説明

車両

【課題】道路走行・軌道走行可能なデュアルモード車両を含む連結を行う種々の車両において、連結時、トランスミッションに動力が伝わることによる走行抵抗を軽減させ、逆方向に連結された車両のトランスミッションにかかる逆回転による負担の軽減を図る。
【解決手段】駆動源と、トランスミッションと、駆動輪と、自車両と他車両とを連結する連結器131,132と、トランスミッション150と駆動輪104との間の駆動力の切断又は接続が可能な断接装置200と、を備えることを特徴とする車両を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数連結可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、都市部への人口集中に伴い、地方山村部における過疎化が進行しており、この過疎化は、地方鉄道線(いわゆるローカル線)や地方路線バスの利用者の減少をもたらしている。このため、鉄道事業者やバス事業者は、運行管理コスト等を削減するために、地方鉄道線や地方路線バスに代わる新たな交通システムを創出する必要に迫られている。
【0003】
このような状況において、近年、鉄道と道路とのシームレス化を行って鉄道車両とバスの双方の利点を生かす交通システム(デュアルモード交通システム)を構築して、車両コストの削減、メンテナンスコストの削減、運転コストの削減等を実現させようとする動きがある。そして、このデュアルモード交通システムを構築するために、軌道走行と道路走行との双方が可能な車両(以下、「デュアルモード車両」という)の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−34838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、現在開発が進められているデュアルモード車両は、定員29人程度のマイクロバスの車両をベースにしたものであり、比較的少数の乗客や少量の荷物を輸送する際にはきわめて好適に機能するが、鉄道車両のような大量輸送ができないという問題があった。このように、ベースとなる車両の輸送能力に制限されないように、デュアルモード車両を連結させることで大量輸送を実現させる開発も、さらに進められている。
【0005】
デュアルモード車両を連結させる際、各車両を同じ方向に向けて連結させる順方向連結と、逆方向に向けて後部同士を連結する逆方向連結とが考えられるが、それぞれに一長一短がある。順方向連結では、後述する逆方向連結の場合と違って駆動系を改造する必要がない反面、各車両の内部空間を連通させて乗客及び乗務員の往来を可能とすることが困難であり、それに伴い各車両にそれぞれ乗務員を搭乗させる必要も出てくるなど、連通されている場合よりも主に人件費などの面で営業費用の増大を招く。
【0006】
これに対して逆方向連結では、各車両の内部空間を連通させて乗客等の往来を可能とすることは容易であるが、駆動輪が逆回転をすることにより、トランスミッション等に想定外の負荷がかかる。つまり、デュアルモード車両を逆方向連結させる場合、後ろ向きに走行する車両はトランスミッション等にかかる想定外の負荷が各部品の寿命を縮めて故障の可能性を増大する。
また、前方車両のみを駆動させて、前方車両で後方車両を牽引する場合、後方車両の駆動輪が牽引されることによって回転し、それに伴いトランスミッションが動作することで当該トランスミッションが牽引走行時のトルク負荷となってしまうという問題も生じる。
【0007】
なお、上記問題は、デュアルモード車両に限らず、駆動源からトランスミッションを介して駆動輪を駆動する車両全般についても、連結走行を行う場合に生じ得る問題である。荷搬能力の増強のために、車両と車両とを連結して走行することも考えられるし、故障車両の牽引、或いは故障に限らず、輸送対象となる車両の牽引等の場合も連結することが考えられる。
また、車両の連結における問題は、二台の連結に限らず、より多くの台数を連結する場合にも生じうる問題である。
【0008】
そこで、本発明の課題は、道路走行・軌道走行可能なデュアルモード車両を含む連結を行う種々の車両において、走行抵抗(トランスミッション等にかかる負荷)を抑え、より好適な逆方向連結を実現させることである。
また、連結時において逆方向に連結された車両に生じ得るトランスミッションに対する負担の軽減を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、車両であって、
駆動源と、トランスミッションと、駆動輪と、自車両と他車両とを連結する連結手段と、を備え、
前記トランスミッションと前記駆動輪との間の駆動力の切断又は接続が可能な断接装置を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両であって、
前記断接装置は、
トランスミッション側シャフトに設けられ、当該シャフトと共に回転する第一の歯車と、
駆動輪側シャフトに設けられ、当該シャフトと共に回転する前記第一の歯車に噛合する第二の歯車と、
共に回転する前記シャフトの回転軸の軸方向にスライド移動可能に設けられた何れか一方の前記歯車を、スライド移動させることで歯車相互間の噛合又はその解除を行うアクチュエータと、
を備え、
前記各歯車は互いに噛合可能な内歯車と外歯車とから構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両であって、
