説明

車載用樹脂製中空部品及びその製造方法

【課題】フランジなどの外側に張り出した部分が十分に少なく、エンジンルーム内の部品レイアウトの自由度を向上できる樹脂製中空部品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の車載用樹脂製中空部品は、ポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなる第1の円筒部と、これと同一のポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなる第2の円筒部と、レーザー溶接によって形成され第1の円筒部の端部と第2の円筒部の端部とを接合している接合部とを備え、接合部の外径Dに対する接合部の厚さTの比T/Dが0.01〜0.3であり且つ接合部の外径Dが120mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用樹脂製中空部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車やバイクに従来より使用されてきた金属製部品を樹脂製部品に置き換える取り組みがなされている。金属製部品を樹脂製部品に置き換えることで自動車等の軽量化が図られる。これに加え、金属加工と比較して例えば熱可塑性樹脂組成物を射出成型することによって複雑な形状の部品を容易に製造できるという利点がある。下記特許文献1には自動車ウォーターポンプ関連部品用樹脂組成物及びそれからなる自動車ウォーターポンプ関連部品に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−116494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、広い車内空間を有する自動車が好まれる傾向にあり、またハイブリッド車にあってはモータなどを搭載する必要があるため、エンジンルーム内に部品を配置するスペースがより制限される傾向にある。樹脂製部品は、上述のとおり、種々の利点を有するものの、サーモスタットやサーモバルブ、オイルポンプなどを収容するハウジングを樹脂製としても、従来の技術では部品の小型化という点においては以下の理由から未だ改善の余地があった。
【0005】
すなわち、ハウジングなどの内部に空洞を有する部品(中空部品)は、射出成型によって製造することが困難であるため、フランジを有するパーツを2つ以上作製し、これらをフランジにおいてボルトで固定して組み合わせる必要があった。かかる部品はフランジが外側に張り出してしまうため、その分のスペースが必要となる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、フランジなどの外側に張り出した部分が十分に少なく、エンジンルーム内の部品レイアウトの自由度を向上できる樹脂製中空部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載用樹脂製中空部品は、ポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなると共に第1の開口を端部に有する第1の円筒部と、第1の円筒部と同一のポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなると共に第2の開口を端部に有する第2の円筒部と、レーザー溶接によって形成され、第1の円筒部の端部と第2の円筒部の端部とを接合している接合部とを備え、接合部の外径Dに対する接合部の厚さTの比T/Dが0.01〜0.3であり且つ接合部の外径Dが120mm以下である。上記ポリアミド樹脂組成物としては、ジアミンと炭素数9〜15のジカルボン酸の重合体からなり且つ融点Tmが190〜240℃である低融点ポリアミド樹脂を、当該ポリアミド樹脂組成物に含有されるポリアミド樹脂100質量%に対して40質量%以上含有するものを使用できる。上記ポリアミド樹脂組成物は、低融点ポリアミド樹脂と異なる第2のポリアミド樹脂を含有してもよい。
【0008】
上記樹脂製中空部品は、第1の筒状部と第2の筒状部とをレーザー溶接によって接合したものであるため、これらをボルトで固定するためのフランジ部が不要である。このため、部品の外側に張り出した部分が十分に少なく、エンジンルーム内の部品レイアウトの自由度を向上できる。
【0009】
なお、本発明における「円筒部」とは断面形状が真円のものに限られず、断面形状が真円から若干変形したものも含まれる。より具体的には、本発明においては、外径の短軸L1と長軸L2の比L1/L2が0.95以上であれば「円筒部」であるとする。また本発明における「接合部の厚さT」は第1の円筒部の端部における内縁と外縁との距離、及び、第2の円筒部の端部における内縁と外縁との距離を意味し、これらの距離が第1及び第2の筒状部で異なる場合又は位置によって異なる場合にあっては最も長い距離を意味する。
【0010】
