説明

車両用除雪装置および車両用除雪システム

【課題】無駄なエネルギーの消費を防ぎつつ、センサ等の性能等を劣化させる積雪を防ぐことを可能とする、車両用除雪システムを提供する。
【解決手段】自車両に備えられた車両用除雪装置であって、上記自車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、上記自車両の位置を含む領域の気象情報を取得する気象情報取得手段と、上記気象情報取得手段によって取得した上記領域の気象情報と、上記位置情報取得手段により取得した上記自車両の位置情報に基づいて、上記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があるかどうかを判断する判断手段と、上記自車両への積雪を除去する除雪手段と、少なくとも上記判断手段による判断結果に基づいて、上記除雪手段を制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用除雪装置および車両用除雪システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両走行時における安全性を向上させるべく、プリクラッシュセーフティーシステム等の運転支援装置が開発されている。これらの運転支援装置には、自車両の前方等にある障害物等を検知するために、レーダやCCDカメラ等(以下、センサ等と称する)が用いられている。
【0003】
ところが、運転支援装置で使用されるセンサ等の付近に積雪があると、センサ等の性能等が低下し、その結果、運転支援装置による運転支援が有効に行われなくなる問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、特開2004−20514号公報に記載の車載用レーダ装置(以下、従来技術1と称する)では、レドームに熱伝導体を設け、発熱手段からの熱を当該熱伝導体に伝えることにより、レドーム表面に付着した雪を融かしている。
【0005】
また、特開2006−73013号公報に記載の車載用カメラ装置(以下、従来技術2と称する)では、画像処理部が道路上の白線を認識できない場合であって、気温が氷点下であるとき等に熱線等の制御装置を作動させることにより、融雪等を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−20514号公報
【特許文献2】特開2006−73013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術1のように、融雪機能に係る発熱体等に常に通電していると、無駄なエネルギーを消費することとなり、燃費悪化が起こる。
【0008】
また、従来技術2においては、画像処理部が道路上の白線を認識できないことや、気温は、積雪とは直接関係がないため、熱線等の制御装置が必要な場面で適切に作動しない可能性がある。また、熱線等の制御装置が不必要な場面で動作してしまい、無駄なエネルギーを消費して燃費悪化が起こる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑み、無駄なエネルギーの消費を防ぎつつ、センサ等の性能等を劣化させる積雪を防ぐこと等を可能とする、車両用除雪装置および車両用除雪システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べる特徴を有する。
第1の発明は、自車両に備えられた車両用除雪装置であって、上記自車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、上記自車両の位置を含む領域の気象情報を取得する気象情報取得手段と、上記気象情報取得手段によって取得した上記領域の気象情報と、上記位置情報取得手段により取得した上記自車両の位置情報に基づいて、上記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があるかどうかを判断する判断手段と、上記自車両への積雪を除去する除雪手段と、少なくとも上記判断手段による判断結果に基づいて、上記除雪手段を制御する制御手段とを備える。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明に従属する発明であって、上記気象情報取得手段は、上記気象情報を送信する情報センターとの通信手段を備え、上記通信手段は、上記位置情報取得手段により取得された上記自車両の位置情報を上記情報センターに送信し、上記情報センターから、上記自車両の位置を含むエリアの気象情報を取得することを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、上記第1〜第2のいずれか1つに従属する発明であって、上記除雪手段は、上記自車両に搭載されたプリクラッシュセーフティーシステムにおいて、障害物を検出するための車載センサの検知面を覆う積雪を除去する除雪手段であることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、上記第1〜第3のいずれか1つに従属する発明であって、上記除雪手段は、上記車載センサの検知面を覆う積雪を払拭するワイパー、上記検知面の温度を上げるヒータ、および上記検知面に温風を送る温風装置のうち、少なくともいずれか1つであることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、上記第1〜第4のいずれか1つに従属する発明であって、上記自車両の車外の気温を検出する温度検出手段をさらに備え、上記制御手段は、上記温度検出手段により検出された車外の気温が予め定められた閾値より低く、且つ、上記判断手段によって上記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があると判断された場合に、上記除雪手段を作動させることを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、上記第1〜第5のいずれか1つに従属する発明であって、上記車載センサの性能