説明

車両用物体検知装置

【課題】 自車の走行の障害とならない停止物を対象とする不必要な車両制御が行われるのを防止する。
【解決手段】 制御対象物体認識手段M5により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、相対関係予測手段M3により予測された物体を実際に検知されたものと見なして外挿手段M6が所定回数を限度に外挿する際に、その物体が静止物であって、かつ略等間隔で連続する連続性を有する場合には、外挿手段M6が外挿を行う回数の限度を例えば5回から2回に減少させるので、トンネルの天井に一定間隔で設けられた照明灯のような静止物に対する外挿回数を減らし、自車が接触する虞のない静止物に対する不必要な車両制御が行われるのを防止して運転者の違和感を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信手段により送信されて受信手段により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知し、更にその物体のうちから自車の制御対象となる物体を検知する車両用物体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダー装置で検知していた障害物が一時的に検知されなくなったとき、記憶手段に記憶されているそれ以前の障害物の情報に基づいて、それ以後の障害物の情報を所定時間の間推測し、推測した情報に基づいて自車が障害物に接触する可能性を判断するものが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
また本出願人の出願に係る特願2006−211839号(平成18年8月3日出願)の第2実施例には、自車前方に存在する潜り抜け可能な低いゲートや先行車等の停止物に対する衝突を回避するために自動減速や警報を行うものにおいて、ターゲットである停止物が検知されなくなったときに、それ以後5回に亘って外挿処理(検知されなくなったターゲットの将来の位置等を予測し、検知されているものとして処理すること)を行うことにより、ターゲットが一時的に検知不能になった場合でも衝突を回避するための自動減速や警報が支障なく行えるようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特開平6−174847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次に、図3〜図13に基づいて、上記従来の外挿処理を行った場合に発生する問題点を説明する。図3〜図13において、上段の(A)は従来例を示し、下段の(B)は実施の形態を示している。
【0005】
想定した状況は、天井に停止物である照明灯が一定間隔で設けられているトンネル内を自車が先行車に追従して走行しており、自車に設けたレーダー装置で検知した先行車との相対距離が所定値未満に接近すると、自車を自動制動したり運転者に警報を発したりして接触を回避するようになっている。レーダー装置は前方側ほど左右幅が広がる検知領域(斜線の領域)を有しており、その検知領域のうちの自車に最も近い部分に実データおよび外挿データの停止物に対するシステム作動領域R2であり、その前方に実データの停止物に対するシステム作動領域R1が設定される。
【0006】
実データとは、レーダー装置により実際に検知されたデータであり、外挿データとは、レーダー装置が一時的に物体をロストしたときに、システムの作動が中断されるのを防止すべく、過去の実データから予測して挿入される仮想的な物体のデータである。従来例では、外挿データは最大5回まで外挿され、5回の外挿の後にも実データに引き継がれない場合には、その時点で消滅する。従って、外挿データが存在すれば、実データだけでなく外挿データに基づく自動制動や警報等の車両制御が実行される。
【0007】
図3(A)〜図13(A)の例では、レーダー装置の斜線で示す検知領域に照明灯が入っていれば、その照明灯は実データ(黒い六角形参照)となり、自車の走行に伴って照明灯が検知領域の後方に外れれば外挿データ(白い六角形参照)となり、前回までに5個外挿すれば今回は外挿を行わず、データ(破線で示す六角形参照)は消滅する。
【0008】
レーダー装置は先行車も検知しており、移動物である先行車に対する自動制動や警報等の車両制御が実行されことは勿論である。この移動物に対する車両制御は、停止物を対象とする本願発明とは直接関係がないため、詳細は省略する。
【0009】
図3(A)〜図12(A)は時間の経過に応じたタイム1〜タイム10にそれぞれ対応しており、照明灯には手前側から向こう側に向かって1番〜10番の連続番号が付してある。
【0010】
図3(A)に示すタイム1では、4番以降の照明灯がレーダー装置の検知領域に入っていて実データ(黒い六角形)になっており、2番および3番の照明灯が外挿データ(白い六角形)になっている。図3(A)および図13(A)を併せて参照すると明らかなように、実データの停止物に対するシステム作動領域R1には実データが存在しないが、実データおよび外挿データの停止物に対するシステム作動領域R2には3番照明灯の外挿データが存在するため、その3番照明灯を制御対象として自動制動や警報等の不要な車両制御が実行されてしまう。
【0011】
図4(A)に示すタイム2および図5(A)に示すタイム3では、4番照明灯が実データの停止物に対するシステム作動領域R1に存在するため、その4番照明灯を制御対象として自動制動や警報等の不要な車両制御が実行されてしまう。
【0012】
