説明

車体後部のリヤフロア構造

【課題】スペアタイヤ設置用パネルの傾斜面の傾斜角度が小さくても、車両後方からの衝撃時にスペアタイヤの後部を十分に押し上げて車両前方へ回動させ、車両前方への変位を抑制するとともに、車体後部の破損減少と収納スペースを確保することが可能な車体後部のリヤフロア構造を提供することにある。
【解決手段】本発明は、リヤフロア1の上部に車両前方へ向かって下り傾斜の傾斜面9を有するスペアタイヤ設置用パネル7を設け、スペアタイヤ設置用パネル7にスペアタイヤ2を載せて傾斜配置する車体後部のリヤフロア構造において、スペアタイヤ設置用パネル7の前後中間には、上方へ向かう凸形状部8が車幅方向に沿って延在して設けられ、リヤフロア1とスペアタイヤ設置用パネル7との上下間には、剛性を有する部材のジャッキ3を配置する空間Sが形成されており、リヤフロア1のジャッキ3の軸中心より車両前方側には、車幅方向へ延びる突出部14が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体後部のリヤフロア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体後部には、横置きに配置したスペアタイヤを収納するための収納部が設けられている。例えば、特許文献1に開示されたスペアタイヤ収納構造では、図6に示すように、リヤフロア51の後部に傾斜面52が形成されており、スペアタイヤ53の後部53aは、当該傾斜面52の上に載置されて収納されている。なお、スペアタイヤ53の前部53bは、リヤフロア51に取付けた固定具54を上方から押え付けることによって固定されている。
【0003】
このようなスペアタイヤ収納構造においては、車両後方から衝撃荷重が掛かると、車両前方へ変位する傾斜面52に沿って、スペアタイヤ53の後部53aが押し上げられ、車両前方へ向かって反時計回りに回動するようになっている。これにより、スペアタイヤ53が車両前方へ向かって水平方向に押し出されることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−102783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の収納構造は、スペアタイヤ53の後部53aを載置する傾斜面52がリヤフロア51に形成されているので、車両後方からの衝撃時に、スペアタイヤ53を車両前方へ変位させないように調整するのが困難である。すなわち、スペアタイヤ53の後部53aの回動動作を確保するため、傾斜面52の傾斜角度を大きくすると、車体後部の荷室のフロア高さが高くなり、収納スペースとして使用可能なスペアタイヤ53とリヤフロア51との間の空間を利用できず、荷室が使用し難くなってしまうという問題があった。
一方、傾斜面52の傾斜角度が小さいと、車両後方からの衝撃時に、スペアタイヤ53の後部53aが押し上げられて反時計回りに回動することなく車両前方へ移動し、スペアタイヤ53の前方側にある部材に荷重を掛けてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、スペアタイヤ設置用パネルの傾斜面の傾斜角度が小さくても、車両後方からの衝撃時にスペアタイヤの後部を十分に押し上げて車両前方へ回動させ、車両前方への変位を抑制するとともに、車体後部の破損減少と収納スペースを確保することが可能な車体後部のリヤフロア構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、リヤフロアの上部に車両前方へ向かって下り傾斜の傾斜面を有するスペアタイヤ設置用パネルを設け、該スペアタイヤ設置用パネルにスペアタイヤを載せて傾斜配置する車体後部のリヤフロア構造において、前記スペアタイヤ設置用パネルの前後中間には、上方へ向かう凸形状部が車幅方向に沿って延在して設けられ、前記リヤフロアと前記スペアタイヤ設置用パネルとの上下間には、剛性を有する部材を配置する空間が形成されており、前記リヤフロアの前記剛性を有する部材の軸中心より車両前方側には、車幅方向へ延びる突出部が設けられている。
【0008】
また、本発明において、前記スペアタイヤ設置用パネルには、前記凸形状部を除いて、車両前後方向へ延びるビードが設けられている。
さらに、本発明において、前記剛性を有する部材がジャッキである。
【0009】
そして、本発明において、前記リヤフロアの後部には、車幅方向に沿って延在するバックパネルが設けられ、該バックパネルには、バンパーメンバの設置高さにスペアタイヤが位置するように、前記スペアタイヤ設置用パネルの後部が接合されている。
また、本発明において、前記スペアタイヤ設置用パネルとの接合部下方の前記バックパネルには、車幅方向へ延びるビード部が設けられ、該ビード部において前記リヤフロアと前記バックパネルとが接合されている。
