説明

車載カメラ装置

【課題】簡単な構造で、垂直方向の撮影範囲を最小限に抑え、かつ水平方向の撮影範囲を拡大できる安価な車載カメラ装置を提供する。
【解決手段】車載カメラ装置10は、水平方向において凸形状、垂直方向において平面又は凹形状をなす反射面を有するミラー部12と、該ミラー部の反射面により得られる反射画像を撮影するカメラ部11とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載カメラ装置に関し、詳細には車両に取り付けられ車両の進行方向や後方などの周辺を撮影するカメラ部の撮影画角の範囲を広げる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
見通しの悪い交差点等において、自車の通行道路に対して直交する道路を走行している車両の運転手、かつ対面走行している車両の運転手に対する視覚的情報を、より判断しやすい視点の映像として捕え撮影する車両搭載される撮影装置がいくつか提案されている。その一つとして特許文献1には、自車の4つの角部に撮影装置がそれぞれ設置され、自車の走行方向及び交差点角度に応じた撮影装置での映像を切り換え、また拡大表示する運転支援装置が提案されている。また、特許文献2には、自車の前部側方にそれぞれカメラを設置して、交差点での運転手の死角を撮像して表示する車両用カメラ装置が提案されている。
【0003】
しかし、特許文献1、2も少なくとも自車の2箇所の前部角部又は2箇所の側部にそれぞれカメラを設置して、それぞれのカメラで撮影した画像を個別に表示し、あるいは1画面に区別して同時表示するため、左右を切り替える必要があって操作性が悪く、また実際の運転手からの視界と異なる表示であるため見づらかった。更には、複数のカメラを設置するためにコスト高であった。
【0004】
また、図4に示すように車両20が見通しの悪い交差点の手前で停止した際運転手の位置から塀等の遮蔽物まで距離があるため運転手の視角は、車両20の最前部に設置されたカメラ部30の撮影画角より小さい。よって、実際の運転手からの見通し可能な視野画像は図5に示すように堀等で遮られ、自車の走行方向と直交する道路における他の車両や歩行者の状況が把握できない。そこで、図4に示すように、車両20の最前部にカメラ部30を設置して運転手の視野の死角を少なくし、図6に示すようにカメラ部30の撮影画角を大きくして撮影範囲を広くして視野を広げることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5に示すように、撮影画角は水平方向に関しては大きい方が良いが、垂直方向においてはあまり大きい必要はない。というのは、水平方向の見通しのため、仮に撮影レンズの撮影画角を180°に設定すると、垂直方向の撮影範囲は車の垂直下方から、天空の頂点までの撮影となってしまう。実際に運転手にとって必要な垂直方向の撮影範囲は水平面から少なくとも上方30°位までの範囲があれば十分である。
【0006】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、簡単な構造で、垂直方向の撮影範囲を最小限に抑え、かつ水平方向の撮影範囲を拡大できる安価な車載カメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明の車載カメラ装置は、非球面な反射面を有するミラー部と、該ミラー部の反射面により得られる反射画像を撮影するカメラ部とを具備することに特徴がある。よって、簡単な構造で、垂直方向の撮影範囲を最小限に抑え、かつ水平方向の撮影範囲を拡大できる安価な車載カメラ装置を提供できる。
【0008】
また、ミラー部の反射面は、水平方向において凸形状、垂直方向において平面又は凹形状をなすことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車載カメラ装置は、非球面な反射面を有するミラー部と、該ミラー部の反射面により得られる反射画像を撮影するカメラ部とを具備している。よって、見通しの悪い交差点で運転手の死角を含め単にカメラ部だけを車両の最前部に取り付けた従来技術に比して水平方向の撮影画角が広くなり、かつ運転手の安全確認のために最低限必要な風景である垂直方向のみの垂直方向の撮影画角も抑えて運転手の違和感をなくすことができる。従って、簡単な構造で、垂直方向の撮影範囲を最小限に抑え、かつ水平方向の撮影範囲を拡大できる安価な車載カメラ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車載カメラ装置の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態である車載カメラ装置の車両への取付の様子を示す概略部分断面図である。
【図3】本実施の形態の車載カメラ装置による撮影画像を示す図である。
【図4】見通しの悪い交差点における運転手の視角と車両の最前部に設置したカメラ部の撮影画角を示す概略図である。
【図5】運転手の視角による視野画像を示す図である。
【図6】車両の最前部に設置したカメラ部の撮影画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の一実施の形態に係る車載カメラ装置の構成を示す図である。同図の(a)は斜視図、同図の(b)は平面図、同図の(c)は側面図である。同図に示す本実施の形態の車載カメラ装置10は、カメラ部11とミラー部12を含んで構成されている。そして、ミラー部12の反射面は取付ける車両の前方を向いている。同図の(c)からわかるように、カメラ部11は撮影方向が前斜め下部の所定の位置に設けられたミラー部12の反射面を向くように設置されている。つまり、カメラ部11とミラー部12の相対位置はミラー部12の反射によるカメラ撮影画角内にカメラ部11自身の映像が映らない位置関係となっている。また、ミラー部12の鏡面は非球面であり、好ましくは同図の(b)からわかるように水平方向において凸形状をなし、同図の(c)からわかるように垂直方向において凹形状をなしている。このミラー部12の非球面形状によって、カメラ部11の必要最低限の撮影画角は、同図の(b)に示すように水平方向に関しては180°等広く、垂直方向に関しては水平面を境に上方に10°〜30°、下方に20°以下とし、よって10°〜50°の範囲となる。このように反射映像の水平方向と垂直方向特性を変えることにより撮影画角の可変が可能となる。なお、図2に示すように、車両の最前部には取付金具13を用いて本発明の車載カメラ装置10が取り付けられる。この取付金具13の支持部材はカメラ部11による撮影画角範囲外となるように設置されているか、あるいは当該支持部材を透明な部材で作製し、取付金具13の支持部材がカメラ部11の撮影画面内に映らないようにする。また、防水密閉なカバー内に本実施の形態の車載カメラ装置10を収納してもよい。
【0012】
よって、本実施の形態である車載カメラ装置10による実際の撮影画像は、図3に示すように、水平方向の視野が広がり、垂直方向の視野が狭くなっている。なお、左右方向に関しては広角な撮影レンズは必要ではあるが、一方上下方向に関して、運転の安全に必要と考えられる映像範囲は車両の足元から始めて、地平線の少し上空の範囲までである。これにより運転者の安全確認のための視認性がより増すことになる。
【0013】
なお、本実施の形態では、車載カメラ装置を車両の最前部に設置するものであるが、更には車両の両側部や最後方部に設置してもよい。また、ミラー部を水平又は垂直に移動可能、あるいは回転可能として固定のカメラ部の撮影画角を相対的に可変することもできる。更には、カメラ部自体を回動可能としカメラ部の撮影方向を可変とすることもできる。
【0014】
また、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換、応用が可能である。
【符号の説明】
【0015】
10;車載カメラ装置、11,30;カメラ部、12;ミラー部、
13;取付金具、20;車両。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第4,207,299号公報
【特許文献2】特許第3,287,817号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非球面な反射面を有するミラー部と、該ミラー部の反射面により得られる反射画像を撮影するカメラ部とを具備することを特徴とする車載カメラ装置。
【請求項2】
前記ミラー部の反射面は、水平方向において凸形状、垂直方向において平面又は凹形状をなすことを特徴とする請求項1記載の車載カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−283555(P2010−283555A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134670(P2009−134670)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】