図6(A)に示すタイム4および図7(A)に示すタイム5では、4番照明灯の実データが実データの停止物に対するシステム作動領域R1に存在し、かつ3番照明灯の外挿データが実データおよび外挿データの停止物に対するシステム作動領域R2に存在するため、その3番、4番照明灯を制御対象として自動制動や警報等の不要な車両制御が実行されてしまう。
【0013】
図8(A)に示すタイム6では、4番照明灯の実データが実データの停止物に対するシステム作動領域R1に存在するため、その4番照明灯を制御対象として自動制動や警報等の不要な車両制御が実行されてしまう。
【0014】
図9(A)に示すタイム7および図10(A)に示すタイム8では、実データの停止物に対するシステム作動領域R1に実データが存在せず、実データおよび外挿データの停止物に対するシステム作動領域R2に実データも外挿データも存在しないため、車両制御は実行されない。
【0015】
図11(A)に示すタイム9および図12(A)に示すタイム10では、5番照明灯の実データが実データの停止物に対するシステム作動領域R1に存在するため、その5番照明灯を制御対象として自動制動や警報等の不要な車両制御が実行されてしまう。
【0016】
以上のように、外挿回数が5回に設定された従来例では、自車が接触する虞のない照明灯を制御対象として断続的に不要な車両制御が実行されてしまい、運転者に違和感を与える問題があった。
【0017】
この問題を解決するには、外挿回数を5回から例えば2回に減らせば良いが、すべての制御対象に対して外挿回数を減らすと、一時的に制御対象をロストした場合に本来必要な車両制御が実行されなくなるという新たな問題が発生してしまう可能性がある。
【0018】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、自車の走行の障害とならない停止物を対象とする不必要な車両制御が行われるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段と、送信手段が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段と、前記物体検知手段の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段と、前記相対関係算出手段により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段と、前記相対関係予測手段により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段と、前記同一性判定手段により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段と、前記制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段と、前記相対関係に基づいて前記車両を制御するとともに、制御対象物体であると認識された物体が実際に検知されている物体か外挿された物体かに応じて該制御の内容を変更する車両制御手段とを備えた車両用物体検知装置において、前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段と、前記静止物が複数存在する場合に該複数の静止物が略等間隔で連続する連続性を判定する連続性判定手段とを備え、前記外挿手段は、前記静止物の連続性があると判定された場合には、実際に検知された該静止物を外挿物体とするとともに、前記車両制御手段は、前記外挿物体に対する車両制御を前記実際に検知されている物体に対する車両制御よりも弱くすることを特徴とする車両用物体検知装置が提案される。
【0020】
また請求項2に記載された発明によれば、所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段と、送信手段が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段と、前記物体検知手段の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段と、前記相対関係算出手段により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段と、前記相対関係予測手段により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段と、前記同一性判定手段により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段と、前記制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段と、前記相対関係に基づいて前記車両を制御するとともに、制御対象物体であると認識された物体が実際に検知されている物体か外挿された物体かに応じて該制御を行うタイミングを変更する車両制御手段とを備えた車両用物体検知装置において、前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段と、前記静止物が複数存在する場合に該複数の静止物が略等間隔で連続する連続性を判定する連続性判定手段とを備え、前記外挿手段は、前記静止物の連続性があると判定された場合には、実際に検知された該静止物を外挿物体とするとともに、前記車両制御手段は、前記外挿物体に対する車両制御を前記実際に検知されている物体に対する車両制御よりも行われにくくすることを特徴とする車両用物体検知装置が提案される。
【0021】