前記アクチュエータの動作部位に、弾性的に押圧された凸部と当該凸部に嵌合する凹部とを用いて切断又は接続状態を維持するディテント機構をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の車両であって、
車両を連結した際に自車両が先頭車であるか後続車であるかを設定する設定手段と、
前記設定手段により「後続車」と設定されると、前記断接装置を切断状態へと制御する断接制御装置と、
を備えることを特徴とする。
なお、三両以上の車両が連結される場合にあっては先頭の車両が上述の「先頭車」に該当し、それ以外の車両は全て「後続車」に該当するものとする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の車両であって、
車両を連結した際に自車両が先頭車であるか後続車であるかを設定する設定手段と、
車体の前部及び後部にそれぞれ設けられ、他の車両が接続されていることを検出する検出手段と、
前記設定手段により「後続車」と設定された状態で前記検出手段により他車両が自車両の後部に接続されていることを検出することにより、前記断接装置を切断状態へと制御する断接制御装置と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両であって、
前記検出手段は、連結された他の車両との通信を行う信号線の接続により他車両を検出することを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか一項に記載の車両であって、
前記車両は、
車体の前方及び後方に各々配設されたタイヤ用車軸を介して設けられた道路走行用のタイヤと、
車体の前方及び後方に各々昇降自在に配設された案内輪用車軸を介して設けられた軌道走行用の案内輪と、
前記各々配設されたタイヤ用車軸の少なくとも何れか一方に設けられた駆動輪と、
を有し、
前方及び後方の前記案内輪並びに前記駆動輪によって軌道を走行する道路走行・軌道走行可能なデュアルモード車両であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、道路走行・軌道走行可能なデュアルモード車両を含む連結を行う種々の車両において、トランスミッションと駆動輪との間の駆動力の伝達を切断する断接装置を備えているため、連結時、駆動を行わない車両について駆動力の伝達を切ることでトランスミッションに動力が伝わることによる走行抵抗を軽減させることができる。また、前進進行方向と逆方向に連結された車両について駆動力の伝達を切ることでトランスミッションにかかる逆回転による負担の軽減も可能である。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、断接装置は、歯車をスライドさせて噛合わせる構成であるため、シンプルな構成であり、一度噛合うと滑りが発生することもなく、断接装置によるエネルギーの損失を抑えることができる。また、摩耗の発生を低減するので、装置の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、ディテント機構を備えるため、特に、アクチュエータを動作させる油圧、空気圧又は電源等が低下した場合でも、アクチュエータの動作部位の動力切断位置と動力接続位置において凹部と凸部とが嵌合することより断接装置の切断又は接続状態を維持することが可能となると共に、車両の走行中に誤って状態が変化し、断接装置を破損させる事態を避けることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、設定手段の設定に従って断接制御装置が制御を行うため、断接装置に対する制御を自動で行うことができ、手作業による切替作業を不要とし、作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、設定手段の設定と検出手段による検出に従って断接制御装置が制御を行うため、各状態に合わせた、より適切な制御を断接装置に対して自動で行うことができ、手作業による切替作業を不要とし、作業負担の軽減を図ることが可能となる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、連結された他車両との通信を行う信号線を利用して他車両が接続されていることを検出するため、新たに他車両を検出する手段を設ける必要がない。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、車両としてデュアルモード車両を用いるため、軌道上においても道路上においても、より柔軟な運行が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明における実施の形態に係る車両について、図1から図5を参照しながら説明する。
【0024】
(デュアルモード車両の構成)
デュアルモード車両100は、図1に示すように、車体102、車体102の前方及び後方に配設されたタイヤ用車軸103a,104aを中心に回転する前方ゴムタイヤ103及び後方ゴムタイヤ104、車体102の前方及び後方に昇降自在に配設された案内輪用車軸105a,106aを中心に回転する軌道走行用の前方案内輪105及び後方案内輪106、デュアルモード車両100の前方ゴムタイヤ103の操舵方向や後方ゴムタイヤ104の回転状態等を制御する図示されていない制御装置、自車両と他車両を連結する”連結手段”としての前方連結器131及び後方連結器132、”駆動源”としてのエンジン140、トランスミッション150、差動装置160、後述する断接装置200、同じく後述の断接制御装置101、制御盤110、連結された他の車両との通信を行う前方ジャンパー栓121、後方ジャンパー栓122、等を備えて構成されている。
