説明

車載発電装置

【課題】電力損失を軽減してバッテリに対する充放電効率を向上する。
【解決手段】例えば、界磁コイル11に与える入力電圧を、従来の12Vに比べて大電圧の42Vを適用し、界磁電流Iの立ち上がり時の応答性が向上する。定常時には界磁電流IをPWM制御して適正な電流レベルに抑制する。界磁コイル11への入力電圧をオンオフするためのスイッチング部13としてHブリッジ回路を適用し、制御部15での制御により、界磁電流Iの立ち下がり時に界磁電流Iに対して逆方向の調整電流Ixを瞬間的に流す。立ち下がり時の応答性を立ち上がり時と同程度に向上する。車載発電装置による充電制御において電力損失を軽減でき、バッテリに対する充放電効率を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載発電装置及びそれに関連する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車においては、バッテリからの電力を負荷に供給することが行われるが、逆に負荷において電力消費が少ないときには、エンジンの回転等の所定の動力をエネルギー源として、車載発電装置としてのオルタネータによってバッテリの充電が行われる。
【0003】
従来の車載発電装置は、図5の如く、12Vの電圧によりスイッチング素子1を通じて界磁コイル3に電流を流すことで磁界を形成し、この磁界に基づいて、エンジンの回転力を回生電力にエネルギー変換して、バッテリ(図示省略)に対する充電電圧を制御している。尚、図5中の符号7はフリーホイール・ダイオードを示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、負荷に対する電流をオンオフする場合には、車載発電装置の界磁コイル3で形成される磁界も、負荷に対する電流に対応して応答性を良くすることが、バッテリの充電効率を向上する上で望ましい。
【0005】
しかしながら、例えば図6(a)のように、負荷に対するオンオフ等に対してスイッチング素子1のオンオフを即応させて、車載発電装置の界磁コイル3に与える入力電圧を負荷に対する電流に即応させて急激にオンオフしようとしても、界磁コイル3は、当該界磁コイル3自身のインダクタンスの影響を受けてしまい、この界磁コイル3に流れる電流(界磁電流)の応答性が図6(b)のように悪化する。
【0006】
例えば、図6中の時刻T01でスイッチング素子1をオンにして(図6(a))、界磁コイル3に流れる界磁電流を急増させようとしても、界磁コイル3のインダクタンスの影響により、図6(b)の符号t01のように、界磁電流の立ち上がりエッジが鈍ってしまう。逆に、図6中の時刻T02でスイッチング素子1をオフにして(図6(a))、界磁コイル3に流れる界磁電流を急減しようとしたときにも、そのインダクタンスの影響で、図6(b)の符号t02のように、立ち下がりエッジが鈍ってしまう。その結果、スイッチング素子1のオンオフによる界磁コイル3に与える入力電圧が図6(a)のように矩形波であっても、図6(b)のように、立ち上がり時t01と立ち下がり時t02に鈍りが生じた波形(以下「鈍り矩形波」と称す)が現れる。
【0007】
このように、車載発電装置の界磁コイル3に流れる界磁電流が「鈍り矩形波」として実現されると、車載発電装置による充電制御において電力損失が生じ、バッテリに対する充放電効率が低下する。
【0008】
そこで、本発明の課題は、界磁コイルの入力電圧に対して応答性を高くし、しかも適正な回生電力を得ることが可能な電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、自動車において磁界内で動力を回生電力に変換してバッテリに充電するための車載発電装置であって、前記磁界を発生する界磁コイルと、前記界磁コイルに対して所定の電圧源からの電圧を印加して界磁電流を供給するスイッチング部と、前記スイッチング部を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記界磁コイルに流れる界磁電流の立ち上げ時に当該界磁電流を非抑制するとともに、前記界磁電流が前記回生電力に対応する所定の電流レベルに達しているときに前記界磁電流を前記電流レベルに抑制するよう前記スイッチング部を制御するものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、電気系統に電力供給を行う電圧源として、所定の第一電圧源と、当該第一電圧源よりも大電圧の第二電圧源とを保有する自動車において、磁界内で動力を回生電力に変換してバッテリに充電するための車載発電装置であって、前記磁界を発生する界磁コイルと、前記界磁コイルに対して前記第二電圧源からの電圧を印加して界磁電流を供給するスイッチング部と、前記スイッチング部を制御する制御部とを備えるものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車載発電装置であって、前記制