また請求項3に記載された発明によれば、所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段と、送信手段が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段と、前記物体検知手段の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段と、前記相対関係算出手段により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段と、前記相対関係予測手段により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段と、前記同一性判定手段により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段と、前記制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段とを備えた車両用物体検知装置において、前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段と、前記静止物が複数存在する場合に該複数の静止物が略等間隔で連続する連続性を判定する連続性判定手段とを備え、前記外挿手段は、前記静止物の連続性があると判定された場合には、検知されていた物体が検知されなくなって外挿物体となったときに、その外挿回数を減少させることを特徴とする車両用物体検知装置が提案される。
【0022】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記連続性判定手段は、前記静止物判定手段により判定された複数の静止物について、基準物体を設定する基準物体設定手段と、前記基準物体からの自車幅方向の距離が所定距離以内の物体を第1近接物体として判定する第1近接物体判定手段と、前記基準物体と前記第1近接物体との距離および該基準物体に対する該第1近接物体の方向を算出する位置関係算出手段と、前記位置関係算出手段により算出した距離および方向に基づいて前記第1近接物体に近接する第2近接物体が存在すると予測される予測位置を設定する予測位置設定手段と、前記予測位置に基づいて設定される所定範囲内に存在する物体のうち、最も予測位置に近い物体を第2近接物体として判定する第2近接物体判定手段とを備え、前記第2近接物体が判定された場合に前記基準物体、前記第1近接物体および前記第2近接物体は連続性があると判定することを特徴とする車両用物体検知装置が提案される。
【0023】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項4の構成に加えて、前記所定範囲は、前記基準物体と前記第1近接物体との距離に応じて設定されることを特徴とする車両用物体検知装置が提案される。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の構成によれば、制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして外挿手段が所定回数を限度に外挿するが、その物体が静止物であって、かつ略等間隔で連続する連続性を有する場合には、実際に検知された静止物を外挿物体とするとともに、その外挿物体に対する車両制御を弱くするので、トンネルの天井に一定間隔で設けられた照明灯のような静止物が存在する場合でも、自車が接触する虞のない照明灯のような静止物に対する過剰な車両制御が行われるのを防止して運転者の違和感を解消することができる。
【0025】
また請求項2の構成によれば、制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして外挿手段が所定回数を限度に外挿するが、その物体が静止物であって、かつ略等間隔で連続する連続性を有する場合には、実際に検知された静止物を外挿物体とするとともに、その外挿物体に対する車両制御のタイミングを遅らせるので、トンネルの天井に一定間隔で設けられた照明灯のような静止物が存在する場合でも、自車が接触する虞のない照明灯のような静止物に対する過剰な車両制御が行われるのを防止して運転者の違和感を解消することができる。
【0026】
また請求項3の構成によれば、制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして外挿手段が所定回数を限度に外挿する際に、その物体が静止物であって、かつ略等間隔で連続する連続性を有する場合には、外挿手段が外挿を行う回数の限度を減少させるので、トンネルの天井に一定間隔で設けられた照明灯のような静止物に対する外挿回数を減らし、自車が接触する虞のない静止物に対する不必要な車両制御が行われるのを防止して運転者の違和感を解消することができる。
【0027】
また請求項4の構成によれば、静止物判定手段により判定された複数の静止物について基準物体設定手段が基準物体を設定し、第1近接物体判定手段が基準物体との位置が最も近い第1近接物体を判定し、位置関係算出手段が基準物体と第1近接物体との距離および基準物体に対する第1近接物体の方向を求め、予測位置設定手段が前記距離および方向に基づいて第1近接物体に近接する第2近接物体が存在すると予測される位置を設定し、第2近接物体判定手段が前記予測した位置に最も近い第2近接物体を判定するので、複数の静止物の連続性を精度良く判定することができる。
【0028】
また請求項5の構成によれば、前記所定範囲は、前記基準物体と前記第1近接物体との距離に応じて設定されることを特徴とする車両用物体検知装置が提案される。
【0029】
上記構成によれば、予測位置に基づいて設定される所定範囲を、基準物体と第1の近接物体との距離に応じて設定したので、距離が遠くなるほど低下する物体検知手段の検知精度を補償することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
