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車載用のレーダ装置、車載用のレーダ方法および車載用のレーダプログラム
説明

車載用のレーダ装置、車載用のレーダ方法および車載用のレーダプログラム

【課題】方位検出範囲の内に存在する対象物が検出されているのか否かを判定することができる車載用のレーダ装置を提供する。
【解決手段】車載用のレーダ装置は、整数倍の関係にない2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナを実現する複数の受信アンテナと、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて前記対象物の方位を検出する方位検出処理を行い、検出された前記対象物の方位が一致すると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しいと判定し、検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しくないと判定する方位検出部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用のレーダ装置、車載用のレーダ方法および車載用のレーダプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの車両における利便性や安全性の向上のために、センシング装置として、ミリ波レーダを利用した車載用のレーダ装置の搭載が活発となっている。
特に、縦方向の検出手法としては、対象物(物体)との距離と相対速度を同時に取得することが可能であるFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式が一般的に用いられている。また、横方向の検出手法としては、デジタルビームフォーミング(DBF:Digital Beam Forming)による対象物の方位検出や、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)による対象物の分離などの方式が一般的に知られている。
【0003】
ここで、車載用のレーダ装置は、例えば、車両の前方に電波(送信波)を送出して、当該車両の前方に存在する対象物に関する情報を検出(検知)するために、当該車両の前方の部分に設けられる。
この場合、縦方向とは、車両の前方方向(進行方向)と同じ方向のことを表す。また、この場合、横方向とは、車両の前方方向(進行方向)に対して方位(方位角度)の方向を表す。
【0004】
FMCW方式を使用する車載用のレーダ装置では、送信アンテナから変調波を送信し、受信アンテナが並んだアレーアンテナによって反射物(対象物)からの反射波を受信して、その受信信号をミキサによりミキシングすることにより、ビート信号を生成する。その後、このビート信号をA/D(Analog to Digital)変換器によりデジタル信号にして取り込み、そのデジタル信号をFFT(Fast Fourier Transform)処理することにより、反射物に対する周波数成分を抽出する。そして、変調周波数の増加区間と減少区間において抽出された周波数成分の組合わせにより、対象物の相対速度と距離を算出する。
【0005】
また、車載用のレーダ装置では、反射物に対する周波数成分に対して、DBFや高分解能アルゴリズムなどの信号処理を用いた方位検出を行うことで、対象物の方位を算出する。
【0006】
ところで、従来の技術では、方位検出が可能な範囲(方位検出範囲)は、受信アレーアンテナの素子間隔において、位相が180°回るところまでであり、180°以上位相が回った場合には、方位が右であるかあるいは左であるかを判別することができない折返し領域となってしまう。
なお、本願明細書では、方位検出範囲をFOV(Field Of View)とも称す。
【0007】
図10は、等ピッチの受信アレーアンテナの構成を示すブロック図である。
図10に示す等ピッチの受信アレーアンテナは、5個の受信アンテナ(受信素子)801−1〜801−5を等しい間隔(ピッチ)d0で一列に並べた配置で構成されている。
なお、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの数は、他の数であってもよい。
【0008】
従来の技術では、このようにアレーアンテナの各受信素子を等間隔に並べた等ピッチアレーアンテナで受信して得られたビート信号についてFFT処理することにより、反射物(対象物)に対する周波数成分を抽出し、この反射物に対する周波数成分に対してDBFや高分解能アルゴリズムなどの信号処理を用いた方位検出を行う。この場合、アレーアンテナで規定以上の位相差がついたときには、対象物が方位検出範囲の内にあるのかあるいは外にあるのかを区別することができず、対象物の方位が左右のいずれにあるのかを判別することができなかった。
【0009】
このように、従来の技術では、算出した方位検出の結果において、方位検出範囲の外に存在する対象物が方位検出範囲の内に折返した位置で検出されることがあった。
これに対して、従来においても、対処法が考えられていた。
【0010】
例えば、方位検出の範囲を広げるための構成としては、受信アレーアンテナの素子間隔を狭める構成、または、受信素子数を増やす構成が知られている。
しかしながら、このような構成では、方位検出範囲を広げるために、受信アレーアンテナの素子間隔を狭める、または、受信素子数を増やすことから、例えば、高価な部品を多く使用し、実現性に課題が多かった。
【0011】
他の例として、対象物の反射レベルの大きさを判定して、方位検出範囲内の対象物であるか否かを判別する方法が考えられる。
しかしながら、このような方法では、方位検出範囲内にあるが反射レベルが小さい対象物を、間違って、方位検出範囲外にある対象物であると判定する場合があるという問題がある。
【0012】
また、他の例として、方位検出範囲の折返しの予測位置におけるピークの有無などを判定する方法が考えられる。
しかしながら、このような方法では、誤判定する可能性があるという問題がある。
【0013】
なお、参考として、特許文献1に記載された方位検出装置は、送信アンテナおよび受信アンテナのうち少なくとも一方を複数備え、前記送信および受信アンテナを組合わせてなるチャンネルごとに電波を送受信し、各チャンネルにて受信される受信信号間の位相差に基づいて前記電波を反射した物標の方位を検出するものであり、前記受信信号間の位相差に基づき、当該位相差が−π〜+π[rad]の範囲内にあるものとして、前記物標の方位を算出し、前記位相差の範囲(2m−1)π〜(2m+1)π[rad](但し、mは整数)にそれぞれ対応する方位角度領域のうち、いずれの方位角度領域に前記物標が存在するかを特定し、当該特定の結果に従って、前記方位の算出により算出された方位を補正する(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−170371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述のように、車載用のレーダ装置では、DBFや高分解能アルゴリズムなどの信号処理を用いて対象物の方位検出を行う際に、方位検出範囲の外に存在する対象物が方位検出範囲の内に折返した位置で検出されることがあった。
この問題について、従来においても対処法が検討されていたが、更に良好な対処法を開発することが望まれていた。
【0016】
本発明は、このような事情を考慮して為されたものであり、方位検出範囲の内に存在する対象物が検出されているのか、あるいは、方位検出範囲の外に存在する対象物が方位検出範囲の内に折返した位置で検出されているのかを判定することができる車載用のレーダ装置、車載用のレーダ方法および車載用のレーダプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)上述した課題を解決するために、本発明に係る車載用のレーダ装置は、送信波が対象物によって反射されて到来する受信波を受信する受信アレーアンテナとして、整数倍の関係にない2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナを実現する複数の受信アンテナと、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて前記対象物の方位を検出する方位検出処理を行い、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が一致すると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しいと判定し、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しくないと判定する方位検出部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
