説明

車両用表示装置

【課題】 新規な見栄えを実現し得る車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 ユーザに対してスピードメータ画像12並びにタコメータ画像13を画像として表示可能な画像表示装置10と、この画像表示装置10の動作を制御する制御手段30とを備えた車両用表示装置において、画像表示装置10の画面11上に重ねて配置されるタッチパネル20を備え、制御手段30は、ユーザがスピードメータ画像12の表示領域に対応するタッチパネル20箇所を2本の指でジェスチャー操作することに伴う操作信号を受信すると、この操作信号に基づいてスピードメータ画像12を拡大表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対して所定の車両情報を画像として表示可能な画像表示装置と、この画像表示装置の動作を制御する制御手段とを備えた車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の車両用表示装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の車両用表示装置は、ユーザに対して走行情報からなる車両情報を画像として表示可能な液晶表示パネル等からなる画像表示装置と、この画像表示装置の動作を制御するマイクロコンピュータやグラフィックコントローラを含む制御手段とを備えている。
【0003】
この場合、前記走行情報は、車両の走行速度を指針式画像として表示する第1計器画像と、車両のエンジン回転数を指針式画像として表示する第2計器画像とで構成され、第1計器画像と第2計器画像とは互いに隣接するように画像表示装置に表示された状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−160995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載の車両用表示装置の場合、車両走行時において、画像表示装置上に前述した第1、第2計器画像が常時、表示される構成となっているが、これら第1、第2計器画像は、その表示形態が何ら変化することがないため、面白みがなく単調な見栄えとならざるを得なかった。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、新規な見栄えを実現し得る車両用表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザに対して所定の車両情報を画像として表示可能な画像表示装置と、前記画像表示装置の動作を制御する制御手段とを備えた車両用表示装置において、前記画像表示装置の画面上に重ねて配置されるタッチパネルを備え、前記制御手段は、前記ユーザが前記車両情報の表示領域に対応する前記タッチパネル箇所を操作することに伴う操作信号を受信すると、前記操作信号に基づいて前記車両情報の表示形態を変化させることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、ユーザに対して所定の車両情報を画像として表示可能な画像表示装置と、前記画像表示装置の動作を制御する制御手段とを備えた車両用表示装置において、前記ユーザの発する音声を入力する音声入力部と、前記音声入力部により入力された音声を認識する音声認識部とを備え、前記制御手段は、前記音声認識部からの認識結果に基づいて前記車両情報の表示形態を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、新規な見栄えを実現し得る車両用表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態によるユーザによるジェスチャー操作が行われる前の画像表示装置の正面図。
【図3】(a)はユーザによるジェスチャー操作前の2本の指とスピードメータ画像とを示す図であり、(b)はユーザによるジェスチャー操作後の2本の指とスピードメータ画像とを示す図である。
【図4】同実施形態によるユーザによるジェスチャー操作が行われた後の画像表示装置の正面図。
【図5】本発明の第2実施形態による車両用表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)以下、図1〜図4に基づいて本発明の実施形態を例えば車両に搭載された車両用計器に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1において、本実施形態による車両用表示装置としての車両用計器は、画像表示装置10と、タッチパネル20と、制御手段30と、入力端子40とから主に構成されている。
【0012】
