説明

車両盗難に対抗する機能を有する車両用ナビゲーション装置およびプログラム

【課題】 車両用ナビゲーション装置において、ユーザ毎に操作パターンの癖や好みに偏りがあることに着目した、新規な車両盗難防止機能を実現する。
【解決手段】 車両用ナビゲーション装置は、第1の学習期間に入力装置が受け付けた複数の操作についての統計情報と、第1の期間に続く第2の学習期間において前記入力装置が受け付けた複数の操作についての統計情報とを外部記憶媒体に記憶させ(ステップ120)、記憶された2つの統計情報を比較し、これらが所定の基準以上に異なっていることを判定し(ステップ140)、その判定に基づいて、警告信号を出力する(ステップ150)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両盗難に対抗する機能を有する車両用ナビゲーション装置、および車両盗難に対抗する機能を制御回路に実現させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ナビゲーション装置に車両盗難防止機能を付加する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両ナビゲーション装置にあらかじめ地理的範囲の登録を受け、車両がこの範囲を出たことを検知すると、車両の走行を不能化または困難化させ、あるいは警告を音や映像で発する車両用ナビゲーション装置が開示されている。
【特許文献1】特開平8−77471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、車両のユーザの中には、様々な地域へ自車両を走らせることが常となっている者等、一定の範囲を出たか否かを車両の盗難の判断基準とすることにあまり意味がない者もいるので、このような特許文献1の車両盗難防止機能が車両盗難に対して有効とならない場合もある。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、車両用ナビゲーション装置において、新規な車両盗難防止
することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明は、車両用ナビゲーション装置の入力装置の操作パターンには、ユーザ毎の癖や好みの偏りがあることに着目したものである。
【0006】
本発明の請求項1に記載の発明は、記憶媒体と、ユーザの操作を受け付ける入力装置と、第1の期間において前記入力装置が受け付けた複数の操作についての第1の統計情報と、前記第1の期間と一致しない第2の期間において前記入力装置が受け付けた複数の操作についての第2の統計情報と、を前記記憶媒体に記憶させる記憶制御手段と、記憶された前記第1の統計情報と前記第2の統計情報とを比較し、これらが所定の基準以上に異なっていることを判定する判定手段と、前記判定手段の判定に基づいて、警告信号を出力する出力手段と、を備えた車両用ナビゲーション装置である。
【0007】
このようになっているので、車両用ナビゲーション装置は、第2の期間における操作の統計情報が、この第2の期間と一致しない第1の期間における操作の統計情報に対して所定の基準以上に異なることに基づいて、警告信号を出力するようになる。したがって、ユーザ毎の操作の癖や好みの違いを反映した、今までにない盗難防止機能が実現される。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置において、前記入力装置は、複数のメカニカルスイッチを有し、前記第1の統計情報および前記第2の統計情報は、それぞれの期間における各メカニカルスイッチの種類毎の操作回数の情報を含むことを特徴とする。
【0009】
このように、複数のメカニカルスイッチ毎の操作回数の情報の比較に基づいた判定を行うようになっていてもよい。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両用ナビゲーション装置において、前記入力装置は、タッチパネルを有し、前記第1の統計情報および前記第2の統計情報は、それぞれの期間における前記タッチパネル上に表されたスイッチの種類毎の操作回数の情報を含むことを特徴とする。
【0011】
このように、タッチパネル上に表されたスイッチ毎の操作回数の情報の比較に基づいた判定を行うようになっていてもよい。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用ナビゲーション装置において、前記第1の統計情報および前記第2の統計情報は、それぞれの期間における、表示地図拡大、表示地図縮小、テレビ受信、音楽演奏、実行アプリケーション選択、および設定項目選択のための各操作のうちの少なくとも1つについてのものであることを特徴とする。
