説明

車両用車椅子格納装置

【課題】 簡易構造で実現化が容易であると共に、安価に提供可能となる画期的な車両用車椅子格納装置を提供すること。
【解決手段】 車両1の屋根上に設置し得,一側面に開閉可能な開閉部3を設けた箱形のケース体2と、このケース体2内に格納し得,且つ前記開閉部3からケース体2外へ水平スライド突出し得る第一フレーム5と、この第一フレーム5を水平スライド駆動する駆動源6と、この第一フレーム5のスライド突出先端部に起伏回動自在に枢着されて,この第一フレーム5と共にケース体2内に格納し得,且つ第一フレーム5の前記開閉部3からの水平スライド突出移動に伴い開閉部3からスライド突出し得る第二フレーム9と、この第二フレーム9に車椅子7を着脱自在に連結する連結手段8と、前記第一フレーム5に回動自在に枢着され,且つ連結部材12により前記第二フレーム9に連結してこの第二フレーム9の回動作動と連動回動する姿勢保持部材11とから成る車両用車椅子格納装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の屋根上に設置でき、身障者一人でも車椅子の取り出し・格納が容易に行われる車両用車椅子格納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1のように、自動車の屋根上に車椅子を格納可能な格納ケースを設置し、この格納ケース内に車椅子を自動的に格納したり、格納ケース内から車椅子を自動的に取り出したりできる車両用車椅子格納装置が実施されている。
【0003】
この特許文献1を簡単に説明すると、駆動源と連動する一対のドラムにベルトを巻き付け、このベルトを案内する各案内ローラが立設してある第一,第二,第三のレールからなるレール機構を車体幅方向からドア開口部に沿ってスライド及び回動可能に構成した駆動ベルト機構を設け、前記案内ローラに案内されるベルトの先端部に車椅子を係止する係止機構を構成し、この係止機構の係止具に車椅子を係止してレール機構を車体の屋根上に設けた開閉可能な蓋体を有するケース本体に格納するように構成している。
【0004】
作動を説明すると、駆動源の駆動により蓋体が上方へ開口し、第一レールの基端部が上方に回動する。
【0005】
ついで、第二レール,第三レールは順次その自重とドラムによりスライド及び回動して、運転席側に第三レールは略垂下状態にスライドする。
【0006】
一方、ベルトは、このような自重とドラムの作動により、第一,第二,第三のレールのスライド及び回動を制御しながら順次引出し、その係止機構の係止具は、第三レールの案内ローラに案内され、地上近くに垂下する。
【0007】
この垂下した係止具に車椅子の座部を係止した後、駆動源を前記と逆回転させて、レール機構を逆にスライドさせ、折り畳むことにより車椅子をケース本体内に格納することができる。
【0008】
【特許文献1】実公平3−12598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この種、自動車の屋根上の格納ケースより、車椅子を自動的に格納・取り出しする車両用車椅子格納装置においては、昇降移動中、車椅子が自動車に接触して傷付かないようにある程度自動車の側方へと位置し、尚且つ車椅子の車輪が下向きに降りてくるように車椅子の姿勢を調整保持する機構が必要である。
【0010】
前記特許文献1においては、前記第一,第二,第三のレールからなるレール機構を車体幅方向からドア開口部に沿ってスライド及び回動可能に構成した駆動ベルト機構が、この姿勢保持機構に相当するが、この特許文献1の姿勢保持機構は複雑な構造であるため、簡易に且つコスト安に設計し得るものではなく、その結果、このような構成を採用する従来までの車両用車椅子格納装置は、非常に高価な製品となってしまっている。
【0011】
本発明は、このような車両用車椅子格納装置の現状に鑑み、従来品よりも簡易構造で実現化が容易であると共に、安価に提供可能となる画期的な車両用車椅子格納装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0013】
