車両走行制御装置、および、車両走行制御方法
【課題】ACC機能によって車両の制御を行う場合において、不要な加速を抑制する技術を提供する。
【解決手段】ACCによって車両の走行を制御する車両走行制御装置100であって、自車両の走行速度を取得する車速取得手段と、取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、自車両を当該設定速度まで加速させる車速制御手段と、を備え、車速制御手段は、自車両の周囲状況を特定し、当該周囲状況が所定の条件を満たしている場合には、自車両を加速させない。
【解決手段】ACCによって車両の走行を制御する車両走行制御装置100であって、自車両の走行速度を取得する車速取得手段と、取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、自車両を当該設定速度まで加速させる車速制御手段と、を備え、車速制御手段は、自車両の周囲状況を特定し、当該周囲状況が所定の条件を満たしている場合には、自車両を加速させない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行制御装置、および、車両走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転支援機能を有する車両の開発が進んでいる。そのような運転支援機能の1つに、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)機能がある(例えば、特許文献1に記載されている)。このACC機能を利用して走行する車両は、なるべく設定速度で定速走行するように制御される。
【0003】
例えば、前方車両との間隔があいた場合には、車速を設定速度にするため自車両を加速させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−215432号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、加速してもすぐに減速せざるを得ない場合がある。例えば、渋滞している道路を走行中に前方車両が車線変更した場合には、加速後すぐに減速させる。このような、不要な加速がドライバーや同乗者に不快感を与えてしまう。
【0006】
本発明は、ACC機能によって車両の制御を行う場合において、不要な加速を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本願発明は、ACCによって車両の走行を制御する車両走行制御装置であって、前記車両の走行速度を取得する車速取得手段と、取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、前記車両を当該設定速度まで加速させる車速制御手段と、を備え、前記車速制御手段は、前記車両の周囲状況を特定し、当該周囲状況が所定の条件を満たしている場合には、当該車両を加速させない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態が適用された走行制御システムの概略構成図である。
【図2】走行制御装置の概略構成図である。
【図3】ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図4】地図データの概略データ構造を示す図である。
【図5】走行制御部(ECU)の機能ブロック図である。
【図6】ACCによる制御の概要(全体)を示すフロー図である。
【図7】渋滞中制御を示すフロー図である。
【図8】渋滞中制御を説明するための説明図である。
【図9】車間距離維持制御を示すフロー図である。
【図10】車速維持制御を示すフロー図である。
【図11】カーブ接近制御を示すフロー図である。
【図12】カーブ接近制御を説明するための説明図である。
【図13】停止対象接近制御を示すフロー図である。
【図14】停止対象(渋滞末尾)接近制御を説明するための説明図である。
【図15】信号接近制御を示すフロー図である。
【図16】信号接近制御を説明するための説明図である。
【図17】料金所接近制御を示すフロー図である。
【図18】料金所接近制御を説明するための説明図である。
【図19】減速制御を示すフロー図である。
【図20】停止制御を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態が適用された走行制御システム50の概略構成図である。図示するように、走行制御システム50は、走行制御装置100と、ナビゲーション装置200と、を備える。走行制御装置100とナビゲーション装置200は相互に通信可能に接続される。
【0011】
図2は、本発明の一実施形態が適用された走行制御装置100の概略構成図である。図示するように走行制御装置100は、走行制御部(ECU)1と、ACCスイッチ2と、車間距離センサ3と、アクセルペダルセンサ4と、ブレーキペダルセンサ5と、制動装置(ブレーキ)6と、駆動装置(アクセル)7と、を備えている。
【0012】
走行制御部1は、ACCに関する制御を行う中心的ユニットである。例えば、走行制御部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェア(ナビゲーション装置200を含む)を走行制御部1に接続するためのI/F(インタフェース)24と、を有する。そして、走行制御部1は、各デバイスをバス25で相互に接続した構成からなる。そして、後述する各機能部(101〜103)は、CPU21がRAM22などのメモリに読み出したプログラムを実行することで実現される。
【0013】
ACCスイッチ2は、例えば、自車両のステアリングに設けられる。ACCスイッチ2は、ドライバの操作によって、ACCを行うか否かについて決定する。ACCスイッチ2は、決定した内容(ON信号又はOFF信号)を走行制御部1に送信する。
【0014】
車間距離センサ3は、例えば、自車両のフロントグリルに設けられたレーダセンサからなる。車間距離センサ3は、自車両に先行する先行車両(前車)と自車両との車間距離を検出する。車間距離センサ3は、検出した車間距離(信号、又は、データ)を走行制御部1に送信する。
【0015】
アクセルペダルセンサ4は、例えば、自車両のアクセルペダルに設けられる。アクセルペダルセンサ4は、アクセルペダルの操作量を検出する。アクセルペダルセンサ4は、検出したアクセルペダルの操作量(信号、又は、データ)を走行制御部1に送信する。
【0016】
ブレーキペダルセンサ5は、例えば、自車両のブレーキペダルに設けられる。ブレーキペダルセンサ5は、ブレーキペダルの操作量を検出する。ブレーキペダルセンサ5は、検出したブレーキペダルの操作量(信号、又は、データ)を走行制御部1に送信する。
【0017】
制動装置6は、自車両の減速度(負の加速度)を制御する。制動装置6は、例えば、自車両の車輪に設けられたブレーキ装置からなる。制動装置6は、走行制御部1からの指示に基づいて、車輪に対して制動操作を行う。
【0018】
駆動装置7は、自車両の加速度(正の加速度)を制御する。駆動装置7は、例えば、走行制御部1からの指示に基づいて、自車両のエンジンに送る空気量を決めるスロットル開度を制御する。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置200の概略構成図である。図示するようにナビゲーション装置200は、演算処理部11と、ディスプレイ12と、記憶装置13と、音声入出力装置14(マイクロフォン141、スピーカ142)と、入力装置15(タッチパネル151、ダイヤルスイッチ152)と、車速センサ16と、ジャイロセンサ17と、GPS受信装置18と、FM多重放送受信装置19と、ビーコン受信装置20と、を備えている。ナビゲーション装置200は、車両に載置されている車載用ナビゲーション装置としてもよいし、PDAや携帯電話などの携帯端末としてもよい。
【0020】
演算処理部11は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、演算処理部11は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU31と、記憶装置13から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM32と、プログラムやデータを格納するROM33と、各種ハードウェア(走行制御装置100を含む)を演算処理部11に接続するためのI/F(インタフェース)34と、を有する。そして、演算処理部11は、各デバイスをバス35で相互に接続した構成からなる。
【0021】
例えば、演算処理部11は、車速センサ16、ジャイロセンサ17、GPS受信装置18から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置13から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィック展開し、そこに現在地マーク(或いは、移動体の位置を示す移動体マーク)を重ねてディスプレイ12に表示する。また、記憶装置13に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された出発地(例えば、現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(以下では「推奨経路」という)を探索する。また、音声入出力装置14のスピーカ142やディスプレイ12を用いてユーザを誘導する。
【0022】
ディスプレイ12は、演算処理部11で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ12は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0023】
記憶装置13は、CD−ROMやDVD−ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成される。この記憶媒体には、例えば、地図データ310、音声データ、動画データ、等が記憶されている。また、記憶媒体は、電源供給が停止した場合でも必要なデータを保持可能なフラッシュメモリなどで構成されていてもよい。
【0024】
図4は、地図データ310の概略データ構造を示す図である。図示するように、地図データ310は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)311ごとに、そのメッシュ領域に含まれている道路を構成する各リンクのリンクデータ320を含んでいる。
【0025】
リンクデータ320は、リンクの識別コード(リンクID)321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報を示す道路種別323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、2つのノードにそれぞれ接続するリンクの識別コード(接続リンクID)326、減速対象物データ327、停止対象物データ328、などを含んでいる。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードを区別することで、道路の上り方向と下り方向を、それぞれ別のリンクとして管理することができる。また、地図データ310には、地図表示における道路や施設を表示するための描画データが格納されている。
【0026】
減速対象物データ327は、ACCにおいて減速を必要とする対象物(例えば、カーブ、踏み切り、信号機、料金所など)の地点を特定するデータであり、例えば、座標データである。また、減速位置データ327には、減速を必要とする対象物を識別するための対象物識別情報が付加されている。
【0027】
停止対象物データ328は、ACCにおいて停止を必要とする対象物(例えば、踏み切り、信号機など)の地点を特定するデータであり、例えば、座標データである。また、停止位置データ328には、停止を必要とする対象物を識別するための対象物識別情報が付加されている。
【0028】
図3に戻り、音声入出力装置14は、音声入力装置としてマイクロフォン141と、音声出力装置としてスピーカ142と、を備える。マイクロフォン141は、運転手やその他の搭乗者から発された音声などの、ナビゲーション装置200の外部の音声を取得する。スピーカ142は、演算処理部11で生成された音声信号を出力する。これらのマイクロフォン141とスピーカ142は、車両の所定の部位に、別個に配置されている。
【0029】
入力装置15は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置15は、タッチパネル151と、ダイヤルスイッチ152と、その他のハードスイッチ(図示せず)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。
【0030】
タッチパネル151は、ディスプレイ12の表示面に貼られた透過性のある操作パネルである。タッチパネル151は、ディスプレイ12に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル151は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0031】
ダイヤルスイッチ152は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部11に出力する。演算処理部11では、パルス信号の数から、ダイヤルスイッチ152の回転角度を求める。
【0032】
車速センサ16、ジャイロセンサ17、及び、GPS受信装置18は、移動体(ナビゲーション装置200)の現在位置(自車位置)などを検出するために使用される。車速センサ16は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ17は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPU受信装置18は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在位置や進行速度を測定する。
【0033】
FM多重放送受信装置19は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Infomation Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などのFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0034】
ビーコン受信装置20は、ビーコンから送られてくる渋滞情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報などを受信する。
【0035】
図5は、走行制御部1の機能ブロック図である。図示するように、走行制御部1は、主制御部101と、現在位置取得部102と、速度制御部103と、を有する。
【0036】
主制御部101は、走行制御部1の各部を統括して制御する処理を行う。
【0037】
現在位置取得部102は、自車両(ナビゲーション装置200)の現在位置を取得する。例えば、現在位置取得部102は、ナビゲーション装置200で算出された現在位置(データ)を、ナビゲーション装置200から取得する。
【0038】
