説明

車両用計器照明装置

【課題】部品点数や或いは製造工程を増大させることなく、照明ムラの少ない良好な外観品質を有する車両用計器照明装置を提供する。
【解決手段】遮光部16は、LED5とダイヤル板部材12との間に介装されていて、LED5側にダイヤル板部材12への直接光の入射を遮る遮光面部16bが、LED5からの光軸L上に位置するように設けられている。
この遮光面部16bは、LED5の直上に対向する面略平坦で半円状の屋根部16cを、一定間隔h2を設けて片持ち支柱部16dによって固設されている。
また、屋根部16cは、遮光面部16bから、ダイヤル板部材12方向に向けて先細りとなるように延設される円錐形を呈し、反対側のダイヤル板部材12側の外側面をR形状の反射面として、第2反射面部16aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の計器照明装置に関し、良好な外観品質を得られる照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図7に示す様な、車両のメータ照明装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
このような車両用計器照明装置では、車両用メータ装置1のハウジング2に合成樹脂製の回路基板3が設けられているものが知られている。
【0004】
この回路基板3には、照明光の光源となるLED5が実装されていて、このLED5が発光することにより、このハウジング2の開口部2aに装着されたダイヤル板部材4の裏面側4bに塗布された調光印刷層6を介して、表面側4aへ透過照明される。
【0005】
次に、この従来の車両用計器照明装置の作用について説明する。
【0006】
このように構成された従来の車両用計器照明装置では、図7に示す様に、前記調光印刷層6を網点又白色等とすることにより、前記LED5の真上等の点光りや照明ムラを抑制するようにしている。
【0007】
なお、照明ムラを抑制するものとしては、前記LED5の真上に、光拡散部材を設けているものも知れられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−99765号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の車両用計器照明装置では、前記ダイヤル板部材4の裏面側4bに、調光印刷層6を塗布しなければならない等、別途調光印刷工程が必要となるといった問題があった。
【0010】
そこで、この発明は、部品点数や或いは製造工程を増大させることなく、照明ムラの少ない良好な外観品質を有する車両用計器照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の車両用計器照明装置では、計器ハウジング部材内に設けられた光源と、該計器ハウジング部材を覆うと共に、前記光源からの照明光をバックライト照明として用いるダイヤル板部材と、該計器ハウジング部材に設けられて前記光源からの照明光を拡散反射させる第1反射面部を有する第1側壁部と、該第1側壁部と対向する第2側壁部には、前記ダイヤル板部材への直接照明光を拡散反射させる第2反射面部を備えた遮光部を設けてなる車両用計器照明装置であって、前記遮光部は、前記光源と前記ダイヤル板部材との間に介装されて、該光源側に設けられて、前記ダイヤル板部材への直接光の入射を遮る遮光面部を有すると共に、前記第1反射面部によって拡散反射された照明光を、前記ダイヤル板部材に向かって拡散反射させる第2反射面部を有し、該第2反射面部は、前記遮光面部からダイヤル板部材方向に向けて、先細りとなるように形成されている車両用計器照明装置を特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用計器照明装置では、前記光源からの照明光は、前記遮光部に設けられた遮光面部によって、前記ダイヤル板部材に直接到達しない。
【0013】
このため、光源の真上のダイヤル板部材で、照明光によるバックライト照明が点光り等をすることが無い。
【0014】
また、前記計器ハウジング部材では、前記第2側壁部と対向する第1側壁部に備えられた第1反射面部が、直接照明光を、拡散反射させて、前記ダイヤル板部材へのバックライト照明を行うと共に、前記遮光部に設けられた前記第2反射面部に向けて、拡散反射する。
【0015】
該遮光面部からダイヤル板部材方向に向けて、先細りとなるように第2側壁部の遮光部に、形成されている第2反射面部では、拡散反射されたバックライト照明光が、前記ダイヤル板部材に向けて、再度、拡散反射されて、均一に近いバックライト照明光で、照明ムラの少ない良好な外観品質を、部品点数を増大させることなく得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の車両用計器照明装置で、要部の構成を説明する車両用メータ装置の部分拡大斜視図である。
【図2】実施の形態の車両用計器照明装置で、ハウジング部材の全体の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態の車両用計器照明装置で、ハウジング部材の全体の構成を示す正面図である。
【図4】実施の形態の車両用計器照明装置で、図2中A部の構成を示す拡大正面図である。
【図5】実施の形態の車両用計器照明装置で、図4中B−B線に示す位置での断面図である。
【図6】実施の形態の車両用計器照明装置で、図5に相当する部分での照明光の光路を説明する断面図である。
【図7】従来例の車両用計器照明装置で、要部の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態の車両用計器照明装置を、図面に基づいて説明する。
【0018】
なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0019】
図1乃至図6は、この実施の形態の車両用計器照明装置が適用される車両用のメータ照明装置を示している。
【0020】
まず、構成から説明すると、この実施の形態の車両には、車室内の運転席前方に位置するインストルメントパネル部材には、車両の速度又は、回転数の表示を行う車両用メータ装置10が設けられている。
【0021】
この車両用メータ装置10は、主に、図2及び図3に示す白色の合成樹脂製の計器ハウジング部材11を有している。
【0022】
この計器ハウジング部材11の図4及び図5に示す表面側11aには、図示省略の指針によって指示される略環状の目盛リング部12a,12bを左,右一対形成したダイヤル板部材12が、図5に示す様に設けられている。
【0023】
また、この計器ハウジング部材11の裏面側11bには、合成樹脂製の回路基板13が装着されている。
【0024】
この回路基板13には、主に、前記略環状の目盛リング部12aの下辺水平部12cの車幅方向略中央に位置して、バックライト照明光の光源となるLED5が、底面部内側面13aに、実装されている。
【0025】
この実施の形態の計器ハウジング部材11には、前記LED5からの照明光を拡散反射させる第1反射面部14aが形成された第1側壁部14と、この第1側壁部14と対向する第2側壁部15とが、一定の間隔を置いて平行に形成されている。
【0026】
また、この第2側壁部15には、前記ダイヤル板部材12への直接照明光を拡散反射させる第2反射面部16aを備えた遮光部16が設けられている。
【0027】
前記遮光部16は、前記LED5と前記ダイヤル板部材12との間に介装されていて、前記LED5側に、図5に示す様な前記ダイヤル板部材12への直接光の入射を遮る遮光面部16bが、図6に示す様に、LED5からの光軸L上に位置するように設けられている。
【0028】
この遮光面部16bは、LED5の直上に対向する面略平坦で半円状の屋根部16cを、一定間隔h2を設けて片持ち支柱部16dによって固設されている。
【0029】
このうち、前記屋根部16cは、この遮光面部16bから、前記ダイヤル板部材12方向に向けて先細りとなるように延設して、円錐形を呈することにより、反対側のダイヤル板部材12側の外側面をR形状の反射面としている。
【0030】
また、前記片持ち支柱部16dは、図4に示す様に前記屋根部16cと前記第2側壁部15の内側面との間を一体に連結する四角錘状を呈して、これらの屋根部16c及び片持ち支柱部16dとの各外側面で、第2反射面部16aが形成されている。
【0031】
この第2反射面部16aは、図6に示す様に、前記第1反射面部14aによって拡散反射された照明光を、前記ダイヤル板部材12の裏面側12dに向かって拡散反射させるように、遮光面部16bから、ダイヤル板材方向に向けて、全体で円錐形に類似する先細りとなる形状を呈している。
【0032】
更に、この実施の形態では、図1に示す様に、前記計器ハウジング部材11のうち、前記LED5の周囲には、左,右一対の前記円弧状の反射壁部11c,11cが、このLED5を取り囲むように設けられている。
【0033】
これらの反射壁部11c,11cは、前記第1側壁部14及び第2側壁部15の両内側面間を連結して、各々内側面側を、前記LED5を円中心とする弓形形状に類似する形状として対向位置に各々一体に設けられていて、前記第1側壁部14と略同様に、前記LED5からの照明光を、前記ダイヤル板部材12の裏面側及び、前記第2反射面部16a方向へ向けて、拡散反射させるように構成されている。
【0034】
次に、この実施の形態の車両用計器照明装置の作用効果について説明する。
【0035】
この実施の形態の車両用計器の照明装置では、メータ照明を点灯して、前記目盛リング部12a,12bに位置する図示省略のメータ照明光源としての各LED等及び、図6に示す様に、前記LED5を点灯させると、このLED5から、前記光軸Lに沿って、離反により小さな立体角を有して高輝度領域を略円錐状に拡開させる高い指向性を有して、直接光L1が照光される。
【0036】
この直接光L1は、前記遮光部16に設けられた遮光面部16bによって、遮られて前記ダイヤル板部材4の裏面側4bに直接到達しない。
【0037】
このため、LED5光源の真上のダイヤル板部材4の表面では、照明光によるバックライト照明が点光り等をすることが無く、照明ムラが抑制される。
【0038】
また、図6に示す様に、この計器ハウジング部材11では、前記第2側壁部15と対向する第1側壁部14に備えられた第1反射面部14aが、図中実線で示す前記ダイヤル板部材12への直接照明光L2が拡散反射させて、前記ダイヤル板部材12へのバックライト照明光L3…として分散される。
【0039】
このバックライト照明光L3…は、指向性が薄れているので、前記ダイヤル板部材12の裏面側で、前記目盛リング部12a,12bへ到達しても、照明ムラを生じにくい。
【0040】
更に、前記第1反射面部14aと、反対側に位置する第2側壁部15には、前記遮光面部16bからダイヤル板部材12方向に向けて、先細りとなるように、第2反射面部16aを有する遮光部16が形成されている。
【0041】
この為、前記拡散反射されたこのバックライト照明光L3が、更に、この第2反射面部16aで、拡散反射されて、図6中二点鎖線で示す遮光部16上方へのバックライト照明光L4…となる。
【0042】
このバックライト照明光L4…は、前記第1反射面部14a及び反射壁部11c,11cに加えて、更に前記第2反射面部16aで、二回目の拡散反射が行われている。
【0043】
そして、図4に示す様に、遮光部16の上方では、屋根部16c及び片持ち支柱部16dから、ダイヤル板部材12方向へ先細りとなるように第2反射面部16aが、形成されている。
【0044】
この実施の形態では、更に第2反射面部16aの前記ダイヤル板部材12側を、前記屋根部16cから、円錐に類似した形状のR形状の反射面として、先細りとして、更に、均等に照明光を導くことができる。
【0045】
このため、前記図6中二点鎖線で示す遮光部16上方へのバックライト照明光L4…は、前記ダイヤル板部材12の目盛リング部12a,12bから、表面側に射出される際には、略並行の表示光L5…となり、しかも、各表示光L5の光量は、均一に近いバックライト照明光で、照明ムラの少ない良好な外観品質を、部品点数を増大させることなく得られる。
【0046】
また、従来の様に、図7に示すように前記ダイヤル板部材4の裏面側4bに、調光印刷層6を塗布する等、別途調光印刷工程が必要となることも無く、製造工程数を減少させて、製造コスト削減させることができる。
【0047】
この実施の形態では、立壁状の第2側壁部15の内側面から、前記屋根部16cが片持ち支柱部16dによって一体に凸設されて支持されている。
【0048】
このため、第2側壁部15を構成するメータシェード部材又はハウジングロア部材等の計器ハウジング部材11の外壁部を樹脂で成形する際に、前記遮光部16を内側面に一体に設けて、図5に示す様に、前記LED5の直接光L1の光軸上に位置させることが出来る。
【0049】
この屋根部16cは、第2反射面部16aから、反射光として、前記バックライト照明光L4…を陰や暗部を前記目盛リング部12a,12bに発生させないように、形状及び寸法を設定する際にも、前記回路基板13から、ダイヤル板部材4までの高さ方向間隔寸法h3を、従来の図7に示す間隔寸法h4よりも小さく設定出来、少ないクリアランスでも点光りや照明ムラを抑え、バックライト照明面部の照度の均一化が図れる。
【0050】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態の車両用計器照明装置に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0051】
即ち、前記実施の形態の車両用計器照明装置では、前記遮光部16を設ける第2側壁部15をハウジングロア部材に相当する計器ハウジング部材で構成していたが、特にこれに限らず、例えば、メータシェード部材又はハウジングアッパ部材等、どのような計器ハウジング部材であっても、前記遮光部16を壁面に一体に設けて、前記光源としてのLED5からの直接光L1の光軸上に位置させるものであれば、遮光部16を設ける部分の形状、数量、及び材質が、特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
前記実施の形態では、この発明の車両用計器照明装置を、車両の車室に設けられた車両用メータ装置のバックライト照明構造として適用したものを示して説明してきたが、特にこれに限定されること無く、電気自動車或いは、ハイブリッドカー等や、HVAC等車中に用いる計器類の照明構造であれば、例えば、センタディスプレイ装置や、オーバーヘッドコンソール等の車両用計器の照明構造に用いてもよい。
【0053】
前記実施の形態では、この発明の車両用計器照明装置が適用される構成の一例として、に用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
5 LED(光源)
10 車両用メータ装置
11 計器ハウジング部材
12 ダイヤル板部材
13 回路基板
14 第1側壁部
15 第2側壁部
16 遮光部
16a 第2反射面部
16b 遮光面部
16c 屋根部
16d 片持ち支柱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器ハウジング部材内に設けられた光源と、該計器ハウジング部材を覆うと共に、前記光源からの照明光をバックライト照明として用いるダイヤル板部材と、該計器ハウジング部材に設けられて前記光源からの照明光を拡散反射させる第1反射面部を有する第1側壁部と、該第1側壁部と対向する第2側壁部には、前記ダイヤル板部材への直接照明光を拡散反射させる第2反射面部を備えた遮光部を設けてなる車両用計器照明装置であって、
前記遮光部は、前記光源と前記ダイヤル板部材との間に介装されて、該光源側に設けられて、前記ダイヤル板部材への直接光の入射を遮る遮光面部を有すると共に、前記第1反射面部によって拡散反射された照明光を、前記ダイヤル板部材に向かって拡散反射させる第2反射面部を有し、該第2反射面部は、前記遮光面部からダイヤル板部材方向に向けて、先細りとなるように形成されていることを特徴とする車両用計器照明装置。
【請求項2】
前記第2反射面部を構成する遮光部は、円錐形を頂点から底面に向かって半分にした形状であることを特徴とする請求項1記載の車両用計器照明装置。
【請求項3】
前記遮光部は、前記光源側に遮光面を設けると共に、該遮光面の反対側は、前記ダイヤル板部材側を、R形状の反射面としたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記第2側壁部を構成するメータシェード部材又はハウジングロア部材には、前記遮光部を一体に設けて、前記光源からの光軸上に位置させることを特徴とする請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記第1側壁部と、該第1側壁部と対向する前記第2側壁部は一定の間隔を置いて平行に形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−33010(P2013−33010A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170043(P2011−170043)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】