説明

車両用空気調和装置

【課題】車両用空気調和装置の機能を損なうことなく構造の簡素化が図られ、熱交換器の停止状態にて暫定的な空調機能が発揮される車両用空気調和装置を提供すること。
【解決手段】このため、エンジンの駆動力を受けて稼動する車両用空気調和装置において、空調風路(7,8)内に空調風が持つ熱を蓄熱する蓄熱体(16a、16b)を設け、アイドルストップ時は、エバポレータ3、ヒータコア4を停止させ、蓄熱体からの放熱を利用して暫定的な車室空調を行なうようにし、そして、空調風路が蓄熱体により閉塞されないようにして蓄熱体を通過する空調風の流れを主流にし、もって蓄熱体と空調風との熱交換を効率に行なわせるようした。また、通常運転時は、空調風路が蓄熱体により閉塞されるようにして空調風路を通過する空調風の流れを主流にし、蓄熱体による空調風路の閉塞により通気抵抗が増大しない状態で車両用空気調和装置Aを稼動させると共に蓄熱体による蓄熱を行なわせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調風路に設けられた熱交換器を利用して暖房のための温風と冷房のための冷風のうち少なくとも一方の空調風を作り出し、該空調風を車室吹き出し口から吹き出す車両用空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジン冷却水の持つ熱を潜熱の形で蓄熱或いは放出する蓄熱体を備えて、エンジン始動直後はヒータコアの熱源に代替し、蓄熱体による放熱を利用して車室暖房を行う自動車用暖房装置がある。この中でも、前記放熱後には、エンジンを経過する冷却水が蓄熱体による潜熱蓄熱に供されるに十分な温度に達していない間、冷却水が蓄熱体を迂回すると共にヒータコアに供給されるよう流路を制御して車室暖房を行い、エンジンを経過する冷却水が蓄熱体による潜熱蓄熱及び車室暖房の両方に供されるに十分な温度に達したとき、冷却水が蓄熱体とヒータコアとに供給されるよう流路を制御し、蓄熱体による蓄熱とヒータコアによる車室暖房とを同時に行なう自動車用暖房装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この自動車用暖房装置では、エンジン始動直後から暖房感が得られるほか、冷却水温度が低いときは冷却水が蓄熱体に供給されず、専らヒータコアに冷却水が集中供給される。言い換えれば、エンジン始動後の一定時間、冷却水の持つ熱が潜熱蓄積に費やされることがなく、冷却水の熱が専ら車室空調に費やされる。このようにして、エンジン始動から蓄熱体による蓄熱の完了までは十分な暖房感が得られないといった流路切替え不能な従来の車両用空気調和装置の問題が解消されている。
【特許文献1】特開1998−86645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両用空気調和装置にあっては、冷却水回路の切替え制御には、複数の回路(蓄熱体を迂回するバイパス経路等)が設定され、これに伴って冷却水回路の冷却水流を生成する追加のポンプが設定される等、構成が複雑化が問題となっていた。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、車両用空気調和装置の機能を損なうことなく構造の簡素化が図られ、熱交換器の停止状態にて暫定的な空調機能が発揮される車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の特徴部分は、空調風路に設けられた熱交換器を利用して暖房のための温風と冷房のための冷風のうち少なくとも一方の空調風を作り出し、該空調風を車室吹き出し口から吹き出す車両用空気調和装置において、
前記空調風路に設定され、空調風が持つ熱を蓄熱する蓄熱体と、
前記蓄熱体による蓄熱要求時には、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されないようにして空調風路を経過する空調風の流れを主流とし、前記蓄熱体からの放熱要求時には、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されるようにして蓄熱体を経過する空調風の流れを主流とするよう空調風路を切替える空調風路切替え制御手段と、
を設けたことである。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明の車両用空気調和装置にあっては、空調風路を通過する空調風と空調風に設定された蓄熱体とが相互に熱交換され、蓄熱体が熱を吸収或いは放出する。そして、蓄熱体による蓄熱の要求時には、空調風路が蓄熱体により閉塞されないようにして空調風路を経過する空調風の流れが主流とされ、一方、蓄熱体からの放熱の要求時には、空調風路が蓄熱体により閉塞されるようにして蓄熱体を経過する空調風の流れが主流とされる。
【0008】