なお、ナビゲーション装置200は、車速センサ16で出力された車速データに基づいて算出した自車両(ナビゲーション装置200)の進行速度、および、ジャイロセンサ17で検出した角速度データを各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)から移動後(自車走行後)の位置(X’,Y’)を定期的に演算する。また、演算結果を用いて、マップマッチ処理することにより、形状の相関が最も高い道路(リンク)上に現在位置を合わせ込む。また、定期的にGPS受信装置18の出力データを用いて現在位置を修正する。なお、車両(ナビゲーション装置200)が停止しているときには、GPS受信装置18の出力データだけを用いて現在位置を求めてもよい。
【0039】
また、走行制御装置100の現在位置取得部102が自車両(ナビゲーション装置200)の現在位置を算出するようにしてもよい。
【0040】
速度制御部103は、ACCに関する制御を行う。特に、速度制御部103は、自車両の周囲状況に応じて、自車両の走行速度について制御を行う。
【0041】
具体的には、速度制御部103は、以下の「車速維持制御」、「車間距離維持制御」、「カーブ接近制御」、「停止対象接近制御」、「信号機接近制御」、「料金所接近制御」、「渋滞中制御」などを行う。
【0042】
<車速維持制御>
ACCにおける基本的な制御(先行車両が存在しない場合)として、速度制御部103は、予め定められた設定速度以上での走行となるように自車両の速度を制御する。すなわち、速度制御部103は、車速が設定速度より低い場合には、設定速度になるまで自車両を加速させ、車速が設定速度以上の場合には、その走行速度を維持するように制御を行う。
【0043】
<車間距離維持制御>
また、先行車両に追従して走行する状況である場合には、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が所定の距離(以下では、「設定車間距離」とよぶ)以上となるように車速を制御する。
【0044】
具体的には、速度制御部103は、車間距離センサ3で検出されたデータ(先行車両との車間距離)に基づいて、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離より短いか否か判別する。
【0045】
そして、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離より短い場合には、自車両を加速させることなく減速させる。
【0046】
一方、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上である場合には、上述した車速維持制御を行う。
【0047】
<カーブ接近制御>
また、速度制御部103は、自車両がカーブに接近したときには、自車両を加速させることなく減速させる。
【0048】
具体的には、速度制御部103は、減速を開始する減速開始位置を算出し、自車両が減速開始位置に近づくと、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、40km/h)まで減速させる(減速制御)。
【0049】
<停止対象接近制御>
また、速度制御部103は、自車両が所定の停車対象(例えば、渋滞末尾、踏切、一時停止線、推奨経路の目的地)に接近したときには、自車両を加速させることなく減速させ、停止させる。
【0050】
具体的には、速度制御部103は、減速を開始する減速開始位置、自車両を停止させる目標停止位置を算出し、自車両が減速開始位置に近づくと、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、30km/h)まで減速させる(減速制御)。さらに、速度制御部103は、目標停止位置で自車両が停止するように減速させて停止させる(停止制御)。
【0051】
<信号接近制御>
また、速度制御部103は、自車両が信号機に接近したときには、自車両を加速させることなく減速させる。
【0052】
具体的には、速度制御部103は、信号機の状態を取得して、自車両が信号機に到達する時点における状態(赤、黄、青)を予測する。
【0053】
また、速度制御部103は、減速を開始する減速開始位置、自車両を停止させる目標停止位置を算出する。
【0054】
そして、速度制御部103は、予測した信号機の状態に応じて、制御を切り替える。
【0055】
例えば、速度制御部103は、予測した信号機の状態が「赤」又は「黄」である場合には、自車両が減速開始位置に近づいたときに、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、20km/h)まで減速させる(減速制御)。さらに、速度制御部103は、目標停止位置で自車両が停止するように減速させて停止させる(停止制御)。
【0056】
一方、速度制御部103は、予測した信号機の状態が「青」である場合には、設定速度以上での走行となるように自車両の速度を制御する(車速維持制御)。
【0057】
<料金所接近制御>
また、速度制御部103は、自車両が料金所に接近したときには、自車両を加速させることなく減速させる。
【0058】
具体的には、速度制御部103は、減速を開始する減速開始位置、自車両を停止させる目標停止位置を算出し、ETC(Electronic Toll Collection)を利用できるか否かに応じて、制御を切り替える。
【0059】
例えば、速度制御部103は、ETCを利用できる場合には、自車両が減速開始位置に近づいたときに、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、20km/h)まで減速させる(減速制御)。
【0060】
一方、速度制御部103は、ETCを利用できない場合には、自車両が減速開始位置に近づいたときに、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、20km/h)まで減速させる(減速制御)。さらに、速度制御部103は、目標停止位置で自車両が停止するように減速させて停止させる(停止制御)。
【0061】
すなわち、速度制御部103は、ETCを利用できる場合には、車両を停止させることなく低速度で料金所を通過させ、ETCを利用できない場合には、車両を料金所で停止させる。
【0062】
なお、上記のそれぞれの制御は、渋滞していない道路を自車両が走行している場合の制御である。本実施形態の速度制御部103は、渋滞中の道路を走行している場合には、上記の車間距離維持制御を行わず、以下の渋滞中制御を行う。
【0063】
<渋滞中制御>
速度制御部103が行う渋滞中制御は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離(上述した設定車間距離とは異なる距離としてもよい)以上となるように車速を制御する点については、車間距離維持制御と同様である。しかし、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上となったときに、上記の車速維持制御を行わず、車両を緩やかに加速させる。ここで、緩やかな加速とは、車間距離維持制御において自車両を加速させる場合の加速度よりも小さい加速度の加速をいう。
【0064】
このような渋滞中制御を行うことにより、直前の先行車両が他のレーンにレーン変更などして、自車両と先行車両(レーン変更した車両の直前を走行していた先行車両)との車間距離が設定車間距離以上となるような場合であっても、急加速せず、徐々にその先行車両との車間距離を縮める走行ができる。
【0065】
なお、上記した各構成要素は、走行制御システム50の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。走行制御システム50の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0066】
また、各機能部(101〜103)は、ハードウエア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウエアで実行されてもよいし、複数のハードウエアで実行されてもよい。
【0067】
次に、上記構成からなる走行制御システム50の特徴的な動作について説明する。
【0068】
<全体フロー>
図6は、走行制御システム50の走行制御装置100が行う、ACCに関する制御についての処理の概要を示すフローチャートである。
【0069】
図示するように、速度制御部103は、所定のタイミング(例えば、エンジンスタートのタイミング)で本フローを開始する。
【0070】
速度制御部103は、本フローを開始すると、ACCについて設定中であるか否か判別する(ステップS1)。例えば、速度制御部103は、ACCスイッチ2がオンにされている状態である場合に、ACCについて設定中であると判定する。一方、ACCスイッチ2がオフにされている状態である場合には、ACCについて設定中ではないと判定する。
【0071】
速度制御部103は、ステップS1において、ACCについて設定中ではないと判定した場合には(ステップS1;No)、本フローを終了する。
【0072】
一方、速度制御部103は、ステップS1において、ACCについて設定中であると判定すると(ステップS1;Yes)、処理をステップS2に移行する。
【0073】
処理がステップS2に移行すると、現在位置取得部102は、ナビゲーション装置200で算出された現在位置(データ)を、ナビゲーション装置200から取得する(ステップS2)。
【0074】
そして、速度制御部103は、現在位置取得部102が取得した現在位置を用いて、自車両(移動体)が渋滞中の道路を走行中であるか否か判別する(ステップS3)。例えば、速度制御部103は、ステップS2で取得した現在位置付近の渋滞情報を、ナビゲーション装置100から取得する。ここで、取得する渋滞情報は、例えば、現在位置のリンク(移動体が走行中のリンク)が渋滞しているか否かを示す情報でよい。そして、速度制御部103は、取得した渋滞情報に渋滞していることを示す情報が含まれている場合には、車両が渋滞中の道路を走行中であると判定する。一方、速度制御部103は、取得した渋滞情報に渋滞していないことを示す情報が含まれている場合には、車両が渋滞中の道路を走行中ではないと判定する。
【0075】
速度制御部103は、ステップS3において、渋滞中であると判定すると(ステップS3;Yes)、上述した「渋滞中制御S7」処理に移行する。そして、速度制御部103は、渋滞中制御を行う。なお、速度制御部103は、車両(移動体)が渋滞している道路を走行中である間は(ステップS3;Yes)、ステップS1〜S3、S7の処理を繰り返し実行する。
【0076】
一方、速度制御部103は、ステップS3において、渋滞中ではないと判定すると(ステップS3;No)、処理をステップS4に移行する。
【0077】
処理がステップS4に移行すると、速度制御部103は、自車両(移動体)の進行方向に先行車両が有るか否か判別する(ステップS4)。例えば、速度制御部103は、車間距離センサ3の受発光により、進行方向の先行車両との車間距離を検出し、検出した車間距離が所定の閾値未満である場合には、進行方向に先行車両が存在すると判定する。一方、速度制御部103は、車間距離センサ3を用いて検出した車間距離が所定の閾値以上である場合には、進行方向に先行車両が存在しないと判定する。
【0078】
速度制御部103は、ステップS4において、進行方向に車両が有ると判定すると(ステップS4;Yes)、上述した「車間距離維持制御S8」処理に移行する。そして、速度制御部103は、車間距離維持制御を行う。なお、速度制御部103は、車両(移動体)が進行方向に車両が有り続けている間は(ステップS4;Yes)、ステップS1〜S4、S8、(S9)の処理を繰り返し実行する。
【0079】
一方、速度制御部103は、ステップS4において、進行方向に車両がないと判定すると(ステップS4;No)、処理をステップS5に移行する。
【0080】
処理がステップS5に移行すると、速度制御部103は、自車両(移動体)の周囲情報を取得する(ステップS5)。例えば、速度制御部103は、現在位置(ステップS2で取得した現在位置)から距離が所定値内の地図データ310や、現在位置から先の走行予定(推奨経路周辺)の地図データ310を、ナビゲーション装置200から取得する。ここで、取得する地図データ310には、例えば、自車両が位置している(現在位置の)リンクデータ320、推奨経路を構成するリンクデータ320が含まれている。
【0081】
次に、速度制御部103は、自車両(移動体)の周囲状況を判定する(ステップS6)。具体的には、まず、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報のうち、現在位置から進行方向に向かって所定距離内のリンク(リンクデータ320)を抽出する。そして、速度制御部103は、抽出したリンクに関連づけられているデータ(上述した対象物識別情報など)、ステップS2で取得した現在位置付近の渋滞情報、推奨経路の目的地に関する設定情報などを用いて、自車両の進行方向に、(1)カーブが有るか否か、(2)停止対象(例えば、渋滞末尾、踏み切り、一時停止線、目的地)が有るか否か、(3)信号機が有るか否か、(4)料金所が有るか否か、について判定する。
【0082】
(1)例えば、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に、カーブ有りを示す対象物識別情報が含まれている場合には、自車両がカーブに接近していると判定する。
【0083】
(2−a)また、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に、踏み切り有り、或いは、一時停止線有りを示す対象物識別情報が含まれている場合には、自車両が停止対象(踏み切り、一時停止線)に接近していると判定する。
【0084】
(2−b)また、速度制御部103は、ステップS2で取得した現在位置付近の渋滞情報に、渋滞の末尾を示す情報が含まれている場合には、自車両が停止対象(渋滞末尾)に接近していると判定する。
【0085】
(2−c)また、速度制御部103は、現在位置から進行方向に向かって所定距離内に、推奨経路の目的地が設定されている場合には、自車両が停止対象(目的地)に接近していると判定する。
【0086】
(3)また、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に、信号機有りを示す対象物識別情報が含まれている場合には、自車両が信号機に接近していると判定する。
【0087】
(4)また、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に、料金所有りを示す対象物識別情報が含まれている場合には、自車両が料金所に接近していると判定する。
【0088】
ところで、速度制御部103は、ステップS6において、自車両の進行方向にいずれのもの(カーブ、停止対象、信号機、料金所)もないと判定すると(ステップS6;others)、上述した「車速維持制御S9」処理に移行する。そして、速度制御部103は、車速維持制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0089】
また、速度制御部103は、ステップS6において、自車両がカーブに接近していると判定すると(ステップS6;カーブ有り)、上述した「カーブ接近制御S10」処理に移行する。そして、速度制御部103は、カーブ接近制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0090】
