説明

車両用空調装置

【課題】熱電素子を利用して発電すると共に、冷風と温風を混合するための空間を縮小することを目的とする。
【解決手段】エバポレータ18を通過してヒータコア30によって加熱された空気と、エバポレータ18を通過してヒータコア30をバイパスして加熱されていない空気とを混合するためのエアミックスチャンバースペース36内に、エバポレータ18を通過してヒータコア30によって加熱された空気と、エバポレータ18を通過してヒータコア30をバイパスした空気の双方が交わる位置に熱電素子40を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置にかかり、特に、温風と冷風を混合した空気を車室内に吹き出す車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両用空調装置は、コンプレッサ、コンデンサ、エキスパンションバルブ、及びエバポレータを含む冷媒の循環サイクルを有しており、コンデンサによって外気と熱交換して冷却された冷媒をコンプレッサによって圧縮循環させ、エキスパンションバルブによって冷媒を急激に減圧してエバポレータに冷媒を循環することにより、除湿及び冷房を行う。また、エンジン冷却水が循環するヒータコアを備えて、当該ヒータコアによって暖房を行うと共に、エバポレータによって冷却された空気とヒータコアによって温められた空気を混合して空調風を生成して吹き出すようになっている。
【0003】
この種の車両用空調装置では、種々の技術が提案されており、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術では、車両用空調装置を作動後にエバポレータに凝縮水が付着するため、エバポレータ近傍に熱電素子モジュールを配置して、空調運転の非稼働のときに、熱電素子モジュールを作動させて熱を発生してエバポレータに付着した凝縮水を除去することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−232164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両用空調装置は、エバポレータによって冷却された空気(冷風)と、ヒータコアによって温められた空気(温風)とを混合するのは効率的ではないが、除湿するためには、冷風と温風を混合する必要がある。また、混合する際には、混合むらを発生しないように、混合するための空間を確保する必要がある。
【0007】
一方、特許文献1に記載の技術では、エバポレータの凝縮水を除去するために熱電素子を利用しているが、熱電素子を利用して、排熱を電力に変換して排熱回収する各種技術が提案されており、排熱を効率的に利用するという点では、改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、熱電素子を利用して発電すると共に、冷風と温風を混合するための空間を縮小することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、冷風と温風を混合する混合部と、前記混合部に設けられ、前記混合部の冷風と温風の温度差によって発電する熱電素子と、を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、混合部では、冷風と温風が混合される。例えば、エバポレータで冷却された冷風と、ヒータコアで加熱された温風が混合される。
【0011】
そして、混合部の冷風と温風の温度差によって発電する熱電素子が混合部に設けられている。すなわち、混合部の冷風と温風の温度差によって発電することができる。また、冷風と温風の温度差によって発電することにより、冷風と温風の温度差を小さくして混合し易くすることができるため、混合部の空間を縮小することができる。
【0012】
熱電素子は、例えば、請求項2に記載の発明のように、一方の面に冷風を受け、他方の面に温風を受ける位置に配置することによって、効率的に発電することが可能となると共に、冷風と温風の温度差を小さくして混合部の空間を縮小することが可能となる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明のように、冷風と温風の混合量を調整する調整手段と、調整手段の調整に応じて、風量を下げない位置へ前記熱電素子を移動するように、前記調整手段の調整と前記熱電素子の移動を連動させる連動手段と、を更に備えるようにしてもよい。このように構成することで、風量の低下を抑制することができる。この場合、連動手段は、請求項4に記載の発明のように、調整手段によって冷風が温風よりも多くなるように、混合量が調整された場合に、冷風の風量を妨げない位置へ熱電素子を移動し、調整手段によって冷風が温風より少なくなるように混合量が調整された場合に温風の風量を妨げない位置へ熱電素子を移動するように、調整手段の調整と熱電素子の移動を連動させるようにしてもよい。
【0014】
