説明

車体後部構造

【課題】 左右のルーフサイドレールから後下方に延びる左右のサイドスチフナの後端と車体後部に左右方向に配置されたエンドスチフナの左右端とを強固に結合して車体後部の剛性を高める。
【解決手段】 左右のルーフサイドレールから後下方に延びる左右のサイドスチフナ13の後端に設けた第1結合部J1が、上壁21、側壁22および下壁23を有する溝型断面に構成されて左右方向内向きに開口しており、そのサイドスチフナ13の開口に左右方向に配置されたエンドスチフナ16の左右端の第2結合部J2を挿入し、その第4フランジ32、第7フランジ35および第6フランジ34を前記上壁21、側壁22および下壁23にそれぞれ溶接W3,W5,W4するので、サイドスチフナ13およびエンドスチフナ16の結合強度が増加して車体後部の剛性が高められるだけでなく、左右のサイドスチフナ13に挟まれた車体のトランクルームの容積を最大限に確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右のルーフサイドレールから後下方に延びる左右のサイドスチフナの後端に設けた第1結合部と、車体後部に左右方向に配置されたエンドスチフナの左右端に設けた第2結合部とを結合する車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車体後部の荷室の捩れ剛性を高めるべく、水平に配置した長方形状の連結ガセット3の一つの長辺を車体の側壁(サイドパネル2)の内面に結合し、前記連結ガセット3の一つの短辺を車体の後壁(エンドパネル3)の内面に結合して補強するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−199855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来のものは、エンドパネル3がサイドパネル2に接続する部分を補強するエンドパネル補強部材7が、前記連結ガセット3に直接連結されていないため、エンドパネル補強部材7および連結ガセット3が相互に分断された形になり、車体後部の剛性向上に効果的に寄与しないという問題があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、左右のルーフサイドレールから後下方に延びる左右のサイドスチフナの後端と車体後部に左右方向に配置されたエンドスチフナの左右端とを強固に結合して車体後部の剛性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、左右のルーフサイドレールから後下方に延びる左右のサイドスチフナの後端に設けた第1結合部と、車体後部に左右方向に配置されたエンドスチフナの左右端に設けた第2結合部とを結合する車体後部構造であって、前記サイドスチフナの前記第1結合部は上壁、側壁および下壁を有する溝型断面に構成されて左右方向内向きに開口しており、前記第2結合部は前記第1結合部の開口に挿入されて前記上壁、側壁および下壁に結合されること特徴とする車体後部構造が提案される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、後向きに開口する溝型断面を有する前記エンドスチフナの後面にリヤエンドパネルを結合することで閉断面を構成すること特徴とする車体後部構造が提案される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の構成によれば、左右のルーフサイドレールから後下方に延びる左右のサイドスチフナの後端に設けた第1結合部が、上壁、側壁および下壁を有する溝型断面に構成されて左右方向内向きに開口しており、そのサイドスチフナの開口に左右方向に配置されたエンドスチフナの左右端の第2結合部を挿入して前記上壁、側壁および下壁に結合するので、サイドスチフナおよびエンドスチフナの結合強度が増加して車体後部の剛性が高められるだけでなく、左右のサイドスチフナに挟まれた車体の内部空間の容積を最大限に確保することができる。
【0009】
また請求項2の構成によれば、エンドスチフナおよびリヤエンドパネルは協働して閉断面を構成することで剛性が高められ、そこに入力される後面衝突の荷重を左右のサイドスチフナから左右のルーフサイドレールに伝達して効果的に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】自動車の車体後部の側面図。
【図2】図1の2方向矢視図。
【図3】図1の3−3線拡大断面図。
【図4】図3の4−4線断面図。
【図5】図3の5方向分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図5に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1および図2に示すように、自動車のルーフ11の左右両側部に沿って前後方向に配置された強度メンバである左右一対のルーフサイドレール12,12の後端に、後下方に向かって斜めに延びる左右一対のサイドスチフナ13,13の前端が結合される。サイドスチフナ13,13の後端は、トランクリッド14により開閉されるトランクルーム15の後部に沿って左右方向に配置されたエンドスチフナ16の左右両端部に結合され、リヤエンドスチフナ16の後面にリヤエンドパネル17が結合される。
【0013】
図5から明らかなように、サイドスチフナ13がエンドスチフナ16に結合される第1結合部J1は、上壁21、側壁22および下壁23を有して左右方向内向きに開口する溝型断面を構成しており、上壁21の左右方向内端から第1フランジ24が上向きに延び、下壁23の左右方向内端から第2フランジ25が下向きに延びている。側壁22の後部には、上壁21、下壁23、第1フランジ24および第2フランジ25の後端から後向きかつ左右方向内向きに突出する突出部22aが形成される。
