説明

車両用表示装置

【課題】部品点数増加、体格増加等を伴うことなしに、立体感に富む見映えを有する車両用表示装置を提供する。
【解決手段】透光性材質から略板状に形成され、且つその板厚方向を表示方向として配置された導光板と、導光板における表示方向とは反対側の面である裏面に形成される表示意匠部と、導光板内に光を入射するように配置された光源と、を備え、光源から発せられて導光板内を進行する光により表示意匠部を照射して表示意匠部を発光表示する車両用表示装置であって、裏面に反射層を設けるとともに、導光板における表示方向側の面である表面に半透過反射層を設ける構成としている。これにより、表示意匠部および表示意匠部に隣接して複数の表示意匠部虚像を視認させることができるので、立体感に富む見映えを有する車両用表示装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する情報を運転者に表示するために車両に搭載される、車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置として、例えば、透明材料からなる導光板に計器の目盛を形成するとともに、光源が発する光を導光板内へ入射させ、この光を目盛で反射させて視認させるように構成したものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−340915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の車両用表示装置においては、導光板の裏面側に目盛を形成している。このため、視認者の視認方向において、目盛と導光板の表面とで視認距離が異なり、それにより、目盛の立体感を強調することができる。しかしながら、目盛自体の見映えは平面的なものである。そのため、立体感をさらに強めるためには、たとえば、導光板を複数個積層する等の手段が考えられるが、部品点数増加、体格増加等の問題が生じる恐れがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数増加、体格増加等を伴うことなしに、立体感に富む見映えを有する車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、透光性材質から形成され、且つその板厚方向を表示方向として配置された導光板と、導光板の裏面に形成される表示意匠部と、導光板内に光を入射するように配置された光源と、を備え、光源から発せられて導光板内を進行する光により表示意匠部を照射して表示意匠部を発光表示する車両用表示装置であって、裏面に反射層を設けるとともに、導光板の表面に半透過反射層を設けることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、表示意匠部から発せられて導光板内を進行し半透過反射層に入射した光の一部は、半透過反射層を透過して表示方向に進行し、運転者等により表示意匠部の実像として視認される。また、表示意匠部から発せられて導光板内を進行し半透過反射層に入射した光の一部は、半透過反射層で反射して再び導光板内を進行し、導光板の裏面に設けられた反射層に入射し、そこで反射して再び導光板内を進行し半透過反射層に入射する。この入射光の一部は、半透過反射層を透過して表示方向に進行し、運転者等により表示意匠部の虚像として視認される。半透過反射層で反射した反射光が反射層に入射する入射点は表示意匠部から離れた位置になるので、運転者等は、表示意匠部の実像、およびこの実像の隣に結像された表示意匠部の虚像の両方を視認することになる。また、表示意匠部の虚像の光量は、反射を繰り返すことにより減少して表示意匠部の実像の光量より少なくなっているため、表示意匠部の虚像は、表示意匠部の実像に比べて低い輝度で視認される。さらに、反射層で反射して再び導光板内を進行し半透過反射層に入射した虚像光の一部は、半透過反射層で反射し反射層に入射しそこで反射して再度半透過反射層へ入射する。そして、この入射光の一部は半透過反射層を透過して表示方向へ進行し、一部は半透過反射層で反射して反射層へ向かう。これが繰り返されることで、表示意匠部の虚像は複数個間隔を隔てて結像される。そして、複数個の虚像は、実像から遠いものほど輝度が低く視認される。
【0008】
