説明

車両用表示装置

【課題】乗員に現状の先行車両と自車両との車間距離を容易に把握させることで、乗員に与える安心感を向上させる。
【解決手段】本発明に係る車両用表示装置10は、自車両100の走行情報を表示する自車両モデル11と、上記自車両100の進行方向で走行する先行車両の走行情報を表示する先行車両モデル12と、上記自車両100及び先行車両の車間距離を表示する車道モデル13と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関し、特に、乗員に車両の走行制御手段による情報を報知することが可能な車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員に車両の走行制御手段による情報を報知することが可能な車両用表示装置として、例えば、特許文献1には、自車両の運転者の注意力として覚醒度を求める注意力演算部、及び自車両の前方を走行する先行車両の存在の有無を判断する車間距離演算部を有する車両用表示装置が開示されている。
【0003】
そして、特許文献1には、これら注意力演算部で求めた覚醒度の高さ及び車間距離演算部により判断結果を一つの画面に表示することで、先行車両との車間距離を把握することが可能な車両用表示装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、先行車両の位置を示す先行車遠表示部、先行車中間表示部及び先行車近表示部を有し、自車両と先行車両との車間距離を把握することが可能な追従先行車表示装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、乗員に車両制御状態の内容を判断する表示内容判断部を有する車両用走行制御装置の状態表示装置が開示されている。そして、特許文献3には、表示内容判断部の非セット時に、セット操作が可能な車速範囲を表示し、セット時に、このセット操作を継続することが可能な車速範囲を表示することで、車両用走行制御装置の有効活用を図ることが可能な車両用走行制御装置の状態表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−152438号公報
【特許文献2】特開2004−050980号公報
【特許文献3】特開2002−274217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1では、上述したように、先行車両の有無及び先行車両との車間距離を判断し、この判断結果を表示しているため、先行車両との車間距離を把握することが可能であるが、現状の先行車両と自車両との車間距離を表示していないため、乗員に現状の先行車両と自車両との車間距離を容易に把握させるものではない。
【0008】
また、上記特許文献2では、先行車両の表示態様を車間距離に応じて複数有し、先行車両との車間距離を把握することが可能であるが、上記特許文献1と同様に、自車両を表示していないため、乗員に現状の先行車両と自車両との車間距離を容易に把握させるものではない。
【0009】
また、上記特許文献3では、上述したように、車両用走行制御装置の有効活用を図っているが、上記特許文献1と同様に、現状の先行車両と自車両との車間距離を表示していないため、乗員に現状の先行車両と自車両との車間距離を容易に把握させるものではない。
【0010】
すなわち、上記特許文献1乃至3では、乗員に現状の先行車両と自車両との車間距離を容易に把握させることが困難である。ここで、乗員に現状の先行車両と自車両との車間距離を容易に把握させた方が、走行時における前方への注意力を削ぐ可能性を低減させているため、乗員に与える安心感を高めることについては言うまでもない。このため、上記特許文献1乃至3では、乗員に与える安心感を向上させる点については改善の余地がある。
【0011】
本発明の目的は、上記従来の実状に鑑みて、乗員に現状の先行車両と自車両との車間距離を容易に把握させることで、乗員に与える安心感を向上させることが可能な車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を解決するために、本発明に係る車両用表示装置は、自車両の走行情報を表示する自車両走行情報表示手段と、上記自車両の進行方向で走行する先行車両の走行情報を表示する先行車両走行情報表示手段と、上記自車両及び先行車両の車間距離を表示する車間距離表示手段と、を備えて構成されている。
【0013】
好適には、上記解決手段に加えて、上記自車両走行情報表示手段は、上記自車両の走行情報として、上記自車両の自車両モデルを表示する自車両モデル表示手段と、上記自車両の車速を数値として表示する自車両車速表示手段と、上記自車両で設定された設定速度を数値として表示する自車両設定車速表示手段と、を備えて構成されている。
【0014】
好適には、上記解決手段に加えて、上記先行車両走行情報表示手段は、上記先行車両の先行車両モデルを表示する走行車両モデル表示手段を備え、上記自車両の上記先行車両との車間距離が予め設定された所定の車間距離よりも小である場合、上記自車両モデルの前方に上記先行車両モデルを表示するように構成されている。