【0013】
このように、統計情報が、表示地図拡大、表示地図縮小、テレビ受信、音楽演奏、アプリケーション選択、および設定開始のための各操作のように、ユーザの好みによる操作の癖や好みが表れやすい操作に基づいていれば、盗難検知の精度がより高くなる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用ナビゲーション装置において、前記第2の期間は、複数の連続する期間のうち、すでに終了している最新の期間であることを特徴とする。
【0015】
このようになっていることで、最新の統計情報に基づいた判定を行うことができるので、盗難検知の精度がより高くなる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両用ナビゲーション装置において、前記第1の期間は、前記複数の連続する期間のうち、前記第2の期間の直前の期間であることを特徴とする。
【0017】
このようになっていることで、時間の経過に応じて比較対象の2つの統計情報に係る期間が新しくなっていくので、ユーザの操作の癖や好みが月日の経過と共に徐々に変化していった場合に、それを盗難として検出してしまう可能性が低減される。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、ユーザの操作を受け付ける入力装置が第1の期間において受け付けた複数の操作についての第1の統計情報と、前記第1の期間と一致しない第2の期間において前記入力装置が受け付けた複数の操作についての第2の統計情報と、を前記記憶媒体に記憶させる記憶制御手段、記憶された前記第1の統計情報と前記第2の統計情報とを比較し、これらが所定の基準以上に異なっていることを判定する判定手段、および前記判定手段の判定に基づいて、警告信号を出力する出力手段、として制御回路を機能させるプログラムである。
【0019】
このようになっているので、制御回路は、第2の期間における操作の統計情報が第1の期間における操作の統計情報に対して所定の基準以上に異なることに基づいて、警告信号を出力するようになる。したがって、ユーザ毎の操作の癖や好みの違いを反映した、今までにない盗難防止機能が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1の構成を示す。車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、表示装置12、TVチューナ13、車内LAN接続装置14、タッチパネル15、前面スイッチ群16、リモコンセンサ17、リモコン18、外部記憶媒体19および制御回路20を有している。
【0021】
位置検出器11は、いずれも周知の地磁気センサ、ジャイロスコープ、車輪の回転に基づいてパルス信号を出力する車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基いた現在位置を特定するための情報を制御回路20に出力する。
【0022】
表示装置12は、制御回路20から出力された地図、スイッチ(ボタンを含む)等の画像信号に基いた映像をユーザに表示する画像表示装置、および制御回路20から出力された音声信号を出力するスピーカを有する。
【0023】
TVチューナ13は、制御回路20の制御に基いて、TV放送局からの映像・音を受信し、それを映像信号および音信号として制御回路20に出力する。
【0024】
車内LAN接続装置14は、制御回路20から受けた信号を、車内LAN31の通信プロトコル(例えばCAN(CommunicationArea Network))に適合するように加工し、この加工したデータを、ボディーECU32、エンジンECU33等の他の装置宛として、車内LAN31に出力する。また、車内LAN接続装置14は、ボディーECU32、エンジンECU33等、他の車内LAN31に接続された装置から車内LAN31に出力されたデータを受信し、それを制御回路20が認識できる形式に変換して制御回路20に出力する。
【0025】
なお、ボディーECU32は、車両のクラクションの発鳴等の制御を行う。また、エンジンECU33は、エンジンの始動、停止等の制御を行う。
【0026】
タッチパネル15は、表示装置12の表示面に重ねられるようにその検知面が設けられ、ユーザによる検知面へのタッチ操作に基づいて、そのタッチされた位置の情報を制御回路20に出力する。
【0027】
前面スイッチ群16は、車両用ナビゲーション装置1のフロントパネル上に設けられた複数のメカニカルスイッチから成り、それらメカニカルスイッチのそれぞれがユーザによる押下等の操作を受けることで、操作を受けたメカニカルスイッチに固有の信号を制御回路20に出力する。