【0010】
さらに、本発明において、前記リヤフロアの上部には、スペアタイヤ固定具を有するスペアタイヤブラケットが設けられ、該スペアタイヤブラケットの後部は、前記スペアタイヤ設置用パネルの前部と接合されており、前記リヤフロアの突出部は、前記スペアタイヤブラケット及び前記スペアタイヤ設置用パネルの接合部と前記バックパネル及び前記スペアタイヤ設置用パネルの接合部との間に配置されている。
また、本発明において、前記バックパネルは、車両後方へ向かって突出する湾曲形状に形成され、前記スペアタイヤ設置用パネルの車幅方向の大きさは、車両後方に向かうに従って広く形成されている。
【発明の効果】
【0011】
上述の如く、本発明に係る車体後部のリヤフロア構造は、リヤフロアの上部に車両前方へ向かって下り傾斜の傾斜面を有するスペアタイヤ設置用パネルを設け、該スペアタイヤ設置用パネルにスペアタイヤを載せて傾斜配置するものであって、前記スペアタイヤ設置用パネルの前後中間には、上方へ向かう凸形状部が車幅方向に沿って延在して設けられ、前記リヤフロアと前記スペアタイヤ設置用パネルとの上下間には、剛性を有する部材を配置する空間が形成されており、前記リヤフロアの前記剛性を有する部材の軸中心より車両前方側には、車幅方向へ延びる突出部が設けられているので、車両後方から衝撃荷重が車体後部に掛かった場合、リヤフロアが上方向に折れ上がって剛性部材を押し上げ、押し上げられた剛性部材によってスペアタイヤ設置用パネルが凸形状部で上方向に折れ上がることが促進されることになり、スペアタイヤに対するより大きな押し上げ効果を得ることができる。
したがって、本発明のリヤフロア構造によれば、車体後部に対して車両後方から衝撃荷重が加わった際に、スペアタイヤ設置用パネルを介してスペアタイヤの後部を十分に押し上げて車両前方へ回動させることが可能となり、スペアタイヤの車両前方への変位を確実に抑えることができる。しかも、車体後部の破損を減少させ、使用可能な収納スペースを十分に確保でき、利便性に優れている。
【0012】
また、本発明において、前記スペアタイヤ設置用パネルには、前記凸形状部を除いて、車両前後方向へ延びるビードが設けられているので、通常走行時のスペアタイヤの振動による変形を抑制できるとともに、上方向への折れ上がりが妨げられることなく、スペアタイヤを直接押し上げるのに必要な剛性を十分に確保することができる。
さらに、本発明において、前記剛性を有する部材がジャッキであるので、当該ジャッキをスペアタイヤ設置用パネルとリヤフロアとに密着させて収納配置することが可能となり、リヤフロアの上向きの折れ変形をスペアタイヤ設置用パネルに確実に伝えることができ、スペアタイヤの後部を跳ね上げる効果をより高めることができる。
【0013】
また、本発明において、前記リヤフロアの後部には、車幅方向に沿って延在するバックパネルが設けられ、該バックパネルには、バンパーメンバの設置高さにスペアタイヤが位置するように、前記スペアタイヤ設置用パネルの後部が接合されているので、車両後方からバンパーメンバに加わった衝撃荷重を、バックパネルを介してリヤフロア及びスペアタイヤ設置用パネルに伝えることができる。
しかも、本発明において、前記スペアタイヤ設置用パネルとの接合部下方の前記バックパネルには、車幅方向へ延びるビード部が設けられ、該ビード部において前記リヤフロアと前記バックパネルとが接合されているので、車両後方からの衝撃時に、ビード部によって剛性を持ったバックパネルがリヤフロアを間接的に車両前方へ押圧して上方への折れ曲がりを促進できる。
【0014】
さらに、本発明において、前記リヤフロアの上部には、スペアタイヤ固定具を有するスペアタイヤブラケットが設けられ、該スペアタイヤブラケットの後部は、前記スペアタイヤ設置用パネルの前部と接合されており、前記リヤフロアの突出部は、前記スペアタイヤブラケット及び前記スペアタイヤ設置用パネルの接合部と前記バックパネル及び前記スペアタイヤ設置用パネルの接合部との間に配置されているので、車両後方からの衝撃時に、リヤフロア、スペアタイヤブラケット及びスペアタイヤ設置用パネルを介してスペアタイヤブラケットの後部が確実に押し上げられることになる。
しかも、バックパネルとスペアタイヤ設置用パネルとの接合や、スペアタイヤブラケットとスペアタイヤ設置用パネルとの接合が、ボルト締結である場合には、製造時において、リヤフロアとバックパネルとの溶接作業及び止水シーラーの塗布作業を容易に行うことができる。
【0015】