低下を検出する車載センサ性能低下検出手段をさらに備え、上記制御手段は、上記車載センサ性能低下検出手段により上記車載センサの性能が低下していることが検出され、且つ、上記判断手段によって上記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があると判断された場合に、上記除雪手段を作動させることを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、上記第1〜第6のいずれか1つに従属する発明であって、車載ワイパーが作動中であることを検出する車載ワイパー作動検出手段をさらに備え、上記制御手段は、上記車載ワイパー作動検出手段により上記車載ワイパーが作動中であることが検出され、且つ、上記判断手段によって上記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があると判断された場合に、上記除雪手段を作動させることを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、第7の発明に従属する発明であって、上記車載ワイパーが作動した際、上記車載ワイパーにかかる負荷を検出する負荷検出手段をさらに備え、上記制御手段は、上記負荷検出手段により上記車載ワイパーに予め定められた閾値以上の負荷がかかっていることが検出され、且つ、上記判断手段によって上記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があると判断された場合に、上記除雪手段を作動させることを特徴とする。
【0018】
第9の発明は、上記第1〜第8のいずれか1つに従属する発明であって、上記判断手段が、上記気象情報取得手段によって取得した上記領域の気象情報と、上記位置情報取得手段により取得された位置情報に基づいて、上記自車両が、現在降雪中の第1降雪エリア、過去の予め定められた時間内に降雪していた第2降雪エリア、および将来の予め定められた時間内に降雪することが予想される第3降雪エリアのうち、少なくともいずれか1つのエリア内または当該エリア付近に存在するかどうかを判断する判断手段であることを特徴とする。
【0019】
第10の発明は、上記自車両への積雪を除去する車両用除雪システムであって、上記第1〜第9のいずれか1つの発明である車両用除雪装置と、上記車両用除雪装置の上記位置情報取得手段が取得した上記自車両の位置情報を受信し、上記自車両の位置を含むエリアの気象情報を上記車両用除雪装置に送信する上記情報センターとを備える。
【0020】
第11の発明は、上記自車両への積雪を除去する車両用除雪方法であって、上記自車両において上記自車両の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、上記位置情報を上記自車両から上記情報センターに送信する位置情報送信ステップと、上記位置情報を受信した上記情報センターが、上記自車両の位置を含むエリアの気象情報を上記自車両に送信する気象情報送信ステップと、上記情報センターから送信された気象情報を上記自車両が受信する受信ステップと、上記位置情報取得ステップで取得した上記自車両の位置情報と、上記受信ステップで受信した気象情報とに基づいて、上記自車両に搭載された上記除雪手段を作動させるか否かを判断する判断ステップと、上記判断ステップで上記除雪手段を作動させると判断された場合に、上記除雪手段を作動させる作動ステップとを備える。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明によれば、無駄なエネルギーの消費を防ぎ、且つ、センサ等の性能等を低下させる積雪を防ぐことを可能とする、車両用除雪装置を提供することができる。
【0022】
第2の発明によれば、自車両の位置に応じた気象情報を確実に取得することを可能とする、車両用除雪装置を提供することができる。
【0023】
第3の発明によれば、プリクラッシュセーフティーシステム等の運転支援装置に係るセンサ等の、積雪による性能等の低下を防ぐ車両用除雪装置を提供することができる。
【0024】
第4の発明によれば、センサ等の性能低下招く積雪を効率的に除去することを可能とする車両用除雪装置を提供することができる。
【0025】
第5の発明によれば、車外の気温を考慮することにより、降雪の有無の判断の確実性を高め、より効果的に作動する車両用除雪装置を提供することができる。
【0026】
第6の発明によれば、センサ等の性能に影響のある積雪のみを考慮するため、無駄なエネルギーの消費をさらに防ぐことを可能とする車両用除雪装置を提供することができる。
【0027】
第7の発明によれば、ワイパーの動作の有無を考慮することにより、降雪の有無の判断の確実性を高め、より効果的に作動する車両用除雪装置を提供することができる。
【0028】
第8の発明によれば、ワイパーが作動するときにかかる負荷を考慮することにより、降雪と降雨を区別することが可能となり、降雪の有無の判断の確実性をさらに高め、より効果的に作動する車両用除雪装置を提供することができる。
【0029】
第9の発明によれば、現在の気象情報、過去の気象情報、および将来の気象情報を考慮することにより、積雪の有無の判断の確実性をさらに高め、より効果的に作動する車両用除雪装置を提供することができる。
【0030】
第10の発明によれば、無駄なエネルギーの消費を防ぎ、且つ、センサ等の性能等を低下させる積雪を防ぐことを可能とする、車両用除雪システムを提供することができる。
【0031】
第11の発明によれば、無駄なエネルギーの消費を防ぎ、且つ、センサ等の性能等を低下させる積雪を防ぐことを可能とする、車両用除雪方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪システムの概略構成を示すブロック図
【図2】エンジン始動時の、本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪システムの情報取得処理の流れを示すフローチャート