【0028】
リモコンセンサ17は、リモコン18から受信した信号を制御回路20に出力する。
【0029】
リモコン18は、複数のメカニカルスイッチを有し、それらメカニカルスイッチのそれぞれがユーザによる押下等の操作を受けることで、操作を受けたスイッチに固有の信号を制御回路20に出力する。
【0030】
なお、以下では、タッチパネル15、前面スイッチ群16、リモコンセンサ17を総称する語として入力装置を用いる。
【0031】
外部記憶媒体19は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、制御回路20が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。また、本実施形態の外部記憶媒体19は、後述する操作パターンデータ(第1の統計情報および第2の統計情報に相当する)を記憶するようになっている。なお、車両用ナビゲーション装置1は、地図データは、DVD−ROM、CD−ROM等の記憶媒体からデータを読み出す装置を有し、このDVD−ROM、CD−ROM等から地図データを読み出すようになっていてもよい。
【0032】
制御回路20は、図示しないRAM、ROM、CPUを有している。このCPUは、ROMおよび外部記憶媒体19から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際には上記ROM、RAM、外部記憶媒体19から情報を読み出し、RAM、外部記憶媒体19に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、表示装置12、TVチューナ13、表示装置13、車内LAN接続装置14、タッチパネル15、前面スイッチ群16、リモコンセンサ17信号の授受を行う。
【0033】
また、制御回路20は、データ通信機能を有する携帯電話34などの移動体通信機器を介して、インターネット等の広域ネットワーク35上のセキュリティセンタ36、Webサーバ、各種情報サーバ等と情報をやりとりすることができる。なお、セキュリティセンタ36は、広域ネットワーク35を介して盗難警告信号を受信すると、その受信に基づいて警察等への連絡、当該盗難警告信号に係るユーザへの連絡等のための処理を行う。
【0034】
制御回路20のCPUがプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、タッチスイッチ特定処理、現在位置特定処理、案内経路検索処理、経路案内処理、TV表示処理、音楽演奏処理、実行アプリケーション選択処理、設定受付処理等がある。
【0035】
タッチスイッチ特定処理は、タッチパネル15から、現在制御回路20が表示装置12に表示させている各種スイッチに相当する位置のタッチがあった旨の信号を受けると、そのスイッチの識別情報を制御回路20のRAMの所定の位置に書き込み、また、制御回路20上で実行されている他のプログラムの処理にその情報を渡す処理である。
【0036】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基いて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置を特定する処理である。
【0037】
案内経路検索処理は、入力装置からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な案内経路を算出する処理である。
【0038】
この案内経路検索処理においては、ユーザは、目的地を入力するために、リモコン18のカーソルキーや決定キーを操作して目的地の文字列入力を行う場合、タッチパネル15上の地図の拡大、縮小、移動等のスイッチをタッチ操作することで目的地を選択する場合、タッチパネル15上のタッチ選択可能なジャンルリストや地点リスト中のスイッチをタッチ操作することで目的地を選択する場合等がある。また、これらのいずれの方法で目的地入力を行うかを入力装置のスイッチを操作して選択する場合がある。これらの場合に、ユーザがどのようなスイッチの操作を行うかは、ユーザ毎に、その好みや癖による偏りがある。
【0039】
経路案内処理は、外部記憶媒体19から地図データを読み出し、算出された走行経路やメモリ地点等を地図データと共に表示装置12に画像表示させ、表示装置12に音声出力させることで、ユーザの案内経路に沿った運転を促す処理である。
【0040】
この経路案内処理においては、ユーザは、表示されている地図の縮尺を変更するために、タッチパネル15の拡大スイッチ、縮小スイッチ、詳細地図表示スイッチ、広域地図表示スイッチ、音声出力ミュートスイッチ等を操作することで、ユーザの好みの経路案内表示を選択できるようになっている。これらの場合に、ユーザがどのようなスイッチの操作を行うかは、ユーザ毎に、その好みや癖による偏りがある。