また、速度制御部103は、ステップS6において、車両が停止対象に接近していると判定すると(ステップS6;停止対象有り)、上述した「停止対象接近制御S11」処理に移行する。そして、速度制御部103は、停止対象接近制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0091】
また、速度制御部103は、ステップS6において、車両が信号機に接近していると判定すると(ステップS6;信号有り)、上述した「信号接近制御S12」処理に移行する。そして、速度制御部103は、信号接近制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0092】
また、速度制御部103は、ステップS6において、車両が料金所に接近していると判定すると(ステップS6;料金所有り)、上述した「料金所接近制御S13」処理に移行する。そして、速度制御部103は、料金所接近制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0093】
以上のように、走行制御装置100は、ACCに関する制御を行う。
【0094】
<渋滞中制御>
次に、図7、図8を参照して、「渋滞中制御S7」処理について説明する。図7は、「渋滞中制御S7」処理を説明するためのフローチャートである。図8は、渋滞中制御の概要を説明するための説明図である。
【0095】
ステップS7に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、進行方向の先行車両との車間距離を取得する(ステップS101)。具体的には、速度制御部103は、車間距離センサ3の受発光により、進行方向の先行車両との車間距離を検出し、メモリ(例えば、RAM22)に記憶する。
【0096】
そして、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離(ステップS101で取得した車間距離)が、設定車間距離よりも短いか否か判別する(ステップS102)。
【0097】
速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離よりも短いと判定した場合には(ステップS102;Yes)、処理をステップS103に移行する。
【0098】
ステップS103では、速度制御部103は、自車両の速度を所定の加速度(負の加速度)で減速させる(ステップS103)。具体的には、速度制御部103は、制動装置6に対して減速制御の指示を通知する。これに伴い、制動装置6は、車輪に対して制動操作を行い、車両の速度を減速させる。
【0099】
車速が所定の速度になるまでステップS103の減速制御を行った後、速度制御部103は、「渋滞中制御S7」処理を終了する。
【0100】
ところで、ステップS102において、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上であると判定した場合には(ステップS102;No)、処理をステップS104に移行する。
【0101】
ステップS104では、速度制御部103は、自車両を設定車速まで緩やかに(車間距離維持制御時における加速度より小さい加速度で)加速させる(ステップS104)。具体的には、速度制御部103は、駆動装置7に対して加速制御の指示を通知する。これに伴い、駆動装置7は、スロットル開度を制御して、車両の速度を緩やかに加速させる。
【0102】
車速が設定車速に到達するまでステップS104の制御を行った後、速度制御部103は、「渋滞中制御S7」処理を終了し、処理をステップS1に戻す。
【0103】
以上の「渋滞中制御S7」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図8に示すように、渋滞中の道路を走行中に自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上である場合において、車両を急加速させることなく緩やかに加速することができる。
【0104】
<車間距離維持制御>
次に、図9を参照して、「車間距離維持制御S8」処理について説明する。図9は、「車間距離維持制御S8」処理を説明するためのフローチャートである。
【0105】
ステップS8に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、進行方向の先行車両との車間距離を取得する(ステップS201)。具体的には、上述したステップS101と同様の処理を行う。
【0106】
そして、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離(ステップS201で取得した車間距離)が、設定車間距離よりも短いか否か判別する(ステップS202)。
【0107】
速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離よりも短いと判定した場合には(ステップS202;Yes)、処理をステップS203に移行する。
【0108】
ステップS203では、速度制御部103は、自車両の速度を所定の加速度(負の加速度)で減速させる(ステップS203)。具体的には、速度制御部103は、上述したステップS103と同様の処理を行う。
【0109】
車速が所定の速度になるまでステップS203の減速制御を行った後、速度制御部103は、「車間距離維持制御S8」処理を終了する。
【0110】
ところで、ステップS202において、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上であると判定した場合には(ステップS202;No)、処理を「車速維持制御S9」処理に移行する(図6に示す点線矢印)。
【0111】
<車速維持制御>
次に、図10を参照して、「車速維持制御S9」処理について説明する。図10は、「車速維持制御S9」処理を説明するためのフローチャートである。
【0112】
ステップS9に処理が移行すると(ステップS6;others、ステップS202;No)、まず、速度制御部103は、自車両の車速が設定速度よりも低いか否か判別する(ステップS301)。具体的には、速度制御部103は、ナビゲーション装置200(車速センサ16)から自車両の車速を取得し、設定車速と比較することによって、自車両の車速が設定速度よりも低いか否か判別する。
【0113】
速度制御部103は、自車両の車速が設定速度よりも低いと判定した場合には(ステップS301;Yes)、処理をステップS302に移行する。
【0114】
速度制御部103は、自車両を設定車速まで所定の加速度で加速させる(ステップS302)。具体的には、速度制御部103は、駆動装置7に対して加速制御の指示を通知する。これに伴い、駆動装置7は、スロットル開度を制御して、車両を加速させる。
【0115】
車速が設定車速に到達するまでステップS302の制御を行った後、速度制御部103は、「車速維持制御S9」処理を終了し、処理をステップS1に戻す。
【0116】
ところで、ステップS301において、速度制御部103は、自車両の車速が設定速度以上であると判定した場合には(ステップS301;No)、現在の速度を維持する制御を行う(ステップS303)。ここで、速度を維持する制御とは、例えば、加速も減速も行わない制御をいう。
【0117】
その後、速度制御部103は、「車速維持制御S9」処理を終了し、処理をステップS1に戻す。
【0118】
<カーブ接近制御>
次に、図11、図12を参照して、「カーブ接近制御S10」処理について説明する。図11は、「カーブ接近制御S10」処理を説明するためのフローチャートである。図12は、カーブ接近制御の概要を説明するための説明図である。
【0119】
ステップS10に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、現在位置から進行方向に向かって最も近くのカーブまでの距離を取得する(ステップS401)。具体的には、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に含まれている減速対象物データ327(カーブの位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0120】
続いて、速度制御部103は、減速を開始する位置(減速開始位置)を算出する(ステップS402)。例えば、速度制御部103は、減速対象物データ327(カーブの位置)から所定距離(例えば500m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS401で取得した距離(現在位置からカーブまでの距離)に応じて、減速開始位置を変更するようにしてもよい。
【0121】
その後、速度制御部103は、「減速制御S14」処理に移行して、カーブの開始位置まで減速を行う。ここで、「減速制御S14」の詳細については後述する。減速制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0122】
以上の「カーブ接近制御S10」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図12に示すように、カーブ開始位置より手前の減速開始位置から減速制御を行うため、カーブ手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。
【0123】
<停止対象接近制御>
次に、図13、図14を参照して、「停止対象接近制御S11」処理について説明する。図13は、「停止対象接近制御S11」処理を説明するためのフローチャートである。図14は、停止対象接近制御の概要を説明するための説明図である。
【0124】
ステップS11に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、現在位置から進行方向に向かって最も近くの停止対象までの距離を取得する(ステップS501)。
【0125】
具体的には、停止対象が踏み切り又は一時停止線である場合、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に含まれている停止対象物データ328(踏み切り又は一時停止線の位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0126】
また、停止対象が渋滞末尾である場合、速度制御部103は、ステップS2で取得した現在位置付近の渋滞情報に含まれている渋滞末尾(位置)と、ステップS2で取得した現時位置と、の間の距離を算出する。
【0127】
また、停止対象が目的地である場合、速度制御部103は、推奨経路の目的地(位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0128】
続いて、速度制御部103は、目標停止位置を算出する(ステップS502)。
【0129】
具体的には、停止対象が踏み切り又は一時停止線である場合、速度制御部103は、停止対象物データ328(踏み切り又は一時停止線の位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS501で取得した距離(現在位置から踏み切り又は一時停止線の位置までの距離)に応じて、目標停止位置を変更するようにしてもよい。
【0130】
また、停止対象が渋滞末尾である場合、速度制御部103は、渋滞末尾(位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS501で取得した距離(現在位置から渋滞末尾の位置までの距離)に応じて、目標停止位置を変更するようにしてもよい。
【0131】
また、停止対象が目的地である場合、速度制御部103は、目的地(位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS501で取得した距離(現在位置から目的地までの距離)に応じて、目標停止位置を変更するようにしてもよい。
【0132】
その後、速度制御部103は、減速を開始する位置(減速開始位置)を算出する(ステップS503)。具体的には、速度制御部103は、ステップS502で算出した目標停止位置から所定距離(例えば、500m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS501で取得した距離(現在位置から停止対象までの距離)に応じて、減速開始位置を変更するようにしてもよい。
【0133】
そして、速度制御部103は、「減速制御S14」処理に移行して、ステップS503で算出した減速開始位置から減速を行う。さらに、速度制御部103は、「停止制御S15」処理に移行して、ステップS502で算出した目標停止位置で車両を停止させる。なお、「減速制御S14」、「停止制御S15」の詳細については後述する。停止制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0134】
以上の「停止対象接近制御S11」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図14に示すように、停止対象(図示する例では渋滞末尾)より手前の減速開始位置から減速制御、停止制御を行うため、停止対象の手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。
【0135】
<信号接近制御>
次に、図15、図16を参照して、「信号接近制御S12」処理について説明する。図15は、「信号接近制御S12」処理を説明するためのフローチャートである。図16は、信号接近制御の概要を説明するための説明図である。
【0136】
ステップS12に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、現在位置から進行方向に向かって近くの信号機の情報を取得する(ステップS601)。
【0137】
具体的には、速度制御部103は、不図示の通信手段(例えば、無線通信)により、信号機(或いは信号機を管理している装置)と通信を行い、信号機の状態を示す情報(信号機の状態遷移に関するタイムスケジュール情報など)を取得する。
【0138】
そして、速度制御部103は、現在位置から信号機までの距離を取得する(ステップS602)。
【0139】
具体的には、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に含まれている停止対象物データ328(信号機の位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0140】
続いて、速度制御部103は、目標停止位置を算出する(ステップS603)。
【0141】
具体的には、速度制御部103は、停止対象物データ328(信号機の位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。
【0142】
その後、速度制御部103は、減速を開始する位置(減速開始位置)を算出する(ステップS604)。具体的には、速度制御部103は、ステップS603で算出した目標停止位置から所定距離(例えば、500m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS602で取得した距離(現在位置から信号機までの距離)に応じて、減速開始位置を変更するようにしてもよい。
【0143】
