説明

車両用燃料電池システムの始動方法

【課題】簡単な工程で、冷却媒体の絶縁抵抗の低下を確実に抑制するとともに、燃料電池車両の停止中に不快な駆動音が発生することを阻止することを可能にする。
【解決手段】車両用燃料電池システム10の始動方法は、燃料電池スタック12の起動信号が入力されたか否かを判断する工程と、前記起動信号が入力されたと判断された際、冷却媒体供給装置18を構成する冷媒ポンプ60を作動させ、冷却媒体を不純物除去機構64に供給して前記冷却媒体の導電率を低下させる工程と、前記冷却媒体の導電率が規定値以下であると判断された際、酸化剤ガス供給装置14及び燃料ガス供給装置16を駆動して前記燃料電池スタック12の起動を開始する工程とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質膜の両側にカソード電極及びアノード電極が設けられる電解質膜・電極構造体を有する燃料電池を備える車両用燃料電池システムの始動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード電極及びカソード電極を設けた電解質膜・電極構造体(MEA)を、一対のセパレータによって挟持している。この種の燃料電池は、通常、複数積層されて燃料電池スタックを構成しており、例えば、車載用燃料電池システムに組み込まれている。
【0003】
燃料電池は、通常、一方のセパレータと電解質膜・電極構造体との間に、アノード電極に燃料ガスを供給するための燃料ガス流路が形成されるとともに、他方のセパレータと前記電解質膜・電極構造体との間に、カソード電極に酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス流路が形成されている。さらに、互いに隣接するセパレータ間には、電解質膜・電極構造体を冷却するための冷却媒体流路が形成されている。
【0004】
冷却媒体流路に冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置では、前記冷却媒体を循環させるポンプ、及び該冷却媒体の温度を外気により低下させるラジエータを備えるとともに、イオン除去装置(不純物除去装置)を備えている。イオン除去装置は、ラジエータ、燃料電池スタック、通路形成用壁部及びポンプ等から冷却媒体に溶出した金属等の導電性イオンを除去する機能を有している。
【0005】
ところで、上記の燃料電池システムでは、運転停止時にポンプが停止されるため、冷却媒体は、イオン除去装置に送られない。従って、燃料電池システムの運転停止期間中、冷却媒体中に導電性イオンが溶出し、前記冷却媒体中の導電性イオン濃度が増加してしまう。
【0006】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池の冷却システムでは、冷却液によって冷却される燃料電池と、前記冷却液の温度を低下させる熱交換器と、前記燃料電池と前記熱交換器の相互間を前記冷却液が循環し得るように接続する冷却液通路と、前記冷却液通路の前記冷却液中の不純物を除去する除去装置と、前記冷却液通路の冷却液を前記燃料電池及び前記除去装置に循環させるポンプと、前記燃料電池の運転停止を継続している状態において前記冷却液通路内の冷却液を前記除去装置に流通させる流通手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4066361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1では、燃料電池の運転停止継続中に、間欠的にポンプが駆動されるため、燃料電池車両が停止した状態で、不意に前記ポンプの駆動音が発生してしまう。これにより、ユーザにとって不快な状態が発生するとともに、ポンプに電力を供給する蓄電池のエネルギが減少する。従って、停止期間が長くなれば、複数回のポンプ駆動をすることになるため、始動のための蓄電池のエネルギが不足し、次回の燃料電池の起動ができないという問題がある。
【0009】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単な工程で、冷却媒体の絶縁抵抗の低下を確実に抑制するとともに、燃料電池車両の停止中に不快な駆動音が発生することがなく、良好な始動を行うことが可能な車両用燃料電池システムの始動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電解質膜の両側にカソード電極及びアノード電極が設けられる電解質膜・電極構造体を有する燃料電池と、前記燃料電池のカソード側に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、前記燃料電池のアノード側に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、前記燃料電池を冷却する冷却媒体を該燃料電池に循環供給する冷却媒体供給装置とを備える車両用燃料電池システムの始動方法に関するものである。
【0011】
この始動方法は、燃料電池の起動信号が入力されたか否かを判断する工程と、前記起動信号が入力されたと判断された際、冷却媒体供給装置を構成する冷却媒体循環用ポンプを作動させ、冷却媒体を不純物除去機構に供給して前記冷却媒体の導電率を低下させる工程と、前記冷却媒体の導電率が規定値以下であると判断された際、酸化剤ガス供給装置及び燃料ガス供給装置を駆動して前記燃料電池の起動を開始する工程とを有している。