例えば、エンジンをアイドルストップさせると共に車両用空気調和装置の熱交換器(例えば、エバポレータ、ヒータコアが適用される。)を停止させたときは(蓄熱体からの放熱要求時)、蓄熱体からの放熱により車室を空調することができる。このとき、蓄熱体を通過する空調風の流れが主流となるため蓄熱体と空調風との熱交換(蓄熱体からの放熱)の効率向上が図られる。一方、車両用空気調和装置に駆動力が付与されるエンジン稼動時(蓄熱体による蓄熱時)は、空調風路を通過する空調風が主流となるため空調風路の通気抵抗が上昇せず、ヒータコア等の熱交換器による車両用空気調和装置が持つ本来の空調機能の低下防止が図られる。そして、このような蓄熱体と空調風との熱交換の効率向上と車両用空気調和装置の本来の空調機能の低下防止との両立を図るにあたって、従来の如く蓄熱体を経過する通路と蓄熱体を迂回する通路とを設けてこれらの通路切替えを行なうような構成は不要となり、車両用空気調和装置の構造の簡素化が図られる。
【0009】
故に、本発明が適用された車両用空気調和装置では、車両用空気調和装置の機能を損なうことなく構造の簡素化が図られ、熱交換器の停止状態にて暫定的な空調機能が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の車両用空気調和装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の蓄熱体が適用された車両用空気調和装置を示す図である。図2は図1の蓄熱体の拡大斜視図であり、(a)は暖房用蓄熱体を示す図であり、(b)は冷房用蓄熱体を示す図である。図3は実施例1の蓄熱体の暖房時の状態図であり、(a)は通常運転時の状態図であり、(b)はアイドルストップ時の状態図である。図4は実施例1の蓄熱体の冷房時の状態図であり、(a)は通常運転時の状態図であり、(b)はアイドルストップ時の状態図である。図5は実施例1の蓄熱体の状態制御を示す図であり、(a)は駆動系ブロック図であり、(b)はコントロールユニットにて実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0012】
はじめに、実施例1の蓄熱体が適用された車両用空気調和装置Aの全体構成を簡単に説明する。図1に示すように、ブロワファン10の吸引力をもって空調ケース1の内部に導入された導入空気が、空調ケース1の内部に設置され、エバポレータ3(熱交換器)により冷却されて冷風(空調風)が作り出され、また、この冷風が温風通路8(空調風路)に送られることにより、温風通路8に設置されて内部を通過するエンジン冷却水を熱源とするヒータコア4(熱交換器)により暖められて温風(空調風)が作り出される。
【0013】
冷風の一部は温風通路8を迂回する冷風バイパス通路7(空調風路)から、冷風の他の一部は温風通路8を経過してから、それぞれエアミックス部Mに案内されて合流し、フット吹き出し口6、リアフット吹き出し口13、ベント吹き出し口12及びデフロスタ吹き出し口15の各車室吹き出し口を通過して車室に送り込まれる。
【0014】
なお、車両用空気調和装置Aは、エンジンの駆動力を利用して稼動し、エンジンの停止によりその稼動が停止するが、ブロワファン10については、エンジンのアイドルストップにおいても稼動させ、後述する蓄熱体と熱交換された空調風が車室内に送風されるようにしている。このエンジンのアイドルストップ時のブロワファン10の稼動時間は、60秒間に設定してある。
【0015】
エバポレータ3の下流側にはエアミックスドア5が設けられており、このエアミックスドア5の位置調節により冷風バイパス通路7と温風通路8の開閉度合いを調節し、エアミックス部Mの空調風の温調が行なわれる。
【0016】
また、ヒータコア4の下流側には、ヒータコア4に隣接して暖房用蓄熱体16a(蓄熱体)が設けられ、冷風バイパス通路7及び温風通路8の上流側にはエアミックスドア5に隣接して冷房用蓄熱体16b(蓄熱体)が設けられ、これらの蓄熱体を設定条件に基づいて駆動する空調風路切替え手段を備えている。なお、車両用空気調和装置Aには、集塵用のクリーンフィルタ2、開閉制御されて空調風の車室吹き出し口を切替えるフットドア6、ベントドア11、デフロスタドア14が備えられている。
【0017】
次に、蓄熱体及び空調風路切替え手段について説明する。
【0018】
前記暖房用蓄熱体16aは、図2(a)に示すように、液相・固相の相変化を伴って放出或いは吸収される潜熱により蓄熱を行う潜熱蓄熱材を格納した微細カプセル(これについては図示しない。)を保持した暖房用蓄熱体要素161a(蓄熱体要素)と、この暖房用蓄熱体要素161aの周縁部を保持する枠体162aとを有して構成されている。
【0019】
前記暖房用蓄熱体要素161aは、耐熱性に優れたフッ素繊維から成り、温風通路8が暖房用蓄熱体要素161aにより閉塞されたときに空調風路の通気抵抗が上昇しないよう通気孔を有して布状に織られている。また、暖房用蓄熱体要素161aの温風通路8を閉塞する部分における面積当たりの潜熱蓄熱材の保有量を高めるべく、屏風状に折り曲げて成形されている(図2(a))。
【0020】