本発明において、第1及び第2の円筒部をそれぞれ構成する上記組成物はレーザー吸収材を更に含有するものであり、接合部は第1及び第2の円筒部の端部の外側から内側の径方向にレーザーを照射して形成されたものであることが好ましい。第1及び第2の円筒部の端部同士を突き合わせた状態とし、この部分に外側から内側の径方向にレーザーを照射することで、外側のみならず内部も十分に融解させることができる。これにより、接合部の強度及びシール性がより一層優れたものとなる。
【0011】
なお、径方向にレーザーを照射しない場合の一例として、図8に示すとおり、2つの筒状部51,52の軸方向と平行な方向にレーザーLを照射してこれらを接合する方法が挙げられる。この場合、円筒部51,52にレーザー溶接用のフランジ部51f,52fをそれぞれ設ける必要がある。また、レーザーLが照射される側のフランジ部51fを有する筒状部51をレーザー透過性材料で構成し、他方のフランジ52fを有する筒状部52をレーザー吸収性材料で構成する必要がある。このため、例えば、同一組成の熱可塑性材料からなる2つの筒状部の接合に図8に示す方法を適用することは困難であるという事情がある。
【0012】
本発明において、接合部の外径Dに対する第1の円筒部及び第2の円筒部における最大外径Dの比D/Dが1.3以下であることが好ましい。この比が1.3以下の部品は接合部における張り出し部分が十分に少なく、エンジンルーム内の部品レイアウトの自由度をより一層向上できる。
【0013】
本発明において、第1の筒状部、第2の筒状部及び接合部は、内面が面一であることが好ましい。この場合、部品の省スペース化の観点から、接合部に隣接した箇所の厚さTに対する接合部の厚さTの比T/Tは1〜1.5であることが好ましい。
【0014】
上記ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂は、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる一種であることが好ましい。ポリアミド610及びポリアミド612は低吸水性に優れると共に融点Tmが低いという特長を有する。優れた低吸水性は冷却液(例えば、水とエチレングリコールの混合液(LLC))と接触する部品を構成するのに有用である。低い融点Tmはレーザー溶接によって接合部を形成する際のロバスト性の向上に有用である。例えば、第1及び第2の筒状部の形状が真円から少しずれていてレーザーの焦点を常に正確に合わせることが困難であっても接合すべき箇所を十分に溶融できるという利点がある。
【0015】
本発明に係る車載用樹脂製中空部品の製造方法は、ポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなると共に第1の開口を端部に有する第1の円筒部と、第1の円筒部と同一のポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなると共に第2の開口を端部に有する第2の円筒部とを、端部同士を突き合わせた状態に保持する工程と、突き合わされた状態の第1及び第2の円筒部の端部に向けてレーザーを照射して接合部を形成する工程とを備え、接合部の外径Dに対する接合部の厚さTの比T/Dが0.01〜0.3であり且つ接合部の外径Dが120mm以下である。上記ポリアミド樹脂組成物としては、ジアミンと炭素数9〜15のジカルボン酸の重合体からなり且つ融点Tmが190〜240℃である低融点ポリアミド樹脂を、当該ポリアミド樹脂組成物に含有されるポリアミド樹脂100質量%に対して40質量%以上含有するものを使用できる。上記ポリアミド樹脂組成物は、低融点ポリアミド樹脂と異なる第2のポリアミド樹脂を含有してもよい。
【0016】
上記製造方法によれば、レーザー溶接によって第1の筒状部と第2の筒状部とを接合するため、ボルト及びこれを装着するフランジ部によって複数のパーツを接合する場合と比較して外側に張り出した部分が十分に少ない部品を製造できる。
【0017】
上記製造方法において、第1及び第2の円筒部をそれぞれ構成する上記組成物はレーザー吸収材を更に含有するものであり、第1及び第2の円筒部の端部の外側から内側の径方向にレーザーを照射して接合部を形成することが好ましい。第1及び第2の円筒部の端部同士を突き合わせた状態とし、この部分に外側から内側の径方向にレーザーを照射することで、外側のみならず内部も十分に溶かすことができる。これにより、一層優れた強度及びシール性を有する接合部を形成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エンジンルーム内の部品レイアウトの自由度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る中空部品の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は図1に示す中空部品のII−II線における断面図であり、(b)はこれにサイズに関する符号を付した図である。