【図3】エンジン始動時に通信が可能な場合の、本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪装置の制御の流れを示すフローチャート
【図4】エンジン始動時に通信が不可能な場合の、本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪装置の、制御の流れを示すフローチャート
【図5】本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪装置の、自車両が走行中の参照する気象情報等の選択の流れを示すフローチャート
【図6】本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪装置の、自車両が走行中の制御の流れを示すフローチャート
【図7】本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪装置の、自車両が走行中の制御の流れを示すフローチャート
【図8】本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪装置の、自車両が走行中の制御の流れを示すフローチャート
【図9】情報を取得するタイミングの一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態に係る車両用除雪システム1は、降雪情報等に基づいて車両に搭載した除雪装置15を制御することにより、無駄なエネルギーの消費を防ぎつつ、センサ等の性能等を劣化させる積雪を防ぐことを可能とする、車両用除雪システムである。本実施形態に係る車両用除雪システム1は、情報センター17、車両用除雪装置2から構成される。
【0035】
車両用除雪装置2は、通信部10、自車両位置情報取得部11、ワイパー動作検出部12、降雪判定部13、除雪装置制御部14、除雪装置15とを備える。
【0036】
自車両位置情報取得部11は、降雪判定部13と接続されている。自車両位置情報取得部11は、典型的には、GPS(Global Positioning System)を構成するGPS受信機であり、人工衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置情報(以下、現在位置情報と称する)を取得する。なお、GPSに代えて、もしくは、GPSとともに、方位センサや車速センサ等で構成される自立航法によって現在位置情報を取得しても良い。自車両位置情報取得部11は、取得した現在位置情報を示す信号(以下、現在位置信号と称する)を、降雪判定部13に送る。なお、自車両位置情報取得部11として、車両に搭載された、所謂カーナビゲーションシステムのGPS受信機等を利用しても良い。
【0037】
通信部10は、降雪判定部13と接続されている。通信部10は、図示していない通信モジュールやデータ通信アンテナ等を備える。また、通信部10として、カーナビゲーションシステムの通信機能を利用することや、携帯電話機を接続して携帯電話機の通信機能を利用することも考えられる。通信部10は、ネットワーク16を介して情報センター17との無線通信を行う。通信部10は、自車両位置情報取得部11から降雪判定部13に送られた現在位置信号を、降雪判定部13から受け取り(後述)、ネットワーク16を介して情報センター17に送信する。
【0038】
ネットワーク16は、例えば、インターネットや携帯電話網等の情報網である。
【0039】
情報センター17は、気象情報についてのデータ(以下、気象データと称する)を有している。情報センター17が有している気象データは、日本全国の「過去の気象情報」についてのデータ、日本全国の「現在の気象情報」についてのデータ、および日本全国の「将来の気象情報」についてのデータである。気象データは、情報センター17が独自に収集しても良いし、外部の情報提供プロバイダなどから提供を受けても良い。
【0040】
ここで、「現在の気象情報」とは、情報センター17が有している、「将来の気象情報」を含まない、実際に観測された気象データを基に得られた気象情報のうち、最新の気象情報をいう。すなわち、情報センター17が、本実施形態で使用する気象情報を得るために必要な各地の気象観測設備からの気象データの収集や、収集した気象データの処理に必要な時間等を考慮すると、リアルタイムの気象と、気象データを配信する時点の気象とは必ずしも一致せず、所謂タイムラグが生じうる。したがって、本実施形態で現在という表現は、当該タイムラグを含む意味である。本実施形態で過去という表現は、現在よりも時間的に前であることを意味する。本実施形態で将来とは、現在よりも時間的に後であることを意味する。また、本実施形態で「現在の気象情報」とは、当該タイムラグを含みうる気象情報である。「過去の気象情報」とは、「現在の気象情報」よりも時間的に前の気象情報である。「将来の気象情報」とは、「現在の気象情報」よりも時間的に後の気象についての予報情報である。
【0041】
情報センター17の例としては、自動車メーカーの情報提供施設や公的機関の情報提供施設が考えられる。情報センター17は、各種処理を行う情報処理装置と、情報処理装置の処理結果を記憶する記憶装置と、外部と通信する通信手段等を備える。
【0042】
情報処理装置は、通信手段を介して日本各地の気象情報を収集し、収集した気象情報の中から、通信手段を介して車両用除雪装置2から要求された所定領域の気象情報を抽出し、抽出した気象情報を通信手段を介して当該車両用除雪装置2へ送信する。ここでいう気象情報とは、過去気象情報、現在気象情報、および将来気象情報のうち少なくともいずれか1つ(以下、領域気象情報と称する)である。
【0043】
過去気象情報は、車両用除雪装置2の通信部10からネットワーク16を介して送信された現在位置信号で示される自車両の位置を含む予め定められた範囲(以下、情報取得領域と称する)の、予め定められた任意の期間の「過去の気象情報」である。現在気象情報は、情報取得領域の「現在の気象情報」である。将来気象情報は、情報取得領域の予め定められた任意の期間の「将来の気象情報」である。
【0044】