(2)本発明は、(1)に記載の車載用のレーダ装置において、さらに、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出される対象物の方位の位置関係と前記方位検出処理における最も狭い方位検出範囲の1回の折返しを前提とした場合に当該対象物が実際に存在する方位との対応付けを格納するテーブルを備え、前記方位検出部は、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には、前記テーブルに格納される対応付けに基づいて、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位の位置関係から、前記方位検出処理における最も狭い方位検出範囲の1回の折返しを前提とした場合に前記対象物が実際に存在する方位を検出する、ことを特徴とする。
【0019】
(3)上述した課題を解決するために、本発明に係る車載用のレーダ方法は、送信波が対象物によって反射されて到来する受信波を受信する受信アレーアンテナとして、整数倍の関係にない2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナを実現する複数の受信アンテナを使用し、方位検出部が、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて前記対象物の方位を検出する方位検出処理を行い、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が一致すると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しいと判定し、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しくないと判定する、ことを特徴とする。
【0020】
(4)上述した課題を解決するために、本発明に係る車載用のレーダプログラムは、送信波が対象物によって反射されて到来する受信波を受信する受信アレーアンテナとして、整数倍の関係にない2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナを実現する複数の受信アンテナを使用し、方位検出部が、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて前記対象物の方位を検出する方位検出処理を行い、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が一致すると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しいと判定し、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しくないと判定する手順をコンピュータに実行させるための車載用のレーダプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、方位検出範囲の内に存在する対象物が検出されているのか、あるいは、方位検出範囲の外に存在する対象物が方位検出範囲の内に折返した位置で検出されているのかを判定することができる車載用のレーダ装置、車載用のレーダ方法および車載用のレーダプログラムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は本発明の一実施形態に係る不等ピッチの受信アレーアンテナの構成を示すブロック図であり、(b)は本発明の一実施形態に係る不等ピッチの受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの一部を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る方位検出部において行われる処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る方位検出部において行われる処理の手順の他の一例を示すフローチャート図である。
【図5】(a)は方位検出範囲(FOV)の内に対象物が存在する場合の様子の例を示す図であり、(b)は方位検出範囲(FOV)の外(左)に対象物が存在する場合の様子の例を示す図であり、(c)は方位検出範囲(FOV)の外(右)に対象物が存在する場合の様子の例を示す図である。
【図6】(a)はシミュレーションにおける自車と他車との関係を示す図であり、(b)はシミュレーションの条件を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るレーダ装置に関するシミュレーションの結果を示す図である。
【図8】(a)は実機でのシミュレーションにおける自車とCR(コーナリフレクタ)との関係を示す図であり、(b)は実機でのシミュレーションの条件を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るレーダ装置に関する実機でのシミュレーションの結果を示す図である。
【図10】等ピッチの受信アレーアンテナの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る車載用のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態では、車載用のレーダ装置の一例として、電子走査型レーダ装置(FMCW方式のミリ波レーダ装置)を示す。
本実施形態に係る車載用のレーダ装置は、車両(本実施形態では、一例として、自動車)の前方に電波(送信波)を送出して、当該車両の前方に存在する対象物(ターゲット)に関する情報を検出(検知)するために、当該車両の前方の部分に設けられている。
【0024】
本実施形態に係るレーダ装置は、n(nは複数)個の受信アンテナ(受信素子)1−1〜1−nと、n個のミキサ2−1〜2−nと、n個のフィルタ3−1〜3―nと、スイッチ(SW)4と、A/D変換器(ADC)5と、制御部6と、三角波生成部7と、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)8と、分配器9と、送信アンテナ10と、信号処理部20と、を備える。
また、本実施形態に係るレーダ装置は、n個のアンプ(増幅器)41−1〜41−nと、アンプ42と、アンプ43と、アンプ44と、n個のアンプ45−1〜45−nと、を備える。
【0025】
ここで、本実施形態に係るレーダ装置は、受信アレーアンテナを構成するn個のチャンネル(Ch)の受信系を有している。各チャンネルごとに、受信アンテナ1−1〜1−nと、アンプ41−1〜41−nと、ミキサ2−1〜2−nと、フィルタ3−1〜3―nと、アンプ45−1〜45−nと、を有する。
本実施形態では、一例として、n=5である場合を示す。
【0026】
信号処理部20は、メモリ21と、周波数分離処理部22と、ピーク検知部23と、ピーク組合せ部24と、距離検出部25と、速度検出部26と、ペア確定部27と、相関行列算出部28と、固有値算出部29と、判定部30と、方位検出部31と、を備える。
【0027】
本実施形態に係るレーダ装置において行われる概略的な動作の例を説明する。
三角波生成部7は、制御部6により制御されて、三角波信号を生成してアンプ43に出力する。
アンプ43は、三角波生成部7から入力された三角波信号を増幅してVCO8に出力する。
VCO8は、アンプ43から入力された三角波信号に基づいて、当該三角波信号について周波数変調を行った信号を送信信号として分配器9に出力する。
【0028】
分配器9は、VCO8から入力された送信信号を2つに分配して、一方の分配信号をアンプ44に出力し、他方の分配信号を各アンプ45−1〜45−nに出力する。
アンプ44は、分配器9から入力された信号を増幅して送信アンテナ10に出力する。
送信アンテナ10は、アンプ44から入力された信号を送信波として無線により送信する。
この送信波は、対象物によって反射される。
【0029】
各受信アンテナ1−1〜1−nは、送信アンテナ10から送信された送信波が対象物によって反射して到来する反射波(すなわち、受信波)を受信し、受信した受信波を各アンプ41−1〜41−nに出力する。
各アンプ41−1〜41−nは、各受信アンテナ1−1〜1−nから入力された受信波を増幅して各ミキサ2−1〜2−nに出力する。
【0030】
各アンプ45−1〜45−nは、分配器9から入力された信号(送信信号が分配されたもの)を増幅して各ミキサ2−1〜2−nに出力する。
各ミキサ2−1〜2−nは、各アンプ41−1〜41−nから入力される受信波の信号と、各アンプ45−1〜45−nから入力される信号(送信アンテナ10から送信される送信波の信号)とを混合(ミキシング)して、それぞれの周波数差に対応したビート信号を生成し、生成したビート信号を各フィルタ3−1〜3−nに出力する。