画像表示装置10は、例えばユーザ(車両の利用者)に対して所定の車両情報を画像として表示可能な液晶表示パネルや有機ELパネルからなるフラットパネルディスプレイを適用することができ、本例では、車両の運転席に着座している運転者(利用者)の前方となる車内の適宜箇所(例えばインストルメントパネル)に設置(配設)されているものとする。例えば、画像表示装置10は、運転者の手が届く位置となるインストルメントパネル箇所に設置されていることが望ましい。
【0013】
なお、画像表示装置10は、図2に示すように、その画面11上にて、例えば車両の走行速度を指針式画像として表示する前記車両情報としてのスピードメータ画像(第1計器画像)12と、車両のエンジン回転数を指針式画像として表示する前記車両情報としてのタコメータ画像(第2計器画像)13とを表示可能に構成されている。
【0014】
スピードメータ画像12並びにタコメータ画像13は、ともに機械式の指針計器を模した画像となっており、制御手段30による制御のもと、入力端子40を通じて入力する車速情報、回転数情報に応じた値を指示するようになっている。
【0015】
なお、スピードメータ画像12は、図2中、画像表示装置10の左方側に表示され、線状に延びる第1指針12aと、この第1指針12aの作動範囲に表示され、第1指針12aによって指示される数字、目盛等からなる第1指標部12bとを有し、またタコメータ画像13は、図2中、画像表示装置10の右方側に表示され、線状に延びる第2指針13aと、この第2指針13aの作動範囲に表示され、第2指針13aによって指示される数字、目盛等からなる第2指標部13bとを有している。
【0016】
タッチパネル20は、例えば透明な合成樹脂シートにユーザのタッチ(操作)に応じて操作信号を出力する電極を形成する透明体であり、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等のタッチパネルを適用することができる。
【0017】
かかるタッチパネル20は、画像表示装置10の画面11上に重ねて配置され、例えばユーザがスピードメータ画像12(あるいはタコメータ画像13)の表示領域に対向(対応)するタッチパネル20箇所を操作することに伴う前記操作信号が制御手段30の後述するマイクロコンピュータに入力される。
【0018】
例えば、図3(a)に示すようにユーザの親指51と人差し指52をくっつけた状態で、スピードメータ画像12の表示領域に対向するタッチパネル20箇所をタッチした後、図3(b)に示すように親指51と人差し指52との当接状態を解除するように(換言すれば親指51と人差し指52とを所定距離だけ離間させるように)両指51、52をタッチパネル20上に沿い移動させることで、スピードメータ画像12を拡大表示させるべく、両指51、52の間の離間寸法(離間距離)に応じた前記操作信号が制御手段30(前記マイクロコンピュータ)に入力される。
【0019】
制御手段30は、例えばROM、RAM、不揮発性メモリやフラッシュメモリ等の記憶素子を含むマイクロコンピュータ31と、このマイクロコンピュータ31からの指令信号に応じて画像表示装置10の動作を制御するグラフィックコントローラ32とからなる。
【0020】
マイクロコンピュータ31は、入力端子40を通じて入力する前記車速情報、前記回転数情報を処理し、グラフィックコントローラ32を通じて画像表示装置10に表示させるスピードメータ画像12並びにタコメータ画像13を制御する。
【0021】
以下、図2に示すようにタッチパネル20付きの画像表示装置10にスピードメータ画像12並びにタコメータ画像13が通常表示されている状態において、スピードメータ画像12の大きさを前記通常表示よりも大きくしたい場合(つまりスピードメータ画像12の拡大表示を行う場合)について説明する。なお、タコメータ画像13の拡大表示については、スピードメータ画像12の場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0022】
この場合、まず、ユーザが、ユーザの親指51と人差し指52をくっつけた状態で、スピードメータ画像12の表示領域に対向するタッチパネル20箇所をタッチし(図3(a))、その後、図3(b)に示すように親指51と人差し指52とを離間させるように両指51、52(親指51と人差し指52)をタッチパネル20上に沿い移動させることで、両指51、52の間の前記離間距離に応じた前記操作信号をマイクロコンピュータ31が受信するようになっている。
【0023】
マイクロコンピュータ31は、このようにユーザがスピードメータ画像12の表示領域に対向するタッチパネル20箇所を2本の指51、52でジェスチャー操作することに伴う前記操作信号を受信すると、前記操作信号に基づいてスピードメータ画像12を拡大表示させる(つまりスピードメータ画像12の表示形態を変化させる)べく、グラフィックコントローラ32に前記指令信号である拡大表示指示信号を出力する。
【0024】