情報センター17は、抽出した領域気象情報を示す信号(以下、領域気象信号と称する)を、ネットワーク16を介して、車両用除雪装置2の通信部10に送る。なお、現在位置信号で示される自車両の位置を含む予め定められた任意の範囲とは、例えば、現在位置信号で示される自車両の位置を中心とした半径40mの領域内である。現在位置信号で示される自車両の位置を含む予め定められた任意の範囲は、一定期間Ts(後述)内に、自車両が当該範囲外に出る可能性が低い範囲であることが望ましい。
【0045】
ワイパー動作検出部12は、降雪判定部13と接続されている。ワイパー動作検出部12は、自車両のフロントガラスの外側表面に付着した雪等を除去するためのワイパー(以下、車載ワイパーと称する)の動作を検出する。ワイパー動作検出部12は、車載ワイパーの動作の検出結果を示す信号(以下、ワイパー動作信号と称する)を降雪判定部13に送る。なお、車載ワイパーの動作自体ではなく、運転者による車載ワイパーのスイッチの投入を検出するようにしても良い。
【0046】
降雪判定部13は、通信部10、自車両位置情報取得部11、ワイパー動作検出部12、除雪装置制御部14と接続されている。降雪判定部13は、自車両位置情報取得部11から送られる現在位置信号、およびワイパー動作検出部12から出力されるワイパー動作信号を受け取る。降雪判定部13は、自車両位置情報取得部11から受け取った現在位置信号を、通信部10に送信する。降雪判定部13は、情報センター17から送信された領域気象信号を、ネットワーク16および通信部10を介して受信する。
【0047】
降雪判定部13は、自車両位置情報取得部11から送られた現在位置信号と、情報センター17から送られてきた領域気象信号と、ワイパー動作検出部12から送られてきたワイパー動作信号とに基づき、自車両が降雪領域内にいるかどうかを判断する。具体的な判断手法については、後述する。降雪判定部13は、自車両が降雪領域内にいるかどうかの判断結果に基づく信号(以下、降雪領域判断信号と称する)を除雪装置制御部14に送信する。
【0048】
除雪装置制御部14は、降雪判定部13、除雪装置15と接続されている。除雪装置制御部14は、降雪判定部13から送信された降雪領域判断信号を受信する。除雪装置制御部14は、降雪領域判断信号に基づいて、除雪装置15を制御する。
【0049】
除雪装置15は、除雪装置制御部14と接続されている。除雪装置15は、除雪装置制御部14の制御により、作動する。ここで、除雪装置15は、ワイパー等の除雪装置だけではなく、熱線による加熱や温風の吹付け等の融雪による除雪装置も含む。すなわち、積雪や降雪によるカメラ等の性能劣化を改善するために雪を除去等するための装置であれば良い。除雪装置15の制御は、例えば、積雪量や降雪量、車外の気温等に基づいて、除雪装置15の作動時間や、除雪装置15が熱線等の融雪装置であれば融雪装置の温度等を制御することが考えられる。
【0050】
図2は、車両の始動/停止スイッチ(以下、イグニッションスイッチと称する)がオンに投入された時の、第1の実施形態に係る車両用除雪システム1の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図2に記載のフローチャートついて説明する。なお、イグニッションスイッチがオンに投入されたときの処理を、以下、始動時処理と称する。
【0051】
イグニッションスイッチがオンに投入されると、自車両位置情報取得部11によって、現在位置情報が取得される(ステップS201)。そして、情報センター17との通信が可能か否かが通信部10によって判断される(ステップS202)。通信可能であれば(ステップS202でYES)、車両用除雪装置2は、現在位置信号を情報センター17に送信する(ステップS203)。通信が不可であれば(ステップS202でNO)、処理をステップS201に戻し、通信が可能になり次第(ステップS202でYES)、現在位置信号を、情報センター17に送信する(ステップS203)。
【0052】
現在位置信号を受信(ステップS204)した情報センター17は、領域気象情報として、過去気象情報、現在気象情報、および将来気象情報を抽出する(ステップS205)。
【0053】
始動時処理における過去気象情報の、予め定められた任意の期間とは、例えば、イグニッションスイッチがオフに投入されてからイグニッションスイッチがオンに投入されるまでの期間Toff(以下、エンジン停止期間Toffと称する)を指す(図9参照)。エンジン停止期間Toffの気象情報を取得する理由は、エンジン始動時点では降雪していなくても、エンジン停止期間Toffに積雪があれば、センサ等は当該積雪の影響を受ける可能性があり、当該積雪を融かすために除雪装置15を作動させる必要があるからである。
【0054】
始動時処理における将来気象情報の、予め定められた任意の期間Tfは、任意の期間で良い。一例としては、始動時処理における領域気象情報を取得する最初のタイミング(以降、第1情報取得タイミングと称する)の次の領域気象情報を取得するタイミング(以降、第2情報取得タイミングと称する)から、予め定められた任意期間Tf1(図9参照)とすることが考えられる。
【0055】
期間Tfの将来気象情報を取得する理由は、自車両の位置が通信圏外等の理由で、第2情報取得タイミング時における現在気象情報を、情報センター17から取得できない場合の補完のためである。すなわち、第2情報取得タイミング時に情報センター17から現在気象情報を取得できない場合は、情報センター17が有する第2情報取得タイミング時における最新の現在気象情報を取得することができないため、降雪判定部13は、第2情報取得タイミング時における最新の現在気象情報を基に現在降雪中かどうかの判断をすることができない。そこで、第1情報取得タイミング時に取得した、期間Tfの将来気象情報を参照し、第2情報取得タイミング時において降雪中かどうかを判断する。
【0056】
なお、第1情報取得タイミング時に取得した、期間Tfの将来気象情報は、あくまでも第1情報取得タイミング時における気象予報であるため、第2情報取得タイミング時の実際の気象状況とは異なる可能性がある。そのため、ワイパー動作検出部12によって車載ワイパーの動作を検出し、車載ワイパーの動作の検出結果を参照することによって、除雪装置15の動作の確実性を高めることが考えられる(後述)。