潜熱蓄熱材としては、パラフィン系繊維を用いている。その理由は、融解点(融解温度)や凝固点(凝固温度)による相変化温度を設定するに際し、炭素鎖数に対応し広範な温度域(−50℃〜80℃)をカバーすることができるし、蓄熱量(溶融潜熱)も130〜250kJ/kg程度であり、他の素材に比べて高いことによる。
【0021】
前記暖房用蓄熱体16aを構成する潜熱蓄熱材は、液相・固相の相変化温度を50℃〜70℃に設定している。その理由は、ヒータコア4の熱源であるエンジン冷却水温は冬季等では80℃に満たないケースもあり、かつ、暖かいと感じられる吹き出し温度は30℃であるため、吹き出し温度30℃以上を得るのに必要な相変化温度は、上記のように、50℃〜60℃程度、もしくは、これ以上(50℃〜70℃)の温度になることによる。
【0022】
前記冷房用蓄熱体16bは、図2(b)に示すように、暖房用蓄熱体16aで採用した潜熱蓄熱材(これについては図示しない。)を有する冷房用蓄熱体要素16b(蓄熱体要素)と、アクチュエータ18bの駆動力を受けて駆動する回転ギア22bと噛み合うギア溝163bを有する枠体162bとから構成されている。
【0023】
前記冷房用蓄熱体16bを構成する潜熱蓄熱材は、液相・固相の相変化温度を2℃〜7℃に設定している。その理由は、夏季等で涼しいと感じられる吹き出し温度は10℃程度であるため、吹き出し温度10℃程度を得るのに必要な相変化温度は、4℃〜5℃に前後温度を含めた2℃〜7℃の温度になることによる。
【0024】
空調風路切替え制御手段は、図5(a)に示すように、エンジンがアイドルストップしたとき、エンジンのアイドルストップ信号を出力するコントロールユニットD11と、出力されたアイドルストップ信号を受けて蓄熱体駆動信号を出力するアンプD12と、出力された蓄熱体駆動信号を受けて暖房用蓄熱体16aを駆動させるアクチュエータ18aを有する蓄熱体揺動機構a(図1)と、同様にして冷房用蓄熱体16bを駆動させるアクチュエータ18bを有する蓄熱体スライド機構b(図1)とから構成されている。
【0025】
前記蓄熱体揺動機構aは、アクチュエータ18aの駆動力をもって暖房用蓄熱体16aを揺動して姿勢を傾動させるものであり、暖房用蓄熱体16aに連結された回転レバー17aと、アクチュエータ18aと連結された回転レバー21aと、回転レバー17aと回転レバー21aとを連結する連結ロッド19aとから構成されている。
【0026】
前記蓄熱体スライド機構bは、アクチュエータ18bの駆動力をもって冷房用蓄熱体16bをスライド動作させるものであり、冷房用蓄熱体16bに連結された回転レバー17bと、アクチュエータ18bと連結された回転レバー21bと、回転レバー17bと21bとを連結する連結ロッド19bと、冷房用蓄熱体16bに設けられたギア溝163bと噛み合って回転レバー21bの回転により回転される回転ギア22bとから構成されている。この冷房用蓄熱体16b及び冷房用蓄熱体要素161bは、湾曲形状のエアミックスドア5の形状と同様に湾曲形状に設定されている。冷房用蓄熱体要素161bのスライドに必要なスペースが、エアミックスドア5のスライドに必要なスペースと殆ど変わらないものとなっている(スペースを共用化している)。
【0027】
図5(b)は、実施例1のコントロールユニットにて実行される制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
【0028】
ステップC1は、エンジンのアイドルストップ時、コントロールユニットD11がアイドルストップ信号を出力するステップである。ステップC2は、ステップC1に続き、アンプD12がアイドルストップ信号を受けて蓄熱体駆動信号を出力するステップである。ステップC3は、ステップC2に続き、アクチュエータ18aが蓄熱体駆動信号を受けて暖房用蓄熱体16aを駆動し、また、アクチュエータ18bが蓄熱体駆動信号を受けて冷房用蓄熱体16bを駆動すると共にこの蓄熱体の駆動後の状態を維持するステップである。
【0029】
ステップC4は、ステップC3に続き、コントロールユニットD11によるアイドルストップ信号の出力状態が解除されたか否かを判定するステップである。この判定はコントロールユニットD11により行なわれ、アイドルストップ信号の出力が判定されている間、前記ステップC1〜ステップC4の処理が繰り返し実行される。
【0030】
ステップC5は、ステップC4に続き、コントロールユニットD11がアイドルストップ信号の解除(車両の通常運転再開)を判定したときに、蓄熱体駆動の解除(アイドルストップ信号の出力が判定されていない状態への駆動)を行うステップである。
【0031】
次に、作用を説明する。
図6は実施例1の蓄熱体が適用された車両用空気調和装置の作用図であり、蓄熱体からの放熱による車室の空調効果を示す図である。
<暖房時>
車両が通常運転状態にあるとき、コントロールユニットD11からアイドルストップ信号は出力されない。このとき、暖房用蓄熱体16aが駆動(姿勢制御)され、暖房用蓄熱体16aが温風通路8を閉塞しないよう、即ち、温風通路8を経過する空調風の流れが主流となるよう、空調風路が切替えられる(図3(a))。