【0031】
図1〜図22は本発明の実施の形態および従来例を示すもので、図1は車両用物体検知装置の電子制御ユニットのブロック図、図2は連続性判定手段のブロック図、図3〜図12は従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図、図13は従来例および実施の形態の車両制御手段の作動の有無を説明するタイムチャート、図14〜図18は停止物物連続性判定の作用説明図、図19はメインルーチンのフローチャート、図20は前回ターゲットと引継ぎサブルーチンのフローチャート、図21は前回ターゲット処理サブルーチンのフローチャート、図22は停止物連続性判定サブルーチンのフローチャートである。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態の車両用物体検知装置は、電磁波を送信する送信手段Raと、その電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段Rbとを備えたレーダー装置Rで検知した先行車に対して自車が追従走行する際に、自車と先行車との車間距離が所定値以下になって衝突の可能性が高まる場合や、路上に存在する停止物との衝突が避けられない場合に、自動制動により自車を制動する衝突防止システムSと、運転者に自発的な制動を促す警報ユニットWとを作動させるようになっている。レーダー装置R、衝突防止システムSおよび警報ユニットWに接続された電子制御ユニットUは、物体検知手段M1と、相対関係算出手段M2と、相対関係予測手段M3と、同一性判定手段M4と、制御対象物体認識手段M5と、外挿手段M6と、静止物判定手段M7と、連続性判定手段M8と車両制御手段M9とを備える。
【0033】
図2に示すように、前記連続性判定手段M8は、基準物体設定手段m1と、第1近接物体判定手段m2と、位置関係算出手段m3と、予測位置設定手段m4と、第2近接物体判定手段m5とを備える。
【0034】
物体検知手段M1は、レーダー装置Rの受信手段Rbが受信した反射波の反射レベルを所定の検知閾値と比較し、反射レベルが検知閾値以上の物体をだけ検知する。相対関係算出手段M2は、物体検知手段M1での検知結果に基づいて自車および物体の相対位置や相対速度等の相対関係を算出する。相対関係予測手段M3は、相対関係算出手段M2で算出した今回の相対関係から次回の相対関係を予測する。同一性判定手段M4は、今回算出された実際の相対関係と今回予測された推定の相対関係とを比較することで、前回検知された物体と今回検知された物体との同一性を判定する。制御対象物体認識手段M5は、異なる物体を同一物体であると誤認するのを避けるために、同一性判定手段M4により所定回数続けて同一物体であると判定された物体だけを、最終的に制御対象(自動ブレーキや警報の対象)となる同一物体であると判定する。
【0035】
外挿手段M6は、制御対象物体認識手段M5が前回まで制御対象であると認識していた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、例えば、物体検知手段M1が制御対象をロストしたとき、所定回数(実施の形態では5回)に亘り、ロストした制御対象が継続して認識されているものと仮定して、外挿データを過去の制御対象のデータ(相対位置や相対速度)から推定して外挿する。つまり認識されなくなったデータを、認識されているのものと仮定し、外挿データとして出力する。これにより、ノイズ等の影響で制御対象を一時的に認識できなくなっても、それまでの制御を中断することなく継続することができる。もちろん、認識されなくなった制御対象が再び認識され、かつ再び認識された制御対象と外挿データとの同一性が確認されれば、外挿データは再び実データに引き継がれる。
【0036】
外挿手段M6による外挿処理の通常の最大回数は5回であり、5回の外挿処理を行った後も実データに引き継がれない場合、例えば、制御対象が進路を変更して自車の前方からいなくなったような場合には、5回の外挿処理の後に外挿データは消滅する。また外挿処理の最大回数は通常は5回であるが、以下の条件が整うと外挿処理の最大回数は2回に減少する。
【0037】
その条件は、制御対象がトンネルの天井の照明灯のような、一定の間隔で連続する静止物である場合である。従って、静止物判定手段M7が制御対象を静止物であると判定し、かつ連続性判定手段M8が前記静止物が一定の間隔で連続していると判定すると、外挿手段M6が最大外挿回数を5回から2回に減少させる。
【0038】
そして車両制御手段M9は、制御対象の実データあるいは外挿データが自車前方の第1システム作動領域R1あるいは第2システム作動領域R2に入ると、その制御対象に自車が衝突しないように衝突防止システムSや警報ユニットWの作動を制御する。
【0039】
つまり、従来例では、停止物をロストした場合に、外挿データを5回まで挿入しているが、本実施の形態では、連続する停止物は検知中でも外挿データとし続け、実際にロストした後の外挿データの挿入回数を最大2回に制限し、不必要な自動制動や警報が実行されて運転者に違和感を与えるのを防止する。
【0040】
次に、実施の形態の作用を図19〜図22のフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。
【0041】
図19のメインフローのステップS1で車速やヨーレート等の車両データを入手し、ステップS2でレーダー装置Rで検知したターゲットの反射レベル、距離、左右位置、相対速を算出し、それを今回ターゲットメモリに記憶する。続くステップS3で後述する前回ターゲットと引継ぎサブフローを実行し、更にステップS4で後述する前回ターゲット処理サブフローを実行する。
