説明

車載用音響装置及び車載用音響装置の制御方法

【課題】ハンズフリーを形成する車載用音響装置において、音楽ジャンルごとに設定された周波数特性によって音楽が再生されているときに携帯電話に着信があっても、人の声が聞き取り易い状況で通話することを可能とする車載用音響装置を提供する。
【解決手段】車載用音響装置10は、音楽ジャンル毎に最適の周波数特性を記憶した記憶部111と、音楽ジャンルを選択するための操作部19と、記憶部111から周波数特性を読み出して設定する制御部11とを備え、無線送受信部15によって携帯電話20と無線により接続されてハンズフリーシステムを形成している。制御部11は着信検出部112が携帯電話20に対する着信を検出すると、記憶部111に記憶されている通話用の周波数特性を読み出してイコライザ17に設定し、通話が終了すると着信時の音楽ジャンルに基づいて周波数特性を記憶部111から読み出してイコライザ17に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車に搭載されて使用される車載用音響装置の発明にかかり、とくにオーディオ信号の周波数帯域を複数の周波数帯域に分割し各周波数帯域毎にその周波数特性を任意に変更してスピーカに出力することができる車載用音響装置において、携帯電話を音響装置と無線によって接続して携帯電話のハンズフリー機能を実現しつつ、音楽の鑑賞と携帯電話の通話のスムーズな機能調整を図った車載用音響装置にかかるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より音響装置の技術分野においては、オーディオ信号の周波数帯域を複数の周波数帯域に分割して各周波数帯域ごとに周波数特性を任意に変更することができる音響装置が知られている。
【0003】
一般にこのような音響装置はジャズやロック、クラシックなど音楽のジャンルごとに周波数帯域の周波数特性を記憶しており、ユーザの指定によってジャンルが設定されると周波数特性が読み出されて、補正された音声信号がデジタル/アナログ変換回路によってアナログ信号に変換され、アンプにて増幅された後スピーカに出力されて音楽が再生されるというものである。
【0004】
例えば、ユーザがロック音楽を再生しようとするときは複数のジャンルの中からジャンル「ロック」を選択する。ジャンル「ロック」に設定されると特に低高音域が強く聞こえるように周波数特性が変更される。一方ジャンル「ジャズ」が設定されると中音域が強く、低高音域は弱く聞こえるように周波数特性が変更される。このように各音楽のジャンルごとに周波数特性を変更することで音楽の特徴が十分に引き出されるという優れた効果を奏するものである。
【0005】
例えば、下記特許文献1(特開平3−240307号公報)には「音響装置」の発明が開示されている。この音響装置の発明は上記のような周波数特性の変更が可能な音響装置の発明に関するものであり、さらに周波数特性を任意に可変するための入力手段を備えることによって車内など音響特性の条件のきびしい空間において使用する場合でも希望する音楽ソースの音質特性を得ることができるものである。
【0006】
一方、近年は運転中の携帯電話使用の取り締まりが強化されるに伴い車載用音響装置を用いて携帯電話をハンズフリーで使用できるようにした、いわゆるハンズフリーシステムが提案されている。このような発明の例が下記特許文献2(特開2006−254285号公報)に「車載装置及び車載装置の制御方法」として開示されている。
【0007】
すなわちかかる車載装置は、ユーザからの通話の指示によりソースから出力される音声によりスピーカの駆動に代えて、携帯電話で取得される音声データにより前記スピーカを駆動すると共に、マイクで取得される音声データを前記携帯電話に出力することでハンズフリーシステムを形成している。
【0008】
ハンズフリーシステムを利用することで、ユーザは運転時にもハンドルから手を離すことなく相手方と通話することが可能となり、運転を安全に行なうことができる。また携帯電話に比べて高出力のスピーカから相手方の音声を出力するため、相手方の声を聞き取り易くなるという優れた効果を奏するものである。
【特許文献1】特開平3−240307号公報
【特許文献2】特開2006−254285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記技術を組み合わせることでハンズフリー機能を実現しようとすると以下のような問題が生じる。すなわちユーザが音楽ジャンルを指定して低高音域を強調するよう周波数特性を変更して音楽を再生しているときに携帯電話に着信があったとする。通話をハンズフリーで行なおうとすると、相手方の音声信号も他のオーディオソースと同じくイコライザにおいて周波数特性が変更されてスピーカから出力されるから、低高音域ばかりが強調されて人の声が聞こえるはずの中音域が弱く聞こえてしまい、相手方の声が聞き取りにくくなってしまうという問題があった。
【0010】