例えば、マイクロコンピュータ31は、2本の指51、52を利用したジェスチャー操作に伴い前記離間距離の寸法が20ミリメートルであれば、当該寸法が20ミリメートルであることを示す前記操作信号を受信し、かかる操作信号に基づいてスピードメータ画像12の大きさを所定の拡大倍率(例えば前記通常表示の1.2倍の大きさ)で表示させるべく、グラフィックコントローラ32に前記拡大表示指示信号を出力する。
【0025】
グラフィックコントローラ32は、前記拡大表示指示信号を受けて、スピードメータ画像12の拡大描画処理を実行し、これによりスピードメータ画像12のみが、図3(a)中、スピードメータ画像12の中心点C(つまり第1指針12aの回転中心)を中心として、例えば前記通常表示の1.2倍の大きさを有するように拡大表示される(図4参照)。
【0026】
以上のように本実施形態では、ユーザに対してスピードメータ画像12並びにタコメータ画像13を画像として表示可能な画像表示装置10と、この画像表示装置10の動作を制御する制御手段30とを備えた車両用表示装置において、画像表示装置10の画面11上に重ねて配置されるタッチパネル20を備え、制御手段30は、ユーザがスピードメータ画像12の表示領域に対応するタッチパネル20箇所を2本の指51、52でジェスチャー操作することに伴う前記操作信号を受信すると、前記操作信号に基づいてスピードメータ画像12を拡大表示させる(スピードメータ画像12の表示形態を変化させる)ことにより、タッチパネル20上でのユーザのジェスチャー操作に応じて、第1計器画像であるスピードメータ画像12の表示形態が変化するので、面白みのある新規な見栄えを実現することが可能となる。
【0027】
また本実施形態では、親指51と人差し指52とをくっつけた状態で両指51、52をスピードメータ画像12にタッチした後、両指51、52(親指51と人差し指52)を離間させるように親指51と人差し指52をタッチパネル20上に沿い移動させることで、スピードメータ画像12を拡大表示させる例について説明したが、これとは逆に、親指51と人差し指52とを離した状態で親指51または人差し指52のうち少なくとも一方をスピードメータ画像12(あるいはタコメータ画像13)にタッチした後、前記離間距離を小さくするように親指51と人差し指52をタッチパネル20上に沿い移動させることで、スピードメータ画像12(あるいはタコメータ画像13)を縮小表示させる構成としてもよい。なお、縮小表示させる場合、スピードメータ画像12は、ユーザが視認可能な大きさ以下には、縮小表示されないことが望ましい。
【0028】
また本実施形態では、ユーザの2本の指51、52を利用してスピードメータ画像12またはタコメータ画像13を拡大表示(または縮小表示)させる例について説明したが、例えばユーザの1本の指(人差し指52等)を利用してスピードメータ画像12またはタコメータ画像13の表示位置を変化させるようにしてもよい。
【0029】
この場合、制御手段30は、ユーザがスピードメータ画像12(またはタコメータ画像13)の表示領域に対応するタッチパネル20の第1領域(図示省略)を人差し指52等でタッチ操作した後、人差し指52が前記第1領域から前記第1領域とは異なるタッチパネル20の第2領域(図示省略)に向けてタッチパネル20上を移動する操作信号を受信し、この操作信号に基づいて、人差し指52の前記第1領域から前記第2領域への移動に連動するようにスピードメータ画像12(またはタコメータ画像13)の表示位置を追従(変化)させる制御を行う。
【0030】
また本実施形態では、ユーザがスピードメータ画像12(あるいはタコメータ画像13)に対応するタッチパネル20箇所を指で操作することに伴い、スピードメータ画像12(あるいはタコメータ画像13)の表示倍率の大きさや表示位置が変化するものであったが、例えば制御手段30は、タコメータ画像13に対応するタッチパネル20箇所を人差し指52等で、ばつ印(×という印)でなぞったことを示す操作信号を受信した際に、この操作信号に基づいてタコメータ画像13の表示を消去する制御を行うようにしてもよい。
【0031】
このようにタコメータ画像13の表示を消去する場合、詳細図示は省略するが、制御手段30の出力側に(アンプを介して)音声を発するスピーカ等の発音体を接続し、タコメータ画像13の表示が消去された後、制御手段30は、前記回転数情報に基づいて発音体に対し発音体駆動信号を出力し、発音体から発せられる音声を利用して、ユーザに対し所定の時間毎に車両のエンジン回転数情報を知らせるようにしてもよい。
【0032】
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態を図5に基づいて説明するが、前述の第1実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。この第2実施形態が前記第1実施形態と異なる点は、画像表示装置10の画面11上に重ねて配置されていたタッチパネル20を廃止し、運転席に着座しているユーザの発する音声を入力する音声入力部60と、この音声入力部60により入力された音声を識別する音声識別部70とを設け、制御手段30は、音声識別部70からの認識結果に基づいてスピードメータ画像12(あるいはタコメータ画像13)の表示形態(表示倍率や表示位置等)を変化させる点にある。
