説明

車種判別装置

【課題】駐車場のゲート前に車両の停止スペースを配置し、その停止スペースを前後に数分割し、それぞれの分割区分にループコイルを配置することによって、小車両から大型自動車までの車種を確実に検知可能とした車種判別装置を提供する。
【解決手段】駐車場のゲート前に車両の停止スペース12を配置し、その停止スペース12を前後に数分割し、それぞれの分割区分にループコイル1〜4を配置し、ゲート直前の車両の停止スペースの受付装置側に、二輪車等の小車両を検知する小車両検知ループコイル1を配置し、それぞれのループコイル1〜4の発振を順次選択的に動作させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車種判別装置に関し、特に駐車場のゲート前に車両の停止スペースを配置し、その停止スペースを前後に数分割し、それぞれの分割区分にループコイルを配置することによって、小車両から大型自動車までの車種を確実に検知可能とした車種判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
市街地では無人の機械管理による駐車場が設置されているが、この駐車場は、主に普通乗用車を対称とするものであり、自転車・自動二輪車等の小車両や、トラック、バス等の大型車両は駐車することができない。
これは、自転車・自動二輪車等の小車両や、自動車の大きさを機械的に判別することが困難であることが理由のひとつに挙げられる。
そこで、自動車と自動二輪車を区別するための車種判別装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−122519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1には、第1センサと第2センサによって構成される前車輪判別部と、第3センサと第4センサによって構成される車両フロント検知部とにより、車両が車種判別装置に最初に突入(進入)して来る箇所が特定され、それにより車両の最前部が先に突入する車両であれば四輪車と特定し、前車輪が先に突入して来る車両であれば、これを二輪車と判別することができる車種判別装置が開示されている。
しかしながら、前記特許文献1の技術は、四輪車と二輪車の違いは判別できるが、四輪車の大きさ、あるいは、自動二輪車と自転車の違いを判別することができない。そのため、二輪車、自動車、大型自動車の全ての車両の大きさに応じて駐車料金を設定することができないという問題がある。
本発明は係る従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、駐車場のゲート前に車両の停止スペースを配置し、その停止スペースを前後に数分割し、それぞれの分割区分にループコイルを配置することによって、小車両から大型自動車までの車種を確実に検知可能とした車種判別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するための手段として、請求項1記載の車種判別装置では、車両の停止スペースに複数のループコイルを設置し、それぞれのループコイルの発振を順次選択的に動作させる構成とした。
【0005】
請求項2記載の車種判別装置では、二輪車等の小車両及び自動車を駐車可能とした駐車スペースと、その駐車スペースの入口又は出口に設けられて車両の進行を規制するゲートと、ゲート前に設けられて入庫車両又は出庫車両の受付けを行う受付装置とを備えた駐車場において、ゲート前に車両の停止スペースを配置し、その停止スペースを前後に数分割し、それぞれの分割区分にループコイルを配置し、ゲート直前の車両の停止スペースの受付装置側に、二輪車等の小車両を検知する小車両検知ループコイルを配置したことを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の車種判別装置では、請求項1又は2記載の車種判別装置において、ゲート前の車両の停止スペースを3分割し、ゲート直前に小型自動車検知ループコイルを配置し、その小型自動車検知ループコイルの後方に中型自動車検知用の中型自動車検知ループコイルを配置し、その中型自動車検知ループコイルの後方に大型自動車検知ループコイルを配置したことを