説明

車室内カメラ装置

【課題】車室内において自由にカメラの位置を変更できる車室内カメラ装置を提供する。
【解決手段】車両2の室内に基端側12bを固定されたフレキシブルアーム12の先端側12aに設置され、撮像部11が内蔵されたカメラ10と、撮像部11による撮影画像を表示部4に表示させる制御部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて車室内を撮影する車室内カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内を撮影するカメラとして、例えば特許文献1に示すように、モニタカメラを車両の天井部に固定し、運転手が着座した状態から助手席や後部座席の同乗者を表示装置によって確認可能にしたものが存在する。このカメラは車両の防犯用にも用いることが可能であって、撮影画像に基づいて不審者の車内への侵入の検知や、撮影画像を車外から携帯端末等を用いて確認することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−104132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるモニタカメラは、助手席、後部座席の確認用や、防犯用において車室内を広角に確認するため、所定の位置(例えば、車両の天井の前後方向の中間)に固定されている。しかし、ユーザが車室内のカメラを用いて確認したい範囲は、車室全体のみならず、例えば、後部座席に着座する子供だけを確認したい場合や、自己の後姿を確認したい場合等がある。車室全体を広角のカメラで撮影した場合には、映像に歪みが発生してユーザにとって違和感のある映像となりやすい。また、車室全体が撮影されてしまうと、注視したい箇所とそうでない箇所との区別も付け難くなる。
【0005】
そこで、本発明では、ユーザが車室内において自由にカメラの位置を変更できる車室内カメラ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車室内カメラ装置の第1特徴構成は、車両の室内に基端側を固定されたフレキシブルアームの先端側に設置され、撮像部が内蔵されたカメラと、前記撮像部による撮影画像を表示部に表示させる制御部と、を備えた点にある。
【0007】
この構成によると、カメラ又はフレキシブルアームを操作するだけでカメラの向きを車室内で自由に変更でき、カメラの撮像部で撮影された撮影画像が、制御部によって表示部に表示される。その結果、カメラの位置を変えることで表示部による車室内の視認領域が広がる。また、例えばカメラの撮影画像を運転席から視認可能な位置に配置された表示部に表示させることで、ユーザが運転中であっても所望の画像を容易に視認することができる。位置変更後のカメラはフレキシブルアームによって、その位置に保持される。したがって、ユーザがカメラを保持する必要がなく、ユーザの運転操作等に支障がない。
【0008】
本発明に係る車室内カメラ装置の第2特徴構成は、前記カメラが、前記撮像部の姿勢を検出する撮像姿勢検出部を有し、前記制御部が、前記撮像姿勢検出部の検出データに基づいて前記撮影画像を回転補正する処理演算部を有する点にある。
【0009】
この構成によると、カメラの撮像部が傾いた姿勢で撮影したとしても、処理演算部によって撮像姿勢検出部の検出データに基づく撮影画像の回転補正が行われ、表示部に常に水平な画像を表示することができる。その結果、表示部の画像を視認するユーザの違和感も少なくなる。
【0010】
本発明に係る車室内カメラ装置の第3特徴構成は、前記撮影画像を無線で前記表示部に送信可能に構成してある点にある。
【0011】
本構成の如く、撮影画像を無線で表示部に送信することで、カメラと表示部との間の配線が不要となり、車室内カメラ装置の車両への取付け作業が容易になる。
【0012】
本発明に係る車室内カメラ装置の第5特徴構成は、前記表示部が携帯端末で構成された点にある。
【0013】
本構成の如く、表示部が携帯端末で構成されていると、表示部を備えた携帯端末を自由に持ち運ぶことができる。これにより、車室内の撮影画像の確認が車外の遠隔地においても確認でき、車室内の防犯確認や、車室内の荷物等の確認を車外から容易に行うことできる。
【0014】
本発明に係る車室内カメラ装置の第5特徴構成は、前記表示部が前記車両に搭載されたモニタで構成された点にある。
【0015】
本構成の如く、表示部が車両に搭載されたモニタで構成されていると、車室内のカメラによる撮像画像を車内のモニタから容易に視認することができる。