【0031】
各フィルタ3−1〜3−nは、各ミキサ2−1〜2−nから入力されたビート信号(各受信アンテナ1−1〜1−nに対応したチャンネル1〜nのビート信号)に対して帯域制限を行い、帯域制限したビート信号をスイッチ4に出力する。
スイッチ4は、制御部6から入力されるサンプリング信号に対応して、各フィルタ3−1〜3−nから入力されたビート信号を、順次切り替えて、アンプ42に出力する。
アンプ42は、スイッチ4から入力されたビート信号を増幅してA/D変換器5に出力する。
【0032】
A/D変換器5は、制御部6から入力されるサンプリング信号に対応して、スイッチ4からサンプリング信号に同期して入力されるビート信号(各受信アンテナ1−1〜1−nに対応した各チャンネル1〜nのビート信号)を、サンプリング信号に同期してA/D変換することで、アナログ信号からデジタル信号へ変換し、これにより得られたデジタル信号を信号処理部20におけるメモリ21の波形記憶領域に順次記憶させる。
【0033】
制御部6は、例えば、マイクロコンピュータなどを用いて構成されている。
制御部6は、図示しないROM(Read Only Memory)などに格納された制御プログラムに基づいて、レーダ装置における全体の制御を行う。
具体例として、制御部6は、三角波生成部7により三角波信号を生成する処理を制御し、また、あらかじめ定められたサンプリング信号を生成してスイッチ4とA/D変換器5に出力する。
【0034】
続いて、信号処理部20において行われる概略的な動作の例を説明する。
メモリ21は、その波形記憶領域に、A/D変換器5により得られたデジタル信号(ビート信号)を、アンテナ1−1〜1−nごとに対応させて、記憶している。このデジタル信号は、上昇部分および下降部分の時系列データとなる。
例えば、上昇部分と下降部分のそれぞれにおいて256個の値をサンプリングした場合には、2×256個×アンテナ数のデータが、メモリ21の波形記憶領域に記憶される。
【0035】
周波数分解処理部22は、周波数変換(例えば、フーリエ変換、DTC、アダマール変換、ウェーブレッド変換など)により、各チャンネル1〜n(各アンテナ1−1〜1−n)に対応するビート信号を、それぞれ、あらかじめ設定された分解能に応じて周波数成分へ変換し、これにより得られる、ビート周波数を示す周波数ポイントと、そのビート周波数の複素数データを、ピーク検知部23と相関行列算出部28と方位検出部31に出力する。
【0036】
これについて具体的に説明する。
本実施形態に係るレーダ装置では、送信信号に対して、対象物からの反射波である受信信号が、本実施形態に係るレーダ装置と対象物との距離に比例して時間遅れ方向(例えば、図示しないグラフの右方向)に遅延されて受信される。さらに、受信信号は、本実施形態に係るレーダ装置と対象物との相対速度に比例して、送信信号に対して周波数方向(例えば、図示しないグラフの上下方向)に変動する。
【0037】
このとき、ビート信号を周波数変換すると、対象物が1つである場合には、三角波の上昇部分(上昇領域)および下降部分(下降領域)のそれぞれに1つのピーク値を有することなる。
【0038】
周波数分解処理部22は、メモリ21に蓄積されたビート信号がサンプリングされたデータを、三角波の上昇部分(上り)と下降部分(下り)のそれぞれについて、周波数分解(例えば、フーリエ変換など)により、離散時間に周波数変換する。すなわち、周波数分解処理部22は、ビート信号をあらかじめ設定された周波数帯域幅を有するビート周波数に周波数分解して、ビート周波数ごとに分解されたビート信号に基づいた複素数データを算出する。
この結果、三角波の上昇部分と下降部分において、それぞれ、周波数分解されたビート周波数ごとの信号レベルが得られる。この結果が、ピーク検知部23と相関行列算出部28と方位検出部31に出力される。
【0039】
例えば、受信アンテナ1−1〜1−nごとに三角波の上昇部分および下降部分のそれぞれについて256個のサンプリングが行われたデータを有する場合には、三角波の上昇部分および下降部分のそれぞれにおいて128個の複素数データ(2×128個×アンテナ数のデータ)となる。
ここで、受信アンテナ1−1〜1−nごとの複素数データには、所定の角度θに依存した位相差があり、それぞれの複素数データの複素平面上における絶対値(例えば、受信強度あるいは振幅など)は等価である。
【0040】
なお、所定の角度θについて説明する。
受信アンテナ1−1〜1−nが、アレー状に配置される場合を考える。
受信アンテナ1−1〜1−nには、アンテナを配列している面に対する垂直方向の軸に対して角度θの方向から入射される、対象物からの到来波(入射波、すなわち送信アンテナ10から送信した送信波に対する対象物からの反射波)が入力する。
【0041】
このとき、その到来波は、受信アンテナ1−1〜1−nにおいて同一の角度θで受信される。
この同一の角度θおよびある2個の隣接する受信アンテナ1−1〜1−nの間隔dにより求められる位相差(経路差である「d・sinθ」に比例する値)が、これら2個の隣接する受信アンテナ1−1〜1−nの間で発生する。
この位相差を利用して、DBFや高分解能アルゴリズムなどの信号処理を用いた方位検出を行うことで、対象物の方位(角度θ)を検出することができる。
【0042】
ピーク検知部23は、周波数分解処理部22から入力された情報に基づいて、三角波の上昇部分および下降部分のそれぞれにおいて、あらかじめ設定された数値を超える複素数データのピーク値(例えば、受信強度あるいは振幅などのピーク値)を有するビート周波数を検出することにより、ビート周波数ごとに対象物の存在を検出(検知)して、検出した対象物に対応したビート周波数をターゲット周波数として選択する。ピーク検知部23は、ターゲット周波数の検出結果(ターゲット周波数のビート周波数とそのピーク値)をピーク組合せ部24に出力する。
【0043】
なお、ピーク検知部23では、例えば、いずれかの受信アンテナ1−1〜1−nに関する複素数データを周波数スペクトル化したもの、または、全ての受信アンテナ1−1〜1−nに関する複素数データの加算値を周波数スペクトル化したものなどに基づいて、周波数スペクトルにおける各ピーク値に対応するビート周波数をターゲット周波数として検出することができる。ここで、全ての受信アンテナ1−1〜1−nの複素数データの加算値を用いる場合には、ノイズ成分が平均化されてS/N比(信号対雑音比)が向上することが期待される。
【0044】
ピーク組合せ部24は、ピーク検知部23から入力された情報(ターゲット周波数のビート周波数とそのピーク値)について、上昇部分および下降部分のそれぞれにおけるビート周波数とそのピーク値をマトリクス状に総当たりで組合わせ、これにより上昇部分および下降部分のそれぞれにおけるビート周波数を全て組合わせて、この組合わせの結果を、順次、距離検出部25と速度検出部26に出力する。
【0045】
距離検出部25は、ピーク組合せ部24から順次入力される上昇部分と下降部分の組合わせにおけるビート周波数(ターゲット周波数)を加算した数値に基づいて、対象物との距離rを演算し、その結果(この例では、ピーク値を含む)をペア確定部27に出力する。
距離rは、式(1)で表される。
【0046】
r={C・T/(2・Δf)}・{(fu+fd)/2} ・・(1)
【0047】
ここで、Cは光速度を表し、Tは変調時間(上昇部分または下降部分)を表し、Δfは三角波の周波数変調幅を表す。また、fuはピーク組合せ部24から出力される三角波の上昇部分のターゲット周波数を表し、fdはピーク組合せ部24から出力される三角波の下降部分のターゲット周波数を表す。
【0048】
速度検出部26は、ピーク組合せ部24から順次入力される上昇部分と下降部分の組合わせにおけるビート周波数(ターゲット周波数)の差分の数値に基づいて、対象物との相対速度vを演算し、その結果(この例では、ピーク値を含む)をペア確定部27に出力する。
相対速度vは、式(2)で表される。
【0049】
v={C/(2・f0)}・{(fu−fd)/2} ・・(2)
【0050】
ここで、f0は三角波の中心周波数を表す。
【0051】
ペア確定部27は、距離検出部25から入力された情報および速度検出部26から入力された情報に基づいて、対象物ごとに対応した上昇部分および下降部分のそれぞれのピークの適切な組合わせを判定して、上昇部分および下降部分のそれぞれのピークのペアを確定し、確定したペア(距離r、相対速度v、周波数ポイント)を示すターゲット群番号を周波数分離処理部22に出力する。
【0052】
なお、ここでは、各ターゲット群は、方位が決定されていないため、本実施形態に係るレーダ装置における受信アンテナアレーの配列方向に対する垂直軸に対して、受信アンテナ1−1〜1−nの配列方向に平行な横方向の位置は決定されていない。
【0053】
相関行列算出部28は、周波数分解処理部28から入力された情報に基づいて、あらかじめ定められた相関行列を算出し、その結果を固有値算出部29に出力する。