【0025】
(各タイヤ及び各案内輪について)
デュアルモード車両100は、前方ゴムタイヤ103及び後方ゴムタイヤ104による道路走行モードと、前方案内輪105、後方案内輪106及び後方ゴムタイヤ104による軌道走行モードとの双方を自在に切り換えて実現させることができるものである。
【0026】
車体102は、図2に示すようなマイクロバスの車体102を採用しており、運転士を含めて29人程度を搭乗させることができる。前方ゴムタイヤ103は、車体102の運転席のハンドルにより操舵することができる。後方ゴムタイヤ104は、タイヤ用車軸104aに左右2本ずつ軸支され、エンジン140及び動力伝達装置(トランスミッション150等)によって駆動される。前方案内輪105及び後方案内輪106は、鉄等の金属で構成され、図示されていない油圧アクチュエータの伸縮により上方及び下方に移動する。
【0027】
つまり、道路走行時においては、上方に移動させて、前方ゴムタイヤ103及び後方ゴムタイヤ104を接地させ、軌道走行時には、前方案内輪105及び後方案内輪106を下方に移動させて、軌道40のレールR上面に当接させ、前方ゴムタイヤ103を上方に浮かせると共に後方ゴムタイヤ104の内側輪のみをレールに接地させて当該後方ゴムタイヤ104の回転駆動により走行を可能とする。なお、駆動輪が前方ゴムタイヤ103であっても良く、その場合は、後方ゴムタイヤ104を上方に浮かせることとなり、前方案内輪105、後方案内輪106及び前方ゴムタイヤ103により軌道走行を行う。
【0028】
(駆動系について)
エンジン140、トランスミッション150、及び差動装置160については、道路走行を行う一般的な自動車が備える一般的なものが使用されている。
トランスミッション150と差動装置160の間には、断接装置200が接続され、駆動力の伝達を制御する。
【0029】
(断接装置等の構成)
断接装置200は、図3(a)に示すように、回転部210と、固定部220と、断接作動部230と、”ディテント機構”としてのディテント部240から構成されており、固定部220が車体102に固定されている。
【0030】
回転部210は、スリーブ211、トランスミッション側シャフト212、及び駆動輪側シャフト213から構成されており、固定部220を構成するケーシング221の内部に納められ、同じく固定部220を構成するベアリング222によってトランスミッション側シャフト212が、ベアリング223によって駆動輪側シャフト213が、ケーシング221に対して回転可能に取付けられている。
【0031】
トランスミッション側シャフト212は、トランスミッション150の出力側に接続されて回転駆動力が伝達されるようになっている。また、駆動輪側シャフト213は、差動装置160の入力側に接続されて回転駆動力を伝達するようになっている。
そして、各シャフト212,213は先端部が互いに対向すると共に、トランスミッション側シャフト212の先端部は開口し、駆動輪側シャフト213は小径円筒状に形成されてトランスミッション側シャフト212の開口部に挿入されている。これにより、各シャフト212,213は同心状態を維持することを可能としている。なお、駆動輪側シャフト213の小径円筒部とトランスミッション側シャフト212の開口部とは互いに摺動可能であり、各々のシャフト212,213は別個独立して回転することが可能となっている。
【0032】
スリーブ211は、スプライン構造を介してシャフトの回転軸の軸方向に沿ってスライド可能となるよう駆動輪側シャフト213に取付けられ、常に駆動輪側シャフト213と共に回転する。また、スリーブ211のトランスミッション側シャフト212側の端部には”第2の歯車”としての内歯車が設けられ、スリーブ211がスライドすることにより、トランスミッション側シャフト212の先端部に設けられた”第1の歯車”としての外歯車と噛合又はその解除が可能となっている。
【0033】
これにより、スリーブ211をトランスミッション側シャフト212側にスライドさせて互いの歯車を噛合させることにより各シャフト212,213の間でのトルク伝達が可能となり、逆側にスライドさせることによりトルク伝達を切断することが可能となる。
なお、スリーブ211は、駆動輪側シャフト213に限らず、トランスミッション側シャフト212に対してスライド可能となるよう取付けられていても良い。同様に、トランスミッション側シャフト212と駆動輪側シャフト213の各々の先端部の構造は互いに逆であっても良い。
【0034】
断接作動部230は、スリーブ211を双方向にスライド移動させる”アクチュエータ”としての油圧アクチュエータ231、油圧アクチュエータ231の伸縮動作を伝える”動作部位”としてのロッド232、ロッド232を支えるロッドガイド233、油圧アクチュエータ231とロッドガイド233をケーシング221に対して固定する枠体234、及びシフトフォーク235から構成されている。
【0035】
ロッド232は各シャフト212,213の回転軸方向に平行に向けられた状態でその長手方向に沿ってスライド移動可能にロッドガイド233に支持されている。そして、ロッドはその一端部が油圧アクチュエータ231に接続され、スライド移動力が付与される。