【0041】
TV表示処理は、ユーザによるTV視聴開始、チャネル選択等のための入力装置の操作に基づいて、TVチューナ13を制御してTV放送局からの映像を受け、これを表示装置12に表示させる。このTV視聴開始の頻度、チャネル選択のパターンは、ユーザ毎に、その好みや癖による偏りがあるので、そのための入力装置の操作にもユーザ毎の偏りがある。
【0042】
音楽演奏処理は、ユーザによる音楽演奏開始、外部記憶媒体19や図示しないCD−ROMに記憶された楽曲選択のための入力装置の操作に基づいて、選択された楽曲のデータを読み出し、その楽曲データに基づく音声信号を表示装置12のスピーカに出力する。この音楽演奏開始の頻度、楽曲選択のパターンは、ユーザ毎に、その好みや癖による偏りがあるので、そのための入力装置の操作にもユーザ毎の偏りがある。
【0043】
実行アプリケーション選択処理、は、制御回路20において実行可能なアプリケーションプログラムのリストを表示装置12の表示面に選択可能に表示し、ユーザによる入力装置の操作によるアプリケーション選択に基づいて、選択されたアプリケーションの実行を開始する処理である。ユーザがどのアプリケーションを選択して実行させるかは、ユーザ毎に、その好みや癖による偏りがあるので、そのための入力装置の操作にもユーザ毎の偏りがある。
【0044】
設定受付処理は、車両用ナビゲーション装置1の作動の全般についての設定(例えば表示地図を3D表示にするか2D表示にするか、音声案内を行うか否か等)を、ユーザの入力装置の入力に基づいて決定する処理である。この設定処理の開始の頻度は、ユーザ毎に、その好みや癖による偏りがあるので、そのための入力装置の操作にもユーザ毎の偏りがある。
【0045】
また制御回路20は、車両用ナビゲーション装置1の作動中、車両盗難に対抗する機能を制御回路20に実現させるためのプログラム100を繰り返し実行するようになっている。なお、制御回路20は、上記した他のプログラムと並行して、このプログラム100をバックグラウンドで実行する。
【0046】
なお、このプログラム100の実行において、制御回路20は、外部記憶媒体19中の操作パターンデータに対して読み書きの制御を行う。操作パターンデータは、第1統計テーブルおよび第2統計テーブルから成る。これら統計テーブルの情報の格納形式は同じである。
【0047】
統計テーブルは、複数のスイッチエントリを有し、各スイッチエントリは、スイッチの名称、およびそのスイッチが操作された回数の情報を有するようになっている。さらに統計テーブルは、自己が含む全てのエントリにおける回数情報の総和、すなわち総回数の情報を含む総回数エントリを1つ有するようになっている。
【0048】
なお、スイッチの名称とは、例えば「リモコン18の第5スイッチ」、「前面スイッチ群16の第2スイッチ」、「実行アプリケーション選択機能におけるタッチパネル15のアプリケーションX選択スイッチ」等であり、スイッチの種類と1対1に対応する。
【0049】
まずステップ110で操作パターンの学習が完了したか否かを判定する。操作パターンの学習が完了したか否かは、上記した第2統計テーブル中の総回数の情報が所定のN回(例えば300回)になったか否かで判定する。
【0050】
完了していない場合、続いてステップ120の処理を実行し、完了した場合、続いてステップ130の処理を実行する。
【0051】
ステップ120では、ユーザの操作パターン学習を行う。具体的には、ユーザによる入力装置の操作が1回分あるまで待つ。ユーザによる入力装置の操作が1回分あることは、タッチパネル15、前面スイッチ群16、リモコンセンサ17からの信号の受信、および上記したタッチスイッチ特定処理によるタッチスイッチの操作情報の記録または渡しによって検出する。
【0052】
そして更にステップ120では、1回分の操作があった場合、第2統計テーブル中、操作があったそのスイッチの名称を有するエントリ中の回数情報を1回分だけ増加させ、さらに第2統計テーブルの総回数エントリの値を1回分だけ増加させる。ステップ120の後、プログラム100の1回分の実行が終了する。
【0053】
ステップ130では、比較対象となる2つの操作パターンを制御回路20のRAM中に作成する。具体的には、第1統計テーブルの全データをひとつめの操作パターンとしてRAM中に複製し、第2統計テーブルの全データをふたつめの操作パターンとしてRAM中に複製する。
【0054】