【図3】本発明に係る中空部品の他の実施形態(車載用サーモスタットのハウジング)を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に係る中空部品の他の実施形態(車載用サーモスタットのハウジング)を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明に係る中空部品の他の実施形態(車載用温水カットバルブのハウジング)を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に係る中空部品からなるハウジングを備えたインバータ冷却用のオイルポンプの一態様を模式的に示す断面図である。
【図7】円筒部をそれぞれ有する2つの部材をレーザーによって接合している様子を示す斜視図である。
【図8】フランジ部をそれぞれ有する2つの円筒状部材をレーザーによって接合している様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0021】
<車載用樹脂製中空部品>
図1,2に示す中空部品10は、ポリアミド樹脂組成物を含有する熱可塑性材料(組成物)からなり、自動車やバイクに搭載するエレメントを収容するためのものである。中空部品10は、円筒部(第1の円筒部)1aを有する第1の部材1と、円筒部(第2の円筒部)2aを有する第2の部材2と、円筒部1a,2aの端部1b,2b同士が接合してなる接合部5とを備える。図2(a)に示すように、中空部品10は、第1の部材1及び第2の部材2によって内部に空間が形成されており、エレメント(例えば、サーモエレメント)を収容できるようになっている。
【0022】
第1の部材1は、第2の部材2側の端部が開口(第1の開口)1cをなして開放されており、他方の端部には貫通孔6を有する突出部1dが設けられている。第1の部材1の端部1bには外側に延在するフランジ部1fが設けられており、端部1bは所定の幅(図2(b)のT)を有する環状の平坦面からなる。後述のとおり、中空部品10の省スペース化の観点から、フランジ部1fのサイズには制限がある。
【0023】
第2の部材2は、第1の部材1側の端部が開口(第2の開口)2cをなして開放されており、他方の端部は板部2dで塞がれている。第2の部材2の端部2bには外側に延在するフランジ部2fが設けられており、端部2bは所定の幅(図2(b)のT)を有する環状の平坦面からなる。フランジ部2fのサイズもフランジ部1fと同様に制限がある。
【0024】
接合部5は、レーザー溶接によって形成されたものであり、第1の部材1の端部1bと第2の部材2の端部2bとを接合している。端部1bと端部2bの間には、ポリアミド樹脂組成物が一旦融解し、その後、固化して形成される接合層5aが形成されている。本実施形態においては、接合部5は、フランジ部1f、フランジ部2f及びこれらの間の接合層5aからなる。
【0025】
接合部5の外径D(図2の(b)参照)は、レーザー溶接の作業性の点から、120mm以下であり、好ましくは10〜100mmであり、より好ましくは20〜80mmである。上述のように、フランジ部1f,2fのサイズには次の制限がある。すなわち、接合部5の外径Dに対する接合部5の厚さT(図2の(b)参照)の比T/Dは0.01〜0.3である。T/Dの値が0.01未満であると接合部5の接合強度が不十分となり、他方、0.3を超えるとフランジ部1f,2fの張り出しが大き過ぎてエンジンルーム内の部品レイアウトの自由度を向上できない。なお、接合部の厚さTは、レーザー照射によって外面から内面まで十分に融解させる観点から、好ましくは1.5〜6mmであり、より好ましくは2〜5mmである。
【0026】
接合部5の外径Dに対する円筒部1a及び円筒部2aにおける最大外径D(図2の(b)参照)の比D/Dは好ましくは1〜1.3であり、より好ましくは1〜1.2であり、更に好ましくは1〜1.1である。D/Dの値が1.3以下の部品は接合部5における張り出し部分が十分に少なく、エンジンルーム内の部品レイアウトの自由度をより一層向上できる。なお、D/Dの値が1の中空部品は図2に示すようなフランジ部1f,2fが存在しないものである(図3〜6参照)。
【0027】
筒状部1、筒状部2及び接合部5の内面は、なるべく広い内部空間を確保する点から、図2に示すように面一であること、すなわち、段差がなく連続していることが好ましい。この場合、中空部品10の省スペース化の観点から、中空部品10における接合部5に隣接した箇所の厚さT(図2の(b)参照)に対する接合部の厚さTの比T/Tは、好ましくは1〜1.5であり、より好ましくは1〜1.4であり、更に好ましくは1〜1.3である。なお、T/Tの値が1の中空部品は図2に示すようなフランジ部1f,2fが存在しないものである(図3〜図6参照)。
【0028】
次に、第1の部材1及び第2の部材2を構成する熱可塑性材料として好適な組成物について説明する。第1の部材1及び第2の部材2は同一組成の熱可塑性材料からなる。この熱可塑性材料は、1種又は2種以上のポリアミド樹脂からなるポリアミド樹脂組成物と、必要に応じて配合されるレーザー吸収材等を含有する。上記ポリアミド樹脂組成物は、比較的融点が低いポリアミド樹脂(低融点ポリアミド樹脂)を少なくとも含有する。具体的には、上記ポリアミド樹脂組成物は、ジアミンと炭素数9〜15のジカルボン酸の重合体からなり且つ融点Tmが190〜240℃である低融点ポリアミド樹脂を、当該ポリアミド樹脂組成物に含有されるポリアミド樹脂100質量%に対して40質量%以上含有する。