【0015】
好適には、上記解決手段に加えて、上記先行車両走行情報表示手段は、上記先行車両の車速を数値として表示する先行車両車速表示手段を備えて構成されている。
【0016】
好適には、上記解決手段に加えて、上記先行車両走行情報表示手段は、上記自車両の上記先行車両との車間距離に応じて上記自車両モデルに上記先行車両モデルを近づかせて表示するように構成されている。
【0017】
好適には、上記解決手段に加えて、上記自車両走行情報表示手段は、上記自車両の車速の変位状態を表示する車速変位状態表示手段を備えて構成されている。
【0018】
好適には、上記解決手段に加えて、上記車速変位状態表示手段は、上記自車両の加速時及び減速時で異なる表示態様に表示する表示態様選択手段を備えて構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両用表示装置によれば、乗員に現状の先行車両と自車両との車間距離を容易に把握させることで、乗員に与える安心感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態である車両用表示装置を適用した車両における車両用走行制御ユニットの概略を模式的に示し、この車両用制御ユニットの概略を車両側方から示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態である車両用表示装置を適用した車両における車両用走行制御ユニットの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施の形態である車両用表示装置への表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4A】本発明の一実施の形態である車両用表示装置を模式的に示し、この車両用表示装置の表示態様における第1態様を示す図である。
【図4B】本発明の一実施の形態である車両用表示装置を模式的に示し、この車両用表示装置の表示態様における第2態様を示す図である。
【図4C】本発明の一実施の形態である車両用表示装置を模式的に示し、この車両用表示装置の表示態様における第3態様を示す図である。
【図5A】本発明の他の実施の形態である車両用表示装置を模式的に示し、この車両用表示装置の表示態様における第1態様を示す図である。
【図5B】本発明の他の実施の形態である車両用表示装置を模式的に示し、この車両用表示装置の表示態様における第2態様を示す図である。
【図5C】本発明の他の実施の形態である車両用表示装置を模式的に示し、この車両用表示装置の表示態様における第3態様を示す図である。
【図5D】本発明の他の実施の形態である車両用表示装置を模式的に示し、この車両用表示装置の表示態様における第4態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態の車両用表示装置について、図を用いて説明する。まず、本発明の実施の形態である車両用表示装置を適用した車両の概略について、図1を用いて説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態である車両用表示装置10を適用した自車両100における車両用走行制御ユニット110の概略を模式的に示し、この車両用走行制御ユニット110の概略を車両側方から示す概略構成図である。
【0023】
図1に例示されるように、本実施の形態の自車両100には、この自車両100の運転状態を制御するとともに、走行制御手段としての機能を備える車両用走行制御ユニット110が搭載されている。
【0024】
この車両用走行制御ユニット110は、主に自車両と先行車両との車間距離を適切に維持する役目を果たし、例えば、アダプティブクルーズコントロール(ACC(Adaptive Cruise Control))システムを用いて構成されている。
【0025】
この車両用走行制御ユニット110では、車速センサ120及び先行車両捕捉手段130からの先行車両に関する情報に基づき、前方に先行車両を捕捉していない時は予め設定した設定車速での走行を維持し、前方に先行車両を捕捉した時は自車両と先行車両との車間距離を適切に維持する制御が行われている。
【0026】
具体的には、車両用走行制御ユニット110は、ECU、ROM、RAM及びEEPROMを有して構成されている。そして、車両用走行制御ユニット110は、ECUによりROMに記憶されている制御プログラムに従い、車速センサ等の各センサ、スイッチ類からの検出信号を受信し、RAMに格納されている各種データ等に基づき、エンジン制御、ブレーキ制御等の車両走行制御を行っている。
【0027】
本実施の形態において、車両用走行制御ユニット110の入力側には、自車両100の車速を検出する車速センサ120と、自車両100の前方を認識し、先行車両を捕捉する先行車両捕捉手段130と、が接続されている。
【0028】
