説明

車接近警告装置

【課題】自転車が歩道を歩いている歩行者に音も無く背後から急速に近づき、接触事故を起こすケースが目立っている。速度の速い場合は自転車が前方を歩行している歩行者に接近する時間も短いので早めに適切な音量で歩行者に自転車の接近を知らせる必要がある。
また、今後急速な普及が予測されている低騒音の電気自動車、電気オートバイの普及により歩行者への接近に気がつくのが遅れて生ずる人身事故の多発が懸念されている。
【解決手段】車に速度検知手段を設け、該速度手検知手段によって車の走行速度を検知し車の速度の増減に連動して、警告音の音量を増減させる。車の接近速度が速い場合音量が大となるため、歩行者は車の接近を早めに察知し身構える余裕が出来き、接触事故を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車接近警告装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車や自動車の運転者が歩行者に対して警告を発する手段として、手動式のベルやブザー、ホーンなどがよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−170875 は警報音が録音でき且つ、再生手段を備えた自転車用警報装置に関するものであるが、録音再生が可能であるというのが本発明の骨子で、車の走行速度が速く歩行者に急接近する場合の歩行者の安全性を高める機能は有していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地球温暖化防止の観点から、また近年歩道が整備されてきたこともあって自転車の利用者が増加しているが、それに伴って自転車の歩行者接触による交通事故が増加している。
特に歩道を歩いている歩行者に音も無く背後から急速に近づき、接触事故を起こすケースが目立っている。自転車の速度が速い場合は自転車が前方を歩行している歩行者に短時間で接近するので歩行者には早めに自転車の接近していることを知らせる必要がある。
【0005】
また、今後急速な普及が予測されている電気自動車、電気オートバイは、従来のガソリン車に比べて運転音が大幅に静粛になることから、歩行者が車の接近に気が付かないケースが多く、そのため引き起される交通事故の頻発が懸念されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1は車に速度検知手段を設け、該速度手検知手段によっ
て車の走行速度を検知し、車の速度の増減に従って、警告音の音量を増減させることを特
徴とする。車の接近速度が速い場合音量が大になることによって、歩行者は車の接近を早
めに察知し身構える余裕が出来る。
【0007】
本発明の請求項2記載の車接近警告装置は上記請求項目1に記載の速度検知手段として、風力発電機を用いた事を特徴とするものである。
【0008】
車の速度を検知する手段しては車軸や車輪の回転数等を検知することにより、速度計測も
可能であるが、車軸や車輪から回転数を取り出すのは一般に煩雑な場合が多い。本車接近
警告装置は風力発電機を速度検知手段として用いることによって、車軸や車輪から回転数
を検知する必要がなく、設置が簡便な車接近警告装置を提供することができる。
風力発電機を速度計に代替する場合、向かい風の影響等で過剰な速度信号を警告音発生手
段に伝送し、正確な車の速度信号を音声発生手段に伝送しない場合があるが、本目的を達
成するには、必ずしも厳密な速度を求める必要は無い。
【0009】
本発明の請求項3記載の車接近警告装置は風力発電機の起電力を2次電池に蓄電し、コン
トローラおよび増幅器などの電力供給源として利用することができる。
【0010】
また電源回路には2次電池からの分圧回路へ逆流を防止するためのダイオードが設けられている。そのため二次電池に蓄えられら電力によって、車の走行とは無関係に警告を発するようなことが防止できる。
風力発電機の起電力は、風速の3乗に比例することから分圧回路に流れる電流の大きさは
風力発電機の起電力の増加に従って増加する。分圧回路を流れる電流値が変化すると、そ
の流れる電流の大きさに連動して、音声発生手段の音量が変化する。
図3に示すように手元制御手段を設けることによって、手元制御手段の操作で、速度に連
動して変化する警告音のレベルを変化させることができる。
図4に示すように車の走行方向が向い風の場合は車が停止時に既にP0の音量レベルにあ
り車の速度は低速であるにも関わらず風力発電機の起電力は大となり、音量は大となるが
前方を歩行する歩行者へは風下からの警告音は届きにくいことから、音量が大きくなるこ
とは風上の歩行者への警告音の確実な伝達のためには好都合である。
【0011】
本発明の請求項4記載の車接近警告装置は図3に示すように、手元制御手段によって音声発生手段であるスピーカーより発する音量レベルを制御することが出来るようになっている。このレベル調整機能によって、見通しの悪い道路を走行する場合などは、車の速度は低速であっても危険を避けるため適切な音量で警告を発することが出来る。
【0012】
本発明の請求項5記載の車接近警告装置の音声発生手段は音量が大きければ大きいほど良
いというものではなく、人が不快に思うほど音量が大きくなっては好ましくなく騒音の観
点より限度がある。コントローラ内の制御手段によって、際限なく音量が増加することを
防止するため音量の上限を設けたことを特徴とする。また、音量の上限設定は手元制御手
段から制御することが可能である。
【0013】
本発明の請求項6記載の車接近警告装置は音声発生手段としてコントローラの記憶手段にあらかじめ記憶した警告音としてのメロディを複数記憶し選択できるようにしたことを特
徴とする。
【0014】
本発明の請求項7記載の車接近警告装置は静かな住宅街の歩道などで、必要以上に警告音を発しないための配慮として人体検知手段を該車接近警告装置に設け、該人体検知手段が人体を検知したときのみ、音声発生手段から警告音を発することを特徴とする。図1は人体検知手段としては赤外線センサーを用いているが、マイクロ波応用のセンサなどを用いても良い。
【発明の効果】
【0015】