【0029】
上記低融点ポリアミド樹脂の融点Tmは、好ましくは190〜240℃であり、より好ましくは200〜230℃であり、更に好ましくは210〜225℃である。ここでいうポリアミド樹脂の融点Tmは、示差走査熱量測定(DSC測定)によって測定したピーク値を意味し、この測定には例えばパーキンエルマー社製のDSC8500(商品名)を使用できる。
【0030】
上記低融点ポリアミド樹脂としては、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる一種であることが好ましい。ポリアミド610及びポリアミド612は低吸水性に優れると共に融点Tmが低いという特長を有する。優れた低吸水性は冷却液(例えば、水とエチレングリコールの混合液)と接触する部品を構成するのに有用である。低い融点Tmはレーザー溶接によって接合部を形成する際のロバスト性の向上に有用である。例えば、第1の部材1及び第2の部材2の断面形状が真円から少しずれていてレーザーの焦点を常に正確に合わせることが困難であっても接合すべき箇所を十分に溶融できるという利点がある(図7参照)。なお、ポリアミド610の融点Tmは約220℃であり、ポリアミド612の融点Tmは約215℃である。また、ポリアミド610及びポリアミド612は、耐加水分解性や耐塩化カルシウム性にも優れる。
【0031】
ポリアミド樹脂組成物における低融点ポリアミド樹脂の含有量は、当該ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して上記のとおり、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。ポリアミド樹脂の含有量が40質量%未満であると、レーザーによるポリアミド樹脂組成物の融解が不十分となりやすく、接合部5の接合強度が不十分となったり、目的とする低吸水性が損なわれるおそれがある。
【0032】
上記ポリアミド樹脂組成物は、低融点ポリアミド樹脂と異なるポリアミド樹脂(第2のポリアミド樹脂)を含有してもよい。その具体例としてポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド6、ポリアミドMXD6(ポリメタキシレンアジパミド)、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドM5Tなどが挙げられる。これらは二種以上を混合して用いてもよい。
【0033】
上記熱可塑性材料はポリアミド樹脂組成物の他にレーザー吸収材を更に含有することが好ましい。熱可塑性材料がレーザー吸収材を含有する場合、第1の部材1及び第2の部材2の端部1b,2b同士を突き合わせた状態で、フランジ部1f,2fの外側から内側の径方向にレーザーを照射することによって中空部品10を製造することができる。
【0034】
レーザー吸収材としては、アジン系化合物、ニグロシン、アニリンブラック、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポルフィリン、シアニン系化合物、ペリレン、クオテリレン、金属錯体、アゾ染料、アントラキノン、スクエア酸誘導体及びインモニウム染料等が挙げられる。上記熱可塑性材料におけるレーザー吸収材の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対し、好ましくは0.001〜0.8質量部であり、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。レーザー吸収材の含有量が0.001質量部未満であるとレーザー溶接時の発熱量が少なく、接合部5の接合強度が不十分となりやすく、他方、0.8質量部を超えるとレーザー溶接時の発熱量が多すぎて焦げやボイドが発生しやすい。
【0035】
上記熱可塑性材料は、ポリアミド樹脂組成物及びレーザー吸収材に、必要に応じて以下のような添加剤を配合したものであってもよい。添加剤の種類としては、例えば、補強材(例えば、ガラスフィラー)、着色剤、充填材、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、抗菌・防かび剤、難燃剤、助色剤、分散剤、安定剤、可塑剤、改質剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、結晶促進剤及び結晶核剤等が挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
例えば、ガラスフィラーの含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して20〜100質量部程度とすることができる。これ以外の添加剤の合計量は、ポリアミド樹脂組成物の全質量100質量部に対して0.1〜50質量部程度とすることができる。本発明者らの検討によると、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対し、ガラスフィラー(例えば、ガラス繊維)の含有量が100質量部程度であっても、上記ポリアミド樹脂組成物100質量%に対し低融点ポリアミドを少なくとも40質量%含んでいれば、レーザー照射によるポリアミド樹脂の融解によって十分に高い強度の接合強度を達成できる。