【0032】
暖房用蓄熱体16aの変位は、アクチュエータ18aが駆動すると回転レバー21aが回転し、連結ロッド19aを介して回転レバー17aに該駆動力が伝達されて回転レバー17aが回転し、これにより暖房用蓄熱体16aが取付部163aを軸として揺動することにより生じる。また、暖房用蓄熱体16aが、ヒータコア4に隣接した位置にて(ヒータコア4の設置スペースを利用して)、回転レバー17aの取付部163aを支点とした揺動(傾動)によって駆動される。
【0033】
この状態で、熱交換器と熱交換された空調風が空調風路を通過する際、この空調風が空調風路に設定された蓄熱体と熱交換され、蓄熱体には、該蓄熱体が有する潜熱蓄熱材(パラフィン)の固相から液相への相変化を伴って周囲から熱を吸収する(潜熱を蓄積する)。
【0034】
一方、エンジンのアイドルストップ時でありエンジンの駆動力が伝達されずエバポレータ3及びヒータコア4が停止状態にあるとき(蓄熱体からの潜熱の放熱要求時)は、コントロールユニットD11からアイドルストップ信号が出力さる。このとき、暖房用蓄熱体16aが駆動されて、暖房用蓄熱体16aが温風通路8を閉塞するよう、即ち、暖房用蓄熱体16aを経過する空調風の流れが主流となるよう、空調風路が切り替えられる(図3(b))。なお、図3は、フルホット時における暖房用蓄熱体16aの位置であり、冷風バイパス通路7がエアミックスドア5により完全封鎖されない場合もある。
【0035】
エンジンがアイドルストップし、エンジンの駆動力を受けて稼動する車両用空気調和装置Aのヒータコア4が稼動停止して潜熱蓄熱材に温風が供給されなくなると、潜熱蓄熱材の温度は低下し、潜熱蓄熱材は液相から次第に固相に相変化し、これに伴って周囲に温熱を放出して蓄熱体表面を暖めていく。このとき、予め設定している60秒間はブロワファン10が稼動維持し、蓄熱体からの放熱により温風が作り出され、蓄熱体の持つ熱容量に応じた暫定時間は、車室の空調(以下、「補助空調」という。)が維持される。図6は、暖房用蓄熱体16aによる補助空調の効果を示したもので、信号待ちに経験する60秒程の時間、暖房用蓄熱体16aを設置することにより車室吹き出し口温度を10℃程高めた状態が維持されることがわかる。
【0036】
ここで、このアイドルストップ時における補助空調時は、暖房用蓄熱体16aを通過する空調風の流れが主流となることから、暖房用蓄熱体16aと空調風との熱交換(蓄熱体からの放熱)の効率は、空調風が暖房用蓄熱体16aにより閉塞されずに空調風路の流れが主流となる状態に比べて良好なものとなる。
【0037】
蓄熱体による補助空調の効率(空調風と潜熱蓄熱材との熱交換の効率)を高めるべく空調風路が閉塞されると、空調風が閉塞されない状態に比べて通気抵抗が増加するが、車両の通常運転時におけるエバポレータ3及びヒータコア4による空調(以下、「主空調」という。)時は、空調風路を通過する空調風が主流となるため(空調風路が蓄熱体で遮蔽されない状態となり)、空調風路の通気抵抗上昇が防止される。
【0038】
なお、蓄熱体要素は、耐熱性に優れたフッ素繊維から成り、車両用空気調和装置Aの耐久期間、ヒータコア4の熱に耐えて空調風取替えメンテナンスの頻度の低減、この蓄熱体要素の熱による変性や形状変化を抑えて、潜熱蓄熱材の微細カプセルの保持力低下の防止を図っている。
【0039】
<冷房時>
暖房時と同様に、車両が通常運転状態にあるとき、コントロールユニットD11からアイドルストップ信号は出力されない。このとき、冷房用蓄熱体16bが駆動され、冷房用蓄熱体16bが冷風バイパス通路7を閉塞しないよう、即ち、冷風バイパス通路7を経過する空調風の流れが主流となるよう、空調風路が切替えられる(図4(a))。
【0040】
冷房用蓄熱体要素161bの変位は、アクチュエータ18bが駆動すると回転レバー21bが回転し、連結ロッド19bを介して回転レバー17aに該駆動力が伝達されて回転ギア22bが回転し、この回転ギア22bと噛み合うギア溝163bが設けられた枠体162bが上下に移動(スライド)することにより生じる。回転レバー17aが回転し、これにより暖房用蓄熱体16aが取付部163aを軸として揺動することにより生じる。
【0041】
アイドルストップ時は、冷房用蓄熱体16bが駆動され、冷房用蓄熱体16bが冷風バイパス通路7が閉塞されるよう、即ち、冷房用蓄熱体16bを経過する空調風の流れが主流となるよう、空調風路が切替えられる(図4(b))。なお、図4は、フルクール時における冷房用蓄熱体16bの位置であり、冷風バイパス通路7がエアミックスドア5により完全封鎖されない場合もある。
【0042】
エンジンをアイドルストップさせると、エンジンの駆動力を受けて稼動する車両用空気調和装置Aのエバポレータ3が稼動停止し、潜熱蓄熱材に冷風が供給されなくなると蓄熱材の温度は上昇し、潜熱蓄熱材は固相から次第に液相に相変化し、これに伴って周囲の熱を吸収し、蓄熱体外部が冷やされていく。このとき、予め設定している60秒間はブロワファン10が稼動維持し、蓄熱体からの冷熱の放出により冷風が作り出され、蓄熱体の持つ熱容量に応じた暫定時間は、車室の空調(以下、「補助空調」という。)が維持される。
