説明

車両駆動システムのマルチ動力出力装置

【課題】車両駆動システムのマルチ動力出力装置の提供。
【解決手段】本発明の車両駆動システムのマルチ動力出力装置は、少なくとも一つの車輪を具えた車体に応用され、主動力出力装置、主変速装置、少なくとも一つの補助動力出力装置、該補助動力出力装置と同数の少なくとも一つの補助無段変速装置と少なくとも二つの伝動装置を包含し、そのうち、該主動力出力装置と少なくとも一つの補助動力出力装置はそれぞれに動力を出力し、該主変速装置、該補助無段変速装置の変速及び該伝動装置の伝動により該車体の車輪を回転させて、該車体を移動させ、該主動力出力装置と複数の補助動力出力装置により動力を出力し、さらに該補助無段変速装置が該主変速装置に合わせて自動調整して出力し、複数倍の馬力出力を発生し、これにより車体が高い加速度性を具えて使用者の要求を満足させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両動力出力装置に係り、特に、マルチ動力出力装置を具えた車両駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は重要な輸送及び交通工具であり、その動力出力システムは、動力出力装置、変速装置及び伝動装置を包含し、並びに少なくとも一つの車輪(通常4個)を具えた車体を駆動して移動させる。該動力出力装置は、内燃機型エンジン、或いはモータ型のモータとされ得て、該動力出力装置の出力する動力は、該変速装置の変速と該伝動装置により車輪に伝動され、該車輪を駆動して回転させ、これにより該車体を移動させる。
【0003】
この周知の動力出力システムは、該車体の加速度性が、該動力出力装置の馬力に依存し、該車体の加速度性を増すためには、より大きな馬力の動力出力装置に交換するか、或いは該動力出力装置を改造して馬力を増加させる必要がある。しかし、より大きな馬力の動力出力装置に交換した後、通常は、それに接続される変速装置と伝動装置も適合する型式のものに併せて交換する必要があり、それによって負荷が過大となって損壊するのを防止する。且つ大馬力出力の動力出力装置は、量産により製造コストダウンを図ることが難しく、このため極めて高価であり、その交換コストは高くなり、それに対して増加できる馬力を考えると、コストパフォーマンスがよくない。また、動力出力装置を改造することで増加できる馬力も相当に有限であり、それに費やされるコストと効果は正比例せず、ゆえに周知の技術は使用者の要求に符合しがたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、一種の車両駆動システムのマルチ動力出力装置を提供することにあり、それは複数の、低コストの動力出力装置により複数倍の馬力出力を発生することで、使用者の要求を満足させるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両駆動システムのマルチ動力出力装置は、少なくとも一つの車輪を具えた車体を駆動し移動させるのに用いられ、主動力出力装置、主変速装置、少なくとも一つの補助動力出力装置、該補助動力出力装置と同数の少なくとも一つの補助無段変速装置と少なくとも二つの伝動装置を包含し、そのうち、該主動力出力装置と少なくとも一つの補助動力出力装置はそれぞれに動力を出力し、該主変速装置と該少なくとも一つの補助無段変速装置はそれぞれに対応する該主動力出力装置と該補助動力出力装置に接続され、並びに変速により動力の出力回転速度を変更するのに用いられ、また、該少なくとも二つの伝動装置はそれぞれに対応する該主変速装置と該少なくとも一つの補助無段変速装置に接続され、該少なくとも二つの伝動装置は該車輪に接続されて、動力を伝えて該車輪を駆動して回転させることで、該車体を駆動し移動させる。
【発明の効果】
【0006】
これにより、本発明は、複数の、低コストの動力出力装置に動力を出力させ、それに対応して設置した該補助無段変速装置により該主変速装置に併せて変速調整し、該伝動装置により動力を車輪に伝え、複数倍の馬力出力を発生し、これにより、該車体に高い加速度性と低コストの特徴を具備させ、使用者の要求を満足させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の車体における実施の配置表示図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の詳細な内容及び技術説明に係り、実施例により説明するが、了解しなければならないことは、これらの実施例は説明のために例示されたものであり、本発明の実施上の制限と解釈されるべきではない、ということである。
【0009】
図1に示されるように、本発明は一種の車両駆動システムのマルチ動力出力装置とされ、少なくとも一つの車輪11を具えた車体10を駆動し移動させるのに用いられ、主動力出力装置20、主変速装置30、少なくとも一つの補助動力出力装置40、該補助動力出力装置40と同数の少なくとも一つの補助無段変速装置50と少なくとも二つの伝動装置60を包含し、そのうち、該主動力出力装置20と少なくとも一つの補助動力出力装置40はそれぞれに動力を出力し、該主変速装置30と該少なくとも一つの補助無段変速装置50はそれぞれに対応する該主動力出力装置20と該補助動力出力装置40に接続され、並びに変速により動力の出力回転速度を変更するのに用いられ、また、該少なくとも二つの伝動装置60はそれぞれに対応する該主変速装置30と該少なくとも一つの補助無段変速装置50に接続され、該少なくとも二つの伝動装置60は該車輪11に接続されて、動力を伝えて該車輪11を駆動して回転させることで、該車体10を駆動し移動させる。
【0010】