そこで本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、音楽ジャンルを設定して周波数特性を変更していても、着信を検出するとそれまで設定されていた周波数特性を無効化することで上記課題を解決しうることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、携帯電話を無線接続してハンズフリーシステムを形成する車載用音響装置において、音楽ジャンルごとに設定された周波数特性によって音楽が再生されているときに携帯電話に着信があっても、人の声が聞き取り易い状況で通話できるようにした車載用音響装置を提供することを目的とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
音楽ジャンル毎に最適の周波数特性を記憶した記憶部と、音楽ジャンルを選択するための操作部と、前記記憶部から周波数特性を読み出して設定する制御部とを備え、
携帯電話と無線により接続されてハンズフリーシステムを形成する車載用音響装置において、
前記制御部は前記携帯電話に対する着信を検出すると、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とすることを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる車載用音響装置において、前記記憶部は更に、通話用の周波数特性を記憶しており、前記制御部は前記携帯電話に対する着信を検出すると、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とするとともに、前記記憶部から前記通話用の周波数特性を読み出して設定することを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項2にかかる車載用音響装置において、前記制御部は、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とするとともに、前記通話用に設定されている周波数特性を前記記憶部から読み出して設定し、携帯電話の通話が終了したことを検出すると、前記無効とした周波数特性を前記記憶部から読み出して設定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4にかかる発明は、
音楽ジャンル毎に最適の周波数特性を記憶した記憶部と、音楽ジャンルを選択するための操作部と、前記記憶部から周波数特性を読み出して設定する制御部とを備え、
携帯電話と無線により接続されてハンズフリーシステムを形成する車載用音響装置の制御方法であって、
前記制御部は前記携帯電話に対する着信を検出すると、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とするとともに、通話用に設定されている周波数特性を前記記憶部に記憶するステップと、
携帯電話の通話が終了したことを検出すると、前記無効とした周波数特性を前記記憶部から読み出して設定するステップと、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記の構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏するものである。すなわち本願の請求項1にかかる発明によれば、車載用音響装置は携帯電話に対する着信を検出すると、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とするから、たとえ着信前に低音が強調されるような周波数特性が設定されていたとしても通話時にはフラットな出力状態となり、相手方からの通話音声を聞き取り易い状態で通話することができるようになる。
【0017】
更に、本願の請求項2にかかる発明によれば、請求項1にかかる車載用音響装置において、記憶部は通話用の周波数特性を記憶しており、携帯電話に対する着信を検出すると、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とするとともに、前記通話用の周波数特性を設定するため、より聞き取り易い状態で相手方と通話することができるようになる。
【0018】
更に、本願の請求項3にかかる発明よれば、請求項2にかかる車載用音響装置において、車載用音響装置は着信があると、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とするとともに、前記通話用に設定されている周波数特性を前記記憶部から読み出して設定し、携帯電話の通話が終了したことを検出すると、前記無効とした周波数特性を前記記憶部から読み出して設定する。したがってユーザは通話が終了したのちに、音楽ジャンルを再度設定し直す必要がなくなり利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図面を参照して本発明における車載用音響装置の発明を詳細に説明する。ただし以下に示す例は最良の実施形態を示すものであって、本発明の技術的思想をこの車載用音響装置の発明に限定することを意図するものでなく、その他種々の変更を伴い得るものである。
【0020】
図1は本発明の車載用音響装置の構成を示すブロック図である。車載用音響装置10は制御部11を備えており、制御部11はオーディオソースを出力するチューナ部12、ディスク再生部14、無線送受信部15に接続されている。
【0021】