【0042】
続くステップS5で今回ターゲットメモリに記憶された、出力フラグ=1(衝突防止システムSによる制御対象)のターゲットを電子制御ユニットUに出力する。このとき、外挿カウンタ値も出力する。続くステップS6で今回ターゲットメモリのデータを前回ターゲットメモリに移動し、ステップS7で車両情報とレーダ検知ターゲットデータとから衝突予測を行う。その結果、ステップS8で衝突の可能性があるターゲットが存在し、かつステップS9で衝突の可能性があるターゲットが移動物であれば、ステップS10でフルアシスト制御を実行する。
【0043】
一方、前記ステップS9で衝突の可能性があるターゲットが停止物であり、かつステップS11で前記ターゲットの外挿カウンタのカウント値が0であれば、つまり外挿データでなければ、前記ステップS10でフルアシスト制御を実行する。また前記ステップS11で前記ターゲットの外挿カウンタのカウント値が0でなければ、つまり外挿データであり、かつステップS12で外挿ターゲットの作動エリア(実データおよび外挿データの停止物に対するシステム作動領域R2)内にあれば、1/2アシスト制御を実行する。一方、前記ステップS12で外挿ターゲットの作動エリア(実データおよび外挿データの停止物に対するシステム作動領域R2)内になければ、アシストを実行せずにリターンする。
【0044】
このように、電子制御ユニットUの処理で、外挿データも車両制御の対象とするが、外挿データの場合に1/2アシスト制御とすることで、実データに比べて精度が低い外挿データに応じた車両制御を実行することができる。1/2アシスト制御とは、車両制御の強さをフルアシスト制御よりも弱めることを意味しており、例えば、自動制動を行う場合には、その制動力の減速度をフルアシスト時よりも低く設定したり、フルアシスト時に自動制動および警報を併用する場合には、自動制動を行わずに警報のみを行うことに相当する。
【0045】
図20は図19のフローチャートのステップS3(前回ターゲットと引継ぎサブフロー)の内容を示すものである。
【0046】
先ずステップS21で今回ターゲットを今回ターゲットメモリから呼び出し、ステップS22で前回ターゲットと引継ぎを確認する。この引継ぎは、自車位置に対する前回ターゲットの相対位置を基準とし、それに前回ターゲットの相対速度を考慮して今回ターゲットの相対位置を推定し、その推定位置の近傍に今回ターゲットが存在すれば、今回ターゲットが前回ターゲットと同一物であると推定され、この処理が所定回数連続した場合に両ターゲットが同一物であるとして引継がれる。
【0047】
続くステップS23で今回ターゲットが前回ターゲットを引継いだ同一物である場合、ステップS24で出力フラグ=1にセットする。そしてステップS25でそのターゲットが停止物であるか移動物であるかを判断する。具体的には、「自車速」+「相対速」が−10kmから10kmの範囲にあれば、つまりターゲットが「自車速」±10kmの速度で自車に接近していれば、そのターゲットが停止物であると判断し、ステップS26で停止物メモリに記憶する。
【0048】
前記ステップS23で今回ターゲットが前回ターゲットを引継いだ同一物でない場合、ステップS27で外挿カウンタ=0にセットし、ステップS28で出力フラグ=0にセットしてステップS29に移行する。また前記ステップS25でターゲットが移動物である場合にも、ステップS29に移行する。そしてステップS29で全ての今回ターゲットを呼び出すまで、前記ステップS21〜ステップS28を繰り返す。前記ステップS29で全ての今回ターゲットを呼び出すと、ステップS30で停止物連続性判定サブフローを実行する。
【0049】
図22のフローチャートは、図20のフローチャートのステップS30のサブルーチン(停止物連続性判定サブフロー)の内容を示すものである。以下、連続性判定手段M8による連続する停止物の判定手法を、図14〜図18に基づいて説明する。
【0050】
図14(A),(B)に示すように、停止物ターゲットメモリから自車に一番目に近い照明灯である第1ターゲットを呼出し(ステップS60)、第1ターゲットを通り、自車の進行方向と平行に直線を引き、第1ターゲットから距離20m以内で、前記直線から左右方向に最も近い第2ターゲットを選択する(ステップS61)。前記20mの距離は、等間隔で配置された照明灯の配置間隔よりも大きく設定されている。この例では左右方向距離がa,b,cの三つのターゲットが示されているが、そのうちで左右方向距離が最も前記直線に近いcのターゲットが第2ターゲットとして選択される。
【0051】
続いて図15(C)に示すように、第1ターゲットから第2ターゲットに第1ベクトルを引いた後(ステップS62)、図15(D)に示すように、第2ターゲットが起点になるように第1ベクトルを移動し、図15(E)に示すように、移動した第1ベクトルの終点に最も近い第3ターゲットを選択する(ステップS63)。このとき、前記第1ベクトルの終点を基準にして前後左右±2mの4m×4mの領域に第3ターゲットが存在するか否か判定する。この場合、前記領域にターゲットに存在しないため(ステップS64でNO)、図15(F)に示すように、図14(B)の処理に戻って前記直線から左右方向に2番目に近いターゲットを新たに第2ターゲットとして選択する(ステップS65)。
【0052】