なお、連動手段は、請求項5に記載の発明のように、調整手段を駆動する駆動手段と、熱電素子を移動する移動手段と、調整手段の調整と熱電素子の移動が連動するように、駆動手段及び移動手段を制御する制御手段と、を有するようにしてもよいし、ギヤやリンク機構等の機械的な構成を適用するようにしてもよい。
【0015】
また、請求項1〜5の何れか1項に記載の発明は、請求項6に記載の発明のように、空気の通路内に設けられ、熱電素子によって発電された電力によって発光する紫外線ランプを更に備えるようにしてもよい。このように構成することで、熱電素子によって発電された電力を有効利用することができ、紫外線ランプの点灯により殺菌することができる。
【0016】
また、熱電素子は、請求項7に記載の発明のように、冷風及び温風を攪拌させるための予め定めた形状のフィンを有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、熱電素子を利用して発電すると共に、冷風と温風を混合するための空間を縮小することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる車両用空調装置の概略構成を示す図である。
【図2】(A)は熱電素子を説明するための図であり、(B)は低温端側の温度を10℃として高温端側の温度を変化させた場合の熱電素子の発電出力特性の一例を示す図である。
【図3】紫外線ランプを設けた例を示す図である。
【図4】熱電素子に設けるフィンの一例を示す図であり、(A)は板状のフィンを設けた例を示し、(B)はひねり形状を設けたフィンを設けた例を示す。
【図5】本発明の第2実施形態に係わる車両用空調装置の概略構成を示す図である。
【図6】エアミックスダンパ回転に連動した熱電素子の回転を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係わる車両用空調装置のエアコンECUで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】エアミックスダンパに連動して熱電素子を移動させるための構成としてリンク機構を適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係わる車両用空調装置について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係わる車両用空調装置の概略構成を示す図である。
【0020】
車両用空調装置10は、コンプレッサ12、コンデンサ14、エキスパンションバルブ16、及びエバポレータ18を含む冷媒の循環路によって構成された冷凍サイクルを有する。
【0021】
冷凍サイクル中の冷媒は、コンプレッサ12によって圧縮されて循環され、エバポレータ18によって圧縮されて液化している冷媒を気化することにより、このエバポレータ18を通過する空気を冷却する。この時、エバポレータ18では、通過する空気を冷却することにより、空気中の水分を結露させるようになっており、これにより、空気が除湿される。
【0022】
エバポレータ18の上流側にエキスパンションバルブ16が設けられ、該エキスパンションバルブ16によって、液化している冷媒が急激に減圧されることにより、冷媒を霧状にしてエバポレータ18へ供給する。これによってエバポレータ18の冷媒の気化効率を向上させている。
【0023】
車両用空調装置10のエバポレータ18は、空調ユニット20の内部に設けられている。この空調ユニット20には、ブロアユニット22が接続されており、ブロアユニット22内に設けられたブロアファン24をブロアモータ26を駆動することで空調風が発生される。ブロアファン24によって発生した空調風は、エバポレータ18を通過することによって空調風が冷却される。
【0024】
また、エバポレータ18の空調風の下流側には、エアミックスダンパ28及びヒータコア30が設けられている。エアミックスダンパ28は回動可能とされ、エバポレータ18後の空気の、ヒータコア30を通過する量とヒータコア30をバイパスする量とを調整する。ヒータコア30は、エンジン冷却水が循環し、該エンジン冷却水によってエアミックスダンパ28によって案内された空気を加熱する。
【0025】
すなわち、エバポレータ18後の空気は、エアミックスダンパ28の開度に応じてヒータコア30へ案内されて加熱され、さらに、ヒータコア30によって加熱されていない空気と混合された後に、車室内へ空気を吹き出す空気吹出し口へ繋がるダクトへ向けて送出される。すなわち、車両用空調装置10では、エアミックスダンパ28の開度を調整してヒータコア30により加熱される空気の量を調節することで、空気吹出し口から車室内へ向けて吹き出す空気の温度調整を行う。なお、図1では、前席側に設けられた吹出し口へ繋がるダクトへの空調風の吹出しを行うための前席吹出し口ダンパ32と、後席側に設けられた吹出し口へ繋がるダクトへの空調風の吹出しを行うための後席吹出し口ダンパ34と、を示す。
【0026】