【0012】
また、この始動方法は、冷却媒体の導電率を低下させる工程では、燃料電池の停止からの経過時間又は前記冷却媒体の絶縁抵抗値に基づいて、該冷却媒体の導電率が規定値以下に低下されたか否かを判断することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、燃料電池の起動時において、燃料ガス及び酸化剤ガスを供給して発電を開始する前に、冷却媒体循環用ポンプを作動させて冷却媒体中の導電成分を除去することにより、前記冷却媒体の導電率を低下させている。
【0014】
このため、簡単な工程で、冷却媒体の絶縁抵抗の低下を確実に抑制するとともに、燃料電池車両の停止中に不快な駆動音が発生することを阻止することが可能になる。しかも、燃料電池車両の起動時にのみ冷却媒体循環用ポンプが作動されるため、エネルギを無駄に消費させることがなく、経済的である。これにより、燃料電池システムを良好に始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る始動方法が適用される燃料電池システムの概略構成図である。
【図2】前記始動方法を説明するフローチャートである。
【図3】前記始動方法を説明するタイミングチャートである。
【図4】停止からの経過時間と冷媒ポンプの作動時間との関係説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る始動方法を説明するフローチャートである。
【図6】前記始動方法を説明するタイミングチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る始動方法を説明するタイミングチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る始動方法を説明するタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る始動方法が適用される別の燃料電池システムの概略構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る始動方法が適用される車両用燃料電池システム10は、燃料電池自動車等の燃料電池車両(図示せず)に搭載される。
【0017】
燃料電池システム10は、燃料電池スタック12と、前記燃料電池スタック12に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置14と、前記燃料電池スタック12に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置16と、前記燃料電池スタック12に冷却媒体を供給するための冷却媒体供給装置18と、蓄電装置、例えば、リチウムイオン等のバッテリ20と、前記燃料電池システム10全体の制御を行うコントローラ22とを備える。
【0018】
燃料電池スタック12及びバッテリ20は、走行用モータ24を含む負荷に電力を供給するとともに、前記バッテリ20は、回生電力を貯蔵することができる。なお、蓄電装置としては、バッテリ20の他、キャパシタ等を採用してもよい。
【0019】
燃料電池スタック12は、複数の燃料電池30を水平方向又は重力方向に積層して構成される。各燃料電池30は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜32をカソード電極34とアノード電極36とで挟持した電解質膜・電極構造体(MEA)38を備える。
【0020】
カソード電極34及びアノード電極36は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金(又はRu等)が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成された電極触媒層とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜32の両面に形成される。
【0021】
電解質膜・電極構造体38は、カソード側セパレータ40及びアノード側セパレータ42で挟持される。カソード側セパレータ40及びアノード側セパレータ42は、例えば、カーボンセパレータ又は金属セパレータで構成される。
【0022】
カソード側セパレータ40と電解質膜・電極構造体38との間には、酸化剤ガス流路44が設けられるとともに、アノード側セパレータ42と前記電解質膜・電極構造体38との間には、燃料ガス流路46が設けられる。互いに隣接するカソード側セパレータ40とアノード側セパレータ42との間には、冷却媒体流路48が設けられる。
【0023】
燃料電池スタック12には、各燃料電池30の積層方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガス(以下、空気ともいう)を供給する酸化剤ガス入口連通孔50a、燃料ガス、例えば、水素含有ガス(以下、水素ガスともいう)を供給する燃料ガス入口連通孔52a、冷却媒体を供給する冷却媒体入口連通孔54a、前記酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス出口連通孔50b、前記燃料ガスを排出する燃料ガス出口連通孔52b、及び前記冷却媒体を排出する冷却媒体出口連通孔54bが設けられる。
【0024】