御部が、前記界磁コイルに流れる界磁電流の立ち上げ時に当該界磁電流を非抑制するとともに、前記界磁電流が前記回生電力に対応する所定の電流レベルに達しているときに前記界磁電流を前記電流レベルに抑制するよう前記スイッチング部を制御するものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項3に記載の車載発電装置であって、前記スイッチング部が、前記界磁コイルに対して正逆方向に切り換えて電流を流すことが可能なHブリッジ回路であり、前記制御部が、前記界磁電流の立ち上がり時に、前記界磁コイルに対して正方向に非抑制で電流を流すよう前記Hブリッジ回路を制御する第1の機能と、前記界磁電流の立ち上がり時直後から立ち下がり時直前までの間に、前記界磁コイルに流れる界磁電流を前記電流レベルに抑制するようにして、前記界磁コイルに対して正方向に電流を流すよう前記Hブリッジ回路を制御する第2の機能と、前記界磁電流の立ち下がり時に、前記界磁コイルに対して逆方向に非抑制で電流を流すよう前記Hブリッジ回路を制御する第3の機能とを備えるものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の車載発電装置であって、前記第一電圧源が12Vの電圧源であり、前記第二電圧源が42Vの電圧源であるものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明の車載発電装置は、界磁コイルに流れる界磁電流の立ち上げ時に当該界磁電流を非抑制として、この界磁電流の立ち上がりエッジを急峻にするとともに、界磁電流が回生電力に対応する所定の電流レベルに達しているときに界磁電流を電流レベルに抑制するようスイッチング部を制御するので、界磁電流の立ち上がり時の応答性を向上して電力損失を軽減しながら、しかも界磁電流の電流レベルを適正に保つことで適正な回生電力を得ることが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明の車載発電装置は、磁界を発生する界磁コイルに対して、第一電圧源(具体的には請求項5に記載のような12V)よりも大電圧の第二電圧源(具体的には請求項5に記載のような42V)からの電圧を印加して界磁電流を供給するので、界磁電流の電圧源として小電流の第一電圧源を適用していた従来に比べて、界磁電流の立ち上がりエッジを急峻にできる。したがって、界磁電流の立ち上がり時の応答性を向上することができ、電力損失を軽減してバッテリに対する充放電効率を向上することができる。
【0016】
この場合において、請求項3のように、界磁コイルに流れる界磁電流の立ち上げ時に当該界磁電流を非抑制として、この界磁電流の立ち上がりエッジを急峻にするとともに、界磁電流が回生電力に対応する所定の電流レベルに達しているときに界磁電流を電流レベルに抑制するようスイッチング部を制御することで、界磁電流の立ち上がり時の応答性を向上しながら、且つ界磁電流の電流レベルを適正に保つことで適正な回生電力を得ることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明の車載発電装置は、スイッチング部としてHブリッジ回路を適用し、制御部が、界磁電流の立ち下がり時に、界磁コイルに対して逆方向に電流を流すようHブリッジ回路を制御するので、立ち下がり時の応答性を立ち上がり時と同程度に向上することができる。したがって、車載発電装置による充電制御において電力損失を軽減でき、バッテリに対する充放電効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明の一の実施形態に係る車載発電装置を示すブロック図である。この車載発電装置は、負荷において電力消費が少ないとき等に、エンジンの回転等の所定の動力をエネルギー源としてバッテリの充電を行うためのもので、図1の如く、エンジンの回転力を回生電力にエネルギー変換するのに際して磁界を形成するための界磁コイル11と、この界磁コイル11に対し、従来の12Vに比べて大電圧の42Vの電圧源を用いて電流I,Ixを流すためのスイッチング部13と、このスイッチング部13のオンオフ制御を行う制御部15とを備える。
【0019】
界磁コイル11は、例えばエンジンモータのロータ側等に設置された回転子コイルであり、この界磁コイル11に界磁電流Iが流れた場合に磁界が発生し、この磁界が回転することで、ステータ側の固定子コイル(図示省略)に起電力が発生し、かかる固定子コイルから出力される電圧が充電電圧となって図示しないバッテリへの充電が行われるものである。尚、この明細書において、この界磁コイル11での磁界の発生は、図1において界磁コイル11の左側から右側に界磁電流Iが流れる際に発生するものとして、以後の説明を行うこととする。
【0020】