【0043】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用空気調和装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0044】
(1)空調風路(冷風バイパス通路7、温風通路8)に設けられた熱交換器(エバポレータ3、ヒータコア4)を利用して空調風(暖房のための温風と冷房のための冷風)を作り出し、該空調風を車室吹き出し口(フット吹き出し口6、リアフット吹き出し口13、ベント吹き出し口12及びデフロスタ吹き出し口15)から吹き出す車両用空気調和装置において、前記空調風路に設定され、空調風が持つ熱を蓄熱する蓄熱体(暖房用蓄熱体16a、冷房用蓄熱体16b)と、通常運転時(蓄熱体による蓄熱蓄熱要求時)は、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されないようにして空調風路を経過する空調風の流れを主流とし、アイドルストップ時(蓄熱体からの放熱要求時)は、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されるようにして蓄熱体を経過する空調風の流れを主流とするよう空調風路を切替える空調風路切替え制御手段(コントロールユニットD11、アンプD12,蓄熱体揺動機構a、蓄熱体スライド機構b)とを設けたため、車両用空気調和装置の機能を損なうことなく構造の簡素化(専用の空調風路が不要であり)が図られ、熱交換器の停止状態にて暫定的な空調機能が発揮される。
【0045】
(2)前記蓄熱体は、相変化を伴って放出或いは吸収される潜熱により蓄熱あるいは放熱を行う潜熱蓄熱材を有しており、顕熱による蓄熱あるいは放熱を利用するものに比べて単位容積当たりの蓄熱量を高め且つ迅速な放熱が行なわれ、もって効果的な車室補助空調が実現される。
【0046】
(3)前記空調風路切替え手段は、空調風路を経過する空調風の流れを主流とするときは、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されるよう蓄熱体を変位させ、蓄熱体を経過する空調風の流れを主流とするときは、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されるよう蓄熱体を変位させるため、既存の車両用空気調和装置をベースとして車両用空気調和装置Aを構成できる。
【0047】
(4)前記空調風切替え制御手段は、エンジンのアイドルストップ信号が出力されていないときには、空調風路を経過する空調風の流れを主流とし、エンジンのアイドルストップ信号が出力されているときには、蓄熱体を経過する空調風の流れを主流とするよう空調風路を切替えるアイドルストップモードを有するため、補助空調を行なうにあたって乗員による入力操作が不要となる。
【0048】
(5)前記空調風路切替え制御手段は、蓄熱体揺動機構aを有するため、既存の温風通路8を拡大することなく前記温風通路8を通過する空調風の流れを主流とするか、暖房用蓄熱体16aを通過する空調風の流れを主流とするかの空調風路の切替えを行うことができる。
【0049】
(6)前記空調風路切替え手段は、蓄熱体スライド機構bを有するため、特にエアミックスドア5を備えてそのスライド動作により冷風バイパス通路7の開閉度を調節する車両用空気調和装置にあっては、冷房用蓄熱体16bをスライド動作させるスペースとして前記エアミックスドア5のスライド動作に必要なスペースを利用できる。
【0050】
(7)前記蓄熱体は、前記潜熱蓄熱材を有し且つ通気性を有する布状部材を屏風状に折り曲げて成形した蓄熱体要素を有して構成したため、蓄熱体の熱容量を高めることができる。
【実施例2】
【0051】
実施例2は、実施例1の蓄熱体の設置方法と、蓄熱体の駆動方法を変更した例である。
【0052】
まず、構成を説明する。
図7は実施例2の蓄熱体が適用された車両用空気調和装置を示す図である。図8は実施例2の蓄熱体のフット吹き出し口及びリアフット吹き出し口への設定時の状態図であり、(a)は通常運転時の状態図であり、(b)はアイドルストップ時の状態図である。図9は実施例2の蓄熱体のベント吹き出し口設定時の状態図であり、(a)は通常運転時の状態図であり、(b)はアイドルストップ時の状態図である。図10は実施例2の蓄熱体の駆動制御を示す図であり、(a)は駆動系ブロック図であり、(b)は空調モードの種類を示す図であり、(c)各々の空調モードにおけるドア―蓄熱体駆動連動の系統を示す図である。
【0053】