【0016】
本発明に係る車室内カメラ装置の第6特徴構成は、前記フレキシブルアームの基端側が運転席側の中央ピラーに固定してある点にある。
【0017】
本構成の如く、フレキシブルアームの基端側が運転席側の中央ピラーに固定してあると、ユーザが運転席からカメラ及びフレキシブルアームを操作でき、カメラの姿勢や向きを容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】車室内カメラ装置の概要を示す図である。
【図2】第2実施形態のシステム構成図である。
【図3】カメラの姿勢変更による実画像と補正後画像との関係を示す図である。
【図4】第3実施形態のシステム構成図である。
【図5】別実施形態のカメラモジュールを示す図である。
【図6】別実施形態のカメラモジュールであって、(a)はカメラの不使用(収納)状態、(b)はカメラの使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1及び図2に示すように、本発明の車室内カメラ装置は、車両2の室内を撮影するカメラ10と、制御部としてのコントローラ3と、を備える。カメラ10は、車室内を撮影する撮像部11を内蔵し、フレキシブルアーム12の先端側12aに設置されている。フレキシブルアーム12の基端側12bは、車両2の運転席25側における中央ピラー27の上部に固定されている。
【0021】
カメラ10の撮像部11で撮影された撮影画像は、コントローラ3を介して表示部4に表示される。すなわち、制御部3は、撮像部11で撮影された撮影画像を表示部4に表示するための処理を行う。表示部4は、運転席25や助手席等から視認可能な位置に配置されるものであり、例えば、車両2に搭載されたモニタ(コンソールボックス内に設置されるナビゲーションシステムの表示画面等)である他、携帯端末の表示画面等であってもよい。ここで、携帯端末とは携帯電話を含む。
【0022】
先端側12aにカメラ10を支持するフレキシブルアーム12は、例えば金属や樹脂製の螺旋巻パイプ材や可撓性を有する樹脂材料等で構成されている。カメラ10は、他物に干渉した際に衝撃を吸収するために弾性を有する樹脂材料等で外装されており、全体に丸みを帯びた形状としてある。ユーザがカメラ10またはフレキシブルアーム12を手動で操作することにより、カメラ10の位置を変更することができる。フレキシブルアーム12はユーザの操作力が作用しなくなると、その位置でカメラ10を保持するよう構成されている。
【0023】
このような車室内カメラ装置であれば、ユーザが運転席25から自らの手でカメラ10またはフレキシブルアーム12を操作することで、カメラ10の向きを自由に変更することが可能となる。その結果、例えば、ユーザが運転中に、後部座席26に着座させた子供の様子を確認したい場合に、カメラ10の撮像部11の向きを後部座席26の方向にするだけで、表示部4で後部座席26の子供の様子を容易に確認することができる。
【0024】
カメラ10の撮像部11の向きを後部座席26の方向にし、表示部4に表示される後部座席26の乗員の様子を視認することで、後部座席26の乗員とのコミュニケーション手段として利用することもできる。カメラ10の撮像部11を斜め前方に向けた場合には、運転中の車外の景色を表示部4で楽しむことや、その景色を表示部4に記録することも可能となる。
【0025】
また、カメラ10の撮像部11をユーザ自身に向けた場合には、例えば自身の後姿の確認や、後ろ髪のセット直し等にも使用することが可能である。防犯対策として、車室内全体の撮影や、車室内の運転席25周りの前方のみを撮影することも可能となる。
【0026】
[第2実施形態]
ユーザがカメラ10の位置や向きを自由に変更できるので、撮像部11の角度/方向がユーザの操作によって任意に決定される。携帯端末のように、表示部とカメラが一体となったものでは、傾いたカメラ映像をそのまま表示部に表示させても、操作者が携帯端末の姿勢を適宜修正するためユーザにとって違和感のない映像となる。しかし、車両2に搭載される表示部4のように、カメラ10と表示部4とが別体であり、カメラ10の姿勢を瞬時に修正し固定することが難しい場合には、表示部4に対して撮影画像だけが傾くこととなり非常に見づらい映像となる。
【0027】
そこで、このような不具合を解消するために、本実施形態では、図2に示すように、撮像部11の姿勢を検出する撮像姿勢検出部13として、カメラ10に3軸の加速度センサを配置し、コントローラ3には、撮像部11による撮影画像を回転補正する処理演算部Aを設けてある。