【0036】
シフトフォーク235は、各シャフト212,213の回転軸方向に対して垂直に向けられた状態でロッド232に固定されており、油圧アクチュエータ231の伸縮動作を伝えて前述のスリーブ211を各シャフト212,213の回転軸の軸方向へスライドさせるためのもので、スリーブ211の外周に設けられた円周溝に挿入され、スリーブ211に対して回転軸方向への移動力を付与しつつも当該スリーブ211の回転を妨げないような構造となっている。
【0037】
ディテント部240は、凸部としての金属球241、”弾性体”としてのバネ242、及びそれらを収納可能な孔を有する台座243と、ロッド232の回転軸方向に沿って二箇所に形成された凹部244とから構成されている。台座243はロッド232の伸縮方向の側面に孔が向くように枠体234に固定され、台座243に設けられた孔には金属球241及びバネ242が納められ、金属球241が孔の奥からバネ242に押されロッド232に接触する構造となっている。また、ロッド232には、油圧アクチュエータ231が最も伸長した状態で金属球241が接触する点及び油圧アクチュエータ231が最も収縮した状態で金属球241が接触する点それぞれに凹部244が設けられており、油圧アクチュエータ231から一定以上の力が加えられた時のみロッド232が動作する構造となっている。なお、金属球241がロッド232の伸縮方向の側面に接触するように配置できれば、台座243がどのような構造で、枠体234のどこに固定されていても良い。なお、ここではアクチュエータとして油圧アクチュエータ231を用いた例を示したが、空気圧や電動アクチュエータ等、伸縮運動が可能であれば何を用いても構わない。
【0038】
以上のような構成により断接装置200は、図3(a)のように油圧アクチュエータ231が収縮した状態においては、スリーブ211に設けられた内歯車とトランスミッション側シャフト212に設けられた外歯車とが噛合い、トランスミッション150と駆動輪104の間で回転が伝達される接続状態となる。また、図3(b)のように油圧アクチュエータ231が伸長した状態においては、スリーブ211に設けられた内歯車とトランスミッション側シャフト212に設けられた外歯車との噛合いは解除され、トランスミッション150と駆動輪104の間で回転が伝達されない切断状態となる。なお、ここでは油圧アクチュエータ231が収縮した状態で歯車が噛合う例を示したが、油圧アクチュエータ231の取付け位置によって、伸長した状態で歯車が噛合う構造としても良い。
【0039】
また、油圧アクチュエータ231は、伸縮動作によりその内部で移動を行う作動部材(プランジャ)の近接状態を検出する近接スイッチ236をその筐体外側に備えており、油圧アクチュエータ231が収縮した状態にあるか伸長した状態にあるかによってスイッチがオン/オフされ、断接制御装置101が当該スイッチの状態を確認することができるよう接続されている。
したがって、断接制御装置101は、断接装置200が実際に切断状態にあるか接続状態にあるかを判断することができる。
【0040】
なお、トランスミッション側シャフト212の外歯車は、スリーブ211のスライド時に円滑に噛合するように、先端に向かって縮径された形状としても良い。同様に、スリーブ211の内歯車は、スリーブ211のスライド時にシャフト212の外歯車に円滑に噛合するように、先端に向かって径が拡大された形状としても良い。
【0041】
(走行モード変換)
ここで、デュアルモード車両100における道路走行と軌道走行の切り替え機能について説明する。
上記構成からなるデュアルモード車両100は、図2に示すように、走行モード変換用構造体10が設置されたモードインターチェンジ部を利用することで道路走行モードと軌道走行モードとの走行モード変換を行うことができる。走行モード変換用構造体10は、デュアルモード車両100の前方ゴムタイヤ103及び後方ゴムタイヤ104を当接させると共に軌道40の周辺においてレールRの上面とほぼ等しい高さにコンクリートやアスファルトが盛られた平坦状のタイヤ当接面21を有する複合構造体20と、複合構造体20上に配設される軌道案内体30と、を備えて構成されている。
【0042】
軌道案内体30は、複合構造体20の前後方向略中央位置に配置され、軌道走行モードで前進するデュアルモード車両100の前方案内輪105及び後方案内輪106の内側面に当接させて、軌道40の中心に対するデュアルモード車両100の位置合わせを行うものである。軌道案内体30は、一対のレールRにまたがって載置された平板部31と、この平板部31の上面に設けられ、一対のレールRの間において平面視で一対のレールRの中心位置から前進方向に向かうに従って各レールRの間隙幅まで拡幅する略くさび状を呈した案内板32と、平板部31の前端部に連接された傾斜部33と、を有している。この軌道案内体30は複合構造体20に固定されている。そして、モードチェンジスイッチ113を操作し、各案内輪105,106を下ろした状態で前進走行するデュアルモード車両100の各案内輪105,106の内側側面が案内板32の左右に拡幅する方向に延びた左右端面32aにそれぞれ当接し、各レールR上に案内される。
【0043】
