説明

車両用空気調和システム

【課題】ヒートポンプ式冷房装置を搭載した車両用空気調和システムにあって、システム性能の向上を図り、しかも、暖房初期に前席乗員の暖房感を阻害しない。
【解決手段】第1の冷媒を圧縮する電動コンプレッサ2と、第1の冷媒と液相状態のまま顕熱変化する第2の冷媒とを熱交換し、第1の冷媒から第2の冷媒に放熱する水冷コンデンサ3と、第1の冷媒を膨脹させる膨脹弁5と、膨張弁5で膨張された第1の冷媒と空気との間で熱交換させて空気を冷却するエバポレータ6とを有するヒートポンプ式冷房装置Aと、空気を加熱するヒータコア12を有する暖房用循環装置Bとを備え、電動コンプレッサ2と水冷コンデンサ3と膨脹弁5とエバポレータ6が近接配置されていると共に、エバポレータ6とヒータコア12を通過させる空気の内気導入口が車室の後席側に設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式冷房装置を有する車両用空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用空気調和システムとしては、特許文献1に開示されたものがある。この車両用空気調和システム100は、図4に示すように、車室の後部を仕切るリヤバンクヘッド101の後部に空調ユニット102を有する。この空調ユニット102は、ブロア・クーリングユニットとヒータユニットとから構成されている。ブロア・クーリングユニットとヒータユニットは車室内に空調風(冷風、温風)を吹き出すよう構成されており、リヤバンクヘッド101の上部位置に内外気導入口110を有する。
【0003】
ところで、暖房運転は、外気導入モードで、且つ、フット吹き出しモードで行われるのが一般的である。しかし、近年、環境問題のため電気自動車や燃料電池車が注目されており、暖房としての熱源を持たないこれらの暖房システムとしては、ヒートポンプが使用されている。また、その動力を軽減するために内気循環を併用し換気負荷を低減するシステムが提案されている。しかしながら、内気循環を併用する場合、車室内がまだ暖まっていない暖房初期にあって、冷風が前席乗員の足下を通過して内気に導入されることになり、暖房感を損ねることがなる。
【0004】
つまり、車両の前席側に内気導入口が設けられている場合には、フット吹出口から吹き出される温風が乗員を暖めることなくショートカットして内気導入口より吸い込まれ、乗員の足元を冷たい空気が流れ暖房感を損ねることになる。しかし、前記従来例では内気導入口が車室の後側に設けられているため、このような不具合がない。
【特許文献1】特開2005−35439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の車両用空気調和システム100では、空調ユニット102が車両の後側に配置され、空調ユニット102内にヒートポンプ式冷房装置のエバポレータを配置する場合には、システム性能の低下が想定される。つまり、ヒートポンプ式冷房装置は、コンプレッサとコンデンサと膨脹弁とエバポレータとを少なくとも構成部品とする。コンプレッサは、通常ではエンジンの動力によって駆動され、又、コンデンサは、走行風若しくは電動ファンの送風によって放熱するよう構成されるため、共にエンジンルームに設置される。そのため、冷媒を循環させる冷媒配管は、エンジンルームと車両の後側の間に亘って配索する必要があり、冷媒配管が長くなる。冷媒配管が長くなると、冷媒の通路抵抗が大きくなるため、システム性能が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、ヒートポンプ式冷房装置を搭載したシステムにあって、システム性能の向上を図り、しかも、暖房初期における前席乗員の暖房感を阻害しない車両用空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する請求項1の発明は、第1の冷媒を圧縮する電動コンプレッサと、第1の冷媒と液相状態のまま顕熱変化する第2の冷媒とを熱交換し、第1の冷媒から第2の冷媒に放熱する冷媒・冷媒コンデンサと、第1の冷媒を膨脹させる膨脹手段と、膨張手段で膨張された第1の冷媒と空気との間で熱交換させて空気を冷却するエバポレータとを有するヒートポンプ式冷房装置と、空気を加熱するヒータコアを有する暖房装置とを備え、電動コンプレッサと冷媒・冷媒コンデンサと膨脹手段とエバポレータが近接配置されていると共に、ヒータコアとエバポレータを通過させる空気の内気導入口が車室の前席より後側に設