固有値算出部29は、相関行列算出部28から入力された情報に基づいて、固有値を算出し、その結果を判定部30と方位検出部31に出力する。
判定部30は、固有値算出部29から入力された情報に基づいて、次数を判定し、その結果を方位検出部31に出力する。
【0054】
方位検出部31は、周波数分解処理部22から入力された情報や、固有値算出部29から入力された情報や、判定部30から入力された情報に基づいて、対象物の方位(方位角度)を検出して出力する。
【0055】
ここで、方位検出部31により対象物の方位を検出するために使用する手法(例えば、アルゴリズム)としては、後述する方位検出に関する本実施形態に係るレーダ装置に特徴的な点を除いて、公知のものを含めて様々な手法が用いられてもよい。
具体例として、方位検出部31は、高分解能アルゴリズムであるARスペクトル推定法やMUSIC法などを用いてスペクトル推定処理を行い、スペクトル推定処理の結果に基づいて、対象物の方位を検出することができる。なお、本実施形態では、改良共分散法(MCOV法)を利用する。
【0056】
また、相関行列算出部28や固有値算出部29や判定部30や方位検出部31に対応する構成部分(この例では、相関行列、固有値および次数を求めて、対象物の方位を検出する構成部分)は、信号処理部20において用いられる方位検出の手法によって、その手法に合わせた構成や動作が用いられ、本実施形態とは異なる構成や動作が用いられてもよい。
また、方位検出の手法としては、他の例として、DBFなどが用いられてもよい。
【0057】
なお、対象物について、距離、相対速度、方位(方位角度)を検出する原理としては、後述する方位検出に関する本実施形態に係るレーダ装置に特徴的な点を除いて、例えば、特開2011−163883号公報などに開示される公知の技術を利用することが可能である。
【0058】
次に、方位検出に関する本実施形態に係るレーダ装置に特徴的な点について説明する。
本実施形態では、n個の受信アンテナから構成される受信アレーアンテナとして、不等ピッチの受信アレーアンテナを用いている。
【0059】
図2(a)は、本発明の一実施形態に係る不等ピッチの受信アレーアンテナの構成を示すブロック図である。
図2(b)は、本実施形態に係る不等ピッチの受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの一部を示すブロック図である。
【0060】
図2(a)に示されるように、本実施形態に係る不等ピッチの受信アレーアンテナは、n(本実施形態では、n=5)個の受信アンテナ1−1〜1−5を一列に並べた配置で構成されている。
第1の受信アンテナ1−1と第2の受信アンテナ1−2との間隔(ピッチ)はd2であり、第2の受信アンテナ1−2と第3の受信アンテナ1−3との間隔はd1であり、第3の受信アンテナ1−3と第4の受信アンテナ1−4との間隔はd1であり、第4の受信アンテナ1−4と第5の受信アンテナ1−5との間隔はd2である。
【0061】
ここで、間隔d1と間隔d2は、それぞれ、異なる値である(d1≠d2)。本実施形態では、d1の方がd2よりも大きい(d1>d2)。
また、間隔d1と間隔d2は、整数倍の関係がない(d1≠p・d2:p=1、2、3、・・・)。
また、全ての受信アンテナ1−1〜1−5について、隣接する受信アンテナの間隔の平均値(平均ピッチ)をd0とする(d0=(d2+d1+d1+d2)/4)。
【0062】
なお、n個の受信アンテナ1−1〜1−nから構成される受信アレーアンテナにおいて、i=1、2、・・・(n−1)として、(n−1)個の隣接する受信アンテナの間隔をそれぞれd(i)と表すと、全ての受信アンテナ1−1〜1−nについての平均の間隔(平均ピッチ)d0は、式(3)で表される。
【0063】
d0=Σd(i)/(n−1)
(Σは、i=1〜(n−1)のときの和を取る) ・・(3)
【0064】
図2(b)に示されるように、本実施形態に係る不等ピッチの受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの一部を使用することができる。
この例では、3個の受信アンテナとして、第2の受信アンテナ1−2と、第3の受信アンテナ1−3と、第4の受信アンテナ1−4を使用する。この場合、隣接する受信アンテナの間隔はいずれも等しい間隔d1となる。
【0065】
なお、このように一部の受信アンテナ1−2〜1−4のみを使用することは、一例として、制御部6などにより、使用する受信アンテナ1−2〜1−4により受信された信号に関する処理を信号処理部20で行うとともに、使用しない受信アンテナ1−1、1−5により受信された信号に関する処理を信号処理部20で行わないように制御する構成によって、実現することができる。
他の構成例として、このように一部の受信アンテナ1−2〜1−4のみを使用することは、制御部6などにより、使用する受信アンテナ1−2〜1−4の接続をスイッチなどによりオンにするとともに、使用しない受信アンテナ1−1、1−5の接続をスイッチなどによりオフにする構成によって、実現することができる。
【0066】
本実施形態では、図2(a)に示されるように、全ての受信アンテナ1−1〜1−5を使用する不等ピッチの受信アレーアンテナを「Aタイプ」(5チャンネルの不等間隔アレーAのタイプ)と称し、また、図2(b)に示されるように、一部の受信アンテナ1−2〜1−4を使用する等ピッチの受信アレーアンテナを「Bタイプ」(3チャンネルの等間隔アレーBのタイプ)と称して、説明を行う。
【0067】
本実施形態では、概略的には、図2(a)(または、図2(b))に示される受信アンテナの配置を用いて、対象物(反射物)からの反射波を受信して、ミキサ2−1〜2−nによりミキシングすることで、ビート信号を生成する。このビート信号をA/D変換器5によりデジタル信号にしてメモリ21に取り込み、信号処理部20の周波数分解処理部22でFFT処理することにより、反射物に対する周波数成分を抽出する。そして、変調周波数の増加区間(上昇部分)と減少区間(下降部分)において抽出された周波数成分の組合わせに基づいて、本実施形態に係るレーダ装置と対象物との距離と相対速度を算出する。
【0068】
また、信号処理部20の周波数分解処理部22により抽出された反射物に対する周波数成分に対して、方位検出部31により対象物の方位を検出する。
この場合に、方位検出部31で使用されるアルゴリズムでは、方位検出範囲の内に存在する対象物については方位検出範囲の内にある本物として検出されるが、方位検出範囲の外に存在する対象物については方位検出範囲の内に折返した位置で検出される。
【0069】
そこで、本実施形態では、図2(a)に示される「Aタイプ」のように異なる間隔d1、d2で受信アンテナを並べた不等ピッチの受信アレーアンテナを用いた場合における全てのチャンネルを使用した対象物の方位検出を行うとともに、図2(b)に示される「Bタイプ」のように等しい間隔d1で受信アンテナを並べた等ピッチの受信アレーアンテナを用いた場合における一部のチャンネルを使用した対象物の方位検出を行う。
【0070】
ここで、受信アレーアンテナでは、隣接する受信アンテナの間隔の平均値(平均ピッチ)で方位検出範囲の広さが決まる。本実施形態では、平均ピッチがd0(d1とd2の平均値)となる「Aタイプ」の受信アレーアンテナと、平均ピッチがd1となる「Bタイプ」の受信アレーアンテナとでは、方位検出範囲の広さが異なっている。このため、「Aタイプ」の受信アレーアンテナを用いた場合における方位検出結果と、「Bタイプ」の受信アレーアンテナを用いた場合における方位検出結果との組合わせでは、対象物が両方の方位検出範囲の内(つまり、狭い方の方位検出範囲の内)に存在する場合には互いの方位検出結果が一致するが、対象物が少なくとも一方の方位検出範囲の外(つまり、少なくとも狭い方の方位検出範囲の外であって、2つの方位検出範囲の共通部分の外)に存在する場合には互いの方位検出結果に差分(ずれ)が生じる算出結果となる。このような互いの方位検出結果の差分は、互いの方位検出範囲の差分に応じたものとなる。
【0071】
このことを利用する。具体的には、これら2つの方位検出結果が一致した場合には、これら2つの方位検出範囲の内に存在する対象物であると判定し、これら2つの方位検出結果が一致しなかった場合には、少なくとも一方の方位検出範囲の外に存在する対象物であると判定する。これにより、対象物が方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の内または外のいずれに存在するのかを判別することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記した2つの方位検出結果が一致しなかった場合には、少なくとも一方の方位検出範囲の外に存在する対象物であると判定し、折返しが1回であると仮定して(本実施形態では、狭い方の方位検出範囲について2回以上の折返しではないと仮定して)、これら2つの方位検出結果の関係に基づいて、この対象物の方位を決定することが可能である。これにより、レーダ装置に備える受信アンテナ1−1〜1−5を変更することなく、方位検出範囲の実質的な広角化を実現することができる。