制御部11はRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサを搭載し、CPU(中央処理制御部)がROMに記憶されたプログラムに基づいて各部の動作を制御する。制御部11はさらに記憶部111及び着信検出部112を備えている。
【0022】
記憶部111には音楽ジャンル毎に最適な周波数特性が記憶されており、音楽ジャンルが選択されると記憶部111から対応する周波数特性が読み出され、イコライザ17に周波数特性が設定される。着信検出部112は車載用音響装置10側において携帯電話20に着信があったか否かを検出するためのものであり、着信検出部112が着信を検出すると制御部11は所定のプログラムを実行する。
【0023】
すなわち着信を検出するとユーザが着信音に気付き易くするようオーディオ出力を停止、または音量を一定値まで下げる。同時に記憶部111からは通話用に予め設定された周波数特性が読み出され、制御部11がこの周波数特性をイコライザ17に設定する。
【0024】
イコライザ17に通話用の周波数特性を設定すると同時に、制御部11は着信時の周波数特性を記憶部111に一時的に記憶し、着信検出部112が通話の終了を検出すると、制御部11は記憶部111に記憶された着信時の周波数特性を読み出し、イコライザ17に再設定する。この点については後段にて詳述する。
【0025】
チューナ部12はAM/FMラジオ放送の放送電波をアンテナ121により受信して復調し、音声信号を制御部11に出力する。ディスク再生部134にはCD、MDなどの外部ディスクメディアが装填されて読み出され、音声信号を制御部11に出力する。無線送受信部15は携帯電話20と車載用音響装置10とを接続するためインターフェースであり、音声信号を無線による通信によって送受信することでハンズフリーシステムを形成するためのものである。ハンズフリーシステムの構成については後述する。
【0026】
更に車載用音響装置10は、表示部13、マイク16、イコライザ17、アンプ18、スピーカ181及び操作部19を備えている。表示部13は液晶パネルなどからなり、操作情報などをユーザに対して表示する。表示部13はタッチパネルを搭載することで操作部19の一部としても機能する。
【0027】
なお後述するが、音楽再生を開始すると表示画面には音楽ジャンルを設定するアイコンや、現在設定されている周波数特性を示すインジケータなどが表示され、ユーザは任意に音楽ジャンルの選択及び周波数特性の微調整などを表示画面上で行なうことができる。
【0028】
マイク16はハンズフリー機能を起動したときにユーザの通話対象に対する音声を傍受するためのものである。イコライザ17はオーディオソースから出力された音声信号の周波数特性を補正する。アンプ18はイコライザ17にて補正された音声信号を増幅し、スピーカ181がこれを出力する構成になっている。操作部19は筐体に設けられた操作キーなどからなり、再生するオーディオソースの選択や音量の調整などを行なうためのものである。
【0029】
車載用音響装置10は携帯電話20と無線によって接続され、全体としてハンズフリーシステムを形成している。以下ハンズフリーシステムの概要について説明する。一般的な携帯電話の動作においては、携帯電話20は携帯電話部22によりユーザの操作に応動して一連の通話に係る処理を実行する。すなわち携帯電話部22はユーザの操作に応動して通話対象との間で回線を確立し、ユーザによる音声を図示しないマイクにより取得して通話対象に送出するとともに通話対象より得られる音声を図示しないスピーカによりユーザに提供する。
【0030】
これに対してユーザによりハンズフリーシステムによる動作が指示されると、携帯電話部22はこの携帯電話20の操作子による操作に代えて、無線送受信部21で受信される車載用音響装置10からの制御コマンドに応動して回線を接続し、またこの無線送受信部21を介して車載用音響装置に着信等を通知して回線を接続する。
【0031】
また、更に回線が接続されると、携帯電話20が備えるマイクに代えて車載用音響装置10が備えるマイク16により取得されるユーザの音声を無線送受信部21によって受信して通話対象に送出し、通話対象から得られる音声も携帯電話20が備えるスピーカから出力するのでなく無線送受信部21によって車載用音響装置10に送信し、制御部11、イコライザ17、アンプ18を介してスピーカ181から出力される。
【0032】
ハンズフリーを利用することで、ユーザは車を運転しながら相手方と通話することができる。さらに本発明によれば、音楽ジャンルを設定して音楽を再生しているときに着信があった場合でも人の声が聞こえにくい状態で相手方の音声が出力されることがなく、ハンズフリーによる通話の利便性がさらに向上する。
【0033】
図2は周波数特性の設定画面を示す図である。図2(a)はフラットモード、図2(b)はクラシックモード、図2(c)はロックモード、図2(d)はジャズモード、図2(e)は会話モードの設定画面をそれぞれ示している。
【0034】
図2(a)を参照して、まず設定画面の構成について説明する。画面の右端には現在設定されている音楽のジャンルを示すモードアイコンが配置されている。図2(a)における周波数特性はフラットモードであり、「フラット」のアイコンが反転表示されている。ユーザはこのアイコンの中から聴きたいオーディオソースのジャンルに合わせて所望のモードを選択することが可能である。例えばユーザがクラシック音楽を聴くのであればクラシックのアイコンを選択する。すると画面は図2(b)に表示するような画面に切り替わる。ロック、ジャズ等も同様の操作によって選択することができる。