以上のように、デュアルモード車両100は、モードインターチェンジ部の走行モード変換用構造体10のタイヤ当接面21上で、各案内輪105,106を下降させて走行モード変換用構造体10に向けて走行させると、軌道40に導くことができ、また、タイヤ当接面21上で再度モードチェンジスイッチ113を操作し、各案内輪105,106を上昇させることで軌道40から脱することができる。
【0044】
(車両の連結器及びジャンパー栓について)
デュアルモード車両100は、前方連結器131及び後方連結器132を備え、必要に応じて連結して走行することができる。
前方連結器131は、車体102に固定され車体102とは逆側に開放口を有する内部中空の枠体131aと、枠体131aが有する開放口を塞がない形状を有し他のデュアルモード車両100に設けられた連結器と当接する当接面131bと、枠体131aを上下に貫通し枠体131aに対して挿抜可能なピン131cとから構成される。
後方連結器132は、車体102に固定されたコイル状の緩衝器132dと、緩衝器132dによって車体102に弾性的に支持され車体102とは逆側に開放口を有する内部中空の枠体132aと、枠体132aが有する開放口を塞がない形状を有し他のデュアルモード車両100に設けられた連結器と当接する当接面132bと、枠体132aを上下に貫通し枠体132aに対して挿抜可能なピン132cとから構成される。
【0045】
前方連結器131及び後方連結器132は、図4に示すように、二台のデュアルモード車両間で押付力を伝える当接面131b及び当接面132bと、挿抜可能なピン131c及びピン132cによって支持され二台のデュアルモード車両間で牽引力を伝える金属製のリングWによって連結される。
【0046】
二台のデュアルモード車両を連結する際は、各車両の前方連結器131及び後方連結器132を突き合わせて停車させ、各ピン131c,132cを各枠体131a,132aに対して上方にスライドさせ待避させる。その状態からリングWを枠体131a,132aの中空内部に挿入し、各ピン131c,132cがリングWに挿通するように下方にスライドさせ各枠体131a,132aに固定する。以上の操作により、連結は完了する。また、後方連結器132同士を突き合わせ、同様の操作をすることで、デュアルモード車両100の後部同士を連結することが可能である。
【0047】
以上のように、デュアルモード車両100同士の連結作業を、運転士が一人でも容易に行うことができ、従来の鉄道車両より連結器が軽いため車両全体の軽量化を図ることができる。また、かかる連結器はリングとピンで各車両を連結しているため、各車両の上下動やロール及びピッチ動揺がもう一方の車両に伝わり難い構造となっている。
また前方連結器131では、緩衝器を省略し、枠体自身も小型にすることで、一層の軽量化を図っているが、軽量化の要求が少なければ、枠体131aも緩衝器により支持される構造としても良い。
【0048】
上述の前方連結器131及び後方連結器132を備えるので、デュアルモード車両100は、図5(a)のように各車両を同じ方向に向けて連結させる順方向連結と、図5(b)のように逆方向に向けて後部同士を連結する逆方向連結と、どちらの形態をとることも可能である。
【0049】
順方向連結の場合は、進行方向に対して前方のデュアルモード車両100の後方連結器132と、後方のデュアルモード車両100の前方連結器131を連結し、さらに、前方のデュアルモード車両100の後方ジャンパー栓122と、後方のデュアルモード車両100の前方ジャンパー栓121を”信号線”としてのジャンパーJによって接続する。
また、逆方向連結の場合は、進行方向に対して前方のデュアルモード車両100の後方連結器132と、後方のデュアルモード車両100の後方連結器132を連結し、さらに、前方のデュアルモード車両100の後方ジャンパー栓122と、後方のデュアルモード車両100の後方ジャンパー栓122をジャンパーJによって接続する。
【0050】
ジャンパー栓121,122は、主として、各車両がアクセルやブレーキの踏込み量、ブレーキ圧、トランスミッションのシフトレバー位置、パワーモードなどのスイッチの状態等の伝達(送受信)に使用するためのものであるが、このデュアルモード車両100では、各ジャンパー栓121,122が断接制御装置101とも接続されており、自車両の前側と後側のいずれに他車両が連結されたかを検出するための検出手段としても機能する。
【0051】
(制御盤について)
制御盤110は、自車両が単独であるか他車両が連結されているかを設定する単車編成設定スイッチ111、連結した場合に自車両が先頭車であるか後続車であるかを設定する”設定手段”としての先後設定スイッチ112、スイッチ操作をする度に前方案内輪105及び後方案内輪106の上昇と下降を制御し、「道路走行モード」と「軌道走行モード」の設定を切替えるモードチェンジスイッチ113を備えている。
【0052】
そして、運転席の制御盤110に設置された単車編成設定スイッチ111を「編成」に設定し、自車両が先頭車であれば先後設定スイッチ112を「先頭車」に、先頭車でなければ先後設定スイッチ112を「後続車」に設定する。
【0053】
なお、デュアルモード車両100には、車両連結時に後続車となる場合に、エンジン140の出力、トランスミッション150のシフトポジション等の設定、ブレーキ圧、乗降ドアの開閉動作等について、先頭車での操作に同期させる動作制御を行うための、図示されていない同期制御装置を備えている。従って、先後設定スイッチ112を「後続車」に設定された車両が駆動する際は、エンジン140の出力、トランスミッション150のシフトポジション等の設定、ブレーキ圧、乗降ドアの開閉等が、図示されていない同期制御装置の働きによって、先後設定スイッチ112を「先頭車」に設定された車両の運転操作に応じて一つの編成として先頭車と同期するように制御される。その際、前述のジャンパーJによって伝達された各デュアルモード車両100の情報が、同期制御に使用される。