次に、速度制御部103は、車両が信号機の手前で停止する位置(停止目標位置)に到達する時の信号機の状態を予測する(ステップS605)。例えば、速度制御部103は、ステップS601で取得した信号機の情報に基づいて、車両到達時の信号機の状態が「青」であるか否かを判別する。具体的には、速度制御部103は、現在時刻、現在位置から停止目標位置までの距離、走行予想速度(例えば、現在の車速)から、車両が停止目標位置に到達する時刻を算出する。そして、ステップS601で取得した信号機の情報(タイムスケジュール情報)に照らし合わせて、車両が停止目標停止位置に到達する時刻における信号機の状態を予測する。
【0144】
ここで、速度制御部103は、停止目標位置に到達する時の信号機の状態が「青」と予測した場合には(ステップS605;青)、処理を「車速維持制御S9」処理に移行する。
【0145】
処理が「車速維持制御S9」処理に移行すると、速度制御部103は、「車速維持制御S9」処理に従って、車速を維持する制御を行う。そして、車速維持制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0146】
一方、ステップS605において、速度制御部103は、停止目標位置に到達する時の信号機の状態が「青」以外と予測した場合には(ステップS605;青以外)、処理を「減速制御S14」処理に移行する。
【0147】
処理が「減速制御S14」処理に移行すると、速度制御部103は、ステップS604で算出した減速開始位置から減速を行う。さらに、速度制御部103は、「停止制御S15」処理に移行して、ステップS603で算出した目標停止位置で車両を停止させる。なお、「減速制御S14」、「停止制御S15」の詳細については後述する。停止制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0148】
以上の「信号接近制御S12」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図16に示すように、信号機が赤又は黄である場合、信号機より手前の減速開始位置から減速制御、停止制御を行うため、信号機の手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。
【0149】
<料金所接近制御>
次に、図17、図18を参照して、「料金所接近制御S13」処理について説明する。図17は、「料金所接近制御S13」処理を説明するためのフローチャートである。図18は、料金所接近制御の概要を説明するための説明図である。
【0150】
ステップS13に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、現在位置から料金所までの距離を取得する(ステップS701)。
【0151】
具体的には、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に含まれている停止対象物データ328(料金所の位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0152】
続いて、速度制御部103は、目標停止位置を算出する(ステップS702)。
【0153】
具体的には、速度制御部103は、停止対象物データ328(料金所の位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。
【0154】
その後、速度制御部103は、減速を開始する位置(減速開始位置)を算出する(ステップS703)。具体的には、速度制御部103は、ステップS702で算出した目標停止位置から所定距離(例えば、500m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS701で取得した距離(現在位置から料金所までの距離)に応じて、減速開始位置を変更するようにしてもよい。
【0155】
次に、速度制御部103は、車両がETCを利用できるか否か判別する(ステップS704)。具体的には、速度制御部103は、不図示のETC車載装置と通信を行い、利用可能であることを通知する信号を受信した場合に、ETCを利用できると判定する。一方、利用可能であることを通知する信号を受信しない場合には、ETCは利用できないと判定する。
【0156】
そして、速度制御部103は、車両がETCを利用できると判定した場合には(ステップS704;Yes)、処理を「減速制御S14」処理に移行する。
【0157】
処理が「減速制御S14」処理に移行すると、速度制御部103は、ステップS703で算出した減速開始位置から減速を行う。さらに、速度制御部103は、「停止制御S15」処理に移行して、ステップS702で算出した目標停止位置で車両を停止させる。なお、「減速制御S14」、「停止制御S15」の詳細については後述する。停止制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0158】
一方、ステップS704において、車両がETCを利用できると判定した場合には(ステップS704;No)、処理を「減速制御S14」処理に移行する。
【0159】
処理が「減速制御S14」処理に移行すると、速度制御部103は、ステップS703で算出した減速開始位置から減速を行う。そして、減速制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0160】
以上の「料金所接近制御S13」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図18に示すように、車両にETC機能が備わっている場合、料金所より手前の減速開始位置から減速制御を行うため、料金所の手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。また、車両にETC機能が備わっていない場合、料金所より手前の減速開始位置から減速制御、停止制御を行うため、同様に、料金所の手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。
【0161】
<減速制御>
次に、図19を参照して、「減速制御S14」処理について説明する。図19は、「減速制御S14」処理を説明するためのフローチャートである。
【0162】
ステップS14に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、自車両(移動体)が減速開始位置に到達したか否か判別する(ステップS801)。具体的には、速度制御部103は、まず、ステップS2の処理と同様に現在位置を算出する。そして、速度制御部103は、算出した現在位置と、先に算出した減速開始位置(ステップS402、S503、S604、S703)との距離が所定距離(例えば、10m)内である場合に、自車両が減速開始位置に到達したと判定する。一方、速度制御部103は、算出した現在位置と、先に算出した減速開始位置との距離が所定距離を超える場合には、自車両は減速開始位置に到達していないと判定する。
【0163】
ステップS801において、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達したと判定した場合には(ステップS801;Yes)、車両を所定の速度(例えば、20km/h)まで減速させる(ステップS802)。具体的には、ステップS103と同様の処理により車両を減速させる。
【0164】
その後、速度制御部103は、処理をステップS805に移行する。
【0165】
また、ステップS801において、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達していないと判定した場合には(ステップS801;No)、自車両が減速開始位置に近いか否か判別する(ステップS802)。具体的には、速度制御部103は、ステップS801で算出した現在位置と、減速開始位置との距離が所定距離(例えば、300m)内である場合に、自車両が減速開始位置に近いと判定する。一方、速度制御部103は、ステップS801で算出した現在位置と、減速開始位置との距離が所定距離を超える場合には、自車両は減速開始位置に近くないと判定する。
【0166】
ステップS802において、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に近いと判定した場合には(ステップS802;Yes)、現在の速度を維持する制御を行う(ステップS804)。ここで、速度を維持する制御とは、例えば、加速も減速も行わない制御をいう。
【0167】
その後、速度制御部103は、処理をステップS805に移行する。
【0168】
一方、ステップS802において、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に近くないと判定した場合には(ステップS802;No)、処理を上述した「車速維持制御S9」に移行し、その後、処理をステップS805に移行する。
【0169】
処理がステップS805に移行すると、速度制御部103は、「減速制御S14」を終了するか否か判別する(ステップS805)。例えば、速度制御部103は、車速が所定の速度(例えば、20km/h)まで減速している場合には、減速制御を終了する判定を行い(ステップS805;Yes)、「減速制御S14」を終了する。一方、速度制御部103は、車速が所定の速度まで減速していない場合には、減速制御を終了しない判定を行い(ステップS805;No)、処理をステップS801に戻す。
【0170】
<停止制御>
次に、図20を参照して、「停止制御S15」処理について説明する。図20は、「停止制御S15」処理を説明するためのフローチャートである。
【0171】
ステップS15に処理が移行すると、速度制御部103は、自車両(移動体)が停止するまで減速を行う(ステップS901)。これにより、自車両は目標停止位置で停止することができる。
【0172】
自車両が停止後、速度制御部103は、「停止制御S15」処理を終了する。
【0173】
以上の処理を走行制御部(ECU)1が行うことにより、本実施形態の走行制御装置100は、ACCにおける不要な加速を抑制することができる。
【0174】
なお、上記したフローの各処理単位は、走行制御装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。走行制御装置100が行う処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0175】
また、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。多くの代替物、修正、変形例は当業者にとって明らかである。
【0176】
以下に、上記実施形態の変形例を挙げる。
【0177】
上記実施形態では、走行制御システム50は、ナビゲーション装置50と走行制御装置100を備えるようにしている。しかし、本発明は、これに限定されない。例えば、ナビゲーション装置100は、上記実施形態の走行制御装置100の構成、機能(全て、或いは一部)を有していてもよい。また、走行制御装置100は、上記実施形態のナビゲーション装置100の構成、機能(全て、或いは、一部)を有していてもよい。
【符号の説明】
【0178】
1・・・走行制御部(ECU)、2・・・ACCスイッチ、3・・・車間距離センサ、4・・・アクセルペダルセンサ、5・・・ブレーキペダルセンサ、6・・・制動装置(ブレーキ)、7・・・駆動装置(アクセル)、21・・・CPU(走行制御装置)、22・・・RAM(走行制御装置)、23・・・ROM(走行制御装置)、24・・・I/F(走行制御装置)、11・・・演算処理部、12・・・ディスプレイ、13・・・記憶装置、14・・・音声入出力装置、15・・・入力装置、16・・・車速センサ、17・・・ジャイロセンサ、18・・・GPS受信装置、19・・・FM多重放送受信装置、20・・・ビーコン受信装置、31・・・CPU(ナビゲーション装置)、32・・・RAM(ナビゲーション装置)、33・・・ROM(ナビゲーション装置)、34・・・I/F(ナビゲーション装置)、141・・・マイクロフォン、142・・・スピーカ、151・・・タッチパネル、152・・・ダイヤルスイッチ、50・・・走行制御システム、100・・・走行制御装置、200・・・ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・現在位置取得部、103・・・速度制御部、310・・・地図データ、311・・・メッシュID、320・・・リンクデータ、321・・・リンクID、322・・・開始ノード・終了ノード、323・・・道路種別、324・・・リンク長、325・・・リンク旅行時間、326・・・開始接続リンク・終了接続リンク、327・・・減速対象物データ、328・・・停止対象物データ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行制御装置、および、車両走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転支援機能を有する車両の開発が進んでいる。そのような運転支援機能の1つに、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)機能がある(例えば、特許文献1に記載されている)。このACC機能を利用して走行する車両は、なるべく設定速度で定速走行するように制御される。
【0003】
例えば、前方車両との間隔があいた場合には、車速を設定速度にするため自車両を加速させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−215432号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、加速してもすぐに減速せざるを得ない場合がある。例えば、渋滞している道路を走行中に前方車両が車線変更した場合には、加速後すぐに減速させる。このような、不要な加速がドライバーや同乗者に不快感を与えてしまう。
【0006】
本発明は、ACC機能によって車両の制御を行う場合において、不要な加速を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本願発明は、ACCによって車両の走行を制御する車両走行制御装置であって、前記車両の走行速度を取得する車速取得手段と、取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、前記車両を当該設定速度まで加速させる車速制御手段と、を備え、前記車速制御手段は、前記車両の周囲状況を特定し、当該周囲状況が所定の条件を満たしている場合には、当該車両を加速させない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態が適用された走行制御システムの概略構成図である。
【図2】走行制御装置の概略構成図である。
【図3】ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図4】地図データの概略データ構造を示す図である。
【図5】走行制御部(ECU)の機能ブロック図である。
【図6】ACCによる制御の概要(全体)を示すフロー図である。
【図7】渋滞中制御を示すフロー図である。
【図8】渋滞中制御を説明するための説明図である。
【図9】車間距離維持制御を示すフロー図である。
【図10】車速維持制御を示すフロー図である。
【図11】カーブ接近制御を示すフロー図である。
【図12】カーブ接近制御を説明するための説明図である。
【図13】停止対象接近制御を示すフロー図である。
【図14】停止対象(渋滞末尾)接近制御を説明するための説明図である。
【図15】信号接近制御を示すフロー図である。