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の車両用空気調和システムであって、電動コンプレッサと冷媒・冷媒コンデンサと膨脹手段とエバポレータとヒータコアが空調ケースに配置され、且つ、空調ケースに内気導入口が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2記載の車両用空気調和システムであって、空調ケースは、車両の中央に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用空気調和システムであって、暖房装置は、ヒータコアの他に、第2の冷媒を循環させるポンプと、第2の冷媒の熱を放熱させる放熱器とを備えた暖房用循環装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、電動コンプレッサは、エンジンの動力を受ける必要がないため、エンジンの位置に拘束されることなく自由な位置に設置でき、又、冷媒・冷媒コンデンサは、空冷コンデンサのように走行風等を受ける必要がないため、自由な位置に設定できる。これによって、ヒートポンプ式冷房装置の各部品を近接配置することが可能であり、第1の冷媒を循環させる冷媒配管を短くできるため、第1の冷媒の通路抵抗を低減でき、システム性能が向上する。その上、室内がまだ暖まっていない暖房初期にあって、冷たい空気が前席の乗員の足元を流れないため、前席乗員の暖房感を阻害しない。
【0012】
以上より、ヒートポンプ式冷房装置を搭載したシステムにあって、システム性能の向上を図り、しかも、暖房初期における前席乗員の暖房感を阻害しない車両用空気調和システムを提供できる。
【0013】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、車両用空気調和システムがコンパクトになると共にその設置、取扱い等が簡単になる。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、重量物としてのエンジンをほぼ車両中央に配置できるため、ヨー慣性モーメントの低減を図ることができ、操縦安定性の向上、車両の運動性能の向上を図ることができる。
【0015】
又、重量物である電動コンプレッサ等の空調部品を車両中央に配置するため、車両の運動性能の向上を図ることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、暖房用循環装置は、ヒートポンプ式冷房装置の廃熱を利用するため、廃熱の有効利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(一実施形態)
図1〜図3は本発明の一実施形態を示し、図1は車両用空気調和システムの構成図、図2は車両用空気調和装置の上方から見た概略配置図、図3は車両用空気調和システムの側方から見た概略配置図である。
【0019】
先ず、車両用空気調和システムの冷媒サイクル系の構成を説明する。図1に示すように、車両用空気調和システムは、ヒートポンプ式冷房装置Aと暖房装置である暖房用循環装置Bとを備え、この双方の装置が組み合わされている。
【0020】
ヒートポンプ式冷房装置Aは、電動コンプレッサ2,冷媒・冷媒コンデンサである水冷コンデンサ3、膨張手段である膨張弁5、エバポレータ6及びアキュームレータ7を有し、これらがこの順で第1循環配管1によって接続されている。第1循環配管1中には、第1の冷媒としての二酸化炭素が封入されている。
【0021】
電動コンプレッサ2は、吸入した比較的低温低圧の第1の冷媒を圧縮して高温高圧の冷媒として吐出する。
【0022】
水冷コンデンサ3は、下記する第2循環配管8中の機器収容室15内に配置されており、電動コンプレッサ2から圧送された第1の冷媒を第2の冷媒によって冷却する。すなわち、水冷コンデンサ3において第1の冷媒と第2の冷媒との間で熱交換が行われ、第2の冷媒は第1の冷媒によって加熱される。
【0023】
膨張弁5は、水冷コンデンサ3を通過した第1の冷媒を膨張(減圧)させて低温低圧のガスとしてエバポレータ6へと送出する。
【0024】
エバポレータ6は、膨張弁5から送出された第1の冷媒とエバポレータ6を通過する空気とを熱交換させ、エバポレータ6を通過する空気は第1の冷媒によって冷却される。エバポレータ6は、下記に詳述するように空調ダクト20内に配置されている。
【0025】
アキュームレータ7は、エバポレータ6から送出された第1の冷媒を気液分離して気相状態の第1の冷媒のみを電動コンプレッサ2へと送出し、液相状態の第1の冷媒を一時的に貯留する。