【0073】
なお、この例では、少なくとも一方の方位検出範囲の外に存在する対象物について、折返しが1回であると仮定しているため、狭い方の方位検出範囲について2回以上の折返しがある場合には、対象物の方位は正確には決定されない。
【0074】
図3は、本発明の一実施形態に係る方位検出部31において行われる処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
方位検出部31は、周波数分解処理部22からデータ(本実施形態では、反射物に対する周波数成分に関するデータ)を入力する(ステップS1)。
なお、本実施形態では、方位検出部31は、固有値算出部29により算出された固有値のデータや、判定部30により判定された次数のデータについても、入力する(ステップS1)。
【0075】
まず、方位検出部31は、「Aタイプ」である不等間隔アレーAを用いて、方位検出の処理を行い、対象物の方位(方位角度の位置)を検出する(ステップS2)。
次に、方位検出部31は、「Bタイプ」である等間隔アレーBを用いて、方位検出の処理を行い、対象物の方位(方位角度の位置)を検出する(ステップS3)。
なお、ステップS2の処理とステップS3の処理の順序は、逆であってもよい。
【0076】
そして、方位検出部31は、それぞれの対象物ごとに、これら2つの方位検出の結果を比較する処理を行う(ステップS4〜ステップS6)。
具体的には、方位検出部31は、「Aタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)と「Bタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)とに差分があるか否かを判定する(ステップS4)。
【0077】
この判定の結果、方位検出部31は、「Aタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)と「Bタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)とに差分がないと判定した場合には、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の内に存在する対象物(本物)であるとして、例えば、「Aタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)を対象物の方位のデータとして設定する(ステップS5)。
【0078】
なお、この場合に、「Aタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)の代わりに、「Bタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)を対象物の方位のデータとして設定することも可能である。
【0079】
一方、前記の判定の結果、方位検出部31は、「Aタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)と「Bタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)とに差分があると判定した場合には、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の外に存在する対象物が方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の内に折返した位置で検出されたとみなして、これらの方位検出の結果については対象物に関するデータに含めないように除外する(ステップS6)。
【0080】
なお、「Aタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)と「Bタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)とに差分があるか否かを判定する手法としては、一例として、これら2つの方位検出の結果の値(方位角度の位置を示す値)が同一でない場合(つまり、異なる場合)に差分があると判定し、これら2つの方位検出の結果の値が同一である場合に差分がないと判定する手法を用いることができる。
他の例として、これら2つの方位検出の結果の値の誤差を多少許容するようなときには、これら2つの方位検出の結果の値の差があらかじめ定められた閾値以上である場合に差分があると判定し、これら2つの方位検出の結果の値の差が当該閾値未満である場合に差分がないと判定する手法を用いることもできる。
【0081】
このように、図3に示されるフローチャートの例では、方位検出部31は、反射物に対する周波数成分に対して、「Aタイプ」について方位検出処理を行って対象物の方位情報を算出するとともに、「Bタイプ」について方位検出処理を行って対象物の方位情報を算出し、これら2つのタイプについて対象物の方位情報を算出した後に、それぞれの対象物ごとに、これら2つのタイプについて得られた対象物の方位情報を比較する。そして、方位検出部31は、それぞれの対象物ごとに、これら2つのタイプについて得られた対象物の方位情報が一致(誤差が許容されてもよい)している場合に、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の内に存在する対象物であると判定して、そのデータを設定する。
【0082】
なお、図3に示されるフローチャートの例では、方位検出部31は、2つのタイプについて得られた対象物の方位情報が一致(誤差が許容されてもよい)していない場合には、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の外に存在する対象物であると判定して、その判定結果をステータスなどに保持させずに、対象物のデータから除外することを行ったが、他の例として、2つのタイプについて得られた対象物の方位情報が一致(誤差が許容されてもよい)していない場合には、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の外に存在する対象物であると判定して、その判定結果をステータスなどに保持させることが行われてもよい。
【0083】
図4は、本発明の一実施形態に係る方位検出部31において行われる処理の手順の他の一例を示すフローチャート図である。
ここで、図4に示される一連の処理(ステップS11〜ステップS14の処理)は、図3に示されるステップS6の処理の代わりに行われる。
すなわち、全体的な処理としては、図3に示されるフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS5の処理を行い、そして、ステップS6の処理の代わりに、図4に示されるステップS11〜ステップS14の処理を行うフローチャートとなる。
【0084】
図4に示されるフローチャートでは、図3に示されるステップS4の処理における判定の結果、方位検出部31は、「Aタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)と「Bタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)とに差分があると判定した場合には、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の外に存在する対象物が方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の内に折返した位置で検出されたとみなして、この段階では除外せずに、1回の折返しを前提として、対象物の方位(方位角度の位置)を算出する処理を行う(ステップS11)。
【0085】
具体的には、あらかじめ、方位検出部31などのメモリに、所定のテーブル(FOV外折返し出力位置テーブル)のデータを記憶させておく。
FOV外折返し出力位置テーブルは、「Aタイプ」について得られる方位検出の結果(方位角度の位置)と「Bタイプ」について得られる方位検出の結果(方位角度の位置)との差分の関係(互いの位置の関係)と、1回の折返しを前提とした場合に対象物が実際に存在する方位(方位角度の位置)とを対応付けて格納する。この対応付けは、例えば、初期設定として、FOV外折返し出力位置テーブルに格納される。
【0086】