【図16】信号接近制御を説明するための説明図である。
【図17】料金所接近制御を示すフロー図である。
【図18】料金所接近制御を説明するための説明図である。
【図19】減速制御を示すフロー図である。
【図20】停止制御を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態が適用された走行制御システム50の概略構成図である。図示するように、走行制御システム50は、走行制御装置100と、ナビゲーション装置200と、を備える。走行制御装置100とナビゲーション装置200は相互に通信可能に接続される。
【0011】
図2は、本発明の一実施形態が適用された走行制御装置100の概略構成図である。図示するように走行制御装置100は、走行制御部(ECU)1と、ACCスイッチ2と、車間距離センサ3と、アクセルペダルセンサ4と、ブレーキペダルセンサ5と、制動装置(ブレーキ)6と、駆動装置(アクセル)7と、を備えている。
【0012】
走行制御部1は、ACCに関する制御を行う中心的ユニットである。例えば、走行制御部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェア(ナビゲーション装置200を含む)を走行制御部1に接続するためのI/F(インタフェース)24と、を有する。そして、走行制御部1は、各デバイスをバス25で相互に接続した構成からなる。そして、後述する各機能部(101〜103)は、CPU21がRAM22などのメモリに読み出したプログラムを実行することで実現される。
【0013】
ACCスイッチ2は、例えば、自車両のステアリングに設けられる。ACCスイッチ2は、ドライバの操作によって、ACCを行うか否かについて決定する。ACCスイッチ2は、決定した内容(ON信号又はOFF信号)を走行制御部1に送信する。
【0014】
車間距離センサ3は、例えば、自車両のフロントグリルに設けられたレーダセンサからなる。車間距離センサ3は、自車両に先行する先行車両(前車)と自車両との車間距離を検出する。車間距離センサ3は、検出した車間距離(信号、又は、データ)を走行制御部1に送信する。
【0015】
アクセルペダルセンサ4は、例えば、自車両のアクセルペダルに設けられる。アクセルペダルセンサ4は、アクセルペダルの操作量を検出する。アクセルペダルセンサ4は、検出したアクセルペダルの操作量(信号、又は、データ)を走行制御部1に送信する。
【0016】
ブレーキペダルセンサ5は、例えば、自車両のブレーキペダルに設けられる。ブレーキペダルセンサ5は、ブレーキペダルの操作量を検出する。ブレーキペダルセンサ5は、検出したブレーキペダルの操作量(信号、又は、データ)を走行制御部1に送信する。
【0017】
制動装置6は、自車両の減速度(負の加速度)を制御する。制動装置6は、例えば、自車両の車輪に設けられたブレーキ装置からなる。制動装置6は、走行制御部1からの指示に基づいて、車輪に対して制動操作を行う。
【0018】
駆動装置7は、自車両の加速度(正の加速度)を制御する。駆動装置7は、例えば、走行制御部1からの指示に基づいて、自車両のエンジンに送る空気量を決めるスロットル開度を制御する。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置200の概略構成図である。図示するようにナビゲーション装置200は、演算処理部11と、ディスプレイ12と、記憶装置13と、音声入出力装置14(マイクロフォン141、スピーカ142)と、入力装置15(タッチパネル151、ダイヤルスイッチ152)と、車速センサ16と、ジャイロセンサ17と、GPS受信装置18と、FM多重放送受信装置19と、ビーコン受信装置20と、を備えている。ナビゲーション装置200は、車両に載置されている車載用ナビゲーション装置としてもよいし、PDAや携帯電話などの携帯端末としてもよい。
【0020】
演算処理部11は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、演算処理部11は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU31と、記憶装置13から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM32と、プログラムやデータを格納するROM33と、各種ハードウェア(走行制御装置100を含む)を演算処理部11に接続するためのI/F(インタフェース)34と、を有する。そして、演算処理部11は、各デバイスをバス35で相互に接続した構成からなる。
【0021】
例えば、演算処理部11は、車速センサ16、ジャイロセンサ17、GPS受信装置18から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置13から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィック展開し、そこに現在地マーク(或いは、移動体の位置を示す移動体マーク)を重ねてディスプレイ12に表示する。また、記憶装置13に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された出発地(例えば、現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(以下では「推奨経路」という)を探索する。また、音声入出力装置14のスピーカ142やディスプレイ12を用いてユーザを誘導する。
【0022】
ディスプレイ12は、演算処理部11で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ12は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0023】
記憶装置13は、CD−ROMやDVD−ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成される。この記憶媒体には、例えば、地図データ310、音声データ、動画データ、等が記憶されている。また、記憶媒体は、電源供給が停止した場合でも必要なデータを保持可能なフラッシュメモリなどで構成されていてもよい。
【0024】
図4は、地図データ310の概略データ構造を示す図である。図示するように、地図データ310は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)311ごとに、そのメッシュ領域に含まれている道路を構成する各リンクのリンクデータ320を含んでいる。
【0025】
リンクデータ320は、リンクの識別コード(リンクID)321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報を示す道路種別323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、2つのノードにそれぞれ接続するリンクの識別コード(接続リンクID)326、減速対象物データ327、停止対象物データ328、などを含んでいる。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードを区別することで、道路の上り方向と下り方向を、それぞれ別のリンクとして管理することができる。また、地図データ310には、地図表示における道路や施設を表示するための描画データが格納されている。
【0026】
減速対象物データ327は、ACCにおいて減速を必要とする対象物(例えば、カーブ、踏み切り、信号機、料金所など)の地点を特定するデータであり、例えば、座標データである。また、減速位置データ327には、減速を必要とする対象物を識別するための対象物識別情報が付加されている。
【0027】
停止対象物データ328は、ACCにおいて停止を必要とする対象物(例えば、踏み切り、信号機など)の地点を特定するデータであり、例えば、座標データである。また、停止位置データ328には、停止を必要とする対象物を識別するための対象物識別情報が付加されている。
【0028】
図3に戻り、音声入出力装置14は、音声入力装置としてマイクロフォン141と、音声出力装置としてスピーカ142と、を備える。マイクロフォン141は、運転手やその他の搭乗者から発された音声などの、ナビゲーション装置200の外部の音声を取得する。スピーカ142は、演算処理部11で生成された音声信号を出力する。これらのマイクロフォン141とスピーカ142は、車両の所定の部位に、別個に配置されている。
【0029】
入力装置15は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置15は、タッチパネル151と、ダイヤルスイッチ152と、その他のハードスイッチ(図示せず)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。
【0030】
タッチパネル151は、ディスプレイ12の表示面に貼られた透過性のある操作パネルである。タッチパネル151は、ディスプレイ12に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル151は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0031】
ダイヤルスイッチ152は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部11に出力する。演算処理部11では、パルス信号の数から、ダイヤルスイッチ152の回転角度を求める。
【0032】
車速センサ16、ジャイロセンサ17、及び、GPS受信装置18は、移動体(ナビゲーション装置200)の現在位置(自車位置)などを検出するために使用される。車速センサ16は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ17は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPU受信装置18は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在位置や進行速度を測定する。
【0033】
FM多重放送受信装置19は、FM多重放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Infomation Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などのFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0034】
ビーコン受信装置20は、ビーコンから送られてくる渋滞情報、規制情報、SA/PA情報、駐車場情報などを受信する。
【0035】
図5は、走行制御部1の機能ブロック図である。図示するように、走行制御部1は、主制御部101と、現在位置取得部102と、速度制御部103と、を有する。
【0036】
主制御部101は、走行制御部1の各部を統括して制御する処理を行う。
【0037】
現在位置取得部102は、自車両(ナビゲーション装置200)の現在位置を取得する。例えば、現在位置取得部102は、ナビゲーション装置200で算出された現在位置(データ)を、ナビゲーション装置200から取得する。
【0038】
なお、ナビゲーション装置200は、車速センサ16で出力された車速データに基づいて算出した自車両(ナビゲーション装置200)の進行速度、および、ジャイロセンサ17で検出した角速度データを各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用い、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期位置(X,Y)から移動後(自車走行後)の位置(X’,Y’)を定期的に演算する。また、演算結果を用いて、マップマッチ処理することにより、形状の相関が最も高い道路(リンク)上に現在位置を合わせ込む。また、定期的にGPS受信装置18の出力データを用いて現在位置を修正する。なお、車両(ナビゲーション装置200)が停止しているときには、GPS受信装置18の出力データだけを用いて現在位置を求めてもよい。
【0039】
また、走行制御装置100の現在位置取得部102が自車両(ナビゲーション装置200)の現在位置を算出するようにしてもよい。
【0040】
速度制御部103は、ACCに関する制御を行う。特に、速度制御部103は、自車両の周囲状況に応じて、自車両の走行速度について制御を行う。
【0041】
具体的には、速度制御部103は、以下の「車速維持制御」、「車間距離維持制御」、「カーブ接近制御」、「停止対象接近制御」、「信号機接近制御」、「料金所接近制御」、「渋滞中制御」などを行う。
【0042】
<車速維持制御>
ACCにおける基本的な制御(先行車両が存在しない場合)として、速度制御部103は、予め定められた設定速度以上での走行となるように自車両の速度を制御する。すなわち、速度制御部103は、車速が設定速度より低い場合には、設定速度になるまで自車両を加速させ、車速が設定速度以上の場合には、その走行速度を維持するように制御を行う。
【0043】
<車間距離維持制御>
また、先行車両に追従して走行する状況である場合には、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が所定の距離(以下では、「設定車間距離」とよぶ)以上となるように車速を制御する。
【0044】
具体的には、速度制御部103は、車間距離センサ3で検出されたデータ(先行車両との車間距離)に基づいて、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離より短いか否か判別する。
【0045】
そして、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離より短い場合には、自車両を加速させることなく減速させる。
【0046】
一方、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上である場合には、上述した車速維持制御を行う。
【0047】
<カーブ接近制御>
また、速度制御部103は、自車両がカーブに接近したときには、自車両を加速させることなく減速させる。
【0048】
具体的には、速度制御部103は、減速を開始する減速開始位置を算出し、自車両が減速開始位置に近づくと、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、40km/h)まで減速させる(減速制御)。
【0049】
<停止対象接近制御>
また、速度制御部103は、自車両が所定の停車対象(例えば、渋滞末尾、踏切、一時停止線、推奨経路の目的地)に接近したときには、自車両を加速させることなく減速させ、停止させる。
【0050】
具体的には、速度制御部103は、減速を開始する減速開始位置、自車両を停止させる目標停止位置を算出し、自車両が減速開始位置に近づくと、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、30km/h)まで減速させる(減速制御)。さらに、速度制御部103は、目標停止位置で自車両が停止するように減速させて停止させる(停止制御)。
【0051】
<信号接近制御>
また、速度制御部103は、自車両が信号機に接近したときには、自車両を加速させることなく減速させる。
【0052】