【0026】
暖房用循環装置Bは、ポンプ9、放熱器10、ヒータコア12及び機器収容室15を有し、これらがこの順で第2循環配管8によって接続されている。第2循環配管8中には、第2の冷媒としての水や不凍液などの液体が封入されている。
【0027】
機器収容室15は、第2循環配管8よりも大きな断面積を有するスペースであり、この内部に上記した水冷コンデンサ3と共にヒータである電気ヒータ11が収納されている。
【0028】
ポンプ9は、第2の冷媒を循環させるため、吸入した第2の冷媒を加圧して圧送する。ポンプ9で圧送された液体の冷媒は、相変化することなく液相のまま第2循環配管8内を循環し、熱交換により顕熱変化する。
【0029】
放熱器10は、第2の冷媒の熱を外気に放熱させるものであり、電動ファンや走行風によって外気が吹き付けられ、第2の冷媒と外気との間で熱交換が行われる。
【0030】
ヒータコア12は、第2の冷媒とヒータコア12を通過する空気とを熱交換させることで、ヒータコア12を通過する空気を加熱する。ヒータコア12は、下記に詳述するように空調ダクト20内に配置されている。
【0031】
電気ヒータ11は、水冷コンデンサ3の下流側に設けられ、通電することで発熱して第2の冷媒を加熱する。
【0032】
第2循環配管8には、放熱器10をバイパスする放熱器バイパス配管13が付設され、放熱器バイパス配管13の上流側に設けられた流路切替弁14を切り換えることで、第2の冷媒の流れを放熱器10側又は放熱器バイパス流路13側へと切り換えることができる。
【0033】
次に、車両用空気調和システムの各構成部品の配置を説明する。図2及び図3に示すように、車両用空気調和システムは、車両の前席側で、且つ、車両幅方向の中央に配置された空調ケース19を有する。この空調ケース19には、ヒートポンプ式冷房装置Aの全構成部品である電動コンプレッサ2、水冷コンデンサ3、膨脹弁5、エバポレータ6、アキュームレータ7が配置されている。つまり、電動コンプレッサ2、水冷コンデンサ3、膨脹弁5、エバポレータ6及びアキュームレータ7は近接配置されており、これら部品間を接続する第1循環配管1の全長は短く形成されている。
【0034】
ここで、ヒートポンプ式冷房装置Aの全構成部品を空調ケース19に配置できるのは、電動コンプレッサ2は、エンジンの動力を受ける必要がないので、エンジンの位置に拘束されることなく自由な位置に設置でき、又、水冷コンデンサ3は、空冷コンデンサのように走行風を受ける必要がないので、自由な位置に設定できるためである。
【0035】
又、空調ケース19内には、暖房用循環装置Bのポンプ9、ヒータコア12、機器収容室15及び流路切替弁14が内蔵されている。放熱器10は、走行風を受けることができるエンジンルームの前部に配置されている。
【0036】
又、空調ケース19には空調ダクト20が配置されている。図3に詳しく示すように、空調ダクト20の最上流には、室内の空気を導入する内気導入口21が設けられている。この内気導入口21は、車室の前席よりも後側、この実施形態では後席側に開口されている。又、空調ダクト20の最上流には外気導入口(図示せず)が設けられている。これにより、空調ダクト20内には内気と外気を自由に導入できるようになっている。
【0037】
空調ダクト20内には、ブロアファン22a,22bが2つ並列に設けられている。又、ブロアファン22a,22bの下流位置には、エバポレータ6とヒータコア12が並列に配置されている。一方のブロアファン22aはエバポレータ6側に、他方のブロアファン22bはヒータコア12側に送風しやすいようになっている。エバポレータ6とヒータコア12の直ぐ上流には、配風ドア23が設けられ、配風ドア23の角度を変えることでエバポレータ6とヒータコア12への配風比率を調整することができる。
【0038】
エバポレータ6の直ぐ下流には、エバポレータ6を通過した冷風を車室外、例えばエンジンルームに排出するための第1バイパスドア24及び第2バイパスドア25が設けられている。
【0039】
空調ダクト20の最下流には、フット吹出口26、デフロスタ吹出口フット27及びベント吹出口28が設けられている。各吹出口26,27,28にはこれらをそれぞれ開閉するフット用ドア29、デフロスタ用ドア30、ベント用ドア31が設けられている。
【0040】
次に、本実施形態における車両用空調システムの暖房運転時の動作について説明する。
【0041】