続いて図16(G)に示すように、第1ターゲットから新たな第2ターゲットに第1ベクトルを引いた後(ステップS66)、図16(H)に示すように、第2ターゲットが起点になるように第1ベクトルを移動し、図16(I)に示すように、移動した第1ベクトルの終点に最も近い第3ターゲットを選択する(ステップS67)。このとき、前記第1ベクトルの終点を基準にして前後左右±2mの4m×4mの領域に第3ターゲットが存在するか否か判定する。この場合、前記領域にターゲットに存在するため(ステップS68でYES)、図16(J)で、第2ターゲットから第3ターゲットに第2ベクトルを引き(ステップS69,S70)、図17(K)で第3ターゲットを起点にして連続性が取れなくなるまで、前記(8)および(9)の処理を繰り返す(ステップS70〜S73)。
【0053】
その結果、本実施の形態では、図17(L)に示すように、5個のターゲット(照明灯)の連続性が取れ、そのターゲットの外挿フラグを通常の0から3に変更して今回メモリに移動して停止物メモリから削除する(ステップS74,S75)。そして図17(M)に示すように、残ったターゲット(ガードレールのポール)に対して(2)〜(10)の処理を実施し、図17(N)に示すように、連続性が取れた4個のターゲットの外挿フラグを通常の0から3に変更して今回メモリに移動して停止物メモリから削除する。図18(O)に示すように、連続性が取れなくなるまで(2)〜(13)の処理を繰り返し、この例では残ったターゲット(消火栓)が1個になって判定が終了する(ステップS77)。
【0054】
尚、前記ステップS68で第1ベクトルの終点を基準にして前後左右±2mの4m×4mの領域に第3ターゲットが存在しない場合には、ステップS76で第1ターゲットを停止物メモリから今回ターゲットメモリにフラグの状態と共に移動し、停止物メモリから消去する。
【0055】
しかして、図17(P)に示すように、停止物のうち、連続物である照明灯およびガードレールのポールが外挿カウンタ=3となり、単独物である消火栓は外挿カウンタ=0のままとなる。
【0056】
上述した連続性判定手段M8の作用を纏めると、静止物判定手段M7により判定された複数の静止物から基準物体設定手段m1が第1ターゲット(基準物体)を設定すると、第1近接物体判定手段m2が前記基準物体からの自車幅方向の距離が所定距離以内の物体を第2ターゲット(第1近接物体)として判定する。続いて位置関係算出手段m3が第1第1ターゲットから第2ターゲットへのベクトルを算出し、予測位置設定手段m4が前記ベクトルに基づいて第2ターゲットに連続する第3ターゲットが存在すると予測される予測位置を設定すると、第2近接物体判定手段m5が前記予測位置に基づいて設定される所定範囲内に存在する物体のうち、最も予測位置に近い物体を第3ターゲットとして判定する。このようにして第3ターゲットが判定された場合に前記第1〜第3ターゲットは連続性があると判定することができる。
【0057】
上述した連続性判定手段M8により、直線路だけでなくカーブ路においても停止物の連続性判定が可能になるだけでなく、照明灯やガードレールのポールのような異なる停止物が連続していても、それらを混同することなく識別して連続性を判定することができ、しかも単独物を連続物と誤判定することがない。
【0058】
図21は図19のフローチャートのステップS4(前回ターゲット処理サブフロー)の内容を示すものである。
【0059】
先ずステップS41で前回ターゲットを前回ターゲットメモリから呼び出し、ステップS42で前記呼び出した前回ターゲットが今回ターゲットに引継いだターゲットでなければ、つまり外挿されたターゲットである場合には、ステップS43で外挿カウンタを1インクリメントする。ステップS44で外挿カウンタのカウント値が5未満であれば、ステップS45で前回データから今回データを予測し、つまりターゲットの前回位置から今回位置を予測し、ステップS46でそのターゲットが衝突防止システムSの制御対象になるように出力フラグを=1にセットする。続くステップS47で予測した今回データを今回ターゲットデータに記憶するとともに、外挿カウンタのカウント値も記憶する。
【0060】
前記ステップS42で前記呼び出した前回ターゲットが今回ターゲットに引継いだターゲットである場合と、前記ステップS44で外挿カウンタのカウント値が6を超えた場合と、前記ステップS47を通過した場合とには、ステップS48で全ての前回ターゲットを呼び出すまで、前記ステップS41〜ステップS47を繰り返す。
【0061】
以上のように、トンネルの天井の照明灯のような一定間隔で連続する停止物は、図22のフローチャートのステップS74で外挿カウンタが強制的に3にセットされるので、通常の5回に比べて少ない2回の外挿で外挿カウンタ=5になり、それ以上の外挿が行われなくなってデータが消滅してしまう。その結果、その外挿データが実データおよび外挿データの停止物に対するシステム作動領域R2に存在しなくなり、照明灯を制御対象とする自動制動や警報等の不要な車両制御が実行されるのを防止することができる。
【0062】
これを図3(B)〜図13(B)に基づいて説明すると、実データの停止物に対するシステム作動領域R1には、実データが一切存在せず、実データおよび外挿データの停止物に対するシステム作動領域R2には、実データは勿論のこと、外挿データも一切存在しなくなり、よって照明灯を制御対象として自動制動や警報等の不要な車両制御が実行されるのを防止することができる。
【0063】
また連続性の取れた停止物は、実データであっても外挿カウンタ=3とされて外挿データとなる。このため、ターゲットがシステム作動領域R1にあってもシステムは作動しないため、過剰な車両制御を抑制できるだけでなく、ターゲットがシステム作動領域R2にあっても外挿ターゲットとなり、1/2アシストを実行することで車両への影響を少なくすることができる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0065】