具体的には、速度制御部103は、信号機の状態を取得して、自車両が信号機に到達する時点における状態(赤、黄、青)を予測する。
【0053】
また、速度制御部103は、減速を開始する減速開始位置、自車両を停止させる目標停止位置を算出する。
【0054】
そして、速度制御部103は、予測した信号機の状態に応じて、制御を切り替える。
【0055】
例えば、速度制御部103は、予測した信号機の状態が「赤」又は「黄」である場合には、自車両が減速開始位置に近づいたときに、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、20km/h)まで減速させる(減速制御)。さらに、速度制御部103は、目標停止位置で自車両が停止するように減速させて停止させる(停止制御)。
【0056】
一方、速度制御部103は、予測した信号機の状態が「青」である場合には、設定速度以上での走行となるように自車両の速度を制御する(車速維持制御)。
【0057】
<料金所接近制御>
また、速度制御部103は、自車両が料金所に接近したときには、自車両を加速させることなく減速させる。
【0058】
具体的には、速度制御部103は、減速を開始する減速開始位置、自車両を停止させる目標停止位置を算出し、ETC(Electronic Toll Collection)を利用できるか否かに応じて、制御を切り替える。
【0059】
例えば、速度制御部103は、ETCを利用できる場合には、自車両が減速開始位置に近づいたときに、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、20km/h)まで減速させる(減速制御)。
【0060】
一方、速度制御部103は、ETCを利用できない場合には、自車両が減速開始位置に近づいたときに、自車両の走行速度を維持する(走行速度が設定速度より低い場合でも加速させない)制御を開始する。そして、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達すると、所定の速度(例えば、20km/h)まで減速させる(減速制御)。さらに、速度制御部103は、目標停止位置で自車両が停止するように減速させて停止させる(停止制御)。
【0061】
すなわち、速度制御部103は、ETCを利用できる場合には、車両を停止させることなく低速度で料金所を通過させ、ETCを利用できない場合には、車両を料金所で停止させる。
【0062】
なお、上記のそれぞれの制御は、渋滞していない道路を自車両が走行している場合の制御である。本実施形態の速度制御部103は、渋滞中の道路を走行している場合には、上記の車間距離維持制御を行わず、以下の渋滞中制御を行う。
【0063】
<渋滞中制御>
速度制御部103が行う渋滞中制御は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離(上述した設定車間距離とは異なる距離としてもよい)以上となるように車速を制御する点については、車間距離維持制御と同様である。しかし、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上となったときに、上記の車速維持制御を行わず、車両を緩やかに加速させる。ここで、緩やかな加速とは、車間距離維持制御において自車両を加速させる場合の加速度よりも小さい加速度の加速をいう。
【0064】
このような渋滞中制御を行うことにより、直前の先行車両が他のレーンにレーン変更などして、自車両と先行車両(レーン変更した車両の直前を走行していた先行車両)との車間距離が設定車間距離以上となるような場合であっても、急加速せず、徐々にその先行車両との車間距離を縮める走行ができる。
【0065】
なお、上記した各構成要素は、走行制御システム50の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。走行制御システム50の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0066】
また、各機能部(101〜103)は、ハードウエア(ASICなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウエアで実行されてもよいし、複数のハードウエアで実行されてもよい。
【0067】
次に、上記構成からなる走行制御システム50の特徴的な動作について説明する。
【0068】
<全体フロー>
図6は、走行制御システム50の走行制御装置100が行う、ACCに関する制御についての処理の概要を示すフローチャートである。
【0069】
図示するように、速度制御部103は、所定のタイミング(例えば、エンジンスタートのタイミング)で本フローを開始する。
【0070】
速度制御部103は、本フローを開始すると、ACCについて設定中であるか否か判別する(ステップS1)。例えば、速度制御部103は、ACCスイッチ2がオンにされている状態である場合に、ACCについて設定中であると判定する。一方、ACCスイッチ2がオフにされている状態である場合には、ACCについて設定中ではないと判定する。
【0071】
速度制御部103は、ステップS1において、ACCについて設定中ではないと判定した場合には(ステップS1;No)、本フローを終了する。
【0072】
一方、速度制御部103は、ステップS1において、ACCについて設定中であると判定すると(ステップS1;Yes)、処理をステップS2に移行する。
【0073】
処理がステップS2に移行すると、現在位置取得部102は、ナビゲーション装置200で算出された現在位置(データ)を、ナビゲーション装置200から取得する(ステップS2)。
【0074】
そして、速度制御部103は、現在位置取得部102が取得した現在位置を用いて、自車両(移動体)が渋滞中の道路を走行中であるか否か判別する(ステップS3)。例えば、速度制御部103は、ステップS2で取得した現在位置付近の渋滞情報を、ナビゲーション装置100から取得する。ここで、取得する渋滞情報は、例えば、現在位置のリンク(移動体が走行中のリンク)が渋滞しているか否かを示す情報でよい。そして、速度制御部103は、取得した渋滞情報に渋滞していることを示す情報が含まれている場合には、車両が渋滞中の道路を走行中であると判定する。一方、速度制御部103は、取得した渋滞情報に渋滞していないことを示す情報が含まれている場合には、車両が渋滞中の道路を走行中ではないと判定する。
【0075】
速度制御部103は、ステップS3において、渋滞中であると判定すると(ステップS3;Yes)、上述した「渋滞中制御S7」処理に移行する。そして、速度制御部103は、渋滞中制御を行う。なお、速度制御部103は、車両(移動体)が渋滞している道路を走行中である間は(ステップS3;Yes)、ステップS1〜S3、S7の処理を繰り返し実行する。
【0076】
一方、速度制御部103は、ステップS3において、渋滞中ではないと判定すると(ステップS3;No)、処理をステップS4に移行する。
【0077】
処理がステップS4に移行すると、速度制御部103は、自車両(移動体)の進行方向に先行車両が有るか否か判別する(ステップS4)。例えば、速度制御部103は、車間距離センサ3の受発光により、進行方向の先行車両との車間距離を検出し、検出した車間距離が所定の閾値未満である場合には、進行方向に先行車両が存在すると判定する。一方、速度制御部103は、車間距離センサ3を用いて検出した車間距離が所定の閾値以上である場合には、進行方向に先行車両が存在しないと判定する。
【0078】
速度制御部103は、ステップS4において、進行方向に車両が有ると判定すると(ステップS4;Yes)、上述した「車間距離維持制御S8」処理に移行する。そして、速度制御部103は、車間距離維持制御を行う。なお、速度制御部103は、車両(移動体)が進行方向に車両が有り続けている間は(ステップS4;Yes)、ステップS1〜S4、S8、(S9)の処理を繰り返し実行する。
【0079】
一方、速度制御部103は、ステップS4において、進行方向に車両がないと判定すると(ステップS4;No)、処理をステップS5に移行する。
【0080】
処理がステップS5に移行すると、速度制御部103は、自車両(移動体)の周囲情報を取得する(ステップS5)。例えば、速度制御部103は、現在位置(ステップS2で取得した現在位置)から距離が所定値内の地図データ310や、現在位置から先の走行予定(推奨経路周辺)の地図データ310を、ナビゲーション装置200から取得する。ここで、取得する地図データ310には、例えば、自車両が位置している(現在位置の)リンクデータ320、推奨経路を構成するリンクデータ320が含まれている。
【0081】
次に、速度制御部103は、自車両(移動体)の周囲状況を判定する(ステップS6)。具体的には、まず、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報のうち、現在位置から進行方向に向かって所定距離内のリンク(リンクデータ320)を抽出する。そして、速度制御部103は、抽出したリンクに関連づけられているデータ(上述した対象物識別情報など)、ステップS2で取得した現在位置付近の渋滞情報、推奨経路の目的地に関する設定情報などを用いて、自車両の進行方向に、(1)カーブが有るか否か、(2)停止対象(例えば、渋滞末尾、踏み切り、一時停止線、目的地)が有るか否か、(3)信号機が有るか否か、(4)料金所が有るか否か、について判定する。
【0082】
(1)例えば、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に、カーブ有りを示す対象物識別情報が含まれている場合には、自車両がカーブに接近していると判定する。
【0083】
(2−a)また、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に、踏み切り有り、或いは、一時停止線有りを示す対象物識別情報が含まれている場合には、自車両が停止対象(踏み切り、一時停止線)に接近していると判定する。
【0084】
(2−b)また、速度制御部103は、ステップS2で取得した現在位置付近の渋滞情報に、渋滞の末尾を示す情報が含まれている場合には、自車両が停止対象(渋滞末尾)に接近していると判定する。
【0085】
(2−c)また、速度制御部103は、現在位置から進行方向に向かって所定距離内に、推奨経路の目的地が設定されている場合には、自車両が停止対象(目的地)に接近していると判定する。
【0086】
(3)また、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に、信号機有りを示す対象物識別情報が含まれている場合には、自車両が信号機に接近していると判定する。
【0087】
(4)また、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に、料金所有りを示す対象物識別情報が含まれている場合には、自車両が料金所に接近していると判定する。
【0088】
ところで、速度制御部103は、ステップS6において、自車両の進行方向にいずれのもの(カーブ、停止対象、信号機、料金所)もないと判定すると(ステップS6;others)、上述した「車速維持制御S9」処理に移行する。そして、速度制御部103は、車速維持制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0089】
また、速度制御部103は、ステップS6において、自車両がカーブに接近していると判定すると(ステップS6;カーブ有り)、上述した「カーブ接近制御S10」処理に移行する。そして、速度制御部103は、カーブ接近制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0090】
また、速度制御部103は、ステップS6において、車両が停止対象に接近していると判定すると(ステップS6;停止対象有り)、上述した「停止対象接近制御S11」処理に移行する。そして、速度制御部103は、停止対象接近制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0091】
また、速度制御部103は、ステップS6において、車両が信号機に接近していると判定すると(ステップS6;信号有り)、上述した「信号接近制御S12」処理に移行する。そして、速度制御部103は、信号接近制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0092】
また、速度制御部103は、ステップS6において、車両が料金所に接近していると判定すると(ステップS6;料金所有り)、上述した「料金所接近制御S13」処理に移行する。そして、速度制御部103は、料金所接近制御を終えた後、処理をステップS1に戻す。
【0093】
以上のように、走行制御装置100は、ACCに関する制御を行う。
【0094】
<渋滞中制御>
次に、図7、図8を参照して、「渋滞中制御S7」処理について説明する。図7は、「渋滞中制御S7」処理を説明するためのフローチャートである。図8は、渋滞中制御の概要を説明するための説明図である。
【0095】
ステップS7に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、進行方向の先行車両との車間距離を取得する(ステップS101)。具体的には、速度制御部103は、車間距離センサ3の受発光により、進行方向の先行車両との車間距離を検出し、メモリ(例えば、RAM22)に記憶する。
【0096】
そして、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離(ステップS101で取得した車間距離)が、設定車間距離よりも短いか否か判別する(ステップS102)。
【0097】
速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離よりも短いと判定した場合には(ステップS102;Yes)、処理をステップS103に移行する。
【0098】
ステップS103では、速度制御部103は、自車両の速度を所定の加速度(負の加速度)で減速させる(ステップS103)。具体的には、速度制御部103は、制動装置6に対して減速制御の指示を通知する。これに伴い、制動装置6は、車輪に対して制動操作を行い、車両の速度を減速させる。
【0099】
車速が所定の速度になるまでステップS103の減速制御を行った後、速度制御部103は、「渋滞中制御S7」処理を終了する。
【0100】
ところで、ステップS102において、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上であると判定した場合には(ステップS102;No)、処理をステップS104に移行する。
【0101】
ステップS104では、速度制御部103は、自車両を設定車速まで緩やかに(車間距離維持制御時における加速度より小さい加速度で)加速させる(ステップS104)。具体的には、速度制御部103は、駆動装置7に対して加速制御の指示を通知する。これに伴い、駆動装置7は、スロットル開度を制御して、車両の速度を緩やかに加速させる。
【0102】
車速が設定車速に到達するまでステップS104の制御を行った後、速度制御部103は、「渋滞中制御S7」処理を終了し、処理をステップS1に戻す。
【0103】
以上の「渋滞中制御S7」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図8に示すように、渋滞中の道路を走行中に自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上である場合において、車両を急加速させることなく緩やかに加速することができる。