酸化剤ガス供給装置14は、例えば、コンプレッサ(図示せず)を介して大気からの空気を圧縮して燃料電池スタック12の酸化剤ガス入口連通孔50aに供給する。燃料ガス供給装置16は、高圧水素を貯留する水素タンク(図示せず)を備え、この水素タンクから燃料電池スタック12の燃料ガス入口連通孔52aに水素ガスを供給する。
【0025】
冷却媒体供給装置18は、燃料電池スタック12に設けられる冷却媒体入口連通孔54a及び冷却媒体出口連通孔54bに連通し、冷却媒体を前記燃料電池スタック12に循環させる冷却媒体循環路56を備える。
【0026】
冷却媒体循環路56には、ラジエータ58及び冷媒ポンプ(冷却媒体循環用ポンプ)60が接続されるとともに、前記ラジエータ58を迂回するバイパス路62が設けられる。バイパス路62には、冷却媒体中の導電成分を除去するための不純物除去機構(例えば、イオン交換樹脂)64が配設される。なお、ラジエータ58は、燃料電池車両に接地されている。
【0027】
このように構成される燃料電池システム10の動作について、第1の実施形態に係る始動方法との関連で、図2に示すフローチャート及び図3に示すタイミングチャートに沿って、以下に説明する。
【0028】
先ず、図示しないイグニッションスイッチがONされると、コントローラ22は、燃料電池スタック12の起動信号が入力されたと判断する(ステップS1中、YES)。そして、ステップS2に進んで、バッテリ20からの電力により冷却媒体供給装置18を構成する冷媒ポンプ60が作動される。
【0029】
このため、冷却媒体は、図1に示すように、冷却媒体循環路56を強制的に循環するとともに、一部がバイパス路62に沿って流通し、不純物除去機構64に供給される。不純物除去機構64では、冷却媒体中の導電成分が除去されるため、前記冷却媒体中の金属イオンを含む導電成分の濃度(導電率)が低下する。
【0030】
コントローラ22は、例えば、図4に示すように、燃料電池スタック12の停止からの経過時間に対する導電成分除去時間(設定時間)Tが設定されている。この導電成分除去時間Tは、冷却媒体の導電率が所望の値(規定値)まで低下するのに要する冷媒ポンプ60の作動時間であり、停止時間が長くなる程、前記導電成分除去時間Tが長く設定される。
【0031】
導電成分除去時間Tが経過したと判断されると(ステップS3中、YES)、ステップS4に進んで、燃料電池スタック12が起動される。具体的には、酸化剤ガス供給装置14が駆動され、酸化剤ガスである空気が燃料電池スタック12の酸化剤ガス入口連通孔50aに供給される。一方、燃料ガス供給装置16が駆動され、燃料電池スタック12の燃料ガス入口連通孔52aに燃料ガスである水素ガスが供給される。
【0032】
図1に示すように、空気は、燃料電池スタック12内の各燃料電池30に設けられている酸化剤ガス流路44に沿って移動することにより、カソード電極34に供給される。一方、水素ガスは、燃料電池スタック12の各燃料電池30に設けられている燃料ガス流路46に沿って移動することにより、アノード電極36に供給される。
【0033】
従って、カソード電極34に供給される空気とアノード電極36に供給される水素ガスとが電気化学的に反応して発電が行われ、燃料電池車両が始動される。この発電により得られる電力は、走行用モータ24を含む負荷に電力を供給され、燃料電池車両が走行可能になる。
【0034】
また、冷却媒体供給装置18では、冷媒ポンプ60の作用下に、冷却媒体循環路56から冷却媒体入口連通孔54aを通って燃料電池スタック12内に冷却媒体が導入される。冷却媒体は、冷却媒体流路48に沿って移動することにより、燃料電池30を冷却した後、冷却媒体出口連通孔54bから冷却媒体循環路56に排出される。
【0035】
この場合、第1の実施形態では、燃料電池スタック12の起動時において、燃料ガス及び酸化剤ガスを供給して発電を開始する前に、冷媒ポンプ60を作動させている。このため、冷却媒体は、不純物除去機構64に強制的に送られ、前記冷却媒体中の導電成分が除去されることにより、前記冷却媒体の導電率が低下されている。図3に示すように、冷却媒体の導電率は、徐々に低下して所定値以下になる。
【0036】
これにより、簡単な工程で、冷却媒体の絶縁抵抗の低下を確実に抑制するとともに、燃料電池車両の停止中に不快な駆動音が発生することを阻止することが可能になる。しかも、燃料電池車両の始動時にのみ冷媒ポンプ60が作動されるため、エネルギを無駄に消費させることがなく、経済的であるという効果が得られる。従って、燃料電池システム10を良好に始動させることができる。
【0037】
次いで、燃料電池システム10による本発明の第2の実施形態に係る始動方法について、図5に示すフローチャート及び図6に示すタイミングチャートに沿って説明する。なお、第1の実施形態と同一の工程は、その詳細な説明を省略する。以下に説明する第2以降の実施形態においても、同様である。
【0038】
コントローラ22は、燃料電池スタック12の起動信号が入力された際(ステップS101)、冷媒ポンプ60を作動させて冷却媒体を不純物除去機構64に供給する(ステップS102)。そして、コントローラ22は、燃料電池出力とグラウンドとの間の抵抗値を計測する地絡検出センサ(図示せず)から得られる絶縁抵抗値に基づいて、冷却媒体の導電率が所望の値(規定値)まで低下したか否かを判断する(ステップS103)。
【0039】
コントローラ22は、冷却媒体の導電率が所望の値(燃料電池スタック12を運転する際、安全上の問題がない値)まで低下したと、すなわち、絶縁抵抗値が規定値まで上昇したと判断すると(ステップS103中、YES)、ステップS104に進んで、燃料電池スタック12の発電(起動)を開始する。