そして、方位検出部31は、図3に示されるステップS4の処理における判定の結果、「Aタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)と「Bタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)とに差分があると判定した場合には、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の外に存在する対象物が方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の内に折返した位置で検出されたとみなして、「Aタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)と「Bタイプ」について得られた方位検出の結果(方位角度の位置)との差分の関係(互いの位置の関係)に対応する対象の方位(1回の折返しを前提とした場合に対象物が実際に存在する方位(方位角度の位置))を、FOV外折返し出力位置テーブルから探索する(ステップS11)。
【0087】
この探索の結果、方位検出部31は、探索対象となる該当する対象物の方位(方位角度の位置)のデータがFOV外折返し出力位置テーブルに格納されていると判定した場合には(ステップS12)、FOV外折返し出力位置テーブルから該当する対象物の方位(方位角度の位置)のデータを読み取り、読み取った対象物の方位(方位角度の位置)のデータを対象物の方位のデータとして設定する(ステップS13)。
【0088】
なお、この場合、この対象物は、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の外側に存在するとみなされ、FOV外折返し出力位置テーブルから読み取られる当該対象物の方位(方位角度の位置)は、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の外側の方位となる。
【0089】
一方、前記の探索の結果、方位検出部31は、探索対象となる該当する対象物の方位(方位角度の位置)のデータがFOV外折返し出力位置テーブルに格納されていないと判定した場合には(ステップS12)、今回の方位検出の結果については、不要なデータであるとみなして、対象物に関するデータに含めないように除外する(ステップS14)。
【0090】
図5〜図9を参照して、より具体的に説明する。
図5(a)は、方位検出範囲(FOV)の内に対象物が存在する場合の様子の例を示す図である。
図5(b)は、方位検出範囲(FOV)の外(左)に対象物が存在する場合の様子の例を示す図である。
図5(c)は、方位検出範囲(FOV)の外(右)に対象物が存在する場合の様子の例を示す図である。
【0091】
図5(a)、図5(b)、図5(c)に示される方位検出範囲(FOV)は、「Aタイプ」の方位検出範囲と「Bタイプ」の方位検出範囲とで狭い方の方位検出範囲(FOV)を表す。この例では、「Bタイプ」の方位検出範囲の方が「Aタイプ」の方位検出範囲よりも狭いとする。
【0092】
また、方位検出範囲(FOV)の外(左)は、対象物の方位におけるマイナス方向またはプラス方向のうちの一方の方向で、方位検出範囲(FOV)の内から外れた折返しの領域(折返しエリア)を表す。
また、方位検出範囲(FOV)の外(右)は、対象物の方位におけるマイナス方向またはプラス方向のうちの他方の方向で、方位検出範囲(FOV)の内から外れた折返しの領域(折返しエリア)を表す。
【0093】
図5(a)の例では、対象物(ターゲット)101が方位検出範囲(FOV)の内に存在する。
この場合、「Aタイプ」を用いて方位検出を行った結果として得られる方位(方位角度)を表すスペクトル(この例では、スペクトル102とする)のピーク位置と、「Bタイプ」を用いて方位検出を行った結果として得られる方位(方位角度)を表すスペクトル(この例では、スペクトル103とする)のピーク位置とが一致する。このため、この一致したピーク位置に対応する方位角度の位置(ターゲット検出位置)104を対象物101の方位として検出する。
【0094】
図5(b)の例では、対象物(ターゲット)111が方位検出範囲(FOV)の外(左)に存在する。
この場合、「Aタイプ」を用いて方位検出を行った結果として得られる方位(方位角度)を表すスペクトル(この例では、スペクトル112とする)のピーク位置と、「Bタイプ」を用いて方位検出を行った結果として得られる方位(方位角度)を表すスペクトル(この例では、スペクトル113とする)のピーク位置とがずれて不一致となる。この例では、スペクトル113のピーク位置の方がスペクトル112のピーク位置よりも左側にある。
【0095】
このとき、対象物111の実際の方位(折返しがないとしたときの方位)にはスペクトル114のピーク位置が対応するが、方位検出処理では、1回の折返し位置として、ターゲット検出位置115辺りが対象物111の方位として検出される。
ここで、2つのスペクトル112、113のピーク位置の関係を参照すると、左方向への折返しであることを判定することができる。そこで、1回の折返しであるとみなして、折返しを考慮することで、方位検出処理の結果(例えば、2つのスペクトル112、113のピーク位置の関係)に基づいて、対象物111の実際の方位を決定することができる。これにより、実質的に方位検出範囲(FOV)を広げたことと等価な効果を得ることができる。
【0096】
図5(c)の例では、対象物(ターゲット)121が方位検出範囲(FOV)の外(右)に存在する。
この場合、「Aタイプ」を用いて方位検出を行った結果として得られる方位(方位角度)を表すスペクトル(この例では、スペクトル122とする)のピーク位置と、「Bタイプ」を用いて方位検出を行った結果として得られる方位(方位角度)を表すスペクトル(この例では、スペクトル123とする)のピーク位置とがずれて不一致となる。この例では、スペクトル123のピーク位置の方がスペクトル122のピーク位置よりも右側にある。
【0097】
このとき、対象物121の実際の方位(折返しがないとしたときの方位)にはスペクトル124のピーク位置が対応するが、方位検出処理では、1回の折返し位置として、ターゲット検出位置125辺りが対象物121の方位として検出される。
ここで、2つのスペクトル122、123のピーク位置の関係を参照すると、右方向への折返しであることを判定することができる。そこで、1回の折返しであるとみなして、折返しを考慮することで、方位検出処理の結果(例えば、2つのスペクトル122、123のピーク位置の関係)に基づいて、対象物121の実際の方位を決定することができる。これにより、実質的に方位検出範囲(FOV)を広げたことと等価な効果を得ることができる。
【0098】
図6および図7により、本実施形態に係るレーダ装置に関するシミュレーションの結果を示す。
図6(a)は、シミュレーションにおける自車201と他車202との関係を示す図である。
この例では、本実施形態に係るレーダ装置が搭載された自車201の前方方向(進行方向)の軸に対して、Y[m](Yは0より大きい値)左の方に、対象物となる他車202が存在する。
【0099】
図6(b)は、シミュレーションの条件を示す図である。
この例では、受信アンテナ数(受信素子数)がN(Nは、例えば、3以上の整数)であり、受信アレーアンテナの中央ピッチd1がd0+α(αは、例えば、0より大きい値)であり、受信アレーアンテナの両端ピッチd2がd0−αであり、受信アレーアンテナの合成ピッチ(平均ピッチ)がd0である。
【0100】
図7は、自車201に搭載された本実施形態に係るレーダ装置に関するシミュレーションの結果を示す図である。
図7に示されるグラフでは、横軸は本実施形態に係るレーダ装置により検出される対象物(他車202)との距離(検出距離[m])を表し、縦軸は本実施形態に係るレーダ装置により検出される対象物(他車202)の方位角度(方位検出角度[deg])を表す。
図6(a)において、自車201と他車202との距離が遠い位置から次第に近い位置になっていく場合がグラフに反映されている。
【0101】
図7に示されるグラフにおいて、自車201と他車202との距離がR2[m](R2は0より大きい値)辺りからR1[m](R1は、0より大きい値であり、R2より小さい値)辺りまでは、対象物(他車202)が方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の内に存在し、「Aタイプ」の不等間隔アレーAを用いた方位検出の結果と「Bタイプ」の等間隔アレーBを用いた方位検出の結果とが一致する。この一致する方位検出の結果が、曲線1001で表されている。これにより、本物の方位角度が検出される。
【0102】
一方、自車201と他車202との距離がR1[m]辺りより小さくなると、対象物(他車202)が方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の外へ出て、「Aタイプ」の不等間隔アレーAを用いた方位検出の結果(曲線1002で表されている)と「Bタイプ」の等間隔アレーBを用いた方位検出の結果(曲線1003で表されている)とが不一致となってずれる。この場合、折返しの方位角度が検出される。