【0014】
エンドスチフナ16は、基本的に上壁26、側壁27および下壁28を有して後向きに開口する溝型断面を構成しており、上壁26の後端から第1フランジ29が上向きに延び、下壁28の後端から第2フランジ30が下向きに延びている。エンドスチフナ16がサイドスチフナ13に結合される第2結合部J2において、側壁27の左右端に、上壁26および下壁28の左右端を超えて左右方向外側に突出する突出部27aが形成される。
【0015】
上壁26の左右端には、第1フランジ29の左右端から側壁27を前方に通り越す位置まで第3フランジ31が連続しており、第3フランジ31の前部は、側壁27の突出部27aの上縁から前方に突出する第4フランジ32に接続される。同様に、下壁28の左右端には、第2フランジ30の左右端から側壁27を前方に通り超す位置まで第5フランジ33が連続しており、第5フランジ31の前部は、側壁27の突出部27aの下縁から前方に突出する第6フランジ34に接続される。そして突出部27aの左右端から前方に突出する第7フランジ35の上下端が、前記第4フランジ32および前記第6フランジ34の左右端に接続される。従って、第2結合部J2において、第4フランジ32、第6フランジ34および第7フランジ35は、左右方向内向きに開口する溝型断面を構成する。
【0016】
図3および図5から明らかなように、サイドスチフナ13の後端の第1結合部J1と、エンドスチフナ16の左右端の第2結合部J2とは、以下のように結合される。即ち、エンドスチフナ16の第2結合部J2の側壁27の突出部27a、第4フランジ32、第6フランジ34および第7フランジ35は、左右方向内向きに開口するサイドスチフナ13の第1結合部J1の上壁21および下壁23間に挿入される。
【0017】
その結果、エンドスチフナ16の第3フランジ31はサイドスチフナ13の第1フランジ24に当接して溶接W1により結合され、エンドスチフナ16の第5フランジ33はサイドスチフナ13の第2フランジ25に当接して溶接W2により結合される。またエンドスチフナ16の第4フランジ32はサイドスチフナ13の上壁21に当接して溶接W3により結合され、エンドスチフナ16の第6フランジ34はサイドスチフナ13の下壁23に当接して溶接W4により結合され、エンドスチフナ16の第7フランジ35はサイドスチフナ13の側壁22に当接して溶接W5により結合される。
【0018】
このように、エンドスチフナ16の第2結合部J2は、サイドスチフナ13の第1結合部J1の開口に挿入され、上壁21、側壁22および下壁23に溶接W3,W5,W4で結合されるので、第1、第2結合部J1,J2の剛性が効果的に高められ、車体後部の剛性向上に寄与することができる。しかもサイドスチフナ13,13は左右方向内向きに開口する溝型断面を有しているので、左右のサイドスチフナ13,13に挟まれた空間、つまりトランクルーム15の空間の容積を最大限に確保することができる。
【0019】
また図4に示すように、後方に開口する溝型断面を有するエンドスチフナ16の第1、第2フランジ29,30後面にリヤエンドパネル17を結合して閉断面を構成したので、エンドスチフナ16およびリヤエンドパネル17が相互に補強し合って剛性が高められる。その結果、後面衝突の荷重がエンドスチフナ16およびリヤエンドパネル17に入力されたとき、その荷重を左右のサイドスチフナ13,13を介して左右のルーフサイドレール12,12に伝達することで、効果的に吸収することができる。
【0020】
またサイドスチフナ13の側壁22の後端の突出部22aは左右方向内向きに屈曲し、リヤエンドパネル17の後面に結合されるので、サイドスチフナ13、エンドスチフナ16およびリヤエンドパネル17が更に強固に一体化されて剛性が向上する。
【0021】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0022】
例えば、エンドスチフナ16の第2結合部J2の形状は実施の形態に限定されず、サイドスチフナ13の第1結合部J1の上壁21、側壁22および下壁23に結合可能な形状であれば良い。
【符号の説明】
【0023】
12 ルーフサイドレール
13 サイドスチフナ
16 エンドスチフナ
17 リヤエンドパネル
21 上壁
22 側壁
23 下壁
J1 第1結合部
J2 第2結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のルーフサイドレール(12)から後下方に延びる左右のサイドスチフナ(13)の後端に設けた第1結合部(J1)と、車体後部に左右方向に配置されたエンドスチフナ(16)の左右端に設けた第2結合部(J2)とを結合する車体後部構造であって、
前記サイドスチフナ(13)の前記第1結合部(J1)は上壁(21)、側壁(22)および下壁(23)を有する溝型断面に構成されて左右方向内向きに開口しており、前記第2結合部(J2)は前記第1結合部(J1)の開口に挿入されて前記上壁(21)、側壁(22)および下壁(23)に結合されること特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
後向きに開口する溝型断面を有する前記エンドスチフナ(16)の後面にリヤエンドパネル(17)を結合することで閉断面を構成すること特徴とする、請求項1に記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−241293(P2010−241293A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93092(P2009−93092)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】