車両用空調装置10は、エバポレータ18を通過してヒータコア30によって加熱された空気(温風)と、エバポレータ18を通過してヒータコア30をバイパスする空気(冷風)を混合するが、空調風の温度むらを抑制するために、エバポレータ18を通過してヒータコア30によって加熱された空気と、エバポレータ18を通過してヒータコア30をバイパスして加熱されていない空気とを混合するためのエアミックスチャンバースペース36を有する。
【0027】
エアミックスチャンバースペース36内には、エバポレータ18を通過してヒータコア30によって加熱された空気と、エバポレータ18を通過してヒータコア30をバイパスした空気の双方が交わる位置に熱電素子40が設けられている。なお、熱電素子40は、2種類の異種金属または半導体の両端を接続し、その両端に温度差を設けると起電力が発生する現象(ゼーベック効果)を利用した素子である。例えば、図2(A)に示すように、p型半導体とn型半導体を用いて一方の面に熱を加え、他方の面を冷却することにより電子(正孔)の移動が発生して発電する。
【0028】
熱電素子40は、熱電素子40の一方の面にヒータコア30によって加熱された空気が送風され、熱電素子40の他方の面にエバポレータ18によって冷却された空気が送風される位置に熱電素子40が配置されている。なお、熱電素子40は、複数の素子を配列したモジュールとしたものを適用するようにしてもよい。
【0029】
続いて、本発明の第1実施形態に係わる車両用空調装置10の作用について説明する。
【0030】
ブロアモータ26が回転されると、ブロアファン24が回転されて空調風が発生される。発生した空調風は、エバポレータ18を通過することによって冷却される。冷却された空調風は、エアミックスダンパ28の開度に応じて、ヒータコア30を通過する空気と、ヒータコア30をバイパス空気に分岐される。
【0031】
ヒータコア30を通過した空気は、ヒータコア30内を流れるエンジン冷却水によって加熱されてエアミックスチャンバースペース36へ導かれる。
【0032】
また、ヒータコア30をパイパスした空気は、ヒータコア30をバイパスしてそのままエアミックスチャンバースペース36へ導かれる。
【0033】
このとき、熱電素子40は、上述したように、一方の面にヒータコア30によって加熱された空気が送風され、熱電素子40の他方の面にエバポレータ18によって冷却された空気が送風される位置に熱電素子40を設けられているため、温度差によって発電することができる。
【0034】
また、ヒータコア30によって加熱した空気と、ヒータコア30をバイパスした空気を混合する際に、熱電素子40の発電によって双方の温度が差が小さくなり、混合しやすくなるので、エアミックスチャンバースペース36を縮小することが可能となる。
【0035】
また、熱電素子40は、低温端側の温度を10℃として、高温端側の温度を変化させた場合、図2(B)に示すような発電出力を得ることができるので、熱電素子40によって発電された電力は、自動車に搭載したバッテリに充電したり、車載機器に供給して利用することが可能となる。
【0036】
例えば、図3に示すように、車両用空調装置10の空調風の通路内に紫外線ランプ42を更に設けて、熱電素子40によって発電された電力を供給するようにしてもよい。図3に示すように、車両用空調装置10内に設けられた紫外線ランプ42に熱電素子40の発電電力を供給して点灯することにより、紫外線によって車両用空調装置10内を殺菌することができる。
【0037】
紫外線ランプ42の配置する位置としては、例えば、図3に示すように、結露し易いエバポレータ18近傍に設けるようにしてもよいし、空調風の通路内の他の位置に設けるようにしてもよい。なお、図3では、熱電素子40によって発電された電力を蓄電池44へ充電して紫外線ランプ42へ供給する例を示すが、紫外線ランプ42は比較的省電力であり、熱電素子40によって発電された電力のみでの点灯が可能であるため、熱電素子40と紫外線ランプ42を直接接続するようにしてもよい。
【0038】
なお、熱電素子40は、加熱された空気が送風される面と、冷却された空気が送風される面とに、加熱された空気及び冷却された空気を攪拌させるための予め定めた形状の複数のフィンを設けるようにしてもよい。
【0039】
例えば、図4(A)に示すように、加熱された空気が送風される面、及び冷却された空気が送風される面のそれぞれに板状のフィン46を設けることによって、各空気が整流されて攪拌されやすくなる。或いは、図4(B)に示すように、板状のフィンにひねり形状を設けたフィン48を設けることによって、各空気が回転するように整流されて更に攪拌されやすくなる。なお、図4(A)、(B)は共に、図1、3のエバポレータ18側から観た図である。
【0040】
また、本実施形態では、熱電素子40は、熱電素子40の一方の面にヒータコア30によって加熱された空気が送風され、熱電素子40の他方の面にエバポレータ18によって冷却された空気が送風される位置に配置したが、配置位置を限定するものではなく、発電効率は下がるがエアミックスチャンバースペース内36の他の位置に配置してもよい。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係わる車両用空調装置について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係わる車両用空調装置の概略構成を示す図である。