【0040】
従って、第2の実施形態では、簡単な工程で、冷却媒体の絶縁抵抗の低下を確実に抑制するとともに、燃料電池車両の停止中に不快な駆動音が発生することを阻止することが可能になる等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0041】
図7は、燃料電池システム10による本発明の第3の実施形態に係る始動方法を説明するタイミングチャートである。
【0042】
第3の実施形態では、燃料電池スタック12の起動信号が入力されてから燃料電池スタック12が起動されるまでの間、燃料電池車両は、バッテリ20からの電力で走行することができる。
【0043】
このため、冷媒ポンプ60を作動させて冷却媒体中の導電成分を除去している間でも、燃料電池車両による走行が可能になる。これにより、イグニッションスイッチがONされてから実際に走行できるまでの待機時間を、可及的に短尺化することが可能になるという効果が得られる。
【0044】
図8は、燃料電池システム10による本発明の第4の実施形態に係る始動方法を説明するタイミングチャートである。
【0045】
第4の実施形態では、外部無線操作手段、例えば、キーレスエントリーやスマートエントリー等からの無線信号がコントローラ22に入力された際、冷媒ポンプ60の作動を開始する。このため、実際にイグニッションスイッチがONされてから、燃料電池車両が発電走行可能になるまでの待機時間を、良好に短縮させることができるという効果が得られる。
【0046】
図9は、本発明の実施形態に係る始動方法が適用される別の車両用燃料電池システム80の概略構成説明図である。なお、燃料電池システム10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0047】
燃料電池システム80は、冷却媒体供給装置82を備えるとともに、前記冷却媒体供給装置82は、冷却媒体循環路56を設ける。冷却媒体循環路56には、流量調節機能を有する、例えば、ロータリ型電磁三方弁84が配設され、前記電磁三方弁84の2つの出口側には、冷却媒体循環路56と分岐路86とが接続される。分岐路86は、ラジエータ58の上流側で冷却媒体循環路56に合流するとともに、不純物除去機構64を配置する。
【0048】
このように構成される燃料電池システム80では、通常走行時に分岐路86側への冷却媒体の流量を減少させている。このため、不純物除去機構64による冷却媒体の圧力損失を抑制し、冷媒ポンプ60の負荷を低減することができ、効率の向上が図られる。
【0049】
一方、起動時には、分岐路86への冷却媒体の流量を増加させている。従って、冷却媒体の導電率を迅速に低減させることが可能になり、燃料電池システム80の始動が短時間で有効に遂行されるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0050】
10、80…燃料電池システム 12…燃料電池スタック
14…酸化剤ガス供給装置 16…燃料ガス供給装置
18、82…冷却媒体供給装置 20…バッテリ
22…コントローラ 24…走行用モータ
30…燃料電池 32…固体高分子電解質膜
34…カソード電極 36…アノード電極
38…電解質膜・電極構造体 40…カソード側セパレータ
42…アノード側セパレータ 44…酸化剤ガス流路
46…燃料ガス流路 48…冷却媒体流路
56…冷却媒体循環路 58…ラジエータ
60…冷媒ポンプ 62…バイパス路
64…不純物除去機構 84…電磁三方弁
86…分岐路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜の両側にカソード電極及びアノード電極が設けられる電解質膜・電極構造体を有する燃料電池と、
前記燃料電池のカソード側に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、
前記燃料電池のアノード側に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置と、
前記燃料電池を冷却する冷却媒体を該燃料電池に循環供給する冷却媒体供給装置と、
を備える車両用燃料電池システムの始動方法であって、
前記燃料電池の起動信号が入力されたか否かを判断する工程と、
前記起動信号が入力されたと判断された際、前記冷却媒体供給装置を構成する冷却媒体循環用ポンプを作動させ、前記冷却媒体を不純物除去機構に供給して該冷却媒体の導電率を低下させる工程と、
前記冷却媒体の導電率が規定値以下であると判断された際、前記酸化剤ガス供給装置及び前記燃料ガス供給装置を駆動して前記燃料電池の起動を開始する工程と、
を有することを特徴とする車両用燃料電池システムの始動方法。
【請求項2】
請求項1記載の始動方法において、前記冷却媒体の導電率を低下させる工程では、前記燃料電池の停止からの経過時間又は前記冷却媒体の絶縁抵抗値に基づいて、該冷却媒体の導電率が規定値以下に低下されたか否かを判断することを特徴とする車両用燃料電池システムの始動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−33649(P2013−33649A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169341(P2011−169341)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】