車両1の屋根上に設置し得,一側面に開閉可能な開閉部3を設けた箱形のケース体2と、このケース体2内に格納し得,且つ前記開閉部3からケース体2外へ水平スライド突出し得る第一フレーム5と、この第一フレーム5を水平スライド駆動する駆動源6と、この第一フレーム5のスライド突出先端部に起伏回動自在に枢着されて,この第一フレーム5と共にケース体2内に格納し得,且つ第一フレーム5の前記開閉部3からの水平スライド突出移動に伴い開閉部3からスライド突出し得る第二フレーム9と、この第二フレーム9に車椅子7を着脱自在に連結する連結手段8と、前記第一フレーム5に回動自在に枢着され,且つ連結部材12により前記第二フレーム9に連結してこの第二フレーム9の回動作動と連動回動する姿勢保持部材11とから成り、前記第二フレーム9は、前記ケース体2内の底面2Aに載置当接することで略水平に姿勢保持されてケース体2内に格納する構成とすると共に、この第二フレーム9は、前記開閉部3からスライド突出するに従いこの第二フレーム9の突出先端部が第二フレーム9の枢着部10を支点にして自重により下方へ伏動回動する構成とし、前記姿勢保持部材11は、ケース体2内の底面2Aに当接することで回動停止して第二フレーム9の姿勢を少なくとも傾斜状態に保持する構成とし、前記駆動源6により前記第一フレーム5が開閉部3から水平スライド突出移動する際、ケース体2内の底面2Aに当接するこの姿勢保持部材11が開閉部3よりケース体2外へと突出移動することにより、この突出先端部が姿勢保持部材11の枢着部13を支点にしてケース体2の底面2Aより下方へ落ち込み回動すると、この姿勢保持部材11の回動に連動して第二フレーム9が次第に垂直状態へと近付くように回動する構成としたことを特徴とする車両用車椅子格納装置に係るものである。
【0014】
また、前記第一フレーム5のスライド突出先端部に、前記第二フレーム9の基端側を枢着し、この枢着部10より第二フレーム9の突出先端側の下部に前記ケース体2内の底面2Aに載置当接する載置当接部14を設けて、この第二フレーム9が前記開閉部3より突出してこの第二フレーム9の前記枢着部10が開閉部3よりケース体2の外側へ突出した際、この第二フレーム9が自重により第一フレーム5に対し略垂直状態にまで伏動回動し得るように構成し、棒状の前記姿勢保持部材11は、中程を前記第一フレーム5に枢着して、この姿勢保持部材11の枢着部13より前記第一フレーム5の突出先端部側に存する一側部が前記ケース体2内の底面2Aに当接し得且つこの姿勢保持部材11の他端部を前記連結部材12により前記第二フレーム9の基端部に連結する構成とし、この第二フレーム9が開閉部3より突出してこの第二フレーム9の突出先端部が前記枢着部10を支点に下方へ伏動回動することで、上方へ起動回動するこの第二フレーム9の基端部と連結した姿勢保持部材11の他端部も起動回動してこの姿勢保持部材11の一側部がケース体2内の底面2Aに当接し、更に第二フレーム9が開閉部3より突出するに従って、この姿勢保持部材11の一側部が開閉部3よりケース体2外へと突出移動することにより、この姿勢保持部材11の一側部が前記枢着部13を支点にしてケース体2の底面2Aより下方へ落ち込み回動すると、姿勢保持部材11の他端部が更に起動回動して第二フレーム9の基端部も連動起動回動して、この第二フレーム9が次第に垂直状態へと近付くように回動する構成としたことを特徴とする請求項1記載の車両用車椅子格納装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、前記特許文献1の構成と比べて部品点数が少なく、また、特許文献1のような複雑なリンク構造による車椅子の姿勢保持機構を要することなく、第二フレームに連動する姿勢保持部材のケース体内の底面との当接による簡易な姿勢保持構造を採用したため、この構成は簡易に設計実現可能であり、特許文献1のような従来品に比して量産性に秀れ安価な製品を提供可能となるなど、極めて実用性に秀れた画期的な車両用車椅子格納装置となる。
【0016】
また、請求項2記載の発明においては、前記作用・効果を確実に発揮する構成を簡易に設計実現可能となる極めて実用性に秀れた構成の車両用車椅子格納装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
車両1の屋根上に、例えば開閉部3が車両1の運転席ドアの存する側方を向くようにして箱形のケース体2を設置する。
【0019】
ケース体2内に格納した車椅子7を取り出す場合、駆動源6を作動させると、第一フレーム5が開閉部3からケース体2外へ水平スライド突出移動し、これに伴って連結手段8により車椅子7が連結された第二フレーム9も開閉部3からケース体2外へとスライド突出する。
【0020】
そして、第二フレーム9の突出先端部が開閉部3よりケース体2外へと突出する程、この第二フレーム9はその枢着部10を支点にして突出先端部が自重により下方へ落ち込むように伏動回動しようとするが、この際、連結部材12によりこの第二フレーム9と連動回動する姿勢保持部材11がケース体2内の底面2Aに当接して回動停止し、これにより第二フレーム9の姿勢もいきなり垂直状態とはならずに少なくとも傾斜状態に保持されたまま第一フレーム5のスライド突出に伴って更にケース体2外へと突出移動することになる。