【0041】
第1実施形態では、エアミックスチャンバースペース36に熱電素子40を単に設けた例を説明したが、第2実施形態では、第1実施形態に係わる車両用空調装置10に対して、熱電素子40が一端を回転軸として回転可能としたものである。なお、第1実施形態と同一構成については同一符号を付して説明する。
【0042】
第1実施形態と同様に、本実施形態の車両用空調装置は、コンプレッサ12、コンデンサ14、エキスパンションバルブ16、及びエバポレータ18を含む冷媒の循環路によって構成された冷凍サイクルを有する。
【0043】
冷凍サイクル中の冷媒は、コンプレッサ12によって圧縮されて循環され、エバポレータ18によって圧縮されて液化している冷媒を気化することにより、このエバポレータ18を通過する空気を冷却する。この時、エバポレータ18では、通過する空気を冷却することにより、空気中の水分を結露させるようになっており、これにより、空気が除湿される。
【0044】
エバポレータ18の上流側にエキスパンションバルブ16が設けられ、該エキスパンションバルブ16によって、液化している冷媒が急激に減圧されることにより、冷媒を霧状にしてエバポレータ18へ供給する。これによってエバポレータ18の冷媒の気化効率を向上させている。
【0045】
車両用空調装置のエバポレータ18は、空調ユニット20の内部に設けられている。この空調ユニット20には、ブロアユニット22が接続されており、ブロアユニット22内に設けられたブロアファン24をブロアモータ26が回転することで空調風が発生される。ブロアファン24によって発生した空調風は、エバポレータ18を通過することによって空調風が冷却される。
【0046】
また、エバポレータ18の空調風の下流側には、エアミックスダンパ28及びヒータコア30が設けられている。エアミックスダンパ28は回動可能とされ、エバポレータ18後の空気の、ヒータコア30を通過する量とヒータコア30をバイパスする量とを調整する。ヒータコア30は、エンジン冷却水が循環し、該エンジン冷却水によってエアミックスダンパ28によって案内された空気を加熱する。
【0047】
すなわち、エバポレータ18後の空気は、エアミックスダンパ28の開度に応じてヒータコア30へ案内されて加熱され、さらに、ヒータコア30によって加熱されていない空気と混合された後に、車室内へ空気を吹き出す空気吹出し口へ繋がるダクトへ向けて送出される。すなわち、車両用空調装置では、エアミックスダンパ28の開度を調整してヒータコア30により加熱される空気の量を調節することで、空気吹出し口から車室内へ向けて吹き出す空気の温度調整を行う。なお、図5では、前席側に設けられた吹出し口へ繋がるダクトへの空調風の吹出しを行うための前席吹出し口ダンパ32と、後席側に設けられた吹出し口へ繋がるダクトへの空調風の吹出しを行うための後席吹出し口ダンパ34と、を示す。
【0048】
車両用空調装置は、エバポレータ18を通過してヒータコア30によって加熱された空気と、エバポレータ18を通過してヒータコア30をバイパスする空気を混合するが、空調風の温度むらを抑制するために、エバポレータ18を通過してヒータコア30によって加熱された空気と、エバポレータ18を通過してヒータコア30をバイパスして加熱されていない空気とを混合するためのエアミックスチャンバースペース36を有する。
【0049】
エアミックスチャンバースペース36内には、エバポレータ18を通過してヒータコア30によって加熱された空気と、エバポレータ18を通過してヒータコア30をバイパスした空気の双方が交わる位置に熱電素子40が設けられている。
【0050】
熱電素子40は、熱電素子40の一方の面にヒータコア30によって加熱された空気が送風され、熱電素子40の他方の面にエバポレータ18によって冷却された空気が送風される位置に熱電素子40が配置されている。具体的には、ヒータコア30近傍に設けられ、ヒータコア30側の端部を回転軸として、回転可能に配置されている。
【0051】
また、車両用空調装置は、車両用空調装置の各種制御を行うためのエアコンECU(Electronic Control Unit)50を備えている。エアコンECU50には、上述のブロアモータ26、エアミックスダンパ28を駆動するためのエアミックスダンパ用モータ52、コンプレッサ12、日射センサ54、外気温センサ56、及び内気温センサ58が接続されていると共に、車両用空調装置の温度設定や吹出し口の選択等の車両用空調装置の各種操作を行うための操作部60が接続されており、外気温センサ56、内気温センサ58、及び日射センサ54の検出値がエアコンECU50に入力され、各センサの検出結果に基づいて操作部60の設定等に応じて車室内の空調制御を行うようになっている。