【0054】
(断接装置の制御)
デュアルモード車両100において、断接装置200の接続と切断の切替えは、単車編成設定スイッチ111、先後設定スイッチ112、及びモードチェンジスイッチ113の設定、並びに前方ジャンパー栓121及び後方ジャンパー栓122へのジャンパーJの接続状況から判断され、断接制御装置101によって自動的に制御される。ただし、断接装置200の接続と切断の切替えは、安全上又は各装置の破損防止のため、デュアルモード車両100が停止している場合に限られ、断接制御装置101はトランスミッション150のシフトレバーがパーキング位置にあること及び駐車ブレーキが作動していることからデュアルモード車両100の停止を判断する。
【0055】
断接制御装置101が、断接装置200を接続状態から切断状態へと切替える切断動作を行う条件は、単車編成設定スイッチ111が「編成」、先後設定スイッチ112が「後続車」、前方ジャンパー栓121にジャンパーJの接続なし、後方ジャンパー栓122にジャンパーJの接続あり、という4つの条件がそろった1パターンのみである。これら4つの条件が満たされた場合に、後続車は「逆方向連結」であると判断して、断接装置200を接続状態から切断状態へと切替える切断動作を行う。
【0056】
また、断接装置200を切断状態から接続状態へと切替える接続動作を行うのは、(1)単車編成設定スイッチ111が「単車」、先後設定スイッチ112が「先頭車」、前方ジャンパー栓121にジャンパーJの接続なし、後方ジャンパー栓122にジャンパーJの接続なし、(2)単車編成設定スイッチ111が「編成」、先後設定スイッチ112が「先頭車」、前方ジャンパー栓121にジャンパーJの接続なし、後方ジャンパー栓122にジャンパーJの接続あり、(3)単車編成設定スイッチ111が「編成」、先後設定スイッチ112が「後続車」、前方ジャンパー栓121にジャンパーJの接続あり、後方ジャンパー栓122にジャンパーJの接続なし、の各条件がそろった3パターンである。
したがって、(1)の場合、つまりデュアルモード車両100が連結されていない場合は「逆方向連結」は生じ得ないので断接装置200を切断状態から接続状態へと切替える接続動作を行い、(2)の場合、つまり連結されていたとしても自車両が先頭車である場合には、運用上先頭車両を逆方向に向けて走行させることはないので断接装置200を切断状態から接続状態へと切替える接続動作を行い、(3)の条件が満たされた場合、つまり連結されている車両の内で後続車は、「順方向連結」であると判断して断接装置200を切断状態から接続状態へと切替える接続動作を行う。
【0057】
そして、断接制御装置101は、上記4パターンに合致し切断動作又は接続動作を行った後に、油圧アクチュエータ231に設けられた近接スイッチ236を確認することで切断動作又は接続動作が正常に完了したか否かを判断し、正常に完了していない場合には運転席に警告を表示するか警報を鳴動する。
【0058】
上記4パターン以外では切断及び接続の切替え動作は行わないのみならず、(1)単車編成設定スイッチ111が「単車」であるにも関わらず、ジャンパーJが接続されている、(2)単車編成設定スイッチ111が「編成」であるにも関わらず、ジャンパーJが接続されていない、(3)単車編成設定スイッチ111が「編成」、先後設定スイッチ112が「先頭車」であるにも関わらず、前方ジャンパー栓121にジャンパーJの接続がある、(4)単車編成設定スイッチ111が「編成」、先後設定スイッチ112が「後続車」で、前方ジャンパー栓121及び後方ジャンパー栓122の双方にジャンパーJの接続がある、等の不可能な条件となった場合には、運転席に警告を表示するか警報を鳴動する。
【0059】
また、単車編成設定スイッチ111が「単車」、先後設定スイッチ112が「後続車」という条件を設定した場合も、運転席に警告を表示するか警報を鳴動させても良いし、単車編成設定スイッチ111を「単車」に設定した場合は、先後設定スイッチ112を無視するようにしても良い。
【0060】
(デュアルモード車両の効果)
以上のように、本実施の形態に係るデュアルモード車両100は、トランスミッション150と駆動輪104との間の駆動力の伝達を切断する断接装置200を備えているため、連結時、駆動を行わない後続車について駆動力の伝達を切ることで当該後続車のトランスミッション150に動力が伝わることによる走行抵抗を軽減させることができ、また、逆方向に連結された車両のトランスミッション150にかかる逆回転による負担の軽減も可能である。
【0061】
また、本実施の形態に係るデュアルモード車両100において、断接装置200は、内歯車を備えるスリーブ211をスライドさせてトランスミッション側シャフト212の外歯車に噛合わせる構成であるため、シンプルな構成であり、一度噛合うと滑りが発生することもなく、断接装置200によるエネルギーの損失を抑えることができる。
【0062】