例えば、図22のフローチャートのステップS64,S68,S72でベクトルの終点に前後左右±2mの領域を設定しているが、前記ベクトルの長さが増加するのに応じて前記領域を広く設定しても良い。このようにすれば、距離が遠くなるほど低下する物体検知手段M1の検知精度を補償することができる。
【0066】
また通常の外挿回数および減少した外挿回数は実施の形態に限定されず、任意に設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】車両用物体検知装置の電子制御ユニットのブロック図
【図2】連続性判定手段のブロック図
【図3】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム1)
【図4】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム2)
【図5】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム3)
【図6】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム4)
【図7】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム5)
【図8】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム6)
【図9】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム7)
【図10】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム8)
【図11】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム9)
【図12】従来例および実施の形態の物体検知の作用説明図(タイム10)
【図13】従来例および実施の形態の車両制御手段の作動の有無を説明するタイムチャート
【図14】停止物連続性判定の作用説明図(その1)
【図15】停止物連続性判定の作用説明図(その2)
【図16】停止物連続性判定の作用説明図(その3)
【図17】停止物連続性判定の作用説明図(その4)
【図18】停止物連続性判定の作用説明図(その5)
【図19】メインルーチンのフローチャート
【図20】前回ターゲットと引継ぎサブルーチンのフローチャート
【図21】前回ターゲット処理サブルーチンのフローチャート
【図22】停止物連続性判定サブルーチンのフローチャート
【符号の説明】
【0068】
M1 物体検知手段
M2 相対関係算出手段
M3 相対関係予測手段
M4 同一性判定手段
M5 制御対象物体認識手段
M6 外挿手段
M7 静止物判定手段
M8 連続性判定手段
M9 車両制御手段
m1 基準物体設定手段
m2 第1近接物体判定手段
m3 位置関係算出手段
m4 予測位置設定手段
m5 第2近接物体判定手段
Ra 送信手段
Rb 受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段(Ra)と、
送信手段(Ra)が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段(Rb)と、
前記受信手段(Rb)により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段(M1)と、
前記物体検知手段(M1)の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段(M2)と、
前記相対関係算出手段(M2)により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段(M3)と、
前記相対関係予測手段(M3)により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段(M2)により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段(M4)と、
前記同一性判定手段(M4)により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段(M5)と、
前記制御対象物体認識手段(M5)により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段(M3)により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段(M6)と、
前記相対関係に基づいて前記車両を制御するとともに、制御対象物体であると認識された物体が実際に検知されている物体か外挿された物体かに応じて該制御の内容を変更する車両制御手段(M9)とを備えた車両用物体検知装置において、
前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段(M7)と、
前記静止物が複数存在する場合に該複数の静止物が略等間隔で連続する連続性を判定する連続性判定手段(M8)とを備え、
前記外挿手段(M6)は、前記静止物の連続性があると判定された場合には、実際に検知された該静止物を外挿物体とするとともに、前記車両制御手段(M9)は、前記外挿物体に対する車両制御を前記実際に検知されている物体に対する車両制御よりも弱くすることを特徴とする車両用物体検知装置。
【請求項2】
所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段(Ra)と、
送信手段(Ra)が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段(Rb)と、