この車速センサ120は、上述したように、自車両100の車速を検出する役目を果たしている。この車速センサ120は、周知のものであるのでその説明を省略する。
【0029】
先行車両捕捉手段130は、ステレオカメラ131及びステレオ画像処理部132を少なくとも備えて構成されている。このステレオカメラ131は、ステレオ光学系として、例えば、電荷結合素子(CCD)等の固定撮像素子を用いた左右一対のCCDカメラで構成されている。
【0030】
そして、このステレオカメラ131は、車両における車室内の天井前方に取り付けられている。ここで、このステレオカメラ131は、車室内の天井前方に一定の間隔を持って取り付けられている。
【0031】
このように、ステレオカメラ131は、車室内の天井前方に一定の間隔を持って取り付けられているため、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像し、ステレオ画像処理部132に入力している。
【0032】
このステレオ画像処理部132は、ステレオカメラ131で撮像した車外の対象(例えば、先行車両)のステレオ画像に対し、対応する位置のズレ量から距離情報を求めている。また、ステレオ画像処理部132は、この距離情報に基づいて距離画像を生成している。
【0033】
そして、先行車両捕捉手段130は、ステレオ画像処理部132で生成した距離画像を基に先行車両を認識し、自車両と先行車両との想定距離を求め、認識した先行車両のデータを車両用走行制御ユニット110に出力している。
【0034】
また、車両用走行制御ユニット110の入力側には、定速走行制御のON/OFFを制御するクルーズスイッチ140、スロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ152と、が接続されている。
【0035】
すなわち、車両用走行制御ユニット110は、乗員がクルーズスイッチ140をONにすることで、定速走行制御を起動するように構成されている。また、車両用走行制御ユニット110は、スロットル開度センサ152により自車両100の加速度等を認識するように構成されている。
【0036】
本実施の形態において、車両用走行制御ユニット110の出力側には、この車両用走行制御ユニット110で処理した情報を乗員に報知する報知手段(表示制御ユニット)160が接続されている。この報知手段160は、上述したように、車両用走行制御ユニット110で処理した情報を乗員に報知するものであり、例えば、追尾ランプの表示、ブザー等が挙げられる。
【0037】
そして、本実施の形態の報知手段160は、上述した追尾ランプの表示、ブザー等の他に、車両用表示装置10を備えて構成されている。この車両用表示装置10については、後述する。
【0038】
また、車両用走行制御ユニット110の出力側には、スロットルアクチュエータ153が接続されている。また、車両用走行制御ユニット110の出力側には、ブレーキブースタ170が接続されている。
【0039】
このブレーキブースタ170は、自車両100の各車輪に併設されているブレーキホイールシリンダ171に対し、ブレーキ油圧を強制的に供給する役目を果たしている。すなわち、自車両100の各車輪は、ブレーキブースタ170により各ブレーキホイールシリンダ171にブレーキ油圧が供給されると制動し、走行中の自車両100を強制的に減速させている。
【0040】
次に、本実施の形態の車両用走行制御ユニット110の処理手順について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の一実施の形態である車両用表示装置10を適用した自車両100における車両用走行制御ユニット110の処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS1において、車両用走行制御ユニットCPUは、必要なパラメータの読み込み処理を行う。この処理において、必要なパラメータとは、上述したように、車両用走行制御ユニット110の入力側に接続されている車速センサ120による自車両100の車速、先行車両捕捉手段130による先行車両との車間距離、スロットル開度センサ152によるスロットル弁の開度等をいう。
【0042】
なお、車両用走行制御ユニット110の入力側には、上述したように、クルーズスイッチ140が接続されている。すなわち、車両用走行制御ユニット110は、乗員がクルーズスイッチ140をONにすることで起動するように構成されている。
【0043】
ステップS2において、車両用走行制御ユニットCPUは、上記ステップS1で読み込んだ必要なパラメータのうち、車速センサ120による自車両100の車速が40km/h以下であるか否かの判定を行う。
【0044】
この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、自車両走行速度が40km/h以下であると判定した場合には、ステップS3に処理を移す。一方、この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、自車両走行速度が40km/h以上であると判定した場合には、この走行制御処理を終了する。
【0045】
ステップS3において、車両用走行制御ユニットCPUは、上記ステップS1で読み込んだ必要なパラメータのうち、先行車両捕捉手段130による先行車両との車間距離に基づいて、先行車両の存在の有無を判定する。
【0046】
この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、先行車両の存在を有りと判定した場合には、ステップS4に処理を移す。一方、この処理において、制御ユニットCPUは、先行車両の存在を無しと判定した場合には、この走行制御処理を終了する。
【0047】
すなわち、この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、先行車両の存在を無しと判定した場合には、乗員が設定したセット車速で自車両100が走行するよう定速走行制御処理を行う。
【0048】
このとき、車両用走行制御ユニットCPUは、定速走行制御処理では、予め設定した自車両100の車速を目標車速として設定し、スロットルアクチュエータ153によりスロットル弁を開閉動作させ、自車両100の車速を目標車速に維持させる制御を行う。
【0049】
ステップS4において、車両用走行制御ユニットCPUは、制御目標時間の演算処理を行う。この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、上記ステップS1で読み込んだパラメータのうち、先行車両捕捉手段130による先行車両との車間距離と、スロットル開度センサ152による加速度情報とに基づいて、先行車両に到達するまでの時間を演算している。
【0050】
なお、この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、先行車両捕捉手段130による先行車両との車間距離を、先行車両に対し、予め確保すべき車間距離としている。
【0051】
ステップS5において、車両用走行制御ユニットCPUは、上記ステップS4で演算した制御目標時間の補正処理を行う。この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、上記ステップS1で読み込んだパラメータのうち、先行車両捕捉手段130による先行車両との車間距離と、スロットル開度センサ152により自車両100の車速に基づいて処理を行う。
【0052】
この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、車間距離を自車両100の車速で除した値として車間時間を算出し、この車間時間と上記ステップS4で演算した制御目標時間との差に基づいて、制御目標時間の補正処理を行う。
【0053】
ステップS6において、車両用走行制御ユニットCPUは、制御目標時間の割り込み制御補正処理を行う。この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、上記ステップS1で読み込んだパラメータのうち、先行車両捕捉手段130による先行車両との車間距離と、予め設定された設定車間距離とに基づいて、制御目標時間の割り込み制御補正処理を行う。
【0054】
この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、他の先行車両の割り込み時に不必要なブレーキ制御を抑制している。
【0055】
ステップS7において、車両用走行制御ユニットCPUは、先行車両の予測位置の演算処理を行う。この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、上記ステップS1で読み込んだパラメータのうち、先行車両捕捉手段130による先行車両情報に基づいて、先行車両の予測位置の演算処理を行う。
【0056】
ステップS8において、車両用走行制御ユニットCPUは、目標加速度の演算処理を行う。この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、上記ステップS1で読み込んだパラメータのうち、自車両100の車速及び予め設定された設定車間距離に基づいて、目標加速度の演算処理を行う。
【0057】
ステップS9において、車両用走行制御ユニットCPUは、上記ステップS8で演算処理した目標加速度に応じてスロットル開度、ブレーキ制御等の動力制御処理を行う。この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、目標加速度を維持するように、スロットルアクチュエータ153によりスロットル弁を開閉動作させて自車両100の車速を制御している。
【0058】
また、この処理において、車両用走行制御ユニットCPUは、スロットル開度の開閉の他に、スロットル弁を全閉させても目標加速度に減速させることが出来ない場合は、ブレーキホイールシリンダ171にブレーキ油圧を供給し、各車輪を強制的に減速させている。
【0059】
なお、本実施の形態に車両用走行制御ユニットCPUは、先行車両捕捉手段130のステレオカメラ131が先行車両を一瞬見失った場合、自車両100の前方に先行車両が存在しているか否かを、ステレオ画像処理部132からの情報のみでは明確に判定することができない。
【0060】
なお、先行車両を見失う態様としては、自車両が先行車両を追従走行制御中、先行車両がカーブに進入して、ステレオカメラの捕捉範囲から外れ、ステレオ画像処理部において先行車両を見失う(ロストした)場合が考えられる。
【0061】
また、先行車両を見失う他の態様としては、先行車両が登坂路に進入した際に、この先行車がステレオカメラの捕捉範囲から外れて見失う(ロストした)場合が考えられる。また、平坦な直線路を走行中であっても逆光の影響でCCDが自車両の前方の画像を捕らえることができなくなって先行車両を見失う(ロストした)場合も考えられる。
【0062】
このような場合、一定の保持時間内に、自車両100前方の走行路に先行車両が捕捉された場合は、追従走行制御を再開させ、又、保持時間経過後も先行車両が捕捉されない場合は車両用走行制御ユニット110をキャンセルし、運転者のアクセル操作により車速を制御する通常制御へ移行する。
【0063】
また、車両用走行制御ユニット110では、自車両100の前方の走行路に先行車両を捕捉した場合、或いは先行車両を捕捉後にロストした場合、又は車両用走行制御ユニット110を自動的にキャンセルする場合等のように、走行条件が変化する場合、追尾ランプの表示、或いはブザーの吹鳴(ブザー音)により、その旨を運転者に報知する。
【0064】
本実施の形態において、車両用走行制御ユニット110の出力側には、上述したように、この車両用走行制御ユニット110で処理した自車両100の走行状態を乗員に報知する報知手段160が接続されている。
【0065】
この報知手段160は、追尾ランプの表示、ブザー音を備えて構成されている。また、本実施の形態において、報知手段160は、上述した追尾ランプの表示、ブザー音の他に、乗員に報知する態様として、車両用表示装置10を備えて構成されている。
【0066】
以下、本実施の形態の車両用走行制御ユニット110に基づいた車両用表示装置の表示制御処理について、図3、図4A、図4B及び図4Cを用いて説明する。図3は、本発明の一実施の形態である車両用表示装置の表示制御処理を示すフォローチャートである。
【0067】
また、図4Aは、本発明の一実施の形態である車両用表示装置10を模式的に示し、この車両用表示装置10の表示態様における第1態様を示す図であり、図4Bは、本発明の一実施の形態である車両用表示装置10を模式的に示し、この車両用表示装置10の表示態様における第2態様を示す図であり、図4Cは、本発明の一実施の形態である車両用表示装置10を模式的に示し、この車両用表示装置10の表示態様における第3態様を示す図である。
【0068】
ステップS11において、表示制御処理CPUは、車両用走行制御ユニット110で処理した車両走行情報を受信する。この処理において、表示制御処理CPUは、車両用走行制御ユニット110から受信する車両走行情報のうち、少なくとも自車両100の車速情報、自車両100の設定車速情報、先行車両情報、先行車両との車間距離情報を受信している。
【0069】
ステップS12において、表示制御処理CPUは、上記ステップS11で受信した車両走行情報のうち、自車両100の車速情報に基づいて、車両用表示装置に自車両100の車速を表示させる表示処理を行う。
【0070】
図4Aに例示されるように、この処理において、表示制御処理CPUは、自車両100の車速の表示態様として、車両用表示装置10の車速表示目盛14上で自車速バー15を変位させている。
【0071】
また、この処理において、表示制御処理CPUは、自車両100の車速の表示態様として、上述した自車速バー15に加えて、車道モデル13の車道臨界線13a及び距離線13bを自車両100の車速に応じて変位させても良い。
【0072】
このように、本実施の形態の車両用表示装置10は、車道臨界線13aを変位させることで、乗員に自車両100の走行状態をより容易に把握させることが可能になる。
【0073】
ステップS13において、表示制御処理CPUは、上記ステップS11で受信した車両走行情報のうち、自車両100の設定車速情報に基づいて、車両用表示装置10に設定車速を表示させる表示処理を行う。
【0074】
図4Aに例示されるように、この処理において、表示制御処理CPUは、自車両100の設定車速の表示態様として、車両用表示装置10の車速表示目盛14上で設定速度アイコン16を変位させている。
【0075】
ステップS14において、表示制御処理CPUは、上記ステップS11で受信した車両走行情報のうち、先行車両情報を受信したか否かの判定を行う。この処理において、表示制御処理CPUは、先行車両情報を受信したと判定した場合には、ステップS15に処理を移す。
【0076】
一方、この処理において、表示制御処理CPUは、上記ステップS11で先行車両情報を受信していないと判定した場合には、この表示制御処理を終了する。すなわち、表示制御処理CPUは、上記ステップS12及びステップS13で表示した表示処理を維持している。
【0077】
ステップS15において、表示制御処理CPUは、上記ステップS11で受信した先行車両情報に基づいて、先行車両を表示させる表示処理を行う。
【0078】
図4Bに例示されるように、この処理において、表示制御処理CPUは、先行車両の表示態様として、車両用表示装置10の車道モデル13上における自車両モデル11よりも前方に先行車両モデル12を表示している。
【0079】
そして、この処理において、表示制御処理CPUは、車両用表示装置10の車道モデル13の車道臨界線13a上に自車両モデル11と先行車両モデル12との車間距離を指し示すための距離線13bを表示している。
【0080】
このように、本実施の形態の車両用表示装置10は、先行車両の有無に応じて自車両モデル11と先行車両モデル12とを一つの画面に表示しているため、先行車両の有無を容易に判断することが可能になる。
【0081】
ステップS16において、表示制御処理CPUは、上記ステップS11で受信した車両走行情報のうち、自車速減速情報を受信したか否かの判定を行う。この処理において、表示制御処理CPUは、自車速減速情報を受信した判定した場合には、ステップS17に処理を移す。
【0082】
一方、この処理において、表示制御処理CPUは、自車速減速情報を受信していないと判定した場合には、ステップS18に処理を移す。
【0083】
ステップS17において、表示制御処理CPUは、上記ステップS11で受信した車両走行情報のうち、自車速減速情報に基づいて、自車速の減速表示処理を行う。
【0084】
図4Cに例示されるように、この処理において、表示制御処理CPUは、自車両100の減速表示態様として、車両用表示装置10の車速表示目盛14上で自車速バー15を変位させている。
【0085】
ステップS18において、表示制御処理CPUは、上記ステップS11で受信した車両走行情報のうち、自車速加速情報を受信したか否かの判定を行う。この処理において、表示制御処理CPUは、自車速加速情報を受信したと判定した場合には、ステップS19に処理を移す。
【0086】
一方、この処理において、表示制御処理CPUは、自車速加速情報を受信していないと判定した場合には、この表示制御処理を終了する。
【0087】
ステップS19において、表示制御処理CPUは、上記ステップS11で受信した車両走行情報のうち、自車速加速情報に基づいて、自車速の加速表示処理を行う。
【0088】
このように、本実施の形態の車両用表示装置10は、自車両モデル11と先行車両モデル12とを一つの画面に表示するとともに、自車両と先行車両との車間距離を表示しているため、先行車両との車間距離も容易に把握することが可能になる。
【0089】
したがって、本実施の形態の車両用表示装置10によれば、先行車両の有無及び、先行車両との車間距離を容易に判断することが可能になるため、走行中における前方への注意力の低減を抑制することが可能になり、走行中における安全性を高めることができる。
【0090】
次に、本実施の形態の車両用表示装置10に表示される表示態様について、図4A、図4B及び図4Cを用いて補足説明する。
【0091】
図4Aに例示されるように、車両用表示装置10には、この車両用表示装置10を目視した状態における右方側に自車両モデル11が表示されている。また、車両用表示装置10には、車道モデル13が表示されている。この車道モデル13は、一対の車道臨界線13aと、この一対の車道臨界線13aの夫々の線上に位置し、距離を示す距離線13bと、を有している。
【0092】
そして、車道モデル13の車道臨界線13a及び距離線13bは、自車両100の走行時に車両用表示装置10における上方から下方に向かって流動するように表示される。これにより、本実施の形態の車両用表示装置10は、自車両モデル11が走行中であることを明示している。
【0093】
このように、本実施の形態の車両用表示装置10は、車道臨界線13a及び距離線13bを上方から下方に向かって流動するように表示しているため、乗員に自車両100の走行状態をより容易に把握させることが可能になる。
【0094】
また、車両用表示装置10には、この車両用表示装置10を目視した状態における左方側に車速メータが表示されている。この車速メータは、車速表示目盛14と、この車速表示目盛14上で往復移動することで、自車両の速度を表示する自車速バー15と、自車速バー15とともに車速表示目盛14上で往復移動し、自車両の設定速度を表示する設定速度アイコン16と、表示している。
【0095】
本実施の形態において、車速表示目盛14は、一対の略半円弧状の外周線14a,内周線14bを有し、この一対の外周線14a,内周線14bのうち、外周線14aに0km/h、50km/h、100km/hを表示している。なお、本実施の形態の車速表示目盛14は、0km/h、50km/h、100km/hを表示しているが、これに限定されず、例えば、10km/h間隔で表示しても良い。
【0096】
車速メータの自車速バー15は、上述したように、車速表示目盛14上を往復移動することで、自車両の速度を表示する役目を果たしている。また、車速メータの設定速度アイコン16は、上述したように、自車両の設定速度を表示する役目を果たしている。この設定速度アイコン16も、自車速バー15と同様に、車速表示目盛14上を往復移動可能となるように設定されている。
【0097】
そして、設定速度アイコン16は、車速表示目盛14の外周線14a上を往復移動可能となるよう設定されている。すなわち、設定速度アイコン16は、設定速度を50km/hから100km/hに変更すると、車速表示目盛14の外周線14a上を左側から右側に向かって移動する。一方、設定速度アイコン16は、設定速度を100km/hから50km/hに変更すると、車速表示目盛14の外周線14a上を右側から左側に向かって移動する。
【0098】
このように、本実施の形態の車両用表示装置10は、自車両モデル11、車道モデル13、車速メータとしての車速表示目盛14、自車速バー15及び設定速度アイコン16を一つの表示画面に表示している。
【0099】
図4Bに例示されるように、本実施の形態の車両用表示装置10には、図4Aに例示した自車両モデル11、車道モデル13、車速表示目盛14、自車速バー15及び設定速度アイコン16の他に、先行車両モデル12が表示されている。
【0100】
このように、本実施の形態の車両用表示装置10は、先行車両の有無に応じて自車両モデル11と先行車両モデル12とを一つの画面に表示しているため、先行車両の有無を容易に判断することが可能になる。
【0101】
図4Cに例示されるように、本実施の形態の車両用表示装置10は、自車両100の設定速度及び走行速度が100km/hの際、自車両100の先行車両との設定車間距離内に入ってきた状態を示し、自車速度を75km/hに変更した状態を表示している。
【0102】
そして、車両用表示装置10に表示された車道モデル13には、上述したように、距離線13bが表示されている。このため、車両用表示装置10では、自車両モデル11と先行車両モデル12との車間距離が表示される。
【0103】
このとき、車両用表示装置10では、先行車両モデル12を自車両モデル11との距離に応じて、自車両モデル11に近づけて表示したり、拡大して表示したりしている。これにより、車両用表示装置10は、自車両100と先行車両との車間距離をより容易に把握させることが可能になる。
【0104】
ここで、従来の車両用表示装置は、先行車両モデルを表示しているが、自車両モデルを表示していない。このため、従来の車両用表示装置では、自車両と先行車両との車間距離を容易に把握させることが困難である。
【0105】
これに対し、本実施の形態の車両用表示装置10は、上述したように、自車両モデル11と先行車両モデル12とを表示し、これら自車両モデル11と先行車両モデル12との車間距離を表示しているため、先行車両の有無及び先行車両との車間距離を容易に把握させることが可能になる。
【0106】
これにより、本実施の形態の車両用表示装置10によれば、先行車両との車間距離を容易に把握することが可能になるため、走行時における車両用表示装置10に向ける視認動作の負担を軽減させ、走行時における安全性を高めることができる。
【0107】
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態について、図5A、図5B及び図5Cを用いて説明する。図5Aは、本発明の他の実施の形態である車両用表示装置20を模式的に示し、この車両用表示装置20の表示態様における第1態様を示す図であり、図5Bは、本発明の他の実施の形態である車両用表示装置20を模式的に示し、この車両用表示装置20の表示態様における第2態様を示す図である。
【0108】
また、図5Cは、本発明の他の実施の形態である車両用表示装置20を模式的に示し、この車両用表示装置20の表示態様における第3態様を示す図であり、図5Dは、本発明の他の実施の形態である車両用表示装置20を模式的に示し、この車両用表示装置20の表示態様における第4態様を示す図である。
【0109】
なお、本実施の形態の車両用表示装置20は、上述の実施の形態1の車両用表示装置10に対し、先行車両の車速を表示した点、及び自車両100の車速の変位状態を表示した点が異なり、他の点は同様である。したがって、上述の実施の形態1と同一又は相当する部分については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0110】
図5Aに例示されるように、表示制御処理CPUは、自車両100の車速情報及び設定車速情報に基づいて、自車両の表示態様として、車両用表示装置20に自車両モデル11、自車速バー15及び設定速度アイコン16を表示させている。
【0111】
そして、表示制御処理CPUは、自車両100の車速の表示態様として、車両用表示装置20の車速表示目盛14上で自車速バー15を変位させている。また、表示制御処理CPUは、自車両100の車速の表示態様として、上述した自車速バー15に加えて、車道モデル13の車道臨界線13a及び距離線13bを変位させても良い。