【0037】
なお、ここでは第1の部材1及び第2の部材2が同一組成の熱可塑性材料からなる場合を例示したが、両者のポリアミド樹脂組成物の組成が同一であれば、両者の間でレーザー吸収材の配合量及び/又は添加剤の種類や配合量が相違していてもよい。
【0038】
次に、図3〜図6を参照しながら、図1,2に示す中空部品10よりも複雑な形状を有する中空部品について説明する。図3〜図6に示す中空部品20,30,40,50はいずれも外側にフランジ部の張り出しが存在しない、いわゆるフランジレスの部品である。ただし、中空部品20,30,40,50は、フランジ部を有してもよく、この場合、上述の中空部品10のフランジ部1f,2fと同様の条件(D、T/D、D/D又はT/Tに関する条件)を満たすことが好ましい。
【0039】
図3に示す中空部品20は、上記ポリアミド樹脂組成物を含む熱可塑性材料からなり、車載用サーモスタットのハウジングとして使用されるものである。中空部品20は、円筒部(第1の円筒部)21aを有する第1の部材21と、円筒部(第2の円筒部)22aを有する第2の部材22と、これらの端部21b,22b同士がレーザー溶接によって接合してなる接合部25とを備える。端部21bと端部22bの間には、ポリアミド樹脂組成物が一旦融解し、その後、固化して形成される接合層(図示せず)が形成されている。
【0040】
第1の部材21は、第2の部材22側の端部が開口(第1の開口)21cをなして開放されており、他方の端部には冷却液用の流路26が設けられている。第2の部材22は、第1の部材21側の端部が開口(第2の開口)22cをなして開放されており、他方の端部には冷却液用の2つの流路27,28が設けられている。図3に示すように、中空部品20は、第1の部材21及び第2の部材22によって内部に空間が形成されており、サーモエレメントTE1を収容できるようになっている。
【0041】
図4に示す中空部品30も上記ポリアミド樹脂組成物を含む熱可塑性材料からなり、中空部品20と同様、車載用サーモスタットのハウジングとして使用されるものである。中空部品30は、円筒部(第1の円筒部)31aを有する第1の部材31と、円筒部(第2の円筒部)32aを有する第2の部材32と、これらの端部31b,32b同士がレーザー溶接によって接合してなる接合部35とを備える。端部31bと端部32bの間には、ポリアミド樹脂組成物が一旦融解し、その後、固化して形成される接合層(図示せず)が形成されている。
【0042】
第1の部材31は、第2の部材32側の端部が開口(第1の開口)31cをなして開放されており、他方の端部は図4に示すように頂部が隆起し且つ側方に延在する冷却液用の流路36が設けられている。第2の部材32は、第1の部材31側の端部が開口(第2の開口)32cをなして開放されており、他方の端部には冷却液用の流路37が側方に延在するように設けられている。図4に示すように、中空部品30は、第1の部材31及び第2の部材32によって内部に空間が形成されており、サーモエレメントTE2を収容できるようになっている。
【0043】
図5に示す中空部品40は、上記ポリアミド樹脂組成物を含む熱可塑性材料からなり、車載用温水カットバルブのハウジングとして使用されるものである。中空部品40は、円筒部(第1の円筒部)41aを有する第1の部材41と、円筒部(第2の円筒部)42aを有する第2の部材42と、これらの端部41b,42b同士がレーザー溶接によって接合してなる接合部45とを備える。端部41bと端部42bの間には、ポリアミド樹脂組成物が一旦融解し、その後、固化して形成される接合層(図示せず)が形成されている。
【0044】
第1の部材41は、第2の部材42側の端部が開口(第1の開口)41cをなして開放されており、他方の端部には冷却液(温水)用の流路46が設けられている。第2の部材42は、第1の部材41側の端部が開口(第2の開口)42cをなして開放されており、他方の端部には冷却液(温水)用の流路47が設けられている。図5に示すように、中空部品40は、第1の部材41及び第2の部材42によって内部に空間が形成されており、サーモエレメントTE3を収容できるようになっている。
【0045】
図6に示す中空部品50は、上記ポリアミド樹脂組成物を含む熱可塑性材料からなり、インバータ冷却用のオイルポンプOPを収容している。中空部品50は、円筒部(第1の円筒部)51aを有する第1の部材51と、円筒部(第2の円筒部)52aを有する第2の部材52と、これらの端部51b,52b同士がレーザー溶接によって接合してなる接合部55とを備える。端部51bと端部52bの間には、ポリアミド樹脂組成物が一旦融解し、その後、固化して形成される接合層(図示せず)が形成されている。
【0046】