また、作成の後、第1統計テーブルのデータを現在の第2統計テーブルのデータに変更する。すなわち、外部記憶媒体19中の第2統計テーブルのデータを外部記憶媒体19中の第1統計テーブルに上書きする。更に、外部記憶媒体19中の第2統計テーブルの各エントリ中の回数情報、および総回数エントリの値をゼロにリセットする。
【0055】
続いてステップ140では、作成した2つの比較対象の操作パターンが所定の基準以上に異なるか否かを判定する。所定の基準としては、例えば以下の2種類の基準が考えられる。
【0056】
基準(1): 各々の操作パターンを比較したとき、各スイッチの出現率の変化が所定の割合A(例えばす20パーセント)以上であり、かつどちらかの操作パターンにおいて、その出現回数が、その操作パターン全体の操作の総回数Nに対して所定の割合B(例えば2パーセント)以上であるようなスイッチが、所定の種類数C(例えば3種類)あること。
【0057】
この基準(1)以上に異なっているとは、このようなスイッチがC種類以上あることに対応する。なお、あるスイッチの出現率とは、具体的には、統計テーブル中の当該スイッチのエントリにおける回数情報を、当該統計テーブル中の総回数情報で除算した値をいう。
【0058】
基準(2):それぞれ操作パターンの中における出現率が最も上位のD種類(例えば10種類)のスイッチを比較したとき、含まれるスイッチの種類がE個(例えば5個)入れ替わっていること。
【0059】
この基準(2)以上に異なっているとは、E個以上入れ替わっていることに対応する。
【0060】
ステップ140で操作パターンが所定基準以上に異なると判定すると、続いてステップ150の処理を実行する。また、所定基準以上に異ならないと判定すると、続いてプログラム100実行を終了する。
【0061】
ステップ150では、車両盗難に対抗する処理として、警告信号出力を行う。警告信号出力としては、例えば表示装置12に画像表用の警告メッセージを出力し、スピーカに警告音声出力用の音声信号を出力してもよい。
【0062】
また、警告信号出力としては、例えば車内LAN接続装置14を用いてボディーECU32にクラクション発鳴を要求する信号を出力し、または、エンジンECU33にエンジン停止を要求する信号を出力する。このようにすることで、盗難への対抗措置として、クラクションが鳴り、または車両の走行が不能となる。
【0063】
また、警告信号出力としては、接続されている携帯電話34を用いて、セキュリティセンタ36に盗難の通知信号を出力するようになっていてもよい。
【0064】
また、車両盗難に対抗する処理として、車両用ナビゲーション装置1が操作不能となるようにロックをかける、すなわちどのような入力装置の操作も無視するようにしてもよい。
【0065】
また、警告信号出力時に、ユーザにパスワードの入力を促すような表示を表示装置12に行わせ、パスワードの入力を受けた場合、あらかじめ入力されたパスワードと比較し、それらが一致しなかった場合のみ、エンジン停止、クラクション発鳴、セキュリティセンタ36への通知等を行うようになっていてもよい。このようにしておけば、正規のユーザがたまたま通常と大きく異なるスイッチ操作をしてしまった場合における誤った盗難検知をある程度防ぐことができる。
【0066】
ステップ150の後、プログラム100の実行は終了する。
【0067】
なお、制御回路20は、車両用ナビゲーション装置1の出荷後初めてステップ130を実行した後は、続いてステップ120の処理を実行するようになっていてもよい。このようにすることで、車両用ナビゲーション装置1の出荷後、操作パターンデータに2学習期間分のデータが蓄積されるまで、制御回路20は、操作パターンの比較に基づく警告は行わないようになる。
【0068】
以上のようなプログラム100を繰り返し実行することで、制御回路20は、操作パターンの学習が完了するまでは(ステップ110参照)、入力装置のスイッチに対する1回の操作がある度に、第2統計テーブル中の当該スイッチの回数情報および総回数情報を1だけ増加させる(ステップ120参照)。そして、第2統計テーブル中の総回数情報が所定のN回になると(ステップ120参照)、第2統計テーブル中のデータを全て第1統計テーブルに移し、第2統計テーブルの回数、総回数の情報をリセットする(ステップ130)参照。
【0069】
このようになっているので、操作パターンの学習は、ユーザによるスイッチの操作が所定のN回行われる毎に1期間(インターバル)分が完了する。そして、各期間において、ステップ120による学習は、ユーザによるスイッチの操作のある度に行われるので、1つの学習期間が完了した後、ユーザのスイッチ操作があるとすぐに次の学習期間が始まる。したがって、各学習期間は、時間的に連続するようになっている。
【0070】
そして、ステップ140において比較の対象となる2つの学習期間は、現時点で完了している学習期間のうち最新のもの(第2の期間に相当する)、および、時間的にそれと隣り合う直前の学習期間(第1の期間に相当する)である。したがって、操作パターンの比較対象となる学習期間は、それぞれが逐次新しい期間となっていく。
【0071】
このようになっていることで、時間の経過に応じて比較対象の2つの統計情報に係る期間が新しくなっていくので、ユーザの操作の癖が月日の経過と共に徐々に変化していった場合に、それを盗難として検出してしまう可能性が低減される。
【0072】
そして、この比較対象の操作パターンが所定の基準以上に異なっていると(ステップ140参照)、制御回路20は盗難対抗措置として警告信号を出力する。
【0073】
このように、ユーザ毎の車両用ナビゲーション装置の通常の操作の癖の違いを反映した盗難防止機能を備えた車両用ナビゲーション装置1が実現する。
【0074】
また、一方の学習期間は、複数の連続する期間のうち、その期間が完了している最新の期間であるので、最新の統計情報に基づいた判定を行うことができ、盗難検知の精度がより高くなる。
【0075】
なお、上記した実施形態においては、制御回路20が、プログラム100のステップ120を実行することで、記憶制御手段として機能する。
【0076】
また、制御回路20が、プログラム100のステップ140を実行することで、判定手段として機能する。
【0077】
また、制御回路20が、プログラム100のステップ150を実行することで、出力手段として機能する。
【0078】
前面スイッチ群16、リモコン19がメカニカルスイッチに相当する。
【0079】
また、上記した実施形態においては、統計情報が、表示地図拡大、表示地図縮小、テレビ受信、音楽演奏、アプリケーション選択、および設定開始のための各操作のように、ユーザの好みによる操作の癖や好みが表れやすい操作スイッチの操作についての統計情報を操作パターンデータが有している。更に、統計情報としては、操作スイッチのうち、ユーザの好みによる操作の癖や好みが表れやすい操作スイッチ「のみ」の操作パターンを有するようにしてもよい。例えば、インターネット接続中におけるWebブラウザの操作、ゲーム実行中における操作等、ユーザ毎の操作の偏りが出にくいような操作スイッチの操作パターンは、統計情報から除外するようにしてもよい。
【0080】
また、車両用ナビゲーション装置1が、FM/AMラジオチューナを有していてもよい。この場合、制御回路20はラジオ音声出力処理を行う。ラジオ音声出力処理は、ユーザによるラジオ聴取開始、FM/AMチャネル選択等のための入力装置の操作に基づいて、FM/AMラジオチューナを制御してラジオ放送局からの音声信号を受け、これを表示装置12のスピーカに出力させる。このラジオ聴取開始の頻度、チャネル選択のパターンは、ユーザ毎に、その好みや癖による偏りがあるので、そのための入力装置の操作にもユーザ毎の偏りがある。
【0081】
また上記した実施形態では、制御回路20が、プログラム100のステップ120で、統計情報を外部記憶媒体19に記憶するようになっているが、必ずしもこのようになっておらずともよい。すなわち、ステップ120で制御回路20が外部記憶媒体19に記憶させるのは、操作されたスイッチの名称の単なる時系列的な履歴であってもよい。この場合は、制御回路20は、ステップ130で、この履歴を読み出し、それを元に上記した第1統計テーブル、第2統計テーブルに相当する統計情報を算出してRAMに書き出し、ステップ140で、その算出した統計情報の比較によって操作パターンが所定の基準以上に異なっていることを判定してもよい。
【0082】
また、上記した実施形態においては、操作パターンの比較対象となる学習期間は、互いに同じ期間を共有していないが、必ずしもこのようになっている必要はない。これらの学習期間は、互いに重なり合っていてもよいし、第1の期間が第2の期間を含むという風に、一方が他方を含んでいてもよい。2つの学習期間は、一方の学習期間が他方の学習期間の始期より後に始まっている等、完全一致していなければよい。
【0083】
また、上記した実施形態においては、操作パターンの比較対象となる学習期間は、時間的に連続しているが、必ずしも連続する必要はない。すなわち、比較の対象とする学習期間は、連続する複数の学習期間のうち、現時点で完了した最新の学習期間と、その3つ前の学習期間であってもよい。
【0084】
また、上記した実施形態においては、操作パターンの比較対象となる学習期間は、それぞれが逐次新しい期間となっていくが、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、比較の対象となる学習期間の一方は、常に、車両用ナビゲーション装置1の車両への取り付け直後の最初の学習期間であってもよい。
【0085】