【0021】
引き続き、この第二フレーム9(第一フレーム5)がスライド突出するに従って、ケース体2内の底面2Aに当接する姿勢保持部材11が開閉部3よりもケース体2外へと突出すると、この姿勢保持部材11の突出先端部が枢着部13を支点にしてケース体2内の底面2Aより下方へ落ち込むように回動することになり、この姿勢保持部材11の回動に連動して第二フレーム9が次第に垂直状態へと近付くように回動し、車両1の側方(ドア脇)の地面近くに第二フレーム9が降りてくる(垂下する)ことになる。
【0022】
従って、車椅子7を連結した第二フレーム9は、開閉部3からケース体2外へ突出後すぐに垂直(垂下)状態とならず、先ずは一旦少なくとも突出先端部が伏した傾斜状態で車両1の側方へとスライドした後、垂直状態へと回動するから、確実に車両1を傷付けずに第二フレーム9(車椅子7)が降りてくることになる。
【0023】
また、この際、姿勢保持部材11の突出先端部が開閉部3からケース体2外へと突出して下方へ落ち込み回動しても、第二フレーム9の自重によって姿勢保持部材11はその当接位置を推移しながらも底面2Aへの当接状態を保ってゆっくりと回動することになるので、第二フレーム9が急激に回動して垂下せずにゆっくりと安全に垂下することになる。
【0024】
この略垂直状態となって車両1の側方へ位置する第二フレーム9から、連結手段8の連結を解除して車椅子7を取り外す。
【0025】
本発明によれば、前記特許文献1の構成と比べてスライド移動するフレームが二体で足りるために部品点数が少なく、また、特許文献1のように、多数のフレームを用い、その全てにベルトを案内することで可動させるような複雑なリンク構造による車椅子の姿勢保持機構を要することもなく、第二フレーム9に連動する姿勢保持部材11のケース体2内の底面2Aとの当接による簡易な姿勢保持構造によって安全且つ車両を傷付けずに確実に車椅子7が車両1の側方に降下できる構成としたため、この構成は簡易構造であって容易に設計実現可能であり、従来品に比して量産性に秀れ安価な製品を提供可能となるなど、極めて実用性に秀れた画期的な車両用車椅子格納装置となる。
【0026】
また、車椅子7をケース体2内に格納する場合、予め前述の作動によって第二フレーム9を車両1の側方に略垂直状態に配設しておく。
【0027】
この第二フレーム9に連結手段8によって車椅子7を連結する。
【0028】
駆動源6を前述の取り出し作動時と逆作動させると、第一フレーム5が開閉部3からケース体2内に向かって水平スライド移動し、これに伴って連結手段8により車椅子7が連結された第二フレーム9も開閉部3からケース体2内へと移動する。
【0029】
この際、姿勢保持部材11は、前述の取り出し時の作動とは逆にこの姿勢保持部材11の突出先端部がケース体2内の底面2Aへの当接状態を保ちつつ上方へと起動回動することになり、これに伴って第二フレーム9は略垂直状態から水平状態へ近付くように回動作動して、第二フレーム9の底部がケース体2内の底面2Aに当接し略水平状態に維持された状態でこの第二フレーム9及び車椅子7がケース体2内に格納されることになる。
【0030】
また、本発明は、開閉部3をケース体2の側方に設けたため、降雨時や降雪時における車椅子7の取り出し・格納に際して、ケース体2内に雨や雪が入り難く、ケース体2内を清潔に保ち易いという利点もある。
【実施例】
【0031】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0032】
本実施例は、車両1の屋根上に設置し得且つ車椅子7を格納し得る箱形のケース体2に、車椅子7を自動的に取り出しできる機能と、車椅子7を自動的に格納できる機能とを持たせた構成としているものである。
【0033】
具体的には、ケース体2は、図1に示すように、折り畳んだ車椅子7を横(水平)にして格納し得る比較的高さのない箱型ケース体とし、車両1の屋根上に設置した際に、車両1の高さをあまり高くせず、走行中の著しい空気抵抗を生じたり、立体駐車場等の高さ制限のある設備への進入が著しく阻害されたりすることがないようにしている。
【0034】
また、このケース体2の一側面の全面を開放し、この開放部の上部に開閉可能な開閉扉3Aを起伏開閉自在に枢着して開閉部3を構成している。図中符号20は開閉扉3Aをケース体2に枢着するためのヒンジ(蝶番)である。