また、本実施の形態に係るデュアルモード車両100において、断接装置200は、ディテント部240を備えるため、油圧アクチュエータ231を動作させる油圧が低下した場合でも、断接装置200の切断又は接続状態を維持することができ、車両の走行中に誤って状態が変化し、断接装置200を破損させる事態を避けることができる。
【0063】
また、本実施の形態に係るデュアルモード車両100において、断接制御装置101は、単車編成設定スイッチ111、先後設定スイッチ112、及びモードチェンジスイッチ113の設定、並びに前方ジャンパー栓121及び後方ジャンパー栓122へのジャンパーJの接続状況を利用して制御を行うため、各状態に合わせた、より適切な制御を断接装置200に対して自動で行うことができる。
【0064】
(その他)
なお、本実施の形態において、道路走行・軌道走行可能なデュアルモード車両を本発明における車両として例示するが、デュアルモード車両ではなく道路のみ或いは軌道のみを走行する車両であっても良い。その場合においても、断接装置200及び断接制御装置101は同様の動作を行う。
【0065】
なお、本実施の形態に係るデュアルモード車両100おいては、トランスミッション150と差動装置160の間に断接装置200が接続されている例を示したが、断接装置200をさらに小型化して、差動装置160と左右の駆動輪104の間にそれぞれ設けても良い。それにより、走行抵抗をさらに軽減することができる。
【0066】
なお、本実施の形態に係るデュアルモード車両100おいては、油圧アクチュエータ231に設けられた近接スイッチ236を確認することで切断動作又は接続動作が正常に完了したか否かを判断しているが、近接スイッチの代わりにマイクロスイッチ等を用いても良いし、マイクロスイッチ又は近接センサ等を油圧アクチュエータ231に設ける代わりにスリーブ211やロッド232の可動部の状態を検知するように設けても良い。
【0067】
なお、本実施の形態に係るデュアルモード車両100は、単車編成設定スイッチ111を備えていなくても構わない。その場合は、前方ジャンパー栓121及び後方ジャンパー栓122へのジャンパーJの接続を検知することにより、単車であるか編成であるかを判断することができる。
【0068】
なお、本実施の形態に係るデュアルモード車両100おいて、断接制御装置101は、単車編成設定スイッチ111が「編成」、先後設定スイッチ112が「後続車」で、前方ジャンパー栓121及び後方ジャンパー栓122の双方にジャンパーJの接続がある場合、つまり、3両以上連結されたデュアルモード車両100の内で先頭及び最後尾以外の車両の場合、断接装置200を接続状態にすべきか切断状態にすべきかを判断することができないが、当該ジャンパーJを用いて前後の車両と通信を行い、どちら向きに走行するかという情報を入手することにより、断接装置200を接続状態にすべきか切断状態にすべきかを判断することができる。もちろん、進行方向を指定するスイッチを別途設けて、それにより判断しても良い。
また、2両の連結の場合にも、ジャンパーJを用いてどちら向きに走行するかという情報を得たり、進行方向を指定するスイッチを設けて判断しても良いことは言うまでもない。
【0069】
また、断接制御装置101は、単車編成設定スイッチ111が「編成」、先後設定スイッチ112が「後続車」の2つの条件がそろった時点で断接装置200を接続状態から切断状態へと切替える制御を実行するようにしても良い。つまり、自車両が後続車である場合に、先頭車の前進方向に対して自車両が前向きで連結されているか後ろ向きで連結されているかに関わらず断接装置200を接続状態から切断状態へと切替えても良い。前向きに連結された場合にはトランスミッションに負担が生じないが、後続車として牽引される車両のトランスミッションによる走行抵抗を軽減することができるからである。
【0070】
なお、本実施の形態に係るデュアルモード車両100おいて、モードチェンジスイッチ113の操作により「軌道走行モード」から「道路走行モード」へ切替えた際には、前述のスイッチ及びジャンパーJの接続状況に依らず、一律で接続動作を行う制御を断接制御装置101にさせても良い。ただし、この場合は、連結状態のまま軌道から退出することはできないので、モードチェンジスイッチ113の操作により「軌道走行モード」から「道路走行モード」へ切替える際に、連結器を解除し、ジャンパーJを外しておく必要がある。この時、単車編成設定スイッチ111が「単車」、先後設定スイッチ112が「先頭車」、以外であれば運転席に警告を表示するか警報を鳴動させ、ジャンパーJが接続されている時も運転席に警告を表示するか警報を鳴動させることが望ましい。
【0071】
なお、本実施の形態に係るデュアルモード車両100おいて、運転席に警告を表示するか警報を鳴動させる必要がある場合、警告の表示と警報の鳴動を同時に行っても当然良いし、アクセルを踏み込めないように機械的にロックするか、アクセルを踏み込んでも無効となる制御を別途行っても良い。これにより、操作ミスによる事故を防ぐことができる。
【0072】
なお、本実施の形態に係るデュアルモード車両100において、トランスミッション側シャフト212と駆動輪側シャフト213は、駆動輪側シャフト213の小径円筒状の形状がトランスミッション側シャフト212の開口部に挿入されることで、同心状態を維持する構造を例示したが、異なる径の内歯車と外歯車を噛合させたり、外歯車同士を噛合させたり、傘歯車を使用するなど、回転軸が同心ではない構造を採用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明における実施の形態に係るデュアルモード車両の主要な構成要素を表す説明図である。