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の車種判別装置では、請求項1〜3いずれか記載の車種判別装置において、車両の停止スペースに、光電管センサによる車高や床下高の検知装置を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項5記載の車種判別装置では、請求項1〜4いずれか記載の車種判別装置において、ループコイルの内側にさらにループコイルを配置し、自動車の床下高または金属物体の大小を検知可能とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、前記構成を採用することにより、以下の効果が得られる。
車両の停止スペースに複数のループコイルを設置し、それぞれのループコイルの発振を順次選択的に動作させる構成としたので、ループコイルが互いに干渉することなく金属物体の存在を検知できる。
また、ゲート前の停止スペースを前後に数分割し、それぞれの分割区分にループコイルを配置したので、前後方向に分割したそれぞれのループコイルが車両の有無を検知することにより、金属物体(車両)の前後方向に占める大きさを確実に検知できる。
例えば、自転車、自動二輪車(バイク)、小型自動車、トラック、マイクロバス、大型バスを判別することができる。
また、小型自動車検知ループコイルと、中型自動車検知ループコイルと、大型自動車検知ループコイルを配置したので、自動車においては3段階の判別が行われる。
ゲート直前の車両通行路の受付装置側に、二輪車等の小車両を検知する小車両検知ループコイルを配置したので、小車両の検知が確実に行われると共に、1つのゲートで二輪車と自動車の双方に対応できる。
さらに、車体高と床下高を光学管センサを配置したので、ループコイルによる検知と組み合わせることにより、車種検知の精度を向上させることができる。
また、ループコイルの内側にさらにループコイルを多重に配置するので、それらのループコイルの感知度の差から、自動車の床下高または金属物体の大小を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
一般的に、無人で駐車場を管理する機械管理の駐車場においては、金属物体である駐車車両の有無を地中に埋め込んだループコイル式のセンサが検知する方法が採用されている。
このループコイル式のセンサを使用した金属物体検知装置においては、ループコイルを共振回路の一部に含む発振回路を構成している。そして、定常状態では、ループコイルのインダクタンスを含むインピーダンスと共振回路に設けられたコンデンサの容量で決定される一定の共振周波数で発振動作を行っている。ループコイルに金属物体が近づくとループコイルのインダクタンスが変化するので、発振周波数と波高電圧も変化する。したがって、この発振周波数の変化または波高電圧の変化を検出することにより、金属物体、すなわち、車両の有無及び車種の判別をすることができる。
本発明はこのループコイル式のセンサを車種判別に利用したものである。以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0011】
第1実施例に係る車種判別装置は、図1に示すように入口ゲート10、受付装置11、駐車スペース12を備えた駐車場に適用したものであり、その構成は、車両通行路(停止スペース12)に配置されて車両の存在を検知するループコイル1〜4と、ループコイルを共振系として備えてその信号を演算処理する電気回路を主要な構成としている。
前記駐車場は、自動二輪車、荷車、車椅子等の小車両の駐車スペースと、小型乗用車、普通乗用車等の小型自動車の駐車スペースと、トラック、マイクロバス等の中型自動車の駐車スペースと、大型トラック、大型バス、トレーラ、各種作業車両等の大型自動車の駐車スペースを備えている。
【0012】
前記小車両は小型自動車よりも小さな金属物体から構成される車両であり、前述した自転車、自動二輪車、荷車、車椅子等の他、金属物体から構成される車両が含まれる。
前記小型自動車、中型自動車、大型自動車の判断基準としては、一例として前後長6m未満の車両は小型自動車とし、前後長6m〜10mの車両を中型自動車とし、前後長10m越の車両を大型自動車として設定する。尚、この基準は適用する駐車場によって適宜設定することができる。