【0103】
図8および図9により、本実施形態に係るレーダ装置に関する実機でのシミュレーションの結果を示す。なお、この例では、方位検出処理において、MCOV法を使用している。
図8(a)は、実機でのシミュレーションにおける自車301とCR(コーナリフレクタ)302との関係を示す図である。
この例では、本実施形態に係るレーダ装置が搭載された自車301の前方方向(進行方向)の軸に対して、Y[m]左の方に、対象物となるCR302が存在する。そして、自車301はCR302の横を通過する。
【0104】
図8(b)は、実機でのシミュレーションの条件を示す図である。
この例では、受信アンテナ数(受信素子数)がN(Nは、例えば、3以上の整数)であり、受信アレーアンテナの中央ピッチd1がd0+α(αは、例えば、0より大きい値)であり、受信アレーアンテナの両端ピッチd2がd0−αであり、受信アレーアンテナの合成ピッチ(平均ピッチ)がd0である。
【0105】
図9は、本発明の一実施形態に係るレーダ装置に関する実機でのシミュレーションの結果を示す図である。
図9に示されるグラフでは、横軸は本実施形態に係るレーダ装置により検出される対象物(CR302)との距離(検出距離[m])を表し、縦軸は本実施形態に係るレーダ装置により検出される対象物(CR302)の方位角度(方位検出角度[deg])を表す。
図8(a)において、自車301とCR302との距離が遠い位置から次第に近い位置になっていく場合がグラフに反映されている。
【0106】
図9に示されるグラフにおいて、自車301とCR302との距離がR2[m](R2は0より大きい値)辺りからR1[m](R1は、0より大きい値であり、R2より小さい値)辺りまでは、対象物(CR302)が方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の内に存在し、「Aタイプ」の不等間隔アレーAを用いた方位検出の結果(曲線1101で表されている)と「Bタイプ」の等間隔アレーBを用いた方位検出の結果(曲線1102で表されている)とが、実際の対象物の方位角度の位置(曲線1103で表されている)と一致する。
【0107】
また、自車301とCR302との距離がR1[m]辺りになると、まず、「Bタイプ」の等間隔アレーBを用いた方位検出の結果(曲線1104で表されている)において、折返しが開始する。
【0108】
さらに、自車301とCR302との距離がR1[m]辺りより小さくなると、対象物(CR302)が両方の方位検出範囲の外へ出て、「Aタイプ」の不等間隔アレーAを用いた方位検出の結果(曲線1111で表されている)と「Bタイプ」の等間隔アレーBを用いた方位検出の結果(曲線1112で表されている)の両方において、折返しが生じる。これにより、「Aタイプ」の不等間隔アレーAを用いた方位検出の結果(曲線1111で表されている)と「Bタイプ」の等間隔アレーBを用いた方位検出の結果(曲線1112で表されている)とが不一致となってずれる。この場合、折返しの方位角度が検出される。
【0109】
以上のように、本実施形態に係る車載用のレーダ装置では、複数の受信アンテナ1−1〜1−nを異なる間隔d1、d2で並べた不等ピッチの受信アレーアンテナを用いて、2種類の平均的な間隔(平均ピッチ)d0、d1を有するアンテナの配置のそれぞれで対象物の方位検出を行い、それぞれの方位検出の結果の一致の有無を相互的に確認し、この確認の結果に基づいて、対象物が方位検出範囲の内に存在するかあるいは外に存在するかを判別する。
【0110】
したがって、本実施形態に係る車載用のレーダ装置によれば、方位検出範囲に対して左右のいずれかの外に存在する対象物の折返し位置が検出された場合には、そのことを判定することができ、例えば、このような折返し位置の情報を対象物のデータから除外すること、または、1回の折返しであるとみなして、対象物の方位を検出することができる。
【0111】
本実施形態に係る車載用のレーダ装置では、例えば、正確に精度良く、方位検出範囲の内に存在する対象物が検出されているのか、あるいは、方位検出範囲の外に存在する対象物が方位検出範囲の内に折返した位置で検出されているのかを判定することができる。
【0112】
例えば、本実施形態における方位検出では、ソフトウェア的な信号処理によって方位検出範囲を実質的に広げることができるため、必ずしも、物理的に、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの間隔を狭めなくてもよく、あるいは、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの数を増やさなくてもよい。
【0113】
また、従来の技術において、対象物の反射レベルを確認(判定)して、対象物が方位検出範囲の内に存在するかあるいは外に存在するかを判定する構成では、例えば、方位検出範囲の内に存在するが反射レベルが小さい対象物を方位検出範囲の外に存在する対象物であると間違って判定することがあった。これに対して、本実施形態における方位検出では、対象物が方位検出範囲の内に存在するかあるいは外に存在するかを、論理的に判定することができるため、対象物の反射レベルによらずに、的確な判定を行うことが可能になる。
【0114】
また、従来の技術においては、例えば、車載用のレーダ装置が搭載される自車または対象物(例えば、他車など)が移動することを必要として、方位検出範囲の外に存在する対象物の相対位置の変化や、対象物の反射レベルが低くなることや、あるいは、対象物が突然に折返し位置に検出されることなどを併せて確認して、対象物が方位検出範囲の内に存在するかあるいは外に存在するかを判定する構成があった。これに対して、本実施形態における方位検出では、車載用のレーダ装置が搭載される自車が停止状態で且つ対象物(例えば、他車など)が停止状態であっても、対象物が方位検出範囲の内に存在するかあるいは外に存在するかを判定することが可能である。
【0115】
ここで、本実施形態に係るレーダ装置では、図2(a)に示される不等ピッチの受信アレーアンテナを備えたが、他の様々な受信アレーアンテナを備えて用いることも可能である。
例えば、受信アレーアンテナについて、受信アンテナの数、あるいは、それぞれの隣り合う受信アンテナの間隔などとしては、様々な態様が用いられてもよい。
【0116】
一例として、受信アレーアンテナとして、3個以上の受信アンテナから構成され、隣接する受信アンテナの間隔の平均値(平均ピッチ)が異なる2種類以上のアレーアンテナが実現されるものを用いる。なお、この2種類以上のアレーアンテナの平均ピッチは、整数倍ではないとする。そして、対象物の方位検出を、この2種類以上のアレーアンテナの配置のそれぞれを使用して行い、その結果が一致するか否かに応じて、方位検出範囲(ここでは、2つの方位検出範囲の共通部分)の内に存在する対象物であるか否かを判定する。
【0117】
また、好ましい構成例として、受信アレーアンテナを構成する複数の受信アンテナについて、中央から所定の数の間隔については、隣接する受信アンテナの間隔を第1の間隔とし、両端の方にある残りの数の間隔については、隣接する受信アンテナの間隔を第2の間隔(例えば、第1の間隔とは異なり、第1の間隔に対して整数倍ではない値)とする。
なお、例えば、第1の間隔の部分(受信アンテナの数)と第2の間隔の部分(受信アンテナの数)との差が小さいと、2種類のアレーアンテナのそれぞれを用いた方位検出結果の差分が小さいと考えられるため、これら2つの部分(受信アンテナの数)を適度に設定するのが好ましいと考えられる。
【0118】
具体例として、受信アレーアンテナを構成する6個の受信アンテナにおいて、両端の1個ずつの間隔のみについて、隣接する受信アンテナの間隔を第2の間隔とし、中央に近い方の残りの3個の間隔については、隣接する受信アンテナの間隔を第1の間隔とする。
また、具体例として、受信アレーアンテナを構成する8個の受信アンテナにおいて、両端の2個ずつの間隔のみについて、隣接する受信アンテナの間隔を第2の間隔とし、中央に近い方の残りの3個の間隔については、隣接する受信アンテナの間隔を第1の間隔とする。
また、具体例として、受信アレーアンテナを構成する8個の受信アンテナにおいて、両端の1個ずつの間隔のみについて、隣接する受信アンテナの間隔を第2の間隔とし、中央に近い方の残りの5個の間隔については、隣接する受信アンテナの間隔を第1の間隔とする。
【0119】
なお、一般的に、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの数を増やすと、横方向の分解能が向上する。これは、等ピッチの受信アレーアンテナにおいても、不等ピッチの受信アレーアンテナにおいても、同様である。
また、一般的に、方位検出範囲は、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナの平均ピッチで決まる。例えば、平均ピッチが小さくなると、方位検出範囲が広がり、横方向の分解能が低下する。