実施例2の車両用空気調和装置Bは、図7に示すように、フット吹き出し口9を開閉するフットドア6の上流側において該フットドア6に隣接配置された暖房用蓄熱体16cと、ベント吹き出し口12を開閉するベントドア11の上流側において該ベントドア11に隣接配置された冷房用蓄熱体16dと、蓄熱体(暖房用蓄熱体16c、冷房用蓄熱体16d)を変位させてフット吹き出し口9或いはベント吹き出し口12を閉塞或いは拡大し、これにより蓄熱体を流れる空調風の流れを主流とし、或いは、フット吹き出し口9のうちフットドア6(吹き出し口切替えドア)により開閉される開口部(空調風路)、ベント吹き出し口12のうちベントドア11(吹き出し口切替えドア)により開閉される開口部(空調風路)を通過する空調風の流れを主流とするよう空調風路の切替えを行なう空調風路切替え手段を備えている。
【0054】
図10(a)に示すように、この空調風路切替え制御手段は、乗員が空調モード(図10(b))を切替えたとき、各々の空調モードに応じて予め設定されているドア−蓄熱体駆動連動の系統(図10(c))に従って吹き出し口切替えドア及び暖房用蓄熱体16c或いは冷房用蓄熱体16dを駆動するための空調モード切替え信号を生成するコントロールユニットD21と、この空調モード切替え信号を受けると共に該信号に応じて蓄熱体駆動信号を出力するアンプD22と、出力された蓄熱体駆動信号を受けて暖房用蓄熱体16cを駆動させるアクチュエータ18cを有する蓄熱体揺動機構c(図7)と、同様にして冷房用蓄熱体16dを駆動させるアクチュエータ18dを有する蓄熱体揺動機構d(図7)とから構成されている。
【0055】
蓄熱体揺動機構cは、アクチュエータ18cと、回転レバー17c及び21c、連結ロッド19cとを有し、蓄熱体揺動機構dは、アクチュエータ18dと、回転レバー17d及び21d、連結ロッド19dとを有して構成されている。なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
次に、作用を説明すると、暖房時にエンジンをアイドルストップさせたとき、エバポレータ3及びヒータコア4が停止しても、実施例1で説明したように暖房用蓄熱体16cが暖められて、暖房用蓄熱体16cを経過する空調風により車室の補助空調が行なわれる。このとき、暖房用蓄熱体16cがフット吹き出し口9の位置に配置されているため、空気の比重に基づいて暖められた空調風が上昇し、車室が効率よく空調される。
【0057】
一方、冷房時にエンジンをアイドルストップさせたとき、エバポレータ3が停止しても、実施例1で説明したように冷房用蓄熱体16dが冷やされて、冷房用蓄熱体16dを経過する空調風により車室の補助空調が行なわれる。このとき、冷房用蓄熱体16dがベント吹き出し口12に設定されているため、空気の比重に基づいて冷やされた空調風が下降し、車室が効率よく空調される。
【0058】
また、暖房用蓄熱体16c及び冷房用蓄熱体16dは、空調モードに応じて吹き出し口切替えドアと連動して駆動される。例えば、冷房時にエンジンがアイドルストップしたとき、図10(c)に示すように、ベントドア11が開放状態、フットドア6が閉鎖状態、デフドア14が閉鎖状態であり、冷房用蓄熱体16dが閉鎖状態(図9(b))、暖房用蓄熱体16cが開放状態(図8(a))となるよう制御される。車室暖房時にエンジンがアイドルストップした場合、ベントドア11が閉鎖状態、フットドア6が開放状態、デフドア14が閉鎖状態であり、暖房用蓄熱体16cが閉鎖状態(図8(b))、冷房用蓄熱体16d(図9(a))となるよう制御される。その他の作用は、実施例1と同様である。
【0059】
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用空気調和装置にあっては、実施例1の(1)〜(7)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0060】
(8)前記空調風切替え制御手段は、前記空調風が吹き出される車室吹き出し口を選択する吹き出し口切替えドアの開閉と、前記空調風路(車室吹き出し口を経過する空調風の流れを主流とするか蓄熱体を経過する空調風の流れを主流とするか)の切替えとを連動して行うコントロールユニットD21を有するため、各ドア及び各蓄熱体を別々に駆動させる必要がなく、空調風路切替え制御の容易化が図られる。
【0061】
(9)暖房用蓄熱体16cがフット吹き出し口9の位置に配置され、冷房用蓄熱体16dがベント吹き出し口12に設定されているため、フット吹き出し口9とベント吹き出し口12の各々に暖房用の蓄熱体と冷房用の蓄熱体の両方を設けることなく、蓄熱体が持つ限られた熱容量で効果的に車室を補助空調することができる。
[構成の代替]
以上、本発明の車両用空気調和装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0062】
実施例1では、空調風路が温風通路と冷風バイパス通路から構成された車両用空気調和装置に関する例を示したが、温風通路のみ(エバポレータなし)として暖房用蓄熱体のみ適用し、或いは、冷風通路のみ(ヒータコアなし)として冷房用蓄熱体のみ適用してなる装置としてもよい。
【0063】