また、本発明において、前記バックパネルは、車両後方へ向かって突出する湾曲形状に形成され、前記スペアタイヤ設置用パネルの車幅方向の大きさは、車両後方に向かうに従って広く形成されているので、車両後方からのオフセット荷重や斜め方向からの入力に対しても、スペアタイヤの後部を跳ね上げる効果を得ることができる。しかも、本発明によれば、サイズの大きなタイヤを搭載する仕様については、共通のリヤフロアを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る車体後部のリヤフロア構造を示す斜視図である。
【図2】図1におけるリヤフロア構造の要部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態のリヤフロア構造が適用された車体後部において、車両後方から衝撃荷重が入力された状態のリヤフロア、スペアタイヤ設置用パネル及び周辺部品を示す断面図である。
【図4】図3において、車両後方からの衝撃によってスペアタイヤの後部が車両前方へ押し上げられる状況を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る車体後部のリヤフロア構造を示す斜視図である。
【図6】従来の収納構造によってスペアタイヤを収納した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は本発明の実施形態に係る車体後部のリヤフロア構造を示すものである。
【0018】
本発明の実施形態に係る自動車の車体後部のリヤフロア1には、図1〜図4に示すように、下方に窪んだ凹形状のタイヤ収納部1aが形成されており、このタイヤ収納部1aには、横置きに配置したスペアタイヤ2や、剛性を有する部材であるジャッキ3などが収納されるようになっている。そして、リヤフロア1の後端部には、車幅方向に沿って延在するバックパネル4が立設されている。
また、タイヤ収納部1aの底面上部には、スペアタイヤ2の孔に通して締め付けるスペアタイヤ固定具5を有するスペアタイヤブラケット6と、スペアタイヤ2の後部を載せるスペアタイヤ設置用パネル7とが車両前後方向に沿って配設されている。
【0019】
スペアタイヤブラケット6は、1枚の板状体を用いて形成され、車両後方側を除いて車両前方側及び車幅方向左右両側が下方に折り曲げられ、さらに下端が外方へ向けて直角に折り曲げられたフランジ部6a,6bを有しており、左右両側のフランジ部6bは、車両後方へ向かって徐々に大きく折り曲げられている。
このため、スペアタイヤブラケット6は、フランジ部6a,6bをタイヤ収納部1aの底面の所定位置に置いてそれぞれ溶接することにより、車両後方へ向かってタイヤ収納部1aの底面から離れて徐々に立ち上がる傾斜状態で、タイヤ収納部1aに固定配置されている。
【0020】
一方、スペアタイヤ設置用パネル7は、図1及び図2に示すように、バックパネル4とスペアタイヤブラケット6との間をほぼ掛け渡すことが可能な長さを有する1枚のパネルを用いて形成されており、前後方向の中間部分には、これを上方に屈曲させることによって、上方へ向かう凸形状部8が車幅方向に沿って延在して設けられている。これにより、スペアタイヤ設置用パネル7は、車両後方からの衝撃荷重を受けると、凸形状部8で上方向に折れ上がるように構成されている。しかも、スペアタイヤ設置用パネル7は、車両前方へ向かって下り傾斜の傾斜面9を有しており、この傾斜面9の存在によって、スペアタイヤ設置用パネル7上にスペアタイヤ2の後部を載せる、スペアタイヤ2が前倒された状態で傾斜配置されることになる。なお、傾斜面9は、凸形状部8の設置箇所よりも車両前方側に形成されている。
【0021】
また、スペアタイヤ設置用パネル7には、凸形状部8の設置箇所を除いて車両前後方向へ延びる複数のビード10が設けられており、これらビード10による補強効果によって、凸形状部8での上方向への折れ上がりが妨げられることなく、通常走行時のスペアタイヤ2の振動による変形を抑え、かつスペアタイヤ2を直接押し上げるのに必要な剛性を確保している。このため、ビード10は、傾斜面9を含む凸形状部8の前後の箇所において、車幅方向に間隔を置いて設けられている。
【0022】
さらに、スペアタイヤ設置用パネル7の前部7aは、スペアタイヤブラケット6の後部に載せられ、複数本のボルト11で締め付けることにより、互いに接合されている。また、スペアタイヤ設置用パネル7の後部7bは、支持ブラケット12を介してバックパネル4の車両前方側に取付けられている。この支持ブラケット12は、前面部が車両前方に突出する断面略くの字形状に屈曲形成され、後面部がバックパネル4の前面の所定位置に固着されて車幅方向に延在して配置されている。したがって、スペアタイヤ設置用パネル7の後部7bは、支持ブラケット12の上側前面部に載せられ、複数本のボルト11で締め付けることにより、支持ブラケット12に接合されている。しかも、スペアタイヤ設置用パネル7の後部7bは、バックパネル4の車両後方側に設けられたバンパーメンバ13の設置高さにスペアタイヤ2が位置するように、支持ブラケット12に接合されている。