駐車場の入口ゲート10から進入した各種車両は、それぞれ車両に適した目的の駐車スペースへ移動して駐車する。自動車は四輪車両の他、トレーラ等のさらに多数輪の車両も駐車可能である。
【0013】
前記ゲート10は駐車場内への車両の進入を規制するものであり、図2に示すとおり一端を支持されたバー13が支持部を中心として水平方向から垂直方向へ回動するバーゲートが採用されている。そして、このバーゲートにより自動車、二輪車等の小車両のすべての車両の通行を規制する。
尚、このゲート10としては、遮断性を向上させるため、扉式、シャッター式のゲートを採用することも可能である。
【0014】
車両の停止スペースの左右には光電管センサによる車体高及び床下高の検知センサ14が設けられている。
この検知センサ14は、柱状の発光部15と柱状の受光部16を備え、発光部15から受光部16への光線の通信状況を感知して、発光部15と受光部16の間に停止した車両の車体高と床下高を測定検知する機能を備えている。
本実施例ではループコイル1〜4により車種が判別されるが、検知センサ14を組み合わせることにより判別の精度を上げることができる。
例えば、違法に車高を上げた車両の場合には、ループコイル1〜4による検知感度が低くなるが、この検知センサによる情報を組み合わせることにより、一定以上の車体高及び床下高を有する車両を中型自動車または大型自動車と認定することができる。
この検知センサ14としては超音波によるセンサを採用することもできる。
【0015】
前記受付装置11は、利用者の受付を機械的に行う装置であり、利用者の進入を検知して駐車時刻を記入した駐車券を発行したり料金の精算をする。
この受付装置11としては駐車券の発行の他、プリペイドカード、クレジットカード等の認証装置、または、携帯電話等の携帯端末との通信による認証装置を適用することも可能であり、駐車場利用の意志確認手段を備える装置であれば他の機構を採用することも可能である。
この受付装置11では、利用者は自己の車種の表示と利用時刻が記入された駐車券を機械発行により受け取り、受け取りと同時にゲートが開き、駐車スペースへ入場可能となる。
出庫時には駐車券を精算機に挿入して自動精算し、ゲートを開いて出庫可能となる。
【0016】
ゲート10の手前の停止スペース12は、普通乗用車から、大型バスまでの車両が停止できる距離を備えている。
受付装置11は車両がゲート直前で停止した場合に、運転席からドア越しに手を伸ばして駐車券を受け取ることができる位置に配置され、小型自動車であれば、運転席に対応した低い位置から、中型自動車であれば、運転席に対応したやや高い位置から、大型自動車であれば、運転席に対応したさらに高い位置から、駐車券が発行される。
【0017】
受付装置11では、運転席からドア越しに手を伸ばして駐車券を受け取るため、運転席部分が受付装置の横に位置した状態では、小型自動車であれば車両本体は停止スペースの前部分に、中型自動車であれば車両本体は停止スペースの前から中央部分にかけて、大型自動車であれば車両本体が停止スペースの前後に渡る全領域に位置することになる(図3参照)。
【0018】
本実施例の車種判別装置では、小型自動車検知ループコイル2を停止スペースのゲート直前に配置し、その小型自動車検知ループコイル2の後方に中型自動車検知用の中型自動車検知ループコイル3を配置し、その中型自動車検知ループコイル3の後方に大型自動車検知ループコイル4を配置している。
そして、ゲート直前の車両通行路の受付装置11側に、二輪車等の小車両を検知する小車両検知ループコイル1を配置している。この小車両検知ループコイル1は小型自動車検知ループコイル2の中に収容されているが、後述するシーケンス回路を備えているため、ループコイル同士を一部重ねて配置することも可能である。
【0019】
本実施例の構成によると、利用者が車両を駐車するために受付装置11から駐車券を受け取ると、二輪車等の小車両は小車両検知ループコイル1の上へ停止するため小車両検知ループコイル1によって検知される。そして、小型自動車は小車両検知ループコイル1と小型自動車検知ループコイル2の上へ停止するためループコイル1と2によって検知される。