【0033】
音声入力部60は、例えばユーザの発する音声(音声データ)を入力可能なように車両内の適宜箇所に配設されたマイクロフォンからなる。また、音声識別部70は、音声入力部60からの音声データを識別する機能を有しており、例えば音声入力部60からの音声データをコード化して音声コマンドとして制御手段30(マイクロコンピュータ31)に出力する。
【0034】
マイクロコンピュータ31は、音声識別部70からの認識結果(前記音声コマンド)に基づいて、グラフィックコントローラ32に対し所定の指令信号を出力する制御を行う。例えば「スピードメータ大きく」なる音声が音声入力部60に入力された場合には、マイクロコンピュータ31は、「スピードメータ大きく」なる音声データに対応した音声コマンドに基づいて、スピードメータ画像12を所定の拡大倍率(例えば前記第1実施形態の場合と同様に通常表示の1.2倍の大きさ)にて拡大表示させるべく、グラフィックコントローラ32に対し前記指令信号である拡大表示指令信号を出力する制御を行う。
【0035】
グラフィックコントローラ32は、前記拡大表示指示信号を受けて、スピードメータ画像12の拡大描画処理を実行し、これによりスピードメータ画像12が、前述した第1実施形態と同様に例えば前記通常表示の1.2倍の大きさを有するように拡大表示され、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
また本第2実施形態では、「スピードメータ大きく」なる音声データに基づいて制御手段30による制御のもと、スピードメータ画像12が拡大表示される例について説明したが、例えば「タコメータ大きく」なる音声データに基づいて制御手段30による制御のもと、タコメータ画像13が拡大表示される構成としてもよいし、「スピードメータ小さく」や「タコメータ小さく」なる音声データに基づいて制御手段30による制御のもと、スピードメータ画像12やタコメータ画像13が縮小表示される構成としてもよい。さらには、「スピードメータ上」なる音声データに基づいて制御手段30による制御のもと、スピードメータ画像12を現在の表示位置よりも上側に移動させる構成としてもよい。
【0037】
なお前記各実施形態では、画像表示装置10の画面11上に機械式の指針計器を模したスピードメータ画像12とタコメータ画像13とが表示されている例について説明したが、例えばデジタル式のスピードメータ画像12とタコメータ画像13に置き換えることも可能であり、さらにはタコメータ画像13に代えてタコメータ画像13以外の各種車両情報を表示させてもよい。前記各種車両情報としては燃料計や水温計、燃費表示、警告表示、インジケータ表示、時刻表示等が挙げられる。
【符号の説明】
【0038】
10 画像表示装置
11 画面
12 スピードメータ画像(第1計器画像)
12a 第1指針
12b 第1指標部
13 タコメータ画像(第2計器画像)
13a 第2指針
13b 第2指標部
20 タッチパネル
30 制御手段
31 マイクロコンピュータ
32 グラフィックコンピュータ
40 入力端子
51 親指
52 人差し指
C 中心点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対して所定の車両情報を画像として表示可能な画像表示装置と、前記画像表示装置の動作を制御する制御手段とを備えた車両用表示装置において、
前記画像表示装置の画面上に重ねて配置されるタッチパネルを備え、
前記制御手段は、前記ユーザが前記車両情報の表示領域に対応する前記タッチパネル箇所を操作することに伴う操作信号を受信すると、前記操作信号に基づいて前記車両情報の表示形態を変化させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
ユーザに対して所定の車両情報を画像として表示可能な画像表示装置と、前記画像表示装置の動作を制御する制御手段とを備えた車両用表示装置において、
前記ユーザの発する音声を入力する音声入力部と、
前記音声入力部により入力された音声を認識する音声認識部とを備え、
前記制御手段は、前記音声認識部からの認識結果に基づいて前記車両情報の表示形態を変化させることを特徴とする車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−108385(P2012−108385A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258208(P2010−258208)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】