以上説明した、本発明の請求項1に記載の車両用表示装置における導光板上における表示意匠部の見え方についてまとめると、本発明の請求項1に記載の車両用表示装置においては、表示意匠部の実像、およびこの実像に隣接して複数個の虚像が互いに略並行に視認されるとともに、それらの発光輝度は、実像が最大で、実像のすぐ隣の虚像はそれより低く、以降実像から遠ざかるに連れてだんだん低くなっている。すなわち、高輝度の表示意匠部の実像に隣接して複数の虚像がそれらの輝度が徐々に低下して、言い換えるとグラデーション状に並んで見える。このような見映えにより、表示意匠部は、立体感が強調されて視認される。ところで、このような見映えを得るための手段は、導光板の裏面側に反射層を、表面側に半透過反射層を形成する、という単純な構成とすることにあり、車両用表示装置を構成する部品点数の増加や体格の増大を一切伴わない。
【0009】
したがって、部品点数増加、体格増加等を伴うことなしに、立体感に富む見映えを有する車両用表示装置を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、表示画像を構成する光である表示画像光を発する表示画像光形成手段を備え、表示画像光形成手段により表示画像光を導光板の表面に照射して表面上に表示画像の虚像を形成することを特徴とする。
【0011】
従来の車両用表示装置では、導光板上に表示画像を形成し視認可能に表示する場合、導光板に表示画像を印刷等により形成するとともに導光板の背後に設置した光源から光を照射して表示画像を透過照明し発光表示する構成としていた。このため、導光板上に、表示画像とは異なる表示意匠を重ねて同時に発光表示することは非常に困難であり、これを実現するためには、導光板に対して表示画像および表示意匠を同時に形成可能な複雑な構造を採用し、且つそれらに対応した複数の光源を設置する等、複雑且つ大型の構造が必要であった。
【0012】
そこで、請求項2に記載の発明のような構成とすれば、表示画像は導光板の表面上に虚像として形成されて視認されるので、導光板およびその背後には何ら設備を設ける必要がない。これにより、複雑且つ大型の構造を採ることなくして、導光板上に、表示画像とは異なる表示意匠を重ねて同時に表示することが可能となり、車両用表示装置の見映えをより斬新なものとすることができる。また、導光板上の表示スペースを有効に活用することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記表示画像は、車両が備える機器の作動状態を視認可能に指示するインジケータあるいはウォーニングであることを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、導光板上におけるインジケータあるいはウォーニングの表示位置を、最適な位置に常に容易に設定することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、導光板の板厚は、少なくとも表示意匠部を包含する領域において変化していることを特徴とする。
【0016】
導光板の板厚が一様であるときは、表示意匠部から出射した光が半透過反射層上で反射し、続いて反射層上で反射し再度半透過反射層上で反射することを繰り返す場合、半透過反射層における入射角(=出射角)は、毎回等しい。同時に、反射層における入射角(=出射角)も、半透過反射層における入射角(=出射角)と等しく、且つ毎回等しい。これにより、導光板上に結像される複数個の虚像の間隔および大きさ(長さ、幅等)はほぼ等しくなっている。
【0017】
これに対して、導光板の板厚が少なくとも表示意匠部を包含する領域において変化しているときは、導光板の板厚が変化している部分においては、表示意匠部から出射した光が半透過反射層上で反射し、続いて反射層上で反射し再度半透過反射層上で反射することを繰り返す場合、半透過反射層における入射角(=出射角)は、毎回等しくはならずに変化する。たとえば、徐々に大きくなる、あるいは小さくなる。また、反射層における入射角(=出射角)も、半透過反射層における入射角(=出射角)とは異なるとともに、且つ毎回変化する。たとえば、徐々に大きくなる、あるいは小さくなる。これにより、導光板上に結像される複数個の虚像の間隔および大きさ(長さ、幅等)も変化する。たとえば、間隔が徐々に大きく(または小さく)なったり、長さが徐々に長く(または短く)なったり、することになる。
【0018】
これにより、導光板上における表示意匠部の見映えの立体感を強調すると同時に、より変化に富んだ見映えを得ることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、導光板の裏面および表面の少なくとも一方は曲面状に形成されることを特徴とする車両用表示装置とした。
【0020】