【0023】
また、リヤフロア1のタイヤ収納部1aの底面とスペアタイヤ設置用パネル7との上下間には、ジャッキ3を配置する空間Sが形成されており、この空間S内では、収納したジャッキ3をタイヤ収納部1aの底面とスペアタイヤ設置用パネル7とにそれぞれ密着させることによって、ジャッキ3が走行中に上下動したり、前後左右に移動したりしないように設置されている。
一方、リヤフロア1のタイヤ収納部1aであって、ジャッキ3の軸中心より車両前方側の箇所には、捩り剛性を高める突出部14が車幅方向へ延在して設けられている。しかも、この突出部14は、スペアタイヤブラケット6の後部及びスペアタイヤ設置用パネル7の前部7aの接合部と、バックパネル4の支持ブラケット12及びスペアタイヤ設置用パネル7の後部7bの接合部との間に配置されている。このような箇所に設けた突出部14の辺部分は、車両後方からの衝撃時に、リヤフロア1のタイヤ収納部1aが座屈して上方向に折れ上がるのを誘発するものであり、リヤフロア1、ジャッキ3、スペアタイヤブラケット6及びスペアタイヤ設置用パネル7を介してスペアタイヤ2の後部2aが跳ね上がる作用を補うことになる。
【0024】
さらに、スペアタイヤ設置用パネル7と支持ブラケット12との接合部下方のバックパネル4には、車幅方向に延びるビード部15が設けられており、このビード部15において、リヤフロア1とバックパネル4とが接合されている。このビード部15によって剛性が上がったバックパネル4は、車両後方からの衝撃時に、リヤフロア1を車両前方へ押圧してリヤフロア1の山折れを促進する機能を持つことになる。
【0025】
本発明の実施形態に係る車体後部のリヤフロア構造が適用された自動車において、図3に示すように、車両後方から車両前方へ向かって衝撃荷重Fが車体後部に入力された場合、当該衝撃荷重Fはバンパーメンバ13を介してバックパネル4に伝わる。次いで、矢印F1で示すように、バックパネル4及び支持ブラケット12を車両前方へ押圧するとともに、矢印F2で示すように、スペアタイヤ設置用パネル7の凸形状部8を車両前方の斜め上方へ押圧する。また、矢印F3で示すように、バックパネル4のビード部15を介してリヤフロア2を車両前方へ押圧するとともに、矢印F4で示すように、ジャッキ3を上方へ向かって押圧する。
これに伴い、図4に示すように、スペアタイヤ設置用パネル7が凸形状部8で上方向に折れ上がり、さらに、リヤフロア1が突出部14の辺部分で上方に折れ曲がって、ジャッキ3を通してスペアタイヤ設置用パネル7が押し上げられ、凸形状部8の折れ上がりが促進される。したがって、スペアタイヤ設置用パネル7上に傾斜配置されたスペアタイヤ2の後部2aは、矢印Rで示すように跳ね上げられて、車両前方へ向かって回動することになる(図3及び図4の鎖線参照)。
【0026】
このように、本発明の実施形態に係る車体後部のリヤフロア構造においては、スペアタイヤ2の後部2aを傾斜配置するための傾斜面9を有し、前後中間に車幅方向へ延在する凸形状部8を形成したスペアタイヤ設置用パネル7がリヤフロア1のタイヤ収納部1aの底面上に設けられ、スペアタイヤ設置用パネル7とタイヤ収納部1aの底面との間の空間Sにジャッキ3が配置され、ジャッキ3の軸中心より車両前方側に車幅方向へ延びる突出部14が設けられているので、簡単な構造で収納スペースを損なうことなく、車両後方から車両前方へ向かって衝撃荷重Fが車体後部に入力されたとき、スペアタイヤ設置用パネル7が凸形状部8で上方向に折れ上がり、さらに、リヤフロア1が突出部14の辺部分で上方に折れ曲がって、ジャッキ3を通してスペアタイヤ設置用パネル7が押し上げられ、凸形状部8がより一層折れ上がることになり、スペアタイヤ2の後部2aが矢印Rで示すように跳ね上げられて、車両前方へ向かって回動する動作を確保し、スペアタイヤ2が車両前方に向かって水平に変位するのを抑えることができる。
また、本実施形態のリヤフロア構造では、スペアタイヤブラケット6及びバックパネル4側の支持ブラケット12とスペアタイヤ設置用パネル7の前後部7a,7bとの接合が複数のボルト11によって行われているので、製造時において、リヤフロア1とバックパネル4との溶接作業や止水シーラーの塗布作業が終了してからスペアタイヤ設置用パネル7を取付けることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0027】
図5は、本発明の他の実施形態に係る車体後部のリヤフロア構造を示すものである。
この実施形態においては、上記実施形態と異なり、バックパネル4の車幅方向中間部4aが車両後方へ向かって突出する湾曲形状に形成され、スペアタイヤ設置用パネル27の後部27bが二股に分離して形成されているとともに、車幅方向の間隔が車両後方に向かうに従って広く形成されている。