図6に示すように、中空部品50は、第1の部材51及び第2の部材52によって内部に空間が形成されており、この空間内にオイルポンプOPを収容している。オイルポンプOPは、回転軸61と、回転軸61に固定されたロータ62と、回転軸61を支持するベアリング63とを備える。
【0047】
<車載用樹脂製中空部品の製造方法>
次に、車載用樹脂製中空部品の製造方法の製造方法について説明する。ここでは、図7を参照しながら、中空部品10を製造する方法を例に挙げて詳細に説明する。この方法は、第1の部材1の端部1bと第2の部材2の端部2bとをレーザー溶接によって接合することを特徴とする。レーザー溶接中空部品20,30,40,50も中空部品10と同様にして製造することができる。ポリアミド樹脂組成物を含む熱可塑性材料からなる部材同士をレーザー溶接する手法としては、例えば、特許第4102424号公報に記載の方法が知られている。
【0048】
まず、上記ポリアミド樹脂組成物及びレーザー吸収材を含む熱可塑性材料を準備する。この熱可塑性材料又はそのペレットを射出成形装置に供給して第1の部材1及び第2の部材2をそれぞれ別々に作製する。
【0049】
第1の部材1の端部1bと第2の部材2の端部2bとを突き合わせた状態に保持する。第1の部材1及び第2の部材2を保持する装置としては、部材1,2を保持したまま回転させる機構を有するものが好ましい。ここでいう回転は部材1,2の軸方向に対して垂直な断面の中心を通る線(図7の線A)を回転軸とするものである。このような装置で部材1,2を保持することで、図7に示すように部材1,2を方向Rに回転させながら、一箇所からレーザーLを照射することでレーザー溶接を実施できる。
【0050】
レーザーLの照射時における部材1,2の回転速度は、ポリアミド樹脂組成物の組成やレーザーの照射条件等に応じて適宜設定することができるが、好ましくは1〜10000回転/分であり、より好ましくは10〜1000回転/分である。生産性の点から回転はなるべく高速であることが好ましく、回転速度が1回転/分未満であると溶着時間が長くなり生産性が不十分となりやすい。ただし、回転速度が10000回転/分を超えるとモータ能力の限界を超えレーザー照射の精度が不十分となる傾向にあり、またモータに負担が掛かり故障を誘発する可能性がある。
【0051】
レーザー溶接は、部材1,2の当接面に向けて適切な条件に調整されたレーザーLを照射することによって実施できる。すなわち、部材1,2の焦げやボイドの発生しない範囲内で、十分に発熱し且つ十分に部材1,2の融解が広がるようにレーザーLの出力を調整する。例えば、ポリアミド樹脂組成物の吸光度や融点、部材1,2の回転速度などに応じてレーザーLの出力を調整すればよい。レーザーLは部材1,2の当接面近傍において吸収され、これにより熱が発生して樹脂が融解する。融解した樹脂が冷却されて固化すると、端部1b,2bの間に接合層5aが形成されて部材1,2が一体化する(図2参照)。
【0052】
レーザーLとして、800〜1600nmの赤外光線、好ましくは800〜1100nmに発振波長を有するレーザー光を使用できる。例えば、固体レーザー(Nd:YAG励起、半導体レーザー励起等)、半導体レーザー、チューナブルダイオードレーザー、チタンサファイアレーザー(Nd:YAG励起)を使用できる。あるいは、波長700nm以上の赤外線を発生するハロゲンランプやキセノンランプを使用してもよい。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る中空部品の用途は上記エレメントを収容するハウジングに限定されるものではなく、車載冷却系部品又は車載潤滑系部品の一部として使用できる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0055】
図1,2に示す円筒部品と同様の構成を有する円筒部品を複数作製した。円筒部品を以下の方法に従って評価した。
(1)気密性試験
中空部品の突出部(図1の突出部1d)に耐圧ホースの一端を接続し、耐圧ホースの他端を圧力ゲージ付コンプレッサーに接続した。水を満たした水槽に中空部品を入れ、中空部品の内部をコンプレッサーで加圧した。中空部品の接合部から気泡が発生した時点のゲージ圧を測定した。
(2)耐塩化カルシウム性試験
作製した中空部品を80℃の温水に8時間にわたって浸漬させた。温度90℃、相対湿度95%の雰囲気下に1時間放置した後、塩化カルシウム35質量%水溶液を中空部品の表面全体に塗布した。100℃の熱風乾燥機内に1時間放置した後、室温の条件下に1時間以上放置した。その後、上記(1)と同様にして気密性試験を行った。
(3)耐LLC性試験
作製した中空部品を120℃のLLC溶液に400時間にわたって浸漬させた。LLC溶液として、トヨタ純正スーパーLLC50%水溶液を用いた。LLC溶液から中空部品を取り出した後、室温の条件下に1時間以上放置した。その後、上記(1)と同様にして気密性試験を行った。
(4)耐ATF性試験
作製した中空部品を150℃のATF(automatic transmission fluid)に500時間にわたって浸漬させた。ATFとして、トヨタ純正ATFオートフルードWSを用いた。ATFから中空部品を取り出した後、室温の条件下に1時間以上放置した。その後、上記(1)と同様にして気密性試験を行った。