中型自動車は小車両検知ループコイル1と小型自動車検知ループコイル2及び中型自動車検知ループコイル3の上へ停止するためループコイル1,2,3によって検知される。大型自動車は小車両検知ループコイル1、小型自動車検知ループコイル2、中型自動車検知ループコイル3、大型自動車検知ループコイル4の全領域の上へ停止するためループコイル1〜4によって検知される。
【0020】
前記検知によると、小車両検知ループコイル1のみが金属を検知した場合には小車両であると判別される。そして、小車両検知ループコイル1と小型自動車検知ループコイル2のみが金属を検知した場合は小型自動車であると判別される。そして、小車両検知ループコイル1と小型自動車検知ループコイル2と中型自動車検知ループコイル3のみが金属を検知した場合には中型自動車であると判別される。そして、小車両検知ループコイル1と小型自動車検知ループコイル2と中型自動車検知ループコイル3と大型自動車検知ループコイル4が金属を検知すると大型自動車であると判別される。
【0021】
図1において、ループコイルの上に車両が接近すると、ループコイルのインダクタンスが変化し、この変化に応じて発振周波数が変化する。そして、この発振周波数の変化によりループコイル上における車両の有無を検知する。
この発振周波数の変化の推移を説明するグラフが図4である。
図4は縦軸に周波数(H)、横軸に時間(t)を設定し、弁別回路で認識される発振周波数の変化を表している。
図4に示すように、自転車、自動二輪車、小型自動車、トラック、バスがループコイル上を通過すると、ループコイルのインダクタンスの変化に伴い発振周波数が増大してグラフが隆起する。そして、車両が遠ざかると、発振周波数は定常状態に復帰する。
ループコイル上を車両が通過すると、その金属物体の大きさに応じて発振周波数の大きさが異なっている。つまり、軽量な自転車では金属物体が小さいため発振周波数の隆起が低く、大型自動車では金属物体が大きいため発振周波数の隆起が高くなっている。そのため、それぞれの金属物体の大きさに応じた発振周波数の検知ラインを設定し、そのラインを超過した発振周波数が確認された場合に、それぞれの車両の存在を検知することができる。
【0022】
前記電気回路は、ループコイル1〜4のインダクタンスを回路の一部として含む4個の共振回路5と、この4個の共振回路5の中のいずれか一つの共振回路と組み合わされて発振回路を構成する共通の増幅回路6と、各共振回路5と共通の増幅回路6との間に設けられた4個の切換回路7と、4個の切換回路7及び後述する弁別回路20〜24の切換状態を所定の周期で順次切り換えるシーケンス回路8と、増幅回路から送られるループコイル1の発振周波数に基づき予め決められた規定周波数の範囲内に有るか否かを検出する車両の種類を判別する低感度弁別回路20、中感度弁別回路21、小型自動車弁別回路22、中型自動車弁別回路23、大型自動車弁別回路24と、各弁別回路20〜24からの信号に基づいて受付装置、ゲート開閉等の制御を行うコントローラ25を有している。
尚、前記共振回路5、増幅回路6、切換回路、シーケンス回路8を備えた金属物体検知装置としては特許第3250755号公報記載の技術を採用することができる。
【0023】
低感度弁別回路20はループコイル1のインダクタンス変化による共振信号に基づき自動二輪車(バイク)よりも小さな金属物体、例えば、自転車、車椅子、荷車等の存在を確認する。
中感度弁別回路21は同じくループコイル1のインダクタンス変化による共振信号に基づき自動二輪車(バイク)の存在を確認する。
小型自動車弁別回路22はループコイル2のインダクタンス変化による共振信号に基づき普通乗用車等の存在を確認する。
中型自動車弁別回路23はループコイル3のインダクタンス変化による共振信号に基づきトラック等の中型車両の存在を確認する。
大型自動車弁別回路24はループコイル4のインダクタンス変化による共振信号に基づき大型バス等の大型車両の存在を確認する。
【0024】
前記ループコイル1、共振回路5と切換回路7と増幅回路6及び弁別回路20,21で一つのチャンネルを構成しており、図1の実施例では、4個のループコイルに対応してチャンネル#1〜チャンネル#4が存在する。上記4個のループコイル1〜4は、停止スペース12内に互いに近接して配置されることがある。また、場合によっては、隣接するループコイルが半分づつ重なった状態で配置されることもある。