【0112】
図5Bに例示されるように、表示制御処理CPUは、先行車両情報に基づいて、先行車両の表示態様として、車道モデル13上における自車両モデル11よりも前方に先行車両モデル12を表示させている。
【0113】
本実施の形態において、表示制御処理CPUは、先行車両の車速の表示態様として、車速表示目盛14上で先行車両車速アイコン27を表示させている。このように、本実施の形態の表示制御処理CPUは、先行車両モデル12に他に、先行車両車速アイコン27を表示させているため、乗員に先行車両の走行情報をより具体的に報知することが可能になり、乗員に与える安心感を向上させることができる。
【0114】
図5Cに例示されるように、表示制御処理CPUは、自車両100と先行車両との車間距離に応じて、自車両100の車速を減速表示させる場合、減速表示バー(変位状態)28を表示させている。
【0115】
このように、本実施の形態の表示制御処理CPUは、自車両100の車速の変位状態を表示しているため、乗員に自車両100の走行情報をより具体的に報知することが可能になり、乗員に与える安心感を向上させることができる。
【0116】
図5Dに例示されるように、表示制御処理CPUは、自車両100と先行車両との車間距離に応じて、自車両100の車速を加速表示させる場合、加速表示バー(変位状態)29を表示させている。
【0117】
本実施の形態の表示制御処理CPUは、自車両100の車速の変位状態を表示しているため、減速表示バー28と同様に、乗員に自車両100の走行情報をより具体的に報知することが可能になり、乗員に与える安心感を向上させることができる。
【0118】
このとき、表示制御処理CPUは、減速表示バー28と加速表示バー29とを異なる色で表示させている。このため、乗員に減速表示バー28であるか加速表示バー29であるかを容易に把握させることが可能になり、乗員に与える安心感を向上させることが可能になる。
【0119】
このように、本実施の形態に車両用表示装置10によれば、乗員に与える安心感を向上させるため、車両走行中における安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0120】
10 車両用表示装置
11 自車両モデル
12 先行車両モデル
13 車道モデル
14 車速表示目盛
15 自車速バー
16 設定速度アイコン
100 自車両
110 車両用走行制御ユニット
120 車速センサ
130 先行車両捕捉手段
140 クルーズスイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行情報を表示する自車両走行情報表示手段と、
前記自車両の進行方向で走行する先行車両の走行情報を表示する先行車両走行情報表示手段と、
前記自車両及び先行車両の車間距離を表示する車間距離表示手段と、を備えたこと、
を特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記自車両走行情報表示手段は、前記自車両の走行情報として、
前記自車両の自車両モデルを表示する自車両モデル表示手段と、
前記自車両の車速を数値として表示する自車両車速表示手段と、
前記自車両で設定された設定速度を数値として表示する自車両設定車速表示手段と、を備えたこと、
を特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記先行車両走行情報表示手段は、
前記先行車両の先行車両モデルを表示する先行車両モデル表示手段を備え、
前記自車両の前記先行車両との車間距離が予め設定された所定の車間距離よりも小である場合、前記自車両モデルの前方に前記先行車両モデルを表示すること、
を特徴とする請求項2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記先行車両走行情報表示手段は、
前記先行車両の車速を数値として表示する先行車両車速表示手段を備えたこと、
を特徴とする請求項2又は3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記先行車両走行情報表示手段は、
前記自車両の前記先行車両との車間距離に応じて前記自車両モデルに前記先行車両モデルを近づかせて表示すること、
を特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記自車両走行情報表示手段は、
前記自車両の車速の変位状態を表示する車速変位状態表示手段を備えたこと、
を特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記車速変位状態表示手段は、
前記自車両の加速時及び減速時で異なる表示態様に表示する表示態様選択手段を備えたこと、
を特徴とする請求項6記載の車両用表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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