(5)耐エンジンオイル性試験
作製した中空部品を150℃のエンジンオイルに500時間にわたって浸漬させた。エンジンオイルとして、トヨタ純正エンジンオイルSMを用いた。ATFから中空部品を取り出した後、室温の条件下に1時間以上放置した。その後、上記(1)と同様にして気密性試験を行った。
(6)耐熱エージング性試験
作製した中空部品を150℃の熱風乾燥機内に500時間放置した後、室温の条件下に1時間以上放置した。その後、上記(1)と同様にして気密性試験を行った。
【0056】
<実施例1>
低融点ポリアミドとしてポリアミド610(融点:約220℃)を使用し、これを含む熱可塑性材料のペレットを調製した。このペレットを射出成形機に導入し、図1の部材1,2と同様の構成の2つの部材を作製した。これらの部材をレーザー溶接によって接合して図1の中空部品10と同様の構成の部品を作製した。なお、上記方法の詳細は以下のとおりである。
【0057】
(ポリアミド610ペレットの調製)
400Lオートクレーブ中に40%SH塩(セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩)水溶液に、ヨウ化カリウム3質量%、ヨウ化銅0.1質量%を仕込み、1.8MPa加圧下で加熱溶融重合を行った。得られた重合体を冷却固化及び造粒してポリアミド610のペレットを得た。
【0058】
(熱可塑性材料のペレットの調製)
上記ポリアミド610のペレット64.5質量部、ガラス繊維33質量部(日本電気硝子株式会社製、商品名:T275H)、レーザー溶着用着色マスターバッチ2.5質量部(オリヱント化学工業株式会社製、商品名:eBIND ACW−9871)をバレル温度290℃に設定した二軸押出機(東芝機械株式会社製、商品名:TEM35)を用いて溶融混練して熱可塑性材料のペレットを得た。
【0059】
(射出成形)
上記熱可塑性材料のペレットをシリンダー温度290℃に設定した射出成形機(住友重機械工業株式会社製、商品名:SE130)に導入し、金型温度80℃で成形して2つの部材を作製した。
【0060】
(レーザー溶接)
上記2つの部材の端部同士を突き合わせ、治具で固定した。2つの部材及び治具を保持装置に設置した。図7に示す矢印R方向に300回転/分の速度で2つの部材を回転させながら、1分間にわたって当接面にレーザー溶接機からレーザー(出力150W、波長940nm)を照射して中空部品を得た。
【0061】
上記方法によって計5つの中空部品を作製した。5つの中空部品を上記(2)〜(6)の各試験に供した。表1に結果を示す。
【0062】
<実施例2〜4>
実施例1において準備した2つの部材と寸法(図2の(b)に示すT、T、D又はD)が異なる2つの部材から中空部品をそれぞれ作製したことの他は、実施例1と同様にして中空部品を作製し、その評価を行った。表1に結果を示す。
【0063】
【表1】

【0064】
<実施例5〜8>
ポリアミド610のペレットの代わりに、以下のようにして調製したポリアミド612(融点215℃)のペレットを用いたことの他は、実施例1〜4と同様にして中空部品をそれぞれ作製し、それらの評価を行った。表2に結果を示す。
【0065】
(ポリアミド612ペレットの調製)
400Lオートクレーブ中に40%DH塩(ドデカン2酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩)水溶液に、ヨウ化カリウム3質量%、ヨウ化銅0.1質量%を仕込み、1.8MPa加圧下で加熱溶融重合を行った。得られた重合体を冷却固化及び造粒してポリアミド612のペレットを得た。
【0066】
【表2】

【0067】
<実施例9〜12>
ポリアミド610のペレットの代わりに、上記ポリアミド612ペレットと、以下のようにして調製したポリアミド66(融点:265℃)のペレットとを併用したことの他は、実施例1〜4と同様にして中空部品をそれぞれ作製し、それらの評価を行った。ポリアミド612ペレットとポリアミド66の配合比率は1:1(質量比)とした。表3に結果を示す。
【0068】
(ポリアミド66ペレットの調製)
400Lオートクレーブ中に40%AH塩(アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩)水溶液に、ヨウ化カリウム3質量%、ヨウ化銅0.1質量%を仕込み、1.8MPa加圧下で加熱溶融重合を行った。得られた重合体を冷却固化及び造粒してポリアミド66のペレットを得た。
【0069】
【表3】

【0070】
<実施例13〜16>
ポリアミド610のペレットの代わりに、以下のようにして調製したポリアミド66(融点:265℃)のペレットを用いてポリアミド樹脂組成物を調製したことの他は、実施例1〜4と同様にして中空部品をそれぞれ作製し、それらの評価を行った。表4に結果を示す。
【0071】
(ポリアミド66ペレットの調製)