これにより、該補助無段変速装置50は出力回転速度と入力回転速度の比の値を自動変更できる能力を有し(すなわち自動無段変速)、これにより、該車輪11に同時に該主動力出力装置20と複数の、異なる補助動力出力装置40の動力を入力する時、該複数の補助動力出力装置40がそれぞれに接続された該補助無段変速装置50が自動発生する調整能力により、該車輪11部分において動力を累加し、すなわち複数倍の動力出力を形成することができる。
【0011】
また、本発明が一般の自動車に実施される時、該車輪11は四つあるが、これに制限されるわけではなく、例えば、モノレール車両に実施される時、僅かに一つの車輪とされ、またオートバイに実施される時は、二つの車輪とされ、トラックに実施される時は、8個の車輪とされる。
【0012】
このほか、四つの該車輪11は、それぞれ車体10の側辺に分けて置かれ、並びに二つずつが一組とされて、直列に接続されて前車輪セット111と後車輪セット112が形成され、並びに該補助動力出力装置40は一つとされ、該主動力出力装置20と該補助動力出力装置40はそれぞれ該車体10の前後両側に置かれ、該車体10にバランスよいウエイト配分を具備させ、並びに該主動力出力装置20と該補助動力出力装置40は、それぞれに接続された該主変速装置30と該補助無段変速装置50の変速と該少なくとも二つの伝動装置60の伝動により、それぞれ該前車輪セット111と該後車輪セット112を駆動して回転させ、該車体10を移動させ、すなわち、該前車輪セット111と該後車輪セット112はそれぞれ該主動力出力装置20と該補助動力出力装置40の駆動を受けて回転し、該車輪部分で動力を累加し、2倍のモータ出力を形成する。
【0013】
また、本発明はさらに制御装置70を包含してもよく、該制御装置70は該主動力出力装置20と該少なくとも一つの補助動力出力装置40を制御し、該制御装置70の制御により、該主動力出力装置20と該少なくとも一つの補助動力出力装置40が一緒に動作し、一緒に停止する目的を達成する。また、該主動力出力装置20と該少なくとも一つの補助動力出力装置40はモータ或いは内燃機型エンジンとされ得て、該主変速装置30は伝統的な4段変速、5段変速、或いは6段変速、或いは無段変速とされ、いずれも本発明の技術により馬力を結合出力し、複数倍の馬力出力を形成できる。
【0014】
上述したように、本発明は該主動力出力装置20と該少なくとも一つの補助動力出力装置40を使用して動力を出力し、対応設置された該主変速装置30と補助無段変速装置50の自動調整と、該少なくとも二つの伝動装置60による該車輪11への動力伝送により、複数倍の馬力出力を発生し、該車体10に高い加速度性を具備させる。また、それに使用される該主動力出力装置20、該少なくとも一つの補助動力出力装置40、該主変速装置30、該少なくとも一つの補助無段変速装置50と少なくとも二つの伝動装置は、標準化された量産装置を使用でき、これにより、コストダウンでき、使用者の有限な予算内での馬力アップの要求を満足させることができる。
【符号の説明】
【0015】
10 車体 11 車輪
20 主動力出力装置 30 主変速装置
40 補助動力出力装置 50 補助無段変速装置
60 伝動装置
111 前車輪セット 112 後車輪セット
70 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの車輪を具えた車体を駆動し移動させるのに用いられる車両駆動システムのマルチ動力出力装置において、
出力動力を提供する、主動力出力装置と、
該主動力出力装置に接続されてその出力動力の出力回転速度を変速する、主変速装置と、
それぞれが出力動力を提供する、少なくとも一つの補助動力出力装置と、
該補助動力出力装置と同数が設けられて、対応する該補助動力出力装置に接続されてその出力動力の出力回転速度を無段変速する、少なくとも一つの補助無段変速装置と、
対応する該主変速装置と該少なくとも一つの補助無段変速装置に接続され、並びに該車輪に接続され、動力を伝えて該車輪を駆動して回転させ、該車体を移動させる、少なくとも二つの伝動装置と、
を包含したことを特徴とする車両駆動システムのマルチ動力出力装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両駆動システムのマルチ動力出力装置において、車輪が4個設けられ、該4個の車輪が車体の側辺に分けて置かれ、並びに二つずつが一組とされて、直列に接続されて前車輪セットと後車輪セットが形成され、並びに該補助動力出力装置は一つとされ、該主動力出力装置と該補助動力出力装置はそれぞれ該車体の前後両側に置かれ、並びにそれぞれに接続された該主変速装置と該補助無段変速装置の変速と該少なくとも二つの伝動装置の伝動により、それぞれ該前車輪セットと該後車輪セットを駆動して回転させて該車体を移動させることを特徴とする車両駆動システムのマルチ動力出力装置。
【請求項3】
請求項1記載の車両駆動システムのマルチ動力出力装置において、制御装置をさらに包含し、該制御装置は該主動力出力装置と該少なくとも一つの補助動力出力装置に接続されてそれらを制御することを特徴とする車両駆動システムのマルチ動力出力装置。
【請求項4】
請求項1記載の車両駆動システムのマルチ動力出力装置において、該主変速装置は、無段変速、4段変速、5段変速及び6段変速より一種類が選ばれることを特徴とする車両駆動システムのマルチ動力出力装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−173538(P2011−173538A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39818(P2010−39818)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(510052609)
【Fターム(参考)】