【0035】
また、この開閉扉3Aの左右部と、ケース体2の開放部の左右部とにはダンパー21を架設配設し、開閉扉3Aを所定角度以上起動させて開くと後は自動的にこのダンパー21の付勢力によって開閉扉3Aが略水平状態にまで開く構成としている。
【0036】
本実施例では、前記開閉部3が車両1の運転席側を向くようにして車両1の屋根上に設置している。尚、このケース体2の車両1の屋根上への設置方法は、適宜設計変更可能であるが、図面では、車両1のルーフレール間に架設したバーに設置固定した場合を示している。
【0037】
また、このケース体2内に第一フレーム5を水平スライド自在に装着してこの第一フレーム5をケース体2内に格納し得、且つこの第一フレーム5は前記開閉部3からケース体2外へ水平スライド突出し得るように構成している。
【0038】
第一フレーム5は、平面より見て略H字形のフレームとし、また、この第一フレーム5の両側部5Aにはケース体2内の底面2Aに接地するローラ29を軸支して、このローラ29により第一フレーム5がケース体2内の底面2A上を走行スライド可能に設けている。
【0039】
また、ケース体2内の底面2Aの前記開閉部3近傍の左右部には、第一フレーム5のスライド移動をガイドするスライドガイド部4を設けている。
【0040】
このスライドガイド部4は、第一フレーム5のスライド移動方向に長さを有する細帯板により構成し、また、この左右のスライドガイド部4は、夫々の上縁部を対向外側に折曲して成る鍔部を有し、この鍔部に前記ローラ29が当接することで第一フレーム5のスライド突出先端部が開閉部3よりケース体2外へ突出しても、このスライド突出先端部が下方へ伏動せずに略水平状態に維持される構成としている。
【0041】
また、この第一フレーム5を水平スライド移動させる駆動源6をケース体2に設けている。
【0042】
具体的には、ケース体2内の底面2Aの前記開閉部3と反対側の端部に、駆動源6としてのモータ(以下、モータ6と称す)をモータ受台15を介して付設している。
【0043】
このモータ6による第一フレーム5のスライド駆動構造は、図3に示すようにモータ6の回転軸にウォーム28を装着し、このウォーム28に噛合するウォームホイルを備えた長尺な螺子杆16をモータ受台15と開閉部3近傍に設けた受部17とに架設状態にして且つ回動自在に配設している。
【0044】
また、この螺子杆16には可動体18を螺着してモータ受台15と受部17との間に配設し、この可動体18を第一フレーム5の中間の架設杆部5Bに固定して、前記モータ6の駆動(作動)により螺子杆16が回動すると、可動体18が螺子杆16の長さ方向に螺動(移動)し、これにより第一フレーム5がスライド移動して開閉部3より出入する構成としている。
【0045】
また、この可動体18の可動速度は、後述する第二フレーム9が安全な速度で垂下することとなるように設定する。
【0046】
また、図2,図3に示すように、モータ受台15と受部17の近傍位置とに夫々オフスイッチSW1,SW2を設ける一方、この各オフスイッチSW1,SW2を押動する押動部18A(押動片)を前記可動体18に突設して、可動体18(第一フレーム5)がモータ6の正回転駆動により受部17付近まで移動すると、押動部18AがオフスイッチSW2を押動してモータ6が停止し、同じく可動体18(第一フレーム5)がモータ6の逆回転駆動によりモータ受台15付近まで移動すると、押動部18AがオフスイッチSW1を押動してモータ6が停止する構成としている。即ち、押動部18Aが各オフスイッチSW1,SW2を押動する位置が、第一フレーム5のスライド限度位置となる構成としている。
【0047】
また、本実施例では、押動部18Aがモータ受台15のオフスイッチSW1を押動して第一フレーム5が停止した際、この第一フレーム5はケース体2内に完全に格納された状態となり、押動部18Aが受部17近傍のオフスイッチSW2を押動して第一フレーム5が停止した際、この第一フレーム5が略半分程度開閉部3よりケース体2外へ突出した状態となるように構成している。
【0048】
また、このモータ6は、例えば図12に示すような車両1内に設けた取り出し用スイッチ25と、格納用スイッチ26とにより作動制御され、取り出し用スイッチ25をスイッチ操作するとモータ6が正回転し、格納用スイッチ26をスイッチ操作するとモータ6が逆回転する構成としている。
【0049】
本実施例では、この第一フレーム5のスライド突出先端部に、車椅子7を着脱自在に連結する連結手段8を備えた第二フレーム9を起伏回動自在に枢着している。