この発明によれば、導光板が、凹レンズあるいは凸レンズのような働きをすることになる。そうすると、表示意匠部の複数の虚像は、導光板の凹レンズ効果あるいは凸レンズ効果により形状が変形されて視認されることになる。したがって、表示意匠部の実像に隣接して複数の虚像を結像させることに加えて、虚像の形状が導光板の凹レンズ効果あるいは凸レンズ効果により変形されるので、立体感が強調されるとともに、より変化に富んだ見映えの車両用表示装置を提供することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、表示意匠部は、指針計器の目盛および数字の少なくとも一方であることを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明では、液晶表示器を備え、導光板は、表示方向において液晶表示器の前方、且つ表示方向において液晶表示器と部分的に重なるように配置されることを特徴とする。
【0023】
一般的に、液晶表示器は、実際に画像が形成される画面の周囲に電極が配置されるスペースを、額縁のように備えている。この発明によれば、導光板を、表示方向において液晶表示器の前方、且つ表示方向において液晶表示器と部分的に重ねて、たとえば、上述した電極が配置されるスペースに重ねて配置すれば、導光板と液晶表示器の表示画面とが、連続して一体的に視認されることになる。したがって、導光板上における表示意匠部が立体感に富む見映えで視認されると同時に、その表示意匠部に近接して液晶表示器の表示画面が配置されることにより、液晶表示器の表示画面の見映えを、より立体感に富むものとすることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、光源の発光色を切り替え可能としたことを特徴とする。
【0025】
これにより、導光板に形成される表示意匠部の見映えをより立体感に富むものとするのに加えて、表示意匠部の発光色を切り替えることができるので、車両用表示装置の見映えを斬新なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータの構造を示す部分断面図であり、図2中のI−I線断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータの導光板の平面形状を示す図であり、図1中のII矢視図である。
【図3】導光板内において光源から照射された光が目盛で反射した後の進路を説明する模式図である。
【図4】本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータにおける目盛の見え方を説明する模式図であり、図2中のIV部拡大図である。
【図5】本発明の第二実施形態によるコンビネーションメータにおけるアンビエント表示部の正面図である。
【図6】本発明の第二実施形態によるコンビネーションメータにおけるアンビエント表示部の構造を示す図であり、図5のVI−VI線断面図である。
【図7】本発明の第三実施形態によるコンビネーションメータにおけるアンビエント表示部の正面図である。
【図8】本発明の第三実施形態によるコンビネーションメータにおけるアンビエント表示部の構造を示す図であり、図7のVIII−VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0028】
(第一実施形態)
車両用表示装置であるコンビネーションメータ1は、それが搭載されている車両に関する情報を運転者が視認可能に表示する表示部を複数備えており、車両の室内に設けられたインスツルメントパネル(図示せず)内に収容され、正面側を運転席側に向けて配置されている。
【0029】
本発明を、コンビネーションメータ1が備える表示部のひとつである指針計器2に適用した場合を例にとり、以下に説明する。
【0030】
指針計器2は、たとえば、車両の走行速度あるいはエンジン回転速度等を、指針および指針が指示する目盛により表示する計器である。指針計器2は、図1に示すように、導光板3、導光板3に形成された表示意匠部である目盛4、指針8および指針8を回転させるアクチュエータとしてのムーブメント9等から構成されている。
【0031】
導光板3は、透光性材質である無色透明の樹脂材料から、図2に示すような平面形状に、すなわち略扇形に形成されている。導光板3は、指針計器2において、図1に示すように、その板厚方向を表示方向Dとして配置されている。表示方向Dの先には運転席(図示せず)があり、運転者は、指針計器2を図1の左側から視認する。図2において中央の扇の要に相当する部分には、後述するムーブメント9のシャフト91を貫通させるための貫通孔33が形成されている。コンビネーションメータ1の完成状態において、シャフト91は、貫通孔33のほぼ中心に位置している。導光板3の表示方向Dと反対側の面である裏面32には、図2に示すように、表示意匠部である目盛4が形成されている。目盛4は、導光板3の裏面32上に、たとえば、印刷を施すことにより形成される。目盛4は、図2に示すように、複数個が貫通孔33を中心として放射状に配置されている。