【0057】
情報センター17は、抽出した領域気象情報を示す信号(以下、領域気象信号と称する)を、ネットワーク16を介して、通信部10に送信する(ステップS206)。通信部10は、情報センター17から送信された領域気象信号を受信し(ステップS207)、受信した領域気象信号を降雪判定部13に送信する。領域気象信号を受信した降雪判定部13は、ステップS301以降の処理を行う。以下、ステップS301以降の処理の流れを図3のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
降雪判定部13は、通信部10から送信された領域気象信号で示される、過去気象情報と、自車両位置情報取得部11によって取得された現在位置情報を参照(ステップS301、ステップS302)し、エンジン停止期間Toffの降雪領域内に自車両がいるかどうかを判断する(ステップS303)。なお、過去気象情報と現在位置情報を参照することは意味がないようにも思われる。しかし、図3のフローチャートのステップS301以降の処理は、始動時処理であり、通常、エンジン停止期間は、自車両の位置は変わらないため、自車両の位置情報として現在位置情報を使用し、過去気象情報と現在位置情報を参照する意味がある。
【0059】
エンジン停止期間Toffに降雪領域内に自車両がいたと判断した場合(ステップS303でYES)、降雪判定部13は、自車両がエンジン停止期間Toffに降雪領域内にいたことを示す降雪領域判断信号を除雪装置制御部14に送信する。自車両が過去の予め定められた任意の期間に降雪領域内にいたことを示す降雪領域判断信号を受信した除雪装置制御部14は、センサ等の性能等を低下させる積雪を除去等するために、除雪装置15を作動させる(ステップS304)。除雪装置制御部14は、センサ等の性能等を低下させる積雪を除去等するために、エンジン停止期間Toffの積雪量に応じた時間Tv(後述)が経過するまで、除雪装置15を作動させ続ける(ステップS305でNO)。時間Tvが経過すれば(ステップS305でYES)、除雪装置制御部14は、除雪装置15の作動を止め(ステップS306)、図3に示したステップS301以降の処理を終了する。
【0060】
ここで、エンジン停止期間Toffの積雪量に応じた時間Tvとは、エンジン停止期間Toffにセンサ等に積もった雪を融かすために必要な時間をいう。時間Tvは、センサ等の大きさや取り付け位置によって車両毎に異なるため、各車両毎に最適な時間を調整する必要がある。また、時間Tvは、外気温に応じて変化するようにしても良い。
【0061】
エンジン停止期間Toffに、自車両が降雪領域内にいなかった場合(ステップS303でNO)、降雪判定部13は、情報センター17から送信された領域気象信号で示される現在気象情報と、自車両位置情報取得部11によって取得された現在位置情報を参照し、自車両が、降雪領域内にいるかどうかを判断する(ステップS307)。
【0062】
降雪判定部13は、自車両が降雪領域内にいると判断した場合(ステップS307でYES)、降雪判定部13は、自車両が降雪領域内にいることを示す降雪領域判断信号を除雪装置制御部14に送信する。自車両が降雪領域内にいることを示す降雪領域判断信号を受信した除雪装置制御部14は、降っている雪が運転支援装置等のセンサ等に積もることを防ぐために、除雪装置15を作動させ(ステップS308)、図3に示したステップS301以降の処理を終了する。
【0063】
自車両が、降雪領域内にいないと判断した場合(ステップS307でNO)、降雪判定部13は、情報センター17から送信された領域気象信号等で示される将来気象情報と、自車両位置情報取得部11によって取得された現在位置情報を参照し、自車両が、将来気象情報における降雪量域内にいるかどうかを判断する(ステップS309)。自車両が、将来気象情報における降雪量域内にいるかどうかを判断する理由は、現在気象情報が、上述のタイムラグのために、実際の気象状態を反映していない可能性があるので、それを補うためである。ただし、将来気象情報は、あくまでも、情報センター17が領域気象情報を抽出した時点における気象であるため、自車両が、将来気象情報における降雪量域内にいると判断しても(ステップS309でYES)、除雪装置15の動作の信頼性を高めるために、ワイパー動作検出部12によって自車両の車載ワイパーの動作の有無を判断する(ステップS310)。エンジン始動から予め定めた閾値時間内(例えば、エンジン始動から5分以内)に、ワイパー動作検出部12によって自車両の車載ワイパーの作動が検出されれば(ステップS310でYES)、降雪があるとして、降雪判定部13は、自車両が降雪領域内にいることを示す降雪領域判断信号を除雪装置制御部14に送信する。自車両が降雪領域内にいることを示す降雪領域判断信号を受信した除雪装置制御部14は、降っている雪が運転支援装置等のセンサ等に積もることを防ぐために、除雪装置15を作動させ(ステップS308)、図3に示したステップS301以降の処理を終了する。ワイパー動作検出部12によって自車両の車載ワイパーの作動が検出されなければ(ステップS310でNO)、降雪判定部13は、降雪がないとして、自車両が降雪領域内にいないを示す降雪領域判断信号を除雪装置制御部14に送信する。自車両が降雪領域内にいないことを示す降雪領域判断信号を受信した除雪装置制御部14は、除雪装置15を作動させず、図3に示したステップS301以降の処理を終了する。
【0064】
以上が、本実施形態に係る、始動時処理の流れの説明である。
【0065】
次に、本実施形態に係る、始動時処理後の、領域気象情報の取得処理(以下、走行中処理と称する)の流れを、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0066】