暖房モードが選択されると、電動コンプレッサ2とポンプ9が共に駆動される。すると、第1の冷媒が第1循環配管1を一定の経路で循環し、水冷コンデンサ3を流れる高温の第1の冷媒によって第2の冷媒が加熱される。水冷コンデンサ3によって加熱されて高温となった第2の冷媒は、ヒータコア12を流れる過程でヒータコア12を通過する空気を加熱する。そして、ヒータコア12を通過した温風が車室内に供給される。
【0042】
ここで、図3に示すように、内気導入モードで、且つ、フット・デフ吹き出しモードで暖房モードが選択されると、空調ダクト20内には内気導入口21から車室内の空気が導入され、空調ダクト20内を通過する過程で暖められた温風がフット吹出口26及びデフロスタ吹出口27より吹き出される。ここで、前席の乗員の足元にフット吹出口と共に内気導入口がないため、前席の乗員の足元に冷風が流れることがなく、前席の乗員の足元には温風のみが流れる。又、フット・デフ吹き出しモードではなくフット吹き出しモードが選択された場合には、フット吹出口26からのみ温風が吹き出される。この場合にも、当然に前席の乗員の足下には温風のみが流れる。
【0043】
この暖房運転時にあって、電気ヒータ11をオンすれば、水冷コンデンサ3によって加熱された第2の冷媒が更に加熱されるため、強力な暖房性能が得られる。なお、エバポレータ6を通過する空気は冷却されるので、車室内には流入せずエンジンルームなどに排出することが好ましい(図3参照)。
【0044】
以上、本実施形態では、コンプレッサとして電動コンプレッサ2を、コンデンサとして水冷コンデンサ3を用いたため、ヒートポンプ式冷房装置Aの各部品を近接配置することが可能であり、第1の冷媒を循環させる冷媒配管1を短くできる。従って、第1の冷媒の通路抵抗を低減でき、システム性能が向上する。その上、内気導入口21を車室の前席よりも後側に設けたので、室内がまだ暖まっていない暖房初期にあって、冷たい空気が前席の乗員の足元を流れることがなく、前席乗員の暖房感を阻害しない。
【0045】
以上より、ヒートポンプ式冷房装置Aを搭載したシステムにあって、システム性能の向上を図り、しかも、暖房初期における前席乗員の暖房感を阻害しない車両用空気調和システムを提供できる。
【0046】
この実施形態では、電動コンプレッサ2と水冷コンデンサ3と膨脹弁5とエバポレータ6とヒータコア12が空調ケース19に配置され、且つ、空調ケース19に内気導入口21が設けられている。従って、車両用空気調和システムがコンパクトになると共にその設置、取扱い等が簡単になる。
【0047】
この実施形態では、空調ケース19は、車両の中央に配置されている。従って、重量物としてのエンジンをほぼ車両中央に配置できるため、ヨー慣性モーメントの低減を図ることができ、操縦安定性の向上、車両の運動性能の向上を図ることができる。
【0048】
又、重量物である電動コンプレッサ2等の空調部品を車両中央に配置するため、車両の運動性能の向上を図ることができる。
【0049】
この実施形態では、暖房装置は、第2の冷媒を循環させるポンプ9と、ヒータコア12と、第2の冷媒の熱を放熱させる放熱器10とを備えた暖房用循環装置Bである。従って、暖房用循環装置Bは、ヒートポンプ式冷房装置Aの廃熱を利用するため、廃熱の有効利用を図ることができる。
【0050】
尚、冷房運転時は、電気ヒータ11をオフにするとともに、流路切替弁14を切り換えて第2の冷媒を放熱器10側へ流す。これにより、水冷コンデンサ3において吸熱した第2の冷媒を放熱器10において放熱させることができる。
【0051】
また、第2循環配管8を流れる第2の冷媒は、液体で相変化せずに顕熱変化するものであるため、熱伝達効率が良くより小型化が図れる。
【0052】
本実施形態では、第2循環配管8には、放熱器10をバイパスする放熱器バイパス流路13と、第2の冷媒を放熱器10又は放熱器バイパス流路13へと流すように流路を切り換える流路切換弁14とが設けられている。従って、放熱器10を通過させるか否かの経路変更が行えるため、暖房性能の悪化を防止できる。
【0053】
本実施形態では、暖房運転時はヒートポンプ式冷房装置Aにおいて生じた熱と電気ヒータ11によって発生させた熱とを併用して空調風を加熱することができるため、エンジンなどの大きな熱源を持たない車両において、外気温が極低温状態であっても十分な暖房性能を発揮することができる。
【0054】
本実施形態では、コンデンサ3は水冷式であるため、空冷式に比べて熱伝達効率が高いためにコンパクト化でき、第1の冷媒の通路抵抗を減少させることができる。よって、通路抵抗が減少した分だけコンプレッサ2の所要動力が小さくなり、電動コンプレッサ2の駆動力を省力化できるとともに電動コンプレッサ2を小型化することができる。