【0050】
具体的には、この第二フレーム9は、図2に示すように側方より見て略L字形状を呈するように一側の端部が屈曲された略方形状のフレームとしている。
【0051】
また、この略L字形状を呈する第二フレーム9の屈曲端部には、ベルト23を巻装したウインチ22が付設され、このウインチ22から巻き出されたベルト23先端の連結具8(連結手段8)に、折り畳んだ前記車椅子7を着脱自在に連結する構成としている。
【0052】
そして、この連結具8によって連結した車椅子7は、その上部を屈曲端部に近接させた状態で側部を第二フレーム9に沿設配設し得るように構成している。
【0053】
また、このウインチ22は、ケース体2内に格納された第一フレーム5が前記駆動源6により開閉部3からスライド突出して前記押動部18Aが前記受部17近傍のオフスイッチSW2を押動すると、これに連動してベルト23の巻き出し作動がスタートするように制御されると共に、車椅子7を格納する際に、所定長さ巻き出したベルト23に車椅子7を連結して前記格納用スイッチ26をスイッチ操作すると、これに連動してベルト23の巻き取り作動がスタートするように制御される構成としている。
【0054】
また、このウインチ22には、ベルト23の巻き出し量・巻き取り量を検知するセンサー27を設け、このセンサー27の検知によってウインチ22の作動を停止制御している。
【0055】
具体的には、ベルト23に連結した車椅子7が地面に接地した状態となるまでベルト23が巻き出されるとウインチ23の巻き出し作動が停止し、また、逆にベルト23に連結した車椅子7が第二フレーム9に沿設状態となるまでベルト23が巻き取られるとウインチ23の巻き取り作動が停止するようにセンサー27の検知がなされる構成としている。
【0056】
この屈曲端部に連結具8を設けた第二フレーム9の屈曲端部寄りの両側部を、前記第一フレーム5の両側部5Aの突出先端部に枢着し、この枢着部10より第二フレーム9の開閉部3側に位置する突出先端側の下部に前記ケース体2内の底面2Aに載置当接する載置当接部14を設けている。
【0057】
また、この載置当接部14の当接下縁は、図2に示すように第二フレーム9を側方から見てその突出先端側程下方への突出度が大きくなる傾斜下縁に形成し、これにより第二フレーム9が開閉部3よりケース体2外へ突出する程その突出先端部が枢着部10を支点にして伏すように回動する構成としている。
【0058】
また、この載置当接部14の突出先端部には、ケース体2内の底面2Aに接地するローラ30を軸支し、このローラ30により第二フレーム9のスライド移動がスムーズに行われる構成としている。
【0059】
また、この第二フレーム9及び連結手段8により連結した車椅子7を第一フレーム5と共にケース体2内に格納し得、且つ第一フレーム5の前記開閉部3からの水平スライド突出移動に伴いこの第二フレーム9及び車椅子7が開閉部3からスライド突出し得るように構成している。また、この第二フレーム9がスライド突出する際にスライド方向に対して横ズレしようとしても、前記スライドガイド部4がこの第二フレーム9の横ズレを防止するようにガイドする構成としている。
【0060】
更に詳しくは、ケース体2内の前記モータ受台15のオフスイッチSW1によって第一フレーム5が停止した位置では、この第一フレーム5と共に第二フレーム9も開閉部3よりケース体2内に完全に格納された状態(図4参照。)となり、前記受部17近傍のオフスイッチSW2によって第一フレーム5が停止した位置では、第二フレーム9の略全部が開閉部3よりケース体2外へと突出し、前記枢着部10も開閉部3よりケース体2の外側に位置する状態(図10参照。)となるように構成している。
【0061】
また、この第二フレーム9は、前記載置当接部14がケース体2内の底面2Aに載置当接することで略水平に姿勢保持されてケース体2内に格納する構成とし(図4参照。)、この第二フレーム9が開閉部3からスライド突出した際には、この第二フレーム9が突出すればする程、載置当接部14が載置当接する部分を失うと共に第二フレーム9の枢着部10位置を前述のように基端側に設定したことでこの第二フレーム9の突出先端部が前記枢着部10を支点にして自重により徐々に下方へと落ち込むように伏動回動することとなるように構成している(図4〜図6参照。)。
【0062】
また、本実施例では、受部17近傍のオフスイッチSW2によって第一フレーム5が停止した位置、即ち第一フレーム5が最大限突出した位置では、図10,図11に示すように、第二フレーム9が車両1の運転席ドアより離れた位置であって地面より離れた高さ位置に垂下し得るように、この第一フレーム5の長さやスライド移動範囲,並びに第二フレーム9の長さ(垂下長)や枢着位置等を設定構成している。
【0063】
また、本実施例では、前記第一フレーム5に姿勢保持部材11を回動自在に枢着し、この姿勢保持部材11を連結部材12により前記第二フレーム9に連結してこの姿勢保持部材11の前記枢着部13を支点とした回動作動と第二フレーム9の前記枢着部10を支点とした回動作動とが連動する構成としている。
【0064】
具体的には、姿勢保持部材11は、図1,図2に示すように、側方より見て略へ字形を呈する板状の棒状体とし、この姿勢保持部材11の長さ方向の中程を、前記第一フレーム5の両側部5Aの夫々の外側面の中程に枢着して回動自在に設けている。
【0065】
また、この各姿勢保持部材11は、その枢着部13より前記開閉部3側に存する一側部の下縁が前記ケース体2内の底面2Aに当接し得るように構成すると共に、この各姿勢保持部材11の他端部をチェーンを採用した前記連結部材12(以下、チェーン12と称す。)により夫々前記第二フレーム9の基端部両側に連結している。
【0066】
従って、第二フレーム9が開閉部3より突出してこの第二フレーム9の枢着部10を支点にその突出先端部が下方へ伏動回動しようとすると、この第二フレーム9の基端部が上方へ起動回動し、チェーン12を介して前記姿勢保持部材11の他端部も起動回動してこの姿勢保持部材11の一側部の一端部下縁がケース体2内の底面2Aに当接し、これによって第二フレーム9の荷重(自重)により回動しようとする姿勢保持部材11が回動停止して、第二フレーム9が垂直状態とはならずに傾斜状態のまま(チェーン12の長さによって決まるが、本実施例では30度程度の傾斜角度のまま)維持される構成としている(図6,図7参照。)。
【0067】
そして、第二フレーム9が開閉部3より突出するに従い、この姿勢保持部材11の一端部下縁が開閉部3を越えてケース体2外へ突出すると、この姿勢保持部材11の突出先端部(一端部)が下方へと落ち込み回動して他端部が起動し、これに連動して第二フレーム9の基端部も起動回動して第二フレーム9が次第に垂直状態へと近付くように回動移動するように構成している(図8,図9参照。)。
【0068】
また、この際、この姿勢保持部材11には、第二フレーム9の荷重が加わっていることでケース体2内の底面2Aへの当接状態を保ちながらその当接部位が姿勢保持部材11の他端側、即ち枢着部13へと近付くように移動することになり、これにより姿勢保持部材11の一端部はゆっくりと伏動回動してこれに連動する第二フレーム9もゆっくりと垂直状態へと近付くように回動することとなる構成としている(図6〜図9参照。)。
【0069】
また、本実施例では、ウォーム17近傍のオフスイッチSW2によって第一フレーム5が停止した位置、即ち第一フレーム5が最大限突出した位置で第二フレーム9が略垂直(垂下)状態となるように姿勢保持部材11の長さ並びに形状等を設定構成している(図10参照。)。
【0070】
また、本実施例では、第二フレーム9の前記枢着部10近傍位置と前記開閉扉3Aとの間にチェーン24を採用した連結体24(以下、チェーン24と称す。)を架設し、この第二フレーム9がケース体2内にスライド格納すると、チェーン24により開閉扉3Aが前記ダンパー21の付勢力に抗し引っ張られて自動的にケース体2の開放部(開閉部3)を閉塞することとなるようにこのチェーン24の長さ並びに第二フレーム9,開閉扉3Aへの固定位置等を設定構成している。
【0071】
次に、本実施例の作動を説明する。
【0072】
ケース体2内から格納した車椅子7を取り出す場合、車両1内に設けた取り出し用スイッチ25を作動させると、モータ6が正回転し、この回転力(駆動力)が螺子杆16から可動体18に伝達して第一フレーム5が開閉部3からケース体2外へ水平スライド突出移動し、これに伴い、車椅子7が連結手段8によって連結された第二フレーム9も開閉部3からケース体2外へとスライド突出し、この第二フレーム9の突出先端部が開閉扉3Aを押動する。
【0073】
この第二フレーム9の押動作動により開閉扉3Aが所定角度まで起動すると、後は前記ダンパー21の付勢力によって自動的に略水平状態にまで起動し、ケース体2の開閉部3が開放してこの開放部から第二フレーム9が徐々に突出する(図4,図5参照。)。
【0074】
そして、この第二フレーム9の突出先端部が開閉部3よりケース体2外へと突出して、載置当接部14の当接部位が突出先端側から基端側へと移動する程、この第二フレーム9は、その突出先端部が枢着部10を支点にして自重により下方へ伏動回動することになるが、この際、この第二フレーム9とチェーン12を介して連動回動する姿勢保持部材11一側部の一端部の下縁がケース体2内の底面2Aに当接して姿勢保持部材11は回動停止し、この姿勢保持部材11の一端部の下縁がケース体2内の底面2Aに当接しているうちは、第二フレーム9の姿勢がやや傾斜した状態で突出移動し続ける(図6,図7参照。)。
【0075】
引き続いて第一フレーム5が更に水平スライド突出していくと、姿勢保持部材11は、ケース体2内の底面2Aへの当接部位が第二フレーム9の荷重(自重量)によって当接状態を保ちつつもこの姿勢保持部材11の一端部下縁が開閉部3を越えてケース体2の外側へと突出することによって姿勢保持部材11の一側部が下方へ落ち込み回動して、第二フレーム9も垂直状態へと近付くように回動していくことになる。
【0076】
また、この際も姿勢保持部材11は、ケース体2内の底面2A(開放部の縁部)との当接状態を維持して、この当接部位が徐々に姿勢保持部材11一側部の他端側(枢着部13側)へと移動することになるから、これにより第二フレーム9はゆっくりと回動して垂直状態へと近付くことになる(図8,図9参照。)。
【0077】
そして、第一フレーム5の突出移動によって可動部18の押動部18Aが前記受部17のオフスイッチSW2を押動すると、車両1の運転席ドアの側方であって地面近くに第二フレーム9が略垂直状態で停止することになる。
【0078】
続いて、ウインチ22が自動的に作動してベルト23が巻き出され、これにより車椅子7が降りてきて地面に接地することになる(図10参照。)。後は接地した車椅子7をベルト23先端の連結具8から取り外し、折り畳まれている車椅子7を開くことで使用可能となる。
【0079】
逆に、車椅子7をケース体2内に格納する場合は、予め前記作動によって第二フレーム9を車両1の側方に略垂直状態に配設しておく。
【0080】
車椅子7を折り畳み、前記ベルト23先端の連結具8に連結する。
【0081】
車両1内に設けた格納用スイッチ26を作動させると、前記ウインチ22がベルト23を巻き取りして車椅子7が上昇し、この車椅子7が第二フレーム9に沿設状態となるとウインチ22が停止する。
【0082】
引き続いてモータ6が前記逆回転し、これによって第一フレーム5が開閉部3からケース体2内に向かって水平スライド移動し、これに伴って第二フレーム9も開閉部3からケース体2内へと移動する。
【0083】
この際、姿勢保持部材11の一側部下縁の、ケース体2内の底面2Aへの当接部位は、前述の取り出し作動とは逆に当接状態を保ちつつ他端側から一端側へと移動して取り出し作動時とは逆方向に姿勢保持部材11が回転することになり、これに伴って第二フレーム9は垂直状態から水平状態へ近付くようにゆっくりと回動作動することになり、最終的には第二フレーム9の載置当接部14がケース体2内の底面に当接して略水平状態に維持された状態でこの第二フレーム9及び車椅子7がケース体2内に格納されることになる。
【0084】
また、この際、第二フレーム9と開閉扉3Aとはチェーン24によって連結されているため、第二フレーム9がケース体2内の奥へと移動することによってチェーン24を介して開閉扉3Aもケース体2内側方向へと引っ張られ、この引っ張り力によって開閉扉3Aは開閉部3を自動的に閉塞するように伏動回動して第二フレーム9及び車椅子7が全てケース体2内へと格納されると略同時に開閉扉3Aも完全に閉塞することになる。
【0085】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施例の説明斜視図である。
【図2】本実施例の説明分解斜視図である。
【図3】本実施例の説明平面図である。
【図4】本実施例の使用状態における車椅子格納状態を示す説明図である。
【図5】図4の状態から第一フレームがスライド突出して第二フレームの突出先端部がケース体から突出した状態を示す説明図である。
【図6】図5の状態から第一フレーム,第二フレームが更にスライド突出し、姿勢保持部材がケース体内の底面に当接して第二フレームが傾斜姿勢保持された状態を示す説明図である。
【図7】図6の状態から第一フレーム,第二フレームが更にスライド突出した状態を示す説明図である。
【図8】図7の状態から第一フレーム,第二フレームが更にスライド突出して姿勢保持部材がケース体外へ突出し、これにより姿勢保持部材が回動して第二フレームの突出先端部が更に伏動し始めた状態を示す説明図である。
【図9】図8の状態から第一フレーム,第二フレームが更にスライド突出して第二フレームが垂直状態近くまで回動した銃応対を示す説明図である。
【図10】図9の状態から第一フレーム,第二フレームが更にスライド突出して第二フレームが略垂直状態となり、第二フレームから車椅子が地面に降ろされた状態を示す説明図である。
【図11】本実施例のケース体から第一フレーム,第二フレームが最大突出して第二フレームが略垂直となった(垂下した)状態を示す説明斜視図である。
【図12】図11の平面図である。
【符号の説明】
【0087】
1 車両
2 ケース体
2A 底面
3 開閉部
5 第一フレーム
6 駆動源
7 車椅子
8 連結手段
9 第二フレーム
10 枢着部
11 姿勢保持部材
12 連結部材
13 枢着部
14 載置当接部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根上に設置し得,一側面に開閉可能な開閉部を設けた箱形のケース体と、このケース体内に格納し得,且つ前記開閉部からケース体外へ水平スライド突出し得る第一フレームと、この第一フレームを水平スライド駆動する駆動源と、この第一フレームのスライド突出先端部に起伏回動自在に枢着されて,この第一フレームと共にケース体内に格納し得,且つ第一フレームの前記開閉部からの水平スライド突出移動に伴い開閉部からスライド突出し得る第二フレームと、この第二フレームに車椅子を着脱自在に連結する連結手段と、前記第一フレームに回動自在に枢着され,且つ連結部材により前記第二フレームに連結してこの第二フレームの回動作動と連動回動する姿勢保持部材とから成り、前記第二フレームは、前記ケース体内の底面に載置当接することで略水平に姿勢保持されてケース体内に格納する構成とすると共に、この第二フレームは、前記開閉部からスライド突出するに従いこの第二フレームの突出先端部が第二フレームの枢着部を支点にして自重により下方へ伏動回動する構成とし、前記姿勢保持部材は、ケース体内の底面に当接することで回動停止して第二フレームの姿勢を少なくとも傾斜状態に保持する構成とし、前記駆動源により前記第一フレームが開閉部から水平スライド突出移動する際、ケース体内の底面に当接するこの姿勢保持部材が開閉部よりケース体外へと突出移動することにより、この突出先端部が姿勢保持部材の枢着部を支点にしてケース体の底面より下方へ落ち込み回動すると、この姿勢保持部材の回動に連動して第二フレームが次第に垂直状態へと近付くように回動する構成としたことを特徴とする車両用車椅子格納装置。
【請求項2】
前記第一フレームのスライド突出先端部に、前記第二フレームの基端側を枢着し、この枢着部より第二フレームの突出先端側の下部に前記ケース体内の底面に載置当接する載置当接部を設けて、この第二フレームが前記開閉部より突出してこの第二フレームの前記枢着部が開閉部よりケース体の外側へ突出した際、この第二フレームが自重により第一フレームに対し略垂直状態にまで伏動回動し得るように構成し、棒状の前記姿勢保持部材は、中程を前記第一フレームに枢着して、この姿勢保持部材の枢着部より前記第一フレームの突出先端部側に存する一側部が前記ケース体内の底面に当接し得且つこの姿勢保持部材の他端部を前記連結部材により前記第二フレームの基端部に連結する構成とし、この第二フレームが開閉部より突出してこの第二フレームの突出先端部が前記枢着部を支点に下方へ伏動回動することで、上方へ起動回動するこの第二フレームの基端部と連結した姿勢保持部材の他端部も起動回動してこの姿勢保持部材の一側部がケース体内の底面に当接し、更に第二フレームが開閉部より突出するに従って、この姿勢保持部材の一側部が開閉部よりケース体外へと突出移動することにより、この姿勢保持部材の一側部が前記枢着部を支点にしてケース体の底面より下方へ落ち込み回動すると、姿勢保持部材の他端部が更に起動回動して第二フレームの基端部も連動起動回動して、この第二フレームが次第に垂直状態へと近付くように回動する構成としたことを特徴とする請求項1記載の車両用車椅子格納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−168520(P2006−168520A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363448(P2004−363448)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(598086660)有限会社越泉製作所 (1)
【Fターム(参考)】