【図2】本発明における実施の形態に係るデュアルモード車両及び走行モード変換用構造体の(a)平面図、(b)側面図である。
【図3】本発明における実施の形態に係る断接装置が(a)接続状態にある時の断面図、(b)切断状態にある時の断面図である。
【図4】本発明における実施の形態に係るデュアルモード車両の後方連結器と、同じく他のデュアルモード車両の前方連結器とを連結した時の連結部の(a)平面図、(b)側面図である。
【図5】本発明における実施の形態に係るデュアルモード車両の(a)順方向連結時の側面図、(b)逆方向連結時の側面図である。
【符号の説明】
【0074】
100 デュアルモード車両
101 断接制御装置
102 車体
103 前方ゴムタイヤ
104 後方ゴムタイヤ(駆動輪)
103a,104a タイヤ用車軸
105,106 案内輪
110 制御盤
111 単車編成設定スイッチ
112 先後設定スイッチ(設定手段)
113 モードチェンジスイッチ
121,122 ジャンパー栓(検出手段)
131,132 連結器(連結手段)
140 エンジン(駆動源)
150 トランスミッション
200 断接装置
210 回転部
211 スリーブ(第2の歯車、内歯車)
212 トランスミッション側シャフト(第1の歯車、外歯車)
213 駆動輪側シャフト
220 固定部
221 ケーシング
222,223 ベアリング
230 断接作動部
231 油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
232 ロッド(動作部位、凹部)
233 ロッドガイド
234 枠体
235 シフトフォーク
236 近接スイッチ
240 ディテント部(ディテント機構)
241 金属球(凸部)
242 バネ
243 台座
244 凹部
J ジャンパー(信号線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、トランスミッションと、駆動輪と、自車両と他車両とを連結する連結手段と、を備え、
前記トランスミッションと前記駆動輪との間の駆動力の切断又は接続が可能な断接装置を備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記断接装置は、
トランスミッション側シャフトに設けられ、当該シャフトと共に回転する第一の歯車と、
駆動輪側シャフトに設けられ、当該シャフトと共に回転する前記第一の歯車に噛合する第二の歯車と、
共に回転する前記シャフトの回転軸の軸方向にスライド移動可能に設けられた何れか一方の前記歯車を、スライド移動させることで歯車相互間の噛合又はその解除を行うアクチュエータと、
を備え、
前記各歯車は互いに噛合可能な内歯車と外歯車とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記アクチュエータの動作部位に、弾性的に押圧された凸部と当該凸部に嵌合する凹部とを用いて切断又は接続状態を維持するディテント機構をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の車両。
【請求項4】
車両を連結した際に自車両が先頭車であるか後続車であるかを設定する設定手段と、
前記設定手段により「後続車」と設定されると、前記断接装置を切断状態へと制御する断接制御装置と、
を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の車両。
【請求項5】
車両を連結した際に自車両が先頭車であるか後続車であるかを設定する設定手段と、
車体の前部及び後部にそれぞれ設けられ、他の車両が接続されていることを検出する検出手段と、
前記設定手段により「後続車」と設定された状態で前記検出手段により他車両が自車両の後部に接続されていることを検出することにより、前記断接装置を切断状態へと制御する断接制御装置と、
を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の車両。
【請求項6】
前記検出手段は、連結された他の車両との通信を行う信号線の接続により他車両を検出することを特徴とする請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記車両は、
車体の前方及び後方に各々配設されたタイヤ用車軸を介して設けられた道路走行用のタイヤと、
車体の前方及び後方に各々昇降自在に配設された案内輪用車軸を介して設けられた軌道走行用の案内輪と、
前記各々配設されたタイヤ用車軸の少なくとも何れか一方に設けられた駆動輪と、
を有し、
前方及び後方の前記案内輪並びに前記駆動輪によって軌道を走行する道路走行・軌道走行可能なデュアルモード車両であることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−309355(P2007−309355A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136637(P2006−136637)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(590003825)北海道旅客鉄道株式会社 (94)
【出願人】(504105265)株式会社 ワーカム北海道 (3)
【Fターム(参考)】