【0035】
画面の左中央には、現在イコライザ17に設定されている周波数特性を示すゲージが各周波数帯域毎に表示されている。周波数帯域は左から60Hz、150Hz・・・6KHz、15KHzというように左から右に向かって周波数が高くなるように並んでいる。各ゲージにはそれぞれ各周波数帯域の出力を示すインジケータが表示されている。例えばフラットモードを示す図2(a)においては、全てのゲージにおいてインジケータは中央に表示されており、全ての周波数帯域において平坦な一定出力となっているのがわかる。
【0036】
一方ロックモードを示す図2(c)においては、中音域を示す1KHzの周波数帯域においてはインジケータは中央(±0dB)に位置し一定出力となっているが、低音域及び高音域の周波数帯域においては出力が増大されているのがわかる。すなわち中音域の出力はそのままに、低高音域の出力が増大されて重低音及び超高音が強調された状態で音楽が再生されることとなる。同様に、ジャズモードを示す図2(d)においては中音域付近の周波数帯域の出力が増大されているのがわかる。この場合低高音域の出力はそのままに、中音域が強調された状態で音楽が再生されることとなる。
【0037】
一方ロックモードを示す図2(c)においては、中音域を示す1KHzの周波数帯域においてはインジケータは中央(±0dB)に位置し一定出力となっているが、低音域及び高音域の周波数帯域においては出力が増大されているのがわかる。すなわち中音域の出力はそのままに、低高音域の出力が増大されて重低音及び超高音が強調された状態で音楽が再生されることとなる。同様に、ジャズモードを示す図2(d)においては中音域付近の周波数帯域の出力が増大されているのがわかる。この場合低高音域の出力はそのままに、中音域が強調された状態で音楽が再生されることとなる。
【0038】
以上のような音楽ジャンルごとの周波数特性データは記憶部111に、音楽ジャンルごとに対応付けられて記憶されており、ユーザの選択操作にしたがって読み出されてイコライザ17に設定される。
【0039】
更に画面下端には周波数特性を調整するための操作アイコンが配置されている。ユーザはこのアイコンを操作することによって、音楽ジャンルごとに設定された周波数特性を調整することができる。例えばユーザがロック音楽を再生しようとするときは、画面右端に配置されたモードアイコンの中から「ロック」を選択する。
【0040】
「ロック」が選択されると画面には図2(c)に表示したような画面が表示される。しかしユーザが特に重低音をさらに強調した状態で聴きたいと思う場合もあり得る。この場合、ユーザはまず「変更」アイコンを押下する。「変更」アイコンを押下すると画面に表示されたインジケータの位置を調整することができるようになり、重低音を強調するため60Hzの周波数帯域を示すゲージのインジケータをさらに上方に移動させる。
【0041】
すると60Hzの周波数帯域の出力がさらに+3dB増大され、重低音がさらに強調されてスピーカから出力される。ユーザがロック音楽を再生するときは常にこの状態で聴きたいという場合には、「保存」アイコンを押下することでロックモードの周波数特性が調整された状態で記憶部111に記憶され、次に読み出されたときも調整後の状態の周波数特性がイコライザ17に設定される。
【0042】
そして本発明の特徴として、車載用音響装置10は記憶部111に通話のための周波数特性を記憶している。図2(e)に示しているのが会話モードの周波数特性である。図からもあきらかなように会話モードにおいては低高音域の出力が大幅に減少させられており、一方で中音域の出力がフラットに比べ増大されている。
【0043】
これは人の声は中音域において聞こえるものであるため中音域の出力を増大させることで運転時などの外部騒音が激しい環境でも相手方の声を聞き取り易くするためである。さらには低高音域の出力を減少させることで相手方の声が際立つとともに、相手方からの騒音などがノイズとして入りにくくなる。さらに他の音楽ジャンルが設定されている場合には周波数特性の他に残響効果特性などの音質効果が設定されている場合があるが、会話モードにおいてはこのような音質効果は無効とされる。
【0044】
この会話モードの周波数特性は、着信検出部112が携帯電話20に着信があったことを検出すると記憶部111から読み出されてイコライザ17に設定される。また通話が終了すると着信時に設定されていたモードに切り替えられ、イコライザ17も着信時の周波数特性が再度設定される。
【0045】
以下、本発明の車載用音響装置の動作を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。図3は車載用音響装置の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS1において音楽を再生する操作がなされると処理が開始される。このときユーザは操作部19を介して再生したい所望のオーディオソースを選択する。オーディオソースが選択されると制御部11はイコライザ17に出力する信号のオーディオソースを選択されたオーディオソースに切り替える。