目盛4が形成された裏面32には、図1に示すように、反射層6が設けられている。反射層6は、裏面32の全域に施されている。反射層6は、光を高効率で反射する性質を有する層により形成され、たとえば、導光板3の裏面32にめっき、コーティング、塗装等を施すこと、あるいは、薄い膜を貼り付けることにより形成される。一方、導光板3の表面31には、図1に示すように、半透過反射層7が設けられている。半透過反射層7は、そこに入射した光の一部を透過させるとともに一部を反射する性質を有している。すなわち、導光板3内を進行した光が表面31の半透過反射層7に入射すると、その一部は半透過反射層7を透過して導光板3の外へ進み、一部は、半透過反射層7で反射して再び導光板3内を進行する。半透過反射層7は、たとえば、導光板3の表面31に、入射した光の一部を透過させるとともに一部を反射する性質を有する物質によるめっき、コーティング等を施すこと、あるいは、入射した光の一部を透過させるとともに一部を反射する性質を有する薄い膜を貼り付けること等により形成される。導光板3は、その板厚が、図1に示すように、外周側から中心側、つまり扇形の外周側から中心側に向かうに連れて徐々に減少するように形成されている。さらに、導光板3は、表示方向Dに向かって凹であるように湾曲した形状に形成されている。すなわち、導光板3の表面31は、図1に示すように、表示方向Dに向かって凹である凹面状に形成されるとともに、導光板3の裏面32は表示方向Dと反対方向に向かって凸である凸面状に形成されている。そして、扇形の導光板3の周方向における端部には、図2に示すように、に、光源である発光ダイオード5が取り付けられている。発光ダイオード5は、発光ダイオード5が発する光が、図2中の矢印で示すように導光板3内に入射し進行するように取り付けられている。
【0032】
導光板3の裏面32側には、図1に示すように回路基板10が配置されている。回路基板10には図示しない回路素子が実装されており、コンビネーションメータ1の電気回路部を構成している。上述した発光ダイオード5も、回路基板10に電気的に接続されている。
【0033】
導光板3の裏面32側には、図1に示すようにムーブメント9が配置されている。ムーブメント9は、電流をシャフト91の回転トルクに変換して、指針8を回転させるためのものであり、交差コイル式モータ、あるいはステッピングモータ等として構成されている。シャフト91の先端には、図1に示すように、指針8が固定されており、指針8は、シャフト91と一体的に回転する。ムーブメント9は、図1に示すように、回路基板10に実装されている。指針計器2が指示する物理量の大きさに応じた電気信号がムーブメント9に入力されると、それに対応した角度だけシャフト91が回転し、それと同時に指針8が導光板3の表面31に沿って回転して、指針8および目盛4により物理量の大きさが運転者に対して視認可能に指示される。
【0034】
以上説明した導光板3、回路基板10、ムーブメント9は、図1に示すように、ケース11内に収容保持されている。
【0035】
次に、本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータ1の特徴的構成である、表面31に半透過反射層7を設け且つ裏面32に反射層6を設けた導光板3の作用効果、主には、導光板3に設けられた目盛4の見え方に及ぼす効果について説明する。
【0036】
目盛4が、発光ダイオード5から発せられて導光板3を進行した光は、やがて目盛4を照射する。目盛4に入射したこの照射光は、目盛4で反射する。この反射光は、図3に示すように、半透過反射層7に入射するが、その一部は半透過反射層7を透過して導光板3の外方へ出射し、表示方向Dに進む。運転者は、この光を視認することにより、図4に示すように、目盛4を実像として視認する。半透過反射層7に入射した目盛4で反射した反射光の一部は、半透過反射層7で反射して、図3に示すように、再び導光板3内を進行して反射層6に入射する。そして反射層6で反射して導光板3内を進行して半透過反射層7に入射する。この光の一部は、半透過反射層7を透過して導光板3の外方へ出射し、表示方向Dに進む。運転者は、この光を視認することにより、図4に示すように、目盛4の虚像4i1として視認する。ここで、虚像4i1は、図4に示すように、目盛4の実像と一部が重なるとともに、その長さが実像4の長さより延長されて視認される。一方、半透過反射層7に入射した光の一部は、半透過反射層7で反射して、図3に示すように、再び導光板3内を進行して反射層6に入射する。このように、目盛4からの反射光は、導光板3内において半透過反射層7および反射層6間で反射を繰り返す。そして、半透過反射層7に入射するたびに、入射光の一部が半透過反射層7を透過して導光板3の外方へ出射し、表示方向Dに進み運転者に虚像として視認される。すなわち、図3に示すように、虚像4i2、虚像4i3が視認される。また、目盛4からの反射光が半透過反射層7を透過して導光板3の外方へ出射するが、その出射光の光量は、目盛4の実像の場合が最大であり、虚像4i1、虚像4i2、虚像4i3、の順に少なくなっている。したがって、運転者が導光板3を見たときに、目盛4の実像が最も明るく見え、虚像4i1、虚像4i2、虚像4i3、の順に暗くなって見える。