走行中処理では、降雪判定部13は、自車両位置情報取得部11によって現在位置情報を取得(ステップS401)し、取得した現在位置情報を参照(ステップS402)して、自車両が情報取得領域内にいるかどうかを判断する(ステップS403)。自車両が情報取得領域内にいないと判断した場合(ステップS403でNO)、通信可能かどうかを判断し(ステップS405)、通信可能であれば(ステップS405でYES)、現在位置情報を情報センター17に送信(ステップS406)する。自車両が情報取得領域内にいると判断した場合(ステップS403でYES)、前回の領域気象情報の取得から予め定めた一定期間Ts(例えば、30分)を経過しているかどうかを判断する(ステップS404)。前回の領域気象情報の取得から予め定めた一定期間Tsを経過していない場合(ステップS404でNO)、処理をステップS401に戻す。前回の領域気象情報の取得から一定期間Tsを経過している場合(ステップS404でYES)、通信可能かどうかを判断し(ステップS405)、通信可能であれば(ステップS405でYES)、現在位置情報を情報センター17に送信(ステップS406)する。通信が不可能であれば(ステップS405でNO)、処理をステップS401に戻す。
【0067】
現在位置信号を受信(ステップS407)した情報センター17は、上述のステップS205のように、領域気象情報を、必要に応じて抽出する(ステップS408)。本実施形態において、領域気象情報の取得に係る処理で抽出する領域気象情報は、現在気象情報および将来気象情報である。情報センター17は、領域気象信号を、ネットワーク16を介して、通信部10に送信する(ステップS409)。通信部10は、情報センター17から送信された領域気象信号を受信する(ステップS410)。
【0068】
なお、本実施形態では、原則として、一定期間Ts毎に情報センター17から領域気象情報を取得する(図9参照)。一定期間Tsは、任意の期間で良い。例えば、一定期間Tsを30分と定めた場合は、原則として、30分毎に情報センター17から領域気象情報を取得する。
【0069】
走行中処理における将来気象情報の、一定期間Tfnは、任意の期間で良いが、例えば、一定期間Tfnは、走行中処理において実際に領域気象情報を取得するタイミング(以降、第n情報取得タイミングと称する)を基準とした場合、第n情報取得タイミングの次の領域気象情報を取得するタイミング(すなわち、第n情報取得タイミングから一定期間Ts後。以降、第n+1情報取得タイミングと称する)から、予め定められた任意の期間Tfn(図9参照)とすることが考えられる。なお、nは自然数である。例えば、イグニッションスイッチがオンに投入された後、最初の情報取得タイミングでは、nは1、すなわち第1情報取得タイミングである。
【0070】
なお、将来気象情報を取得する理由は、始動時処理で将来気象情報を取得する理由と同じである。また、除雪装置15の動作の確実性を高めるために、ワイパー動作検出部12によって車載ワイパーの動作を検出し、車載ワイパーの動作の検出結果を参照することが考えられるのも始動時処理と同じである。さらに、図1に示していない記憶装置の容量や、通信部10と情報センター17との通信速度等が許せば、より長期の将来についての将来気象情報を取得しても良いのも、始動時処理のときと同じである。
【0071】
次に、本実施形態に係る、走行中処理の、除雪装置15を制御するために参照する領域気象情報の選択の処理の流れについて、図5乃至図8を用いて説明する。
【0072】
まず、自車両位置情報取得部11によって取得した現在位置情報を参照し、自車両が情報取得領域内にいるかどうかを判断する(ステップS501)。自車両が情報取得領域内にいる場合(ステップS501でYES)、情報センター17との通信が可能かどうかを判断する(ステップS502)。情報センター17との通信が可能である場合(ステップS502でYES)、図6のステップS601に移行する。情報センター17との通信が不能である場合(ステップS502でNO)、図7のステップS701に移行する。自車両が情報取得領域内にいない場合(ステップS501でNO)、情報センター17との通信が可能かどうかを判断する(ステップS503)。情報センター17との通信が可能である場合(ステップS503でYES)、処理を戻す。これは、自車両が情報取得領域内にいない場合で、情報センター17との通信が可能である場合は、その時点における最新の領域気象情報を取得できるからである(図4に示したステップS403からステップS405、ステップS406への流れを参照)。降雪判定部13は、最新の領域気象情報を取得したら、取得した最新の領域気象情報を参照して、ステップS501以降の処理を行う。情報センター17との通信が不能である場合(ステップS503でNO)、図8のステップS801に移行する。
【0073】
次に、ステップS601以降の処理について説明する。
ステップS601に移行するのは、上述のように、自車両が情報取得領域内にいる場合(ステップS501でYES)であって、情報センター17との通信が可能である場合(ステップS502でYES)なので、最新の領域気象情報を取得できている状況にある。したがって、除雪装置15を制御するために、最新の領域気象情報を参照する(ステップS601)。ステップS602では、降雪判定部13は、最新の領域気象情報の現在気象情報と、自車両位置情報取得部11によって取得した現在位置情報を参照して、自車両が降雪領域内にいるかどうかを判断する(ステップS602)。自車両が降雪領域内にいる場合(ステップS602でYES)、除雪装置15を作動させる(ステップS603)。自車両が降雪領域内にいない場合(ステップS602でNO)、除雪装置15を作動させない(ステップS604)。
【0074】
次に、ステップS701以降の処理について説明する。