【0028】
加速度センサは、カメラ10に加速度運動が加えられた時の移動加速度とその移動量、及び、その傾きを検出する。加速度センサに代えて、撮像姿勢検出部13として、地磁気センサ、ジャイロセンサを用いることもできる。また、撮像姿勢検出部13は、加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ等を適宜組み合わせてもよい。
【0029】
処理演算部Aでは、まず、撮像姿勢検出部13の検出データに基づいてカメラ姿勢演算部30で撮像部11の姿勢が演算され、カメラ姿勢演算部30の演算結果を受けて回転判定演算部31で撮像部11の回転が判定される。次に、映像取得部33に入力された撮影画像と回転判定演算部31の演算結果とを受けて、回転判定演算部31において撮像部11が回転状態と判定されると、映像回転処理部34でカメラ姿勢演算31の演算結果に基づいて撮影画像の回転補正が行われる。その後、撮影画像または映像回転処理後の画像が送信部39から表示部4に送信される。
【0030】
こうして、図3に示すように、撮像部11の姿勢が検出された際には、処理演算部Aによって撮影画像である実画像が回転補正され、表示部4に表示される画像は、例えば常に傾きのない水平な画像となる。その結果、表示部4の画像を視認するユーザの違和感も少なくなる。
【0031】
[第3実施形態]
フレキシブルアーム12によってカメラ10は車両2の前後左右方向に加えて、上下方向にも移動できる。ただし、カメラ10を動作させたときに車両2が傾斜状態であるような場合には、カメラ10の姿勢に車両2の姿勢が重畳されるため、カメラ10のみの姿勢を正確に把握できない場合がある。よって、カメラ10の姿勢と車両2の姿勢とを区別するために、カメラ10側(移動側)と車両2側(固定側)の相対位置の関係から撮像部11の姿勢を判定すると回転判定の精度が向上する。そこで、本実施形態では、図4に示すように、カメラ10側の撮像姿勢検出部13に加えて、車両2側にも車両の姿勢を検出する車両姿勢検出部20を設ける。
【0032】
撮像姿勢検出部13、車両姿勢検出部20には、共に前述の加速度センサを用いることができる。加速度センサに代えて、撮像姿勢検出部13、車両姿勢検出部20として、地磁気センサ、ジャイロセンサを用いることもできる。また、撮像姿勢検出部13、車両姿勢検出部20は、加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ等を適宜組み合わせてもよい。
【0033】
コントローラ3の処理演算部Aでは、まず、撮像姿勢検出部13の検出データに基づいてカメラ姿勢演算部30で撮像部11の姿勢が演算され、一方、車両姿勢検出部20の検出データに基づいて車両姿勢演算部32で車両2の姿勢が演算される。次に、カメラ姿勢演算部30及び車両姿勢演算部32の演算結果を受けて、回転判定演算31で撮像部11の回転が判定される。この回転は、車両2の姿勢を相殺したものであり、車両2に対するカメラ10の姿勢変化を表すものである。次に、映像取得部33に入力された撮影画像と回転判定演算部31の演算結果とを受けて、回転判定演算部31において撮像部11が回転状態と判定されると、映像回転処理部34においてカメラ姿勢演算30の演算結果に基づいて撮影画像の映像回転処理が行われる。その後、撮影画像または映像回転処理後の画像が送信部39から表示部4に送信される。
【0034】
こうして、撮像姿勢検出部13及び車両姿勢検出部20の検出データに基づいて撮影画像である実画像が処理演算部Aによって回転補正される。よって、撮像部10の傾きの検出精度が向上し、表示部4に表示される画像が水平な画像となる精度が向上する。
【0035】
[第4実施形態]
本実施形態では、防犯カメラとして車室内のカメラ10を使用する場合について説明する。車両2に搭載された各種センサと連携し、不審者の侵入を感知して、その時の映像をカメラ10で記録する。カメラ10の撮像姿勢検出部13として用いられる加速度センサ等のセンサ情報を用いて、不法侵入を検知することも可能である、記録した映像は、無線でユーザの携帯端末等に通知してもよい。また、不法侵入時以外でも、ユーザは携帯端末等から必要に応じて車室内のカメラ10の映像を確認可能に構成することもできる。
【0036】
[第5実施形態]
上記の実施形態では、撮像姿勢検出部13により撮像部11の姿勢変更が検出された場合に、コントローラ3の処理演算部Aの演算が行われる。ただ、車両2が走行中には、道路事情等の影響を受けて車内のカメラ10が振動し、この振動により撮像部11の姿勢変更が検出する場合もある。しかしながら、カメラ10の振動に対しては撮像部10の回転補正が不要な場合が多い。そこで、撮像姿勢検出部13においてカメラ10の加速度変化からカメラ10の動作が振動状態であるか否かを判定し、カメラ10の動作が振動状態と判定された場合は処理演算部Aの演算(回転補正)を行わないように構成してもよい。
【0037】
カメラ10の振動による加速度変化はカメラ10の通常の姿勢変更操作時の加速度変化より格段に速い。このことから、例えば、カメラ10の撮像姿勢検出部13で検出される加速度変化と設定されるしきい値(例えば、カメラ10を変更操作する際の最大の加速度変化)とを比較することで、カメラ10の動作が振動状態であるか否かを判定することができる。こうして、カメラ10の動作が振動状態と判定された場合に処理演算部Aの演算(回転補正)を行わないことにより、コントローラ3における演算負荷を低減することができる。
【0038】
[その他の実施形態]
(1)車室内カメラ装置は、図5に示すように、フレキシブルアーム12の基端部12bを車両取付部15に対し、フレキシブルアーム12の軸回りに回転自在に構成してもよい。こうすると、カメラ10の車両2における前後左右の方向切換が容易となる。
【0039】
(2)また、図6(a)に示すように、カメラ10は、フレキシブルアーム12の一部が収納自在に構成してもよい。カメラ10を使用する際には、図6(b)に示すように、フレキシブルアーム12を引き伸ばして、カメラ10の位置を移動させる。こうすることで、カメラ10の不使用時に車室内カメラ装置全体をコンパクトにできる。
【0040】
(3)上記の第5実施形態では、カメラ10の動作が振動状態である場合には処理演算部Aの演算(回転補正)を行われないように構成したが、これとは逆に、カメラ10の姿勢の変更操作が検出された場合にのみ処理演算部Aの演算(回転補正)を行うようしてもよい。例えば、カメラ10の姿勢の変更操作によりフレキシブルアーム12の基端部12bも同時に動作するよう構成することで、基端部12bの動作検出によってカメラ10の姿勢変更操作を検出することができる。
【0041】
(4)上記の実施形態において、カメラ10を支持するフレキシブルアーム12は必ずしも全体がフレキシブルな構成である必要はなく、部分的にフレキシブルである構成であってもよい。
【0042】
(5)上記の実施形態では、カメラ10の設置位置として運転席25側の中央ピラー27を例に示したが、カメラ10の設置位置は、車両2の天井、運転席25側の前方ピラー、運転席25のシート本体、助手席のシート本体、助手席側のピラーであってもよい。
【0043】
(6)カメラ10は、必ずしもユーザが手動で移動させる必要はなく、遠隔操作により撮像部11の向きを変更するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、各種車両の運転操作中や防犯上等における車室内の画像確認に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
2 車両
3 コントローラ(制御部)
4 表示部
10 カメラ
11 撮像部
12 フレキシブルアーム
12a 先端側
12b 基端側
13 撮像姿勢検出部
20 車両姿勢検出部
A 処理演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内に基端側を固定されたフレキシブルアームの先端側に設置され、撮像部が内蔵されたカメラと、
前記撮像部による撮影画像を表示部に表示させる制御部と、を備えた車室内カメラ装置。
【請求項2】
前記カメラが、前記撮像部の姿勢を検出する撮像姿勢検出部を有し、
前記制御部が、前記撮像姿勢検出部の検出データに基づいて前記撮影画像を回転補正する処理演算部を有する請求項1又は2に記載の車室内カメラ装置。
【請求項3】
前記撮影画像を無線で前記表示部に送信可能に構成してある請求項1又は2に記載の車室内カメラ装置。
【請求項4】
前記表示部を携帯端末で構成した請求項3記載の車室内カメラ装置。
【請求項5】
前記表示部を前記車両に搭載されたモニタで構成した請求項3記載の車室内カメラ装置。
【請求項6】
前記フレキシブルアームの基端側が運転席側の中央ピラーに固定してある請求項1〜5のいずれか一項に記載の車室内カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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