また、上記した車両盗難に対抗する機能は、ユーザの操作によって作動・非作動が切り替わるようになっていてもよい。このようにしておけば、車両購入直後等、操作がまだ一定しない場合や、友人に車両を貸し出す場合において、当該機能を非作動に設定することで、学習や警告出力を行わせないようにすることができる。
【0086】
また、上記した実施形態では、統計情報は、スイッチの種類毎の操作数の情報となっているが、統計情報は、スイッチの種類、および操作時期(時、分、曜日等)毎の回数となっていてもよい。これは例えば、ユーザがある決まった時間にほぼ毎日テレビを見るようになっている等の、時期に関連する習慣を持っている場合等に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1の構成図である。
【図2】プログラム100のフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1…車両用ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…表示装置、
13…TVチューナ、14…車内LAN接続装置、15…タッチパネル、
16…前面スイッチ群、17…リモコンセンサ、18…リモコン、
19…外部記憶媒体、20…制御回路、31…車内LAN、32…ボディーECU、
33…エンジンECU、34…携帯電話、35…広域ネットワーク、
36…セキュリティセンタ、100…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体と、
ユーザの操作を受け付ける入力装置と、
第1の期間において前記入力装置が受け付けた複数の操作についての第1の統計情報と、前記第1の期間と一致しない第2の期間において前記入力装置が受け付けた複数の操作についての第2の統計情報と、を前記記憶媒体に記憶させる記憶制御手段と、
記憶された前記第1の統計情報と前記第2の統計情報とを比較し、これらが所定の基準以上に異なっていることを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定に基づいて、警告信号を出力する出力手段と、を備えた車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記入力装置は、複数のメカニカルスイッチを有し、
前記第1の統計情報および前記第2の統計情報は、それぞれの期間における各メカニカルスイッチの種類毎の操作回数の情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記入力装置は、タッチパネルを有し、
前記第1の統計情報および前記第2の統計情報は、それぞれの期間における前記タッチパネル上に表されたスイッチの種類毎の操作回数の情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記第1の統計情報および前記第2の統計情報は、
それぞれの期間における、表示地図拡大、表示地図縮小、テレビ受信、音楽演奏、実行アプリケーション選択、および設定項目選択のための各操作のうちの少なくとも1つについてのものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記第2の期間は、複数の連続する期間のうち、すでに終了している最新の期間であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記第1の期間は、前記複数の連続する期間のうち、前記第2の期間の直前の期間であることを特徴とする請求項5に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項7】
ユーザの操作を受け付ける入力装置が第1の期間において受け付けた複数の操作についての第1の統計情報と、前記第1の期間と一致しない第2の期間において前記入力装置が受け付けた複数の操作についての第2の統計情報と、を前記記憶媒体に記憶させる記憶制御手段、
記憶された前記第1の統計情報と前記第2の統計情報とを比較し、これらが所定の基準以上に異なっていることを判定する判定手段、および
前記判定手段の判定に基づいて、警告信号を出力する出力手段、として制御回路を機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−21604(P2006−21604A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200630(P2004−200630)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】