【0037】
ところで、導光板3は、その板厚が、図1に示すように、外周側から中心側、つまり扇形の外周側から中心側に向かうに連れて徐々に減少するように形成されている。一方、目盛4は、その長手方向を扇形の導光板3の径方向と位置させて配置されている。つまり、目盛4の長手方向が導光板3における板厚変化方向とほぼ一致している。このため、隣接する実像および虚像の長さの差、および隣接する虚像および虚像の長さの差は、等しくならずに、実像4と虚像4i1との間、虚像4i1と虚像4i2との間、虚像4i2と虚像4i3との間の長さが、図4に示すように、それぞれ、l1、l2、l3と徐々に短くなっている。さらに、実像4、虚像4i1、虚像4i2および虚像4i3それぞれの明るさは、実像4→虚像4i1→虚像4i2→虚像4i3の順番で暗くなっている。
【0038】
したがって、導光板3に設けられた目盛4は、その実像4に部分的に重なりつつ複数の虚像4i1〜4i3が見え、それらの虚像の明るさが実像4から離れるほど暗くなるとともに、複数の虚像4i1〜4i3の長さ増加率が一定ではなく徐々に小さくなっていることにより、目盛4の立体感が強調されて見える。
【0039】
また、本発明の第一実施形態によるコンビネーションメータ1によれば、一枚の導光板3の表面31に半透過反射層7を、裏面32に反射層6をそれぞれ設ける、という単純な構成により、目盛4の見映えをより立体感に富むものとする効果が得られるので、部品点数増加、体格増加等を伴うことなしに、立体感に富む見映えを有する車両用表示装置を提供することができる。
【0040】
(第二実施形態)
図5および図6に示す本発明の第二実施形態は、本発明を、第一実施形における指針計器2に換えて、アンビエント表示部12に適用したものである。アンビエント表示部12は、運転者が、車両の作動状態をより直感的に認識できることを目指したものである。具体的には、図5に示す略四辺形の導光板13全体領域を発行させるとともに、その発光状態、たとえば発光色、発光輝度、連続発光⇔点滅等を切り替えることにより、車両の作動状態を表示するものである。
【0041】
以下に、本発明の第二実施形態によるコンビネーションメータ1の構造について説明する。
【0042】
アンビエント表示部12は、図6に示すように、見返し板22の開口22aの背後(表示方向Dと反対側)に形成されており、運転者は、この開口22aを通してアンビエント表示部12を視認する。導光板13は、透光性材質である無色透明の樹脂材料から、略長方形に形成されている。導光板3の表示方向Dと反対側の面である裏面132には、図6に示すように、表示意匠部である装飾線14が形成されている。装飾線14は、導光板13の裏面132上に、たとえば、印刷を施すことにより形成される。装飾線14が形成された裏面132には、図6に示すように、反射層6が設けられている。反射層6は、裏面132の全域に施されている。反射層6は、光を高効率で反射する性質を有する層により形成され、たとえば、導光板13の裏面132にめっき、コーティング、塗装等を施すこと、あるいは、薄い膜を貼り付けることにより形成される。一方、導光板13の表面131には、図6に示すように、半透過反射層7が設けられている。半透過反射層7は、そこに入射した光の一部を透過させるとともに一部を反射する性質を有している。すなわち、導光板13内を進行した光が表面131の半透過反射層7に入射すると、その一部は半透過反射層7を透過して導光板13の外へ進み、一部は、半透過反射層7で反射して再び導光板13内を進行する。半透過反射層7は、たとえば、導光板13の表面131に、入射した光の一部を透過させるとともに一部を反射する性質を有する物質によるめっき、コーティング等を施すこと、あるいは、半透過反射の性質を有する薄い膜を貼り付けること等により形成される。導光板13は、その板厚が、図6に示すように、装飾線14が施された側から遠ざかるに連れて徐々に減少するように形成されている。そして、導光板3の装飾線14側の端部には、図6に示すように、光源である発光ダイオード5が取り付けられている。発光ダイオード5は、発光ダイオード5が発する光が、図6中の矢印で示すように導光板13内に入射し進行するように取り付けられている。