また、実施例1では、蓄熱体は暖房用及び冷房用の各1体用いる例としたが、例えば、暖房用の蓄熱体に関し、温風通路のヒータコアの下流側にてヒータコアに隣接させた蓄熱体(実施例1参照)と、フット吹き出し口にてフットドアに隣接させた蓄熱体(実施例2参照)とを設置することができるし、それぞれの位置における蓄熱体を単一又は複数設けるようにしてもよい。さらに、蓄熱体の交換を考慮し、蓄熱体を車室側から着脱容易になるよう車室吹き出し口から下流の位置(例えば、車室出口)に設けてもよい。即ち、蓄熱体の設置や個数は適宜選択できる。
【0064】
さらに、実施例1及び実施例2では、蓄熱体による放熱要求時としてエンジンのアイドルストップ時としたが、これは車両用空気調和装置がエンジンの駆動力を利用して稼動し、アイドルストップ時はヒータコア等の熱交換器が停止するためである。即ち、このようにアイドルストップ時を放熱要求時とすることで、特に冬季や夏季のように車室温度が急変することによる乗員の不快感を低減できるからである。従って、放熱要求時は、アイドルストップ時に限られず、例えば乗員の任意選択により蓄熱体から放熱させたいときを放熱要求時とする制御方法を採ってもよい。
【0065】
この場合、実施例1の空調風路切替え制御を例にすれば、コントロールユニットで実行されるステップC1は、乗員による放熱要求(例えば、補助空調を実行する入力操作)時、コントロールユニットD11が該入力操作に応じた信号を出力するステップとなり、ステップC2は、アンプD12が該入力操作に応じた信号を受けて蓄熱体駆動信号を出力するステップとなり、ステップC3は、アクチュエータ18aが蓄熱体駆動信号を受けて暖房用蓄熱体16aを駆動し、また、アクチュエータ18bが蓄熱体駆動信号を受けて冷房用蓄熱体16bを駆動すると共にこの蓄熱体の駆動後の状態を維持するステップとなり、ステップC4は、コントロールユニットD11による前記入力操作に応じた信号の出力状態が解除されたか否かを判定するステップとなり、ステップC5は、コントロールユニットD11が前記入力操作に応じた信号の解除を判定したときに、蓄熱体駆動の解除(蓄熱体駆動前の状態への駆動)を行うステップとなる。
【0066】
また、蓄熱体については、潜熱により蓄熱或いは放熱するものに限られず、暖房用であればエンジン冷却水が持つ温熱を利用して顕熱により蓄熱或いは放熱するものであってもよい。但し、迅速且つ効果的な車室の補助空調を図る観点からは、潜熱により蓄熱或いは放熱を行うものが有利であるといえる。というのは、例えば、パラフィン系素材であれば、炭素鎖数にもよるが広範な温度域(−50℃〜80℃)において、融解や凝固の相変化に伴う130〜250kJ/kg程度の熱を確保でき、また、温度変化により(温度が凝固点を通過する際)瞬時に熱が解放されるからである。
【0067】
さらに、実施例1及び実施例2では、蓄熱体要素は、屏風状に折り曲げて成形しているが、これは、空調風路を閉塞する部分の蓄熱体要素の面積当たりの潜熱蓄熱材の保有量を高めるためであり、この方法には種々のものが考えられる。例えば、屏風状に折り曲げる代わりに、このように折り曲げられない潜熱蓄熱材を複数重ねる方法が考えられる。
【0068】
即ち、空調風路に設けられた熱交換器を利用して暖房のための温風と冷房のための冷風のうち少なくとも一方の空調風を作り出し、該空調風を車室吹き出し口から吹き出す車両用空気調和装置において、前記空調風路に設定され、空調風が持つ熱を蓄熱する蓄熱体と、前記蓄熱体による蓄熱要求時には、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されないようにして空調風路を経過する空調風の流れを主流とし、前記蓄熱体からの放熱要求時には、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されるようにして蓄熱体を経過する空調風の流れを主流とするよう空調風路を切替える空調風路切替え制御手段とを設けたものであれば、実施例1或いは実施例2に限られることはない。
【0069】
さらに、蓄熱体としては、PTCヒータや、ケミカルヒートポンプから供給される熱を蓄熱し又これを放熱する蓄熱体を代用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は実施例1の蓄熱体が適用された車両用空気調和装置を示す図である。
【図2】図1の蓄熱体の拡大斜視図であり、(a)は暖房用蓄熱体を示す図であり、(b)は冷房用蓄熱体を示す図である。
【図3】実施例1の蓄熱体の暖房時の状態図であり、(a)は通常運転時の状態図であり、(b)はアイドルストップ時の状態図である。
【図4】実施例1の蓄熱体の冷房時の状態図であり、(a)は通常運転時の状態図であり、(b)はアイドルストップ時の状態図である。
【図5】実施例1の蓄熱体の状態制御を示す図であり、(a)は駆動系ブロック図であり、(b)はコントロールユニットにて実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例1の蓄熱体が適用された車両用空気調和装置の作用図であり、蓄熱体からの放熱による車室の空調効果を示す図である。
【図7】実施例2の蓄熱体が適用された車両用空気調和装置を示す図である。