【0025】
前記共振回路5は、一次側がループコイル1に接続されたトランス5aと、このトランス5aの二次側に接続されたコンデンサ5b,5cとを備えている(図5参照)。トランス5aを介して見たループコイル1のインダクタンスとコンデンサ5b,5cの容量とでLC共振回路が構成される。すなわち、共振回路5は、ループコイル1を共振系の一要素として含んでいる。コンデンサ5bとコンデンサ5cの接続中点は接地され、コンデンサ5b,5cとトランス5aとの接続点から一対の信号線L1,L2が導出されている。一方の信号線L1は切換回路7を介して増幅回路6の入力側に接続され、他方の信号線L2は切換回路7を介して増幅回路6の出力側に接続されている。
【0026】
切換回路7は、入力側の信号線L1に直列に接続されたフォトスイッチ7aと、出力側の信号線L2に直列に接続されたフォトスイッチ7bと、入力側の信号線L1と出力側の信号線L2との間に並列に接続されたフォトスイッチ7cとを備えている。フォトスイッチ7a〜7cは、外部からの制御信号に応じてそのオンオフ状態が制御される双方向性のスイッチング素子であり、たとえば、双方向性光MOSFETが使用される。フォトスイッチ7a,7bとしては、定常状態でオフであって、制御信号が印加されたときのみオンとなる形式のものを使用し、フォトスイッチ7cとしては、定常状態でオンであって、制御信号が印加されたときのみオフとなる形式のものを使用する。
【0027】
図1に示すシーケンス回路8からは、制御信号S1〜S4が順次生成され、それぞれ各切換回路及び弁別回路に供給されている。たとえば、制御信号S1が小車両検知ループコイルのチャンネルの切換回路5に供給されると、切換回路7のフォトスイッチ7a,7bがオンとなり、フォトスイッチ7cがオフとなる。したがって、増幅回路6の出力側と入力側の間に共振回路5が接続され発振回路が構成される。一方、同時に制御信号S1が弁別回路20,21に供給されるため、前記切換回路と同様の機構により、あるいは周知の機構により弁別回路20,21が接続され一連のチャンネルが構成される。
【0028】
前記発振回路は、共振回路5の容量とループコイル1固有のインダクタンスで決定される共振周波数、たとえば、約50kHzで、且つ、所定の波高電圧で発振動作を開始する。ループコイル1の近傍に金属物体(車両)が存在しない場合には、共振周波数は、主としてループコイル1固有のインダクタンスと共振回路5のコンデンサ5b,5cの容量で決定される。増幅回路6からの発振出力は判別回路20,21に供給され、発振周波数が予め決められた規定周波数の範囲内に有るか否か、または、波高電圧が規定の範囲内に有るか否かが検出される。たとえば、ループコイル1の近傍に金属物体が存在する場合には、ループコイル1の実効インダクタンスとQが変化し、発振周波数が規定周波数からずれた周波数となり、また、波高電圧が規定範囲からずれた値となるので、この周波数のずれまたは波高電圧のずれを検出することにより金属物体の有無及び車種の判別をすることができる。なお、規定周波数は、各チャンネルに共通であってよいし、各チャンネルの特性のばらつきに応じて各チャンネル毎に独立に設定してもよい。
【0029】
このとき、他のループコイル2〜4のチャンネルの切換回路7及び弁別回路には制御信号S2〜S4が供給されていないので、他のチャンネルの切換回路7のフォトスイッチ7a,7bがオフとなっている。したがって、他のチャンネルに関しては、増幅回路6と共振回路5とが切り離された状態となっており、発振動作は行われない。すなわち、複数の発振回路が同時に発振動作を行うことがなくなるので、ビート信号等の不要信号が発生することがない。つまり、シーケンス回路により、ループコイル1〜4が順次選択的に作動する
【0030】
また、フォトスイッチ7a,7bがオフとなると同時に、フォトスイッチ7cがオンとなるので、共振回路5のコンデンサ5b,5cの両端が短絡される。したがって、共振回路5はLC共振回路としては動作せず、共振周波数は存在しなくなる。したがって、チャンネル#1の測定中に隣接するチャンネル#2のループコイル1の共振周波数の影響を受けることがなくなり、正確な検出を行うことができる。
【0031】