【0046】
例えばユーザがCDを聴く場合にはCDをディスク再生部14に装填するとともに再生ユニットをCDに選択する。オーディオソースとしてCDが選択されると、制御部11はディスク再生部14に対して再生指示を行ない、読み出された音声信号は制御部11を介してイコライザ17に出力される。
【0047】
車載用音響装置10は起動時には周波数特性がフラットに設定されており、イコライザ17には図2(a)に示すように各周波数帯域に亘って一定出力の補正なしの周波数特性が設定されている。したがってCDから読み出された音声信号の周波数特性はイコライザ17において補正されることなく、そのままアンプ18において増幅されてスピーカ181から出力されることとなる。
【0048】
ステップS2の処理においては音楽ジャンルの変更が指示されたか否かが判定される。すなわち図2に示すように画面右端に配置されたモードアイコンを押下するなどの操作によって、音楽ジャンルの選択変更があればYesと判定され、選択変更がなければNoとなりステップS4の処理に進み、携帯電話20の着信が検出されない限りステップS1の処理に戻り、音楽ジャンルの変更指示があるまでステップS2からS4の処理が繰り返される。
【0049】
以下、本発明の車載用音響装置の動作を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。図3は車載用音響装置の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS1において音楽を再生する操作がなされると処理が開始される。このときユーザは操作部19を介して再生したい所望のオーディオソースを選択する。オーディオソースが選択されると制御部11はイコライザ17に出力する信号のオーディオソースを選択されたオーディオソースに切り替える。
【0050】
例えばユーザがCDを聴く場合にはCDをディスク再生部14に装填するとともに再生ユニットをCDに選択する。オーディオソースとしてCDが選択されると、制御部11はディスク再生部14に対して再生指示を行ない、読み出された音声信号は制御部11を介してイコライザ17に出力される。
【0051】
車載用音響装置10は起動時には周波数特性がフラットに設定されており、イコライザ17には図2(a)に示すように各周波数帯域に亘って一定出力の補正なしの周波数特性が設定されている。したがってCDから読み出された音声信号の周波数特性はイコライザ17において補正されることなく、そのままアンプ18において増幅されてスピーカ181から出力されることとなる。
【0052】
ステップS2の処理においては音楽ジャンルの変更が指示されたか否かが判定される。すなわち図2に示すように画面右端に配置されたモードアイコンを押下するなどの操作によって、音楽ジャンルの選択変更があればYesと判定され、選択変更がなければNoとなりステップS4の処理に進み、携帯電話20の着信が検出されない限りステップS1の処理に戻り、音楽ジャンルの変更指示があるまでステップS2からS4の処理が繰り返される。
【0053】
ステップS2の処理において音楽ジャンルの変更指示があったと判定されると(Y)ステップS3の処理に進み、選択された音楽ジャンルの周波数特性が読み出されて設定される。すなわち記憶部111に音楽ジャンルごとに対応付けて記憶された周波数特性の中から、ユーザが選択した音楽ジャンルに対応する周波数特性が読み出され、制御部11はこれをイコライザ17に設定する。
【0054】
例えばユーザがモードアイコンのうち「クラシック」アイコンを押下すると、表示部13には図2(b)に示すような画面が表示されるとともに、イコライザ17には画面中央に表示されているような周波数帯域ごとの周波数特性が設定される。ジャンル「クラシック」においては、図2(b)からもあきらかなように周波数特性は低高音域の出力が増大され中音域の出力が減少されるため、スピーカ181からは低高音域が強調され、中音域は若干弱められた状態で音声が出力される。
【0055】
周波数特性の設定が終了するとステップS4の処理に進み、携帯電話20に着信があったか否かが判定される。上述したように制御部11は着信検出部112を備えており、車載用音響装置10側において携帯電話20の着信があったか否かを検出できるようになっている。着信が検出されなければ(N)ステップS2の処理に戻り、着信が検出されるまでステップS2からS4の処理が繰り返される。
【0056】
ステップS4の処理において着信が検出されると(Y)ステップS5の処理に進み、ジャンル「会話」の周波数特性が読み出されて設定される。すなわち着信検出部112が着信を検出すると、制御部11は記憶部111からジャンル「会話」に対応した周波数特性を読み出し、イコライザ17に設定する。このとき表示部13には図2(e)に示すような画面が表示されるとともに、イコライザ17には画面中央に表示されているような周波数帯域ごとの周波数特性が設定される。ここでいう「会話」とは、携帯電話20を用いた「通話」である。
【0057】
ジャンル「会話」においては、図2(e)からもあきらかなように周波数特性は中音域の出力が増大され低高音域の出力が大幅に減少されるため、スピーカ181からは中音域が強調され、低高音域がかなり弱められた状態で音声が出力される。
【0058】