【0104】
<車間距離維持制御>
次に、図9を参照して、「車間距離維持制御S8」処理について説明する。図9は、「車間距離維持制御S8」処理を説明するためのフローチャートである。
【0105】
ステップS8に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、進行方向の先行車両との車間距離を取得する(ステップS201)。具体的には、上述したステップS101と同様の処理を行う。
【0106】
そして、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離(ステップS201で取得した車間距離)が、設定車間距離よりも短いか否か判別する(ステップS202)。
【0107】
速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離よりも短いと判定した場合には(ステップS202;Yes)、処理をステップS203に移行する。
【0108】
ステップS203では、速度制御部103は、自車両の速度を所定の加速度(負の加速度)で減速させる(ステップS203)。具体的には、速度制御部103は、上述したステップS103と同様の処理を行う。
【0109】
車速が所定の速度になるまでステップS203の減速制御を行った後、速度制御部103は、「車間距離維持制御S8」処理を終了する。
【0110】
ところで、ステップS202において、速度制御部103は、自車両と先行車両との車間距離が設定車間距離以上であると判定した場合には(ステップS202;No)、処理を「車速維持制御S9」処理に移行する(図6に示す点線矢印)。
【0111】
<車速維持制御>
次に、図10を参照して、「車速維持制御S9」処理について説明する。図10は、「車速維持制御S9」処理を説明するためのフローチャートである。
【0112】
ステップS9に処理が移行すると(ステップS6;others、ステップS202;No)、まず、速度制御部103は、自車両の車速が設定速度よりも低いか否か判別する(ステップS301)。具体的には、速度制御部103は、ナビゲーション装置200(車速センサ16)から自車両の車速を取得し、設定車速と比較することによって、自車両の車速が設定速度よりも低いか否か判別する。
【0113】
速度制御部103は、自車両の車速が設定速度よりも低いと判定した場合には(ステップS301;Yes)、処理をステップS302に移行する。
【0114】
速度制御部103は、自車両を設定車速まで所定の加速度で加速させる(ステップS302)。具体的には、速度制御部103は、駆動装置7に対して加速制御の指示を通知する。これに伴い、駆動装置7は、スロットル開度を制御して、車両を加速させる。
【0115】
車速が設定車速に到達するまでステップS302の制御を行った後、速度制御部103は、「車速維持制御S9」処理を終了し、処理をステップS1に戻す。
【0116】
ところで、ステップS301において、速度制御部103は、自車両の車速が設定速度以上であると判定した場合には(ステップS301;No)、現在の速度を維持する制御を行う(ステップS303)。ここで、速度を維持する制御とは、例えば、加速も減速も行わない制御をいう。
【0117】
その後、速度制御部103は、「車速維持制御S9」処理を終了し、処理をステップS1に戻す。
【0118】
<カーブ接近制御>
次に、図11、図12を参照して、「カーブ接近制御S10」処理について説明する。図11は、「カーブ接近制御S10」処理を説明するためのフローチャートである。図12は、カーブ接近制御の概要を説明するための説明図である。
【0119】
ステップS10に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、現在位置から進行方向に向かって最も近くのカーブまでの距離を取得する(ステップS401)。具体的には、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に含まれている減速対象物データ327(カーブの位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0120】
続いて、速度制御部103は、減速を開始する位置(減速開始位置)を算出する(ステップS402)。例えば、速度制御部103は、減速対象物データ327(カーブの位置)から所定距離(例えば500m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS401で取得した距離(現在位置からカーブまでの距離)に応じて、減速開始位置を変更するようにしてもよい。
【0121】
その後、速度制御部103は、「減速制御S14」処理に移行して、カーブの開始位置まで減速を行う。ここで、「減速制御S14」の詳細については後述する。減速制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0122】
以上の「カーブ接近制御S10」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図12に示すように、カーブ開始位置より手前の減速開始位置から減速制御を行うため、カーブ手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。
【0123】
<停止対象接近制御>
次に、図13、図14を参照して、「停止対象接近制御S11」処理について説明する。図13は、「停止対象接近制御S11」処理を説明するためのフローチャートである。図14は、停止対象接近制御の概要を説明するための説明図である。
【0124】
ステップS11に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、現在位置から進行方向に向かって最も近くの停止対象までの距離を取得する(ステップS501)。
【0125】
具体的には、停止対象が踏み切り又は一時停止線である場合、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に含まれている停止対象物データ328(踏み切り又は一時停止線の位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0126】
また、停止対象が渋滞末尾である場合、速度制御部103は、ステップS2で取得した現在位置付近の渋滞情報に含まれている渋滞末尾(位置)と、ステップS2で取得した現時位置と、の間の距離を算出する。
【0127】
また、停止対象が目的地である場合、速度制御部103は、推奨経路の目的地(位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0128】
続いて、速度制御部103は、目標停止位置を算出する(ステップS502)。
【0129】
具体的には、停止対象が踏み切り又は一時停止線である場合、速度制御部103は、停止対象物データ328(踏み切り又は一時停止線の位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS501で取得した距離(現在位置から踏み切り又は一時停止線の位置までの距離)に応じて、目標停止位置を変更するようにしてもよい。
【0130】
また、停止対象が渋滞末尾である場合、速度制御部103は、渋滞末尾(位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS501で取得した距離(現在位置から渋滞末尾の位置までの距離)に応じて、目標停止位置を変更するようにしてもよい。
【0131】
また、停止対象が目的地である場合、速度制御部103は、目的地(位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS501で取得した距離(現在位置から目的地までの距離)に応じて、目標停止位置を変更するようにしてもよい。
【0132】
その後、速度制御部103は、減速を開始する位置(減速開始位置)を算出する(ステップS503)。具体的には、速度制御部103は、ステップS502で算出した目標停止位置から所定距離(例えば、500m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS501で取得した距離(現在位置から停止対象までの距離)に応じて、減速開始位置を変更するようにしてもよい。
【0133】
そして、速度制御部103は、「減速制御S14」処理に移行して、ステップS503で算出した減速開始位置から減速を行う。さらに、速度制御部103は、「停止制御S15」処理に移行して、ステップS502で算出した目標停止位置で車両を停止させる。なお、「減速制御S14」、「停止制御S15」の詳細については後述する。停止制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0134】
以上の「停止対象接近制御S11」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図14に示すように、停止対象(図示する例では渋滞末尾)より手前の減速開始位置から減速制御、停止制御を行うため、停止対象の手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。
【0135】
<信号接近制御>
次に、図15、図16を参照して、「信号接近制御S12」処理について説明する。図15は、「信号接近制御S12」処理を説明するためのフローチャートである。図16は、信号接近制御の概要を説明するための説明図である。
【0136】
ステップS12に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、現在位置から進行方向に向かって近くの信号機の情報を取得する(ステップS601)。
【0137】
具体的には、速度制御部103は、不図示の通信手段(例えば、無線通信)により、信号機(或いは信号機を管理している装置)と通信を行い、信号機の状態を示す情報(信号機の状態遷移に関するタイムスケジュール情報など)を取得する。
【0138】
そして、速度制御部103は、現在位置から信号機までの距離を取得する(ステップS602)。
【0139】
具体的には、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に含まれている停止対象物データ328(信号機の位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0140】
続いて、速度制御部103は、目標停止位置を算出する(ステップS603)。
【0141】
具体的には、速度制御部103は、停止対象物データ328(信号機の位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。
【0142】
その後、速度制御部103は、減速を開始する位置(減速開始位置)を算出する(ステップS604)。具体的には、速度制御部103は、ステップS603で算出した目標停止位置から所定距離(例えば、500m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS602で取得した距離(現在位置から信号機までの距離)に応じて、減速開始位置を変更するようにしてもよい。
【0143】
次に、速度制御部103は、車両が信号機の手前で停止する位置(停止目標位置)に到達する時の信号機の状態を予測する(ステップS605)。例えば、速度制御部103は、ステップS601で取得した信号機の情報に基づいて、車両到達時の信号機の状態が「青」であるか否かを判別する。具体的には、速度制御部103は、現在時刻、現在位置から停止目標位置までの距離、走行予想速度(例えば、現在の車速)から、車両が停止目標位置に到達する時刻を算出する。そして、ステップS601で取得した信号機の情報(タイムスケジュール情報)に照らし合わせて、車両が停止目標停止位置に到達する時刻における信号機の状態を予測する。
【0144】
ここで、速度制御部103は、停止目標位置に到達する時の信号機の状態が「青」と予測した場合には(ステップS605;青)、処理を「車速維持制御S9」処理に移行する。
【0145】
処理が「車速維持制御S9」処理に移行すると、速度制御部103は、「車速維持制御S9」処理に従って、車速を維持する制御を行う。そして、車速維持制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0146】
一方、ステップS605において、速度制御部103は、停止目標位置に到達する時の信号機の状態が「青」以外と予測した場合には(ステップS605;青以外)、処理を「減速制御S14」処理に移行する。
【0147】
処理が「減速制御S14」処理に移行すると、速度制御部103は、ステップS604で算出した減速開始位置から減速を行う。さらに、速度制御部103は、「停止制御S15」処理に移行して、ステップS603で算出した目標停止位置で車両を停止させる。なお、「減速制御S14」、「停止制御S15」の詳細については後述する。停止制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0148】
以上の「信号接近制御S12」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図16に示すように、信号機が赤又は黄である場合、信号機より手前の減速開始位置から減速制御、停止制御を行うため、信号機の手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。
【0149】
<料金所接近制御>
次に、図17、図18を参照して、「料金所接近制御S13」処理について説明する。図17は、「料金所接近制御S13」処理を説明するためのフローチャートである。図18は、料金所接近制御の概要を説明するための説明図である。
【0150】
ステップS13に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、現在位置から料金所までの距離を取得する(ステップS701)。
【0151】
具体的には、速度制御部103は、ステップS5で取得した周囲情報に含まれている停止対象物データ328(料金所の位置)と、ステップS2で取得した現在位置と、の間の距離を算出する。
【0152】
続いて、速度制御部103は、目標停止位置を算出する(ステップS702)。
【0153】
具体的には、速度制御部103は、停止対象物データ328(料金所の位置)から所定距離(例えば、50m)手前の位置を求める。
【0154】
その後、速度制御部103は、減速を開始する位置(減速開始位置)を算出する(ステップS703)。具体的には、速度制御部103は、ステップS702で算出した目標停止位置から所定距離(例えば、500m)手前の位置を求める。なお、速度制御部103は、ステップS701で取得した距離(現在位置から料金所までの距離)に応じて、減速開始位置を変更するようにしてもよい。
【0155】
次に、速度制御部103は、車両がETCを利用できるか否か判別する(ステップS704)。具体的には、速度制御部103は、不図示のETC車載装置と通信を行い、利用可能であることを通知する信号を受信した場合に、ETCを利用できると判定する。一方、利用可能であることを通知する信号を受信しない場合には、ETCは利用できないと判定する。
【0156】