前記受信手段(Rb)により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段(M1)と、
前記物体検知手段(M1)の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段(M2)と、
前記相対関係算出手段(M2)により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段(M3)と、
前記相対関係予測手段(M3)により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段(M2)により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段(M4)と、
前記同一性判定手段(M4)により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段(M5)と、
前記制御対象物体認識手段(M5)により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段(M3)により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段(M6)と、
前記相対関係に基づいて前記車両を制御するとともに、制御対象物体であると認識された物体が実際に検知されている物体か外挿された物体かに応じて該制御を行うタイミングを変更する車両制御手段(M9)とを備えた車両用物体検知装置において、
前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段(M7)と、
前記静止物が複数存在する場合に該複数の静止物が略等間隔で連続する連続性を判定する連続性判定手段(M8)とを備え、
前記外挿手段(M6)は、前記静止物の連続性があると判定された場合には、実際に検知された該静止物を外挿物体とするとともに、前記車両制御手段(M9)は、前記外挿物体に対する車両制御を前記実際に検知されている物体に対する車両制御よりも行われにくくすることを特徴とする車両用物体検知装置。
【請求項3】
所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段(Ra)と、
送信手段(Ra)が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段(Rb)と、
前記受信手段(Rb)により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段(M1)と、
前記物体検知手段(M1)の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段(M2)と、
前記相対関係算出手段(M2)により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段(M3)と、
前記相対関係予測手段(M3)により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段(M2)により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段(M4)と、
前記同一性判定手段(M4)により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段(M5)と、
前記制御対象物体認識手段(M5)により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段(M3)により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段(M6)とを備えた車両用物体検知装置において、
前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段(M7)と、
前記静止物が複数存在する場合に該複数の静止物が略等間隔で連続する連続性を判定する連続性判定手段(M8)とを備え、
前記外挿手段(M6)は、前記静止物の連続性があると判定された場合には、検知されていた物体が検知されなくなって外挿物体となったときに、その外挿回数を減少させることを特徴とする車両用物体検知装置。
【請求項4】
前記連続性判定手段(M8)は、
前記静止物判定手段(M7)により判定された複数の静止物について、基準物体を設定する基準物体設定手段(m1)と、
前記基準物体からの自車幅方向の距離が所定距離以内の物体を第1近接物体として判定する第1近接物体判定手段(m2)と、
前記基準物体と前記第1近接物体との距離および該基準物体に対する該第1近接物体の方向を算出する位置関係算出手段(m3)と、
前記位置関係算出手段(m3)により算出した距離および方向に基づいて前記第1近接物体に近接する第2近接物体が存在すると予測される予測位置を設定する予測位置設定手段(m4)と、
前記予測位置に基づいて設定される所定範囲内に存在する物体のうち、最も予測位置に近い物体を第2近接物体として判定する第2近接物体判定手段(m5)とを備え、
前記第2近接物体が判定された場合に前記基準物体、前記第1近接物体および前記第2近接物体は連続性があると判定することを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用物体検知装置。
【請求項5】
前記所定範囲は、前記基準物体と前記第1近接物体との距離に応じて設定されることを特徴とする、請求項4に記載の車両用物体検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate