説明

車両用計器

【課題】 車両利用者にとって、アイドルストップ機能の作動状態を認識し易い車両用計器を提供する。
【解決手段】 アイドルストップ機能を行う車両に搭載され、エンジンに駆動される発電機によって充電されるバッテリから電源供給を受ける車両用計器であって、計測値を表示する指針式計器1や液晶表示部2からなる表示手段と、この表示手段による表示を照明する光源14,22と、アイドルストップ機能によるエンジン停止中であることを示すインジケータ3を照明によって作動するインジケータ用光源31と、前記アイドルストップ機能によるエンジン停止中である場合に、インジケータ用光源31によってインジケータ3を照明させるとともに、光源14,22を前記エンジンの作動時よりも減光するように制御する制御手段41と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アイドルストップを行う車両に搭載され、前記車両に搭載されるバッテリからの電源供給を受ける車両用計器に関し、特に、表示の照明を行う車両用計器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、省エネルギーあるいは地球環境保護を目的として、アイドルストップ機能を搭載した車両がある。例えば、信号待ち等の比較的短い停止時間や、人の乗降、荷物の積み下ろしなど、比較的長い時間、イグニッションスイッチをオンにしたまま、エンジンを停止させるものである。
【0003】
この種のアイドルストップを行う車両に搭載される計器などの車両用計器は、バッテリからの電力供給によって駆動することができ、例えば、特許文献1に記載されているように、アイドルストップ状態であるときに、バッテリへの負担を軽減するために、照明輝度を減光させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−256397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した車両用計器は、車両が停車して所定時間経過してから、突然にアイドルストップ状態に移行されて、照明が消灯または減光してしまうために、車両利用者に違和感を与えてしまう場合があった。また、利用者の意図しないタイミングにおいて照明が急激に変化する場合、車両が異常ではないかと不安にさせてしまうことが考えられるため、改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明の目的とするところは、上述した課題に着目してなされたものであり、車両利用者にとって、アイドルストップ機能の作動状態を認識し易い車両用計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用計器は、停止した際に自動的にエンジンを停止/再始動するアイドルストップ機能を行う車両に搭載され、前記エンジンに駆動される発電機によって充電されるバッテリから電源供給を受ける車両用計器であって、計測値を表示する表示手段と、この表示手段による表示を照明する照明手段と、アイドルストップ機能によるエンジン停止中であることを示すインジケータを照明によって作動するインジケータ用光源と、前記アイドルストップ機能によるエンジン停止中である場合に、前記インジケータ用光源によって前記インジケータを照明させるとともに、前記照明手段を前記エンジンの作動時よりも減光するように制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前記表示手段の表示面側に有色の光透過パネルを設けてなり、前記表示手段は、前記照明手段による照明によって、前記透過パネルを介して視認可能に表示出力することを特徴とする。
【0009】
また、前記制御手段は、前記インジケータを作動させる際に、前記インジケータの表示輝度が前記照明手段による前記表示手段の表示輝度よりも大きくなるように、前記照明手段の発光輝度を調整することを特徴とする。
【0010】
また、前記制御手段は、車両がアイドルストップ機能の作動へ移行した後、前記インジケータを作動させるとともに、徐々に照明輝度を低めるように前記照明手段を制御してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、アイドルストップを行う車両に搭載され、前記車両に搭載されるバッテリからの電源供給を受ける車両用計器に関し、車両利用者にとって、アイドルストップ機能の作動状態を認識し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における車両用計器を示す平面図。
【図2】同上実施の形態の断面図。
【図3】同上実施の形態における電気的な構成を示すブロック図。
【図4】同上実施の形態の各状態におけるタイミング例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態として、本発明の車両用計器が車速計を含む車両用計器に適用されたものを例にあげて、添付図面を用いて説明する。
【0014】
図1、2は、車両用計器の構成を示す図であり、指針式計器(表示手段)1と、液晶表示部(表示手段)2と、インジケータ3と、回路基板4と、ケース5と、を備えている。
【0015】
指針式計器1は、この場合、車速計を適用しており、回動する指針11と指針11の指示対象となる目盛りや数値などの指標部12aを有する文字板12と、指針11の駆動源となるモータ13とを設けている。指針式計器1は、後述する制御手段によって、モータ13が制御されて、所望の指示角度になるように指針11を回動させる。車両利用者は、この指針11と指標部12aとを対比判読することによって、車速値を認識することができる。
【0016】
また、指針式計器1は、指針11や文字板12に透光箇所を有しており、表示面と反対側に設けられる光源(照明手段)14によって、透過照明される。
【0017】
液晶表示部2は、液晶パネル21上に、指針式計器1による車両情報(この場合、車速)以外の車両情報を表示するものであり、残燃料量、走行燃費、積算走行距離、外気温度などを画面切換して表示出力できる。液晶表示部2は、バックライト用の光源(照明手段)22を表示面と反対側に設けており、光源22による透過照明によって、液晶パネル21の表示像を光輝させる。
【0018】
インジケータ3は、車両が停車中に自動的にエンジンを停止し、制動操作を解除、または加速操作を開始した場合に、エンジンを再始動させるアイドルストップ機能の作動状態を表示するものである。この場合、アイドルストップ機能によるエンジン停止中で有る場合には、「Standby」と示されるインジケータ3が、インジケータ専用の光源31の照明によって透過光を発することで、インジケータが点灯し、前述作動状態を示すことができる。
【0019】
インジケータ3用の光源31は、文字板12と回路基板4との間に設けられたスペーサ32の周壁によって囲まれてなり、車速計に関する指針11や指標部12a、液晶表示部2側に露光しないようにしている。
【0020】
回路基板4は、文字板12や液晶表示部2の表示面の反対側に隠れるように備えられており、前述した光源14,22,31や制御手段41、モータ13などの電子部品を実装し、図示しない外部コネクタを介してバッテリ電源を供給するとともに、電子部品間を所定のパターンにて配線している。
【0021】
ケース5は、複数の部材に分かれた合成樹脂部品を組み付けて形成してなり、有色の顔料などを含み所定の光透過率(例えば、70%)のスモークパネル(光透過パネル)51と、各部品を収納するための遮光性の合成樹脂材からなる収納部52を設けている。
【0022】
スモークパネル51は、指針式計器1と液晶表示部2との表示面側に備えられて、指針11などが触れられないように保護するとともに、各光源による照明時にのみ表示出力を視認可能にしている。したがって、光源31が消灯時には、インジケータ3の表示を隠すことができる。収納部52は、車両外からの直射日光が照射して表示が見えにくくなるのを防止するため、少なくとも液晶表示部2の上部側を覆うバイザとしての役割を果たしている。また、この場合、収納部52は、一方を開口する筒状に形成され、指針式計器1、液晶表示部2、インジケータ3、回路基板4などの構成部品を保持している。
【0023】
次に本発明の実施の形態における電気的な構成について図3を用いて説明する。
【0024】
制御手段41は、回路基板4上に実装されるマイクロコンピュータを適用でき、車両に搭載された各種センサからの情報を通信ケーブルを介して入力し、これら車両側からの各種情報や所定プログラムに基づいて、各種光源14,22,31やモータ13、液晶パネル21を駆動する駆動ドライバ42を制御するための制御信号を出力できるように、前記通信ケーブルや回路基板4に実装された電子部品などと接続される。
【0025】
制御手段41は、例えば、マイクロコンピュータを適用でき、記憶部に格納された制御プログラムに従って本実施の形態に係る制御を含む各種の処理を実行する演算部、車両のECUなど他の機器から各種車両情報を入力するとともに、モータ13や液晶パネル21を駆動する駆動ドライバ42、光源14,22,31と接続するための入出力インターフェースを備えている。制御手段41は、アイドルストップ機能の作動状態を示す信号やイグニションスイッチの状態信号、車輪の回転情報などを含む各種車両情報の入力し、これら情報に基づく演算処理によって、車両の走行速度や走行距離などを演算し、計測値などの表示を促す制御信号や、光源14,22,31へ発光輝度が調整された制御信号を生成し、それぞれへ発するように構成されている。この場合、制御手段41は、パルス幅変調制御を行うことによって、発光ダイオードを用いた光源14,22,31を所望の発光輝度にて光輝するように制御できる。
【0026】
次に本発明に係る制御手段41の処理について図4を用いて説明する。
【0027】
制御手段41は、通信ケーブルを介して入力する各種車両情報を用いて、アイドルストップ機能によるエンジン停止状態であるか判定処理し、この判定によって、前述エンジン停止状態に移行した場合に、光源31を消灯状態から発光させてインジケータ3を点灯照明させることによって、アイドルストップ機能の作動状態を車両利用者に報知するとともに、エンジン稼働状態における通常輝度から徐々に照明輝度を減光させるように光源14,22を制御する。
【0028】
この場合、制御手段41は、インジケータ3の表示輝度が光源14,22による指針式計器1や液晶表示部2の表示輝度よりも大きくなるように、光源14,22を減光して調整する。したがって、照明による輝度差によって、他の多様な車両情報の表示よりもインジケータ3を目立たせることができ、車両利用者にとって、アイドルストップ機能によるエンジン停止中であることを認識し易い表示になる。また、多数の光源14,22を減光させることによって、車両用計器の消費する電力を軽減することができるため、エンジンが停止中で放電のみの状態にあるバッテリの負荷を抑制できる。
【0029】
また、車両がアイドルストップ機能の作動へ移行した後、インジケータ3を作動させるとともに、徐々に照明輝度を低めるように光源14,22を制御してなることによって、照明輝度の急激な変化を抑制し、車両利用者にあたえる違和感を低減できる。
【0030】
次に、制御手段41は、車両によって設定されたアイドルストップ機能の解除操作によって、自動的なエンジンの再始動がなされる場合にあっては、これらを判別する車両情報を入力することで、光源31を消灯させてインジケータ3の表示をやめるとともに、光源14,22の発光輝度を通常時に復帰させる制御を行う。これによって、自動的に通常時の車両情報の表示に復帰できる。
【0031】
斯かる車両用計器は、停止した際に自動的にエンジンを停止/再始動するアイドルストップ機能を行う車両に搭載され、前記エンジンに駆動される発電機によって充電されるバッテリから電源供給を受ける車両用計器であって、計測値を表示する指針式計器1や液晶表示部2からなる表示手段と、この表示手段による表示を照明する光源14,22と、アイドルストップ機能によるエンジン停止中であることを示すインジケータ3を照明によって作動するインジケータ用光源31と、前記アイドルストップ機能によるエンジン停止中である場合に、インジケータ用光源31によってインジケータ3を照明させるとともに、光源14,22を前記エンジンの作動時よりも減光するように制御する制御手段41と、を備えている。したがって、車両利用者にとって、アイドルストップ機能の作動状態を認識し易い車両用計器となる。
【0032】
なお、本発明の車両用計器を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。例えば、アイドルストップ状態から復帰した後に、数秒の遅延時間を設けてから、車両の走行速度、または走行距離に応じて、徐々に照明輝度を高めるように光源14,22を制御することもできる。この場合、エンジン始動時の不安定な電源状態を避けて違和感のない安定した照明輝度変化を提供することができる。
【0033】
また、本発明にあっては、光源14,22の発光輝度を変化させる際に、徐々に照明輝度を変えず、瞬間的に変えることもでき、この場合、車両利用者は、より迅速に車両状態を判断するのに有利である。更にこれら輝度変化の速さを車両利用者によって予め選択できるように構成することも考えられる。
【0034】
また、アイドルストップ機能によるエンジン停止中において、光源14,22を減光するのではなく、警報表示などに関わる一部の光源を除いて、消灯することもできる。また、インジケータ3は、光源31の点灯によって作動状態を示す例をあげたが、点滅させることもでき、更に省電力な表示となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用計器として適用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 指針式計器(表示手段)
14 光源(照明手段)
2 液晶表示部(表示手段)
22 光源(照明手段)
3 インジケータ
31 光源(インジケータ用光源)
41 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止した際に自動的にエンジンを停止/再始動するアイドルストップ機能を行う車両に搭載され、
前記エンジンに駆動される発電機によって充電されるバッテリから電源供給を受ける車両用計器であって、
計測値を表示する表示手段と、
この表示手段による表示を照明する照明手段と、
アイドルストップ機能によるエンジン停止中であることを示すインジケータを照明によって作動するインジケータ用光源と、
前記アイドルストップ機能によるエンジン停止中である場合に、前記インジケータ用光源によって前記インジケータを照明させるとともに、前記照明手段を前記エンジンの作動時よりも減光するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用計器。
【請求項2】
前記表示手段の表示面側に有色の光透過パネルを設けてなり、
前記表示手段は、前記照明手段による照明によって、前記透過パネルを介して視認可能に表示出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用計器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記インジケータを作動させる際に、前記インジケータの表示輝度が前記照明手段による前記表示手段の表示輝度よりも大きくなるように、前記照明手段の発光輝度を調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用計器。
【請求項4】
前記制御手段は、車両がアイドルストップ機能の作動へ移行した後、前記インジケータを作動させるとともに、徐々に照明輝度を低めるように前記照明手段を制御してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−224118(P2012−224118A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91134(P2011−91134)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】