【0052】
さらに、エアコンECU50には、熱電素子40の回転を駆動するための熱電素子回転駆動用モータ62が接続されており、エアミックスダンパ用モータ52の駆動に連動して熱電素子回転駆動用モータ62を駆動するようになっている。すなわち、エアミックスダンパ28の回転に連動して熱電素子40が回転するようになっている。
【0053】
ここで、エアミックスダンパ28の回転に連動した熱電素子40の回転について説明する。図6は、エアミックスダンパ28回転に連動した熱電素子40の回転を説明するための図である。
【0054】
本実施の形態では、エアミックスダンパ28の回転に連動して熱電素子40を回転させることにより、熱電素子40が空調風の流れを妨げない位置へ回転させるようになっている。
【0055】
例えば、図6(A)に示すように、エアミックスダンパ28がヒータコア30をバイパスする通路が全閉となる位置へ回転された場合には、ヒータコア30を通過して加熱された空気の風量を妨げないように、エアミックスダンパ28の回転に連動して熱電素子40をエアミックスダンパ28側へ回転し、図9(B)、(C)に示すように、エバポレータ18を通過した空気がヒータコア30をバイパスする通路と、ヒータコア30を通過する通路と、へ通過するようにエアミックスダンパ28が回転された場合には、ヒータコア30を通過した空気と、ヒータコア30をバイパスした空気の双方の空気の風量を妨げないように、図6(A)よりもエアミックスダンパ28から離れた位置にエアミックスダンパ28の回転に連動して熱電素子40を回転し、図6(D)に示すように、エアミックスダンパ28がヒータコア30を通過する通路が全閉となる位置へ回転された場合には、ヒータコア30をバイパスする空気の風量を妨げないように、図6(C)よりもエアミックスダンパ28から離れた位置にエアミックスダンパ28の回転に連動して熱電素子40を回転する。
【0056】
続いて、上述のように構成された本発明の第2実施形態に係わる車両用空調装置のエアコンECUで行われる処理の流れの一例について説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係わる車両用空調装置のエアコンECU50で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0057】
ステップ100では、各センサの検出結果、及び設定温度が取得されてステップ102へ移行する。すなわち、日射センサ54、外気温センサ56、及び内気温センサ58の検出結果がエアコンECU50によって取得されると共に、操作部60によって設定された設定温度がエアコンECU50によって取得される。
【0058】
ステップ102では、目標吹出し温度がエアコンECU50によって算出されてステップ104へ移行する。なお、目標吹出し温度Taoは、以下の式を用いて演算することができる。
【0059】
Tao=k1・Tset−k2・Ta−k3・Tr−k4・ST+C
ここで、k1、k2、k3、k4はそれぞれ定数を表し、Tsetは操作部60によって設定された設定温度、Trは内気温センサ58によって検出された車室内温度、Taは外気温センサ56によって検出された外気温、STは日射センサ54によって検出された日射量を表す。
【0060】
ステップ104では、エアミックスダンパ用モータ52がエアコンECU50の制御によって駆動されて目標吹出し温度になるようにエアミックスダンパ28が作動されてステップ106へ移行する。
【0061】
ステップ106では、熱電素子回転駆動用モータ62がエアコンECU50の制御によって駆動されて、エアミックスに連動して熱電素子40が回転されてステップ108へ移行する。すなわち、エアミックスダンパ28の位置に応じて、図6(A)〜(D)の各位置になるように熱電素子40が回転される。
【0062】
ステップ108では、当該処理を終了するか否かがエアコンECU50によって判定される。該判定は、例えば、操作部60が操作されて車両用空調装置の停止が指示されたか否かを判定したり、図示しないイグニッションスイッチがオフされたか否か等を判定し、該判定が否定された場合には、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が否定された場合には、一連の処理を終了する。
【0063】
このように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、熱電素子40をエアミックスチャンバースペース36に設けたので、温度差によって発電することができると共に、ヒータコア30によって加熱した空気と、ヒータコア30をバイパスした空気を混合する際に、熱電素子40の発電によって双方の温度が差が小さくなり、混合しやすくなるので、エアミックスチャンバースペース36を縮小することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、エアミックスダンパ28の回転移動に連動して、熱電素子40を風量の妨げない位置へ移動するようにしたので、熱電素子40をエアミックスチャンバースペース36に配置することによる風量低下を防止することができる。