【0043】
導光板13の裏面132側には、図6に示すように回路基板10が配置されている。回路基板10には図示しない回路素子が実装されており、コンビネーションメータ1の電気回路部を構成している。上述した発光ダイオード5も、回路基板10に電気的に接続されている。
【0044】
見返し板22の背後には、図6に示すように、導光体20が配置されている。導光体20は、透光性材質である無色透明の樹脂材料から形成されている。導光体20は、図6に示すように、導光板13の表面131に対向し、且つ表示方向Dにおいて見返し板22の開口22aから見えないように設置されている。このため、運転者がコンビネーションメータ1を見たときに、見返し板22の開口22aを介して導光板13だけが見え、導光体20は見えない。導光板20の見返し板22と反対側の端部には、図6に示すように、光源である発光ダイオード21が、それが発する光が導光体20内に入射可能に配置されている。発光ダイオード21は、回路基板10に実装されている。
【0045】
導光体20には、図6に示すように、表示画像であるフォグランプインジケータ16が設けられている。フォグランプインジケータ16は、自動車が備えるフォグランプ(図示せず)が点灯中である間発光表示され、それにより、運転者にフォグランプが点灯中であることを認識させるものである。本発明の第二実施形態によるコンビネーションメータ1において、フォグランプインジケータ16は、導光体20の導光板13側表面に、図5中において符号16iで示される図形の背景部分に遮光層19を、たとえば塗装あるいは印刷等を施して形成される。これにより、発光ダイオード21が点灯されると、発光ダイオード21から発した光が導光体20内を進行しフォグランプインジケータ16から出射する。つまり、図5中において符号19iで示される図形が発光表示される。この光は導光板13に入射し、そこで反射して、図6に示すように、表示方向Dへ進行する。これにより、運転者は、アンビエント表示部12上にフォグランプインジケータ16の虚像16iを視認する。なお、本発明の第二実施形態によるコンビネーションメータ1では、表示画像として、上述したフォグランプインジケータ16の他に、図5に示すように、ターンシグナルインジケータ17(虚像17i)、バッテリ電圧ウォーニング18(虚像18i)が設けられている。ターンシグナルインジケータ17は、自動車が備えるターンシグナルランプ(図示せず)が点滅作動中であるときに、それと同期して点滅表示するものである。バッテリ電圧ウォーニング18は、自動車が備えるバッテリ(図示せず)の電圧があらかじめ決められた値以下となると点灯表示される。ターンシグナルインジケータ17およびバッテリ電圧ウォーニング18は、それぞれ発光表示させるための発光ダイオード(図示せず)を備え、それぞれを独立して表示あるいは非表示とすることができる。
【0046】
次に、本発明の第二実施形態によるコンビネーションメータ1の特徴的構成である、表面131に半透過反射層7を設け且つ裏面132に反射層6を設けた導光板3の作用効果、すなわち、導光板13に設けられた装飾線14の見え方、および、フォグランプインジケータ16等の表示構造の効果について説明する。
【0047】
はじめに、導光板13に設けられた装飾線14の見え方について説明する。装飾線14が、発光ダイオード15から発せられて導光板13を進行した光は、やがて装飾線14を照射する。装飾線14に入射したこの照射光は、装飾線14で反射する。この反射光は、図6に示すように、半透過反射層7に入射するが、その一部は半透過反射層7を透過して導光板13の外方へ出射し、表示方向Dに進む。運転者は、この光を視認することにより、図4に示すように、装飾線14を実像として視認する。半透過反射層7に入射した装飾線14で反射した反射光の一部は、半透過反射層7で反射して、図6に示すように、再び導光板13内を進行して反射層6に入射する。そして反射層6で反射して導光板13内を進行して半透過反射層7に入射する。この光の一部は、半透過反射層7を透過して導光板13の外方へ出射し、表示方向Dに進む。運転者は、この光を視認することにより、図5に示すように、装飾線14の虚像14i1として視認する。一方、半透過反射層7に入射した光の一部は、半透過反射層7で反射して、図6に示すように、再び導光板13内を進行して反射層6に入射する。このように、装飾線14からの反射光は、導光板13内において半透過反射層7および反射層6間で反射を繰り返す。そして、半透過反射層7に入射するたびに、入射光の一部が半透過反射層7を透過して導光板13の外方へ出射し、表示方向Dに進み運転者に虚像として視認される。すなわち、図6に示すように、虚像14i2、虚像14i3、虚像14i4が導光板13上に結像され、それらが運転者により図5に示すように視認される。また、装飾線14からの反射光が半透過反射層7を透過して導光板13の外方へ出射するが、その出射光の光量は、装飾線14の実像の場合が最大であり、虚像14i1、虚像14i2、虚像14i3、虚像14i4の順に少なくなっている。したがって、運転者が導光板13を見たときに、装飾線14の実像14が最も明るく見え、虚像14i1、虚像14i2、虚像14i3、虚像14i4の順に暗くなって見える。