なおステップS5の処理においてはジャンル「会話」に対応した周波数特性が設定されるが、それと同時に着信時に設定されていた音楽ジャンルが一時的に記憶部111に記憶される。
【0059】
ステップS5においてジャンル「会話」が設定されると、通話が終了するまで周波数特性は変更されずに維持される。ステップS6の処理においては通話が終了したか否かが判定され、終了していないと判断された場合には(N)再びステップS6の処理に戻り、通話が終了するまで処理が繰り返される。
【0060】
一方ステップS6の処理において通話が終了したことを着信検出部112が検出すると(Y)ステップS7の処理に進み、記憶部111に記憶されていた着信時の音楽ジャンルが読み出されて再設定される。例えば着信時にユーザがジャンル「クラシック」を設定していた場合には、記憶部111からジャンル「クラシック」に対応する周波数特性が読み出され、イコライザ17に設定される。そしてステップS8の処理において音楽再生が終了したかが判定され、音楽再生が終了していれば処理を終了し、音楽再生が終了していなければステップS2の処理に戻る。
【0061】
このように構成することにより、ユーザとしては通話が終了した後あらためて音楽ジャンルを「会話」から「クラシック」に変更する操作を行なうことなく、最適な周波数特性によって音楽を聴くことができる。ドライバが運転時に音響装置を操作するのは難しいことから、自動的に着信時の音楽ジャンルを再設定することで利便性が向上する。
【0062】
なお本実施例においては記憶部111に通話用に予め設定した周波数特性を記憶し、ステップS5の処理においてこれを設定するように構成したが、これ以外にも着信を検出するとそれまで設定していた周波数特性の設定を無効化つまりフラットの状態にするよう構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の車載用音響装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は周波数特性の設定画面を示す図である。図2(a)はフラットモード、図2(b)はクラシックモード、図2(c)はロックモード、図2(d)はジャズモード、図2(e)は会話モードの設定画面をそれぞれ示している。
【図3】車載用音響装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10 車載用音響装置
11 制御部
111 記憶部
112 着信検出部
12 チューナ部
13 表示部
14 ディスク再生部
15 無線送受信部
16 マイク
17 イコライザ
18 アンプ
181 スピーカ
19 操作部
20 携帯電話
21 無線送受信部
22 携帯電話部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽ジャンル毎に最適の周波数特性を記憶した記憶部と、音楽ジャンルを選択するための操作部と、前記記憶部から周波数特性を読み出して設定する制御部とを備え、
携帯電話と無線により接続されてハンズフリーシステムを形成する車載用音響装置において、
前記制御部は前記携帯電話に対する着信を検出すると、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とすることを特徴とする車載用音響装置。
【請求項2】
前記記憶部は更に、通話用の周波数特性を記憶しており、前記制御部は前記携帯電話に対する着信を検出すると、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とするとともに、前記記憶部から前記通話用の周波数特性を読み出して設定することを特徴とする請求項1に記載の車載用音響装置。
【請求項3】
前記制御部は、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とするとともに、前記通話用に設定されている周波数特性を前記記憶部から読み出して設定し、携帯電話の通話が終了したことを検出すると、前記無効とした周波数特性を前記記憶部から読み出して設定することを特徴とする請求項2に記載の車載用音響装置。
【請求項4】
音楽ジャンル毎に最適の周波数特性を記憶した記憶部と、音楽ジャンルを選択するための操作部と、前記記憶部から周波数特性を読み出して設定する制御部とを備え、
携帯電話と無線により接続されてハンズフリーシステムを形成する車載用音響装置の制御方法であって、
前記制御部は前記携帯電話に対する着信を検出すると、現在、前記音楽ジャンルに応じて設定されている周波数特性を無効とするとともに、通話用に設定されている周波数特性を前記記憶部に記憶するステップと、
携帯電話の通話が終了したことを検出すると、前記無効とした周波数特性を前記記憶部から読み出して設定するステップと、からなることを特徴とする車載用音響装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−207768(P2008−207768A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48965(P2007−48965)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】