車が高速で歩行者に接近していることを、走行速度に応じた音量で歩行者に伝えることによって、より確実に車の接近を歩行者に伝える事が出来、車の接触による交通事故を減少させることができる。
【0016】
車の走行速度の検知手段として風力発電機を用いることによって、風力発電機の起電力に連動した信号をコントローラ、増幅器、スピーカーに伝達する機能以外に音声発生、装置やコントローラの制御などの動作に必要な電力を供給することができる。
【0017】
また、見通しの悪い道路を走行する場合などは、車の速度は低速であっても音量はある程度大きめとすることが望ましい場合があるが、手元制御手段によって図3に示すごとく音声発生手段より発する音量レベルを制御することが出来る。
【0018】
また、音声発生手段に音量の上限を設けることによって際限なく音量が増加することを抑
え、歩行者に向かって必要以上の音量での警告を発することを避ける事が出来る。
【0019】
音声発生手段はコントローラの記憶手段にあらかじめ記憶した複数の警告音としてのメロ
ディを選択できるようにすることによって、好みの警告音を選定することができる。
【0020】
また、人体検知手段を設けることによって、該人体検知手段が人体を検知したときのみ該
音声発生手段から警告音を発することによって歩行者や静かな住宅地等の居住者に不快感
を与える事を最小限に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係わる車接近警告装置主要部の動作を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係わる車接近警告装置の構造を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係わる車接近警告装置の車の速度と警告音量のレベル調整の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態に係わる車接近警告装置において車の速度と警告音量の上限値の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施形態に係わる車接近警告装置において、車走行開始からスピーカーより警告音発生までのフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係わる車接近警告装置動作時のイメージ図である。 (電気自動車に本発明の車接近警告装置を装着した場合)
【図7】本発明の実施形態に係わる車接近警告装置動作時のイメージ図である。 (自転車に本発明の車接近警告装置を装着した場合)
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0022】
図1は本発明の実施の形態の一例で、車接近警告装置主要部の動作を示すブロック図である。図1に示すように、風力発電機5によって発生した起電力は逆流防止用ダイオード18を経て二次電池10に充電される。
この逆流防止ダイオード18は2次電池10から分圧回路17に電流が流れるのを防止する。
【0023】
また、人体検知手段である赤外センサ11が人体を検知すると、赤外線連動スイッチ19がONとなり風力発電機5で発生した電流の一部が分圧回路17を通じ、コントローラ14を経て増幅器13へと流れコントローラ14に内蔵された記憶部15にあらかじめ記憶された警告音のメロディがコントローラ14の制御部14´に取り込まれ、増幅器13を通じスピーカー8から警告音が発せられる。
一方警告音の音量は風力発電機5から分圧回路17へ入力される電流の大きさ、すなわち入力信号の大きさに連動した音量でスピーカー8から警告音が発せられる。
【0024】
見通しの悪い道路を走行する場合などは、車の速度は低速であっても音量はある程度大にする必要があるが、手元制御手段23によって図3に示すごとく音声発生手段であるスピーカー8より発する音量レベルを制御することが出来る。
【0025】
コントローラ14の機能としては、警告音メロディーの記憶及び増幅器13への信号伝達以外に、警告音の上限コントロールする機能も有しており図4に示す如く車2、車2´の運転者の判断でP1〜PN点で音量の上限を設定することが出来る。
【0026】
また、向かい風に抗して車2、車2´を走行させる場合は、図4に示すように、車2、車2´が停止の時点で既にP0の音量を発する起電力が発生しており無風状態での走行時に比べて風力発電機の起電力は大きくなる。その結果としてスピーカー8から発せられる警告音の音量はその分大きくなるが、風上にいる歩行者には風下から発する音は到達しにくいため、この場合歩行者へは向かい風に抗して警告音をより確実に伝えることになりむしろ好都合である。
【0027】
また、本装置に人体検知手段である赤外線センサ11を設けることによって、赤外線センサー11が人体を検知しない場合は、赤外線連動スイッチ19はOFFとなり分圧回路17には電流が流れずスピーカー8から警告音は発せられない。
【0028】
図3は車2、車2´の運転を開始後、警告音を発するまでのプロセスをフローチャートに示したものである。人体検知手段である赤外線センサ11が人体を検知した場合のみ警告音を発することを示している。
【0029】
なお、人体検知手段としては、赤外線センサ11の代わりにマイクロ波などを用いたセンサなどであってもよく赤外線センサに限定したものではない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の車接近警告装置1を車2、車2´に設置することによって、車2、車2´が高速で歩行者4に接近していることを、車2、車2´の走行速度に連動した音量で伝えることによって確実に車2、車2´の接近を歩行者4に伝える事が出来るため、車2、車2´による交通事故の減少が期待できる。
【0031】
今後急速に普及することが予測されている電気自動車は従来のガソリンエンジン駆動の自動車に比べて騒音レベルが大幅に低いといわれており、その静かさのため歩行者が自動車の接近に気が付かつくのが遅れた為に生じる人身事故の多発が懸念されている。本装置は自転車以外に電気自動車、電気オートバイなどの騒音レベルの低い自動車の車接近検知装置としても幅広く利用できる。