【0048】
ところで、導光板13は、その板厚が、図6に示すように、回路基板10側から見返し板22側に向かうに連れて徐々に減少するように形成されている。一方、装飾線14は、その長手方向を導光板13の板厚変化方向と直交するように配置されている。つまり、装飾線14の長手方向が導光板13における板厚変化方向とほぼ一致している。これにより、装飾線14、および複数の虚像14i1、14i2、14i3、14i4は、互いに平行、且つ隣接する実像および虚像の間隔、および隣接する虚像同士の間隔が、等しくならずに、実像から離れるに連れて小さくなっている。さらに、実像14、虚像14i1、虚像14i2、虚像14i3および虚像14i4それぞれの明るさは、実像4→虚像14i1→虚像14i2→虚像14i3→虚像14i4の順番で暗くなっている。
【0049】
したがって、導光板13に設けられた装飾線14は、その実像4に加え実像14と並んで複数の虚像14i1〜14i4が見える。また、実像4および虚像14i1〜14i4の発光輝度は、実像14がもっとも明るく、0複数の虚像14i1〜14i4においては実像14から離れるほど暗くなる。さらに、ほぼ平行に並んだ実像4および虚像14i1〜14i4の間隔は、実像14から離れるにしたがって徐々に小さくなっている。以上により、装飾線14の立体感が強調されて見えることにより、アンビエント表示部12の見映えを立体感により富むものとすることができる。発光ダイオード15を、複数種類の発光色を備える形式のものを用いる、あるいは、発光ダイオード15として、互いに異なる発光色の発光ダイオードを複数用いることにより、実像14および虚像14i1〜14i4の表示色を切り替えてアンビエント表示することができる。
【0050】
続いて、フォグランプインジケータ16等の表示構造の効果について説明する。本発明の第二実施形態によるコンビネーションメータ1におけるフォグランプインジケータ16は、導光体20から、フォグランプインジケータ16の図形形状をした表示光をアンビエント表示部12の導光板13に照射し、そこで表示方向Dへ向かって反射させることにより、導光板13上に虚像16iを結像して視認させるものである。したがって、導光板13自体およびその背後にフォグランプインジケータ16を表示させるための部材を設ける必要がない。これにより、複雑且つ大型の構造を採ることなく、且つ容易に、導光板13上にアンビエント表示画像である装飾線14とは異なるフォグランプインジケータ16を重ねて同時に表示することが可能となり、コンビネーションメータ1の見映えをより斬新なものとすることができる。また、導光板13上の表示スペースを有効に活用することもできる。
【0051】
(第三実施形態)
図7および図8に示す本発明の第三実施形態は、先に説明した、第二実施形におけるアンビエント表示部12に隣接して、図7に示すように、液晶表示器24を備えるデジタルスピードメータ23を配置したものである。
【0052】
以下に、本発明の第三実施形態によるコンビネーションメータ1の構造について説明する。なお、第三実施形態において、アンビエント表示部12の構成、およびその見映えに及ぼす効果は、第二実施形態の場合とまったく同様であるので説明は省略し、デジタルスピードメータ23の構成およびデジタルスピードメータ23とアンビエント表示部12との位置関係について説明する。
【0053】
デジタルスピードメータ23において、車速を指示する数字を表示する表示部材である液晶表示器24は、図7に示すように、多数の画素が縦横に配置されてなる画像表示部24aと、画像表示部24aの外周に配置され各画素に通電する導電部材が設けられた電極部24bとから構成されている。液晶表示器24の背後には、図8に示すように、画像表示部24aを透過照明するための光源、たとえば発光ダイオード25が配置されている。発光ダイオード25は、回路基板10に実装されている。液晶表示器24および回路基板10は、図8に示すように、ケース26に収容保持されている。
【0054】