その他の構成は、上記実施形態と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示している。
【0028】
本発明の実施形態に係る車体後部のリヤフロア構造では、バックパネル4の車幅方向中間部4aが車両後方へ向かう湾曲形状に形成されているので、サイズの大きなタイヤ22を搭載する仕様でも、リヤフロア1のタイヤ収納部1aに収納することができる。しかも、スペアタイヤ設置用パネル27の後部27bが二股に分離して形成され、車幅方向の間隔が車両後方に向かうに従って広く形成されているので、車両後方から車両前方へ向かってオフセットや斜め方向の衝撃荷重Fが車体後部に入力された場合でも対応することが可能となり、スペアタイヤ設置用パネル27に傾斜配置したスペアタイヤ2の後部2aを車両前方へ向かって跳ね上げることができる。
その他の作用効果は、上記実施形態と同様である。
【0029】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
例えば、本発明の他の実施形態では、スペアタイヤ設置用パネル27の後部27bを二股に分離させて形成しているが、車幅方向の大きさが車両後方に向かうに従って広くなる一体形状の扇形に形成し、あるいは二股以上に分離させて形成しても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 リヤフロア
1a タイヤ収納部
2 スペアタイヤ
2a スペアタイヤの後部
3 ジャッキ
4 バックパネル
5 スペアタイヤ固定具
6 スペアタイヤブラケット
7 スペアタイヤ設置用パネル
7a 前部
7b 後部
8 凸形状部
9 傾斜面
10 ビード
11 ボルト
12 支持ブラケット
13 バンパーメンバ
14 突出部
15 ビード部
27 スペアタイヤ設置用パネル
27b 後部
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤフロアの上部に車両前方へ向かって下り傾斜の傾斜面を有するスペアタイヤ設置用パネルを設け、該スペアタイヤ設置用パネルにスペアタイヤを載せて傾斜配置する車体後部のリヤフロア構造において、
前記スペアタイヤ設置用パネルの前後中間には、上方へ向かう凸形状部が車幅方向に沿って延在して設けられ、前記リヤフロアと前記スペアタイヤ設置用パネルとの上下間には、剛性を有する部材を配置する空間が形成されており、前記リヤフロアの前記剛性を有する部材の軸中心より車両前方側には、車幅方向へ延びる突出部が設けられていることを特徴とする車体後部のリヤフロア構造。
【請求項2】
前記スペアタイヤ設置用パネルには、前記凸形状部を除いて、車両前後方向へ延びるビードが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車体後部のリヤフロア構造。
【請求項3】
前記剛性を有する部材がジャッキであることを特徴とする請求項1または2に記載の車体後部のリヤフロア構造。
【請求項4】
前記リヤフロアの後部には、車幅方向に沿って延在するバックパネルが設けられ、該バックパネルには、バンパーメンバの設置高さにスペアタイヤが位置するように、前記スペアタイヤ設置用パネルの後部が接合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車体後部のリヤフロア構造。
【請求項5】
前記スペアタイヤ設置用パネルとの接合部下方の前記バックパネルには、車幅方向へ延びるビード部が設けられ、該ビード部において前記リヤフロアと前記バックパネルとが接合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車体後部のリヤフロア構造。
【請求項6】
前記リヤフロアの上部には、スペアタイヤ固定具を有するスペアタイヤブラケットが設けられ、該スペアタイヤブラケットの後部は、前記スペアタイヤ設置用パネルの前部と接合されており、前記リヤフロアの突出部は、前記スペアタイヤブラケット及び前記スペアタイヤ設置用パネルの接合部と前記バックパネル及び前記スペアタイヤ設置用パネルの接合部との間に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車体後部のリヤフロア構造。
【請求項7】
前記バックパネルは、車両後方へ向かって突出する湾曲形状に形成され、前記スペアタイヤ設置用パネルの車幅方向の大きさは、車両後方に向かうに従って広く形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車体後部のリヤフロア構造。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate