説明

車両製造工程の締付位置監視装置

【課題】車両ボデーの搬送機への搭載位置の位置ずれの影響を回避し得ると共に、多様な位置関係の締付部位について締付作業が正規の締付部位で行われたか否かを監視し得る車両製造工程の締付位置監視装置を提供する。
【解決手段】インパクトレンチ5に付属の締結具送信機T2に加えて、この締結具送信機の送信と同期状態で測距用超音波送信信号を送信する基準位置送信機T1が用意されると共に、搬送路2に少なくとも3個の受信機R1〜R6が設けられる。受信信号から締結具送信機T2の搬送路座標系の三次元位置を検出し、基準位置送信機T1に対する受信信号から車両ボデー1の基準位置にセットされた基準位置送信機T1の搬送路座標系の三次元位置を検出し、締付部位の三次元位置を基準位置送信機T2の三次元位置を原点とする車両ボデー座標系の三次元位置へ変換することにより、車両ボデー1の座標系の締付部位の三次元位置が締付部位の標準三次元位置に一致するか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されてくる車両ボデーの締付部位に対して締結具で締付作業を行う際に付属の送信機から送信された測距用超音波送信信号を搬送路に設けられた受信機で受信することにより、測距用超音波送信信号の伝播時間から検出した相互の距離を基に締付部位の正否を監視するようになった車両製造工程の締付位置監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
締結具に付属の送信機から送信された測距用超音波信号を車両ボデーの搬送機と同期して移動する受信機に受信させることにより、受信機までの締結具の検出距離から締付部位の正否を判断する締付位置の検査装置が周知である。また、本出願人は、特許文献1により、トルクレンチに付属し、かつ所定のトルクに達した時点で始動されて測距用超音波信号を送信し、かつ同時にその送信時点を指示するトリガを電気信号として送信する送信機と、トリガの受信時点に対する測距用超音波信号の受信時点の遅延時間を基にトルクレンチまでの距離を測定する受信機と、車両ボデーの搬送位置信号に応答して、再締付を行うバックアップ領域における受信機の基準位置に対する締付ミスが生じた締付部位の二次元の座標データを作成する座標データ作成手段と、トリガの受信時点の座標データにより演算した基準位置から締付ミスが生じて再締付作業を要する締付部位間の距離データと受信機で測定した距離データとを照合してバックアップした締付部位の正否を判断する判断手段と、その判断結果に応じた報知をする報知手段とを備えた多軸締付装置のバックアップ工程検査装置を提案した。
【特許文献1】特開平9−325054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1による多軸締付装置のバックアップ工程用検査装置によれば、最初に説明した検査装置のように受信機を搬送機と同期して移動させることなく、締結具及び受信機間の検出距離から締付部位の正否を判断することができるが、車両ボデーの搬送機へ例えば数cm程度ずれて搭載された場合の検出距離の誤差に起因する計測精度の低下は最初の検査装置と同様に不可避であり、また検出距離自体を判断の前提にしているために、締付部位の高さ位置は判断できず、検出対象にすることのできる締付部位の位置関係に制約があった。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて、車両ボデーの搬送機への搭載位置の位置ずれの影響を回避し得ると共に、多様な位置関係の締付部位について締付作業が正規の締付部位で行われたか否かを監視し得る車両製造工程の締付位置監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1により、搬送されてくる車両ボデーの締付部位に対して締結具で締付作業を行う際に付属の送信機から送信された測距用超音波送信信号を搬送路に設けられた受信機で受信することにより、測距用超音波送信信号の伝播時間から検出した相互の距離を基に締付部位の正否を監視するようになった車両製造工程の締付位置監視装置において、締結具に付属の締結具送信機に加えて、この締結具送信機の送信と同期状態で測距用超音波送信信号を送信する基準位置送信機が用意されると共に、搬送路に設けられる受信機の個数が、分散配置される3個以上であり、締結具送信機に対する少なくとも3個の受信機の受信信号から締付部位にセットされた締結具送信機の搬送路座標系における三次元位置を検出する締結具用三次元位置検出手段と、基準位置送信機に対する少なくとも3個の受信機の受信信号から車両ボデーの基準位置にセットされた基準位置送信機の搬送路座標系における三次元位置を検出する基準位置用三次元位置検出手段と、締付部位の三次元位置を基準位置送信機の三次元位置を原点とする車両ボデー座標系の三次元位置へ変換することにより、車両ボデー座標系における三次元位置を検出する締付部位検出手段と、車両ボデー座標系における締付部位の三次元位置が締付作業を行うべき締付部位の標準三次元位置に一致するか否かを判断する判断手段と、その判断結果に応じた報知を行う報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
締結具送信機は、締付部位にセットされて締結具で締付作業を行う際に締結具の作動操作に連動して自動的に測距用超音波送信信号を送信し、この送信に同期状態で基準位置送信機も測距用超音波送信信号を送信する。共用又は専用の3個の受信機は、締結具送信機及び基準位置送信機の測距用超音波送信信号の送信時点からその受信時点間の伝播時間に相当する距離を検出し、それぞれ3種の検出距離を基にこれらの受信機に対する締結具送信機及び基準位置送信機の三次元位置が、締結具がセットされた締結部位及び車両ボデーの基準位置に対応する三次元位置として三角測量の原理で計測され、これらの三次元位置は搬送路の基準位置を原点として搬送路座標系の三次元座標値として検出される。これらの三次元位置の相互の関係から締結部位の三次元位置は、車両ボデーの基準位置を原点にした車両ボデー座標系上の三次元位置に変換される。基準位置送信機の送信は同時か、或は搬送速度が相対的に低速であることに鑑みて同期状態で僅かに遅延させるかもしくは搬送速度分を補償して位置検出する。4個以上の受信機により3個の受信機が複数組成立する場合、それぞれの組の三次元位置の平均化或は選択が可能である。締結具送信機の受信機及び基準位置送信機に対する同期は、有線又は無線で行わせることができる。
【0007】
受信機を配置上有利な構成としては、請求項2により、搬送機がハンガ式であり、3個以上の受信機が、搬送される車両ボデーの下方に配置される。締付作業の開始時点で確認するには、請求項3により、締結具が、ボルトもしくはナットの締結を行うエアインパクトレンチであり、その始動ボタンの操作に連動して締結具送信機が測距用超音波信号及び同期用のトリガ信号を送信する。基準位置送信機の着脱を容易にするには、請求項4により、基準位置送信機が、車両ボデーの基準位置に磁石により着脱自在に装着される。三次元位置の検出を高精度に行うには、請求項5により、受信機が締結具送信機及び基準位置送信機に対して共通の4個以上であり、締結具用三次元位置検出手段及び基準位置用三次元位置検出手段が、3個の受信機の組合わせ数にそれぞれ相当する個数の三次元位置データの平均化により搬送路座標系における三次元位置をそれぞれ検出する。搬送機の移動の影響を確実に除くには、請求項6により、基準位置送信機が、締結具送信機の送信するトリガ信号に応答して同時にその測距用超音波送信信号と異なる周波数の測距用超音波送信信号を送信する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、搬送機への車両ボデーの搭載位置のばらつきの影響を被ることなく、同時送信により搬送中の車両ボデーの基準位置に対する締付部位の三次元位置が検出され、あらゆる位置関係の締付部位が正確に監視可能になる。請求項2の発明によれば、ハンガ式搬送機の下方の空間を利用して、超音波の授受を行うことができ、受信機を締付部位に応じて自在に配置することができる。請求項3の発明によれば、締結作業の開始時点で事前に異常を判断することが可能になる。請求項4の発明によれば、基準位置送信機が、締結作業の開始及び終了時に簡単に着脱できる。請求項5の発明によれば、複数の位置検出データを基に締付部位が高精度に計測される。請求項6の発明によれば、搬送機の移動に伴う基準位置送信機の検出位置の誤差を補償無しで確実に無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図4を基に本発明の実施の形態による車両製造工程の締付位置監視装置を足回り部品の締付作業領域に構成した場合について説明する。この締付作業領域に、足回り部品のアセンブリを搭載すべき車両ボデー1が、ハンガ式搬送機3に吊るされて搬送路2に沿って搬入され、そのアセンブリのロアアーム部分に設けられた左右それぞれ3個のボルト孔に、フロアのボルト挿通孔を介してボルトをねじ込む締付作業が行われる。
【0010】
図2Aに示すように、工場エアを利用するインパクトレンチ5の背面部には、広角の円錐状に測距用の超音波送信信号を送信する締結具送信機T2及びトリガ信号用の赤外線照射部T2aが取付けられている。また、同図Bに示すように、別途に用意される基準位置送信機T1は、車両ボデー1のフロアの例えば溶接位置の基準孔に挿入される支持棒9の先端部に赤外線センサTsと共に取付けられ、途中にその基準孔周辺を吸着する磁石9aが取付けられている。インパクトレンチ5は、そのヘッドに装着したボルトを所定の姿勢で前述のボルト挿通孔を通してボルト孔にセットした状態で、締結具送信機T2の三次元位置が特定される。尚、締結具としては、このようなインパクトレンチに限らず、トルクレンチを用いることもでき、その締付部位へのセット時に手動で、或は作動開始時に自動的に送信機を始動させるようにする。
【0011】
搬送路2には、図3に示すように、双方の送信機T2,T1の互いに異なる周波数の超音波送信信号を弁別して受信する受信機R1〜R3,R4〜R6が、5m前後の搬送方向範囲の両側に3個ずつ配置されている。また、受光に応答して受信機R1〜R6を始動させる共通の赤外線センサRsが1個配置されている。締結具送信機T2は、インパクトレンチ5の始動ボタン5aの操作に応答して超音波信号を瞬間的に送信すると共に、赤外線照射部T2aからトリガ信号を送出して基準位置送信機T1の赤外線センサTsに受信させ、実質上同時に測距用の超音波送信信号を瞬間的に送信させる。また、受信機R1〜R6は超音波送信信号の周波数を弁別すると共に、赤外線センサRsにトリガ信号を受信させてこの受信時点に対する超音波送信信号の前縁の受信時点間の遅延時間に相当する伝播時間から基準位置送信機T1及び締結具送信機T2までの距離を検出させ、それぞれの距離を指示する距離信号を送出させる。その際、送信波の反射等により低レベルで入射する擬似受信信号を除くレベル弁別を行い、所定レベルを超える正常な受信信号のみに対して距離信号を送出する。これらの受信機には、その基準位置用及び締結具用の距離信号を入力として、所定のプログラムに従いCPUによる演算処理を行うことにより、図4に示す各部を構成するコンピュータ9を利用した回路装置が付属している。
【0012】
即ち、この回路装置は、基準位置用距離信号を基に搬送路2の基準位置を原点にした搬送路座標系における前述の基準孔にセットされた基準位置送信機T1の三次元位置を検出する基準位置用三次元位置検出手段20と、締結具用距離信号を基に締付部位にセットされた締結具送信機T2の搬送路座標系上の三次元位置を検出する締結具用三次元位置検出手段21と、検出された基準位置送信機T1及び締結具送信機T2の三次元位置から作業しようとする締付部位の三次元位置を前述の基準孔の中心を原点とする車両ボデー座標系上の三次元位置に変換することにより、締付作業を行おうとする締付部位に対応する車両ボデー座標系における三次元位置を検出する締付部位検出手段22と、検出された締付部位が締付作業を行うべき締付部位に一致するか否かを判断する判断手段23とを備えると共に、その判断結果に応じた報知を行う報知手段24が付属している。
【0013】
基準位置用及び締結具用三次元位置検出手段20,21は、受信機R1〜R6の3個づつの複数の組合わせの各組の3種の距離信号から所謂三角測量の原理により、それぞれの基準位置を中心として検出距離を半径とする3個の球の交点を検出し、それぞれの交点位置の搬送路座標系上の三次元座標値を演算することにより、基準位置送信機T1又は締結具送信機T2の搬送路座標系上の各組の三次元位置を検出する三次元位置検出部20a,21aと、組合わせ数に対応した個数の三次元位置データの平均化処理により、基準位置送信機T1又は締結具送信機T2の搬送路座標系上の三次元位置を高精度に検出する統計処理部20b,21bを備えている。
【0014】
即ち、三次元位置検出部20a,21aは、処理の複雑さ及び作業者との位置関係等による信号遮断等を考慮した判断結果の信頼度との妥協点として最大組合わせ数20組を節約して例えば10組に設定してそれぞれの組で位置検出を行う。即ち、第1組の受信機R1,R2,R4の距離信号による検出距離から基準位置送信機T1及び締結具送信機T2の搬送路三次元座標系の三次元位置pa1,pb1を検出する。同様に、第2組をR1,R4,R5、第3組をR2,R3,R5,第4組をR2,R5,R6、第5組をR2,R4,R5、第6組をR1,R2,R5、第7組をR3,R5,R6、第8組をR2,R3,R6、第9組をR1,R2,R3、第10組をR4,R5,R6として、さらに三次元位置pa2〜pa10、pb2〜pb10をそれぞれ検出する。但し、6個所の締結部位の車両ボデー1の基準孔に対する位置関係から予め想定される距離範囲の受信信号のみを処理対象とし、したがって三次元位置データは受信状態によっては10個を下廻る可能性もある。
【0015】
統計処理部20b,21bは、正常範囲の最大10個の三次元位置データを平均して、最終的に締付部位の搬送路三次元座標系(Xc,Yc,Zc)上の三次元位置Pa及びPbを検出する。締付部位検出手段22は、基準位置送信機T1の三次元位置Paに対する締結具送信機T2の三次元位置Pbの相互の位置関係から基準位置送信機T1で規定される車両ボデーの基準位置の三次元位置を原点とする車両ボデー座標系(Xb,Yb,Zb)上において三次元位置Pbを締結具送信機T2がセットされた締付部位に対応する三次元位置Pwに変換する。
【0016】
判断手段23には、6個所の締付作業を行うべき締付部位に対する車両ボデー座標系上の標準三次元位置データをメモリに格納している標準データ格納手段23aが付属しており、三次元位置Pwが6種類のいずれかの標準三次元位置データと一致するか否かを判断する。この標準三次元位置データは、車両ボデー座標系の原点が前述の基準孔自体か或は送信機T1で規定される所定の基準位置に対応して設定される。さらに、報知手段24は、判断結果に応答して一致した場合ブザーを鳴動させる。
【0017】
尚、標準データ格納手段23aは6種類の標準三次元位置データを所定の順序で出力することにより、6個所の締付位置に対する作業順を含めて監視させるようにもできる。また、報知手段24はOK及びNGを異なる音色により正否を共に報知したり、或は発光により報知することも考えられる。
【0018】
このように構成された車両製造工程の締付位置監視装置の動作は次の通りである。搬送機3に吊るされた車両ボデー1が、ボールジョイント、ブレーキディスク、ロアアーム等が組合わされた足回り部品を搭載されると共に基準孔に基準位置送信機T1を磁石9aでセットされて、作業可能な低速度で締結作業領域に搬送されてくる。作業者が、手で持ったインパクトレンチ5のヘッドに装着したボルトを左側3個のいずれかの足回りアセンブリのボルト孔に、フロアのボルト挿通孔を介してセットし、始動ボタン5aを操作すると、締結具送信機T2から超音波送信信号が下方へ向けて広角の円錐状に照射されると同時にトリガ信号が照射され、このトリガ信号に応答して締結具送信機T2からも実質上同時に超音波送信信号が下方へ向けて広角に照射される。
【0019】
受信機R1〜R6は、これらの送信機T1,T2の送信信号を受信して周波数を弁別し、受信したトリガ信号からの遅延時間を基にそれぞれの測距して受信信号に対応する距離信号を送出する。これらの距離信号に対応する距離データは回路装置側で一旦メモリに格納され、次いで受信機R1〜R6の基準位置送信機T1用及び締結具送信機T2用の最大10組のそれぞれ3種類の検出距離を基に遮蔽或は異常な伝播経路の距離信号を送出する受信機を除外した最大10組の搬送路座標系の三次元位置データpa1〜pa10,pb1〜pb10が検出される。これにより、正常範囲のそれぞれ最大10個の距離データの平均値により、搬送路三次元座標系(Xc,Yc,Zc)上の送信機T1,T2の三次元位置Pa及びPbが検出される。これらの相対的な三次元座標値の関係を保持して、三次元位置Pbは車両ボデー座標系(Xb,Yb,Zb)上の三次元位置Pwに変換される。
【0020】
このように検出された締結具送信機T2の三次元位置Pwは、いずれか6種類の作業すべき締結部位の標準三次元位置のいずれかと一致するか否かが判断され、一致するとOKを意味するブザーが鳴動するのを確認して作業を続行する。無関係の部位にボルトがセットされた場合にはこの鳴動は行われず、したがって作業する締付部位を変更する。このように残り2個、さらに右側3個のボルト孔のボルトをねじ込む。
【0021】
図5は別の実施の形態による締付位置監視装置を示すもので、締結具送信機送信機T2がインパクトレンチ5の側部に設けられると共に、その側の搬送路の側部床面に間隔を置いて3個の受信機R1〜R3が配置されている。また、締結具送信機送信機T2は、有線でトリガ信号を送出するために基準位置送信機T1及び受信機R1〜R3にケーブルで接続され、作業員が締付作業時に基準位置送信機T1を基準孔にセットして作業を開始する。この送信機T1,T2の超音波送信信号を確実に受信し得る配置関係により、送信機T1,T2の搬送路座標系の三次元位置が3種のみの検出距離で検出され、そのまま車両ボデー座標系の三次元位置に変換されて同様に標準三次元位置データと照合される。尚、受信機に周波数弁別を行わせない場合、超音波伝播速度に対して搬送が大幅に低速であることを前提に、トリガ信号に同期して僅かに遅延して基準位置送信機T1の送信を行わせる。
【0022】
また、これらの3個に対して受信機の個数を予備として追加しておき、異常受信時に正常の距離範囲内の距離信号を送出している受信機を適宜選択可能にしたり、或は双方の送信機T1又はT2にそれぞれの配置位置に適合するように専用の受信機を設けることも考えられる。さらに、前述の実施の形態における受信機6個の組合わせ数は全組合わせ数の20組に設定することにより、統計処理部を、全ての位置データについて予め想定した作業範囲外の計測距離を異常値として偏差値を設定し、その偏差内のデータを抽出して平均し、より高精度に三次元位置を検出するように構成することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態による車両製造工程の締付位置監視装置の側面図である。
【図2】同締付位置監視装置の送信機を説明するもので、同図Aは送信機付きインパクトレンチの側面図、同図Bは基準孔に取付けられる送信機の側面図である。
【図3】同締付位置監視装置の送受信機の配列状態を説明する斜視図である。
【図4】同締付位置監視装置の回路装置部分の構成を説明する図である。
【図5】別の実施の形態による締付位置監視装置の送受信機の配列状態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1 車両ボデー
2 搬送路
3 ハンガ式搬送機
5 インパクトレンチ
9a 磁石
R1〜R6 受信機
T1 基準位置送信機
T2 締結具送信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてくる車両ボデーの締付部位に対して締結具で締付作業を行う際に付属の送信機から送信された測距用超音波送信信号を搬送路に設けられた受信機で受信することにより、測距用超音波送信信号の伝播時間から検出した相互の距離を基に締付部位の正否を監視するようになった車両製造工程の締付位置監視装置において、
締結具に付属の締結具送信機に加えて、この締結具送信機の送信と同期状態で測距用超音波送信信号を送信する基準位置送信機が用意されると共に、搬送路に設けられる受信機の個数が、分散配置される3個以上であり、
前記締結具送信機に対する少なくとも3個の前記受信機の受信信号から締付部位にセットされた前記締結具送信機の搬送路座標系における三次元位置を検出する締結具用三次元位置検出手段と、前記基準位置送信機に対する少なくとも3個の前記受信機の受信信号から車両ボデーの前記基準位置にセットされた前記基準位置送信機の搬送路座標系における三次元位置を検出する基準位置用三次元位置検出手段と、前記締付部位の三次元位置を前記基準位置送信機の前記三次元位置を原点とする車両ボデー座標系の三次元位置へ変換することにより、前記車両ボデー座標系における三次元位置を検出する締付部位検出手段と、前記車両ボデー座標系における前記締付部位の前記三次元位置が締付作業を行うべき締付部位の標準三次元位置に一致するか否かを判断する判断手段と、その判断結果に応じた報知を行う報知手段とを備えたことを特徴とする車両製造工程の締付位置監視装置。
【請求項2】
搬送機がハンガ式であり、3個以上の受信機が、搬送される車両ボデーの下方に配置されることを特徴とする請求項1記載の車両製造工程の締付位置監視装置。
【請求項3】
締結具が、ボルトもしくはナットの締結を行うエアインパクトレンチであり、その始動ボタンの操作に連動して締結具送信機が測距用超音波信号及び同期用のトリガ信号を送信することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両製造工程の締付位置監視装置。
【請求項4】
基準位置送信機が、車両ボデーの基準位置に磁石により着脱自在に装着されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の車両製造工程の締付位置監視装置。
【請求項5】
受信機が締結具送信機及び基準位置送信機に対して共通の4個以上であり、締結具用三次元位置検出手段及び基準位置用三次元位置検出手段が、3個の前記受信機の組合わせ数にそれぞれ相当する個数の三次元位置データの平均化により搬送路座標系における三次元位置をそれぞれ検出することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の車両製造工程の締付位置監視装置。
【請求項6】
基準位置送信機が、締結具送信機の送信するトリガ信号に応答して同時にその測距用超音波送信信号と異なる周波数の測距用超音波送信信号を送信することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか記載の車両製造工程の締付位置監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−98186(P2006−98186A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283737(P2004−283737)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】