分なものではなく、このための対策が求められていた。
【0007】
【特許文献1】特開昭61−145046号公報
【特許文献2】実開平1−165733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事実を考慮し、車両ドアの開閉状態に応じた最適でかつ広いエリアを均一に照明することができる車両用照明装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明の車両用照明装置は、車両ドアのドアモール下端部に設けられ、車外からのドア開錠を検知して点灯しドア外方下方を照明すると共にドア開放時に消灯する第1の照明具と、車両ドアのドアモール下端部に設けられ、ドア開放時に点灯しドア内方下方を照明すると共にドア閉鎖時に消灯する第2の照明具と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項1記載の車両用照明装置では、ドア外方下方を照明する第1の照明具とドア内方下方を照明する第2の照明具とが、車両ドアのドアモール下端部に設けられている。
【0011】
車両ドアが閉鎖状態のときに車外からのドア開錠が検知されると(すなわち、乗員が車内へ乗り込もうとした際には)、第1の照明具が点灯してドア外方下方を照明し、足元のエリアが照らされる。
【0012】
その後に車両ドアが開放されると、第1の照明具が消灯すると共に、第2の照明具が点灯してドア内方下方を照明し、足元のエリアが照らされる。
【0013】
その後に車両ドアが閉鎖されると、第2の照明具が消灯する。
【0014】
このように、請求項1記載の車両用照明装置では、乗員が車両ドアを開放する直前(乗員が乗車しようとする際)には第1の照明具によってドア外方下方の足元が照明され、車両ドアが開放されると第2の照明具によってドア内方下方が照明されるため、車両ドアの開閉状態に応じた最適なエリアを照明することができる。また、第1の照明具及び第2の照明具は、車両ドアのドアモール下端部に設けられているため、必要かつ充分な広いエリアを照明することができる。
【0015】
請求項2に係る発明の車両用照明装置は、請求項1記載の車両用照明装置において、前記第1の照明具と前記第2の照明具とは、車両前後方向に沿って交互に配置されている、ことを特徴としている。
【0016】
請求項2記載の車両用照明装置では、車両ドアのドアモール下端部において、第1の照明具と第2の照明具とが、車両前後方向に沿って交互に配置されている。
【0017】
したがって、必要かつ充分な広いエリアを照明することができるのみならず、各エリアを均一に照明することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明の車両用照明装置は、車両ドアの開閉状態に応じた最適でしかも必要かつ充分な広いエリアを照明することができるという優れた効果を有している。
【0019】
請求項2に係る発明の車両用照明装置は、請求項1に係る発明の車両用照明装置が有する優れた効果に加えて、各エリアを均一に照明することができるという優れた効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1乃至図5を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1(A)には、本発明の実施形態に係る車両用照明装置10が適用されて構成された車両40の全体構成が平面図にて示されており、図1(B)には、この車両40の全体構成が側面図にて示されている。さらに、図2には、車両用照明装置10の構成が図1(A)の2−2線に沿った断面図にて示されており、図3には、車両用照明装置10の構成が図1(A)の3−3線に沿った断面図にて示されている。
【0022】
この車両40のドア42は、アウタパネル44及びインナパネル46を含んで構成されており、アウタパネル44の下端部外側には、ドアモール48が設けられている。ドアモール48は、車両前後方向に沿って配設されており、ファスナー50によってアウタパネル44に固定されている。
【0023】
ドアモール48の下端部には、車両用照明装置10を構成し第1の照明具としてのLEDユニット12と、同様に車両用照明装置10を構成し第2の照明具としてのLEDユニット14が設けられている。
【0024】
LEDユニット12は、防水タイプとされており、図2に詳細に示す如く、ドアモール48の最下端部に係止爪16によって嵌合固定されて、下方へ光を照射する。また、LEDユニット12下方のドアモール48には、第1の照明具を構成するガイド部18及びガイド部20が形成されている。ガイド部18は、ドア42の外方へ向けて傾斜して面取り状に形成されており、LEDユニット12からの光がドア外方下方へ向くように規制している。これに対し、ガイド部20は、角部状に形成されており、LEDユニット12からの光がドア42の内方へ照射されないように制限している。これにより、LEDユニット12が点灯した際には、ドア42の外方下方へ光が照射されて照明される構成である。
【0025】
さらに、このLEDユニット12は、車外からのドア42の開錠(例えば、ワイヤレスキーロックの解除)を検知して点灯し、しかも、その後にドア42が開放された時に消灯するように設定されている。