【0065】
なお、第2実施形態では、エアミックスダンパ28の回転移動に連動して熱電素子回転駆動用モータ62を駆動して熱電素子40を移動するようにしたが、エアミックスダンパ28に連動して熱電素子40を移動させるための構成としては、これに限るものではなく、ギヤやリンク機構を介した機械的な構成を適用するようにしてもよい。
【0066】
例えば、図8は、リンク機構を適用した例を示す。図8では、エアミックスダンパ28の回転軸にエアミックスダンパリンク部材64を固定し、熱電素子40の回転軸に熱電素子リンク部材66を固定し、各リンク部材をリンクロッド68を介して接続することにより、エアミックスダンパ28の回転に連動して熱電素子40を回転させる例を示す。図8(A)は、エアミックスダンパ28がヒータコア30をバイパスする通路が全閉となる位置を示し、エバポレータ18を通過した空気がヒータコア30をバイパスする通路と、ヒータコア30を通過する通路と、へ通過するようにエアミックスダンパ28が回転された場合には、図8(B)に示すように、エアミックスダンパリンク部材64、リンクロッド68、及び熱電素子リンク部材66が移動し、エアミックスダンパ28がヒータコア30を通過する通路が全閉となる位置へ回転された場合には、図8(C)に示すように、エアミックスダンパリンク部材64、リンクロッド68、及び熱電素子リンク部材66が移動する。
【0067】
また、上記の各実施形態では、冷媒サイクルを備えた車両用空調装置を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、ヒータコアを用いて暖房のみを行う車両用空調装置に適用するようにしてもよい。
【0068】
また、第2実施形態は、第1実施形態で説明したように、紫外線ランプ42を設けるようにしてもよいし、熱電素子40にフィン46やフィン48を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 車両用空調装置
28 エアミックスダンパ
36 エアミックスチャンバースペース
40 熱電素子
42 紫外線ランプ
46、48 フィン
50 エアコンECU
52 エアミックスダンパ用モータ
62 熱電素子回転駆動用モータ
64 エアミックスダンパリンク部材
66 熱電素子リンク部材
68 リンクロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷風と温風を混合する混合部と、
前記混合部に設けられ、前記混合部の冷風と温風の温度差によって発電する熱電素子と、
を備えた車両用空調装置。
【請求項2】
前記熱電素子は、一方の面に冷風を受け、他方の面に温風を受ける位置に配置した請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
冷風と温風の混合量を調整する調整手段と、
前記調整手段の調整に応じて、風量を下げない位置へ前記熱電素子を移動するように、前記調整手段の調整と前記熱電素子の移動を連動させる連動手段と、
を備えた請求項1又は請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記連動手段は、前記調整手段によって冷風が温風よりも多くなるように前記混合量が調整された場合に冷風の風量を妨げない位置へ前記熱電素子を移動し、前記調整手段によって冷風が温風より少なくなるように前記混合量が調整された場合に温風の風量を妨げない位置へ前記熱電素子を移動するように、前記調整手段の調整と前記熱電素子の移動を連動させる請求項3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記連動手段は、前記調整手段を駆動する駆動手段と、前記熱電素子を移動する移動手段と、前記調整手段の調整と前記熱電素子の移動が連動するように、前記駆動手段及び前記移動手段を制御する制御手段と、を有する請求項3又は請求項4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
空気の通路内に設けられ、前記熱電素子によって発電された電力によって発光する紫外線ランプを更に備えた請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記熱電素子は、冷風及び温風を攪拌させるための予め定めた形状のフィンを有する請求項1〜6の何れか1項に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−20633(P2011−20633A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169047(P2009−169047)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】