そして、速度制御部103は、車両がETCを利用できると判定した場合には(ステップS704;Yes)、処理を「減速制御S14」処理に移行する。
【0157】
処理が「減速制御S14」処理に移行すると、速度制御部103は、ステップS703で算出した減速開始位置から減速を行う。さらに、速度制御部103は、「停止制御S15」処理に移行して、ステップS702で算出した目標停止位置で車両を停止させる。なお、「減速制御S14」、「停止制御S15」の詳細については後述する。停止制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0158】
一方、ステップS704において、車両がETCを利用できると判定した場合には(ステップS704;No)、処理を「減速制御S14」処理に移行する。
【0159】
処理が「減速制御S14」処理に移行すると、速度制御部103は、ステップS703で算出した減速開始位置から減速を行う。そして、減速制御を終えた後、速度制御部103は、処理をステップS1に戻す。
【0160】
以上の「料金所接近制御S13」処理を実行することによって、走行制御部(ECU)1は、図18に示すように、車両にETC機能が備わっている場合、料金所より手前の減速開始位置から減速制御を行うため、料金所の手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。また、車両にETC機能が備わっていない場合、料金所より手前の減速開始位置から減速制御、停止制御を行うため、同様に、料金所の手前では車速が設定車速以下でも車両を急加速させることはない。
【0161】
<減速制御>
次に、図19を参照して、「減速制御S14」処理について説明する。図19は、「減速制御S14」処理を説明するためのフローチャートである。
【0162】
ステップS14に処理が移行すると、まず、速度制御部103は、自車両(移動体)が減速開始位置に到達したか否か判別する(ステップS801)。具体的には、速度制御部103は、まず、ステップS2の処理と同様に現在位置を算出する。そして、速度制御部103は、算出した現在位置と、先に算出した減速開始位置(ステップS402、S503、S604、S703)との距離が所定距離(例えば、10m)内である場合に、自車両が減速開始位置に到達したと判定する。一方、速度制御部103は、算出した現在位置と、先に算出した減速開始位置との距離が所定距離を超える場合には、自車両は減速開始位置に到達していないと判定する。
【0163】
ステップS801において、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達したと判定した場合には(ステップS801;Yes)、車両を所定の速度(例えば、20km/h)まで減速させる(ステップS802)。具体的には、ステップS103と同様の処理により車両を減速させる。
【0164】
その後、速度制御部103は、処理をステップS805に移行する。
【0165】
また、ステップS801において、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に到達していないと判定した場合には(ステップS801;No)、自車両が減速開始位置に近いか否か判別する(ステップS802)。具体的には、速度制御部103は、ステップS801で算出した現在位置と、減速開始位置との距離が所定距離(例えば、300m)内である場合に、自車両が減速開始位置に近いと判定する。一方、速度制御部103は、ステップS801で算出した現在位置と、減速開始位置との距離が所定距離を超える場合には、自車両は減速開始位置に近くないと判定する。
【0166】
ステップS802において、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に近いと判定した場合には(ステップS802;Yes)、現在の速度を維持する制御を行う(ステップS804)。ここで、速度を維持する制御とは、例えば、加速も減速も行わない制御をいう。
【0167】
その後、速度制御部103は、処理をステップS805に移行する。
【0168】
一方、ステップS802において、速度制御部103は、自車両が減速開始位置に近くないと判定した場合には(ステップS802;No)、処理を上述した「車速維持制御S9」に移行し、その後、処理をステップS805に移行する。
【0169】
処理がステップS805に移行すると、速度制御部103は、「減速制御S14」を終了するか否か判別する(ステップS805)。例えば、速度制御部103は、車速が所定の速度(例えば、20km/h)まで減速している場合には、減速制御を終了する判定を行い(ステップS805;Yes)、「減速制御S14」を終了する。一方、速度制御部103は、車速が所定の速度まで減速していない場合には、減速制御を終了しない判定を行い(ステップS805;No)、処理をステップS801に戻す。
【0170】
<停止制御>
次に、図20を参照して、「停止制御S15」処理について説明する。図20は、「停止制御S15」処理を説明するためのフローチャートである。
【0171】
ステップS15に処理が移行すると、速度制御部103は、自車両(移動体)が停止するまで減速を行う(ステップS901)。これにより、自車両は目標停止位置で停止することができる。
【0172】
自車両が停止後、速度制御部103は、「停止制御S15」処理を終了する。
【0173】
以上の処理を走行制御部(ECU)1が行うことにより、本実施形態の走行制御装置100は、ACCにおける不要な加速を抑制することができる。
【0174】
なお、上記したフローの各処理単位は、走行制御装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。走行制御装置100が行う処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0175】
また、上記の実施形態は、本発明の要旨を例示することを意図し、本発明を限定するものではない。多くの代替物、修正、変形例は当業者にとって明らかである。
【0176】
以下に、上記実施形態の変形例を挙げる。
【0177】
上記実施形態では、走行制御システム50は、ナビゲーション装置50と走行制御装置100を備えるようにしている。しかし、本発明は、これに限定されない。例えば、ナビゲーション装置100は、上記実施形態の走行制御装置100の構成、機能(全て、或いは一部)を有していてもよい。また、走行制御装置100は、上記実施形態のナビゲーション装置100の構成、機能(全て、或いは、一部)を有していてもよい。
【符号の説明】
【0178】
1・・・走行制御部(ECU)、2・・・ACCスイッチ、3・・・車間距離センサ、4・・・アクセルペダルセンサ、5・・・ブレーキペダルセンサ、6・・・制動装置(ブレーキ)、7・・・駆動装置(アクセル)、21・・・CPU(走行制御装置)、22・・・RAM(走行制御装置)、23・・・ROM(走行制御装置)、24・・・I/F(走行制御装置)、11・・・演算処理部、12・・・ディスプレイ、13・・・記憶装置、14・・・音声入出力装置、15・・・入力装置、16・・・車速センサ、17・・・ジャイロセンサ、18・・・GPS受信装置、19・・・FM多重放送受信装置、20・・・ビーコン受信装置、31・・・CPU(ナビゲーション装置)、32・・・RAM(ナビゲーション装置)、33・・・ROM(ナビゲーション装置)、34・・・I/F(ナビゲーション装置)、141・・・マイクロフォン、142・・・スピーカ、151・・・タッチパネル、152・・・ダイヤルスイッチ、50・・・走行制御システム、100・・・走行制御装置、200・・・ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・現在位置取得部、103・・・速度制御部、310・・・地図データ、311・・・メッシュID、320・・・リンクデータ、321・・・リンクID、322・・・開始ノード・終了ノード、323・・・道路種別、324・・・リンク長、325・・・リンク旅行時間、326・・・開始接続リンク・終了接続リンク、327・・・減速対象物データ、328・・・停止対象物データ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)によって車両の走行を制御する車両走行制御装置であって、
前記車両の走行速度を取得する車速取得手段と、
取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、前記車両を当該設定速度まで加速させる車速制御手段と、を備え、
前記車速制御手段は、
前記車両の周囲状況を特定し、当該周囲状況が所定の条件を満たしている場合には、当該車両を加速させない、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に渋滞の末尾がある場合には、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に踏み切りがある場合には、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に一時停止の標識がある場合には、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
目的地の指定を受け付ける受付手段をさらに備え、
前記車速制御手段は、
前記車両の前方所定範囲内に前記目的地に該当する地点がある場合には、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
前記車両の前方を走行している他車両との車間距離を取得する車間距離取得手段をさらに備え、
前記車速制御手段は、
前記車速取得手段で取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、前記車両を当該設定速度まで所定の加速度で加速させ、
前記車両が渋滞中の道路を走行している場合においては、
前記車間距離が所定の閾値以内である場合、当該車両を加速させることなく減速させ、
前記車間距離が所定の閾値を超える場合には、当該車両を前記所定の加速度よりも小さい加速度で加速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に信号機がある場合には、当該車両が当該信号機に到達する時点での信号機の状態を判定し、
前記状態が赤、又は、黄である場合に、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に料金所がある場合には、当該車両がETC機能を有するかを判別し、
前記車両がETC機能を有している場合には、当該車両を加速させることなく減速させ、
前記車両がETC機能を有していない場合には、当該車両を加速させることなく、停止するまで減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項9】
ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)によって車両の走行を制御する車両走行制御方法であって、
前記車両の走行速度を取得する車速取得ステップと、
取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、前記車両を当該設定速度まで加速させる車速制御ステップと、を有し、
前記車速制御ステップでは、
前記車両の周囲状況を特定し、当該周囲状況が所定の条件を満たしている場合には、当該車両を加速させない、
ことを特徴とする車両走行制御方法。
【請求項1】
ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)によって車両の走行を制御する車両走行制御装置であって、
前記車両の走行速度を取得する車速取得手段と、
取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、前記車両を当該設定速度まで加速させる車速制御手段と、を備え、
前記車速制御手段は、
前記車両の周囲状況を特定し、当該周囲状況が所定の条件を満たしている場合には、当該車両を加速させない、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に渋滞の末尾がある場合には、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に踏み切りがある場合には、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に一時停止の標識がある場合には、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
目的地の指定を受け付ける受付手段をさらに備え、
前記車速制御手段は、
前記車両の前方所定範囲内に前記目的地に該当する地点がある場合には、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
前記車両の前方を走行している他車両との車間距離を取得する車間距離取得手段をさらに備え、
前記車速制御手段は、
前記車速取得手段で取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、前記車両を当該設定速度まで所定の加速度で加速させ、
前記車両が渋滞中の道路を走行している場合においては、
前記車間距離が所定の閾値以内である場合、当該車両を加速させることなく減速させ、
前記車間距離が所定の閾値を超える場合には、当該車両を前記所定の加速度よりも小さい加速度で加速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に信号機がある場合には、当該車両が当該信号機に到達する時点での信号機の状態を判定し、
前記状態が赤、又は、黄である場合に、当該車両を加速させることなく減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車両走行制御装置であって、
前記車速制御手段は、
前記車両から前方所定範囲内に料金所がある場合には、当該車両がETC機能を有するかを判別し、
前記車両がETC機能を有している場合には、当該車両を加速させることなく減速させ、
前記車両がETC機能を有していない場合には、当該車両を加速させることなく、停止するまで減速させる、
ことを特徴とする車両走行制御装置。
【請求項9】
ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)によって車両の走行を制御する車両走行制御方法であって、
前記車両の走行速度を取得する車速取得ステップと、
取得した走行速度が所定の設定速度より低い場合には、前記車両を当該設定速度まで加速させる車速制御ステップと、を有し、
前記車速制御ステップでは、
前記車両の周囲状況を特定し、当該周囲状況が所定の条件を満たしている場合には、当該車両を加速させない、
ことを特徴とする車両走行制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−86580(P2013−86580A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226839(P2011−226839)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】
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