スイッチング部13は、Hブリッジ回路が適用されて構成されており、具体的には、界磁コイル11の一端のハイサイドに接続される第1のスイッチング素子21と、界磁コイル11の他端のローサイドに接続される第2のスイッチング素子23と、界磁コイル11の他端のハイサイドに接続される第3のスイッチング素子25と、界磁コイル11の一端のローサイドに接続される第4のスイッチング素子27とを備えて構成される。
【0021】
第1のスイッチング素子21は、例えばPチャネル型パワーMOSFETが適用され、そのソースが42Vの電圧源に接続され、そのドレインが界磁コイル11の一端に接続され、そのゲートが制御部15に接続される。
【0022】
第2のスイッチング素子23も、例えばPチャネル型パワーMOSFETが適用され、そのソースが界磁コイル11の他端に接続され、そのドレインがグランド接続され、そのゲートが制御部15に接続される。
【0023】
第3のスイッチング素子25も、例えばPチャネル型パワーMOSFETが適用され、そのソースが42Vの電圧源に接続され、そのドレインが界磁コイル11の他端に接続され、そのゲートが制御部15に接続される。
【0024】
第4のスイッチング素子27も、例えばPチャネル型パワーMOSFETが適用され、そのソースが界磁コイル11の一端に接続され、そのドレインがグランド接続され、そのゲートが制御部15に接続される。
【0025】
かかる構成により、Hブリッジ回路であるスイッチング部13においては、第1のスイッチング素子21と第2のスイッチング素子23とがオンになり、第3のスイッチング素子25と第4のスイッチング素子27とがオフになっているとき、界磁コイル11には、図1において左側から右側に界磁電流Iが流れ、第1のスイッチング素子21と第2のスイッチング素子23とがオフになり、第3のスイッチング素子25と第4のスイッチング素子27とがオンになっているとき、界磁コイル11には、図1において右側から左側に電流(後述の調整電流)Ixが流れることになる。
【0026】
ここで、自動車の電源系としては、12V系以外に42V系がある。そこで、スイッチング部13を通じて界磁コイル11に与える入力電圧を、従来の12Vに比べて大電圧の42Vを適用することで、界磁コイル11に流れる界磁電流Iが適正な電流レベルに至るまでの立ち上がり時の応答性を向上する。即ち、スイッチング部13を通じて界磁コイル11に与えられる電流I,Ixのそれぞれの立ち上がりエッジは、スイッチング部13のハイサイドの第1のスイッチング素子21及び第3のスイッチング素子25の各ソースに、大電圧の42Vの電圧源が接続されていることから、小電圧である12Vの電圧源を適用していた従来の技術(図5及び図6(b)中の符号t01,t02参照)に比べて、界磁電流Iが適正な回生電力に対応するのに充分な電流レベルに上昇するまでの時間が短くなる(図2(b)の時刻T01,T02参照)。
【0027】
制御部15は、ROMおよびRAM等が接続された一般的なコンピュータのCPU(マイクプロセッサ)内において所定のソフトウェアプログラムによって動作する機能部品であって、例えば図示しない負荷に対するオンオフ等に即応して、スイッチング部13の各スイッチング素子21,23,25,27のオンオフ制御を行って界磁コイル11に界磁電流Iを流すよう制御を行う。
【0028】
尚、界磁コイル11に与える入力電圧を、従来の12Vから42Vに増大する場合、そのまま42Vの大電流を界磁コイル11に印加するだけでは、界磁コイル11に流れる界磁電流Iが適正な回生電力に対応するのに充分な電流レベルを超えてしまい、界磁コイル11が大電流に絶えきれなくて損傷するおそれがある。
【0029】
このことを考慮して、制御部15は、界磁コイル11に流れる界磁電流Iの立ち上げ時に当該界磁電流Iを非抑制にして立ち上がりエッジを急峻にすると共に、界磁電流Iが適正な回生電力に対応する所定の電流レベルに達しているときには、界磁コイル11に42Vを印加して電流を流したときに、界磁電流Iが適正な回生電力に対応する電流レベルを超えて過電流となるのを防止すべく、制御部15によりスイッチング部13の各スイッチング素子21,23,25,27のPWM制御して界磁電流Iを適正な電流レベルに抑制するようになっている。そして、上述のように、この界磁電流Iとして適正な電流レベルに至るまでの立ち上がり時の波形は、小電圧である12Vの電圧源を適用していた従来の技術(図5及び図6(b)中の符号t01,t02参照)に比べて短くなる(図2(b)の時刻T01,T02参照)ことから、結果として界磁電流Iの立ち上がりエッジが従来に比べて急峻となる。
【0030】
次に、この車載発電装置の動作を説明する。ここで、比較例として、図3に、図5に示した従来の技術と類似の構成を示す。この図3は、スイッチング部13として単一のスイッチング素子21のみで界磁コイル11に界磁電流Iを与える例を示したものであるが、界磁電流Iを与える電圧源として、従来の12Vよりも大電圧である42Vのものを適用している。尚、図3中の符号29はフリーホイール・ダイオードを示している。また、図4は界磁コイル11に対する入力電圧(図4(a))及び界磁電流I(図4(b))を示すタイミングチャートである。