【0120】
ここで、(構成例1)〜(構成例2)を示す。
(構成例1)
送信波が対象物によって反射されて到来する受信波を受信する受信アレーアンテナとして、整数倍の関係にない2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナを実現する複数の受信アンテナと、
前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて前記対象物の方位を検出する方位検出処理を行い、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が一致すると判定した場合には前記対象物が前記方位検出処理における方位検出範囲(前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて行われる方位検出処理の方位検出範囲のうちで最も狭い方位検出範囲)の内に存在して当該検出された前記対象物の方位は正しいと判定し、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には前記対象物が前記方位検出処理における前記方位検出範囲(前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて行われる方位検出処理の方位検出範囲のうちで最も狭い方位検出範囲)の外に存在して当該検出された前記対象物の方位は正しくないと判定する方位検出部と、
を備えることを特徴とする車載用のレーダ装置。
【0121】
(構成例2)
さらに、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出される対象物の方位の位置関係と前記方位検出処理における前記方位検出範囲(前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて行われる方位検出処理の方位検出範囲のうちで最も狭い方位検出範囲)の1回の折返しを前提とした場合に当該対象物が実際に存在する方位との対応付けを格納するテーブル(一例として、図4に示されるフローチャートの処理で使用されるFOV外折返し出力位置テーブル)を備え、
前記方位検出部は、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には、前記テーブルに格納される対応付けに基づいて、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位の位置関係から、前記方位検出処理における前記方位検出範囲(前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて行われる方位検出処理の方位検出範囲のうちで最も狭い方位検出範囲)の1回の折返しを前提とした場合に前記対象物が実際に存在する方位を検出する、
ことを特徴とする(構成例1)に記載の車載用のレーダ装置。
【0122】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0123】
また、上述した実施形態に係るレーダ装置の機能(例えば、信号処理部20における方位検出部31あるいは他の処理部22〜30のうちの1つ以上の処理部の機能)を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。なお、ここで言う「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことを言う。
【0124】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことを言う。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0125】
1−1〜1−n…受信アンテナ 2−1〜2−n…ミキサ 3−1〜3−n…フィルタ
4…スイッチ 5…A/D変換器 6…制御部 7…三角波生成部 8…VCO
9…分配器 10…送信アンテナ
41−1〜41−n、42、43、44、45−1〜45−n…アンプ(増幅器)
20…信号処理部 21…メモリ 22…周波数分解処理部 23…ピーク検知部
24…ピーク組合せ部 25…距離検出部 26…速度検出部 27…ペア確定部
28…相関行列算出部 29…固有値算出部 30…判定部 31…方位検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波が対象物によって反射されて到来する受信波を受信する受信アレーアンテナとして、整数倍の関係にない2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナを実現する複数の受信アンテナと、
前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて前記対象物の方位を検出する方位検出処理を行い、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が一致すると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しいと判定し、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しくないと判定する方位検出部と、
を備えることを特徴とする車載用のレーダ装置。
【請求項2】
さらに、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出される対象物の方位の位置関係と前記方位検出処理における最も狭い方位検出範囲の1回の折返しを前提とした場合に当該対象物が実際に存在する方位との対応付けを格納するテーブルを備え、
前記方位検出部は、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には、前記テーブルに格納される対応付けに基づいて、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位の位置関係から、前記方位検出処理における最も狭い方位検出範囲の1回の折返しを前提とした場合に前記対象物が実際に存在する方位を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載用のレーダ装置。
【請求項3】
送信波が対象物によって反射されて到来する受信波を受信する受信アレーアンテナとして、整数倍の関係にない2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナを実現する複数の受信アンテナを使用し、
方位検出部が、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて前記対象物の方位を検出する方位検出処理を行い、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が一致すると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しいと判定し、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しくないと判定する、
ことを特徴とする車載用のレーダ方法。
【請求項4】
送信波が対象物によって反射されて到来する受信波を受信する受信アレーアンテナとして、整数倍の関係にない2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナを実現する複数の受信アンテナを使用し、方位検出部が、前記2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて前記対象物の方位を検出する方位検出処理を行い、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が一致すると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しいと判定し、これら2種類以上の平均ピッチの受信アレーアンテナのそれぞれによる受信信号に基づいて検出された前記対象物の方位が不一致であると判定した場合には当該検出された前記対象物の方位は正しくないと判定する手順をコンピュータに実行させるための車載用のレーダプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−96908(P2013−96908A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241467(P2011−241467)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【Fターム(参考)】