【0026】
一方、LEDユニット14も、同様に防水タイプとされており、図3に詳細に示す如く、ドアモール48の最下端部に係止爪22によって嵌合固定されて、下方へ光を照射する。また、LEDユニット14下方のドアモール48には、第2の照明具を構成するガイド部24及びガイド部26が形成されている。ガイド部24は、ドア42の内方へ向けて傾斜して面取り状に形成されており、LEDユニット14からの光がドア内方下方へ向くように規制している。これに対し、ガイド部26は、角部状に形成されており、LEDユニット14からの光がドア42の外方へ照射されないように制限している。これにより、LEDユニット14が点灯した際には、ドア42の内方下方へ光が照射されて照明される構成である。
【0027】
さらに、このLEDユニット14は、ドア42の開放時に点灯し、しかも、その後にドア42が閉鎖された時に消灯するように設定されている。
【0028】
以上の構成のLEDユニット12及びLEDユニット14は、図4に示す如く、ドアモール48の下端部において車両前後方向に沿って複数個が交互に配置された構成となっている。
【0029】
なお、これらのLEDユニット12及びLEDユニット14の配置個数や配置間隔は、車両40やドア42の形態等に応じて任意に設定することができる。
【0030】
以下に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0031】
上記構成の車両用照明装置10では、ドア42の外方下方を照明するLEDユニット12とドア42の内方下方を照明するLEDユニット14とが、ドア42のドアモール48下端部に車両前後方向に沿って交互に配置されている。
【0032】
ここで、ドア42が閉鎖状態のときに車外からのドア42の開錠が検知されると(すなわち、乗員が車内へ乗り込もうとした際には)、LEDユニット12が点灯してドア42の外方下方を照明し、図1(A)及び図1(B)に照明エリアXにて示す如く、乗員の足元のエリアが照らされる。
【0033】
その後にドア42が開放されると、LEDユニット12が消灯すると共に、LEDユニット14が点灯してドア42の内方下方を照明し、図1(A)に照明エリアYにて示す如く、乗員の足元のエリアが照らされる。
【0034】
その後にドア42が閉鎖されると、LEDユニット14が消灯する。
【0035】
このように、本実施形態に係る車両用照明装置10では、乗員がドア42を開放する直前(乗員が乗車しようとする際)にはLEDユニット12によってドア42の外方下方の足元が照明され(照明エリアX)、ドア42が開放されるとLEDユニット14によってドア42の内方下方が照明される(照明エリアY)ため、ドア42の開閉状態に応じた最適なエリアを照明することができる。また、LEDユニット12及びLEDユニット14は、ドア42のドアモール48下端部に設けられているため、必要かつ充分な広いエリアを照明することができる。
【0036】
さらに、この車両用照明装置10では、ドア42のドアモール48下端部において、LEDユニット12とLEDユニット14とが、車両前後方向に沿って複数個が交互に配置されているため、必要かつ充分な広いエリアを照明することができるのみならず、各エリアを均一に照明することができる。
【0037】
またさらに、車両用照明装置10のLEDユニット12及びLEDユニット14のそれぞれの点灯タイミングは、所望に応じて任意に変更・設定することが可能であり、例えば、車両40の照明ロジックとの組み合わせでそれぞれの点灯、点滅タイミングを設定すれば、より最適な照明エリアを演出したり、省電力化することもできる。
【0038】
また、LEDユニット12のガイド部18及びガイド部20、LEDユニット14のガイド部24及びガイド部26のそれぞれの形状は変更可能であり、これらのガイド形状を好適に設定することで照明エリア(照射範囲)を任意に設定することができる。
【0039】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。
【0040】
なお、前記実施形態と基本的に同一の部品には、前記実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0041】
図5には、本発明の他の実施形態に係る車両用照明装置30の構成が、図2及び図3に対応した断面図にて示されている。
【0042】
この車両用照明装置30では、ドアモール48の下端部に第1の照明具及び第2の照明具としてのLEDユニット32が設けられている。また、LEDユニット32下方のドアモール48には、第1の照明具及び第2の照明具を構成するガイド部34及びガイド部36が形成されている。
【0043】
ガイド部34は、ドア42の外方へ向けて傾斜して面取り状に形成されており、LEDユニット32からの光がドア外方下方へ向くように規制している。また、ガイド部36は、ドア42の内方へ向けて傾斜して面取り状に形成されており、LEDユニット32からの光がドア内方下方へ向くように規制している。これにより、LEDユニット32が点灯した際には、ドア42の外方下方及び内方下方へ共に光が照射されて照明される構成である。
【0044】