【0031】
図3の比較例の構成において、制御部15は、図4(a)の時刻T01でスイッチング素子21をオンにしたとき、界磁コイル11に流れる界磁電流Iの立ち上げ時に当該界磁電流Iを非抑制にする。これにより、界磁コイル11にそのインダクタンスの影響があったとしても、上述のように、スイッチング部13から界磁コイル11に流す界磁電流Iの電圧源として、従来の12Vよりも大電圧である42Vのものを適用していることから、界磁電流Iの立ち上がりエッジが、図4(b)の時刻T01のように、従来(図6(b)中の符号t01)に比べて急峻なものになる。
【0032】
しかしながら、図4(a)の時刻T02でスイッチング素子21をオフにしたとき、界磁コイル11のインダクタンスの影響により、図4(b)中の符号t02のように、従来(図6(b)中の符号t02)に比べて急峻とはならず、界磁電流Iの立ち下がりエッジが鈍ってしまう。即ち、界磁コイル11に界磁電流Iを流す電圧源を従来に比べて大電圧としても、立ち上がりエッジのみが改善されて、立ち下がりエッジが改善されないままとなってしまう。
【0033】
そこで制御部15は、Hブリッジ回路であるスイッチング部13を制御することで、時刻T02で界磁コイル11に逆方向の調整電流Ixを流して、時刻T02における立ち下がりエッジを、時刻T01における立ち上がりエッジと同様に急峻なものとする。
【0034】
即ち、制御部15は、まず図2の時刻T01で図1に示した界磁コイル11に対して左側から右側に界磁電流Iを流す際に、第3のスイッチング素子25と第4のスイッチング素子27とをオフにした状態で、第1のスイッチング素子21と第2のスイッチング素子23とをオンにし(図2(a)の時刻T01)、大電圧である42Vの電圧源から界磁電流Iを界磁コイル11に非抑制で流すことで、図2(b)に示した界磁電流Iの立ち上がりエッジを急峻なものとする。
【0035】
その後、制御部15は、第1のスイッチング素子21及び第2のスイッチング素子23をPWM制御して、界磁電流Iを過電流にならないような適正な回生電力に対応する電流レベルに抑制し、界磁コイル11に界磁電流Iを供給する。
【0036】
そして、図2の時刻T02で図1に示した界磁コイル11に流れる界磁電流Iを停止する際には、第1のスイッチング素子21と第2のスイッチング素子23とをオフにすると同時に、第3のスイッチング素子25と第4のスイッチング素子27とを一瞬だけオンにして、界磁コイル11に対して界磁電流Iとは逆方向の調整電流Ixを一瞬だけ流す。これにより、図2(b)に示した界磁電流Iの立ち下がりエッジを、立ち上がりエッジと同様に急峻とすることができる。
【0037】
以上のように、界磁コイル11に与える入力電圧を、従来の12Vに比べて大電圧の42Vを適用し、制御部15により、界磁コイル11に流れる界磁電流Iの立ち上げ時に当該界磁電流Iを非抑制するとともに、界磁電流Iが適正な回生電力に対応する所定の電流レベルに達しているときに界磁電流Iを適正な電流レベルに抑制するようスイッチング部13を制御することで、界磁電流Iの立ち上がり時の応答性を向上することができる。
【0038】
そして、界磁コイル11への入力電圧をオンオフするためのスイッチング部13としてHブリッジ回路を適用し、界磁電流Iの立ち下がり時(時刻T02)に界磁電流Iに対して逆方向の調整電流Ixを瞬間的に流すことで、立ち下がり時の応答性を立ち上がり時と同程度に向上することができるので、車載発電装置による充電制御において電力損失を軽減でき、バッテリに対する充放電効率を向上することができる。
【0039】
尚、上記実施形態では、電気系統に電力供給を行う電圧源として、12V系の電圧源と、これよりも大電圧の42V系の電圧源との2つの電圧源を保有する自動車において、界磁コイル11に対して42V系の電圧源からの電圧を印加して界磁電流Iを供給するようにしていたが、例えば12V系の電圧源のみしか保有していない自動車においては、大電圧の電圧源を採用することができない。
【0040】
この場合には、界磁コイル11の巻数を少なくするなどして当該界磁コイル11のインダクタンスを小さく設定しておき、この界磁コイル11に界磁電流IをPWM制御にて抑制しながら流したときに最大発電量になるように設計しておく。そして、界磁コイル11に流れる界磁電流Iの立ち上げ時に、当該界磁電流IをPWM制御せずに非抑制にしてその立ち上がりエッジを急峻にするようにしてもよい。
【0041】
この場合においても、界磁電流Iの立ち上がり時の応答性を向上して電力損失を軽減しながら、しかも界磁電流Iの電流レベルを適正に保つことで適正な回生電力を得ることが可能となる。
【0042】
また、上記実施形態では、立ち上がりエッジを急峻にするだけでなく、立ち下がりエッジをも急峻にするために、スイッチング部13としてHブリッジ回路を構成していたが、図4(b)中の符号t02のように立ち下がりエッジが鈍っても差し支えない場合には、図3に示したように、スイッチング部13として従来(図5)と同様に単一のスイッチング素子21のみを適用し、電圧源を従来の12Vから42Vとするだけでもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態では、制御部15によりスイッチング部13の各スイッチング素子21,23,25,27のPWM制御を行うことで、界磁電流Iを適正な電流レベルに抑制するようにしていたが、PWM制御以外の方法を用いて界磁電流Iを適正な電流レベルに抑制しても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一の実施形態に係る車載発電装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の一の実施形態に係る車載発電装置の界磁電流に対する入力電圧と界磁電流との関係を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の比較例に係る車載発電装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の比較例に係る車載発電装置の界磁電流に対する入力電圧と界磁電流との関係を示すタイミングチャートである。
【図5】従来の車載発電装置を示すブロック図である。
【図6】従来の車載発電装置の界磁電流に対する入力電圧と界磁電流との関係を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0045】
11 界磁コイル
13 スイッチング部
15 制御部
21,23,25,27 スイッチング素子
23 スイッチング素子
25 スイッチング素子
I 界磁電流
Ix 調整電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車において磁界内で動力を回生電力に変換してバッテリに充電するための車載発電装置であって、
前記磁界を発生する界磁コイルと、
前記界磁コイルに対して所定の電圧源からの電圧を印加して界磁電流を供給するスイッチング部と、
前記スイッチング部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部が、前記界磁コイルに流れる界磁電流の立ち上げ時に当該界磁電流を非抑制するとともに、前記界磁電流が前記回生電力に対応する所定の電流レベルに達しているときに前記界磁電流を前記電流レベルに抑制するよう前記スイッチング部を制御することを特徴とする車載発電装置。
【請求項2】
電気系統に電力供給を行う電圧源として、所定の第一電圧源と、当該第一電圧源よりも大電圧の第二電圧源とを保有する自動車において、磁界内で動力を回生電力に変換してバッテリに充電するための車載発電装置であって、
前記磁界を発生する界磁コイルと、
前記界磁コイルに対して前記第二電圧源からの電圧を印加して界磁電流を供給するスイッチング部と、
前記スイッチング部を制御する制御部と
を備える車載発電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載発電装置であって、
前記制御部が、前記界磁コイルに流れる界磁電流の立ち上げ時に当該界磁電流を非抑制するとともに、前記界磁電流が前記回生電力に対応する所定の電流レベルに達しているときに前記界磁電流を前記電流レベルに抑制するよう前記スイッチング部を制御することを特徴とする車載発電装置。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載の車載発電装置であって、
前記スイッチング部が、前記界磁コイルに対して正逆方向に切り換えて電流を流すことが可能なHブリッジ回路であり、
前記制御部が、
前記界磁電流の立ち上がり時に、前記界磁コイルに対して正方向に非抑制で電流を流すよう前記Hブリッジ回路を制御する第1の機能と、
前記界磁電流の立ち上がり時直後から立ち下がり時直前までの間に、前記界磁コイルに流れる界磁電流を前記電流レベルに抑制するようにして、前記界磁コイルに対して正方向に電流を流すよう前記Hブリッジ回路を制御する第2の機能と、
前記界磁電流の立ち下がり時に、前記界磁コイルに対して逆方向に非抑制で電流を流すよう前記Hブリッジ回路を制御する第3の機能と
を備える車載発電装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の車載発電装置であって、
前記第一電圧源が12Vの電圧源であり、前記第二電圧源が42Vの電圧源である、車載発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−20453(P2006−20453A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196979(P2004−196979)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】