アンビエント表示器12の主要部品である導光板13は、その一部を、表示方向Dにおいて液晶表示器24の一部と重ねて配置されている。詳しくは、図7および図8に示すように、導光板13は、表示方向Dにおいて液晶表示器24よりも前側(運転者側)、且つ液晶表示器24の電極部24bを覆うようにして配置されている。また、液晶表示器24および導光板13の前面側には、図8に示すように見返し板22が配置されている。見返し板22は、図7および図8に示すように、液晶表示器24の電極部24bを覆うようにして配置されている。
【0055】
以上のような構成により、液晶表示器24の電極部24bは視認されず、液晶表示器24の画像表示部24aに隣接して直ぐにアンビエント表示部12が視認される。これにより、アンビエント表示部12の見映えを立体感により富むものとすることができると同時に、その相乗効果により、デジタルスピードメータ23の見映えも立体感に富むものとすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 コンビネーションメータ(車両用表示装置)
2 指針計器
3 導光板
31 表面
32 裏面
4 目盛(表示意匠部)
4i,4i1,14i2,14i3 虚像
5 発光ダイオード(光源)
6 反射層
7 半透過反射層
8 指針
9 ムーブメント
91 シャフト
10 回路基盤
11 ケース
12 アンビエント表示部
13 導光板
131 表面
132 裏面
14 装飾線(表示意匠部)
14i1,114i2,114i3,14i4 虚像
15 発光ダイオード(光源)
16 フォグランプインジケータ(表示画像)
16i 虚像
17 ターンシグナルインジケータ(表示画像)
17i 虚像
18 バッテリ電圧ウォーニング(表示画像)
18i 虚像
19 遮光層
20 導光体
21 発光ダイオード
22 見返し板
22a 開口
23 デジタルスピードメータ
24 液晶表示器
24a 画像表示部
24b 電極部
25 発光ダイオード
26 ケース
D 表示方向
t1,t2 板厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材質から形成され、且つその板厚方向を表示方向として配置された導光板と、
前記導光板の裏面に形成される表示意匠部と、
前記導光板内に光を入射するように配置された光源と、を備え、
前記光源から発せられて前記導光板内を進行する光により前記表示意匠部を照射して前記表示意匠部を発光表示する車両用表示装置であって、
前記裏面に反射層を設けるとともに、前記導光板の表面に半透過反射層を設けることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
表示画像を構成する光である表示画像光を発する表示画像光形成手段を備え、
前記表示画像光形成手段により前記表示画像光を前記導光板の前記表面に照射して前記表面上に前記表示画像の虚像を形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示画像は、車両が備える機器の作動状態を視認可能に指示するインジケータあるいはウォーニングであることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記導光板の板厚は、少なくとも前記表示意匠部を包含する領域において変化していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記導光板の前記裏面および前記表面の少なくとも一方は曲面状に形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記表示意匠部は、指針計器の目盛および数字の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の車両用表示装置。
【請求項7】
液晶表示器を備え、
前記導光板は、前記表示方向において前記液晶表示器の前方、且つ前記表示方向において前記液晶表示器と部分的に重なるように配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一つに記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記光源の発光色を切り替え可能としたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一つに記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−93120(P2012−93120A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238694(P2010−238694)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】