【図8】実施例2の蓄熱体のフット吹き出し口及びリアフット吹き出し口への設定時の状態図であり、(b)はアイドルストップ時の状態図である。
【図9】実施例2の蓄熱体のベント吹き出し口設定時の状態図であり、(a)は通常運転時の状態図であり、(b)はアイドルストップ時の状態図である。
【図10】実施例2の蓄熱体の駆動制御を示す図であり、(a)は駆動系ブロック図であり、(b)は空調モードの種類を示す図であり、(c)各々の空調モードにおけるドア―蓄熱体駆動連動の系統を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
11 ベントドア(吹き出し口切替えドア)
14 デフドア(吹き出し口切替えドア)
16a,16c 暖房用蓄熱体(蓄熱体)
16b、16d 冷房用蓄熱体(蓄熱体)
161a、161b 蓄熱体要素
3 エバポレータ(熱交換器)
4 ヒータコア(熱交換器)
6 フットドア(吹き出し口切替えドア)
7 冷風バイパス通路(空調風路)
8 温風通路(空調風路)
a、c、d 蓄熱体揺動機構,
b 蓄熱体スライド機構
D11、D21、a、b、c、d 空調風路切替え手段
D21 コントロールユニット(駆動系連動部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調風路に設けられた熱交換器を利用して暖房のための温風と冷房のための冷風のうち少なくとも一方の空調風を作り出し、該空調風を車室吹き出し口から吹き出す車両用空気調和装置において、
前記空調風路に設定され、空調風が持つ熱を蓄熱する蓄熱体と、
前記蓄熱体による蓄熱要求時には、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されないようにして空調風路を経過する空調風の流れを主流とし、前記蓄熱体からの放熱要求時には、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されるようにして蓄熱体を経過する空調風の流れを主流とするよう空調風路を切替える空調風路切替え制御手段と、
を設けたことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車両用空気調和装置において、
前記空調風路切替え手段は、空調風路を経過する空調風の流れを主流とするときは、前記空調風路が蓄熱体により閉塞されない位置に蓄熱体を駆動させ、蓄熱体を経過する空調風の流れを主流とするときは、前記空調風路が蓄熱体により閉塞される位置に蓄熱体を駆動させることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した車両用空気調和装置において、
前記空調風切替え制御手段は、エンジンのアイドルストップ信号が出力されていないときには、空調風路を経過する空調風の流れを主流とし、エンジンのアイドルストップ信号が出力されているときには、蓄熱体を経過する空調風の流れを主流とするよう空調風路を切替えるアイドルストップモードを有することを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載した車両用空気調和装置において、
前記蓄熱体は、前記車室吹き出し口に設定され、
前記空調風切替え制御手段は、前記車室吹き出し口を開通又は閉鎖する吹き出し口切替えドアの開閉と、前記空調風の切替えとを連動して行うことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載した車両用空気調和装置において、
前記空調風路切替え制御手段は、前記蓄熱体を揺動させることにより、前記空調風路の切替えを行う蓄熱体揺動機構を有することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載した車両用空気調和装置において、
前記空調風路切替え手段は、前記蓄熱体をスライド動作させることにより、前記空調風路の切替えを行う蓄熱体スライド機構を有することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載した車両用空気調和装置において、
前記蓄熱体は、相変化を伴って放出或いは吸収される潜熱により蓄熱を行う潜熱蓄熱材を有することを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載した車両用空気調和装置において、
前記蓄熱体は、前記潜熱蓄熱材を有し且つ通気性を有する布状部材を屏風状に折り曲げて成形した蓄熱体要素を少なくとも1つ以上有して構成したことを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−35098(P2009−35098A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200536(P2007−200536)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】