上記判別回路20〜24発振周波数の検出は、シーケンサ5からの同期信号SWに同期して各チャンネルごとに行われ、選択されたチャンネルの共振回路5のみが動作可能状態となり、他のチャンネルの共振回路5は全て不動作状態とされる。したがって、どのチャンネルのループコイル1〜4の近傍に金属物体が存在しているかを正確に識別することができる。
【0032】
前記ループコイル1の共振信号により、判別回路21が自動二輪車であることを判別した場合には、自動二輪車であることを示す弁別出力がコントローラへ送られ、コントローラでは受付装置を作動させて利用時刻を記入して自動二輪車用の駐車券を発行する。利用者は駐車券を受け取り、ゲートの開きを確認して入場する。
前記の場合においては、低感度弁別装置20と中感度弁別装置21の両者が発振周波数の変化により金属物体の存在を検知することになるが、自動二輪車であることを検知した場合には自転車あるいは車椅子で無いことは明らかであるので、中感度弁別装置21からは低感度弁別装置20へコントローラへ弁別出力を送信しないように、弁別情報出力を行う。
この弁別情報出力により低感度弁別装置20からコントローラ25への弁別出力は制止され、中感度弁別装置21からのみコントローラ25へ信号が送られる。
【0033】
また、ループコイル4の共振信号により、判別回路24が大型自動車であることを判別した場合には、大型自動車であることを示す弁別出力がコントローラ25へ送られ、コントローラでは受付装置を作動させて利用時刻が記載された大型自動車用の駐車券を発行する。利用者は駐車券を受け取り、ゲートの開きを確認して入場する。
この場合においては、すべてのループコイル1〜4が発振周波数の変化により金属物体の存在を検知することになるが、中型車両以下の車両で無いことは明らかであるので、大型自動車弁別回路24からは中型自動車弁別回路23以下へコントローラへ弁別出力を送信しないように、弁別情報出力を行う。
この弁別情報出力により中型自動車弁別回路23以下からコントローラ25への弁別出力は制止され、大型自動車弁別回路24からのみコントローラ25へ信号が送られる。
【0034】
上述した実施例においては、各チャンネルに対して共通の増幅回路6を使用したが、これに限らず、各チャンネル#1〜#4にそれぞれ増幅回路6を設け、各増幅回路6の出力をバッファ回路を介して合成して判別回路20〜24に供給するようにしてもよい。この構成の場合、共振回路5と増幅回路6との間に接続された切換回路7には、入力側の信号線と出力側の信号線との間に並列に接続されるフォトスイッチを設ける。フォトスイッチは、定常状態でオンであって、制御信号が印加されたときのみオフとなる形式とする。
また、この構成の場合でも図1に示す実施例と同様に、シーケンス回路8からの制御信号S1〜S4が各チャンネルの切換回路6及び各弁別回路20〜24に供給されている。たとえば、制御信号S1がチャンネル#1の切換回路7に供給されると、切換回路7のフォトスイッチ7aがオフとなる。したがって、増幅回路6の出力側と入力側の間に共振回路5が接続され発振回路が構成され、この発振回路は、共振回路5の容量とループコイル1固有のインダクタンスで決定される共振周波数で発振動作を開始する。
【0035】
このとき、他のチャンネル#2〜#4の切換回路6には制御信号S2〜S4が供給されていないので、他のチャンネル#2〜#4の切換回路7のフォトスイッチ7aがオンとなっている。したがって、他のチャンネル#2〜#4に関しては、共振回路5のコンデンサ5b,5cの両端が短絡される。したがって、共振回路5はLC共振回路としては動作せず、発振動作は行われない。
【実施例2】
【0036】
次に、第2実施例に係る車種判別装置を説明する。
第2実施例に係る車種判別装置は図6に示すように、小車両検知ループコイル1を設置せずに、小型自動車検知ループコイル2によって小車両の検知を行う構成である。
図4に示したとおり、自転車、自動二輪車は四輪自動車に比べてループコイルのインダクタンス及び発振周波数の変化量が小さいため、この発振周波数の差によって小車両であることを検知可能である。
つまり、金属物体の大きさに従って判別ラインを計測設定し、この判別ラインを越えた場合には自動車であること、判別ライン以下の場合は二輪車等の小車両であることを検知する。
その他の構成・作用については第1実施例と同様である。