【0055】
水冷コンデンサ3は電気ヒータ11の上流側に配置されるので、表面温度が電気ヒータ11より低い水冷コンデンサ3が電気ヒータ11より先に第2の冷媒と熱交換を行うこととなり、水冷コンデンサ3と第2の冷媒との温度差を極力大きくとることができ、水冷コンデンサ3における熱交換効率を向上させることができる。
【0056】
第1の冷媒として二酸化炭素を使用するので、極低温状態でも飽和圧力が高く、その分第1の冷媒の流量をより確実に確保することができる。
【0057】
(その他)
前記実施形態では、ヒータとして電気ヒータ11を使用しているが、燃焼ヒータなどを用いても同様の作用・効果を得ることができる。
【0058】
前記実施形態では、第1の冷媒として二酸化炭素を、第2の冷媒として水や不凍液などの液体をそれぞれ使用しているが、これら以外を冷媒として使用しても良いことはもちろんである。
【0059】
前記実施形態では、空調ダクト20内のエバポレータ6及びヒータコア12が並列に配置されているが、除湿暖房の効果をあげるためにエバポレータ6を上流側とした直列配列にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態を示し、車両用空気調和システムの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、車両用空気調和装置の上方から見た配置図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、車両用空気調和システムの側方から見た配置図である。
【図4】従来例の車両用空気調和システムの配置位置を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
A ヒートポンプ式冷房装置
B 暖房用循環装置(暖房装置)
2 コンプレッサ
3 水冷コンデンサ(冷媒・冷媒コンデンサ)
5 膨張弁(膨張手段)
6 エバポレータ
9 ポンプ
10 放熱器
12 ヒータコア
19 空調ケース
21 内気導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の冷媒を圧縮する電動コンプレッサ(2)と、第1の冷媒と液相状態のまま顕熱変化する第2の冷媒とを熱交換し、第1の冷媒から第2の冷媒に放熱する冷媒・冷媒コンデンサ(3)と、第1の冷媒を膨脹させる膨脹手段(5)と、前記膨張手段(5)で膨張された第1の冷媒と空気との間で熱交換させて空気を冷却するエバポレータ(6)とを有するヒートポンプ式冷房装置(A)と、
空気を加熱するヒータコア(12)を有する暖房装置(B)とを備え、
前記電動コンプレッサ(2)と前記冷媒・冷媒コンデンサ(3)と前記膨脹手段(5)と前記エバポレータ(6)が近接配置されていると共に、前記エバポレータ(6)と前記ヒータコア(12)を通過させる空気の内気導入口(21)が車室の前席よりも後側に設けられたことを特徴とする車両用空気調和システム。
【請求項2】
請求項1記載の車両用空気調和システムであって、
前記電動コンプレッサ(2)と前記冷媒・冷媒コンデンサ(3)と前記膨脹手段(5)と前記エバポレータ(6)と前記ヒータコア(12)が空調ケース(19)に配置され、且つ、前記空調ケース(19)に前記内気導入口(21)が設けられていることを特徴とする車両用空気調和システム。
【請求項3】
請求項2記載の車両用空気調和システムであって、
前記空調ケース(19)は、車両の中央に配置されていることを特徴とする車両用空気調和システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用空気調和システムであって、
前記暖房装置(B)は、前記ヒータコア(12)の他に、第2の冷媒を循環させるポンプ(9)と、第2の冷媒の熱を放熱させる放熱器(10)とを備えた暖房用循環装置(B)であることを特徴とする車両用空気調和システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−202773(P2009−202773A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48217(P2008−48217)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】