【符号の説明】
【0032】
1 車接近警告装置
2 車(自転車)
2´ 車(電気自動車)
3 自転車運転者
4 歩行者
5 風力発電機
6 ディフューザー
7 空気孔
8 スピーカー
9 回路基板
10 2次電池
11 赤外線センサ
12 筺体
13 増幅器
14 コントローラ
14´制御部
15 記憶部
16 電源回路
17 分圧回路
18 逆流防止用ダイオード
19 赤外線センサ連動スイッチ
20 抵抗1
21 抵抗2
22 抵抗3
23 手元制御手段





【特許請求の範囲】
【請求項1】
速度検知手段を有し、該速度検知手段で検知した速度信号を警告音発生手段に伝達し、該速度検知手段より伝達される速度に連動した信号の増減に連動して警告発生手段の音量を増減させることを特徴とした車接近警告装置。
【請求項2】
車が自転車または電気自動車または電気オートバイであって、該自転車または電気自動車または電気オートバイの速度検知手段として、風力発電機を用いた事を特徴とする請求項1記載の車接近警告装置。
【請求項3】
風力発電機の起電力を2次電池に蓄電し、コントローラおよび増幅器などの電力供給源とするとともに、電源回路に2次電池からの分圧回路へ逆流防止するためのダイオードを設けて、警告が必要の無い場合の警告音発生を防ぎ、分圧回路を流れる電流値の変化に連動して、警告音発生手段の音量を変化させることを特徴とする請求項1〜2記載の車接近警告装置。
【請求項4】
速度検知手段の検知した車の速度に連動して変化する音量は、手元制御手段の指令によって、速度に対する音量レベルが可変できるようにしたことを特徴とする請求項1〜3記載の車接近警告装置。
【請求項5】
音声発生手段はコントローラ内の制御手段によって、音量の上限を設けたことを特徴とする請求項1〜4記載の車接近警告装置。
【請求項6】
警告音発生手段はコントローラの記憶手段にあらかじめ記憶した複数の警告音メロディを選択できるようにしたことを特徴とする請求項1〜5記載の車接近警告装置。
【請求項7】
人体検知手段を有し、該人体検知手段が人体を検知したときのみ、該音声発生手段から警告音を発することを特徴とした、請求項1〜6記載の車接近警告装置。

















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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