【実施例3】
【0037】
次に、第3実施例に係る車種判別装置を説明する。
前記第1,2実施例の車種判別装置は駐車場の入口に適用したが、第3実施例の車種判別装置は駐車場の出口に適用したものである。
前記実施例では受付装置11を発券機等の入口の受付装置として説明したが、第3実施例の車種判別装置は受付装置11を出口の精算機として機能させたものである。
利用者は一般的な駐車場と同様に入庫時に発券機により駐車券を受け取り、出庫時に前記実施例と同様の方法により手続きを行うものである。
すなわち、出庫ゲート前の停止スペースに車両を停止させることにより、前記実施例と同様の方法により車種を判別して、その車種に応じた料金を受付装置(精算機)によって精算し、精算と同時にゲートが開き出庫可能となる。
【実施例4】
【0038】
次に、第4実施例に係る車種判別装置を説明する。
第4実施例の車種判別装置は前記第1,3実施例において、隣接するループコイル同士の感知度の差を利用して、自動車の床下高または金属物体の大小を検知可能とした構成である。
図1では、ループコイル2の内側にループコイル1を配置しているが、ループコイル1の上に金属物体が存在すると、ループコイル1とループコイル2の双方が金属物体の存在を検知する。つまり、ループコイル1上に金属物体が存在すると、金属物体の直下に位置するループコイル1のインダクタンス変化は大きく、ループコイル1の外側に隣接するループコイル2のインダクタンス変化は小さくなる。この検知の差を利用して自動車の床下高または金属物体の大小を検知可能とした構成である。
【0039】
【表1】



表1に示すとおり、自転車がループコイル1上に停車した場合には、その金属物体の大きさに応じて自転車直下のループコイル1のインダクタンス変化による周波数が(中)を検知し、自転車周囲のループコイル2は(微小)を検知する。これらの周波数信号を低感度弁別装置20、中感度弁別装置21、小型自動車弁別装置22によって演算処理することにより、自転車であることが判別される。
【0040】
また、自動二輪車(バイク)がループコイル1上に停車した場合には、その金属物体の大きさに応じて自動二輪車直下のループコイル1のインダクタンス変化による周波数が(大)を検知し、自動二輪周囲のループコイル2は(小)を検知する。これらの周波数信号を低感度弁別装置20、中感度弁別装置21、小型自動車弁別装置22によって演算処理することにより、自動二輪車であることが判別される。
【0041】
小型自動車がループコイル1上に停車した場合には、その金属物体の大きさに応じて自動車直下のループコイル1のインダクタンス変化による周波数が(大)を検知し、周囲のループコイル2も(大)を検知する。これらの周波数信号を低感度弁別装置20、中感度弁別装置21、小型自動車弁別装置22によって演算処理することにより、小型自動車であることが判別される。
【0042】
中型自動車がループコイル1上に停車した場合には、その床下高により、ループコイル1から金属物体が離れるために中型自動車直下のループコイル1のインダクタンス変化による周波数が(中)を検知し、周囲のループコイル2は(大)を検知し、ループコイル3では車両(金属物体)存在を検知する。これらの周波数信号を低感度弁別装置20、中感度弁別装置21、小型自動車弁別装置22、中型自動車弁別装置23によって演算処理することにより、中型自動車であることが判別される。
【0043】
大型自動車がループコイル1上に停車した場合には、その床下高により、ループコイル1から金属物体が離れるために大型自動車直下のループコイル1のインダクタンス変化による周波数が(中)を検知し、周囲のループコイル2は(大)を検知し、ループコイル3、4では車両(金属物体)存在を検知する。これらの周波数信号を低感度弁別装置20、中感度弁別装置21、小型自動車弁別装置22、中型自動車弁別装置23、大型自動車弁別装置23によって演算処理することにより、大型自動車であることが判別される。
【0044】
床下高の高い小型自動車がループコイル1上に停車した場合には、その床下高により、ループコイル1から金属物体が離れるために自動車直下のループコイル1のインダクタンス変化による周波数が(微小)を検知し、周囲のループコイル2は(中)を検知する。これらの周波数信号を低感度弁別装置20、中感度弁別装置21、小型自動車弁別装置22によって演算処理することにより、床下高の高い小型自動車であることが判別される。