ステップS701に移行するのは、上述のように、自車両が情報取得領域内にいる場合(ステップS501でYES)であって、情報センター17との通信が不能である場合(ステップS502でNO)なので、最新の領域気象情報を取得できていない状況にある。したがって、除雪装置15を制御するために、降雪判定部13は、最新の領域気象情報を参照することができない。そこで、降雪判定部13は、通信可能が可能であった時に取得していた将来気象情報(すなわち、過去に取得していた、現在の気象を予報する情報)を、最新の領域気象情報における現在気象情報の代わりに参照する(ステップS701)。ステップS702では、降雪判定部13は、過去に取得していた現在の気象を予報する情報と、自車両位置情報取得部11によって取得した現在位置情報を参照して、自車両が降雪領域内にいるかどうかを判断する(ステップS702)。自車両が降雪領域内にいる場合(ステップS702でYES)、除雪装置制御部14は、除雪装置15を作動させる(ステップS703)。自車両が降雪領域内にいない場合(ステップS702でNO)、除雪装置制御部14は、除雪装置15を作動させない(ステップS704)。
【0075】
次に、ステップS801以降の処理について説明する。
ステップS801に移行するのは、上述のように、自車両が情報取得領域内にいない場合(ステップS501でNO)であって、情報センター17との通信が不能である場合(ステップS503でNO)なので、自車両は、既に取得している情報取得領域外に位置し、且つ、最新の領域気象情報を取得できない状況にある。そこで、除雪装置15は、自車両が情報取得領域外に出た時に行っていた動作を維持する(ステップS801)。
【0076】
以上が、本発明の第1の実施形態に係る車両用除雪装置2および車両用除雪システム1の説明である。本実施形態に係る車両用除雪システム1によれば、無駄なエネルギーの消費を防ぎつつ、プリクラッシュセーフティーシステム等の運転支援装置に係るセンサ等の性能等を劣化させる積雪を防ぐ、車両用除雪システムを提供することができる。
【0077】
また、本発明の第1の実施形態によれば、多くの車両に搭載されているカーナビゲーションシステムのGPS等の位置特定機能や同じくカーナビゲーションシステムの通信機能を利用することにより、降雪量等を計測するセンサ等を別途取り付ける必要なく、運転支援装置による運転支援を有効に動作させることができる。したがって、降雪量等を計測するセンサ等を別途取り付けるコスト等を抑えることができる。
【0078】
なお、第1の実施形態では、インターネットや携帯電話網等の情報網を利用した電気通信を使用したが、当該電気通信ではなく、各地の基地局等から放送された気象情報を含んだデータ(例えば、FM多重放送受信機、デジタル放送等)を受信する手法を用いても良い。この場合、自車両位置情報取得部11は、上記に一例としてあげたGPSではなく、受信したデータを放送した基地局等が、どの領域をカバーしているのか等のデータから、自車両の現在位置情報を取得しても良い。
【0079】
また、第1の実施形態では、ワイパー動作検出部12は、車載ワイパーの動作の有無のみを検出するものとした。しかしながら、他の実施形態では、車載ワイパーの動作の有無の検出に加え、車載ワイパーの作動にかかる負荷を検出する手段を設けても良い。すなわち、自車両のフロントガラスに積もった雪を除去するときに車載ワイパーにかかる負荷と、フロントガラスに雨がかかっているときに車載ワイパーにかかる負荷は異なるため、自車両が降雪領域内にいる場合等であって、車載ワイパーの動作があり、且つ、車載ワイパーの作動にかかる負荷が、予め定められた閾値を超えた場合には、降雪があると判断し、除雪装置15を作動させても良い。
【0080】
また、第1の実施形態では、現在位置情報および領域気象情報等に基づいて除雪装置15の制御等を行うものとした。しかしながら、他の実施形態では、車外の気温を検出する温度検出手段を設け、自車両が降雪領域内にいる場合等であって、当該気温が予め定めた閾値(例えば、0)以下である場合は、降雪があると判断し、除雪装置15を作動させても良い。
【0081】
また、第1の実施形態では、始動時処理において、エンジン停止期間Toffに積雪があった場合であって、自車両が降雪領域内にいると判断された場合は、除雪装置15を動作させるものとした。しかしながら、自車両がエンジンを停止していたのが屋内の駐車場であることが、当該車両が備えている所謂カーナビゲーションシステムの機能等によって判る場合、エンジン停止期間Toffに積雪があったとしても、当該車両には積雪はないとして、除雪装置15を作動させないようにしても良い。
【0082】
また、第1の実施形態では、現在位置情報と領域気象情報等に基づいて除雪装置15の制御等を行うものとした。しかしながら、他の実施形態では、センサ等の性能低下を検出する手段をさらに備え、自車両が降雪領域内にいる場合等であって、センサ等の性能が低下した場合に、降雪があると判断し、除雪装置15を作動させても良い。センサ等の性能低下を検出する手段の一例として、センサ等が自車両の前方の画像を撮像するCCDカメラ等である場合において、当該カメラ等によって自車両の走行車線の区画線を含む前方の画像を撮像し、当該画像を処理することにより、自車両の走行車線の区画線を逐次検出し、予め定めた任意の期間以上、自車両の走行車線の区画線が検出されなかった場合はセンサ等の性能が低下していると判断する手法が考えられる。
【0083】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、上述の説明はあらゆる点において本発明の一例にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、無駄なエネルギーの消費を防ぎつつ、センサ等の性能等を劣化させる積雪を防ぐことができ、例えば、カーナビゲーションシステムを備えた自動車等の移動体に搭載される車両用除雪装置および車両用除雪システム等に利用できる。
【符号の説明】
【0085】
1 車両用除雪システム
2 車両用除雪装置
10 通信部
11 自車両位置情報取得部
12 ワイパー動作検出部
13 降雪判定部
14 除雪装置制御部
15 除雪装置
16 ネットワーク
17 情報センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に備えられた車両用除雪装置であって、
前記自車両の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記自車両の位置を含む領域の気象情報を取得する気象情報取得手段と、