400Lオートクレーブ中に40%AH塩(アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩)水溶液に、ヨウ化カリウム3質量%、ヨウ化銅0.1質量%を仕込み、1.8MPa加圧下で加熱溶融重合を行った。得られた重合体を冷却固化及び造粒してポリアミド66のペレットを得た。
【0072】
【表4】

【符号の説明】
【0073】
1,21,31,41,51…第1の部材、1a,21a,31a,41a,51a…円筒部(第1の円筒部)、1b,21b,31b,41b,51b…端部、1c,21c,31c,41c…開口(第1の開口)、2,21,31,41,51…第2の部材、2a,22a,32a,42a,52a…円筒部(第2の円筒部)、2b,22b,32b,42b,52b…端部、2c,22c,32c,42c…開口(第2の開口)、5,25,35,45,55…接合部、10,20,30,40,50…中空部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなると共に第1の開口を端部に有する第1の円筒部と、
前記第1の円筒部と同一の前記ポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなると共に第2の開口を端部に有する第2の円筒部と、
レーザー溶接によって形成され、前記第1の円筒部の前記端部と前記第2の円筒部の前記端部とを接合している接合部と、
を備え、
前記接合部の外径Dに対する前記接合部の厚さTの比T/Dが0.01〜0.3であり且つ前記接合部の外径Dが120mm以下である、車載用樹脂製中空部品。
【請求項2】
前記ポリアミド樹脂組成物は、ジアミンと炭素数9〜15のジカルボン酸の重合体からなり且つ融点Tmが190〜240℃である低融点ポリアミド樹脂を、当該ポリアミド樹脂組成物に含有されるポリアミド樹脂100質量%に対して40質量%以上含有する、請求項1に記載の車載用樹脂製中空部品。
【請求項3】
前記ポリアミド樹脂組成物は、前記低融点ポリアミド樹脂と異なる第2のポリアミド樹脂を含有する、請求項2に記載の部品。
【請求項4】
前記第1及び第2の円筒部をそれぞれ構成する前記組成物は、レーザー吸収材を更に含有するものであり、前記接合部は前記第1及び第2の円筒部の端部の外側から内側の径方向にレーザーを照射して形成されたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の部品。
【請求項5】
前記接合部の外径Dに対する前記第1の円筒部及び前記第2の円筒部における最大外径Dの比D/Dが1.3以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の部品。
【請求項6】
前記第1の筒状部、前記第2の筒状部及び前記接合部は、内面が面一であり、前記接合部に隣接した箇所の厚さTに対する前記接合部の厚さTの比T/Tが1〜1.5である、請求項1〜5に記載の部品。
【請求項7】
前記低融点ポリアミド樹脂は、ポリアミド610、ポリアミド612及びこれらの混合物からなる群から選ばれる一種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の部品。
【請求項8】
車載用樹脂製中空部品の製造方法であって、
ポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなると共に第1の開口を端部に有する第1の円筒部と、前記第1の円筒部と同一の前記ポリアミド樹脂組成物を含有する組成物からなると共に第2の開口を端部に有する第2の円筒部とを、前記端部同士を突き合わせた状態に保持する工程と、
突き合わされた状態の前記端部に向けてレーザーを照射して接合部を形成する工程と、
を備え、
前記接合部の外径Dに対する前記接合部の厚さTの比T/Dが0.01〜0.3であり且つ前記接合部の外径Dが120mm以下である方法。
【請求項9】
前記ポリアミド樹脂組成物は、ジアミンと炭素数9〜15のジカルボン酸の重合体からなり且つ融点Tmが190〜240℃である低融点ポリアミド樹脂を、当該ポリアミド樹脂組成物に含有されるポリアミド樹脂100質量%に対して40質量%以上含有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリアミド樹脂組成物は、前記低融点ポリアミド樹脂と異なる第2のポリアミド樹脂を含有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の円筒部をそれぞれ構成する前記組成物は、レーザー吸収材を更に含有するものであり、前記第1及び第2の円筒部の端部の外側から内側の径方向にレーザーを照射して前記接合部を形成する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52573(P2013−52573A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191878(P2011−191878)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】