【0045】
上述したように、実施例4では、前記第1,3実施例と同様にループコイル1〜4を使用して車種の判別を行うが、加えて、隣接するループコイル同士の感知度の差を利用して、自動車の床下高または金属物体の大小を検知可能となっている。
感知度の差は図4に示す検知ラインを細かく設定することにより検出が可能となる。
尚、ループコイルの配置位置としてはループコイルをさらに多重に重ねて配置することも可能である。
【0046】
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例は車種判別装置を駐車場ゲートに適用したが、有料道路の出入口に適用することもできる。
また、前記実施例では自動車の判別を3段階に設定したが、さらに多数段階のループコイルを設定することも可能であり、ループコイル同士を交叉させて、あるいは、格子状に区分して配置することも可能である。
さらに、図7に示すように、ループコイル3,4に相当する位置及びループコイル2と3の間に超音波センサ、超音波距離センサを配置して、これらのセンサにより車両の存在、あるいは高さを検知し、ループコイル1,2、光電管センサとの組み合わせにより車両の存在、車種の判別を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施例に係る車種判別装置の概略構成図である。
【図2】ゲート及び光学管センサの構成を示す説明図である。
【図3】停止スペースでの車両の位置関係を示す説明図である。
【図4】車種別の検知波高の推移を示す説明図である。
【図5】共振回路及び切換回路の詳細を示す回路図である。
【図6】第2実施例に係る車種判別装置の概略構成図である。
【図7】超音波センサ及び超音波距離センサを設けた車種判別装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1 小車両検知ループコイル
2 小型自動車検知ループコイル
3 中型自動車検知ループコイル
4 大型自動車検知ループコイル
5 共振回路
6 増幅回路
7 切換回路
8 シーケンス回路
10 ゲート
11 受付装置
12 停止スペース
13 バー
14 検知センサ
15 発光部
16 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の停止スペースに複数のループコイルを設置し、それぞれのループコイルの発振を順次選択的に動作させる構成とした車種判別装置。
【請求項2】
二輪車等の小車両及び自動車を駐車可能とした駐車スペースと、その駐車スペースの入口又は出口に設けられて車両の進行を規制するゲートと、ゲート前に設けられて入庫車両又は出庫車両の受付けを行う受付装置とを備えた駐車場において、
ゲート前に車両の停止スペースを配置し、その停止スペースを前後に数分割し、それぞれの分割区分にループコイルを配置し、
ゲート直前の車両の停止スペースの受付装置側に、二輪車等の小車両を検知する小車両検知ループコイルを配置したことを特徴とする請求項1記載の車種判別装置。
【請求項3】
ゲート前の車両の停止スペースを3分割し、ゲート直前に小型自動車検知ループコイルを配置し、
その小型自動車検知ループコイルの後方に中型自動車検知用の中型自動車検知ループコイルを配置し、
その中型自動車検知ループコイルの後方に大型自動車検知ループコイルを配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の車種判別装置。
【請求項4】
車両の停止スペースに、光電管センサによる車高の検知装置を設けたことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車種判別装置。
【請求項5】
ループコイルの内側にさらにループコイルを配置し、自動車の床下高または金属物体の大小を検知可能とした請求項1〜4いずれか記載の車種判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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