前記気象情報取得手段によって取得した前記領域の気象情報と、前記位置情報取得手段により取得した前記自車両の位置情報に基づいて、前記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があるかどうかを判断する判断手段と、
前記自車両への積雪を除去する除雪手段と、
少なくとも前記判断手段による判断結果に基づいて、前記除雪手段を制御する制御手段とを備える車両用除雪装置。
【請求項2】
前記気象情報取得手段は、前記気象情報を送信する情報センターとの通信手段を備え、前記通信手段は、前記位置情報取得手段により取得された前記自車両の位置情報を前記情報センターに送信し、前記情報センターから、前記自車両の位置を含むエリアの気象情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の車両用除雪装置。
【請求項3】
前記除雪手段は、前記自車両に搭載されたプリクラッシュセーフティーシステムにおいて、障害物を検出するためのセンサの検知面を覆う積雪を除去する除雪手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用除雪装置。
【請求項4】
前記除雪手段は、前記車載センサの検知面を覆う積雪を払拭するワイパー、前記検知面の温度を上げるヒータ、および前記検知面に温風を送る温風装置のうち、少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の車両用除雪装置。
【請求項5】
前記自車両の車外の気温を検出する温度検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された車外の気温が予め定められた閾値より低く、且つ、前記判断手段によって前記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があると判断された場合に、前記除雪手段を作動させることを特徴とする請求項1〜4いずれか1つに記載の車両用除雪装置。
【請求項6】
前記車載センサの性能低下を検出する車載センサ性能低下検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記性能低下検出手段により前記車載センサの性能が低下していることが検出され、且つ、前記判断手段によって前記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があると判断された場合に、前記除雪手段を作動させることを特徴とする請求項1〜5いずれか1つに記載の車両用除雪装置。
【請求項7】
前記自車両のフロントガラスの外側表面に付着した雪等を除去するための車載ワイパーが作動中であることを検出する車載ワイパー作動検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記車載ワイパー作動検出手段により前記車載ワイパーが作動中であることが検出され、且つ、前記判断手段によって前記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があると判断された場合に、前記除雪手段を作動させることを特徴とする請求項1〜6いずれか1つに記載の車両用除雪装置。
【請求項8】
前記車載ワイパーが作動した際、前記車載ワイパーにかかる負荷を検出する負荷検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記負荷検出手段により前記車載ワイパーに予め定められた閾値以上の負荷がかかっていることが検出され、且つ、前記判断手段によって前記自車両の位置情報が降雪エリアに関連があると判断された場合に、前記除雪手段を作動させることを特徴とする請求項7に記載の車両用除雪装置。
【請求項9】
前記判断手段が、
前記気象情報取得手段によって取得した前記領域の気象情報と、前記位置情報取得手段により取得された位置情報に基づいて、前記自車両が、現在降雪中の第1降雪エリア、過去の予め定められた時間内に降雪していた第2降雪エリア、および将来の予め定められた時間内に降雪することが予想される第3降雪エリアのうち、少なくともいずれか1つのエリア内または当該エリア付近に存在するかどうかを判断する判断手段であることを特徴とする請求項1〜8いずれか1つに記載の車両用除雪装置。
【請求項10】
前記自車両への積雪を除去する車両用除雪システムであって、
前記自車両に搭載された請求項1〜9いずれか1つに記載の車両用除雪装置と、
前記車両用除雪装置の前記位置情報取得手段が取得した自車両の位置情報を受信し、自車両の位置を含むエリアの気象情報を前記車両用除雪装置に送信する前記情報センターとを備えた車両用除雪システム。
【請求項11】
前記自車両への積雪を除去する車両用除雪方法であって、
前記自車両において前記自車両の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記位置情報を前記自車両から前記情報センターに送信する位置情報送信ステップと、
前記位置情報を受信した前記情報センターが、前記自車両の位置を含むエリアの気象情報を前記自車両に送信する気象情報送信ステップと、
前記情報センターから送信された気象情報を前記自車両が受信する受信ステップと、
前記位置情報取得ステップで取得した前記自車両の位置情報と、前記受信ステップで受信した気象情報とに基づいて、前記自車両に搭載された前記除雪手段を作動させるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップで前記除雪手段を作動させると判断された場合に、前記除雪手段を作動させる作動ステップとを備えた車両用除雪方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−247585(P2011−247585A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117522(P2010−117522)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】