このLEDユニット32は、車外からのドア42の開錠(例えば、ワイヤレスキーロックの解除)を検知して点灯し、しかもその後にドア42が開放された時にも点灯し続け、その後にドア42が閉鎖された時に消灯するように設定されている。
【0045】
以上の構成のLEDユニット32は、ドアモール48の下端部において車両前後方向に沿って複数個が配置された構成となっている。
【0046】
なお、このLEDユニット32の配置個数や配置間隔は、車両40やドア42の形態等に応じて任意に設定することができる。
【0047】
以下に、本他の実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0048】
上記構成の車両用照明装置30では、ドア42が閉鎖状態のときに車外からのドア42の開錠が検知されると(すなわち、乗員が車内へ乗り込もうとした際には)、LEDユニット32が点灯してドア42の外方下方を照明し、乗員の足元のエリアが照らされる。その後にドア42が開放されると、LEDユニット32が点灯し続けてドア42の内方下方を照明し、乗員の足元のエリアが照らされる。
【0049】
その後にドア42が閉鎖されると、LEDユニット32が消灯する。
【0050】
このように、本他の実施形態に係る車両用照明装置30では、乗員がドア42を開放する直前(乗員が乗車しようとする際)にはLEDユニット32によってドア42の外方下方の足元が照明され、ドア42が開放されると当該LEDユニット32によってドア42の内方下方が照明されるため、ドア42の開閉状態に応じた最適なエリアを照明することができる。また、LEDユニット32は、ドア42のドアモール48下端部に設けられているため、必要かつ充分な広いエリアを照明することができる。
【0051】
さらに、この車両用照明装置30では、ドア42のドアモール48下端部において、LEDユニット32が、車両前後方向に沿って複数個が配置されているため、必要かつ充分な広いエリアを照明することができるのみならず、各エリアを均一に照明することができる。
【0052】
またさらに、この車両用照明装置30においても、LEDユニット32の点灯タイミングは、所望に応じて任意に変更・設定することが可能であり、点灯、点滅タイミングの設定によってより最適な照明エリアを演出したり、省電力化することもできる。
【0053】
また、LEDユニット32のガイド部34及びガイド部36のそれぞれの形状は変更可能であり、これらのガイド形状を好適に設定することで照明エリア(照射範囲)を任意に設定することができる。
【0054】
なお、前述した実施形態においては、第1の照明具としてLEDユニット12を適用すると共に第2の照明具としてのLEDユニット14を適用した構成として説明し、また、他の実施形態においては、第1の照明具及び第2の照明具としてLEDユニット32を適用した構成として説明したが、第1の照明具及び第2の照明具としてはこれに限るものではなく、他の同等の光源によって第1の照明具及び第2の照明具を構成してもよい。この場合であっても、前記各実施形態にLEDユニット12等と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用照明装置が適用されて構成された車両の全体構成を示し、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す図1(A)の2−2線に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す図1(A)の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す車両の部分側面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す図2及び図3に対応した断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 車両用照明装置
12 LEDユニット(第1の照明具)
14 LEDユニット(第2の照明具)
18 ガイド部
20 ガイド部
24 ガイド部
26 ガイド部
40 車両
42 ドア
48 ドアモール
X 照明エリア
Y 照明エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアのドアモール下端部に設けられ、車外からのドア開錠を検知して点灯しドア外方下方を照明すると共にドア開放時に消灯する第1の照明具と、
車両ドアのドアモール下端部に設けられ、ドア開放時に点灯しドア内方下方を照明すると共にドア閉鎖時に消灯する第2の照明具と、
を備えたことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記第1の照明具と前記第2の照明具とは、車両前後方向に沿って交互に配置されている、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−58543(P2010−58543A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223581(P2008−223581)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】